JP4332836B2 - セラミックハニカムフィルタ及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックハニカムフィルタ及びその製造方法並びに製造装置に係わり、詳しくはディーゼル機関が排出する排気ガス中のPM(Particulate Matter=微粒子物質)やNOx(窒素酸化物)などの環境汚染物質を浄化するフィルタとして使用されるセラミックハニカムフィルタと、そのセラミックハニカムフィルタを製造するに好適な製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球環境を保全するため全世界的に自動車の排気ガス規制が強化されつつあり、特にディーゼル機関から排出される排気ガス(以下ガスと称する。)中のPMやNOxは大気汚染や光化学スモッグなどの公害を引き起こすためガソリン機関に比べ大幅な規制強化が各国で実施されている。そのPMやNOxを浄化する排気ガス浄化装置のフィルタとして、セラミックハニカムフィルタが使用されている。
【0003】
従来のセラミックハニカムフィルタ(以下フィルタと称する。)は、例えばコージュライト質セラミックからなる通気性を有する筒状のセル壁からなる複数のセルと、セルを外抱する外皮と、セルの軸心方向においてセルの両端部を交互に封止した通気性の低い封止体とを有し、セルの一方端から他方端へガスを流通させるものである。
【0004】
上記構造のフィルタの製造方法は従来から種々のものが提案されており、その一例が下記特許文献1に記載されている。特許文献1の製造方法は、「セラミックハニカム構造体の両端面でセルが交互に封止された構造のセラミック体を、セラミックハニカム成形体の両端面における所定のセルに封止用スラリーを充填した後焼成して得るセラミック体の製造方法において、セラミックハニカム成形体の端面に貼り付けたシートの所定のセルに対応した位置に穴を明けてハニカム成形体毎に対応したマスクを作成し、マスクを貼り付けた面を封止用スラリーに浸漬し、マスクに明けられた穴から封止用スラリーをセル中に充填する」ものであり、いわゆる端面ディッピング法により封止体を形成するものである。
【0005】
また、上記フィルタのガス浄化性能又は再生効率を向上するため図6に示すようなフィルタ9が提案されている。フィルタ9は、基本的には上記フィルタと同様な構造であり、コージュライト質セラミックからなる通気性を有する筒状のセル壁92からなる複数のセル95と、セル95を外抱する外皮91と、セル95の軸心方向においてセル95の両側を交互に封止する通気性の低い封止体94とを有し、図において矢印で示すようにセル95の一方端から他方端へガスを流通させるものである。ここで、ガス流入側の封止体941はセル95の一方端と他方端の中間部に、ガス流出側の封止体942は、その流出側端面が外部に露出するようガス流出側端部に配設されている。以下、封止体941のようにフィルタの端面より奥まった位置に配設された封止体を内栓と称し、封止体942のようにフィルタの端部に配設された封止体を外栓と称する。
【0006】
内栓を備えたフィルタの製造方法の一例が、下記特許文献2に開示されており、「フィルタは、コージュライト粉末及び可燃性粉末(例えば樹脂粉末)からなるペーストを真空押出し成形機により押出してセル壁を形成し、乾燥する。次に下流封止通気孔の下流端及び上流封止通気孔の上流端にコージュライト粉末を素材とするペーストを埋め込み、次に、コージュライト粉末及び可燃性粉末からなるペーストを上流封止通気孔の上流端にだけ埋め込む。これにより上流封止通気孔の上流端に先に埋め込まれたコージュライトペーストは上流端から必要寸法だけ押し込まれる。なお、セル壁の上流端叉は下流端において所望の穴にだけペーストを押し込むには、セル壁により区画される上流封止通気孔叉は下流封止通気孔と同じ空間位置に開口を持つマスク用の多孔プレートを用いればよい。」と記載され、「その後、このフィルタ未焼成品を焼成すれば、可燃性粉末は焼失して多孔性充填セラミック体が形成される。なお、多孔性充填セラミック体は熱伝播の促進、発熱量の制限などを考慮して埋設されたが、その省略も可能である。」と記載されている。なお、特許文献2の「通気孔」とは「セル」のことであり、以下「セル」と用語を統一する。
【0007】
【特許文献1】
特開平2001−300922号公報
【特許文献2】
特開平6−33739号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、フィルタ表面積の増大の要求によりフィルタ直径は径大化し、セルは小さくなりつつあり、例えば直径が10インチのフィルタで数万個の微小セルを備えた厚みが0.数mm程度の極く薄いセル壁からなるフィルタも製造されている。加えて、PMの捕捉能率の向上のためセル壁の空孔の空孔率も増加する傾向にあり、セル壁の強度は低下する傾向にある。
特許文献1の端面ディッピング法によりそのようなフィルタに封止体を形成する場合には、多数個の微小なセルに漏れなく充分にスラリーを充填するためにフィルタ端部の浸漬量を比較的大きくする必要がある。そのため、封止体の厚みが数〜十数mmとなることが多く、次述するようにそれが原因となりセル壁が使用中に破損する場合もあった。
【0009】
図7は、例えばエンジンから排出されるガスを浄化する目的で使用中のフィルタの状態を模式的に示したものであり、図7(a)はエンジンが稼動し、高温のガスがフィルタ9を流通している時の、同図(b)はエンジン停止直後の状態を示したものである。図7(a)に示すように、高温のガスがフィルタ9を流通している場合には、厚さ0.数mm程度のセル壁92は全長に渡り均一に膨張している。しかしながら図7(b)に示すように、ガスの流通が終了すると、封止体94の無い部分のセル壁92は急激に収縮するが、封止体94が形成されている部分のセル壁92は封止体94が急激には収縮しないため同様に収縮せず、もって図示するようにセル壁92と封止体94の接合部近傍のセル壁92には剪断力が作用する。そのため封止体94が厚くその体積が大きい場合にはガスにより高温脆化したセル壁92の剪断許容力をその剪断力が超え、セル壁92が破損する場合もある。このようなセル壁92の破損は、ガスの温度が高い状態にあるガス流入側の封止体94近傍のセル壁92で発生しやすいので、特にガス流入側の封止体を薄くする必要があった。
【0010】
特許文献2のフィルタの製造方法は、1)ハニカム成形体を成形し、2)そのハニカム成形体を乾燥して乾燥ハニカム成形体とし、3)コージュライト粉末を素材とするペースト(第1のペースト)を乾燥ハニカム成形体のセルにまず押込み、4)コージュライト粉末と可燃性粉末からなるペースト(第2のペースト)をそのセルに押込み、5)第1、第2のペーストを押込んだ乾燥ハニカム成形体を焼成するものであり、内栓を形成するために複数の工程を必要とし、工業生産上の能率の面で問題があった。
【0011】
通常、工業生産においてハニカム成形体はスラリーを押出し成形し製造されている。その押出し成形する際には、ハニカム成形体を押出し成形する金型の成形通路の流路抵抗のバラツキやスラリーの密度のバラツキによりスラリーの排出流量が一定せずハニカム成形体が変形するため、またハニカム成形体を乾燥する際にはハニカム成形体を取り扱う際にハニカム成形体が変形するため、乾燥した個々の乾燥ハニカム成形体のセルの位置が一定しない場合がある。もって、特許文献2の製造方法のように、多孔プレートの孔とセルを連通させ選択的にペーストを押し込む際に、その孔とセルが一致せずペーストを押し込むことができないという問題があった。
加えて、乾燥ハニカム成形体のセル壁は上記したようにより脆弱となりつつあり、特許文献2の製造方法のように、そのセルにペーストを押し込む際にセル壁が破損し歩留まりが低下する問題があった。
【0012】
本発明は、上述した問題点を鑑み発明者らが鋭意検討の上なされたものであり、特にディーゼル機関が排出する排気ガス中のPMやNOxなどの環境汚染物質をフィルタの破損などなく効率的に除去できる信頼性の高いフィルタと、そのフィルタを効率的にかつ歩留良く製造できる製造方法及び製造装置を提供することを第1の目的としている。また、本発明は、特に内栓を備えたフィルタを効率的にかつ歩留良く製造できる製造方法及び製造装置を提供することを第2の目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のフィルタの製造方法に係わる請求項1に記載の発明は、複数のセルを備え、軸心方向においてセルの両側を交互に封止体で封止したセラミックハニカムフィルタの製造方法であって、複数のセルを備えたハニカム成形体を押出し成形するとともにその所定のセルに封止体を挿入する第1の成形工程と、第1の成形工程の後に前記ハニカム成形体を所定長さまで押出し成形する第2の成形工程とを含むことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記第1の成形工程では前記ハニカム成形体のセルの軸心方向においてセルの所定の位置に封止体を挿入し、前記第2の成形工程では前記封止体を前記第1の成形工程で挿入した位置に保持しつつ所定長さまで該ハニカム成形体を押出し成形することを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明であって、前記第2の工程の後に成形体を切断する切断工程を含み、第1、第2の成形工程及び切断工程を繰り返すことを特徴としている。
【0018】
本発明のフィルタの製造装置に係わる請求項4に記載の発明は、複数のセルを備え、軸心方向においてセルの両側を交互に封止体で封止したフィルタの製造装置であって、複数のセルを備えた成形体を一方に押出し成形する金型と、前記フィルタの所定のセルに対応する位置で金型のその一方側に配設した封止体と、封止体を保持する保持手段とを有していることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明であって、成形体の押出速度に同期して保持手段を移動させる移動手段を有していることを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明であって、所定の長さにハニカム成形体を切断する切断手段を有することを特徴としている。
【0021】
(作用)
上記した請求項1〜6の発明の作用について以下説明する。
【0022】
本発明のフィルタの製造方法に係わる請求項1の発明は、複数のセルを備えた成形体を押出し成形する工程において封止体をその所定のセルへ挿入するものであり、成形工程で封止体を確実にセルへ配設することができ、効率的にフィルタを製造することが可能となり、さらに前記封止体が挿入された成形体を所定の長さまで押出し成形することにより、所望の長さのフィルタを得ることが可能となる。
請求項2の発明は、前記封止体をセル軸心方向において前記セルの所定の位置に配設するものであり、もって例えば所定の位置に内栓が配設されたフィルタを得ることが可能となる。
請求項3の発明によれば、成形体の切断工程を第1、第2の工程の後に設けることにより連続して成形体を押出し成形しつつ封止体を挿入できるので更に効率的にフィルタを製造することが可能となる。
【0023】
本発明のフィルタの製造装置に係わる請求項4の発明により、上記請求項1の発明を実現することが可能となる。また、請求項5の発明により、上記請求項2の発明を実現することが可能となる。更に、請求項6の発明により、上記請求項3の発明を実現することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜5に基づいて説明する。図1は、本発明のフィルタの一実施態様を示す概略断面図である。図2は、図1のフィルタを製造する本発明の製造装置の一例を示す概略構成断面図である。図3は、図2の製造装置で用いる金型の詳細構造を示す斜視断面図である。図4は、図2の製造装置によるフィルタの製造方法を説明するための概略工程図である。図5は、図1のフィルタを製造する全体の流れを示すフロー図である。
【0025】
本発明のフィルタ5は、図1に示すように、例えばコージュライト質セラミックなどからなる通気性を備えた筒状のセル壁52からなる複数のセル55と、セル55を外抱する外皮51と、軸心方向においてセル55の両側を交互に封止した通気性の低い封止体54とを有し、図において矢印で示すようにセル55の一方端から他方端へガスを流通させるものである。
なお、本実施態様のフィルタ5は、フィルタ5の直径を100〜400mm、長さを200〜500mmとした。セル55の軸心方向に対して直交するその断面形状は、一辺の長さSの矩形状のセル55を内包する一辺0.5〜5mm程度の矩形枠状とし、そのセル壁の厚みtは0.1〜1mm程度とした。ガス流入側の封止体541は厚み0.5〜5mm程度とし、セル55の一方端と他方端の中間部すなわちフィルタ5のガス流入側端面から封止体541のガス流入側端面までの距離Lが20〜150mm程度となるよう配設した。ガス流出側の封止体542はガス流出側端面が外部に露出するようフィルタ5のガス流出側端部に配設した。
なお、セル壁52には白金族元素、その他の金属元素若しくは酸化触媒などを目的に応じ適宜選択して担持させた。
【0026】
上記のように構成したフィルタ5を排気経路に配置したとき、図中矢印で示すように、ガスは、フィルタ5のガス流入側端面において開口するセル55内に流入し、セル壁52を通過し、隣接するセル55、すなわちガス流出側端面において開口するセル55から流出する。この際、ガス中に含まれるPMの移動をセル壁52により阻止することでPMを捕獲するので、浄化されたガスがガス流出側端面から排出されることとなる。
【0027】
上記フィルタ5の全体の製造フローを図5に基づき説明する。
(原料製造工程)
カオリン、タルク、溶融シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミ及びアルミナなどの酸化物系セラミックの粉末を適量調整したコージュライト生成原料粉末に、成形助剤としてのメチルセルロースと造孔材としての小麦粉と水をそれぞれ適量で添加混練してスラリー状の原料(以下スラリーと称する。)を製造する。
(成形工程)
スラリーを、下記で詳述するフィルタの製造装置により押出し成形して複数のセルを備えた成形体を押出し成形するとともに上記封止体541をその所定のセルに挿入し、その成形体を所定の長さまで押出し成形する。
【0028】
(乾燥工程)
成形体を乾燥して乾燥ハニカム成形体(以下乾燥体と称する。)を得る。
(外皮形成工程)
セル壁と基本的には同様な原料からなる外皮を乾燥体の外周に密設する。
(外栓形成工程)
ガス流出側の封止体542を乾燥体の所定のセルに充填し、乾燥する。
(焼成工程)
封止体とともに乾燥体を焼成してフィルタ5を得る。なお、成形体を乾燥する場合や乾燥体を焼成する場合には、一定の割合で収縮するため上記成形体やそのセルの大きさはその収縮率を考慮し設定している。
【0029】
上記成形工程で成形体を押出し成形する本実施態様の製造装置1の構造について、図2に基づいて説明する。下記で説明する製造装置1は、鉛直方向において下方に成形体を押出し成形する縦型のものであり、以下の説明では成形体の押出方向を下方と定義する。なお、本発明は成形体を水平方向に押出し成形する横型の製造装置にも同様に適用することが可能である。
【0030】
図2に示すように、製造装置1は、スラリー2を金型13へ加圧し供給する原料供給手段17と、供給されたスラリー2を押出し成形して成形体5’を形成する金型13と、金型13の下側に配設した封止体541と、金型13の下方に配設して封止体541を保持する保持手段11とを有している。
上記構成の製造装置1は、原料供給手段17により金型13へスラリー2を供給し、供給されたスラリー2を押出し成形して複数のセル55’を備えた成形体5’を形成するとともにその所定のセル55’へ封止体541を挿入し、その成形体5’を所定の長さまで押出し成形するものである。以下、原料供給手段17、金型13、封止体541及び保持手段11について詳細に説明する。
【0031】
[原料供給手段]
原料供給手段17は油圧シリンダー状のものであり、スラリー2を内部に収納する略円筒形状のシリンダー14と、段付きの略円柱形状で径大部の外周面がシリンダー14の内周面に内接しつつ上下方向に移動可能になされた加圧部材16と、シリンダー14の上端面に密設すると共にロッド16の小径部の外周面が内接する孔部を備えた蓋15とを有し、加圧部材16は図示しない移動手段により上下方向に移動可能としており、シリンダー14に収納したスラリー2を加圧部材16により加圧し、金型13へ供給するものである。なお、例えば加圧部材をスクリュー状のものとし、その旋回によりスラリー2を加圧し供給するようにしてもよい。
【0032】
[金型]
金型13について図3に基づいて説明する。図3は、理解のために図2の金型14の上下面を引っくり返した状態を示している。
図3に示すように、厚みDで略平板状の金型13は、上面(図2において下面)からの深さがd1、幅がt’のスリットを所定のピッチ(S’+t’)で縦横に直交するよう上部に形成した成形通路131と、スリットの交差部の下部にスリットと連通するよう形成した大略円柱形状の供給通路132を有している。前記原料供給手段17により金型13の供給通路132へ圧入されたスラリー2は、成形通路131へ供給され、一辺の長さがS’の断面矩形状のセル55’を内包した碁盤目状のセル壁52’となり、金型13の下方へ押出されることとなる。スリットの配置レイアウトにより前記セル55’の断面形状は六角、八角など多角形状や円形状とすることができ、それぞれの大きさが異なったセル55’とすることもできる。
【0033】
[封止体]
図2に示す本実施態様の封止体541 は、セル壁52と同様な酸化物系セラミックを含有した個片部材であり、例えばその原料を金型成形して所定の形状及び寸法とし、焼成したものである。なお、寸法精度のバラツキを抑えるため封止体541の外形加工を焼成後に行ってもよい。
封止体541の断面形状は、基本的には押出されたセル壁52’を破損しないようそのセル55’へ挿入可能なものとし、詳細には次述するように設定する。
【0034】
封止体541の断面形状の設定方法について図8に基づき説明する。図8(a)は、成形体5’のセル55’に封止体541を挿入した状態を、図8(b)は図8(a)の状態で成形体5’を焼成した状態を示している。
封止体541の断面形状は、成形体5’のセル55’の断面形状に沿う形状とすると共にそのセル55’よりも小さくし、フィルタ5のセル55の断面形状よりも大きくする。すなわち、本実施態様の封止体541は断面矩形状とし、その一辺の長さは成形体5’のセル55’の一辺の長さS’より小さく、フィルタ5のセル55の一辺の長さSより大きくした。
【0035】
図8(a)に示すように、成形体5’のセル55’へ挿入した上記封止体541はセル壁52’と空隙gを介し相対した状態にあり、非密接状態である。その成形体5’を焼成すれば、図8(b)に示すように、セル55’は収縮するが、既に焼成されている封止体541は変形しないため、封止体541はセル壁52’と密接する状態となり、封止体541はセル壁52’へ焼成熱により固着され、フィルタ5のセル55を封止することとなる。なお、封止体541の断面形状をフィルタ5のセル55の断面形状と略同一とすれば、直線状のセル壁52を得ることができ、よりガスの通気抵抗を低減することができるので好適である。
【0036】
なお、封止体541は、例えば炭化チタンや炭化珪素など炭化物系セラミック、例えば窒化チタン、窒化珪素または窒化アルミニウムなど窒化物系セラミックを上記形状に形成したものであってもよい。炭化物あるいは窒化物系セラミックを用い、成形体とともに酸化雰囲気中で焼成すれば、炭化物あるいは窒化物系セラミックの中の炭素あるいは窒素が酸素と置換し、封止体541は膨張する。もって、封止体541の断面形状を更に小さくすることができる。
上記した説明のように、本発明においては、封止体541を事前に成形し、焼成した個片部材としているので、封止体541の形状または材質は製造するフィルタにより適宜設定することができる。
【0037】
[保持手段]
図2に示す保持手段11は、封止体541を上面に保持する複数の柱部112と、封止体541を配するフィルタ5のセル55に対応した位置に柱部112を配設する略平板状の基体111を有し、図示しない移動手段により上下方向に移動可能になされている。
本実施態様の柱部112の高さL’は、フィルタ5のガス流入側端面から封止体541のガス流入側端面までの長さLと上記した成形体5’の収縮率により設定した。なお、フィルタ5の端面に発生する不良などが除去する場合には、その除去量などを考慮して高さL’は適宜長めに設定してもよい。柱部112の断面形状は、成形体5’のセル55’の断面より小さくし、上記金型13で押出方向に排出したそのセル55’に柱部112が挿入可能なものとした。
【0038】
基体111は、押出し成形を終了した後に成形体5’を製造装置1より取り外す際に基体111で成形体5’を支持するため、金型13より下方に押出し成形された成形体5’の下方端面の少なくとも一部が当接するよう形成する。なお、本実施態様の基体111のようにその下方端面を包含する大きさの略平板状の基体111とすれば、その全面が基体111に当接し、製造装置1から成形体5’を取り外す際の変形が少なくなるので好ましい。
保持手段11の移動手段は、例えばボールネジとサーボモータの組合せたもの、エアシリンダー若しくは油圧シリンダーなどの周知の移動機構を組合せたもので構成しており、成形体の押出速度に同期して移動可能としている。
【0039】
上記構成の製造装置1により、成形体5’を成形しつつ封止体541をそのセル55’に挿入する方法について図4に基づき説明する。
【0040】
(原料収納工程)
まず、図4(a)に示すように、原料供給手段17の蓋15と加圧部材16を取り外した状態で、シリンダー14に所定量、本実施態様では1個分のフィルタ5に必要な量のスラリー2を収納し、蓋15と加圧部材16を装着し、シリンダー14の内部を真空状態とする。
【0041】
(封止体配置工程)
図4(b)に示すように、柱部112の先端に封止体541を保持した保持手段11を金型13の下方の所定位置に配置する。ここで、封止体541は、個々に予め準備した個片部材を柱部112へ取付けるようにしてもよく、またスラリー状の原料に柱部112の先端部を浸漬して個片部材を形成するようにしてもよく、工業生産上の能率を考慮して適当な方法を選択すればよい。
【0042】
(第1の成形工程)
次に、図4(c)に示すように、加圧部材16を下方に押圧してスラリー2を加圧する。加圧されたスラリー2は、金型13の供給通路132に供給され、成形通路131へ供給され、成形体5’の押出し成形が開始される。その際、封止体541は、それを配するフィルタ5のセル55に対応した位置に配設し、成形体5’のセル55’に挿入可能にしているので、封止体541がセル壁52’に接触することなく、成形体5’の押出し成形を継続することが可能である。
【0043】
(第2の成形工程)
図4(d)に示すように、金型13の下側端面から所定の長さ(L’+封止体厚み)まで成形体5’を更に押出し成形すると、成形体5’の下側端面が基体111の上面に当接する状態となる。その状態を検知し、成形体5’の成形速度に同期して保持手段11を下方に移動させつつ成形体5’の押出し成形を継続する。なお、成形体5’が基体111に当接する状態の検知は、人間が行っても良いし、保持手段11の近傍に配置したセンサーで行うようにしてもよい。その後、図4(e)に示すように、所定の長さまで成形体5’を成形し、封止体541を保持している保持手段11とともに成形体5’を取出し、一個の成形体5’を得る。
【0044】
上記封止体541を保持している保持手段11とともに成形体5’を乾燥し、外皮51を配設し、ガス流出側の封止体542を形成し、焼成し、保持手段11を取り外せば所望のフィルタ5を得ることができる。
上記のように本発明のフィルタの製造方法によれば、成形中に封止体542を成形体5’に挿入するので封止体542の挿入工程を設ける必要がなく効率的にフィルタ5を製造することが可能となるとともに、フィルタ5の所定のセル55に対応した位置で成形体5’の変形が少ない金型13の下側近傍に封止体542を配設しているのでそのセル55’に確実に封止体542を配設することが可能となる。
【0045】
上記実施態様では成形体5’を個々に成形したが、上記製造装置1の近傍に切断手段を設け、上記原料収納工程において複数個の成形体5’を押出し成形できる量のスラリー2をシリンダー14に収納し、第1、第2の成形工程の後に所定の長さとなるよう成形体5’を切断手段で切断し(切断工程)、上記した封止体配置工程と同様に封止体541を配置し、上記した第1、第2の成形工程及び切断工程を繰り返して連続して複数個の成形体5’を押出し成形するようにすれば、更に効率的に成形体5’を得ることができ好ましい。
【0046】
保持手段11の柱部112は、成形体5’の焼成温度である1300〜1400℃程度で変形しないもの、例えばセラミック、超鋼合金など耐熱性が高く、熱伝導性の良好な材料により形成することが好ましい。また、柱部112の内部を冷却構造とし、水や空気などの流体により柱部112を冷却するようにしてもよい。
保持手段11の柱部112は無くてもよい。例えば、フィルタ5の所定のセル55に対応する位置となるよう封止体541を基体111の上に配設すれば、封止体541を成形体5’の端部に挿入することができる。
封止体541は、例えばスラリー状、ゲル状若しくは粉状のものであってもよく、成形体5’のセル55’に挿入可能であればよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は下記の効果を有するものである。
(1)フィルタのセルを封止する封止体は予め成形、焼成してなる個片部材であり、その個片部材の形状や材質を任意に設定することができるので、例えば個片部材の厚みを薄くすることによりフィルタの使用中のセル壁の破損を防止できるとともに、個片部材の断面形状や材質を適宜選定することにより封止体を配設する際のセル壁の破損を防止でき、もって極めて信頼性の高いフィルタを得ることが可能となる。また、その封止体をセルの中間部に配設することによりガス浄化性能や再生効率の高いフィルタを得ることが可能となる。
(2)上記封止体は、成形体の成形工程においてそのセルに挿入することにより配設することができ、工程数が少なく、極めて効率的にフィルタを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルタの一例の概略断面図である。
【図2】本発明のフィルタの製造装置の一例の概略断面図である。
【図3】図2の製造装置で用いられる金型の斜視断面図である。
【図4】図2の製造装置によるフィルタの製造方法を製造工程順に示す概略断面図である。
【図5】図1のフィルタの全体の製造フロー図である。
【図6】従来のフィルタの概略断面図である。
【図7】従来のフィルタの問題を説明するための図である。
【図8】封止体の断面形状の設定方法を説明する図である。
【符号の説明】
1:製造装置、11:保持手段、13:金型、17:原料供給手段
2:スラリー
5:フィルタ、51:外皮、52:セル壁、54:封止体、55:セル、541:一方の封止体
Claims (6)
- 複数のセルを備え、軸心方向においてセルの両側を交互に封止体で封止したセラミックハニカムフィルタの製造方法であって、複数のセルを備えたハニカム成形体を押出し成形するとともにその所定のセルに封止体を挿入する第1の成形工程と、第1の成形工程の後に前記ハニカム成形体を所定長さまで押出し成形する第2の成形工程とを含むことを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 請求項1に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法であって、前記第1の成形工程では前記ハニカム成形体のセルの軸心方向においてセルの所定の位置に封止体を挿入し、前記第2の成形工程では前記封止体を前記第1の成形工程で挿入した位置に保持しつつ所定長さまで該ハニカム成形体を押出し成形することを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 請求項1または2に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法であって、前記第2の工程の後にハニカム成形体を切断する切断工程を含み、第1、第2の成形工程及び切断工程を繰り返すことを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 複数のセルを備え、軸心方向においてセルの両側を交互に封止体で封止したセラミックハニカムフィルタの製造装置であって、複数のセルを備えたハニカム成形体を一方に押出し成形する金型と、前記セラミックハニカムフィルタの所定のセルに対応する位置で金型のその一方側に配設した封止体と、封止体を保持する保持手段とを有していることを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造装置。
- 請求項4に記載のセラミックハニカムフィルタの製造装置であって、ハニカム成形体の押出速度に同期して保持手段を移動させる移動手段を有していることを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造装置。
- 請求項4または5に記載のセラミックハニカムフィルタの製造装置であって、所定の長さにハニカム成形体を切断する切断手段を有することを特徴としたセラミックハニカムフィルタの製造装置。
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