JP4338368B2 - 内視鏡用通気弁および内視鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡用通気弁および内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野では、消化管等の検査、診断などに、内視鏡が使用されている。この内視鏡の体腔内への細長い挿入部の内部には、ライトガイド、イメージガイド、電線ケーブル、各種チューブ類などの各種の長尺部材が挿入された構成になっている。内視鏡の挿入部が湾曲すると、これらの長尺部材同士の間に摩擦や押圧力を生じる。この摩擦や押圧力を低減して各長尺部材を保護するため、各長尺部材の周囲には、潤滑剤が配されている。
【0003】
この内視鏡で用いられる潤滑剤には、潤滑性に優れることはもちろんのこと、その潤滑性が長期間に亘って維持され、さらに、繰り返し行われる内視鏡の滅菌処理等によっても変質、劣化し難いことが求められる。このような要求を満足する潤滑剤として、各種の固体潤滑剤が用いられている。
【0004】
また、内視鏡は、繰り返し使用するものであり、使用の都度、洗浄・消毒・滅菌処理等を行う。この滅菌処理を、例えばオートクレーブ滅菌により行う場合、オートクレーブ装置では、内視鏡を収容した滅菌槽内を真空吸引して空気を排出した後、高温高圧の水蒸気が滅菌槽内に導入される。滅菌槽内が真空状態(減圧状態)になったとき、内視鏡の内部が密閉状態になっていると、内視鏡内部の圧力が外部(滅菌槽内)の圧力より高くなることにより、挿入部、特に、先端の湾曲部を被覆するゴム等の柔軟な部分が膨張し、損傷、破裂するおそれがある。
【0005】
かかる不都合を防止するために、内視鏡にはその内部と外部とを連通し得る通気弁が設けられている。この通気弁は、滅菌槽内を減圧した際に、内視鏡の内部と滅菌槽の内部との圧力差により開き、内視鏡の内部から空気が排出される。
【0006】
このような通気弁は、閉状態のとき気密性が保持されるように構成されているものの、オートクレーブ滅菌の際に滅菌槽内に導入される水蒸気は、高温高圧のものであり、さらに、かかる滅菌処理が繰り返し施されることから、水蒸気が、通気弁の内部に形成された流路を介して、内視鏡の内部に侵入し、貯留してしまうことがある。
【0007】
この場合、前記固体潤滑剤が、水分を吸収すると、固化し、本来の減摩効果が損なわれるという問題がある。また、内視鏡を高湿熱帯地域で使用する場合には、特に、内視鏡内部に水分が溜まり易く、固体潤滑剤の減摩効果はより急速に失われてしまうという問題がある。このように潤滑剤の減摩効果が損なわれてしまうと、可撓管や湾曲部を湾曲させる際に生じる摩擦によって、ライトガイドやイメージガイドを構成する光学繊維(光ファイバー)が、損傷、破損してしまうおそれがある。
【0008】
また、潤滑剤の吸湿により、光学繊維にヤケ等による劣化が生じるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、例えばオートクレーブ滅菌に際して、高湿度の環境下に曝された場合でも、内視鏡の内部へ水分が侵入するのを有効に防止することができる内視鏡用通気弁、および、かかる通気弁を備える内視鏡を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0011】
(1) 内視鏡に設けられ、該内視鏡の内外の圧力差により開閉する内視鏡用通気弁であって、
内部に気体が通過する流路を有する本体部と、
前記本体部の軸方向に移動可能に設けられ、前記流路を開閉可能な弁体と、
前記流路の途中に互いに離間して設けられた2つのフィルターとを有し、
前記フィルターは、その少なくとも一部に、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とする乾燥剤を樹脂材料に分散させて層状に構成した吸湿層と、該吸湿層の少なくとも片面側に設けられ、気体を透過させ液体を遮断する撥水層とを備え、
前記吸湿物質は、MgSO・nHO(ただし、0≦n≦3)で表される硫酸マグネシウムであり、
前記本体部は、前記内視鏡に設けられたハブに着脱自在に固定される筒状の取付部材と、該取付部材の内側に着脱自在に固定される筒状の弁座とを備え、
前記2つのフィルターは、一方のフィルターが前記ハブと前記取付部材とにより固定され、他方のフィルターが前記弁座と前記取付部材とにより固定され、前記各フィルターが取替え可能であることを特徴とする内視鏡用通気弁。
【0012】
これにより、例えばオートクレーブ滅菌に際して、高湿度の環境下に曝された場合でも、内視鏡の内部へ水分が侵入するのを有効に防止することができる内視鏡用通気弁を提供することができる。
また、前記フィルターを前記吸湿層および前記撥水層を有するものとすることにより、フィルターの外側に液体が接触した場合でも、吸湿層が液体を吸って膨潤したり、乾燥剤の吸湿能力が低下したりするのを防止することができる。
さらに、前記吸湿物質である硫酸マグネシウムは、吸湿能力に優れ、各種樹脂材料への分散性が良好であり、吸湿によって腐食性・潮解性等を示さない、また、破砕が生じ難く、ダストの発生が極めて少ない。
特に、MgSO ・nH O(ただし、0≦n≦3)で表される硫酸マグネシウムは、特に吸湿能力に優れている。
【0013】
また、前記フィルターを複数有することにより、より確実に内視鏡の内部への水分の侵入を防止することができる。
【0014】
また、複数の前記フィルター互いに離間して配置されていることにより、より確実に内視鏡の内部への水分の侵入を防止することができる。
【0016】
前記フィルター取替え可能であることにより、内視鏡用通気弁にかかるコストの低減を図ることができる。
【0017】
) 前記フィルターは、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている上記(1)に記載の内視鏡用通気弁。
これにより、フィルターの吸湿の程度を目視により確認することができる。
【0020】
(3) 前記撥水層は、フッ素系樹脂で構成された多孔質体である上記(1)または(2)に記載の内視鏡用通気弁。
これにより、高い気体透過性および撥水性を有する撥水層が得られる。
【0021】
(4) 前記多孔質体は、フッ素系樹脂の繊維の集合体である上記(3)に記載の内視鏡用通気弁。
これにより、より高い気体透過性および撥水性を有する撥水層が得られる。
【0022】
(5) 前記弁体を、前記本体部に接触するよう付勢する付勢部材を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
【0023】
これにより、簡単な構造で、より確実に内視鏡用通気弁を作動させることができる。
【0024】
(6) 前記弁体と前記本体部との接触面は、それぞれ、ほぼ円錐面状をなしている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
これにより、簡単な構造で、通気弁の気密性をより向上させることができる。
【0025】
(7) 前記内視鏡の滅菌処理に際し、前記内視鏡を滅菌槽内に収納して、該滅菌槽内を減圧状態としたとき、
前記通気弁が開いて、前記内視鏡内の圧力が前記滅菌槽内の圧力に対して過大になるのを防止する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
【0026】
これにより、内視鏡の湾曲部の外皮等が膨張して損傷(伸び、破裂等)するようなことを確実に防止することができ、内視鏡を保護することができる。
【0027】
(8) 前記乾燥剤の含有量は、1〜40wt%である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
【0028】
これにより、フィルターの成形性を低下させることなく、内視鏡の内部への水分の侵入を好適に防止することができる。
【0029】
(9) 前記乾燥剤は、粉末である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
【0030】
これにより、フィルターの構成材料への混練をより容易かつ確実に行うことができるとともに、構成材料へより均一に混合する(分散させる)ことができる。
【0031】
(10) 前記乾燥剤の平均粒径は、1〜30μmである上記(9)に記載の内視鏡用通気弁。
【0032】
これにより、その比表面積を十分に確保することができ、吸湿能力がより向上する。
【0036】
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の内視鏡用通気弁を備えることを特徴とする内視鏡。
【0037】
本発明の内視鏡は、その内部への水分の侵入が好適に防止され、その結果、内視鏡用可撓管の湾曲抵抗の増大、光ファイバーの損傷、破損等、あるいは、光ファイバーのヤケ等が効果的に防止される。
【0038】
(12) 前記内視鏡用通気弁は、前記内視鏡が備える光源差込部に設けられている上記(11)に記載の内視鏡。
【0039】
これにより、水分が侵入し得る経路を、特に水分との接触を回避させたい内視鏡用可撓管の内部に配設される長尺内蔵物から遠ざけることができるという利点や、内視鏡の操作時には、通気弁が術者の手等にあたって邪魔になるのを防止することができるという利点がある。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡用通気弁および内視鏡を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の内視鏡の実施形態を示す平面図、図2および図3は、それぞれ、図1に示す内視鏡が備える通気弁の縦断面図、図4は、カム溝の展開図、図5は、フィルターの断面図である。なお、以下の説明では、図1〜図4中の上側を「上」または「上端」、下側を「下」または「下端」と言う。
【0041】
図1に示す医療用の内視鏡(ファイバースコープ)10は、可撓性を有する長尺の挿入部可撓管11と、該挿入部可撓管11の先端側に設けられた湾曲部(湾曲管)12と、挿入部可撓管11の基端側に設けられ、術者が把持して内視鏡10全体を操作する操作部13と、該操作部13の基端側に設けられ、被写体の像を直接観察する接眼部14と、光源装置(図示せず)に着脱可能に装着される光源差込部16と、操作部13と光源差込部16とを接続する可撓性を有する長尺の接続部可撓管15と、光源差込部16に設置された通気弁(本発明の内視鏡用通気弁)1とを備えている。
【0042】
挿入部可撓管11と湾曲部12とは、生体の管腔内に挿入する挿入部を構成するものである。挿入部可撓管11および湾曲部12の内部(中空部)には、例えば、光ファイバー、電線ケーブル、ケーブル、またはチューブ類等の長尺内蔵物(図示せず)が配置、挿通されている。
【0043】
これらの長尺内蔵物の外周(周囲)には、潤滑剤(固体潤滑剤)として、例えば二硫化モリブデン、窒化ホウ素、フッ素系樹脂等の粉末が配されている。これにより、挿入部可撓管11が体腔に挿入されて湾曲したときにこれらの長尺内蔵物同士の間に生じる摩擦や押圧力を低減することができ、これらの長尺内蔵物を保護することができる。また、挿入部可撓管11や湾曲部12の湾曲抵抗の増大も防止することができる。
【0044】
挿入部可撓管11と接続部可撓管15とは、それぞれ、中空部を有する(管状の)芯材の外周を外皮で被覆した内視鏡用可撓管で構成されている。内視鏡用可撓管の外皮は、例えば各種ゴム材料や各種樹脂材料等の可撓性を有する材料で構成されている。
【0045】
湾曲部12は、互いに回動自在に連結された複数(多数)の節輪と、該節輪の外周に被覆された網状管と、該網状管の外周に被覆された外皮とで構成されており、湾曲可能になっている。この湾曲部12の外皮(湾曲ゴム)は、例えば各種ゴム材料等の柔軟な弾性材料で構成されている。
【0046】
操作部13には、操作レバー17が設置されている。この操作レバー17を操作すると、挿入部可撓管11内に配設されたワイヤー(図示せず)が牽引されて、湾曲部12が2方向(または4方向)に湾曲し、その湾曲方向および湾曲度合いを遠隔操作することができる。
【0047】
光源差込部16は、ほぼ有底筒状をなすハブ161と、該ハブ161の底部から先端側に延びるように設置された光源用コネクタ162とを有している。内視鏡10の使用時には、この光源用コネクタ162を光源装置(図示せず)の差込穴に差し込むことにより、内視鏡10と光源装置とが光学的に接続される。
【0048】
そして、光源装置に内蔵された光源から発せられた光は、光源用コネクタ162内、ハブ161内、接続部可撓管15内、操作部13内、挿入部可撓管11内および湾曲部12内に連続して配設された光ファイバー束によるライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部12の先端部121より観察部位に照射され、照明する。
【0049】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、湾曲部12内、挿入部可撓管11内および操作部13内に連続して配設された光ファイバー束によるイメージガイド(図示せず)を通り、接眼部14へ伝達される。
【0050】
接眼部14の内部には、接眼レンズ(図示せず)が設置され、イメージガイド内を通って到達した反射光がこの接眼レンズを通して観察される。
【0051】
内視鏡10の各部同士は、例えばパッキンやOリング等のシール部材を用いて気密的(液密的)に接合(連結)されている。
【0052】
光源差込部16には、内視鏡10の内部と外部とを連通し得る通気弁1が設けられている。以下、この通気弁(本発明の内視鏡用通気弁)1について説明する。
【0053】
図2および図3に示すように、通気弁1は、光源差込部16の軸方向と垂直な方向に突出するように設けられている。この通気弁1は、ほぼ円筒状をなす本体部2と、本体部2の内側に設けられた弁体3およびコイルバネ(付勢部材)5とを有している。
【0054】
本体部2は、いずれもほぼ筒状をなす取付部材21と、弁座22と、駆動筒23とで構成されており、その内部には、気体が通過する流路20が連続して形成されている。
【0055】
取付部材21は、その下端部が、光源差込部16のハブ161の外周に形成された孔163に挿入されている。取付部材21は、ハブ161に対して螺合により固定され、着脱自在となっている。
【0056】
また、取付部材21とハブ161との間には、Oリング211が設置され、気密性が確保されている。
【0057】
取付部材21の内側には、外方に向かって突出するように弁座22が設置されている。弁座22は、取付部材21に対して螺合により固定され、着脱自在となっている。この弁座22は、その上端にほぼ円錐面状(すり鉢状)をなす接合面221を有している。
【0058】
また、弁座22の側壁には、軸方向に長い長孔223が側壁を貫通して形成されている。この長孔223には、後述する駆動ピン42が挿通されている。
【0059】
この弁座22と取付部材21との間には、これらと同心的(同軸的)に駆動筒23が設置されている。この駆動筒23は、取付部材21および弁座22に対して周方向に回転可能となっているとともに、取付部材21および弁座22により軸方向への移動が規制されている。
【0060】
なお、駆動筒23と駆動ピン42とにより、通気弁1の閉状態を強制的に解除する解除機構が構成されている。この解除機構の詳細については、後に説明する。
【0061】
また、取付部材21と駆動筒23との間にはOリング212が、駆動筒23と弁座22との間にはOリング222が、それぞれ設置され、気密性が確保されている。
【0062】
弁体3は、弁座22(本体部2)の軸方向へ移動可能に設けられており、ほぼ円錐面台状をなす封止部31と、封止部31から図2および図3中の下方向に延びる軸部32とを有している。
【0063】
封止部31は、接合面221に対応した形状をなす接合面33を有している。換言すれば、弁体3と弁座22(本体部2)との接触面が、それぞれ、ほぼ円錐面状(すり鉢状)をなしている。また、接合面33に形成された凹部(溝)内には、Oリング34が設置されている。このような構成により、簡単な構造で、通気弁1の気密性をより向上させることができる。
【0064】
軸部32は、コイルバネ5の内側に挿入されている。軸部32の図2および図3中の下端部には、バネ受け(バネ座)4が、螺合により着脱自在に固定されている。なお、バネ受け4は、軸部32に対して、例えば嵌合、融着、接着剤による接着等により固定(固着)されていてもよい。
【0065】
バネ受け4は、ほぼ円盤状をなし、その外周部の一部には、空気を通過させる溝(切欠き)41が形成されている。
【0066】
また、バネ受け4の側壁には、駆動ピン42が、例えば螺合により固定されている。この駆動ピン42の頭部は、駆動筒23のカム溝231に挿入され、係合している。
【0067】
コイルバネ5は、圧縮された状態になっており、その上端が弁座22の内側に形成された段差部223に当接し、下端がバネ受け4の上端面に当接している。これにより、コイルバネ5は、バネ受け4を介して弁体3を、弁座22(本体部2)に接触するように(図2および図3中の下方向に)付勢している。
【0068】
このような通気弁1は、後に詳述するように、内視鏡10内の圧力が滅菌槽内の圧力より所定の圧力以上高くなると開き、その内部の空気を滅菌槽内に逃がす(排出する)よう構成されている。以下の説明では、この通気弁1が開くときの、内視鏡10内と滅菌槽内との圧力差を「開弁圧力差」と言う。
【0069】
このコイルバネ5の付勢力(弾性力)は、最適な大きさの開弁圧力差が得られるような付勢力に設定されている。なお、本実施形態では、コイルバネ5を交換することにより、コイルバネ5の付勢力を調整することができる。これにより、例えば内視鏡10の種類等に応じて、通気弁1の開弁圧力差を最適に調整(設定)することができる。
【0070】
さて、このような通気弁1は、内視鏡10内の圧力と滅菌槽内の圧力との関係により、次のように作動する。
【0071】
滅菌槽内の圧力が内視鏡10内より高い場合には、その圧力差およびコイルバネ5の付勢力により、弁体3の接合面33(Oリング34)が弁座22の接合面221に圧接され、流路20を閉塞する。すなわち、通気弁1は、閉状態(図2に示す状態)になる。
【0072】
また、内視鏡10内の圧力が滅菌槽内の圧力より高い場合であって、内視鏡10内と滅菌槽内との圧力差が開弁圧力差より小さい場合には、コイルバネ5の付勢力により、弁体3の接合面33(Oリング34)が弁座22の接合面221に圧接され、通気弁1は、閉状態を保つ。
【0073】
この状態から、内視鏡10内の圧力が滅菌槽内の圧力に対してさらに高くなり、内視鏡10内と滅菌槽内との圧力差が開弁圧力差以上になると、弁体3は、その圧力差によりコイルバネ5の付勢力に抗して、図2および図3中の上方向に移動して、接合面33(Oリング34)が接合面221から離間し、流路20が開放される。すなわち、通気弁1は、開状態(図3に示す状態)になる。
【0074】
通気弁1が開状態になると、内視鏡10内の空気が接合面221と接合面33との間を通って滅菌槽内に逃がされ(排出され)、内視鏡10内の圧力は、低下する。
【0075】
内視鏡10内の圧力が低下して、内視鏡10内と滅菌槽内との圧力差が開弁圧力差より小さくなると、圧力差による力よりもコイルバネ5の付勢力が勝って、弁体3が図2および図3中の下方向に移動し、通気弁1は、再び閉状態になる。
【0076】
このように、内視鏡10の圧力が高くなり、内視鏡10内と滅菌槽内との圧力差が開弁圧力差以上になると、その都度、通気弁1が開いて内部の空気が滅菌槽内に排出され、内視鏡10の圧力が低下する。
【0077】
よって、このような通気弁1の作動により、内視鏡10内と滅菌槽内との圧力差は、開弁圧力差以上に大きくなることが防止される。すなわち、内視鏡10内の圧力は、滅菌槽内の圧力に対し、開弁圧力差以上高くなることが防止される。
【0078】
これにより、内視鏡10内の圧力が滅菌槽内の圧力に対して過大になるのが防止され、例えばこの開弁圧力差は、50〜300mmHgであるのが好ましく、150〜250mmHgであるのがより好ましく、例えば200mmHg程度とすることができる。
【0079】
ところで、内視鏡10の滅菌処理終了後、内視鏡10を滅菌槽から取り出すと、内視鏡10内は、通気弁1の作用により減圧状態が維持されている。このため、内視鏡10内と大気圧との圧力差により、特に湾曲部12の柔軟な外皮が変形して芯材に食い込んでしまい、その結果、湾曲部12を湾曲させる湾曲操作が困難となるおそれがある。そこで、通気弁1には、その閉状態を強制的に解除する解除機構が設けられている。
【0080】
この解除機構は、前述したように、駆動筒23と駆動ピン42とで構成されている。以下、解除機構について、図2〜図4を参照しつつ説明する。
【0081】
駆動筒23の側壁には、図4に示すように、その周方向に沿ってカム溝231が形成され、このカム溝231には、駆動ピン42の頭部が係合している。
【0082】
カム溝231は、駆動ピン42を案内するガイド面232を有しており、このガイド面232は、そのほぼ中央部が上方に向かって突出する山形状となっている。
【0083】
また、図4に示すように、駆動ピン42は、長孔223内では、弁体3の軸方向にのみ移動可能となっている。すなわち、駆動ピン42は、長孔223により、弁体3の周方向への移動が規制されている。
【0084】
このような構成により、駆動筒23を弁体3の周方向へ回転させると、駆動ピン42は、ガイド面232により案内され、上下方向(軸方向)へ移動する。駆動ピン42がカム溝231の周方向のほぼ中央部(ガイド面232の頂部付近)に到達すると、これに伴って、弁体3は、図3に示すように、コイルバネ5の付勢力(弾性力)に抗して上方に持ち上げられて、通気弁1は、開状態となる。これにより、内視鏡10の外部から内部へ空気(気体)が流入し、内視鏡10の内部は、大気圧に戻る。
【0085】
なお、この駆動筒23を弁体3の周方向へ回転させる操作は、直接、駆動筒23を手等で把持して行ってもよいし、駆動筒23を回転操作可能なアダプタを、通気弁1に装着して行うようにしてもよい。
【0086】
さて、前述したように、通気弁1を構成する各部材21〜23、3の間は、Oリング212、222、34により気密性が保持され、また、通気弁1とハブ161との間は、Oリング211により気密性が保持されている。このため、内視鏡10の内部は、通気弁1が閉状態のとき、比較的高い気密性が保持されている。
【0087】
しかしながら、例えばオートクレーブ滅菌により内視鏡10を滅菌する際に、滅菌槽内に導入される水蒸気は、高温高圧のものであり、さらに、かかる滅菌処理は、繰り返し施されることから、水蒸気が、流路20を介して内視鏡10の内部に徐々に侵入し、貯留してしまうことがある。この場合、前述したような潤滑剤(固体潤滑剤)が、水分を吸収(吸湿)・固化して、本来の減摩効果が損なわれる。また、このような現象は、内視鏡10を、高湿熱帯地域で使用する場合に、特に顕著に現れる。
【0088】
そこで、本発明では、通気弁1の流路20の途中に、後述する乾燥剤7を含有する複数のフィルター(本実施形態では、2枚のフィルター6a、6b)を設置した。
【0089】
これにより、例えばオートクレーブ滅菌の際に、例え水蒸気が、流路20を介して侵入した場合であっても、この水蒸気は、フィルター6a、6bを通過するので、その際、乾燥剤7に接触して効率よく除去(除湿)される。すなわち、内視鏡10の内部に水蒸気(水分)が侵入するのを防止することができる。
【0090】
その結果、前述したような不都合、すなわち、潤滑剤(固体潤滑剤)が、水分を吸収(吸湿)・固化して、本来の減摩効果が損なわれてしまうことが防止され、挿入部可撓管11や湾曲部12の湾曲抵抗の増大、これに伴う光ファイバーの損傷、破損等、あるいは、光ファイバーのヤケ等が効果的に防止される。
【0091】
また、図2および図3に示すように、フィルター6aは、取付部材21と弁座22とにより、フィルター6bは、取付部材21とハブ161とにより固定され、これらは互いに離間して配置されている。その結果、より確実に内視鏡10の内部への水分の侵入を防止することができる。
【0092】
さらに、光源差込部16に通気弁1を設けることにより、水分が侵入し得る経路を、特に水分との接触を回避させたい挿入部可撓管11や湾曲部12内に配設される長尺内蔵物から遠ざけることができるという利点や、内視鏡10の操作時には、通気弁1が術者の手等にあたって邪魔になるのを防止することができるという利点がある。
【0093】
このようなフィルター6a、6bの構成は、同様であるので、以下では、フィルター6aを代表して説明する。
【0094】
図5に示すように、フィルター6aは、乾燥剤7を含有する吸湿層61と、吸湿層61の両面側にそれぞれ設置され、気体を透過させ液体を遮断する撥水層62とを備えている。すなわち、フィルター6aは、撥水層62、吸湿層61、撥水層62の3層がこの順に積層された構成になっている。
【0095】
吸湿層61は、乾燥剤7が、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等の各種樹脂材料のようなバインダー(吸湿層61の構成材料)により固定されて構成されている。
【0096】
吸湿層61の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.05〜5mm程度、好ましくは0.1〜1mm程度とされる。
【0097】
ここで、乾燥剤7は、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とするものである。かかる吸湿物質は、水分子をその分子構造内に非可逆的に取り込むため、単に水分子を吸着により保持する物質(例えば、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト等)と比べて、吸水量(吸湿量)が多く、すなわち、優れた吸湿能力(除湿効果)を有し、さらに、使用環境の変化(例えば温度変化等)によっても放湿し難い。このため、かかる吸湿物質を主成分とする乾燥剤7を用いることにより、内視鏡10に、前述したような滅菌処理を繰り返し施した場合(高湿度の環境下に曝した)場合でも、内視鏡10の内部への水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0098】
かかる吸湿物質としては、特に限定されないが、例えば、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、吸湿物質としては、硫酸マグネシウムを用いるのが好適である。
【0099】
硫酸マグネシウムは、次のような▲1▼〜▲4▼の利点を有する。
すなわち、▲1▼:吸湿能力(例えば、水分子の取り込み量や、取り込み速度等)に優れる。▲2▼:各種樹脂材料への分散性が良好であるため、吸湿層61(フィルター6a)の構成材料中への混合を容易に行うことができる。▲3▼:吸湿によって腐食性・潮解性等を示さないので、吸湿層61(フィルター6a)に形状変化を生じさせることがない。▲4▼:破砕が生じ難く、ダストの発生が極めて少ない。
【0100】
また、硫酸マグネシウムは、MgSO・nHO(ただし、0≦n≦3)で表されるものが好ましい。すなわち、硫酸マグネシウムは、無水物、1水和物、2水和物、3水和物のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの硫酸マグネシウムは、特に吸湿能力に優れている。なお、硫酸マグネシウムとして、3水和物を超える水和物のものを用いると、乾燥剤7と吸湿層61(フィルター6a)の構成材料(以下、単に「材料」と言う。)とを混練(混合)する際に、その混練時の温度等によっては、硫酸マグネシウムから水分子(結晶水)が放出され、材料への混練が困難となる場合がある。
【0101】
なお、乾燥剤7は、前記吸湿物質を主成分(例えば70wt%以上)とするものであればよく、他の乾燥剤として使用される物質(例えば、シリカゲル等)を含むものであってもよい。
【0102】
乾燥剤7の形状は、いかなるものであってもよいが、粉末であるのが好ましい。粉末の乾燥剤7を用いることにより、乾燥剤7の材料への混練をより容易かつ確実に行うことができるとともに、材料へより均一に混合する(分散させる)ことができる。
【0103】
また、乾燥剤7が粉末である場合、その平均粒径は、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、2〜20μm程度であるのがより好ましい。平均粒径が前記範囲の乾燥剤は、その比表面積を十分に確保することができ、吸湿能力がより向上する。
【0104】
乾燥剤7の含有量は、特に限定されないが、1〜40wt%程度であるのが好ましく、1〜25wt%程度であるのがより好ましい。乾燥剤7の含有量が少なすぎると、内視鏡10の滅菌処理の条件等によっては、その内部への水分の侵入を好適に防止することができない場合があり、一方、乾燥剤7の含有量が多すぎると、材料の種類等によっては、その溶融粘度が低下して、吸湿層61(フィルター6a)の成形が困難になる場合がある。
【0105】
このような吸湿層61の両面側にそれぞれ撥水層62が設けられている。撥水層62は、フッ素系樹脂で構成された多孔質体(多孔質膜)であり、高い気体透過性および撥水性を有しており、気体は透過させるが、液体は遮断する。この撥水層62は、フッ素系樹脂の繊維の集合体(例えば織布、不織布)で構成されているのが好ましい。これにより、より高い気体透過性および撥水性を有する撥水層62が得られる。
【0106】
このような撥水層62を設けることにより、仮に、通気弁1の開口縁部に付着した液滴(水滴)が、通気弁1が開状態となった際に、流路20内に侵入し、フィルター6aの外側に液体(水)が接触した場合でも、吸湿層61が液体(水)を吸って膨潤したり、乾燥剤7の吸湿能力(除湿効果)が低下したりするのを防止することができる。
【0107】
撥水層62を構成するフッ素系樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP樹脂)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA樹脂)、四フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE樹脂)、ビニリデンフルオライド樹脂(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)、ビニルフルオライド樹脂(PVF樹脂)、クロロトリフルオロエチレン樹脂(CTFE樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン樹脂(ECTFE樹脂)が挙げられる。
【0108】
撥水層62の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01〜0.3mm程度、好ましくは0.05〜0.15mm程度とされる。
【0109】
また、吸湿層61と撥水層62とは、互いに結合していなくてもよく、別個のものが単に重ねられているような構成でもよい。
【0110】
なお、このような撥水層62は、吸湿層61の少なくとも片面側、特に外面側(図2および図3中の上面側)に設けられていればよく、必要に応じて、省略することもできる。この場合、フィルター6aは、その全体が吸湿層61で構成されることになる。
【0111】
また、本実施形態では、取付部材21がハブ161に対して、弁座22が取付部材21に対して、それぞれ、螺合により固定されており、これらは、着脱自在となっている。これにより、フィルター6a、6bは、取替え可能となっている。
【0112】
また、このようなフィルター6a、6b(吸湿層61)は、例えば塩化コバルトのような水分に感応して変色する化合物(図示せず)を含有し、乾燥剤7の吸湿に伴って色が変化し得るよう構成されているのが好ましい。すなわち、各フィルター6a、6bは、インジケータ機能を有しているのが好ましい。
【0113】
各フィルター6a、6bをこのような構成とすることにより、例えば内視鏡10のメンテナンスの際に、フィルター6a、6bの変色により、フィルター6a、6b(乾燥剤7)の吸湿の程度を目視により確認することができる。このとき、フィルター6a、6bの変色度合いにより、フィルター6a、6bの取替え時期を判断して、乾燥剤7が吸湿能力の限界を超えている場合には、フィルター6a、6bを取り替えるようにすることができ、便利である。また、フィルター6a、6bが取り替え可能であることにより、通気弁1(内視鏡10)を構成する各部を繰り返し使用することができ、通気弁1(内視鏡10)にかかるコストの低減を図ることもできる。
【0114】
なお、図示の構成では、2枚のフィルター6a、6bが設置されたものであるが、フィルターの設置数は、1枚のみであってもよく、または3枚以上であってもよい。
【0115】
以上、本発明の内視鏡用通気弁および内視鏡を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、内視鏡用通気弁および内視鏡を構成する各部材(各部)は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0116】
また、フィルターは、気体が通過する流路の途中であれば、内視鏡用通気弁のいかなる個所に設置されていてもよい。
【0117】
また、フィルターの形状(形態)は、板状(膜状)のものに限らず、例えば円柱状、直方体状の多孔質体のものや、容器内に乾燥剤を充填したようなものなどであってもよい。
【0118】
なお、本発明の内視鏡は、前記実施形態のようなファイバー内視鏡に限らず、電子内視鏡等の各種の内視鏡に適用することができ、さらに、医療用内視鏡に限らず、工業用(産業用)内視鏡にも適用することができる。
【0119】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
まず、乾燥剤として、MgSO・2HOで構成された粉末(平均粒径5μm)を用意した。
【0120】
次に、この乾燥剤にポリエチレンを加え、加熱・圧縮して成形し、シート状の吸湿層(厚さ0.5mm)を得、この吸湿層の両面側に、それぞれ、厚さ0.08mmのPTFE製多孔質膜(ADVANTEC社製、メンブランフィルター)よりなる撥水層を積層してフィルターを2枚(フィルター6a、6b)作製した。
【0121】
なお、各フィルター(吸湿層)における乾燥剤の含有量は、それぞれ、1wt%とした。
【0122】
また、ポリエチレン中には、ポリエチレン100重量部に対して1重量部となるように、無水塩化コバルトを混合した。
【0123】
これらのフィルターを用いて、図2に示すような内視鏡用通気弁を作製し、図1に示すような内視鏡を製造した。
【0124】
(実施例2、3)
各フィルターの乾燥剤の含有量を、それぞれ、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0125】
(実施例4〜18)
各フィルターに用いる乾燥剤の種類を、それぞれ、表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0126】
(実施例19)
乾燥剤を含有しないフィルター6bを用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0127】
(実施例20)
フィルター6bを省略したこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0128】
(実施例21)
乾燥剤を含有しないフィルター6aを用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0129】
(実施例22)
撥水層を有さないフィルター6b、および、乾燥剤を含有しないフィルター6aを用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0130】
(比較例1〜3)
各フィルターに用いる乾燥剤の種類を、それぞれ、表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0131】
(比較例4)
いずれも乾燥剤を含有しないフィルターを用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用通気弁を作製し、内視鏡を製造した。
【0132】
[評価]
各実施例および各比較例で製造した内視鏡に対して、それぞれ、以下のような評価を行った。
【0133】
各内視鏡を、それぞれ、オートクレーブ滅菌用の滅菌槽内に収納し、滅菌槽内を100Torrまで減圧した後、水蒸気を導入した。
【0134】
この水蒸気は、圧力1520Torr、温度132℃とし、導入時間(滅菌処理時間)を5分間とした。このオートクレーブ滅菌による滅菌処理を500回繰り返し行った。
【0135】
そして、各内視鏡について、それぞれ、アングル力量(湾曲部を湾曲させる湾曲操作にかかる負荷)の変化を確認し、その変化を、以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:滅菌処理500回後も、アングル力量に変化なし
○:滅菌処理500回後に、若干のアングル力量の増大あり
△:滅菌処理400回程度から、アングル力量の増大あり
×:滅菌処理300回程度から、アングル力量の増大あり
この結果を表1に示す。
【0136】
【表1】
Figure 0004338368
【0137】
表1に示すように、実施例1〜22の内視鏡(本発明の内視鏡)は、いずれもアングル力量の増加が防止され、繰り返し施される滅菌処理に耐え得るものであった。
【0138】
また、実施例1〜22の内視鏡を分解して、潤滑剤の状態を確認した結果、吸湿により固化した潤滑剤は、確認されなかった。さらに、光ファイバーの中に、折れやヤケが生じているものも確認されなかった。
【0139】
また、実施例1〜22の内視鏡を分解して、各フィルターの色を確認したところ、変色が確認され、乾燥剤による吸湿も良好に行われていることが確認された。
【0140】
これに対し、比較例1〜4の内視鏡は、いずれも滅菌処理を繰り返すことにより、早い段階でアングル力量が増大し、湾曲部の湾曲操作を円滑に行うことができないようになった。
【0141】
また、比較例1〜4の内視鏡を分解して、潤滑剤の状態を確認した結果、潤滑剤は、吸湿により固化していた。さらに、光ファイバーの中に、折れやヤケが生じているものが多数確認された。
【0142】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、例えばオートクレーブ滅菌に際して、高湿度の環境下に曝された場合でも、乾燥剤の除湿効果により、内視鏡の通気弁から内部へ水分が侵入するのを有効に防止することができる。その結果、内視鏡の内部に配された潤滑剤の吸湿、固化を防止することができ、よって、内視鏡に、例えば湾曲抵抗の増大、損傷、破損等が生じるのを防止することができる。
【0143】
また、乾燥剤として、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質、特に、硫酸マグネシウムを主成分とするものを用いることにより、前記効果がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す内視鏡が備える通気弁の縦断面図(閉状態を示す)である。
【図3】図1に示す内視鏡が備える通気弁の縦断面図(開状態を示す)である。
【図4】カム溝の展開図である。
【図5】フィルターの断面図である。
【符号の説明】
1 通気弁
2 本体部
20 流路
21 取付部材
211 Oリング
212 Oリング
22 弁座
221 接合面
222 Oリング
223 長孔
223 段差部
23 駆動筒
231 カム溝
232 ガイド面
3 弁体
31 封止部
32 軸部
33 接合面
34 Oリング
4 バネ受け
41 溝
42 駆動ピン
5 コイルバネ
6a、6b フィルター
61 吸湿層
62 撥水層
7 乾燥剤
10 内視鏡
11 挿入部可撓管
12 湾曲部
121 先端部
13 操作部
14 接眼部
15 接続部可撓管
16 光源差込部
161 ハブ
162 光源用コネクタ
163 孔
17 操作レバー

Claims (12)

  1. 内視鏡に設けられ、該内視鏡の内外の圧力差により開閉する内視鏡用通気弁であって、
    内部に気体が通過する流路を有する本体部と、
    前記本体部の軸方向に移動可能に設けられ、前記流路を開閉可能な弁体と、
    前記流路の途中に互いに離間して設けられた2つのフィルターとを有し、
    前記フィルターは、その少なくとも一部に、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とする乾燥剤を樹脂材料に分散させて層状に構成した吸湿層と、該吸湿層の少なくとも片面側に設けられ、気体を透過させ液体を遮断する撥水層とを備え、
    前記吸湿物質は、MgSO・nHO(ただし、0≦n≦3)で表される硫酸マグネシウムであり、
    前記本体部は、前記内視鏡に設けられたハブに着脱自在に固定される筒状の取付部材と、該取付部材の内側に着脱自在に固定される筒状の弁座とを備え、
    前記2つのフィルターは、一方のフィルターが前記ハブと前記取付部材とにより固定され、他方のフィルターが前記弁座と前記取付部材とにより固定され、前記各フィルターが取替え可能であることを特徴とする内視鏡用通気弁。
  2. 前記フィルターは、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている請求項1に記載の内視鏡用通気弁。
  3. 前記撥水層は、フッ素系樹脂で構成された多孔質体である請求項1または2に記載の内視鏡用通気弁。
  4. 前記多孔質体は、フッ素系樹脂の繊維の集合体である請求項に記載の内視鏡用通気弁。
  5. 前記弁体を、前記本体部に接触するよう付勢する付勢部材を有する請求項1ないしのいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
  6. 前記弁体と前記本体部との接触面は、それぞれ、ほぼ円錐面状をなしている請求項1ないしのいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
  7. 前記内視鏡の滅菌処理に際し、前記内視鏡を滅菌槽内に収納して、該滅菌槽内を減圧状態としたとき、
    前記通気弁が開いて、前記内視鏡内の圧力が前記滅菌槽内の圧力に対して過大になるのを防止する請求項1ないしのいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
  8. 前記乾燥剤の含有量は、1〜40wt%である請求項1ないしのいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
  9. 前記乾燥剤は、粉末である請求項1ないしのいずれかに記載の内視鏡用通気弁。
  10. 前記乾燥剤の平均粒径は、1〜30μmである請求項に記載の内視鏡用通気弁。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の内視鏡用通気弁を備えることを特徴とする内視鏡。
  12. 前記内視鏡用通気弁は、前記内視鏡が備える光源差込部に設けられている請求項11に記載の内視鏡。
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