JP3951256B2 - 塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被塗物に、ソリッドカラー塗料又はメタリック塗料である着色塗料を塗装し、その未硬化塗面にクリヤー塗料を塗装し、次いでこれら両塗膜を加熱硬化する、いわゆる2コート1ベイク(以下、「2C1B」という)方式により、複層塗膜を形成することは、自動車外板、電化製品等の上塗り塗装方式として広く採用されている。また、この着色塗料として、水酸基含有ポリエステル樹脂、架橋剤及び着色顔料を主成分とする熱硬化性塗料が多く使用されている。従来、該水酸基含有ポリエステル樹脂への水酸基の導入は、多価アルコール成分の一部としてトリメチロールエタンやトリメチロールプロパン等の3価以上の多価アルコールを併用することにより行われている。
【0003】
しかしながら、かかる水酸基含有ポリエステル樹脂を使用してなる着色塗料は、噴霧塗装時の微粒化が十分でないために塗膜の平滑性が劣り、しかも、その未硬化塗面にクリヤー塗料を塗装してから加熱すると、両塗膜が混層してモドリ現象が起こりやすく、又得られた複層塗膜の耐チッピング性も十分でないという欠陥を有している。このようなモドリ現象は、特に、クリヤー塗料として、カルボキシル基含有樹脂及びエポキシ基含有化合物を含有する塗料であるいわゆる「酸−エポキシ型塗料」を用いた2C1B方式の塗装系において顕著に現れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着色塗料及びクリヤー塗料を2C1B方式で塗装して、仕上り外観、平滑性、耐チッピング性等に優れた複層塗膜を形成できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、水酸基含有ポリエステル樹脂を含有する熱硬化性着色塗料及びクリヤー塗料を2C1B方式で塗装して複層塗膜を形成する場合における上記従来技術の欠陥を解消するべく、鋭意研究した。その結果、着色塗料で使用する水酸基含有ポリエステル樹脂を調製するための原料の多価アルコール成分の少なくとも一部に、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを用いることにより、該着色塗料の噴霧塗装時の微粒化が十分であり、塗膜の平滑性に優れ、モドリ現象が起こらず、又得られた複層塗膜の耐チッピング性も十分となることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、被塗物に、着色塗料及びクリヤー塗料を2C1B方式で塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該着色塗料は基体樹脂、架橋剤及び着色顔料を含有し、その基体樹脂が、原料の多価アルコール成分の一部又は全部がトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである水酸基含有ポリエステル樹脂であることを特徴とする塗膜形成方法に係る。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法を更に詳細に説明する。
【0008】
本発明方法における被塗物としては、自動車外板、電化製品等の金属製又はプラスチック製の被塗物を挙げることができる。該被塗物は、必要に応じて、化成処理又は洗浄処理して用いられる。また、該被塗物にカチオン電着塗料等の下塗り塗料を塗装したもの、該被塗物に下塗り塗料及び中塗り塗料を塗装したものを、好適に使用することができる。
【0009】
本発明における着色塗料は、クリヤー塗料に先立って被塗面に塗装する塗料であり、基体樹脂である水酸基含有ポリエステル樹脂、架橋剤及び着色顔料を主成分とし、これらを通常有機溶剤に混合してなる熱硬化性液状塗料である。また、該ポリエステル樹脂として、それを調製するための多価アルコール成分の少なくとも一部としてトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを用いてなることを必須要件とする。
【0010】
即ち、上記着色塗料の基体樹脂として使用する水酸基含有ポリエステル樹脂は、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを含有する多価アルコール成分と、多塩基酸成分とのエステル化反応により調製される。
【0011】
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートは、それ自体既知の化合物である。また、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの3個の水酸基の一部又は全部にラクトンを付加反応したものも包含される。トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとしては、市販品として、日産化学工業(株)製の「タナック」(商品名)を挙げることができる。
【0012】
該ポリエステル樹脂の調製に使用する多価アルコール成分は、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのみで構成されているか、又はトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとその他の多価アルコールとが併存していても差し支えない。
【0013】
その他の多価アルコールとしては、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等があげられる。
【0014】
多価アルコール成分において、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとその他の多価アルコールの両成分の構成比率は、目的に応じて任意に選択でき、例えば該両成分の合計水酸基モル量を基準に、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートは1〜100モル%、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%、その他の多価アルコールは99〜0モル%、好ましくは95〜30モル%、より好ましくは90〜50モル%の範囲内が適している。
【0015】
該ポリエステル樹脂の調製において、該多価アルコール成分と反応せしめる多塩基酸成分は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、これらの無水物等があげられる。
【0016】
水酸基含有ポリエステル樹脂は、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを含有する多価アルコール成分と多塩基酸成分とをエステル化反応せしめることにより得られる。具体的には、これらの成分を有機溶剤の存在下又は不存在化で100〜200℃の温度で1〜24時間反応させることにより得られる。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル系溶剤;イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤等があげられる。
【0017】
かくして調製される水酸基含有ポリエステル樹脂としては、水酸基価が30〜300mgKOH/g、特に60〜250mgKOH/g、酸価が0〜30mgKOH/g、特に2〜10mgKOH/g、数平均分子量が500〜20,000、特に1,000〜8,000の範囲内が好ましい。
【0018】
着色塗料における架橋剤としては、加熱により上記ポリエステル樹脂と反応して架橋硬化した着色塗膜を形成し得るメラミン樹脂等があげられる。
【0019】
メラミン樹脂としては、例えば、メチロール化メラミンのメチロール基の一部を炭素数1〜8の1価アルコールでエーテル化してなる部分エーテル化メラミン、又はメチロール基の全部をエーテル化してなるフルエーテル化メラミン樹脂等があげられ、これらはトリアジン核を基準に1〜5核体で、その数平均分子量が300〜2,000のものが好ましい。また、メチロール基及び/又はイミノ基が残存するメラミン樹脂であっても差し支えない。
【0020】
着色塗料におけるポリエステル樹脂と架橋剤との配合比率は、目的に応じて任意に選択できるが、例えば該両成分の合計固形分重量を基準に、ポリエステル樹脂は50〜90重量%、特に65〜80重量%、架橋剤は50〜10重量%、特に35〜20重量%の範囲内が好ましい。
【0021】
着色塗料において、ポリエステル樹脂及び架橋剤と共に配合する着色顔料として、ソリッドカラー顔料、金属感又は干渉色を示すメタリック顔料等が包含される。
【0022】
ソリッドカラー用顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等の有機顔料;等が、メタリック顔料としてりん片状のアルミニウム、雲母、金属酸化物で表面被覆した雲母、雲母状酸化鉄;等が包含される。
【0023】
本発明方法で使用する着色塗料は、上記のポリエステル樹脂、架橋剤及び着色顔料を有機溶剤に溶解又は分散せしめることにより調製できる。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル系溶剤;イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;等があげられる。
【0024】
本発明においては、着色塗料の基体樹脂として、上記ポリエステル樹脂に、更に水酸基含有アクリル樹脂を併用することも可能である。
【0025】
水酸基含有アクリル樹脂としては、アクリル酸アルキルエステル系単量体及び水酸基含有単量体に、必要に応じてアルコキシエステル系単量体、アミノアクリル系単量体、アクリルアミド系単量体、カルボキシル基含有単量体、グリシジル基含有単量体、その他の単量体等を用いて、常法により重合してなる樹脂が使用できる。
【0026】
アクリル酸アルキルエステル系単量体は、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜22の1価アルコールとのモノエステル化物であり、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等があげられる。水酸基含有単量体は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜20のグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物等があげられる。
【0027】
更に、アルコキシエステル系単量体は(メタ)アクリル酸と炭素数2〜18のアルコキシエステルであり、例えば、メトキシブチルアクリレート、メトキシブチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート等が、アミノアクリル系単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等が、アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド等が、カルボキシル基含有単量体は1分子中に重合性不飽和結合を1個以上有しかつ上記以外の化合物であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸等及びこれらの無水物やハーフエステル化物等のジカルボン酸又はその変性物等が、グリシジル基含有単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が、その他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル等が、それぞれあげられる。
【0028】
かかる水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基価が20〜200mgKOH/g、特に40〜150mgKOH/g、酸価が0〜80mgKOH/g、特に4〜40mgKOH/g、数平均分子量が2,000〜100,000、特に4,000〜60,000の範囲内が好ましい。
【0029】
該アクリル樹脂の使用量は、ポリエステル樹脂との合計固形分重量を基準に0〜70重量%、特に10〜60重量%の範囲内が適している。
【0030】
本発明方法において使用するクリヤー塗料としては、それ自体既知の塗料があげられ、例えば、基体樹脂、架橋剤及び有機溶剤を主成分とする熱硬化性塗料が適している。
【0031】
基体樹脂としては、例えば架橋性官能基(例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシラン基等)を有するアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。また、基体樹脂を架橋硬化させるための架橋剤としては、例えばアルキルエーテル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物等から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。基体樹脂と架橋剤成分の使用量は、該両成分の合計重量を基準に基体樹脂は50〜90重量%、架橋剤は50〜10重量%の比率であることが好ましい。これらの内、基体樹脂のカルボキシル基含有樹脂と架橋剤のエポキシ基含有化合物を用いて、「酸−エポキシ型塗料」とするのが好ましい。
【0032】
有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル系溶剤;イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;等があげられる。
【0033】
また、このクリヤー塗料には、該クリヤー塗膜の透明性が阻害されない程度に前記着色顔料等を配合することも可能である。
【0034】
本発明方法は、例えば、自動車外板等の金属製又はプラスチック製の被塗物に、直接又はカチオン電着塗料等の下塗り塗料若しくは下塗り塗料及び中塗り塗料を塗装し、硬化させた後、前記着色塗料を塗装し、必要により室温で1〜20分放置してから、未硬化の該着色塗料塗面にクリヤー塗料を塗装し、必要により室温で1〜20分放置してから、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して該両塗膜を同時に架橋硬化させることにより、実施される。
【0035】
本発明方法において、着色塗料は、塗装時の粘度を12〜20秒(フォードカップ#4/20℃)、固形分含有率を15〜50重量%に調整し、エアレススプレー、エアスプレー、静電塗装等の方法で、膜厚が硬化塗膜で約10〜50μmになるように、被塗物に塗装することが好ましい。
【0036】
また、クリヤー塗料は、塗装時の粘度を15〜40秒(フォードカップ#4/20℃)、固形分含有率を30〜65重量%に調整し、エアレススプレー、エアスプレー、静電塗装等で膜厚が硬化塗膜で約20〜80μmになるように、未硬化の着色塗面に塗装することが好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を掲げて本発明をより一層具体的に説明する。尚、特に断らない限り「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0038】
製造例1 被塗物の調製
大きさ150×100×0.8mmでりん酸塩で化成処理した鋼板に、ポリアミン変性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料を電着塗装、加熱硬化し、次いでポリエステル樹脂・メラミン樹脂系中塗り塗料を塗装し、加熱硬化して、被塗物とした。
【0039】
製造例2 着色塗料用水酸基含有ポリエステル樹脂の調製
(A−1):実施例用
ヘキサヒドロ無水フタル酸0.7モル、1,6−ヘキサンジオール0.727モル及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート0.273モルを、エステル化触媒のジブチル錫オキサイド(0.025phr)の存在下で230℃に加熱し、1時間保った後、キシレンを加え、同温度で約6時間水を留去しながら還流させて、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−1)を得た。このポリエステル樹脂は、水酸基価が194mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、数平均分子量が1,000であった。
【0040】
(A−2):実施例用
ヘキサヒドロ無水フタル酸0.875モル、1,6−ヘキサンジオール0.727モル及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート0.273モルを、エステル化触媒のジブチル錫オキサイド(0.025phr)の存在下で230℃に加熱し、1時間保った後、キシレンを加え、同温度で約6時間水を留去しながら還流させて、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)を得た。このポリエステル樹脂は、水酸基価が106mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、数平均分子量が1,500であった。
【0041】
(A−3):比較例用
ヘキサヒドロ無水フタル酸0.7モル、1,6−ヘキサンジオール0.727モル及びトリメチロールプロパン0.273モルを、エステル化触媒のジブチル錫オキサイド(0.025phr)の存在下で230℃に加熱し、1時間保った後、キシレンを加え、同温度で約6時間水を留去しながら還流させて、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−3)を得た。このポリエステル樹脂は、水酸基価が224mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、数平均分子量が1,300であった。
【0042】
(A−4):比較例用
ヘキサヒドロ無水フタル酸0.875モル、1,6−ヘキサンジオール0.727モル及びトリメチロールプロパン0.273モルを、エステル化触媒のジブチル錫オキサイド(0.025phr)の存在下で230℃に加熱し、1時間保った後、キシレンを加え、同温度で約6時間水を留去しながら還流させて、水酸基含有ポリエステル樹脂(A−4)を得た。該ポリエステル樹脂は、水酸基価が74mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、数平均分子量が2,000であった。
【0043】
製造例3 着色塗料用水酸基含有アクリル樹脂の調製
メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=52/32/15/1(重量比)であるモノマー混合物を用い、常法通り共重合して、水酸基含有アクリル樹脂(B−1)を得た。このアクリル樹脂は、水酸基価が65mgKOH/g、酸価が7.8mgKOH/g、数平均分子量が約32,000であった。
【0044】
製造例4 着色塗料の調製
表1に記載の成分及び配合量(固形分量、部)に基いて各成分を混合し、溶剤(キシレン)で粘度13秒(フォードカップ#4/20℃)に調整して、着色塗料a、b、c及びdを得た。
【0045】
【表1】
【0046】
表1において、「ユーバン28−60」(三井東圧(株)製、商品名)は、架橋剤のn−ブチルエーテル化メラミン樹脂(トリアジン核を基準に1〜3核体、数平均分子量1,800)である。また、「アルミペースト7679NS」(東洋アルミニウム(株)製、商品名)は、メタリック顔料のりん片状アルミニウムである。
【0047】
製造例5 クリヤー塗料の調製
「マジクロンKINO#1001T2」(関西ペイント(株)製、商品名、カルボキシル基含有アクリル樹脂及びエポキシ基含有化合物を含有する「酸−エポキシ型塗料」)を、「ソルベッソ#100」(エッソ石油(株)製、商品名、芳香族炭化水素系溶剤)で粘度22秒(フォードカップ#4/20℃)に調整して、クリヤー塗料eを得た。
【0048】
実施例1〜2及び比較例1〜2
製造例1で得た被塗物に、着色塗料を膜厚が硬化塗膜で15〜20μmになるようにスプレー塗装し、室温で5分放置してから、該塗面にクリヤー塗料を膜厚が硬化塗膜で45〜50μmになるようにスプレー塗装し、室温で5分放置してから、140℃で30分加熱して該両塗膜を同時に硬化せしめた。
【0049】
次に、これらの塗装工程により得られた複層塗膜の性能試験を、下記方法により、調べた。
【0050】
試験方法
仕上り外観:塗膜を、目視により、次の基準に基づいて評価した。○は平滑性、ツヤ感じが良好で外観に優れることを、△は平滑性、ツヤ感じがやや不良で外観に劣ることを、×は平滑性、ツヤ感じが不良で外観が非常に劣ることを、それぞれ示す。
【0051】
モドリ現象:「アルコープLMR200」(関西ペイント(株)製、商品名、レーザー式メタリック測定器)により、測定して得たIV値で表した。この値が高い程、耐モドリ性が良好であることを示す。
【0052】
耐チッピング性:「グラベロメータ」(Qパネル社製、商品名、飛石試験機)を使用し、7号砕石500gを塗面に対して45°の角度で、−20℃において、エアー圧0.3Mpaで吹き付けて塗膜に衝撃を与える。ついで、その塗面に粘着セロハンテープを貼付し、それを急激に剥離した後の、衝撃による塗膜の剥離状態を調べ、次の基準で評価した。○は塗膜剥離が殆ど認められず、耐チッピング性が優れることを、△は塗膜剥離が少し認められ、耐チッピング性が劣ることを、×は塗膜剥離が多く認められ、耐チッピング性が非常に劣ることを、それぞれ示す。
【0053】
下記表2に、使用塗料及び塗膜性能の試験結果を示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
(1)本発明方法で使用する着色塗料は噴霧塗装時の微粒化が改良されており、塗膜の平滑性を向上させることができた。
【0056】
(2)該着色塗料塗膜を硬化させることなしに該塗面にクリヤー塗料を塗装してから加熱して同時に硬化させても、該両塗膜の混層が全く認められず、モドリ現象が解消され仕上がり外観が向上した。
【0057】
(3)本発明方法により得られた複層塗膜の耐チッピング性が改善された。
【0058】
(4)クリヤー塗料として「酸−エポキシ型塗料」を用いた塗装系においても、塗膜の平滑性が優れ、モドリ現象が解消され、しかも耐チッピング性も良好であった。
【0059】
(5)本発明で使用する着色塗料において、水酸基含有ポリエステル樹脂は水酸基含有アクリル樹脂との相溶性が優れているので、両樹脂の特性を十分に発揮せしめることができる。
Claims (2)
- 被塗物に、着色塗料及びクリヤー塗料を2コート1ベイク方式で塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該着色塗料は基体樹脂、架橋剤及び着色顔料を含有し、その基体樹脂が、原料の多価アルコール成分の一部又は全部がトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである水酸基含有ポリエステル樹脂であり、且つ、クリヤー塗料が、カルボキシル基含有樹脂及びエポキシ基含有化合物を含有する塗料であることを特徴とする塗膜形成方法。
- 着色塗料が、基体樹脂として、上記水酸基含有ポリエステル樹脂に水酸基含有アクリル樹脂を併用する請求項1に記載の塗膜形成方法。
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