JP4338759B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
本発明は、特に、複屈折性を利用した光学素子の製造に適した光学フィルムに関する。
外力による複屈折変化の生じやすさは光弾性係数によって表されるが、前述のポリカーボネートは光弾性係数が大きい。
また、光弾性係数の小さい高分子材料としては、例えば、ノルボルネン系樹脂が知られているが、この樹脂には複屈折性が小さいという問題がある。そのため延伸加工によって付与できる位相差に限界がある。
このため、複屈折性が大きく、かつ、光弾性係数の小さい複屈折性光学材料が切望されている。
光学フィルムの好適なNz係数は、液晶表示装置のモード(光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)モード、垂直配向(Vertical Alignment:VA)モード、横電界(In−Plane Switching:IPS)モード、ねじれネマチック(Twisted Nematic: TN)モード等)によって異なる。そのため、所望のNz係数の光学フィルムを得るために、フィルムの加工性に優れ、かつ所望のNz係数となるように制御しやすい高分子材料が適宜選択して用いられている。
しかし、Nz係数が負の値を示す複屈折性光学材料としては、現状では、ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤して貼り合わせてなる位相差フィルム(特許文献2)が知られているものの、この位相差フイルムの製造には貼り合わせる作業が伴い生産性が悪く、精密な加工を要するため、製品は高価となる。
そのため、Nz係数を負の所望の値に制御できる複屈折性光学材料が求められている。
さらに、そのNz係数を所望の値に制御できる光学フィルムを提供することを目的とする。
そして、IPSモードの液晶表示装置用の位相差フイルムにおいてはNz係数の値がー1.5以上−0.5以下とすることが好ましく、この樹脂組成物の延伸倍率を制御することでNz係数を−1.5以上−0.5以下の光学フイルムを製造することができることを見出した。
光弾性係数が負の熱可塑性樹脂(A)100重量部と、該熱可塑性樹脂(A)の有する光弾性係数よりも光弾性係数を増加させる傾向を有する低分子化合物(B)1重量部以上とを含む光学材料用樹脂組成物からなる光学フィルムであって、
熱可塑性樹脂(A)が、光弾性係数が正でかつ固有複屈折が負の単量体(a)と、光弾性係数が負でかつ固有複屈折が負の単量体(b)とを単量体成分として含む共重合体であって、単量体(a)が下記一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体で、単量体(b)が下記一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体であり、一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体の共重合割合が40質量%以上70質量%で、一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体の共重合割合が30質量%を超え、60重量%以下である共重合体(A−2)であり、
低分子化合物(B)が、下記一般式[4]又は[5]で表されるベンゾトリアゾール化合物または下記一般式[6]で表されるベンゾトリアジン化合物である、
光学フィルム。
一般式[2]
一般式[3]
一般式[4]
光弾性係数が負の熱可塑性樹脂(A)100重量部と、該熱可塑性樹脂(A)の有する光弾性係数よりも光弾性係数を増加させる傾向を有する低分子化合物(B)1重量部以上とを含む光学材料用樹脂組成物からなる光学フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂(A)が、光弾性係数が正でかつ固有複屈折が負の単量体(a)と、光弾性係数が負でかつ固有複屈折が負の単量体(b)とを単量体成分として含む共重合体であって、単量体(a)が前記一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体、単量体(b)がメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルであり、
メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステル単位40質量%以上90質量%以下と、下記一般式[1]で表される化合物単位5質量%以上20質量%以下と、前記一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体単位5質量%以上40質量%以下からなり、
一般式[1]で表される化合物単位の共重合割合に対する一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体単位の共重合割合の比(一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体単位の共重合割合/一般式[1]で表される化合物単位の共重合割合)が1倍以上3倍以下である共重合体(A−4)であり、
低分子化合物(B)が、前記一般式[4]又は[5]で表されるベンゾトリアゾール化合物または前記一般式[6]で表されるベンゾトリアジン化合物である、
光学フィルム。
一般式[1]
さらに、この光学フイルムは、縦横2方向に延伸したものであって、縦(MD)方向、横(TD)方向のうち少なくとも一方の延伸倍率が120%以上であることが好ましい。
さらに、特定の条件で延伸することにより、Nz係数が所望の値の光学フィルムを提供することができる。
したがって、液晶表示装置等、特にIPSモードの液晶表示装置、に用いた場合に、外力の偏りによって生じる複屈折の分布が小さく、コントラストの均一性に優れ、視野角を広げ、コントラストを高める光学補正フィルムを製造することができる。
CR[/Pa]=Δn/σR
ここで、σRは伸張応力[Pa]、Δnは応力付加時の複屈折であり、Δnは下式によ
り定義される。
Δn=n1−n2
ここで、n1は伸張方向と平行な方向の屈折率、n2は伸張方向と垂直な方向の屈折率
である。
光弾性係数の値がゼロに近いほど、外力による複屈折の変化が小さいことを示しており、各用途に応じて設計された複屈折が外力によって変化しにくいことを意味する。
固有複屈折=npr−nvt
ここで、nprは、一軸性の秩序をもって配向した高分子の配向方向と平行な方向の屈折率、nvtはその配向方向と垂直な方向の屈折率である。
本発明は、光弾性係数が負の熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)の有する光弾性係数よりも、光弾性係数を増加させる傾向を有する低分子化合物(B)からなる樹脂組成物からなる光学フィルムである。
本発明における低分子化合物(B)は、熱可塑性樹脂(A)の光弾性係数を増加させる化合物である。
分子量は好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは1000以下である。
これらを単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
る場合に成形加工性に優れ好ましい。さらに好ましい範囲は蒸気圧(P)が1.0×10-6Pa以下であり、とりわけ好ましい範囲は蒸気圧(P)が1.0×10-8Pa以下
である。
ここで、成型加工性に優れるとは、例えばフィルム成形時に、低分子化合物のロールへの付着が少ないことなどを示す。ロールへ付着すると、例えば成形体表面へ付着し外観、光学特性を悪化させるため、光学用材料として好ましくないものとなる。
低分子化合物(B)が、融点(Tm)が80℃以上である場合に成形加工性に優れ好ましい。さらに好ましい範囲は融点(Tm)が130℃以上であり、とりわけ好ましい範囲は融点(Tm)が160℃以上である。
低分子化合物(B)の量は、核磁気共鳴装置(NMR)によりプロトンNMR測定をし、ピークシグナルの積分値の比から求める方法や、または良溶媒を用い樹脂から抽出後、ガスクロマトグラフ(GC)で測定する方法などにより定量できる。
本発明の光学フイルムを構成する樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(A)は未延伸時の光弾性係数が負である熱可塑性樹脂である。光弾性係数は、より好ましくは−5.0×10-12/Pa以上0/Pa未満であり、さらに−4.0×10-12/Pa以上0/
Pa未満であることが好ましく、−3.0×10-12/Pa以上0/Pa未満であるこ
とがとりわけ好ましい。この範囲にあることにより、偏光板保護フィルム、位相差フィルム等の光学用途に好適に用いることができる。
これらのスチレン系単量体は、一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル系単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
このような単量体(a)、(b)以外の単量体としては、一般式[1]で表される化合物単位が挙げられる。
一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体の共重合割合が30質量%以下であると、Tgが120℃より低くなり、光学補償シート等としての実用耐熱性を十分に満足させることができない傾向にある。また、一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体の共重合割合が60質量%より多いと、溶融流動性が低くなりフィルム成形性が低下するだけでなく、光弾性係数が大きくなりすぎるため光学補償シートとして好ましくない。さらに多すぎると、重合物が得られない傾向にある。
好ましくは、一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体の共重合割合が50質量%以上60質量%で、一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体単位の共重合割合が40質量%を超え、50重量%以下である。
共重合体(A−2)の中でも、特に、スチレン−α−メチレンスチレン共重合体が好ましい。
得られる共重合体(A−2)の溶融熱安定性を高くして、加工の温度領域を広げるためには、リビング重合法が好ましい。リビング重合は、アニオン重合、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わないが、工業的に利用されている有機リチウム化合物を開始剤に用いたリビングアニオン重合による方法がより好ましい。
共重合体(A−4)の中でも、特に、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体が好ましい。
水系懸濁重合は、無水マレイン酸の水溶性が高く、終始安定な懸濁系を保つことが困難で、推奨されない。
2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ系開始剤、及び過酸化系開始剤のうち、
ベンゾイルパーオキサイドを該共重合体(A−4)の重合に使用した場合、得られるポリマーが着色することがある。
過酸化系開始剤のラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを使用すれば、該共重合体(A−4)のポリマーの着色はないが、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを使用したポリマーは、耐水性が低く、熱水に浸漬した場合の重量増加が大きく、表面が白化することがある。
したがって、該共重合体(A−4)の重合には、ラウロイルパーオキサイドのようなジアシルパーオキサイドを適用することが好ましい。
具体的には、特公昭63−1964号公報、特開2004−277666号公報、特開2004−292547号公報、特開2004−292548号公報、特開2004−315726号公報等に記載の方法に従って重合を行うことができる。
メルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物等が挙げられる。これらの分子量調節剤は、共重合体(1)の重合度が上記の範囲内に制御されるような濃度範囲で添加でされる。
本発明の光学フィルムを構成する樹脂組成物には、熱可塑性樹脂(A)として、組成、分子量などが異なるものを2種以上併用することができる。
上記に挙げた重合体は、光学材料用樹脂組成物に対して30質量%以下であることが好ましい。
本発明の光学フイルムの厚さには限定はないが、耐折の観点から100μm以下のものであることが好ましい。さらに80μm以下のものがより好ましい。100μm以上のフィルムの厚さは、耐折強度が弱く、市場の要求にそぐわないためあまり好ましくない。
押し出し成形による場合には、事前に熱可塑性樹脂(A)と、低分子化合物(B)と、さらに必要に応じて他の成分を溶融混錬した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混錬を経て成形することもできる。
また、熱可塑性樹脂(A)と低分子化合物(B)が可溶な溶媒、例えば、クロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて溶解後、キャスト乾燥固化することにより未延伸フイルムをキャスト成形することができる。
本発明の光学フイルムをIPSモードの液晶表示装置用の位相差フィルムとして使用する場合、Nz係数を−1.5以上−0.5以下とすることが好ましいが、Nz係数を−1.5以上−0.5以下に制御するには、2軸延伸をすることが好ましい。
延伸はガラス転移温度(Tg)を基準として、(Tg−20℃)〜(Tg+50℃)の範囲で行うことが好ましい。
この範囲に設計することにより、複屈折、耐熱性、強度の観点で好ましい光学フイルムが得られる。
延伸倍率(%)=[(収縮前の長さ/収縮後の長さ)−1]×100
本発明における延伸倍率差とは、縦MD)方向と横(TD)方向の延伸倍率の差を絶対値で表したものである。
ここで、面内レタデーション(Re)、厚み方向レタデーション(Rth)及びNzは下式により定義される。
Re =(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2)−nz)×d
Nz =(nx−nz)/|(nx‐ny)|
(式中、nx:成形体面内において屈折率が最大となる方向をxとした場合のx方向の主屈折率、ny:成形体面内においてx方向に垂直な方向をyとした場合のy方向の主屈折率、nz:成形体厚み方向の主屈折率、d:成形体の厚み(nm)である。)
例えば、本発明の光学フイルムを保護フィルムとして使用する場合、Reの値が20nm以下であることが好ましいが、Reの値を20nm以下にするには延伸倍率差が0%以上150%以下であることが好ましく、15nm以下にするには延伸倍率差が0以上90%以下であることがさらに好ましく、Reの値を10nm以下にするには、延伸倍率差が0以上50%以下であることがとりわけ好ましい。
一方、縦(MD)方向、及び横(TD)方向にほぼ同じ延伸倍率で2軸延伸を行うことにより、高い強度で、低い面内レタデーション値のフィルムが得られる。このような光弾性係数が小さく、レタデーション値が低いフィルムは、偏光板保護フィルムとして好適に用いられる。
また、本発明の光学フイルムを1/2波長板としても用いる場合、そのReの絶対値は、240以上320nm以下であることも好ましく、より好ましくは260以上300nm以下、さらに好ましくは270以上290nm以下である。
なお、このような全光線透過率は、共重合体の組成、配合比率、混練温度、混練圧力、冷却温度、冷却速度などを調整して光学材料用樹脂組成物の成分を相溶させることにより達成できる。
また、400nmにおける分光透過率が65%以上であることが好ましい。可視領域である400nm分光透過率が高いほど色再現性に優れるため、光学フイルムとして好ましく用いることができる。
したがって、本発明の光学フイルムは、380nmにおける分光透過率が5%以下であり且つ、光弾性係数の絶対値の値は、0/Pa以上5×10-12/Pa以下であること
が好ましく、光弾性係数の絶対値は0/Pa以上4×10-12/Pa以下であることが
さらに好ましく、0/Pa以上3×10-12/Pa以下であることがとりわけ好ましい。
本願においては、偏光フィルムの一方の面にReが10nm以上の本発明の光学フイルムを積層し、他方の面にReが10nm以下の保護フィルムを積層することが好ましい。 通常、保護フィルムは、偏光フィルムの保護を目的としているので、トリアセチルセルロース系フィルムのような光学的に等方性を持つフィルムが用いられる。
これに対し、本願の好ましい態様では、一方の面に光学的に異方性を持つ本発明の光学フイルムを積層し、他方の面に光学的に等方性を持つ保護フィルムを積層する。これにより、一方の面の保護フィルムが光学異方性フィルムを兼ねるので、通常は偏光板の保護フィルムの上に貼り付けられるポリカーボネート樹脂やシクロオレフィン系の樹脂などからなる位相差フィルム等の光学異方性フィルムを省き、偏光板の薄肉化を図ることができる。
また、保護フィルムの上に別の光学異方性フィルムを接着する工程がないので生産性に優れる。
一方の面に積層するReが10nm以上の本発明の光学フイルムは、光学補償位相差フィルム、1/4波長板、1/2波長板、その他位相差フィルムとしての機能を併せもつことになる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、他のメタリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類等が挙げられる。これらは一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
メタクリル酸メチルにアクリル酸アルキルエステル類を共重合させる場合のアクリル酸アルキルエステル類の使用量は、耐熱分解性の観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、耐熱性の観点から15質量%以下であることが好ましい。0.2〜14質量%であることがさらに好ましく、1〜12質量%であることがとりわけ好ましい。
アクリル酸アルキルエステル類としては、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルが、少量メタクリル酸メチルと共重合させるだけでも前述の成形加工時の流動性の改良効果が著しく得られるため好ましい。
溶液重合を行う場合には、単量体の混合物をトルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調整した溶液を用いることができる。塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
特に、90℃以上の高温下で重合を行わせる場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上でかつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤などが好ましい。具体的には1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。これらの開始剤は、例えば、0.005〜5質量%の範囲で用いることができる。
またアクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。
ン単量体5質量%以上40質量%以下、無水マレイン酸単量体5質量%以上20質量%以下からなり、かつ無水マレイン酸単位に対するスチレン単量体及び/又はα‐メチルスチ
レン単量体の割合が1倍以上3倍以下である共重合体が好ましい。さらに好ましくは、共重合体中のメタクリル酸メチル単量体が42質量%以上83質量%以下、無水マレイン酸単量体が5質量%以上18質量%以下、スチレン単量体及び/又はα‐メチルスチレン単
量体が12質量%以上40質量%以下であり、とりわけ好ましくは、共重合体中のメタクリル酸メチル単量体が45質量%以上78質量%以下、無水マレイン酸単量体が6質量%以上15質量%以下、スチレン単量体及び/又はα‐メチルスチレン単量体が16質量%
以上40質量%以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(e)としては、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体の具体例としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸およびポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体の具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートおよびポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステル系樹脂(e)は、単独ないし2種以上を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂は、L体ないしD体以外の乳酸誘導体モノマーまたは、ラクチドと共重合可能な他成分を共重合していてもよく、このような成分としてはジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。ポリ乳酸系樹脂は、直接脱水縮合、ラクチドの開環重合等公知の重合法で重合することができる。また必要に応じてポリイソシアネート等の結合剤を用いて、高分子量化することもできる。
ポリ乳酸系樹脂の好ましい質量平均分子量範囲は、機械的性質の観点から質量平均分子量が30,000以上であることが好ましく、加工性の観点から1000,000以下であることがより好ましい。さらに好ましくは50,000〜500,000、最も好ましくは100,000〜280,000である。
、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
このような偏光フィルムは公知の方法を用いて製造することができ、例えば特開2002−174729号公報等に記載されている方法により製造することができる。具体的には以下の通りである。
偏光フィルムを構成する樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。ここで、ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、85〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは98〜100モル%である。このポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、1000〜10000であることが好ましく、より好ましくは1500〜10000である。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合、一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。
一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤で膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用できる。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であることが好ましく、ヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度であることが好ましい。この水溶液の温度は、20〜40℃程度であることが好ましく、また、この水溶液への浸漬時間は、30〜300秒程度であることが好ましい。
二色性色素として二色性染料を用いる場合は、二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用できる。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100質量部あたり1×10-3〜1×10-2質量部程度であ
ることが好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、20〜80℃程度であることが好ましく、また、この水溶液への浸漬時間は、30〜300秒程度であることが好ましい。
最終的なフィルム厚は、フィルムの取り扱い易さ、ディスプレイの薄肉化要求の観点から、5〜200μmが好ましく、10〜150μmが更に好ましく、15〜100μmがとりわけ好ましい。
本願発明および実施例で用いた評価法を説明する。
(I)光弾性係数の測定、固有複屈折正負の判断
(光弾性係数の測定)
Macromolecules 2004,37,1062−1066に詳細に記載される複屈折測定装置を用いる。レーザー光の経路にフィルムの引っ張り装置を配置し、幅7mmの樹脂組成物の試験片に23℃で伸張応力をかけながら、その複屈折を測定する。伸張時の歪速度は20%/分(チャック間:30mm、チャック移動速度:6mm/分とする。
このようにして測定した値について、複屈折(Δn)をy軸、伸張応力(σR)をx軸
としてプロットし、その関係から、最小二乗近似により初期線形領域の直線の傾きを求め、光弾性係数(CR)を算出する。傾きの絶対値が小さいほど光弾性係数が0に近いこと
を示し、好ましい光学特性であることを示す。
(固有複屈折正負の判断)
ガラス転移温度以上、ガラス転移温度+50℃以下の範囲内で伸張応力をかけながら延伸を行い、急冷固化し、23℃におけるnpr−nvtを測定する。npr−nvtが負の場合、固有複屈折が負、npr−nvtが正の場合、固有複屈折が正と判断する。
ASTM D1003に準拠し測定を行う。
(III)分子量の測定
GPC(東ソー(株)製GPC−8020、検出RI、カラム昭和電工製Shodex K−805、801連結)を用い、溶媒はクロロホルム、測定温度40℃で、市販標準ポリスチレン換算で質量平均分子量を求める。
(IV)面内レタデーション(Re)、厚み方向レタデーション(Rth)およびNz係数
(面内レタデーション(Re)の測定)
シックネスゲージを用いてフィルムの厚さd(nm)を測定する。この値を大塚電子(株)社製複屈折測定装置RETS−100に入力し、測定面が測定光と垂直になるように試料を配置し、23℃で回転検光子法により面内レタデーション(Re)を測定・算出する。
(厚み方向レタデーション(Rth)、Nzの測定)
Metricon社製レーザー屈折計Model2010を用いて、23℃で光学フィルムの平均屈折率nを測定する。そして、平均屈折率nとフィルム厚さd(nm)を大塚電子(株)社製複屈折測定装置RETS−100に入力し、23℃で厚み方向レタデーション(Rth)、Nz係数を測定・算出する。
日立製作所製、U−3310を用いて分光スペクトルを測定し、380nmにおける透過率を求める。
(VI)耐折強度の測定
縦(MD)方向、横(TD)方向にフィルムを折り曲げた時の、割れ、クラックを観察し、割れ、クラックが発生した場合を×、発生しない場合を○とする。
偏光板を200mm×200mmの正方形に裁断し、水平で平坦な台の上にフィルムの中央が台に接するように置き、23℃、50%RHの雰囲気下で72時間静置し、裁断したフィルムの四隅が台から反り上がった高さを平均して算出する。
(VIII)偏光板の高温多湿時の耐久性の測定
60℃、90%RH条件で1000時間保持した前後の偏光度を下式に従って求め、この値を用いて偏光度保持率を算出して耐久性を評価する。偏光度保持率が大きいほど耐久性がよい。
偏光度(%)={〔(H2−H1)/(H2+H1)〕×1/2}×100
ここで、H2は、2枚の偏光板の配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で分光光度計を用いて測定した値(平行透過率)であり、H1は、2枚の偏光板の配向方向が互いに直交方向になるように重ね合わせた状態で測定した値(直交透過率)である。偏光度の測定は、島津製作所UV−3150分光光度計を使用する。
DSC−7型(パーキン・エルマー社製)を用い、室温から200℃までの昇温測定において、昇温速度20℃/分で原反フィルムサンプル重量8.0〜10mgのTgを測定する。
(I)共重合体の調製
1)メタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体(共重合体(A−4))
特公昭63−1964号公報に記載の方法で、単量体(a)としてスチレン、単量体(b)としてメタクリル酸メチル、その他の共重合成分として無水マレイン酸を用いて、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体を得た。
得られたメタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体の組成は、メタクリル酸メチル74質量%、無水マレイン酸10質量%、スチレン16質量%であり、共重合体メルトフローレート値(ASTM−D1238;230℃、3.8kg荷重)は1.6g/10分であった。
単量体(a)としてスチレン、単量体(b)として(メタ)アクリル系単量体であるメタクリル酸メチルを用いて重合を行った。
重合装置として攪拌機を備えた完全混合型反応器(容量4リットル)と層流型反応器(容量2リットル)を2基と、真空ベント付き単軸押出機1基とを直列に接続した装置を使用した。
表2に示す組成になるような単量体の濃度に調整し、単量体とエチルベンゼンの混合比率を88重量部:12重量部とし、目的のMFRになる共重合体が得られるように有機過酸化物(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、分子量調整剤(α−メチルスチレンダイマー)を必要量添加したフィード原料を用意した。
このようにして作成したフィード原料を、完全混合型反応器から連続的に重合装置へ1リットル/hrの容量で供給し、層流型反応器でさらに重合を進め、この重合物をさらに真空ベント付き単軸押出機で揮発性成分を除去して、表2に示すペレット状の共重合体を得た。なお、所望の性状の共重合体を得るために、完全混合型反応器の温度を100〜130℃、層流型反応器の温度を130〜160℃、押出機温度を200〜240℃、真空度を10〜60torrの範囲で調整した。
各共重合体のMFRを測定した結果、スチレンが80重量%、メタクリル酸メチルが20重量%の共重合体は1.1g/10min、スチレンが50重量%、メタクリル酸メチルが50重量%の共重合体は1.4g/10min.であった。
単量体(a)としてスチレン(St:住友化学社製)、単量体(b)としてα−メチル
スチレン(αMeSt:三井化学社製)を用いて重合を行った。
スチレン、メチルスチレン、シクロヘキサン(CH:出光石油化学社製)をSt/αMeSt/CH=19/26/55(wt%)の比率で混合した溶液を貯蔵タンクに溜め窒素バブリングした後に、溶液を活性アルミナ(住友化学社製KHD−24)を充填した5L容積の精製塔内を通過させて重合禁止剤であるt−ブチルカテコールを除去した。
n−ブチルリチウム(15wt%のn−ヘキサン溶液、和光純薬社製)を1/50倍にシクロヘキサンで希釈して重合開始剤を調製した。
メタノール(特級、和光純薬社製)を3wt%の濃度になる様にシクロヘキサンで希釈して停止剤を調製した。
重合反応器は、攪拌翼(住友重機製マックスブレンド翼)とコンデンサーが取り付けられ、更に原料導入ノズル、開始剤導入ノズルと重合溶液排出ノズルが付いたジャケット付3.5Lの反応器を用いた。コンデンサーの出口は、窒素ガスでシールし、外部から空気が混入しないようにした。重合反応器内の重合溶液の容量は、常に2.0Lとなる様に制御した。重合溶液からは常に溶液の一部が沸騰している状態にし、内温を80℃〜85℃の間に制御した。攪拌翼の回転数は175rpmとした。重合反応器の原料入口と出口にはそれぞれギアポンプが取り付けられており原料及び重合溶液が2.0L/Hrの一定流量の液を流せる様に制御した。また、開始剤溶液は、0.25L/Hrで重合反応器内へ導入した。
重合反応器から排出されたリビングポリマーの溶液は、更にギアポンプで10mm径の配管を通じて重合停止剤溶液の導入口まで導いた。反応器から停止剤混合点までの配管の長さは約2m、配管は65〜70℃で保温した。停止剤溶液は、0.1kg/Hrでの流速で重合反応液内に導入し、その後は、1.2L容量の静的ミキサー(Sulzer社製、SMX型)を経て完全に重合反応を停止させた。更に、ポリマー溶液は予熱器で260℃まで加熱し、その後60torrの減圧下、設定260℃に加温された約50Lの容器内へフラッシングし、溶媒と未反応モノマーをポリマーから分離、回収した。フラッシング容器内のポリマー温度は、約240〜250℃、ポリマーのタンク内の滞留時間は、約20〜30分であった。充分に揮発成分が除去されたポリマーは、その後、ロープ状に排出され水中下で冷却後カッターでペレタイズ化し、スチレンの共重合割合45質量%、α−メチルスチレンの共重合割合65質量%のスチレン−α‐メチルスチレン共重合体を回収した。
また、同様にして原料溶液の重合反応器内への流量、開始剤溶液の重合反応器内への流量を調整して、表3に組成のスチレン−α‐メチルスチレン共重合体を回収した。
1)ベンゾトリアゾール系化合物(B−1)
旭電化(株)社製、アデカスタブLA−31(融点(Tm):195℃ 20℃における蒸気圧(P):1.0×10-4Pa未満)を用いた。
理学電気(株)社製、ThermoPlus TG8120を用いて、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の質量減少率を測定したところ、0.03%であった。
2)ベンゾトリアゾール系化合物(B−2)
チバ・スペシャリティ・ケイミカルズ(株)社製Tinuvin1577(融点(Tm):149℃ 25℃における蒸気圧(P):9.0×10-10Pa未満)を用いた。
理学電気(株)社製、ThermoPlus TG8120を用いて、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の質量減少率を測定したところ、0.1%であった。
3)ベンゾトリアゾール系化合物(B−3)
チバ・スペシャリティ・ケイミカルズ(株)社製TinuvinP(融点(Tm):128℃ 20℃における蒸気圧(P):1.5×10-4Pa未満)を用いた。
理学電気(株)社製、ThermoPlus TG8120を用いて、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の質量減少率を測定したところ、34%であった。
比較のため、ポリカーボネート(旭化成(株)製 WONDERLITE PC−110)を使用した。
このポリカーボネートの光弾性係数は70×10-12/Paであり、固有複屈折は正
であった。
比較のため、アクリル樹脂(旭化成ケミカルズ(株)80N)を用いた。
(V)ポリスチレン(PS)の準備
比較のため、ポリスチレン(PSジャパン(株)製GPPS)を用いた。
(VI)トリアセチルセルロース(TAC)フイルムの準備
比較のため、トリアセチルセルロースフイルム(富士写真フィルム株式会社製)(80μm)を用いた。
メタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体と低分子化合物(B−1)〜(B−3)を用いて樹脂組成物を調製し、これをテクノベル製Tダイ装着押し出し機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)を用いて、スクリュー回転数、押し出し機のシリンダー内樹脂温度、Tダイの温度を表1に示す条件に調整し押し出し成形をすることにより実施例1、2、比較例1〜3の未延伸フィルムを得た。フィルムの流れ(押し出し方向)をMD方向、MD方向に垂直な方向をTD方向とした。 また、表1に示す条件で得られた未延伸フィルムを幅が50mmになるように切り出し、表1に示す条件で1軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動速度:500mm/分)を引っ張り試験機を用いて行い、実施例4、6、7、比較例5、6の一軸延伸フィルムを得た。
さらに、表1に示す条件で得られた一軸延伸フイルムを幅が50mmになるように切り出し、表1に示す条件で1軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動速度:500mm/分)を引っ張り試験機を用いて行い、実施例8〜10、14〜18、比較例11〜13の2軸延伸フィルムを得た。
また、本発明に該当する実施例1、2、4、6〜10、14〜18のフィルムは、光弾性係数の絶対値が一段と小さく、低分子化合物(B)を配合することにより光弾性係数の絶対値を小さくすることができることが確認できた。
さらに、比較例5、実施例7、比較例12、13、実施例14〜18より、フイルムの縦(MD)方向と横(TD)方向の少なくとも一方の延伸倍率を120%以上とし、その上で延伸倍率差を調整することにより、Nz係数を−1.5〜−0.5に制御できることが確認できた。
表2に記載の組成のメタクリル酸メチル−スチレン共重合体と低分子化合物(B−1)(比較例23のみ)を用いて樹脂組成物を調製し、これをテクノベル製Tダイ装着押し出し機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)を用いて、スクリュー回転数、押し出し機のシリンダー内樹脂温度、Tダイの温度を表2に示す条件に調整し押し出し成形をすることにより製造例19〜20の未延伸フィルムを得た。フィルムの流れ(押し出し方向)をMD方向、MD方向に垂直な方向をTD方向とした。
また、表2に示す条件で得られた未延伸フィルムを幅が50mmになるように切り出し、表2に示す条件で1軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動速度:500mm/分)を引っ張り試験機を用いて行い、製造例21〜23の一軸延伸フィルムを得た。
さらに、表2に示す条件で得られた1軸延伸フイルムを幅が50mmになるように切り出し、表2に示す条件で1軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動速度:500mm/分)を引っ張り試験機を用いて行い、製造例24〜30の2軸延伸フィルムを得た。
なお、比較例23のフィルムは、低分子化合物(B)を配合しているが、光弾性係数が正の熱可塑性樹脂であるメタクリル酸メチル−スチレン共重合体と組み合わされているため、樹脂組成物の光弾性係数の絶対値を小さくする効果は奏されなかった。
さらに、比較例5〜29より、フイルムの縦(MD)方向と横(TD)方向の少なくとも一方の延伸倍率を120%以上とし、その上で延伸倍率差を調整することにより、Nz係数を−1.5〜−0.5に制御できることが確認できた。
表3に記載の組成のスチレン−α‐メチルスチレン共重合体を用い、テクノベル製Tダイ装着押し出し機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)を用いて、スクリュー回転数、押し出し機のシリンダー内樹脂温度、Tダイの温度を表3に示す条件に調整し押し出し成形をすることにより比較例31の未延伸フィルムを得た。フィルムの流れ(押し出し方向)をMD方向、MD方向に垂直な方向をTD方向とした。
また、表3に示す条件で得られた未延伸フィルムを幅が50mmになるように切り出し、表3に示す条件で1軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動速度:500mm/分)を引っ張り試験機を用いて行い、比較例32〜36、実施例37、比較例38の一軸延伸フィルムを得た。
さらに、表3に示す条件で得られた1軸延伸フイルムを幅が50mmになるように切り出し、表3に示す条件で1軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動速度:500mm/分)を引っ張り試験機を用いて行い、比較例39、実施例40、41の2軸延伸フィルムを得た。
[比較例42]
表3に記載の組成のスチレン−α‐メチルスチレン共重合体を用い、表3に示す条件で延伸フイルムの製造を試みたが、延伸フィルムは得られなかった。
[比較例44]
ポリスチレン(PS)を用いて、表3に示す条件で一軸延伸フイルムを得た。
[比較例45]
ポリメチルメタクリル酸メチルを用いて、表3に示す条件で一軸延伸フイルムを得た。[比較例46]
ポリカーボネート(PC)を用いて、表3に示す条件で一軸延伸フイルムを得た。
[比較例47]
トリアセチルセルロースフイルム(TAC)を用いた。
これに対し、単量体(a)に該当するスチレンの単独重合体(比較例44)、単量体(b)に該当するメタクリル酸メチルの単独共重合体(比較例45)、一般的な光学材料であるポリカーボネートやトリアセチルセルロース(比較例46、47)から製造されたフイルムは、光弾性係数の絶対値が大きかった。
また、低分子化合物(B)を添加した本発明に該当する実施例37、40、41のフィルムは、光弾性係数の絶対値が一段と小さく、低分子化合物(B)を配合することにより光弾性係数の絶対値を小さくすることができることが確認できた。
さらに、比較例32〜36、実施例37、比較例38、実施例40、41より、フイルムの縦(MD)方向と横(TD)方向の延伸倍率差を調整することにより、Nz係数を−1.5〜−0.5に制御できることが確認できた。
とりわけ、本発明の光学フィルムは、Nz係数の制御が望まれるIPSモードの液晶表示装置用位相差フィルムに好適に用いることができる。
Claims (6)
- 未延伸時の光弾性係数が負の熱可塑性樹脂(A)100重量部と、該熱可塑性樹脂(A)の有する光弾性係数よりも光弾性係数を増加させる傾向を有する低分子化合物(B)1重量部以上とを含む光学材料用樹脂組成物からなる光学フィルムであって、
熱可塑性樹脂(A)が、光弾性係数が正でかつ固有複屈折が負の単量体(a)と、光弾性係数が負でかつ固有複屈折が負の単量体(b)とを単量体成分として含む共重合体であって、単量体(a)が下記一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体で、単量体(b)が下記一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体であり、一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体の共重合割合が45質量%で、一般式[2]で表されるイソプロペニル芳香族単量体の共重合割合が55質量%である共重合体(A−2)であり、
低分子化合物(B)が、下記一般式[4]又は[5]で表されるベンゾトリアゾール化合物または下記一般式[6]で表されるベンゾトリアジン化合物である、
光学フィルム。
一般式[2]
一般式[3]
一般式[4]
- 未延伸時の光弾性係数が負の熱可塑性樹脂(A)100重量部と、該熱可塑性樹脂(A)の有する光弾性係数よりも光弾性係数を増加させる傾向を有する低分子化合物(B)1重量部以上とを含む光学材料用樹脂組成物からなる光学フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂(A)が、光弾性係数が正でかつ固有複屈折が負の単量体(a)と、光弾性係数が負でかつ固有複屈折が負の単量体(b)とを単量体成分として含む共重合体であって、単量体(a)が前記一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体、単量体(b)がメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルであり、
メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステル単位74質量%と、下記一般式[1]で表される化合物単位10質量%と、前記一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体単位16質量%からなり、
一般式[1]で表される化合物単位の共重合割合に対する一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体単位の共重合割合の比(一般式[3]で表されるビニル芳香族単量体単位の共重合割合/一般式[1]で表される化合物単位の共重合割合)が1倍以上3倍以下である共重合体(A−4)であり、
低分子化合物(B)が、前記一般式[4]又は[5]で表されるベンゾトリアゾール化合物または前記一般式[6]で表されるベンゾトリアジン化合物である、
光学フィルム。
一般式[1]
- 前記熱可塑性樹脂(A)の未延伸時の光弾性係数が−4.5×10-12/Pa以上である請求項
1又は2に記載の光学フィルム。 - 前記低分子化合物(B)が、分子量が5000以下で、20℃における蒸気圧が1.0×10-4Pa以下で、重量減少率が50%以下である請求項1〜3いずれか1項に記載
の光学フィルム。 - 前記低分子化合物(B)が、分子量が3000以下で、20℃における蒸気圧が1.0×10-6Pa以下で、重量減少率が15%以下である請求項4に記載の光学フィルム。
- 前記低分子化合物(B)が、分子量が1000以下で、20℃における蒸気圧が1.0×10-8Pa以下で、重量減少率が2%以下である請求項5に記載の光学フィルム。
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