JP4331927B2 - 無機ナノ粒子−有機化合物複合体およびそれの一次元配列集積構造体 - Google Patents
無機ナノ粒子−有機化合物複合体およびそれの一次元配列集積構造体 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、金属又は半導体等から成る無機ナノ粒子の技術分野に属し、特に両親媒性を有する有機化合物(両親媒性化合物)と複合化された無機ナノ粒子、およびその製法、ならびにその溶液中における一次元配列集積構造体とそのオルガノゲルに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ナノメートル領域の直径を有する金属又は半導体ナノ粒子は、バルク状態にある金属、半導体とは異なる性質を示す。このようなナノ粒子は、非線形光学特性などの特異な性質を示すことから、光素子や超微細配線の作成材料、電子電導材料、電導性塗料、磁性材料やセンサー材料として優れた機能を提供できる。また電子一個で動作する単一電子トランジスタの候補として、物理および材料分野において注目されている。
【0003】
金属又は半導体ナノ粒子をナノ材料の分野で利用するためには、これらのナノ粒子を精密に配列させた構造体を、容易に調製する方法の開発が不可欠である。しかしながら、従来の半導体微細加工技術であるフォトリソグラフィー法をナノメートルサイズの超微細加工へ適用することには限界があり、ナノ粒子を自己組織的に配列化させるための新しい原理が望まれている。
【0004】
これまで、一次元構造を有する鋳型物質に沿ってナノ粒子を配列化させる方法が開示されている。この一次元鋳型としては、陽極酸化ポーラスアルミナ薄膜中に形成される、膜面に対して垂直に配向したナノ細孔や、DNAなどの核酸、タバコモザイクウィルスなどのたんぱく質−核酸複合体や、カーボンナノチューブなどが用いられている。しかしながら、いずれの場合もナノ粒子が数個から数十個程度、局所的に配列している構造が得られているに過ぎず、長距離にわたって一次元配列したナノ粒子の規則配列構造は得られていない。
【0005】
アルカンチオールもしくはその誘導体で被覆した金属ナノ粒子を気−水界面に展開し、水面上に金属ナノ粒子の帯状会合構造や二次元会合構造を形成した例は報告されているが、粒子一個の幅を有する一次元配列構造は水面、溶液中のいずれにおいても得られていない。また、水面上におけるナノ粒子集合体については、その集合状態を表面圧に依存して可逆的に制御することも実現されていない。
【0006】
固体表面へ金属ナノ粒子を集積・固定化する研究は、多くなされてきている。ナノ粒子を固体表面に固定化するための手法として、スピンキャスト法や、静電的相互作用を利用した吸着法が広く用いられている。また、気液界面に二次元的に集積化されたナノ粒子集合体については、ラングミュアブロジェット法による固体基板への累積薄膜化が行われている。これらの二次元基板に固定化する手法においては、ナノ粒子を一次元的に配列させることは困難である。一方、アモルファスカーボンをNaClの(110)面に蒸着した表面のくぼみや、電子顕微鏡測定用カーボン膜のステップ部位に金ナノ粒子を一次元状に配列する例が開示されている。しかしながらこれらの場合、粒子間の間隔は不揃いであり、またその配列も連続的あるいは規則的なものではない。
【0007】
金属ナノ粒子の表面にDNA、抗体やビオチン基を固定化することにより、溶液中において金属ナノ粒子の集合構造を得る方法については近年報告があるが、いずれも3次元的な凝集構造が得られているに過ぎず、溶液中においてナノ粒子が自発的に一次元配列する現象は実現されていない。
【0008】
従来、有機溶媒に可溶な金属又は半導体ナノ粒子を得るためには、その表面を長鎖アルキル基を含む保護剤で被覆化する手法が一般的である。しかしながら、アルキル基を導入したナノ粒子の構造は等方的であり、溶液中で一次元あるいは二次元的な自己組織化を示すことはない。炭化フッ素鎖型のチオール保護剤で被覆された銀ナノ粒子が、過剰の保護剤との複合化によって幅約90nmのファイバー状会合構造を形成することが報告されているが、ファイバー構造中に濃縮されたナノ粒子の配列に規則性はない。またこの複合体は、一旦加熱すると過剰の保護剤が熱解離するために沈殿し、耐熱性ならびに再分散性を有さない。
【0009】
またナノ粒子の溶解性を与えるために導入した長鎖アルキル基は、ナノ粒子間の距離を近づけることを困難にし、ナノ粒子間の電子電導や電子的相互作用の発現に制約を与える。このように、溶液中にナノ粒子を分散させることと、ナノ粒子を規則配列化することの双方を満足する方法論は現時点では得られていない。またナノ粒子の一次元配列構造を基本とするゲルの形成は実現されていない。
【0010】
さらに、鋳型に依存した金属又は半導体のナノ粒子の配列構造は、一旦構造が破壊されると自発的に修復することは不可能であり、一次元配列構造を熱処理等により破壊した後、冷却することによってその構造が可逆的に形成する“自己修復性”を示す金属ナノ粒子の集合体は知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来の金属または半導体等の無機ナノ粒子の上記不都合を解消し、溶液中、特に有機溶媒中において自発的にナノ粒子の一次元配列集積構造、すなわち、ナノ粒子を一次元(1D)方向に並べてワイヤー状に配列させた構造を与える無機ナノ粒子複合体を得ることにあり、その構成要素である無機ナノ粒子、その保護剤分子の合成手法等を提供することである。また、有機媒体中でナノ粒子の一次元配列状態とランダムな分散状態を可逆的に与えることのできるナノ粒子複合体を開発し、さらに、ゲル化性を示すナノ粒子複合体ならびにそのゾルを提供することである。
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。無機ナノ粒子と両親媒性有機化合物の組み合わせにおいて、両者の間に働く非共有結合の強度を適切に調整すること、さらにナノ粒子を被覆する両親媒性化合物に発達した一次元会合構造をとる性質を導入すれば、溶液中において無機ナノ粒子を一次元配列させることが期待された。そこで水酸基を含む保護剤分子で表面修飾した無機ナノ粒子と、アンモニウム基および複数のアミド基を含むグルタミン酸長鎖誘導体との組み合わせからなるナノ粒子−有機化合物複合体を開発した。その結果、このナノ粒子−有機化合物複合体が有機媒体中に分散でき、溶液中で一次元配列構造を自発的に与えること、またグルタミン酸長鎖誘導体の分子構造に依存して有機媒体をゲル化させること、さらに一次元配列構造を加熱するとナノ粒子がランダムに分散するが、この溶液を冷却すると再びナノ粒子の一次元配列構造が再構築されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、無機ナノ粒子用の保護剤に関し、かかる保護剤は、極性基を含むアルキルチオールもしくは芳香族チオール化合物または下記式(I):
【0014】
【化14】
(ただし、R1は極性基を含む脂肪族アルキル鎖又は極性基を含む芳香族基であり、nは1〜20の整数を表す。)で表される化合物か、あるいは、極性基を含むアルキルチオールもしくは芳香族チオール化合物のジスルフィド二量体または下記式(II):
【0015】
【化15】
【0016】
(ただし、R1は極性基を含む脂肪族アルキル鎖又は極性基を含む芳香族基であり、nは1〜20の整数を表す。)で表される化合物である。
上記極性基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基などを含む。
上記アルキルチオールにおけるアルキルは、炭素数1〜21、好ましくは7〜17を有するアルキルであり、上記芳香族チオールにおける芳香族は、例えばフェノール、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、アニリン等を含み、フェノールが好ましい。
上記脂肪族アルキル鎖は、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基を含み、炭素数2〜4のものが好ましい。
上記芳香族基は、フェノール基などを含み、p−フェノールが好ましい。
本発明の無機ナノ粒子用の保護剤は、下記式(III):
【0017】
【化16】
【0018】
(ただし、mは1〜3の整数を表し、nは1〜20の整数を表す)により表されるチオール化合物又はそのジスルフィド二量体であることが特に好ましい。
本発明の無機ナノ粒子用の保護剤において、極性基は、複合体の調製時に、両親媒性有機化合物の親水基と適度な大きさの非共有結合性相互作用を示す。極性基として、水酸基を有することが好ましく、特にR1がフェノール基であることが安定な金属ナノ粒子を得るために好ましい。また、チオールあるいはジスルフィド基はナノ粒子表面への結合部位として働く。上記式(III)中のnは、好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜4である。
【0019】
一般式(III)により表される化合物に属する無機ナノ粒子保護剤としては、下記式(VI):
【0020】
【化17】
【0021】
により表されるもの、もしくはそのジスルフィド二量体が特に好ましい。無機ナノ粒子の一次元配列構造を保つためには、ナノ粒子間に水素結合などの相互作用が働くことが望ましく、安定な粒子間水素結合、ファンデルワールス相互作用を与えるp−フェノールのチオール誘導体(VI)は、ω−ヒドロキシアルキルチオール誘導体に比べてより好ましい。また一次元に配列したナノ粒子間に電子的相互作用を発現させるためには、ナノ粒子間の距離が小さい方が望ましく、このためにも長いアルキル鎖を必要とするω−ヒドロキシアルキルチオール誘導体に比べて、p−フェノールのチオール誘導体がより望ましい。ジスルフィド二量体は無機ナノ粒子合成時の還元的反応条件下においては、単量体と同等な結果を与える。
【0022】
本発明の第二は、両親媒性有機化合物に関し、この有機化合物は、一般式(I)等の化合物である有機保護剤で覆われた無機ナノ粒子と非共有結合により相互作用し、それらを有機溶媒に可溶化させるとともに、その溶液中における一次元配列化を促進する。
【0023】
すなわち、本発明の本発明の両親媒性化合物は、一般式(IV):
【0024】
【化18】
【0025】
(ただし、R2は、C2以上の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基またはエーテル結合を含むアルキル基を示し、R3は、アンモニウム基或いはピリジニウム基などのカチオン性官能基を表し、アンモニウム基の場合には、水素、低級アルキル基又はヒドロキシ低級アルキル基を置換基とする。pは1〜20の整数を表す。)により表されることを特徴とする。
上記式(IV)において、R2は、好ましくは炭素数2〜20の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基またはエーテル結合を含むアルキル基であり、低級アルキルは、炭素数1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2のアルキル基である。
【0026】
一般式(IV)により表される化合物に属する両親媒性化合物としては、下記式(V):
【0027】
【化19】
【0028】
(ただし、R2は炭素数1〜40の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基またはエーテル結合を含むアルキル基を示す。)により表されることを特徴とするカチオン性両親媒性化合物であることが好ましい。
上記式(V)において、R2は、好ましくは、炭素数2〜20の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基またはエーテル結合を含むアルキル基であり、特に好ましくは、オレイル基、飽和炭化水素基である。
式(V)で示される両親媒性化合物のなかで、飽和炭化水素鎖を有する下式(VII)の化合物は、有機溶媒中でファイバー状の構造体を自己組織的に形成すること、また高濃度領域では溶液をゲル化させる特性を有していることが見出された。この両親媒性化合物は、二本の長いアルキル鎖を有することにより分子が並びやすくなっているとともに、分子中にアミド基を3つ有するため、アミド基間の水素結合を介して分子が一次元的に配列しやすい化学構造を有しており、発達したファイバー状会合構造を与えやすく、その網目構造の形成も起こりやすい。そのため有機溶媒に対してゲル化性を有するものと解される。下記式(VII)中において、nは、2〜20であり、好ましくは12〜20、より好ましくは14〜20特に好ましくは16〜20である。強固なゲルを得るためには、アルキル鎖間のファンデルワールス力が大きいことが必要であり、またより低濃度でも安定なゲル化性を示すためには、nは16以上が好ましい。
【0029】
【化20】
【0030】
本発明の第三は、有機保護剤、好ましくは前記一般式(I)、(II)もしくは(III)で表される有機保護剤で覆われた無機ナノ粒子と、両親媒性有機化合物、好ましくは前記(IV)もしくは(V)で表される両親媒性化合物から誘導される、無機ナノ粒子複合体、ならびに、該複合体の有機溶媒中における一次元配列構造を基本とする会合構造体である。
無機ナノ粒子は、Au,Ag,Pd,Pt,Cu,Ni,Co,Fe,Mnの1種以上からなる金属ナノ粒子、CdS,CdSe、HgS,PbS,Cu2S,In2S3などの金属イオウ化物(金属カルコゲナイド)よりなるナノ粒子(半導体ナノ粒子)、またはFe2O3,Ag2O,TiO2,SiO2などの金属酸化物よりなるナノ粒子であるのが好ましい。
【0031】
本発明の第四は、前記無機ナノ粒子複合体が有機媒体を凝固させて得られるゲルならびにゾルである。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔1〕アミド基ならびに極性基を含有する無機ナノ粒子保護剤
一般式(I)等におけるR1は、極性基を含む脂肪族アルキル鎖又は極性基を含む芳香族基であり、好ましくはフェノール基である。このように芳香族を含むスルフィド誘導体は、ナノ粒子表面において安定な保護層を形成する。またnは1〜20であることを特徴とする。
【0033】
一般式(I)等により表される無機ナノ粒子保護剤化合物の更なる構造的特徴は、アミド基を含有することである。金属ナノ粒子表面における保護剤分子のアミド基間に水素結合が働いて、保護分子層の安定化を促進する。
【0034】
一般式(I)等により表される無機ナノ粒子保護剤化合物は、各種合成法により調製することができる。略述すれば、ジアミノエチルジスルフィドと水酸基を有する炭化水素カルボン酸もしくはフェノールカルボン酸とを反応させて二組のアミド結合を有する化合物が得られる。たとえば図1の(VI)により表される化合物のジスルフィド誘導体は図1のスキームに沿って合成することができる。
【0035】
〔2〕無機ナノ粒子の形成
本発明に従い金属ナノ粒子を製造するには、上記の式(I)等で表されるスルフィドまたはジスルフィド化合物などの有機保護剤を金属又は半導体等の無機ナノ粒子の保護剤に用いる。略述すれば、まずスルフィドあるいはジスルフィド化合物と金、銀、白金などの金属からなる金属塩の一種あるいはその混合物をメタノールなどの極性溶媒に溶解する。次に、この混合液に還元剤を加えて、金属塩の還元反応を行う。還元反応には、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムなどのアルカリ金属ホウ素化塩、もしくはアンモニウム水素化ホウ素塩等を用いる。還元反応時の温度は−80℃程度から100℃程度までの広い温度範囲を利用できる。水素化ホウ素塩の還元活性が高いことから、100℃より高い温度で還元することは望ましくない。また還元反応に用いる溶媒は、水酸基含有化合物および金属塩、還元剤の双方を溶解し得るものであればよく、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、s−ブタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノールなどの極性溶媒が用いられる。金属塩としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、硝酸銀、酢酸銀、塩化白金酸などの、上記の極性溶媒中に均一に分散する金属塩を用いることができる。
【0036】
金属塩と保護剤との混合比率は、保護剤/金属塩(モル/モル)で表すと0.1以上であることが必要であり、0.3〜5までの範囲であればナノ粒子が生成することが確認されている。このようにして得られる金属のナノ粒子は、その粒径が一般に1〜数十nmの範囲にあり、特に約2〜3nmの範囲にあることが多い。
【0037】
また得られた金属ナノ粒子は再沈殿法によって精製することができ、還元反応における副生成物や余剰の保護剤を除去できる。例えば、式(VI)のスルフィドもしくはジスルフィド化合物を金属ナノ粒子の保護剤に用いた場合の精製は、以下の再沈殿法操作を繰り返すことによって行える。まず還元反応後の分散液から溶媒を減圧留去して、得られる固形物を極少量のメタノールに分散させる。このメタノールの体積に対して約1000倍以上のアセトンを加えることにより、余剰の前記保護剤を溶解させ、また前記金属ナノ粒子を沈殿させることができる。この沈殿物をろ過で回収し、再びメタノールに分散させ、今度はメタノールの体積に対して約1000倍以上の水を加えて再沈殿させ、還元反応における水溶性の副生成物を除去する。これらの操作をそれぞれ2回ずつ施すことにより、金属ナノ粒子を精製することができる。
【0038】
〔3〕無機ナノ粒子複合体の調製
前記ナノ粒子と前記両親媒性有機化合物を極性溶媒、例えばアルコール、好ましくはメタノールに分散させた溶液とを混合後、該溶媒を除去することによって、ナノ粒子と有機化合物の複合体を得る。このナノ粒子−有機化合物複合体に有機溶媒、好ましくはトルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンや、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類より選択される低極性有機溶媒を加え、90℃から140℃の間、特に好ましくは110℃〜120℃の温度に加熱することによって、ナノ粒子−有機化合物複合体を有機溶媒中に分散させる。この分散液を放冷することによって、ナノ粒子−有機化合物複合体が自己組織的に一次元配列集積構造体を形成し、この溶液をさらに冷却すれば、ナノ粒子−有機化合物複合体からなる一次元構造体が互いに束なり、さらに網目状に絡み合うことによって有機媒体をゲル化する。このゲルを加熱すると、再びゾル(溶液)となり、高温では一次元に配列したナノ粒子が再び個々のナノ粒子として孤立分散した状態となる。このように、本発明により得られるゲルは、金属ナノ粒子が高密度に一次元配列した構造を含み、かつその集合状態を可逆的に変化する特性を有するので、電極基材間の導電性接着材料、薄型液晶素子用の材料等への応用の可能性を有している。
【0039】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示す反応スキームに従って、上述の式(VI)により表される化合物のジスルフィド体を調整した。
【0040】
化合物(A)の合成
シスタミン・二塩酸塩(東京化成(株)製、Mw:225.21)5.4g(24mmol)を水20mLに溶解し、5M NaOH水溶液9.6mL(48mmol)を加えて中和した。水を減圧留去した後、生じたオイルをジクロロメタン50mLに抽出した。この溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、無水硫酸ナトリウムを濾別して溶媒を減圧留去し淡黄色のオイルを得た。デシケーター内で乾燥し、特に分析は行わずに次の反応に用いた。(化合物(A)、収量3.2g、収率88%)。
【0041】
化合物(B)の合成
4−アセトキシ安息香酸〔TCI M.W.:180.07〕7.5g(42mmol)とトリエチルアミン〔蒸留品 M.W.:180.07〕8.4g(83mmol)をジクロロメタン50mLに溶解した。氷冷下で攪拌しながらN,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスフィン酸クロリド(Bop−Cl,東京化成(株)製、Mw:254.56)10.5g(41mmol)を加え、懸濁させた。この懸濁溶液に、上記化合物(A)3.2g(21mmol)をジクロロメタン50mLに溶解させた溶液を2時間かけて滴下した。滴下とともに溶液は均一になり、その後約12時間攪拌を続けた。この溶液をイオン交換水100mLで2回、さらに希塩酸水溶液(pH3〜4)で洗浄した。このときジクロロメタン相に固体が生じたので、吸引ろ過で回収した。TLCとIRで分析した結果、目的物の一部であることが分かった。さらに上記のろ液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥を行った。溶媒を減圧留去して得られた無色の固体を、アセトン400mLからフリーザー中で再結晶して無色の粉末を得た(総収量6.9g、収率70%)。得られた生成物の薄層クロマトグラフィーにおけるRf値は0.73であり(IATRON IATROSCAN MK-5、展開溶媒CHCl3:CH3OH=10:1)、融点は170.3−173.6℃であった。また得られた生成物を同定するためFT−IR測定ならびに1H−NMR測定を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
化合物(VI)の合成
化合物(B)(Mw:476.56)3.7g(7.9mmol)をエタノール100mLに懸濁させ,炭酸バッファー100mL(NaHCO3 4g、Na2CO34gを含む)を加えて,40℃で約12時間撹拌した。溶液は懸濁状態のままであった。酢酸を加えて溶液のpHを5にしたところ、溶液は均一となったので溶媒を減圧流去し、残さをメタノール50mLに溶解した。この溶液にアセトンを250mL加えると、酢酸ナトリウムが析出した。これを吸引ろ過により取り除いた後、水−メタノール混合溶媒より再結晶して無色固体を得た(収量2.2g、収率79%)。得られた生成物の薄層クロマトグラフィーにおけるRf値は0.73であり(IATRON IATROSCAN MK-5、展開溶媒CHCl3:CH3OH=10:1)、融点は138.9−140.6℃であった。また得られた生成物を同定するためFT−IR測定ならびに1H−NMR測定を行った。その結果を表3および表4に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
さらに、得られた生成物の元素分析を行った。その結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】
以上の分析結果により上述の式(VI)により表される化合物のジスルフィド体N,N′−ビス(4−ヒドロキシ安息香酸エチル)ジスルフィドが合成されたと判断した。
【0050】
実施例2
図2に示す反応スキームに従って、上述の式により表される化合物(VIII)(オレイル鎖型化合物)を調製した。
【0051】
化合物(C)の合成
N−(ω−ブロモウンデカノイル)−L−グルタミン酸(Mw:394.30)2.00g(5.07mmol)とオレイルアミン(東京化成(株)製、Mw:281.52)2.81g(10mmol)、トリエチルアミン(Mw:101.19)1.1g(11mmol)を乾燥THF(関東化学)20mLに溶解した。この溶液を氷冷下で撹拌しながら、シアン化ホスホン酸ジエチル(DEPC)(アルドリッチ、Mw:163.1)1.65g(10.1mmol)を乾燥THF(関東化学)10mLに溶かして十分間かけて滴下した。1時間氷冷下で攪拌の後、さらに室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた黄色の残渣をクロロホルム50mLに溶解し、5% NaHCO3水溶液(pH8〜9、50ml)で二回洗浄した。クロロホルム層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をアセトン25mLで再結晶した。得られた淡黄色の粉末をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=250:1)で精製し、無色の粉末を得た(収量2.6g、収率58%)。得られた生成物の薄層クロマトグラフィーにおけるRf値は0.38であった(IATRON IATROSCAN MK-5、展開溶媒CHCl3:CH3OH=10:1)。また得られた生成物を同定するためFT−IR測定ならびに1H−NMR測定を行った。その結果を表6および表7に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
化合物(VIII)の合成
化合物(C)(Mw:893.13)0.71g(7.9×10-4mol)とジメチルエタノールアミン(Mw:89.14)0.35g(4.0×10-3mol)をアセトニトリル5mLに入れ、加熱還流を行った。加熱とともに溶液は懸濁状態から均一溶液になった。24時間後に反応の進行に伴って析出した無色の固体を吸引ろ過により集め、アセトニトリルで繰り返し洗浄した。アセトニトリル40mLで再結晶して、無色の粉末を得た(収量0.56g、収率72%)。得られた生成物の薄層クロマトグラフィーにおけるRf値は0であった(IATRON IATROSCAN MK-5、展開溶媒CHCl3:CH3OH=10:1)。また得られた生成物を同定するためFT−IR測定ならびに1H−NMR測定を行った。その結果を表8および表9に示す。
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
さらに、得られた生成物の元素分析を行った。その結果を表10に示す。
【0058】
【表10】
【0059】
実施例3
図3に示す反応スキームに従って、化合物(VI)により保護された金ナノ粒子(VI−AU)を調製した。
【0060】
0.215M塩化金酸水溶液4.65mL(1.00mmol)をメタノール100mLに溶解し、氷冷下で攪拌した。この溶液に、化合物(VI)(Mw:392.49)0.589g(1.50×10-3mmol)をメタノール100mLに溶解してゆっくりと加えた。そのまま氷冷下で30分間ゆっくりと攪拌した後、氷酢酸(キシダ特級)3mL(50mmol)を加え、さらに氷冷下で激しく攪拌しながら、1.0M NaBH4水溶液15mL(15mmol)を一気に加えた。このとき溶液は黄色から茶色へと変化した。そのままゆっくりと氷冷下で5分間攪拌した後、室温で30分間攪拌し、茶色の均一溶液を得た。溶媒を減圧留去して得られた残さを少量のメタノールに溶解し、アセトンおよび水で3回ずつ再沈澱を行った(収量0.20g)。得られたナノ粒子の構造を確認するために、電子顕微鏡観察(JEM 2000-FX、200kV)を行った。電子顕微鏡測定用のカーボン蒸着銅メッシュグリッドに(VI−AU)ナノ粒子のメタノール溶液を1滴滴下してデシケーター内で減圧乾燥を行ったものを試料とした。この結果を図4に示す。また図4中における280個の(VI−AU)粒子から求めた粒径分布を図5に示した。
【0061】
図4、図5において、得られた(VI−AU)ナノ粒子の平均粒径は2.1nmであり、標準偏差は0.4nmであった。
【0062】
さらに得られた(VI−AU)ナノ粒子の1H−NMR測定を行った。その結果を図6ならびに表11に示す。
【0063】
【表11】
【0064】
図6において、(VI−AU)ナノ粒子の1H−NMRスペクトルは、保護剤(VI)単独の1H−NMRスペクトルに比べてブロード化を示した。このような1H−NMRスペクトルの変化は、(VI−AU)ナノ粒子上に化合物(VI)が密に固定化されることにより、スピンースピン緩和が促進されためと解される。また(VI)単独で観測される2.6ppm付近のイオウのα位のメチレン水素は、(VI−AU)ナノ粒子の1H−NMRスペクトルにおいては観測されなかった。このことから、過剰の保護剤(VI)は含まれておらず、保護剤はすべて金表面に配位結合によって固定されていることが確認された。
【0065】
さらに得られた(VI−AU)ナノ粒子のFT−IR測定(KBrペレット法)を行った。その結果を図7ならびに表12に示す。参照試料として、(VI)の固体状態のIRスペクトル、ならびに水素結合していないアミド結合のスペクトルを得るために、(B)のジクロロメタン希薄溶液(3mg/mL)をBaF2 Windowのセル(セル長0.5mm)に入れて測定した。
【0066】
【表12】
【0067】
(VI−AU)ナノ粒子と化合物VIのIRスペクトルにおいて(図7)、(VI−AU)ナノ粒子のN−H変角(アミドII)の吸収ピークは1541cm-1に観測された。アミド基間に水素結合が形成されている(VI)の固体試料では、1545cm-1にN−H変角(アミドII)の吸収ピークが観測された。一方、水素結合がそれほど顕著でない、(B)のジクロロメタン溶液ではN−H変角(アミドII)の吸収ピークは1526cm-1に観測された(表12)。一般に、水素結合を形成したアミド基のN−H変角振動は高波数側にシフトすることが知られている。したがって、ナノ粒子上に配位固定化された保護剤分子VIは、固体状態と同様に分子間水素結合を形成しているものと解される。また、(VI−AU)ナノ粒子におけるC=O伸縮振動(アミドI,ν(C=O))の吸収は幅広く、1630cm-1付近にベンゼン骨格伸縮振動(1609cm-1)のショルダーピークとして現れた。アミド基が水素結合すると、C=O結合の電子密度が減少するために、アミドIは低波数シフトを起こすことが知られている。(B)のジクロロメタン溶液(1663cm-1)と比較して、(VI、固体試料)において観測された1634cm-1は大きく低波数シフトしており、水素結合を形成していると判断される。(VI−AU)ナノ粒子について観測されたアミドI吸収帯は、(VI、固体試料)の吸収よりもさらに低波数シフトしていることから、水素結合が強固に働いていることがさらに確認される。
【0068】
実施例4
化合物(VI)により保護された銀ナノ粒子(VI-AG)を調製した。
【0069】
500mlの三角フラスコに10mMの過塩素酸銀メタノール溶液50mlを加え、氷冷下で攪拌した。S:Ag(硫黄:銀)比で1:1になるようにメタノール50mに溶解させた化合物(VI)の溶液をゆっくりと加えた。そのまま氷冷下で2時間ゆっくりと攪拌した。つぎに氷浴下で攪拌しながら、0.1M NaBH4水溶液10mlを一定量ずつゆっくりと滴下した。溶液は黒黄色〜黒橙色へと変化した。そのままゆっくりと氷浴で5分間攪拌した後、室温で30分間攪拌した。反応終了後には、若干赤みのある黒黄色の均一溶液が得られた。溶媒を減圧留去し, 300mlのアセトンおよび水でそれぞれ洗い、メタノールに再分散させた後、限外濾過(分画分子量10000、メタノール1L使用)により精製した。濃縮された分散液を凍結乾燥させて、黒色粉末を得た。またこの(VI−AG)ナノ粒子の電子顕微鏡観察を行った結果、平均粒子径は3.2nmであった。
【0070】
実施例5
化合物(VI)により保護された白金ナノ粒子(VI−PT)を調製した。
【0071】
500mlの三角フラスコに5mMの塩化白金酸・六水和物のメタノール溶液100mlを加え、氷冷下で攪拌した。これにS:Pt(硫黄:白金)比で1:0.5になるように化合物(VI)を加えた。そのまま氷冷下で30分間ゆっくりと攪拌した後、氷冷下で0.4M NaBH4水溶液15mlを一気に添加した。溶液は黒茶色へかなり時間をかけて変化した。そのままゆっくりと氷浴で5時間攪拌した後、室温で36時間攪拌した。黒茶色の均一分散溶液が得られた。溶媒を減圧留去した後、300mlのアセトンおよび水でそれぞれ洗った。得られたナノ粒子粉末をメタノールに再分散させた後、限外濾過処理(分画分子量10000、メタノール1L使用)により精製した。またこの(VI−PT)ナノ粒子の電子顕微鏡観察を行った結果、平均粒子径は2.1nmであった。
【0072】
実施例6
化合物(VI)により保護された金ナノ粒子(VI−AU)と脂質(VII,n=16)からなる複合体(VI−AU)/VII(n=16)を調整した。
脂質(VII,n=16)(Mw:930.32)1.85mg(2.0×10-6mol)をメタノール〔キシダ化学、スペクトル測定用グレード〕0.200mLに入れ、60℃にて加熱溶解した。次に、金ナノ粒子(VI−AU)(平均粒径;2.1nm,SD;0.4nm)1.42mgをメタノール〔キシダ化学、スペクトル測定用グレード〕0.338mLに室温で溶解した。これらの溶液を希釈して得られた脂質(VII,n=16)の1mMメタノール溶液100μL(1.0×10-6mol)と、金ナノ粒子(VI−AU)の0.65mg/mLメタノール溶液100μL(〔IV〕=1.0×10-6mol)を50℃で混合し、茶色の均一溶液を得た。この混合溶液を冷蔵庫中(−20℃)に放置した後、窒素ガス気流下で溶媒を蒸発させた。得られた試料は、さらにデシケーター中にて減圧乾燥した。次に、この複合体試料(VI−AU)/VII(n=16)にクロロシクロヘキサンあるいはテトラヒドロフラン〔東京化成〕1.00mLを加え、約100℃の油浴で数十秒加熱した。(VI−AU)/VII(n=16)複合体は均一に溶解し、透明な茶色溶液が得られた。ナノ粒子(VI−AU)は単独ではクロロシクロヘキサンに溶解しないが、脂質との複合化によって、はじめてクロロシクロヘキサンに均一に可溶化できた。この溶液を室温まで放冷して10分ほど放置したところ、沈殿を生成することなくクロロシクロヘキサン溶液全体がゲル化した。この写真を図8に示す。
【0073】
複合体(VI−AU)/VII(n=16)の形成するゲルは、サンプル瓶をひっくり返しても溶液が流れないほど硬いゲルであった(図8)。また、脂質(VII)のみを同じ0.5mMの濃度でクロロシクロヘキサンに分散してもゲル化は起こらないことから、脂質と金ナノ粒子が複合体を形成することによって、ゲルを形成する高次構造が得られたものと解される。複合体(VI−AU)/VII(n=16)の濃度が高濃度(5mM程度)の場合、ゲルは時間が経つにつれ溶媒を吐き出して収縮し、大きさは最初の2/3程度となった。一方、より低濃度(0.5mM)のゲル試料では、ゲルの収縮はそれほど起こらなかった。一方、テトラヒドロフランを溶媒とした場合、収縮のない安定なゲルが得られた。得られたゲルを加熱すると、100℃付近で完全に溶解し、再び粘性のないゾル(溶液)となる。これを再び室温まで放冷すると、元の硬いゲルを与えることから、このゲルは可逆的なゾル−ゲル転移特性を有することが判った。また、ゲルを加熱して溶解し始める温度は80℃付近であるのに対し、いったん溶液となった試料を冷却してゲルが形成される温度は室温付近であった。このように、ゲルの溶解とゲル化の温度に大きな履歴を伴うことから、ゲル状態における(VI−AU)/VII(n=16)複合体の高次(会合)構造と溶液状態におけるそれは大きく異なることが示唆される。このことを確認するために、透過型電子顕微鏡(TEM)観察をおこなった。
【0074】
(VI−AU)/VII(n=16)複合体にクロロシクロヘキサンまたはテトラヒドロフランを加えて110℃で加熱溶解した(0.5mM)。この試料を恒温漕で100℃に保ち、パスツールピペットでカーボン蒸着した電子顕微鏡測定用の銅グリッド(TEMグリッド)上に溶液を一滴滴下して、デシケーター中で減圧乾燥させた。このときTEMグリッドおよびピペットは、あらかじめ乾燥器内で溶液と同じ温度に加熱しておいた。さらに、この溶液を70℃、25℃と冷却してゆき、それぞれの温度で同様にしてTEM観察試料を作製した。これらを透過型電子顕微鏡(HITACHI H−7500)で観察した。クロロシクロヘキサン溶液について得られた観察結果を図9(25℃)、図10(70℃)に示す。また、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルについて得られた観察結果を図11(22℃)に示す。
【0075】
クロロシクロヘキサン中、110℃の温度領域におけるTEM写真は図4と同様であり、(VI−AU)/VII(n=16)複合体ナノ粒子が個々に分散していた。クロロシクロヘキサンに溶解しない(VI−AU)ナノ粒子が安定に分散していることは、その表面に脂質VII(n=16)が吸着して覆っているため、溶解性が高められていることを示す。ここで、脂質VII(n=16)と(VI−AU)ナノ粒子表面との間には、脂質のアンモニウム基近傍のヒドロキシル基やブロミドイオンと、(VI−AU)ナノ粒子表面の水酸基との間の水素結合が働いているものと推測される。
一方、この溶液を25℃に冷却してゲル化した試料においては、金ナノ粒子が一次元状に配列し、その一次元配列構造が束なって、網目状に絡まり合っている様子が観察された(図9)。各々の束状構造(バンドル)は2本から6本のナノ粒子細線(ファイバー)が束なって形成している。バンドルの末端ではファイバーが一本だけ伸びている構造も観察された。このような網目構造の形成により、溶媒であるクロロシクロヘキサンのゲル化がもたらされたものと考えられる。一方、70℃の溶液状態にある試料については、1次元に配列したナノ粒子が安定に分散していることが明らかとなった(図10)。この場合、ナノ粒子は束状としてではなく、ナノ粒子一個の幅を有する細線として存在していた。この結果は、ナノ粒子の一次元的配列構造が、温度に依存して様々な分散様式を与えることを示す。70℃においては、(VI−AU)/VII(n=16)複合体のアルキル鎖の熱運動が大きく、粒子細線間に働くファンデルワールス力を上回るため、バンドル化が抑制されているものと解される。またテトラヒドロフランを溶媒とするゲルについても、金ナノ粒子の一次元配列が観察された(図11)。
【0076】
次に、電子顕微鏡で観察された単粒子細線の構造について検討した。(VI−AU)ナノ粒子の金コアの平均粒径は2.1nmである。また、保護剤(VI)および脂質VII(n=16)の分子長は、そのCPKモデルよりそれぞれ1.1nmおよび4.2nmである。図9、10において、単粒子列中に配列した金ナノ粒子コア間の距離は約2.2nmであった。これは保護剤(VI)の丁度二分子分(CPKモデルより2.2nm)に相当する。即ち、単粒子細線中において、ナノ粒子とナノ粒子は保護剤(VI)の表面で接触しており、これらの接触面においては脂質分子は介在していないものと考えられる。おそらくナノ粒子表面の水酸基間で水素結合が形成され、ナノ粒子の細線構造を安定化する要因となっているものと推察される。
一方、この単粒子細線が安定に分散していることは、その周囲を脂質VII(n=16)が覆っているためと考えられる。このとき隣接して配列した脂質VII(n=16)間にはアミド結合による水素結合ネットワークが形成され、ナノ粒子の一次元配列化を促進しているものと考えられる。(VI−AU)/VII(n=16)複合体ナノ粒子のクロロシクロヘキサン中における会合構造と温度との関係を模式的に図12に表した。アルキル鎖の熱揺らぎが減少する20℃付近では、このアルキル鎖で覆われた単粒子細線間にファンデルワールス力が働き、単粒子細線が束なる。このバンドルが網目状に絡み合うことにより、ゲルが形成されたものと解される。
【0077】
実施例7
実施例4で作製した(VI−AU)/VII(n=16)複合体ナノ粒子のクロロシクロヘキサンゲルについて、その熱安定性を評価した。比較対照試料として、ヒドロキシチオフェノールを保護剤として作製した金ナノ粒子(HOphS−Au,平均粒径、1.8nm)と脂質VII(n=16)から調整した脂質複合体(HOphS−Au)/VII(n=16)を用いた。(HOphS−Au)/VII(n=16)の調製は(VI−AU)/VII(n=16)複合体と同様にして行った。
【0078】
VII(n=16)の1mMメタノール溶液0.5mlとHOphS−Au ナノ粒子のメタノール溶液(0.65mg/mL、〔VI−AU〕=1mM)0.5mlを60℃のサンプル瓶中において混合した。60℃で5分間熟成させた後、フリーザー中(−20℃)で30分間放置した。N2ガス気流下で溶媒を除去した後、溶媒を減圧留去した。得られた(VI−AU)/VII(n=16)複合体にクロロシクロヘキサン1mLを加え、110℃で数分間加熱して溶解させた。これをあらかじめ110℃で加熱しておいた、紫外可視吸収(UV−Vis)スペクトル用のセル(光路長1mm)に移し、25℃まで冷却して溶液をゲル化させた。この試料を110℃に加熱して溶液状態にした後、25℃まで冷却してゲル化させる操作を1サイクルとして、計9サイクル繰り返した。各段階のUV−Visスペクトル測定を行い、(VI−AU)/VII(n=16)複合体の熱安定性を評価した。(VI−AU)/VII(n=16)複合体、(HOphS−Au)/VII(n=16)複合体ゲルについて昇温−降温のサイクルで得られたUV−Visスペクトルをそれぞれ図13、図14に示した。
【0079】
(VI−AU)/VII(n=16)複合体の場合(図13)、少なくとも9サイクルまでは、金ナノ粒子のプラズモン吸収に変化は認められなかった。このことは、(VI−AU)/VII(n=16)複合体の熱安定性が極めて高いことを意味する。一方、(HOphS−Au)/VII(n=16)複合体ゲルについては、加熱−冷却のサイクルを繰り返すにつれて金ナノ粒子の表面プラズモン吸収(520nm付近)が増大し、この変化は不可逆的であった(図14)。このような表面プラズモン吸収の吸光度の増大は、一般に金ナノ粒子の粒径が増大することにより引き起こされることが知られている。即ち、(HOphS−Au)ナノ粒子の粒径は、加熱を繰り返すことによって不可逆的に増大している。このことは、ヒドロキシチオフェノールにより保護された(HOphS−Au)ナノ粒子の耐熱性が低く、ヒドロキシチオフェノール配位子が高温で外れやすいこと、またこのために高い界面エネルギーを有する金ナノ粒子が融合し、より大きな粒子へ成長したためと解される。(VI−AU)/VII(n=16)複合体においては、ナノ粒子の表面に保護剤の第2級アミド基が発達した水素結合を形成しており、このため耐熱性が向上したものと考えられる。
【0080】
実施例8
(VI−AU)/脂質(V)複合体における脂質(V)のアルキル鎖(R2)部分を系統的に変化させて、そのシクロヘキサン溶液中における分散特性を評価した。各複合体は実施例6にならって調製した。表13に得られた結果を示す(〔V〕=1mM、〔V〕/〔VI〕=1:1)。
【0081】
【表13】
【0082】
アルキル鎖がn=8(R2=−(CH2)7CH3)より短くなると、ナノ粒子複合体はクロロシクロヘキサンには不溶であり、金ナノ粒子/脂質複合体の脂溶性を高めるためには、脂質のアルキル鎖長がn=12以上であることが好ましい。(VII,n=12,R2=−(CH2)11CH3),(VII,n=16,R2=−(CH2)15CH3)の複合体は,いずれもクロロシクロヘキサンをゲル化した。但し(VI−AU)/VII(n=12)複合体では1mMで硬いゲルとなり,逆さにしても流動しないものの、0.5mMにまで濃度を下げると粘性のある液体となる。このことは、(VI−AU)/VII(n=16)複合体が0.5mMの低濃度で硬いゲルを形成することと対照的であり、強固なゲルを得るためにはアルキル鎖の長さがn=16以上であることが好ましい。一方、cis二重結合を有するオレイル鎖型脂質(VIII)と(VI−AU)の複合体は室温では溶液(ゾル)状態であり、4℃に冷却してはじめてゲル化した。また4℃において、1mMの濃度では流動性のないゲルが得られるが、0.5mMでは流動性のあるゲルが得られた。このことは、cis二重結合を含むオレイル鎖の分子配向性が低く、クロロシクロヘキサンと相溶しやすい性質を有しているためと解される。(VI−AU)/VIII複合体の溶液状態、ゲル状態における分散状態を確認するために、透過型電子顕微鏡観察を行った。25℃、4℃における観察結果を図15、図16にそれぞれ示した。
【0083】
100℃における(VI−AU)/VIII複合体のTEM像は図4のそれと同様であり、ナノ粒子は会合せずに個々に分散していた。一方、25℃(溶液状態)ではナノ粒子が鎖状に配列した構造が観察された(図15)。1本の長さは数百nmから数μmにおよび、発達した秩序構造を形成している。この構造は、(VI−AU)/VII(n=16)複合体が50−80℃の温度領域で与える構造(図10)と類似しており、脂質のアルキル鎖を飽和炭化水素型から不飽和炭化水素型に変えることによって、親媒性(溶媒への親和性)が高まり、同時に単粒子細線間の相互作用(凝集力)が低下したことを意味する。4℃まで温度を下げると、単粒子細線は50nm前後の幅を有するバンドル構造となり、それらが絡み合ってゲルを与えるものと解される(図16)。
【0084】
このように、本発明の無機ナノ粒子/脂質複合体は、有機溶媒に分散してゲル化性を有し、またゲルを加熱すると溶液となる。ゲル状態では、ナノ粒子の一次元配列した単粒子細線が束成ったファイバー構造が、架橋構造を与えている。溶液状態ではナノ粒子が単粒子細線として分散するが、より高温(〜110℃程度)では個々の粒子として分散する。このように、金ナノ粒子の配列した溶液やゲルを簡便に作製できることから、多様な分野へ利用展開できる可能性を有している。
【0085】
以上、本発明をその好適な実施形態例及び実施例に基づいて説明したが、本発明の金属ナノ粒子/脂質複合体及びその製造方法は、上記実施形態例及び実施例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の無機ナノ粒子−両親媒性有機化合物複合体は、有機溶媒に分散して一次元配列構造を自発的に与え、有機化合物の分子構造、温度や濃度に依存したゲル化性を有する。本発明の無機ナノ粒子複合体からなるゲルは、一次元配列した無機ナノ粒子間の距離が1.6〜2.2nmと小さいために、効率の良い電子電導が期待でき、電子電導材料、電導性塗料、光素子や超微細配線の作成材料、ゲルアクチュエーター用材料、非線形光学材料、磁性材料、センサー材料や単一電子トランジスタ用材料等への応用の可能性を有している。特に、超微細配線の作成材料としては、薄型表示素子などの作製、電池分野への応用も期待できる。
【0087】
また本発明の無機ナノ粒子複合体は、電極基材上にキャストフィルムを作製することができ、金属電極の中間層用材料、薄型表示素子用の材料等への応用の可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェノール基を含む配位子(VI)の合成スキームを示すフローチャートである。
【図2】オレイル基を含むアンモニウム脂質(VIII)の合成スキームを示すフローチャートである。
【図3】フェノール基を含む配位子(VI)により保護された金ナノ粒子の合成スキームを示すフローチャートである。
【図4】(VI−AU)ナノ粒子のメタノール溶液をカーボン蒸着銅グリッドに滴下した試料の透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】図4における(VI−AU)粒子280個から求めた粒径分布をしめすヒストグラムである。
【図6】(a)化合物(VI)、(b)(VI−AU)粒子の1H−NMRスペクトル(250MHz)を示すチャートである。溶媒、CD3OD。δ3.3ppmならびにδ4.9ppmのピークはそれぞれ重水素化されていないメタノールと水のピークである。
【図7】(VI−AU)ナノ粒子(上)および化合物(VI)(下)のFT−IRスペクトル(KBrペレット法)を示すチャートである。
【図8】(VI−AU)/VII(n=16)複合体によるクロロシクロヘキサンゲルの写真である。(〔VII〕=0.5mM,25℃)。
【図9】(VI−AU)/VII(n=16)複合体シクロヘキサン溶液の透過型電子顕微鏡写真である。(試料温度、25℃)
【図10】(VI−AU)/VII(n=16)複合体シクロヘキサン溶液の透過型電子顕微鏡写真である。(試料温度、70℃)
【図11】(VI−AU)/VII(n=16)複合体のテトラヒドロフラン溶液(ゲル)の透過型電子顕微鏡写真である。(試料温度、22℃)。
【図12】(VI−AU)/VII(n=16)複合体の加熱−冷却にともなう分散形態変化のモデル図である。
【図13】(VI−AU)/VII(n=16)複合体クロロシクロヘキサンゲルのUV−VISスペクトルを示すチャートである。図中の文字は、ゲルを110℃に加熱して溶解させた後、25℃まで冷却する操作を1サイクルとして繰り返した回数を表す。〔VII(n=16)〕=0.5mM、(VI−AU)/VII(n=16)=1.0、1mmセル、25℃。
【図14】(HOphS−Au)/VII(n=16)複合体クロロシクロヘキサンゲルのUV−VISスペクトルを示すチャートである。図中の文字は、ゲルを110℃に加熱して溶解させた後、25℃まで冷却する操作を1サイクルとして繰り返した回数を表す。〔VII(n=16)〕=0.5mM、(HOphS−Au)/VII(n=16)=1.0、1mmセル、25℃。
【図15】4℃における(VI−AU)/VIII複合体クロロシクロヘキサン溶液の透過型電子顕微鏡写真である。
【図16】25℃における(VI−AU)/VIII複合体クロロシクロヘキサン溶液の透過型電子顕微鏡写真である。
Claims (19)
- 有機保護剤で保護された無機ナノ粒子と両親媒性有機化合物とからなる無機ナノ粒子複合体であって、有機保護剤が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びシアノ基から選択される極性基を含むC1〜C21アルキルチオールもしくは芳香族チオール化合物及びそれらのジスルフィド二量体、または、下記式(I):
- 無機ナノ粒子が、Au,Ag,Pd,Pt,Cu,Ni,Co,Fe,Mnの1種以上からなる金属ナノ粒子、CdS,CdSe、HgS,PbS,Cu2S,In2S3などの金属イオウ化物(金属カルコゲナイド)よりなるナノ粒子(半導体ナノ粒子)、またはFe2O3,Ag2O,TiO2,SiO2などの金属酸化物よりなるナノ粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載の無機ナノ粒子複合体。
- 溶液中で自発的に無機ナノ粒子の一次元配列、もしくはその架橋構造を形成する、請求項1〜5のいずれかに記載の無機ナノ粒子複合体。
- 低極性有機溶媒をゲル化し得ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無機ナノ粒子複合体。
- 請求項6記載の無機ナノ粒子複合体の一次元配列集積構造体。
- 請求項7記載の無機ナノ粒子複合体と低極性有機溶媒とからなるゲル。
- 有機保護剤で保護された無機ナノ粒子と両親媒性化合物とを極性溶媒中で混合し、その後溶媒を除去する工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の無機ナノ粒子複合体の製造方法。
- (i)請求項6記載の無機ナノ粒子複合体に低極性溶媒を加えて加熱することによって、前記無機ナノ粒子複合体を低極性溶媒中に分散させる工程、および
(ii)前記分散液を放冷することによって、前記無機ナノ粒子複合体の一次元配列集積構造体を溶媒中に分散させる工程
を含む、請求項8記載の無機ナノ粒子複合体の一次元配列集積構造体の製造方法。 - (i)請求項7記載の無機ナノ粒子複合体に低極性有機溶媒を加えて加熱することによって、前記無機ナノ粒子複合体を低極性有機溶媒中に分散させる工程;
(ii)前記分散液を放冷することによって、前記無機ナノ粒子複合体の一次元配列集積構造体を低極性有機溶媒中に分散させる工程;および
(iv)前記分散液をさらに低温に冷却することにより、前記一次元配列集積構造体を含むゲルを得る工程
を含む請求項9記載の無機ナノ粒子複合体と低極性有機溶媒とからなるゲルの製造方法。 - 無機ナノ粒子が、Au,Ag,Pd,Pt,Cu,Ni,Co,Fe,Mnの1種以上からなる金属ナノ粒子、CdS,CdSe、HgS,PbS,Cu2S,In2S3などの金属イオウ化物(金属カルコゲナイド)よりなるナノ粒子(半導体ナノ粒子)、またはFe2O3,Ag2O,TiO2,SiO2などの金属酸化物よりなるナノ粒子である、請求項16または17記載の無機ナノ粒子。
- 金属塩と有機保護剤を極性溶媒に溶解した溶液を還元反応に付すことを含む、請求項16〜18のいずれかに記載の無機ナノ粒子の製造方法。
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