JP4323202B2 - 熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品(以下、単に熱可塑性樹脂組成物と記載することがある)の製造方法に関する。更に詳しくは、流動性、耐衝撃性および寸法安定性、剛性などに優れ、かつ、外観に優れた成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、電機機器部品、電子機器部品、自動車用部品などの製造用原料として広範囲に使用でき、特に自動車の外装部品製造用材料として有用な熱可塑性樹脂組成物、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドは、成形性、耐薬品性、引張り強さ、曲げ強さなどの機械的性質に優れた代表的なエンジニアリングプラスチックスとして広く利用されているが、寸法安定性、耐熱性、耐衝撃性などの物性が劣るという欠点がある。一方、ポリフェニレンエーテルは、耐熱性、機械的物性、電気的物性などに優れているが、溶融流動性が低く加工性が劣るために成形し難いという欠点があり、また耐薬品性、耐衝撃性なども劣るという欠点がある。
【0003】
ポリアミドやポリフェニレンエーテルなどの上記欠点を同時に解消する手法として、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ゴム様物質、分子内に▲1▼炭素―炭素二重結合、または、炭素―炭素三重結合、および、▲2▼カルボン酸基、酸無水物基、酸アミド基などを同時に有する化合物からなり、相分離もなく、耐薬品性や耐衝撃性に優れた樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、ゴム様物質の配合量を一定にして、耐衝撃性を向上させる手法として、ミクロ分散形態{連続相(マトリックス相)−不連続相(ドメイン層)構造}を示す樹脂組成物において不連続相となる分散粒子を、微細化する方法がある。例えば、変性ポリフェニレンエーテル(A)、ポリアミド(B)、水素化ブロック化共重合体系エラストマー(C)(ゴム様物質)からなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中に分散した(A)成分の分散相の直径が0.6μm以下と微細で、変性ポリフェニレンエーテルと変性水素化ブロック化共重合体系エラストマーとポリアミドとを溶融混練することにより得られた耐衝撃性ポリアミド組成物が提案されている(特許文献2)。
【0005】
さらに、ポリアミド(a)中にポリフェニレンエーテル(b)が一次分散相として存在し、(b)中にアルケニル芳香族重合体と共役ジエン重合体の水素化ブロック共重合体(c) (ゴム様物質)が二次分散相を形成し、(c)の平均粒子径が0.01〜5μmの範囲であり、(c)と(b)の溶融粘度比(ηc/ηb)が0.01〜10の範囲にある耐衝撃性に優れた樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、分散粒径を微細化することにより耐衝撃性に優れた樹脂組成物が得られるが、得られる成形品の寸法安定性(線膨張係数)は依然として改良されない。例えば、樹脂組成物から得られる成形品を金属部品と組み合わせて使用する場合に、樹脂製成形品の線膨張係数が金属部品のものより大きすぎて、高温環境下で使用する場合は寸法差や噛み合い不良といった不具合を生じ、さらに剛性が不足するという欠点があった。
【0007】
さらに、樹脂製成形品表面に塗料を塗布し、この樹脂製成形品を高温環境下で使用する場合には、塗料と樹脂材料との線膨張率が異なるために、樹脂製成形品表面の塗装膜が剥離したり、塗装面に微細な亀裂が生じたりして、外観や意匠性が悪化するという問題があった。特に、フェンダー、ドアパネル、ルーフパネルなどの自動車用外装部品において、軽量化やデザインの自由度、モジュールアッセンブリー化が可能な点から、従来は金属製であった部品の樹脂化が進んでいることもあり、この用途に使用される材料には、従来の樹脂材料と比較して、耐衝撃性、寸法安定性(線膨張係数)、剛性、流動性、外観などにおいて高いレベルの特性を発揮する樹脂材料が要求されるようになってきた。
【0008】
一般に、寸法安定性や剛性を改良するには、樹脂組成物中に無機フィラーを配合する(または含有させる)手法が採用されているが、無機フィラーを含有させると耐衝撃性が著しく低下し、得られる成形品外観も悪化するため、その用途は著しく限定されていた。また、無機フィラーを配合した樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる目的で、ゴム様物質の配合量を増やすと、寸法安定性や剛性が大きく低下するので、耐衝撃性と寸法安定性、剛性のバランスを向上させる必要があった。
【0009】
そこで、本発明者らは、ゴム様物質がポリアミド中でネットワーク状に分散し、ゴム様物質がポリアミドとポリフェニレンエーテルの界面に存在した、耐衝撃性と寸法安定性のバランスに優れた組成物および無機フィラーがポリアミド中に存在し、耐衝撃性と寸法安定性、剛性に優れた樹脂組成物を提案した(特許文献4、特許文献5)。しかし、これらの技術では、耐衝撃性と寸法安定性に優れるものの、ゴム様物質がネットワーク状に分散するために流動性が犠牲になり、剛性も不足するので、用途が限定されるという欠点があることが分かった。
【0010】
さらに、前記欠点を改良するのに、ポリアミド中にゴム様物質が分散相として存在し、ゴム様物質中にポリフェニレンエーテルが存在し、無機フィラーが主にポリアミド中に存在する樹脂組成物を提案した(特許文献6)。しかし、前記技術では耐衝撃性と寸法安定性、剛性のバランスは十分に満足できるものではなく、これら物性のバランスを向上させようとすると、成形品の外観が犠牲になるという欠点があった。
【0011】
一方、ポリアミドの耐衝撃性、寸法安定性、剛性を改良するために、ポリアミド、ゴム様物質、無機フィラーからなる組成物が種々提案されており、例えば、ポリアミド、無機充填剤、変性スチレン・オレフィン系重合体からなるポリアミド組成物(特許文献7)が提案されている。しかし、従来の技術では、耐衝撃性と寸法安定性、剛性のバランスは十分とは言えず、耐衝撃性を向上させるためにゴム様物質の含有量(配合量)を増やすと、寸法安定性や剛性が大きく低下するので、耐衝撃性と寸法安定性、剛性のバランスを向上させる必要があった。
【0012】
そこで、本発明者らは、ゴム様物質がポリアミド中でネットワーク状に分散し、無機フィラーがポリアミド中に存在する耐衝撃性と寸法安定性、剛性に優れた樹脂組成物を提案した(特許文献8)。しかし、これらの技術では、耐衝撃性と寸法安定性に優れるものの、ゴム様物質がネットワーク状に分散するため、依然として流動性、剛性が犠牲になるという欠点があり、耐衝撃性と寸法安定性、剛性に優れ、かつ流動性、外観に優れたものが強く求められていた。
【0013】
【特許文献1】
特開昭56−49753号公報
【特許文献2】
特許第2557637号公報
【特許文献3】
特許第2798722号公報
【特許文献4】
特開平7−18187号公報
【特許文献5】
特開平7−18188号公報
【特許文献6】
特開2002−105343号公報
【特許文献7】
特公平8−11782号公報
【特許文献8】
特開平7−18189号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記従来技術に存在する諸欠点を解消し、良好な耐薬品性、耐熱性を発揮し、特に、金属部品と組み合わせて使用しても不具合を生じないように線膨張係数を低くして寸法安定性を改善し、かつ耐衝撃性、剛性、流動性、外観に優れた熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品の製造方法を提供することを目的として、鋭意検討した結果本発明を完成するに到ったものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、成分(A):(A1)ポリフェニレンエーテル0〜60重量%と、(A2)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体水素添加物40〜100重量%との重合体100重量部に対し、(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸0.1〜5重量部、(A4)ラジカル発生剤0.03〜3重量部を溶融状態で反応させて得られた変性物3〜60重量%、および、成分(B):ポリアミド40〜97重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、成分(C):平均粒子径が8μm以下の無機フィラー5〜60重量部が配合されてなる熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品であって、この熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品のミクロ形態を電子顕微鏡で観察した際、成分(B)が連続相を形成し、この成分(B)の連続相の中に、成分(A)が凹凸状の輪郭を呈した粒子に分散して不連続相を形成して存在し、かつ、成分(A)と成分(B)の凹凸状を呈する輪郭の界面周囲長をLaとし、凹凸状を呈する輪郭をスムージングしたときの界面周囲長をLbとするとき、両者の比(La/Lb)が1.15以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品を提供する。
【0016】
また、本発明では、以下の成分よりなる成分(A)、成分(B)および成分(C)を含む熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品を製造するにあたり、まず、予め成分(A)と成分(B)とを溶融反応させ、ついで、成分(C)を溶融混合させ、得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品のミクロ形態を電子顕微鏡で観察した際、成分(B)が連続相を形成し、この成分(B)の連続相の中に、成分(A)が凹凸状の輪郭を呈した粒子に分散して不連続相を形成して存在し、かつ、成分(A)と成分(B)の凹凸状を呈する輪郭の界面周囲長をLaとし、凹凸状を呈する輪郭をスムージングしたときの界面周囲長をLbとするとき、両者の比(La/Lb)が1.15以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品の製造方法を提供する。
成分(A):(A1)ポリフェニレンエーテル0〜60重量%と、
(A2)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体水素添加物40〜100重量%との重合体100重量部に対し、(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸0.1〜5重量部、(A4)ラジカル発生剤0.03〜3重量部を溶融状態で反応させて得られた変性物3〜60重量%、および、
成分(B):ポリアミド40〜97重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、
成分(C):平均粒子径が8μm以下の無機フィラー5〜60重量部を含有してなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)成分(A)
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物と略称することがある)おいて成分(A)とは、(A1)ポリフェニレンエーテル{以下、単に(A1) と略称することがある}、(A2)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体水素添加物{以下、単に(A2) と略称することがある}、(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸{以下、単に(A3) と略称することがある}、および、(A4)ラジカル発生剤{以下、単に(A4) と略称することがある}の各成分を、溶融状態で反応させて得られた変性物、または、(A2)、(A3)および(A4)の各成分を溶融状態で反応させて得られる変性物を意味する。
【0018】
本発明において(A1)ポリフェニレンエーテルは、下記一般式 [I]で表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよい。
【0019】
【化1】
【0020】
具体的な(A1)ポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2、6−ジエチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2、6−ジプロピル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル、6−エチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル、6−プロピル−1、4−フェニレン)エ−テルなどが挙げられる。中でも、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ−テルが好ましい。好ましい(A1)ポリフェニレンエーテルは、クロロホルム中、温度30℃で測定したの固有粘度が0.3〜0.5dl/gのものである。固有粘度が0.3dl/g未満では、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が不足し、0.5dl/gを超えると最終的に得られる樹脂組成物の成形加工性が悪化し、成形品の外観も悪くなり、いずれも好ましくない。
【0021】
本発明において(A2)のブロック共重合体の水素添加物とは、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合弾性体であって、水素添加されてブロックBの脂肪族不飽和基が減少した水素添加ブロック共重合体を意味する。ブロックAおよびブロックBの配列は、線状構造、分岐構造(ラジカルテレブロック)などいずれの構造であってもよい。また、これらの構造のうちで、一部にビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とのランダム共重合部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これら構造のうちでは、線状構造のものが好ましく、A−B−A型のトリブロック構造のものが特に好ましく、ジブロック構造のものを含んでいてもよい。
【0022】
(A2)ブロック共重合体の水素添加物のビニル芳香族化合物は、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどであり、更に好ましくは、スチレンである。共役ジエン系化合物は、好ましくは1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンである。(A2)ブロック共重合体の水素添加物におけるビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合は、10〜70重量%の範囲が好ましく、10〜40重量%の範囲がより好ましい。ブロック共重合体における脂肪族鎖部分のうち、共役ジエン系化合物に由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、ビニル芳香族化合物に由来する芳香族性不飽和結合は、その約25%以下が水素添加されていてもよい。
【0023】
これらの(A2)水素添加ブロック共重合体の数平均分子量は、180,000以下のものが好ましく、120,000以下のものがより好ましい。分子量が180,000を越えると、樹脂組成物に分散する不連続相粒子が特殊な構造とならず、耐衝撃性と寸法安定性に劣り、成形加工性も劣るので好ましくない。
【0024】
本発明において(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、およびこれらの酸が挙げられる。中でも特に好ましいのは、無水マレイン酸および/またはマレイン酸である。これらの不飽和酸無水物および/または不飽和酸は、一種でも二種以上であってもよい。
【0025】
本発明において(A4)ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物などを挙げることができる。有機過酸化物の具体例として、(イ)ハイドロパーオキサイド類;例えばt−ブチル−ハイドロパーオキサイド、キュメン−ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチル−ハイドロパーオキサイド、p−メンタン−ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなど、(ロ)ジ−アルキルパーオキサイド類、例えば2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチル−パーオキサイド、t−ブチル−キュミル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−キュミルパーオキサイドなど、(ハ)パーオキシケタール類、例えば2,2−ビス−t−ブチルパーオキシ−ブタン、2,2−ビス−t−ブチル−パーオキシ−オクタン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−シクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど、(ニ)パーオキシエステル類;例えばジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−ベンゾイルパーオキシ−ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなど、(ホ)ジアシルパーオキサイド類、例えばベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0026】
また、アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などが挙げられる。その他のラジカル発生剤として、ジクミルパーオキサイドを挙げることができる。これらのラジカル発生剤のうちでも特に好ましいのは、10時間での半減期温度が120℃以上のラジカル発生剤である。
【0027】
成分(A)は、上記(A1)、(A2)、(A3)および(A4)、または、(A2)、(A3)および(A4)を所定量秤量し、溶融状態で反応させることによって得ることができる。成分(A)を構成する各成分の割合は、(A1)0〜60重量%と(A2)40〜100重量%とから構成される重合体成分100重量部に対し、(A3)を0.1〜5重量部、(A4)を0.03〜3重量部とする。成分(A)中で(A1)が60重量部を越えると、最終的に得られる樹脂組成物において、成分(A)の不連続相粒子が特殊な構造とならず、耐衝撃性、寸法安定性が低下する。(A1)を配合すると、最終的に得られる樹脂組成物の耐熱性を向上できるので好ましい。(A1)と(A2)との配合比率は、(A1)/(A2)が好ましくは10〜60/90〜40であり、より好ましくは15〜55/85〜45である。
【0028】
また、成分(A)を調整する際に、(A3)と(A4)とを併用しないと、成分(A)の不連続相粒子が特殊な構造とならず、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、この樹脂組成物から得られる成形品の寸法安定性も低下する。また、(A3)が5重量部を超えたり、(A4)が3重量部を超えたりすると、成形時の熱安定性が低下し、成形品の外観不良が発生し易い。(A3)の配合量は好ましくは0.5〜4重量部であり、(A4) の配合量は好ましくは0.1〜2重量部である。
【0029】
溶融状態で反応させる具体的方法としては、溶融状態で混合し反応させる方法が挙げられる。溶融状態で混合し反応させるには、熱可塑性樹脂について一般に実用化されている溶融混練機を使用することができる。溶融混練機で溶融させている間に、変性反応が起こる。溶融混練機としては、例えば、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
【0030】
混練押出機を使用する方法によるときは、例えば、(1)(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の各成分を予めブレンダーなどで混合し、得られた混合物を混練押出機の上流部側で一括投入(フィード)し、溶融状態で反応させる方法が好適である。
【0031】
(2)成分(B)
本発明において成分(B)のポリアミドは、主鎖に−CONH−結合を有し、加熱することにより溶融するものをいう。その代表的なものとしては、ポリアミド−4、ポリアミド−6、ポリアミド−6・6、ポリアミド−4・6、ポリアミド−12、ポリアミド−6・10、その他従来から知られている芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸などの単量体成分を含む結晶性または非晶性のポリアミドが挙げられる。好ましいポリアミドは、ポリアミド−6、ポリアミド−6・6、半芳香族ポリアミドであり、これらと非晶性ポリアミドとを混合したものであってもよい。
【0032】
成分(B)のポリアミドは、98重量%の濃硫酸中、温度25℃で測定した相対粘度が2.1〜3.5の範囲のものが好ましい。相対粘度が2.1未満であると、最終的に得られる樹脂組成物の剛性、寸法安定性、耐衝撃性、外観などが劣り、3.5を超えると最終的に得られる樹脂組成物の成形性が劣り、この樹脂組成物から得られる成形品の外観も悪化するので、いずれも好ましくない。また、ポリアミドは、その末端カルボン酸含量が100μeq/g以下のものが好ましく、末端カルボン酸と末端アミンの比(末端カルボン酸/末端アミン)が、0.8〜4の範囲のものが好ましい。末端カルボン酸と末端アミンの比が4を超えると、成分(A)と成分(B)との相溶性が低下する。
【0033】
(3)成分(C)
本発明において成分(C)の無機フィラーは、無機系の粉末をいう。粉末の形態は、球状、立方形状、粒状、針状、板状、繊維状などいずれであってもよい。これら粉末の平均粒子径は、8μm以下のものとする。平均粒子径が8μmを超えると、樹脂組成物から得られる成形品の外観が悪化するので好ましくない。ここで平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製、モデル5100)を挙げることができる。
【0034】
成分(C)の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、アルミナ、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸酸カルシウム(ウォラストナイト)、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラス繊維、けい砂、けい石、石英粉、しらす、けいそう土、ホワイトカーボン、鉄粉、アルミニウム粉などが挙げられる。これら無機フィラーは一種でも、二種類以上を併用することもできる。
【0035】
これらの中で、最終的に得られる樹脂組成物の寸法安定性、剛性を向上させ、良好な外観のものを得るためには、平均粒子径が0.1〜5μmの板状、針状、繊維状のものが好ましく、これら無機フィラーの中で特に好ましいのは珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)であり、さらに好ましくは、平均粒子径が0.2〜3.5μm以下の珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)である。
【0036】
本発明において珪酸マグネシウム(タルク)とは、化学組成が含水ケイ酸マグネシウムを意味し、通常SiO2を58〜66重量%、MgOを28〜35重量%、H2Oを約5重量%含んでいる。その他少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下等、含有しており比重は約2.7である。
【0037】
本発明において珪酸カルシウム(ウォラストナイト)とは、針状結晶をもつ天然白色鉱物であり、化学式はCaSiO3で表され、通常SiO2が50重量%、CaOが47重量%、その他FeO3、Al2O3などを含有しており、比重は2.9である。このような珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機フィラーは、通常ウォラストナイトといわれているものである。川鉄鉱業からPH330、PH450として、ナイコ社からナイグロス4、ナイグロス5として市販されているものであり、平均アスペクト比が3以上のものが好ましい。
【0038】
上記無機フィラーは、無処理のままであってもよいが、樹脂成分との親和性または界面結合力を高める目的で、無機表面処理剤、高級脂肪酸またはそのエステル塩などの誘導体、カップリング剤などで処理したものが好ましい。表面処理する際には、非イオン・陽イオン・陰イオン型などの各種の界面活性剤や、各種の樹脂などの分散剤による処理を併せて行うと、機械的強度および混練性の向上の観点から好ましい。
【0039】
(4)その他の成分
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、少なくとも、上記三成分を含有するが、これら成分の外に他の各種樹脂添加剤を配合する(含有させる)ことができる。各種樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、耐侯性改良剤、造核剤、発泡剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤、染料、顔料、有機充填剤、補強剤、分散剤などが挙げられる。耐衝撃改良剤としては、変性されていないビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体の水素添加物やエチレン−α−オレフィン共重合体などのゴム状重合体が挙げられる。これらゴム状重合体は、成分(A)との重量比で、10:90〜90:10の範囲で配合する(含有させる)のが好ましい。
【0040】
(5)各成分の配合割合と配合方法
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも、成分(A)3〜60重量%と成分(B)40〜97重量%からなり、また、成分(A)と成分(B)とよりなる樹脂成分合計100重量部に対し、さらに成分(C)を5〜60重量部の割合で配合した(含有させた)ものである。成分(A)と成分(B)との樹脂成分の割合において、成分(A)が3重量%未満では、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性や寸法安定性が劣り、60重量%を越えると、耐衝撃性や寸法安定性が低下し、さらに流動性も低下し、いずれも好ましくない。また、成分(A)と成分(B)との配合比率は、成分(A)/成分(B)が好ましくは5〜55/95〜45であり、より好ましくは10〜50/90〜50である。
【0041】
また、成分(A)と成分(B)とより構成される樹脂成分合計100重量部に対し、成分(C)の配合比率が5重量部未満では、最終的に得られる樹脂組成物の剛性や寸法安定性の改善効果が小さく、60重量部を越えると耐衝撃性が低下し、いずれも好ましくない。成分(C)の配合比率は、好ましくは10〜50重量部であり、より好ましくは15〜45重量部である。
【0042】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも、上記成分および比率で構成される。特に優れた耐衝撃性および寸法安定性(低線膨張係数)、剛性を発揮する熱可塑性樹脂組成物のペレット、または、射出成形品から切り出した小片について、そのミクロ形態{微細構造(fine texture)、モルフォロジー(morphology)など}を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察すると、特異な形態を呈していることが分かった。特異なミクロ形態は、ペレットまたは射出成形品から小片を、例えばクライオ装置を装備した超ミクロトーム(ライカ社製、ULTRCUT CUT)で、ダイヤモンドナイフを使用し、−100℃の温度で厚さ100n超薄切片に切り出し、切り出した小片の表面を四酸化オスミウムおよび四酸化ルテニウムで染色した後、透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子社製、型式:JEM1200EXII型)を用いて容易に観察することができる。
【0043】
小片の表面を染色した後、透過型電子顕微鏡によって観察すると、樹脂成分のうち、成分(A)が最も濃色に観察され、成分(C)は樹脂成分に比べ重原子を多く含んでいるため無染色でも暗色に観察される。このような方法で観察し、画像解析装置で不連続相(ドメイン相)の粒子形状、輪郭などを解析したところ、次のような特性を示すことが分かった。すなわち、▲1▼透過型電子顕微鏡写真から、成分(A)が不連続相、成分(B)が連続相(マトリックス相)となり、成分(C)は主に成分(B)の連続相中に存在すること。
【0044】
また、▲2▼成分(A)は成分(B)の連続相中に、凹凸状の輪郭を呈した粒子として存在すること、▲3▼凹凸状の輪郭を呈した粒子の平均粒径は3μm以下が好ましいこと、さらに好ましいのは1μm以下であること。さらに、▲4▼成分(B)の連続相と成分(A)の不連続相との界面は、成分(A)の凹凸状の輪郭を有する粒子に対応した凹凸を形成し、両者の界面には隙間がないこと。
【0045】
▲5▼この凹凸状の輪郭を呈して成分(B) の中に不連続相として分散する成分(A)の粒子につき、成分(A)と成分(B)との凹凸状の界面輪郭を画像処理解析装置(例えば日本アビオニクス社製、スピカ)に読み込ませて二値化抽出し、成分(A)の凹凸状輪郭の全長を計測し、この値をLaする。
凹凸状を呈するの成分(A)の輪郭をスムージングしたときの界面周囲長(凹凸状輪郭の全体の長さ)をLbとするとき、両者の比(界面周囲長の比)(La/Lb)が1.15以上の特殊な界面構造を有すること、特に好ましくは1.2以上であること。換言すれば、界面周囲長の比(La/Lb)が1.15以上、好ましくは1.2以上の凹凸の激しい界面構造が、樹脂組成物に対する外部からの衝撃力を吸収して耐衝撃性を向上させ、寸法安定性に寄与するものと推定される。
【0046】
なお、本発明において成分(A)の輪郭のスムージングとは、図1に実線で示した凹凸状の界面輪郭11を、画像処理解析装置によって円周(Lb)を算出することである。図1に実線で示した凹凸状の界面輪郭を呈する成分(A)の粒子について、画像処理解析装置で4連結膨張を20回繰り返した後、細線化処理して界面輪郭の凹凸をなくしてスムージングした後の円周22(Lb)は、図1において点線で示される。
【0047】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物のミクロ形態{微細構造(fine texture)またはモルフォロジー(morphology)}を、上記のような特定なものとするには、溶融混合法によるのが好ましい。例えば、▲1▼まず、成分(A)を溶融状態で反応させ、続いて混練押出機の中流部分で成分(B)を投入し、成分(A)と成分(B)を溶融反応させ、さらに混練押出機下流部分から成分(C)を溶融混合し、熱可塑性樹脂組成物のペレットとする方法が挙げられる。
【0048】
その他、▲2▼ペレット化した成分(A)と成分(B)を混練押出機に投入し、成分(A)と成分(B)を溶融反応させ、混練押出機の中流以降の部分から成分(C)を溶融混合し、熱可塑性樹脂組成物をペレット化する方法などが挙げられる。さらには、▲3▼ペレット化した成分(A)とペレット状の成分(B)とを混練押出機に投入し、溶融状態で混練してペレット化して、得られたペレットに成分(C)を混練押出機に投入して溶融混合し、熱可塑性樹脂組成物のペレットとする方法も挙げられる。
【0049】
また、前記した成分(A)の変性物を得る方法において、(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の各成分を同時に溶融状態で反応させて変性物を用いた場合のみ、界面周囲長の比(La/Lb)が1.15以上である特殊な界面構造を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。(A1)、(A3)および(A4)を溶融状態で反応させた変性物と、(A2)、(A3)および(A4)を溶融状態で反応させた変性物を混合して、前記の界面周囲長の比(La/Lb)が1.15以上である特殊な界面構造を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることはできないので、混合(添加)順序は極めて重要である。
【0050】
なお、成分(A)、成分(B)および成分(C)を溶融混合する場合も、予め成分(A)と成分(B)とを溶融反応させ、その後成分(C)を溶融混合させて製造した場合のみ、前記の界面周囲長の比(La/Lb)が1.15以上である特殊な界面構造を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることができ、耐衝撃性、寸法安定性、剛性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られるので、混合(添加)順序に留意する必要がある。
【0051】
(6)熱可塑性樹脂組成物の用途
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物から成形品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち射出成形法、中空成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などを採用することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電機機器部品、電子機器部品、自動車部品などの製造用原料として広範囲の分野に利用できる。特に自動車外装部品製造用原料として有用である。
【0052】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって、詳しく説明するが、本発明はこれらの範囲内に限定されるものではない。実施例および比較例において使用した原材料は、次のような物性・特性を有するものである。実施例および比較例において使用した原材料は、次のような物性・特性を有するものである。なお、以下の実施例、比較例において配合量は重量部を意味する。
【0053】
成分(A):
(A1)PPE:ポリフェニレンエーテル(三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルであって、クロロホルム中、温度30℃で測定した固有粘度が0.40dl/gのもの)である。
(A2)SEBS−1:スチレン含有量29重量%、分子量80,000であって、A−B−A型のスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、商品名:クレイトンG1650)である。
【0054】
(A2)SEBS−2:スチレン含有量33重量%、分子量200,000あって、A−B−A型のスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、商品名:クレイトンG1651)である。
(A2)SEBS−3:スチレン含有量29重量%、分子量49,000あって、A−B−A型のスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、商品名:クレイトンG1652)である。
(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸:無水マレイン酸(三菱化学社製、商品名:無水マレイン酸)である。
【0055】
(A4)パーカドックス14:1、3−ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックス14、半減期の10時間後の分解温度が121℃)である。
(A4) パーヘキサ25B:2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサン(日本油脂社製、商品名:パーヘキサ25B、半減期の10時間後の分解温度が118℃)である。
(A5)EBR:エチレン−ブテン共重合体(三井石油化学工業社製、商品名:タフマーA−4085)である。
【0056】
成分(B)(ポリアミド):
(B-1):ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド1010J、98%の濃硫酸中、温度23℃で測定した相対粘度が2.5dl/g、末端カルボン酸/末端アミン比が2.6)である。
(B-2):ポリアミド6(カネボウ社製、商品名:カネボウナイロンMC100L、98%の濃硫酸中、温度23℃で測定した相対粘度が2.2dl/g、末端カルボン酸/末端アミン比が2.3)である。
(B-3):ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド1005J、98%の濃硫酸中、温度23℃で測定した相対粘度が2.0dl/g、末端カルボン酸/末端アミン比が4.9)である。
(B-4):ポリアミド6(カネボウ社製、商品名:カネボウナイロンMC112L、98%の濃硫酸中、温度23℃で測定した相対粘度が2.7dl/g、末端カルボン酸/末端アミン比が1.3)である。
【0057】
成分(C)(無機フィラー):
(C-1):珪酸マグネシウム(タルク)(松村産業製、商品名:ハイフィラー#5000PJ、平均粒子径:1.8μm)である。
(C-2):珪酸カルシウム(ウォラストナイト)(川鉄鉱業製、PH450、平均粒子径:3.8μm)である。
【0058】
[成分(A)の調整]
上記(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の各成分を、表―1に示す割合で秤量し、ヘンシェルミキサーによって均一に混合した後、二軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=42)を使用して、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数400rpmの条件下で溶融し反応させ、ペレット化して成分(A−1)〜(A−11)を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
[試験片の作製]
樹脂組成物を、射出成形機(東芝機械社製、形式:IS150)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で成形して、ASTM試験片、および直径100mm×厚さ3mmの円盤状試験片を作成した。
【0061】
[評価方法]
(1)ミクロ形態の観察:上記円盤状試験片から、クライオ装置(REICHERT-NSSEI FCS)を装着した超ミクロトーム(ライカ社製、ULTRACUT CUT)で、ダイヤモンドナイフを使用し、温度−100℃で厚さ100nmの超薄切片を切り出した。切り出した切片を、四酸化オスミウムおよび四酸化ルテニウムで染色した後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、型式:JEM1200EXII型)を使用してミクロ形態(分散状態、界面周囲長の比)を観察した。次に、粒子の界面をトレースした画像を、画像処理解析装置(日本アビオニクス製、装置名:スピカ)に読み込ませて界面輪郭を二値化抽出し、スムージングした後の円周(Lb)を算出し、界面周囲長の比(La/Lb)を計測した。この操作を20個以上の不連続相について計測し、その平均値を算出した。なお、凹凸状の輪郭を呈する粒子のみかけ平均直径(Lb)の測定は、画像処理解析装置で4連結膨張を20回繰り返した後、細線化処理して算出した。
【0062】
(2)流動性(MFR):JIS K7210に準拠し、温度280℃、荷重5kgの条件で測定した。
(3)曲げ弾性率:ASTM D790に準拠して測定した。
(4)耐衝撃性(アイゾット衝撃強度):ASTM D256に準拠し、厚さが3.2mm、ノッチ付きの試験片で測定した。
【0063】
(5)寸法安定性(線膨張係数):ASTM D696に準拠して線膨張係数を測定した。ただし、測定温度範囲は23〜80℃とした。
(6)外観:円盤状成形品の表面外観を目視観察し、蛍光灯の像が極めてくっきりと写るものを◎、くっきりと写るものを○、少し揺らいで写るものを△、揺らいで写るものを×として評価した。
【0064】
[実施例1および比較例1〜比較例2]
表―2に示す割合で成分(A)と成分(B)とを秤量し、タンブラーミキサーによって均一に混合した。この混合物を、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を使用し、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数400rpmの条件で、二軸押出機のバレル1より投入(フィード)して溶融反応させ、さらに二軸押出機のバレル5より成分(C)を投入し、溶融混練して樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物から前記したように射出成形法で試験片を作成し、得られた試験片につき前記した方法で種々の物性を測定し、測定結果を表―2に示した。
【0065】
[比較例3]
成分(C)を成分(A)、成分(B)と共にタンブラーミキサーで均一に混合し、バレル1より二軸押出機(実施例1で使用したものに同じ)に一括投入した外は、実施例1におけると同様の手順で樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物につき、実施例1におけると同様の手順で試験片を作成して物性を測定し、測定結果を表―2に示した。
【0066】
[実施例2および比較例4]
実施例1に記載の例において、ポリアミドを相対粘度が異なるものに変えた外は、同例におけると同様にして樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物につき、実施例1におけると同様の手順で試験片を作成して物性を測定し、測定結果を表―2に示した。
【0067】
[実施例3および比較例5、比較例6]
実施例1に記載の例において、PPEとSEBSとの重量比と、SEBSの分子量が異なるものに変えた外は、同例におけると同様にして樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物につき、実施例1におけると同様の手順で試験片を作成して物性を測定し、測定結果を表―2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
表―1と表―2から、次のことが明らかになる。
(1)実施例1の樹脂組成物は、(La/Lb)の値が1.45と大きく、連続相と不連続相との界面が凹凸状の輪郭を呈する特殊な界面構造を有し、耐衝撃性と寸法特性、剛性のバランスに優れている。
(2)これに対し、成分(A)としてラジカル発生剤を添加しなかった(A2)を配合した比較例1の樹脂組成物は、(La/Lb)の値が1.03と小さく、実施例1の樹脂組成物とは成分(A)の分散粒子の輪郭が異なり、耐衝撃性、寸法安定性に劣る。
(3)また、SEBS−1に代えてEBRを配合した比較例2の樹脂組成物も、実施例1の樹脂組成物とは分散粒子の輪郭が異なり、寸法安定性に劣る。
(4)さらに、成分(A)、成分(B)および成分(C)を、混練押出機に一括投入して溶融混練した比較例3の樹脂組成物も、(La/Lb)の値が1.13と小さく、実施例1の樹脂組成物とは分散粒子の輪郭が異なり、寸法安定性、剛性に劣る。
【0070】
(5)相対粘度が2.2のポリアミドを配合実施例2の樹脂組成物は、(La/Lb)の値が1.42と大きく、実施例1のものと同様に、連続相と不連続相との界面が凹凸状の輪郭を呈する特殊な界面構造を有し、耐衝撃性と寸法特性、剛性のバランスに優れている。
(6)これに対し、ポリアミドの実施例を2.0とした比較例4の組成物は、(La/Lb)の値が1.10と小さく、実施例1、実施例2のものとは分散粒子の輪郭が異なり、耐衝撃性、寸法安定性、剛性に劣る。
(7) 成分(A)として、PPEとSEBS−と1の重量比を50対50とした(A4)を配合して実施例3の樹脂組成物は、(La/Lb)の値が1.37と大きく、連続相と不連続相との界面が凹凸状の輪郭を呈する特殊な界面構造を有し、耐衝撃性と寸法安定性、剛性のバランスに優れている。
(8)これに対し、成分(A)として、PPEとSEBSとの重量比を70対30とした比較例5のもの、および成分(A) を構成する(A2)をSEBS−2(分子量の大きいもの)とした比較例6の樹脂組成物は、(La/Lb)の値が1.05(比較例5)、1.06(比較例6)と小さく、いずれも実施例1、実施例3の樹脂組成物とは分散粒子の輪郭が異なり、寸法安定性、剛性に劣る。
【0071】
[実施例4〜実施例6および比較例7、比較例8]
表―3に示す割合で成分(A)と成分(B)とを秤量し、タンブラーミキサーによって均一に混合した。この混合物を、二軸押出機(実施例1で使用したものと同じ)を使用し、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数400rpmの条件で、バレル1より二軸押出機に投入して溶融反応させ、さらに、バレル5より成分(C)を二軸押出機に投入し、溶融混練して樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物から前記したように射出成形機で試験片を作成し、得られた試験片につき前記した方法で種々の物性を測定し、測定結果を表―2に示した。
【0072】
[比較例9]
実施例4に記載の例において、成分(C)を成分(A)、成分(B)と共にタンブラーミキサーで均一に混合し、得られた混合物をバレル1より二軸押出機に投入した外は、実施例4におけると同様の手順で樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物につき、実施例4におけると同様の手順で試験片を作成して物性を測定し、測定結果を表―3に示した。
【0073】
[実施例7]
実施例1に記載の例において、成分(C)の量を変えた外は、同例におけると同様にして樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物につき、実施例1におけると同様の手順で試験片を作成して物性を測定し、測定結果を表―3に示した。
【0074】
[実施例8]
実施例4に記載の例において、成分(C)の種類を変えた外は、同例におけると同様にして樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物につき、実施例4におけると同様の手順で試験片を作成して物性を測定し、測定結果を表―3に示した。
【0075】
【表3】
【0076】
表―1と表―3から、次のことが明らかになる。
(1) 実施例4〜実施例6の樹脂組成物は、(La/Lb)の値が1.35と大きく、連続相と不連続相との界面が凹凸状の輪郭を呈する特殊な界面構造を有し、耐衝撃性と寸法特性、剛性のバランスに優れている。
(2) これに対し、ラジカル発生剤を添加しなかった比較例7の樹脂組成物は、実施例4の組成物とは界面構造が異なり、耐衝撃性、寸法安定性に劣り、また、(A2)としてEBRを配合した比較例8の樹脂組成物も、実施例4の組成物とは界面構造が異なり、寸法安定性に劣る。
(3) 成分(A)、成分(B)および成分(C)を、混練押出機に一括投入して溶融混練した比較例9の樹脂組成物もまた、(La/Lb)の値が1.12と小さく、実施例4の樹脂組成物とは界面構造が異なり、寸法安定性、剛性に劣る。
(4) 実施例7、実施例8の樹脂組成物は、実施例1、実施例4の樹脂組成物と同様に、連続相と不連続相との界面が凹凸状の輪郭を呈する特殊な界面構造を有し、耐衝撃性と寸法特性、剛性のバランスに優れている。
【0077】
【発明の効果】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に優れた効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、溶融流動性が高く加工性が優れて成形し易い。
2.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、寸法安定性および剛性に優れ、かつ、これらの物性が好ましくバランスしている。
3.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、寸法安定性に優れているので、
金属部品と組み合わせて使用しても、寸法差や噛み合い不良などの不具合が生じ難い。
4.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物からは、表面外観、塗装密着性などに優れた成形品を製造することができるので、電機機器部品、電子機器部品、自動車部品製造用材料として、広範囲の分野に利用でき、特に。自動車外装部品製造用材料として、有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スムージングを説明する模式図である。
【符号の説明】
11:成分(A)の凹凸の輪郭
22:スムージングした後の円周
Claims (1)
- 以下の成分よりなる成分(A)、成分(B)および成分(C)を含む熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品を製造するにあたり、まず、予め成分(A)と成分(B)とを溶融反応させ、ついで、成分(C)を溶融混合させ、得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品のミクロ形態を電子顕微鏡で観察した際、成分(B)が連続相を形成し、この成分(B)の連続相の中に、成分(A)が凹凸状の輪郭を呈した粒子に分散して不連続相を形成して存在し、かつ、成分(A)と成分(B)の凹凸状を呈する輪郭の界面周囲長をLaとし、凹凸状を呈する輪郭をスムージングしたときの界面周囲長をLbとするとき、両者の比(La/Lb)が1.15以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物ペレットまたは射出成形品の製造方法。
成分(A):(A1)ポリフェニレンエーテル0〜60重量%と、
(A2)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン系化合物重合体ブロックBとのブロック共重合体水素添加物40〜100重量%との重合体100重量部に対し、(A3)不飽和酸無水物および/または不飽和酸0.1〜5重量部、(A4)ラジカル発生剤0.03〜3重量部を溶融状態で反応させて得られた変性物3〜60重量%、および、
成分(B):ポリアミド40〜97重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、
成分(C):平均粒子径が8μm以下の無機フィラー5〜60重量部を含有してなる。
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