JP4326034B2 - スチレン系発泡性樹脂粒子 - Google Patents

スチレン系発泡性樹脂粒子 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,残存モノマーやベンゼン等の発泡剤以外の揮発性物質の含有量が極めて少ない,発泡成形体を製造することができるスチレン系発泡性樹脂粒子に関する。
【0002】
【従来技術】
スチレン系発泡性樹脂粒子は比較的安価で,特殊な方法を用いずに低圧の蒸気等で発泡成形ができ,高い緩衝・断熱の効果が得られる社会的に有用な材料である。
【0003】
近年,医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野向けに,残存するスチレンモノマー及びベンゼン類を低減する試みがなされている。
例えば,特開平4−268347号には残存スチレンモノマーが2000ppm未満,ベンゼン含有量が1ppm未満のスチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法が開示されている。
【0004】
また,特開平6−80708号には,スチレンモノマーが400ppm未満,ベンゼン含有量が5ppm未満のスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記のスチレン系発泡性樹脂粒子には次の問題点がある。
即ち,スチレンモノマーやベンゼン成分はスチレン系樹脂に対して優れた可塑効果を持つことが知られている。よって,これらの成分の含有量を低下させると,スチレン系発泡性樹脂粒子の発泡性が悪くなり高倍化するのが困難になったり,成形時における予備発泡粒子同士の融着が低下する。また,スチレン系発泡性樹脂粒子の発泡性を補うためにスチレン系発泡性樹脂粒子の基材樹脂の分子量を低下させると,機械的強度が低下するという欠点がある。
【0006】
本発明は,優れた発泡性をもち,成形品にしたときに高い機械的強度を発揮でき,かつ残存スチレンモノマー及びベンゼン含有量が極めて少ない,スチレン系発泡性樹脂粒子を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1記載の発明は,残留スチレンモノマー量が1〜300ppm,ベンゼン量が1ppm以下のスチレン系発泡性樹脂粒子であって,
該スチレン系発泡性樹脂粒子は,脂肪族のカルボン酸と炭素数が1〜22のアルコールとのエステルである可塑剤0.1〜2重量%と,発泡剤とを含有し,
GPC法により測定した上記スチレン系発泡性樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)の値は,22万〜35万の間にあることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子である。
【0008】
本発明において最も注目すべきことは,上記特定範囲で残存スチレンモノマーとベンゼンとを含有し,かつ上記特定の可塑剤を上記特定範囲で含有させたことである。
【0009】
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は,残留スチレンモノマー量が1〜300ppm,ベンゼン含有量が1ppm以下である必要がある。
残留スチレンモノマー量が300ppmを超え,かつやベンゼン含有量が1ppmを超えると,そのスチレン系発泡性樹脂粒子を発泡させて得られた発泡成形体からスチレンモノマーやベンゼンが揮発する。そのため,その発泡成形体を,包装材として用いた場合,内容物等がこれらの有機物質で汚染されるため好ましくない。
【0010】
一方,残留スチレンモノマー量を1ppmより少なくすると,スチレン系発泡性樹脂粒子の製造時における重合時間が長くなりすぎ,製造コストが高くなる。また,ベンゼン含有量は少ない程良く,0ppmであってもよい。
【0011】
残留スチレンモノマー量,ベンゼン含有量を上記範囲内にする方法については,特に限定はされないが,例えば懸濁重合時において開始剤として脂肪族パーオキシエステルを使用することが有効である。通常,スチレン系発泡性樹脂粒子の重合は80℃〜100℃で重合の第1段階を行い,100℃〜130℃で重合の第2段階を行っており,高温部の開始剤と低温部の開始剤を使用する。
【0012】
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子を得る方法としては,例えば低温部の開始剤として10時間半減期を得るための温度が72〜74℃であるパーオキシエステル系脂肪族過酸化物と,高温部の開始剤として10時間半減期を得るための温度が90〜120℃であるパーオキシエステル系脂肪族過酸化物とを組み合わせて使用する方法が挙げられる。
これらの物質は,残留モノマー量を上記範囲になるように組み合わせる。
【0013】
また,本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子を得るために,可塑剤を重合反応系中に添加することが必要である。ここでいう可塑剤とは,スチレンと相溶性を持つ物質であり,溶解度パラメーター(SP値)が7〜10の有機化合物を用いることが好ましい
【0014】
ここに,ポリスチレンのSP値は9.1であることから,可塑剤としてSP値が7〜10のものを使用することが,ポリスチレンとの相溶性が高いため好ましい。SP値が7未満もしくは10を超える場合には,ポリスチレンとの相溶性が低く,可塑効果が低下する。
【0015】
上記可塑剤は,スチレン系発泡性樹脂粒子中に0.1〜2重量%含有させる。0.1重量%未満の場合は可塑化効果が少なく,スチレン系発泡性樹脂粒子より得られる発泡成形体における融着性や外観性が悪い。また,2重量%を超えると,強度低下への影響が大きく,また,製造コストが高くなる。
【0016】
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子を得る一つの具体的な方法としては,スチレン系単量体を重合開始剤及び懸濁剤の存在下で水性媒体中に分散させた後に重合反応を開始し,懸濁重合中に発泡剤を添加するか,又は重合後に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。
【0017】
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子を得るために使用できるスチレン系単量体としては,スチレン,α−メチルスチレン,o−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,ビニルトルエン,p−エチルスチレン,2,4−ジメチルスチレン,p−メトキシスチレン,p−フェニルスチレン,o−クロロスチレン,m−クロロスチレン,p−クロロスチレン,2,4−ジクロロスチレン,p−n−ブチルスチレン,p−t−ブチルスチレン,p−n−ヘキシルスチレン,p−オクチルスチレン,スチレンスルホン酸,スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0018】
また,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル;メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル;ヒドロキシエチルアクリレート,ヒドロキシエチルメタクリレート,ヒドロキシプロピルアクリレート,ヒドロキシプロピルメタクリレート,ヒドロキシブチルアクリレート,ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有する不飽和化合物;アクリロニトリル,メタクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物;酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル等の有機酸ビニル化合物;エチレン,プロピレン,1−ブテン,2−ブテン,イソブテン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン,イソプレン,クロロプレン等のジエン化合物;塩化ビニル,塩化ビニリデン,臭化ビニル,フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;ビニルメチルケトン,ビニルエチルケトン,ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル,ビニルエチルエーテル,ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン,N−ビニルインドール,N−ビニルカルバゾール,N−ビニルピロール等のN−ビニル化合物;アクリルアミド,メタクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド,N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を有する不飽和化合物;アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸等の不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド,N−(メチル)フェニルマレイミド,N−(ヒドロキシ)フェニルマレイミド,N−(メトキシ)フェニルマレイミド,N−安息香酸マレイミド,N−メチルマレイミド,N−エチルマレイミド,N−n−プロピルマレイミド,N−イソプロピルマレイミド,N−n−ブチルマレイミド,N−イソブチルマレイミド,N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼン,エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性多官能ビニル化合物;グリシジルアクリレート,グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する不飽和化合物,などの各種のビニル系化合物を併用しても良い。
【0019】
また,上記の重合開始剤としては,たとえばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物,クメンヒドロパーオキサイド,ジクミルパーオキサイド,t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート,t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート,t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート,ラウロイルパーオキサイド等の単量体に可溶な開始剤が挙げられる。
【0020】
重合開始剤の使用量は,仕込み単量体の全重量100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましい。0.01重量部未満では重合速度が遅くなり過ぎ,逆に3重量部を超えると製造コストが高くなる。
【0021】
スチレン系発泡性樹脂粒子を得るために使用される懸濁剤としては,例えばポリビニルアルコール,メチルセルロース,ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子,ピロリン酸マグネシウム,第3燐酸カルシウム等の難溶性無機塩等を用いることができ,これらは界面活性剤を併用してもよい。なお,難溶性無機塩を用いる場合は,アルキルスルホン酸ソーダ,ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤を併用するのが好ましい。
【0022】
懸濁剤の使用量は,仕込み単量体の全重量100重量部に対し0.01〜5.0重量部が好ましい。前記した難溶性無機塩とアニオン性界面活性剤との併用系では,それぞれ仕込み単量体の全重量100重量部に対し,難溶性無機塩を0.05〜3.0重量部,アニオン性界面活性剤を0.0001〜0.5重量部用いることが好ましい。
【0023】
尚,単量体の水性媒体への添加方法は,予め一括に仕込んでもよいし,徐々に添加しながら行っても良い。(特公昭46−2987号,特公昭49−2994号参照)
【0024】
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子を得るために使用される発泡剤としては,たとえばプロパン,ノルマルブタン,イソブタン,ノルマルペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロブタン,シクロペンタン等の脂環族炭化水素;塩化メチル,ジクロルフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤;さらには炭酸ガス,窒素,アンモニア等の無機ガスが挙げられる。これらの発泡剤は1種類を単独で,又は2種以上を併用して使用できる。
【0025】
発泡剤は,通常,スチレン系発泡性樹脂粒子の発泡剤含有量が1〜20重量%になる程度の量が供給される。ただし,環境に及ぼす影響を考慮した場合,発泡剤含有量は少なければ少ない方が良い。
【0026】
次に,上記可塑剤は,脂肪族のカルボン酸と炭素数が1〜22のアルコールとのエステルである。
上記のエステルは,ポリスチレンに対する相溶性が高く,可塑化効果も高いため,成形時において,予備発泡粒子同士の融着の度合いが高くなるという効果が得られる。
一方,炭素数が22を超えるものについては,工業的に入手しにくいだけでなく,スチレンモノマーに対する溶解性が悪化する。そのため,均一分散化に時間がかかるため好ましくない。
【0027】
次に,本発明においては,GPC法により測定したスチレン系発泡性樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)の値は,22万〜35万の間にある
この場合には,予備発泡粒子同士がよく融着し,かつ高い機械的強度をもつ発泡成形耐が得られる。
また,Mwが22万未満では,発泡成形体の強度が低下するおそれがある。
一方,35万を超えると,予備発泡及び発泡成型時において基材樹脂の伸びが不足し,発泡成形体の融着や外観に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0028】
次に,請求項記載の発明のように,上記エステルは,炭素数が6〜22の脂肪酸とグリセリンのトリエステルまたはモノエステルのアセチル化物であることが好ましい。
上記の物質は,ポリスチレンに対する可塑化効果が特に高く,予備発泡粒子同士が特によく融着した発泡成形体が得られる。また,これらの可塑剤は揮発性がないか,もしくは低く,発泡成形体より溶出しないため好ましい。
また,炭素数が6未満では,可塑剤が揮発するため好ましくない。
一方,炭素数が22を超えるものについては,工業的に入手しにくいだけでなく,スチレンモノマーに対する溶解性が悪化する。そのため,均一分散化に時間がかかるため好ましくない。
【0029】
次に,請求項3記載の発明のように,上記エステルは,アジピン酸と炭素数6〜22の脂肪族アルコールとのモノエステルまたはジエステルであることが好ましい。
上記の物質は,ポリスチレンに対する可塑化効果が特に高く,予備発泡粒子同士の特によく融着した発泡成形体が得られる。また,これらの可塑剤は揮発性がないか,もしくは,低く発泡成形体より溶出しないため好ましい。
また,炭素数が6未満では,可塑剤が揮発するため好ましくない。
一方,炭素数が22を超えるものについては,工業的に入手しにくいだけでなく,スチレンモノマーに対する溶解性が悪化する。そのため,均一分散化に時間がかかるため好ましくない。
【0030】
次に,請求項記載の発明のように,上記発泡剤は,沸点が100℃以下の脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素を,1〜5重量%含有されていることが好ましい。
この場合には,発泡成形体に残存する発泡剤が殆どなくなることから,発泡成形体からの揮発成分が少なくなるので好ましい。
また,含有されている量が1重量%未満では,発泡力が不足するため,発泡しなかったり,成形時において予備発泡粒子同士の融着が不足するなどの問題が起こるので好ましくない。
一方,5重量%を超えると,発泡成形体中に発泡剤が多量に存在し,徐々に揮発するため好ましくない。
【0031】
また,スチレン系単量体には,気泡形成剤としてのメタクリル酸メチル系共重合体,ポリエチレンワックス,タルク,エチレンビスステアリルアミド,メチレンビスステアリルアミド,エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等を添加しておくことができる。
【0032】
さらに,難燃剤,難燃助剤,帯電防止剤,導電化剤,セル核剤,粒度分布調整剤等の一般的にスチレン系発泡性樹脂粒子の製造に使用されている添加剤を適宜添加したり,ブタジエンゴム,スチレン・ブタジエンゴム等のゴム成分を混合することもできる。
【0033】
また,得られたスチレン系発泡性樹脂粒子に熱処理を施して,更にそれら粒子を用いて成形された発泡成形体の表面外観を向上させてもよい。
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は,これを予備発泡させ,その後それを加熱発泡させ,発泡成形体とする。
予備発泡方法としては,例えば円筒形の予備発泡機を用いて,スチーム等で加熱し発泡させる等の方法がある。
【0034】
また,予備発泡樹脂粒子を発泡成形させる方法としては例えば,金型内に予備発泡粒子を充填し,スチーム等を吹き込んで加熱する,通常の所謂型内成形法で発泡成形体を得る等の方法が挙げられる。
この様にして,得られた発泡成形体の密度は,低過ぎると強度が不足し,逆に高過ぎると経済的に不適当であることから,10〜50g/Lであるのが好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に,本発明に関する実施例及び比較例につき説明する。
実施例1
攪拌器付き50リットルオートクレーブに,イオン交換水18リットル,懸濁剤としての第3燐酸カルシウム(太平化学社製)40g,界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gを投入した。
【0036】
次いで攪拌下に,開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート54g,及びt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート45g,可塑化剤としてのグリセリントリステアレート(GTS)90gを,スチレンモノマー18kgに溶解させたものを投入した。
【0037】
攪拌下で30分間室温のまま放置した後,1時間半かけて90℃まで昇温し,60℃で懸濁助剤としての過硫酸カリウムの0.1%水溶液を90g加え,そのまま7時間かけて120℃まで昇温した。途中,90℃到達から4時間30分経過したところで,発泡剤としてのブタン400gとペンタン800gとをオートクレーブ内に圧入した。その後,120℃で6時間保持した後,6時間かけて30℃まで冷却した。
【0038】
次いで,遠心分離器にて脱水し,酸洗浄してスチレン系発泡性樹脂粒子の表面の第3リン酸カルシウムを除去した。その後,流動乾燥装置で上面付着水分を除去し,スチレン系発泡性樹脂粒子を得た。
【0039】
得られたスチレン系発泡性樹脂粒子を予備発泡機(株式会社ダイセン工業製
DYH−850)で,常法により嵩密度20g/Lに発泡させた。
こうして得られた予備発泡粒子を,1日室温で放置(熟成)した後,これを28×35×15cmの大きさの箱型の金型内に充填し,0.7kgf/cm2 ・Gの水蒸気を20秒間吹き込んで加熱成形し,発泡成形体を得た。
【0040】
上記のようにして得られるスチレン系発泡性樹脂粒子の重量平均分子量,スチレン系発泡性樹脂粒子に含まれる残存スチレンモノマー量,ベンゼン量,発泡成形体の表面外観,融着度,曲げ強度,圧縮強度および落球衝撃強度高さを下記の方法で評価した。
【0041】
評価方法
重量平均分子量;スチレン系発泡性樹脂粒子をクロロホルムの0.25%溶液にして,GPC法にて測定し,標準ポリスチレンで換算した。
残留スチレンモノマー量;スチレン系発泡性樹脂粒子をジメチルホルムアミドの溶液にして,ポリエチレングリコールを充填したカラムを用いたガスクロマトグラフィー法を用いて測定した。
【0042】
ベンゼン含有量;スチレン系発泡性樹脂粒子をジメチルホルムアセトアミドの溶液にして,ポリエチレングリコールを充填したカラムを用いたガスクロマトグラフィー法により測定した。
表面外観;発泡成形体の表面外観を目視により下記基準にて評価した。
○;溶融した粒子はなく,粒子間の間隙もなく,見栄えがよい。
△;溶融した粒子が表面にあるか又は粒子間に間隙があり見栄えが悪い。
×;溶融した粒子があるか又は粒子間に間隙があり見栄えが著しく悪い。もしくは発泡成形体が得られない。
【0043】
融着度;発泡成形体において予備発泡粒子同士が完全に接着(融着)している割合であり,発泡成形体を割った断面において,予備発泡粒子の界面以外で裂けている割合を目視で測定した。
【0044】
曲げ強度;発泡成形体を縦300mm,横75mm,厚さ25mmに切断して試験片とし,JIS A 9511に準拠して曲げ強度を測定した。
圧縮強度;発泡成形体を縦50mm,厚さ25mmに切断して試験片とし,JIS Z 0234に準拠して圧縮強度を測定した。
【0045】
落球衝撃強度高さ;発泡成形体を縦200mm,横40mm,厚さ25mmに切断して試験片とし,重量255gの剛球を垂直に落下させ発泡成形体の50%が破壊したところの落下高さとする。(JIS K7211に準拠)
【0046】
実施例2
発泡剤として使用するブタンとペンタンの量を,それぞれブタン500gとペンタン1Kgを加える他は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0047】
実施例3
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートの代わりに,開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート45gを加える他は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0048】
比較例4
グリセリントリステアレートの代わりに可塑剤としてジ(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP)を90g添加する以外は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0049】
実施例4
グリセリントリステアレートの代わりに可塑剤としてグリセリンジアセトモノラウレート(GAL)(理研ビタミン社製,商品名リケマールPL−012)を90g添加する以外は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0050】
実施例5
グリセリントリステアレートの代わりに可塑剤としてココナッツオイル(CCO)を90g添加する以外は全て上記実施例1と同様に行った。
【0051】
比較例1
開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加量を90gとする以外は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0052】
比較例2
同じく上記t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの添加量を27gとする以外は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0053】
比較例3
可塑剤としてのグリセリントリステアレートの添加量を0とする他は,全て上記実施例1と同様に行った。
【0054】
以上の各実施例及び各比較例における,スチレン系発泡性樹脂粒子の重量平均分子量,スチレン系発泡性樹脂粒子に含まれる残存スチレンモノマー量,ベンゼン量,発泡成形体の表面外観,融着度,曲げ強度,圧縮強度及び落球衝撃強度高さについて,表1に示した。
【0055】
【表1】
Figure 0004326034
【0056】
表1より,本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は,表面外観,融着度,曲げ強度,圧縮強度及び衝撃強度がいずれも優れていることが分かる。
【0057】
【発明の効果】
以上により,優れた発泡性をもち,成形品にしたときに高い機械的強度を発揮でき,かつ残存スチレンモノマー及びベンゼン含有量が極めて少ない,スチレン系発泡性樹脂粒子を提供することができる。

Claims (4)

  1. 残留スチレンモノマー量が1〜300ppm,ベンゼン量が1ppm以下のスチレン系発泡性樹脂粒子であって,
    該スチレン系発泡性樹脂粒子は,脂肪族のカルボン酸と炭素数が1〜22のアルコールとのエステルである可塑剤0.1〜2重量%と,発泡剤とを含有し,
    GPC法により測定した上記スチレン系発泡性樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)の値は,22万〜35万の間にあることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
  2. 請求項1において,上記エステルは,炭素数が6〜22の脂肪酸とグリセリンのトリエステルまたはモノエステルのアセチル化物であることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
  3. 請求項1において,上記エステルは,アジピン酸と炭素数6〜22の脂肪族アルコールとのモノエステルまたはジエステルであることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
  4. 請求項1において,上記発泡剤は,沸点が100℃以下の脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素を,1〜5重量%含有されていることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
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