JP4324434B2 - 放熱部材及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は放熱部材及びその製造方法に関し、更に詳細には金属部品の表面にカーボンナノファイバとめっき金属とから成る複合めっき皮膜が形成された放熱部材及びその製造方法に関する。
半導体装置が搭載された小型電子機器では、半導体素子から発生する熱を速やかに外部に放熱することが、電子機器の性能を保持するうえで大切である。
従来は、電子機器内に装着したファン等の排熱装置によって強制的に熱を外部に排出していた。
しかし、電子機器の小型化、薄型化に伴なって、電子機器内に排熱装置を設置できるスペースの確保が極めて困難になりつつあること、排熱装置の騒音解消の要望が強いこと等のため、電子機器の密閉化等が考えられている。
一方、電子機器を密閉化した場合には、半導体素子から発生する熱を速やかに外部に放熱する放熱部材としてのヒートシンクの性能が重要である。
かかるヒートシンクとしては、下記特許文献1に、金属板の表面にカーボンブラックとチタニア(TiO2)とが配合された塗膜を形成したヒートシンクが提案されている。
特開2002−226783号公報(特許請求の範囲)
特許文献1の記載によれば、金属板の表面にカーボンブラックのみが配合された塗膜を形成したヒートシンクでは、図11(a)に示す様に、波長が6μm以下では黒体に近似した良好な放射強度を呈するものの、波長が6μmを越え、特に12μm以上では黒体の放射強度に比較して劣っている。これに対し、金属板の表面にチタニアのみが配合された塗膜を形成したヒートシンクでは、図11(b)に示す様に、波長が6μm以下では黒体の放射強度に比較して劣っているものの、波長が6μmを越え、12μm以上では黒体に近似した良好な放射強度を呈する。
この様に、短波長側の放射強度が良好のカーボンブラックと、長波長側の放射強度が良好のチタニアとが配合された塗膜を形成したヒートシンクでは、カーボンブラックとチタニアとの各々の放射強度が劣る部分を補うことができる結果、幅広い波長での放射強度を向上でき、放熱性を向上できるというものである。
しかし、特許文献1のヒートシンクでは、金属板の表面にカーボンブラックとチタニアとが配合された塗膜を形成しているため、バインダーとしての有機樹脂を用いることを要する。かかる有機樹脂は、一般的に金属に比較して熱伝導率等の熱特性が劣るものである。この様に、熱特性が金属よりも劣る有機樹脂を用いることから、カーボンブラックとチタニアとの配合量を塗膜の乾燥質量に対して合計で5質量%以上とすることを必要とする。
また、二種の熱放射材を用いることは、その均一混合等に多大の注意を払うことを要するため、一種の熱放射材を用いることによって熱放射特性が向上されたヒートシンクが望まれている。
そこで、本発明の課題は、金属部品の表面に、一種類の熱放射材を金属マトリックス中に配合された皮膜を形成した放熱部材及びその製造方法を提供とすることにある。
本発明者等は、前記課題を達成すべく検討を重ねた結果、カーボンナノファイバを分散した電解めっき液を用い、金属板の表面に電解めっきによって複合めっき皮膜層を形成した放熱部材によれば、熱放射特性を向上できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、カーボンナノファイバが分散されためっき液を用いためっきによって形成された、前記カーボンナノファイバとめっき金属とから成る複合めっき皮膜層が、金属部品の表面に形成されている放熱部材であって、前記複合めっき皮膜層の表面を形成するカーボンナノファイバには、前記めっき金属で覆われている部分と前記カーボンナノファイバの表面が露出している部分とが併存し、且つ前記複合めっき皮膜層の波長3〜30μmの領域における熱放射率が、黒体の波長3〜30μmの領域における熱放射率に対して0.3以上となるように、前記カーボンナノファイバの表面が露出していることを特徴とする放熱部材にある。
また、本発明は、カーボンナノファイバが分散された電解めっき液を用いた電解めっきによって、前記カーボンナノファイバとめっき金属とから成る複合めっき皮膜層が金属部品の表面に形成された放熱部材を製造する際に、前記電解めっき液には、カーボンナノファイバを分散する分散剤として、アルキンジオール分子中にオキシエチレン側鎖を有するアルキンジオール化合物であって、前記アルキンジオール化合物の分子量の少なくとも20重量%をオキシエチレン側鎖が占める分散剤を用い、且つ陰極に接続された金属部品のめっき面を電解めっき液の液面に対して水平に載置すると共に、前記金属部品のめっき面の上方に陽極を配設し、前記金属部品及び陽極を上下方向に揺動しつつ、電解めっき液を攪拌して、前記金属部品に電解めっきを施すことを特徴とする放熱部材の製造方法でもある。
かかる本発明において、露出するカーボンナノファイバの投影面積を、複合めっき皮膜層の表面に対して3%以上とすることによって、放熱部材の波長3〜30μmの領域における熱放射率を向上できる。
この様に、複合めっき皮膜層の表面を形成するカーボンナノファイバに、めっき金属で覆われている部分と露出している部分とを併存させるには、複合めっき被膜に配されたカーボンナノファイバを、前記複合めっき皮膜の表面に対して横向きに配することが有利である。
また、めっき液中のカーボンナノファイバの混合量を、100ppm以上とすることによって、所望の熱放射率の複合めっき皮膜を容易に形成できる。
更に、カーボンナノファイバとして、径が100〜300nmで且つ長さが1〜20μmのカーボンナノファイバを好適に用いることができる。
尚、金属部品のめっき面に電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成した後、前記複合めっき皮膜にエッチングを施すことによっても、前記複合めっき皮膜層の表面を形成するカーボンナノファイバに、前記めっき金属で覆われている部分と露出している部分とを併存させることができる
本発明で用いるカーボンナノファイバは、波長3〜30μmの領域における熱放射率が黒体に近似し且つ熱伝導率も優れている。かかるカーボンナノファイバが、本発明に係る放熱部材を形成するめっき金属から成る金属マトリックス中に配合されている。このため、金属板の表面から複合めっき皮膜層の表面に熱が迅速に伝達される。
更に、カーボンナノファイバとめっき金属とから成る複合めっき皮膜層の表面には、放熱特性に優れたカーボンナノファイバの一部が露出し、複合めっき皮膜の表面に到達した熱を迅速に外部に放熱できるため、放熱部材の放熱性を向上できる。
しかも、複合めっき皮膜層の波長3〜30μmの領域における熱放射率が、黒体の波長3〜30μmの領域における熱放射率に対して0.3以上となるように、カーボンナノファイバの表面が露出しているため、放熱部材の放熱性を更に向上できる。
その結果、放熱性が向上された放熱部材としてのヒートシンクを具備する筐体内に、半導体素子等を密閉化した電子機器では、半導体素子等から発生する熱を速やかに筐体外に放熱でき、電子機器の更なる小型化、薄肉化を図ることができる。
尚、半導体素子等を密閉する筐体自体を、本発明に係る放熱部材で形成することによっても、半導体素子等から発生する熱を速やかに筐体外に放熱できる。
本発明に係る放熱部材では、カーボンナノファイバ(以下、CNFと称することがある)が分散されためっき液を用いて金属部品の表面にめっきを施し、カーボンナノファイバとめっき金属とから成る平滑な表面の複合めっき皮膜層を形成する。
この金属部品としては、熱伝導率が良好な金属、例えば銅、鉄又はこれらの合金から成る金属部品を好適に用いることができる。かかる金属部品の全表面に、金属部品を形成する金属よりも熱伝導率が良好な金属、例えば銅、ニッケル、銀、すず等の金属から成る金属層をめっきによって形成してもよい。
また、CNFとしては、中実体のカーボンナノファイバ、或いはカーボンナノチューブを用いることができ、両者を混合してもよい。このCNFとしては、径が100〜300nmで且つ長さが1〜20μmのCNFを好適に用いることができる。
尚、CNFに代えて汎用されているPAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維を用いた場合には、複合めっき被膜の表面を平滑面に形成することが困難である。
かかるCNFが分散されためっき液としては、電解めっきによってめっき金属から成るめっき皮膜層を金属部材の表面に形成し得る電解めっき液が好ましい。このめっき金属としては、熱伝導率が良好で且つ錆び難い金属、例えばニッケル、銅、金、銀から成るめっき金属が好ましい。
かかる電解めっき液には、カーボンナノファイバを分散する分散剤としてのアルカンジオール化合物、アルケンジオール化合物又はアルキンジオール化合物が配合されている。特に、アルキンジオール分子中にオキシエチレン側鎖を有するアルキンジオールであって、このアルキンジオール化合物の分子量の少なくとも20重量%をオキシエチレン側鎖が占める分散剤を好適に用いることができる。このオキシエチレン側鎖が占める割合を85重量%以下とすることが好ましい。
更に、電解めっき液には、界面活性剤としてのケトン基、アルデヒド基又はカルボン酸基を有する有機化合物、カーボンモノオキサイド化合物、クマリン誘導体、アリルアルデヒドのスルホン化物、アリル基を有するスルホン化合物、アルキレンカルボキシエステル、アルキレンアルデヒド、アセチレン誘導体、ピリジウム化合物、アルカンスルホン化合物又はアゾ化合物が配合されていてもよい。
かかる電解めっき液にCNFを分散するには、予め分散剤溶液に浸漬して分散性を向上したCNFを電解めっき液に混合することが好ましい。
電解めっき液に混合するCNFの混合量は、100ppm以上が好ましく、更に好ましくは500ppm以上、特に好ましくは1000ppm以上である。CNFの混合量の上限は1重量%程度である。CNFの混合量が1重量%を越えると、CNFの分散が困難となる傾向にある。
この様にCNFが分散された電解めっき液を用いて電解めっきを施す際には、CNFの分散状態を維持するため、電解めっき液を攪拌しつつ、電流密度を3A/dm2以下で施すことが好ましい。電流密度を3A/dm2を越える条件で電解めっきを施すと、形成される複合めっき皮膜層の表面が凹凸面になり易い傾向にある。
更に、直流電源の陰極に接続されて電解めっき液の液面に対して水平に載置した金属部品のめっき面の上方に直流電源の陽極に接続された陽極板を載置し、金属部品と陽極板とを上下方向に揺動させつつ電解めっきを施すことによって、CNFを金属部品のめっき面に均一に配設できる。
かかる電解めっきによって、金属部品の表面には、CNFとめっき金属とから成る複合めっき皮膜層を形成できる。この複合めっき被膜層は、その表面が平滑であって、CNFの多数本が複合めっき皮膜の表面に対して横向きに配されている。
この様に、金属板の表面に形成された複合めっき皮膜層では、CNFが複合めっき皮膜の表面に対して横向きに配されているため、その表面を形成するCNFには、めっき金属で覆われている部分と露出している部分とが併存する
の露出するCNFの露出面積を、電子顕微鏡の顕微鏡写真から投影面積として算出すると、露出するCNFの投影面積は、複合めっき皮膜層の表面に対して3%以上となる。
かかる複合めっき皮膜層が金属板の表面に形成された放熱部材では、波長3〜30μmの領域における熱放射率を、黒体の波長3〜30μmの領域における熱放射率に対して0.3以上とすることができる。
つまり、複合部材を構成する金属部品の表面に形成された複合めっき皮膜では、熱伝導率等の熱特性に優れたCNFが、熱伝導率等の熱特性に優れためっき金属から成る金属マトリックス中に横向きに配されているため、金属部材の表面から複合めっき皮膜層の表面に熱が迅速に伝達される。
更に、複合めっき皮膜層の表面に、めっき金属で覆われている部分と露出している部分とが併存するCNFが存在しており、かかるCNFの露出面からは、めっき金属から伝熱された熱が直ちに放熱されるため、複合めっき皮膜層の放熱性を向上できるものと考えられる。
尚、金属部品のめっき面に電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成した後、この複合めっき皮膜にエッチングを施すことによっても、複合めっき皮膜層の表面に、めっき金属で覆われている部分と露出している部分とが併存するCNFを存在させることができる。
電解めっき液として、硫酸ニッケル・6水和物(100g/L)、塩化ニッケル・6水和物(45g/L)、ホウ酸(30g/L)、界面活性剤としての2−ブチン−1,4−ジオール(0.01wt%)及びアルキンジオール分子中にオキシエチレン側鎖を有するアルキンジオール化合物であって、このアルキンジオール化合物の分子量の85重量%をオキシエチレン側鎖が占める分散剤(1.0 wt%)を添加した電解めっき液を用いた。
この電解めっき液には、径が100〜300nmで且つ長さが10〜20μmのCNFを、100ppmとなるように混合した。
かかるCNFが混合された電解めっき液は、図1に示す様に、めっき槽10に貯留される。この電解めっき液12には、めっき面にマスキングテープによって有効面積が18cm2となるように面積規制された金属部品としての銅板14を、このめっき面と電解めっき液12の液面とが平行となるように浸漬すると共に、銅板14のめっき面の上方にニッケル板18を浸漬する。その後、直流電源16の陰極に銅板14を接続すると共に、直流電源16の陽極にニッケル板18を接続し、電流密度を1A/dm2に調整しつつ、電解ニッケルめっきを施した。この電解ニッケルめっきの際には、めっき液温度を50℃に維持しつつ、電解めっき液に攪拌機19によって攪拌を施すと共に、銅板14とニッケル板18とを上下方向(矢印A方向)に揺動した。
かかる電解ニッケルめっきは、銅板14のめっき面に厚さ20μmの複合めっき皮膜層が形成されるまで継続した。
銅板14のめっき面に所定厚さの複合めっき皮膜層が形成されて放熱部材としてのヒートシンクが得られたとき、電解めっきを終了した。めっき液から取り出して洗浄したヒートシンクの複合めっき被覆層の表面が平滑であった。
かかる複合めっき皮膜層の表面を電子顕微鏡で約5000倍に拡大して観察した。この電子顕微鏡による拡大写真を図2に示す。図2からも判る様に、複合めっき皮膜層の表面には、複合めっき皮膜層の表面に対して多数本の横向きに配設されたCNFが存在している。この様に、複合めっき皮膜層の表面に配設されたCNFには、めっき金属としてのニッケルが析出して覆われている部分と露出している部分とが併存するCNFが存在している
図2に示す露出するCNFの投影面積を、図2に示す電子顕微鏡写真から測定すると、複合めっき皮膜層の表面に対して3%であった。
実施例1において、CNFの混合量を500ppmとした他は、実施例1と同様に、電解ニッケルめっきを施し、銅板の表面に厚さ20μmの複合めっき皮膜層が形成されたヒートシンクを得た。この複合めっき皮膜層は平滑であって、その表面を電子顕微鏡で約5000倍に拡大して観察した。
電子顕微鏡による拡大写真を図3に示す。図3からも判る様に、複合めっき皮膜層の表面には、複合めっき皮膜層の表面に対して多数本の横向きに配設されたCNFが存在している。この様に、複合めっき皮膜層の表面に配設されたCNFの露出部分が、図2に示す複合めっき皮膜層の表面に比較して拡大されている。
図3に示す露出するCNFの投影面積を、図3に示す電子顕微鏡写真から測定すると、複合めっき皮膜層の表面に対して7%であった。
実施例1において、CNFの混合量を1000ppmとした他は、実施例1と同様に、電解ニッケルめっきを施し、銅板の表面に厚さ20μmの複合めっき皮膜層が形成されたヒートシンクを得た。この複合めっき皮膜層は平滑であって、その表面を電子顕微鏡で約5000倍に拡大して観察した。
電子顕微鏡による拡大写真を図4に示す。図4からも判る様に、複合めっき皮膜層の表面には、複合めっき皮膜層の表面に対して多数本の横向きに配設されたCNFが存在している。この様に、複合めっき皮膜層の表面に配設されたCNFの露出部分が、図2及び図3に示す複合めっき皮膜層の表面に比較して拡大されている。
図4に示す露出するCNFの投影面積を、図4に示す電子顕微鏡写真から測定すると、複合めっき皮膜層の表面に対して10%であった。
実施例3で得られたヒートシンクをエッチング液に浸漬し、複合めっき被膜にエッチングを施した。エッチングを施したヒートシンクの複合めっき被膜の表面を電子顕微鏡で約5000倍に拡大して観察した。
電子顕微鏡による拡大写真を図5に示す。図5からも判る様に、エッチングが施された複合めっき皮膜層の表面にも、図4に示す複合めっき被膜層の表面と同様に、CNFは複合めっき皮膜層の表面に対して横向きに配設されているものである。
実施例1において、CNFの混合量を1000ppmとした他は、実施例1と同様に、電解ニッケルめっきを施し、銅板の表面に厚さ5μmの複合めっき皮膜層が形成されたヒートシンクを得た。この複合めっき皮膜層は平滑であって、その表面を電子顕微鏡で約5000倍に拡大して観察した。電子顕微鏡による拡大写真を図6に示す。
図6に示す厚さ5μmの複合めっき皮膜層の表面状態は、実施例3で得た厚さ20μmの複合めっき皮膜層の表面状態(図4)と同様に、複合めっき皮膜層の表面に対して多数本のCNFは横向きに配設されているものである。
実施例1〜3において得られた、銅板の表面にCNFとニッケルとから成る複合めっき皮膜層が形成されたヒートシンクの各々について、その示差放射スペクトルを測定した結果を図7に示す。かかる示差放射スペクトルの測定には、光学的零位方式によるダブルビームの赤外分光光度計を用いた放射特性試験器を使用した。
更に、実施例4において得られた、銅板の表面に形成したCNFとニッケルとから成る複合めっき皮膜層にエッチングを施して得たヒートシンクについても、その示差放射スペクトルを図8に示した。この図8には、実施例4において得られたヒートシンクの示差放射スペクトルも併せて示した。
また、比較例1として、実施例1において、CNFを混合しなかった他は、実施例1と同様に電解ニッケルめっきを施し、銅板14のめっき面に厚さ20μmのニッケルめっき皮膜層が形成されたヒートシンクについても、その示差放射スペクトルを図7に併せて示した。
図7及び図8から明らかな様に、CNFを100ppm以上混合しためっき液を用いて電解めっきを施した実施例1〜4のニッケルとCNFとから成る複合めっき皮膜層が銅板14のめっき面に形成されたヒートシンクでは、波長3〜30μmの領域における熱放射率は、黒体の波長3〜30μmの領域における熱放射率に対して0.3以上となり、比較例1の銅板14のめっき面にニッケルめっき皮膜層が形成されたヒートシンクに比較して、放熱性に優れていることが判る。
尚、図8に示す実施例4で得たヒートシンクの熱放射率は、実施例3で得たヒートシンクの熱放射率よりも低い値を示したが、エッチングによっては、CNFの一部が脱落したことによるものと考えられる。
比較例2
実施例1において、CNFに代えてカーボンブラックを1000ppm混合した他は、実施例1と同様に、電解ニッケルめっきを施し、銅板14の表面に厚さ20μmの複合めっき皮膜層を形成したヒートシンクを得た。このヒートシンクの示差放射スペクトルを、実施例4と同様にして測定し、その結果を図9に示す。図9には、実施例3のヒートシンクについての示差放射スペクトルも併せて示す。
図9から明らかな様に、比較例2のヒートシンクは、実施例3のヒートシンクに比較して、長波長側での放熱性が劣ることが判る。
図10(a)に示す放熱性評価装置を用い、銅板の表面に形成した複合めっき皮膜層の相異に因る筐体内の温度変化を測定した。図10(a)の放熱性評価装置には、横断面形状がコ字状のフッ素樹脂から成る断熱性筐体20の底面に温度が50℃に維持されるヒータ22を設置し、断熱性筐体20の開口部には、銅板14の表面に複合めっき皮膜層を形成したヒートシンク24を設置した。このヒートシンク24には、ヒータ22から断熱性筐体20の壁部を熱伝導する熱は実質的に零である。
また、ヒートシンク24の下方10mmの箇所に、温度測定装置26の熱センサを挿入して断熱性筐体20内の温度を測定した。
ここで、銅板の表面にCNFとニッケルとから成る複合めっき皮膜層を形成したヒートシンク24(実施例3)を用いた場合の断熱性筐体20内の温度変化を図10(b)に示す。
更に、銅板の表面に厚さ20μmのニッケルめっき皮膜層を形成したヒートシンク(比較例1)を用いた場合の断熱性筐体20内の温度変化も図10(b)に併せて示す。
図10(b)から明らかな様に、銅板の表面にCNFとニッケルとから成る複合めっき皮膜層が形成されたヒートシンク24(実施例3)を用いることによって、銅板の表面に厚さ20μmのニッケルめっき皮膜層を形成したヒートシンク24(比較例1)に比較して、放熱性が向上されていることが判る。
電解めっき装置について説明する概略図である。 CNFを100ppm混合した電解めっき液を用いて銅板に電解めっきを施して得た複合めっき皮膜層の表面の電子顕微鏡写真である。 CNFを500ppm混合した電解めっき液を用いて銅板に電解めっきを施して得た複合めっき皮膜層の表面の電子顕微鏡写真である。 CNFを1000ppm混合した電解めっき液を用いて銅板に電解めっきを施して得た複合めっき皮膜層の表面の電子顕微鏡写真である。 図4に示す複合めっき皮膜層にエッチングを施した後の複合めっき被膜層の表面の電子顕微鏡写真である。 CNFを1000ppm混合した電解めっき液を用いて銅板に電解めっきを施して得た、図4に示す複合めっき皮膜層よりも薄い複合めっき皮膜層の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例1〜3及び比較例1において得た、複合めっき皮膜層が銅板の表面に形成されたヒートシンクの各々についての示差放射スペクトルを示すグラフである。 実施例4において得た、複合めっき皮膜層が銅板の表面に形成されたヒートシンクについての示差放射スペクトルを示すグラフである。 実施例3において得たCNFとニッケルとから成る複合めっき皮膜層が銅板の表面に形成されたヒートシンクと、比較例2において得たカーボンブラックとニッケルとから成る複合めっき皮膜層が銅板の表面に形成されたヒートシンクとについての示差放射スペクトルを示すグラフである。 放熱性評価装置を説明する説明図及びヒートシンクの放熱性評価結果を示すグラフである。 金属板の表面にカーボンブラックのみが配合された塗膜を形成したヒートシンクの放射強度と、チタニアのみが配合された塗膜を形成したヒートシンクの放射強度とを示すグラフである。
10 槽
12 電解めっき液
14 銅板(金属部品)
16 直流電源
18 ニッケル板
19 攪拌機
20 断熱性筐体
22 ヒータ
24 ヒートシンク
26 温度測定装置

Claims (9)

  1. カーボンナノファイバが分散されためっき液を用いためっきによって形成された、前記カーボンナノファイバとめっき金属とから成る複合めっき皮膜層が、金属部品の表面に形成されている放熱部材であって、
    前記複合めっき皮膜層の表面を形成するカーボンナノファイバには、前記めっき金属で覆われている部分と前記カーボンナノファイバの表面が露出している部分とが併存し、
    且つ前記複合めっき皮膜層の波長3〜30μmの領域における熱放射率が、黒体の波長3〜30μmの領域における熱放射率に対して0.3以上となるように、前記カーボンナノファイバの表面が露出していることを特徴とする放熱部材。
  2. 露出するカーボンナノファイバの投影面積が、複合めっき皮膜層の表面に対して3%以上である請求項1記載の放熱部材。
  3. 複合めっき皮膜に配されたカーボンナノファイバが、前記複合めっき皮膜の表面に対して横向きに配されている請求項1又は請求項2記載の放熱部材。
  4. めっきが、電解めっきである請求項1〜3のいずれか一項記載の放熱部材。
  5. カーボンナノファイバが、径が100〜300nmで且つ長さが1〜20μmのカーボンナノファイバである請求項1〜4のいずれか一項記載の放熱部材。
  6. カーボンナノファイバが分散された電解めっき液を用いた電解めっきによって、前記カーボンナノファイバとめっき金属とから成る複合めっき皮膜層が金属部品の表面に形成された放熱部材を製造する際に、
    前記電解めっき液には、カーボンナノファイバを分散する分散剤として、アルキンジオール分子中にオキシエチレン側鎖を有するアルキンジオール化合物であって、前記アルキンジオール化合物の分子量の少なくとも20重量%をオキシエチレン側鎖が占める分散剤を用い、
    且つ陰極に接続された金属部品のめっき面を電解めっき液の液面に対して水平に載置すると共に、前記金属部品のめっき面の上方に陽極を配設し、
    前記金属部品及び陽極を上下方向に揺動しつつ、電解めっき液を攪拌して、前記金属部品に電解めっきを施すことを特徴とする放熱部材の製造方法
  7. 電解めっき液中のカーボンナノファイバの混合量を、100ppm以上とする請求項6記載の放熱部材の製造方法。
  8. 金属部品のめっき面に電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成した後、前記複合めっき皮膜層の表面を形成するカーボンナノファイバに、前記めっき金属で覆われている部分と露出している部分とが併存するように、前記複合めっき皮膜にエッチングを施す請求項6又は請求項7記載の放熱部材の製造方法。
  9. カーボンナノファイバとして、径が100〜300nmで且つ長さが1〜20μmのカーボンナノファイバを用いる請求項6〜8のいずれか一項記載の放熱部材の製造方法。
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