JP4318835B2 - 磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、および磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置などに用いられる磁気記録媒体、および磁気記録再生装置に関し、詳しくは、目視により識別可能なマーキングが施されている磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を有する磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ(HDD)などに用いられる磁気記録媒体としては、例えば、図8に示すようなアルミニウム基板やガラス基板などの基板1上に、非磁性下地層2、磁性膜3、保護膜4等が順に成膜されたものが知られている。
従来、このような磁気記録媒体6には、製造管理上相互間の識別を容易とするために、その表面にマーキングが施される場合があった。このようなマーキングは、磁気記録媒体上に、例えば番号や、文字などのマーキングをレーザ照射、インクジェット、罫書き等の手段により形成するものであった。これらの方法によれば、市販のレーザ装置を用いて上記識別のためのマーキングを磁気記録媒体上に容易に形成することができた。例えば、YAGレーザ等を用いた方法においては、市販のLEー100S(レーザテクノロジー社製)MYー9500(キーエンス社製)等のレーザマーカを用いて容易に形成することができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法による磁気記録媒体6へのマーキング加工は、通常、磁気記録媒体6の基板1上、あるいは非磁性下地層2上に形成されるもので、その製造段階における磁性膜3などの成膜前に行われるものであり、成膜後磁気記録媒体6製造後、すなわち磁性膜3等が成膜された後の成膜面上になされるものではなかった。
よって、磁気記録媒体6製造後に、その磁気記録媒体6表面にマーキングを施す場合に、上記基板1上、あるいは非磁性下地層2上にマーキングする場合の加工方法の条件をそのまま用いたのでは良好なマーキングを施すことはできない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、基板上に各層を成膜後、すなわち製造後の磁気記録媒体に、容易に、正確にマーキングを施すことができる方法を得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、基板上に少なくとも磁性膜が形成された磁気記録媒体であって、この記録媒体上に、目視により識別可能なマーキングが形成され、このマーキングが複数の突起状構造体からなり、且つ、該磁気記録媒体が、正常面と不良面とを有するものであって、上記マーキングにより、これら正常面と不良面との識別が可能とされたことを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体においては、その突起状構造体の凸部の高さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)×2nm以下であることが望ましい。
本発明の磁気記録媒体においては、その突起状構造体の凹部の深さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)nm以下であることが望ましい。
本発明の磁気記録媒体においては、基板上に形成された層の総合厚さが、10〜300nmであることが望ましい。
また、本発明の磁気記録媒体においては、上記マーキングが、目視により識別可能な記号や文字であることが望ましい
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一例を示したものである。
この磁気記録媒体6は、円形のディスク状で、基板の両面に、少なくとも磁性膜を有する成膜層が形成されているものである。この磁気記録媒体6の表面は、図に示すように記録再生が行われる領域である記録領域100と、その内周部に位置する記録とは関係のない非記録領域101とから構成され、該非記録領域は101は、さらに最内周領域102と、磁気ヘッドとの接触領域であるCSSゾーン103とから構成されている。そして、この磁気記録媒体6の最内周部102には、目視により識別可能なマーキング7が形成されている。なお、この例においては、磁気記録媒体6にCSSゾーン103が設けられている。なお、磁気記録媒体6は、ランプロード方式の磁気記録再生装置に用いられるもののようにCSSゾーンが形成されていないものであっても構わない。
【0008】
このような磁気記録媒体6は、例えば、図8に示すような、アルミニウム基板やガラス基板などからなる基板1上に、Cr、Cr/Ti合金などからなる非磁性下地層2、Co/Cr合金、Co/Cr/Ta合金などからなる磁性層3、カーボンなどからなる保護層4がそれぞれスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、メッキなどの手法により形成されたものである。このような基板1上に形成される各層を総合して成膜層5と呼ぶこととする。この例においては、成膜層5は、下地層2、磁性層3、保護層4からなるが、保護層4上にパーフルオロポリエーテル(PFPE)などからなる潤滑層が設けられている場合や、基板1と非磁性下地層2との間に、メッキ法、スパッタ法等により形成されたNiP合金膜が設けられている場合などもあり、成膜層5としては、少なくとも磁性膜3が形成されているものであればよい。
【0009】
上記成膜層5の厚さは、下地層2、磁性膜3、保護層4などの構成、およびそれらの厚さに関係するが、通常、その総合厚さは、10〜300nmとされる。この厚さが10nm未満であると、磁性膜3が薄くなりすぎてその磁化が弱くなり磁気記録媒体6として用いることが困難となり、300nmを越えると、成膜層5の成膜時にその表面に荒れが生じてしまい、磁気記録媒体6としたときに、ヘッドが磁気記録媒体6に接触してヘッドクラッシュを起こすおそれがある。
【0010】
このような磁気記録媒体6上に形成されるマーキング7は、目視により識別可能なものであり、記号、文字または図形などを表すものであることが望ましい。この例においては、アルファベットのAとされている。このように、マーキング7が記号や文字を示すものであれば、目視により直ちに確認することができ、例えば、マーキング7により磁気記録媒体6の表、裏を容易に識別することができる。
このようなマーキング7は、磁気記録媒体6の表面に形成された複数の突起状構造体から形成されるものである。 図2は、本発明の磁気記録媒体に形成される突起状構造体の一例を示す概略断面図であり、図2−(a)は、平面図であり、図2−(b)は、(a)におけるA−A’断面図である。
【0011】
この突起状構造体10は、基板1上に、少なくとも磁性膜を有する成膜層5が形成された磁気記録媒体6上に複数設けられ、この磁気記録媒体6の成膜層5表面より盛り上がって形成された環状の凸部11と、前記成膜層5表面より堀り下がって形成され、凸部に囲まれた凹部12によりクレータ状に構成されるものである。
上記突起状構造体10の大きさとしては、特に限定されるものではないが、図2に示すように、環状の突起状構造体10において、その中心を通る直線における凸部の頂点から他方の凸部の頂点までの距離(L1)を、突起状構造体10の直径として定義して表した場合に、この直径(距離L1)が、0.1〜30μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは8〜30μmの範囲となるようにされる。
また、この突起状構造物10の凸部11の高さ、すなわち成膜層5表面からの高さh1は、10nm以上(成膜層5の厚さ)×2nm以下の範囲であることが望ましい。凸部11の高さh1が10nm未満であると、複数の突起状構造体10から構成されるマーキング7の目視による識別が困難となるばかりか、光学的な手法を用いてもその識別が困難となってしまう。また、この高さh1が、成膜層5の厚さの2倍の大きさを越えると、磁気記録媒体6の駆動時に、磁気ヘッドの走行が不安定になるおそれがある。
【0012】
また、上記突起状構造体10の凹部12の深さ、すなわち成膜層5表面からの深さh2は、10nm以上(成膜層5の厚さ)nm以下の範囲であることが望ましい。凹部12の深さh2が10nm未満であると、複数の突起状構造体10から構成されるマーキングの目視による識別が困難となるばかりか、光学的な手法を用いてもその識別が困難となってしまう。また深さh2が、基板1上に形成された成膜層5の厚さよりも大きくなると基板1が露出してしまう。
【0013】
基板1表面が露出すると、次に説明するような不都合が起こる。一般に、磁気記録媒体6に用いられる基板1としては、上記のようにアルミ基板やガラス基板などが用いられている。これらの基板1が磁気記録媒体6から露出していると、その表面から様々な陽イオンが析出してしまう。例えば、表面にニッケル燐メッキが施してあるアルミニウム基板であれば、ニッケルイオンが、ガラス基板であれば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオンなどが析出してしまう。このようなイオンが存在すると、磁気記録媒体6の耐コロージョン性の低下を促進してしまい、磁気記録媒体における信頼性を維持することができなくなってしまう。
よって、基板1表面を露出させないようにして、突起状構造体10を形成することが好ましい。
また、各突起状構造体10の間隔は、10〜50μmであることが好ましい。10μm未満であると、装置の振動やスピンドルの振動などにより突起状構造体10同士が重なって形成されるおそれがあり、50μmを越えると突起状構造体10の密度が粗くなってしまい目視で識別することが困難になってしまう。
このような複数の突起状構造体10により形成されるマーキング7の大きさL2としては、小さすぎると目視により識別しにくくなり、大きすぎれば形成に時間がかかるようになるため、0.1〜2mm程度とすることが好ましい。
【0014】
次に、上記磁気記録媒体6を製造する場合を例として、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態を説明する。
上記磁気記録媒体6は、その表面に、レーザ光を照射して、複数の突起状構造体10を形成することによって、目視により識別可能なマーキング7を設けることによって得ることができる。
【0015】
上記レーザ光としては、パルス発振レーザ光または連続発振レーザ光をパルス化したパルスレーザ光を用いることが望ましい。
これらのレーザ光の照射装置、すなわちレーザとしては、連続発振レーザとしては、Millennia(スペクトラフィジックス社製)やVerdy(コヒーレント社製)などが代表的なものとしてあげられる。
また、パルス発振レーザとしては、T/J20−V80−106Q(スペクトラフィジックス社製)やZT−15(コヒーレント社製)などが代表的なものとしてあげられる。
レーザ光の照射装置のレーザ光源としては、YAGレーザ(波長1064nm)や、YAG−SHGレーザ(波長532nm)などがあげられる。
【0016】
上記パルスレザー光を得る方法としては、例えば以下に示す2種類の方法を用いることができる。
(1)連続発振されたレーザ光を外部変調器を用いてパルス化することによりパルスレーザ光を得る方法。
(2)Qスイッチパルスレーザを用いてパルスレーザ光を得る方法。
上記(1)の方法は、連続発振レーザにより得られたレーザ光をEOM、AOMなどの外部変調器に通すことによりパルス化するものである。この方法では、繰り返し性に優れたパルスレーザ光を得ることができ、しかもそのパルス幅を任意に設定することができる点で好ましい。
【0017】
上記EOMとは電気光学効果変調器(Electric−Optic−Modulator)のことであり、光学結晶に電圧を印加して結晶の屈折率が変化する電気光学効果を利用して入射した連続発振レーザ光の光路を変更させることによりレーザ出力を連続的に変化させるものである。
また、AOMとは音響光学変調器(Acoustic−Optic−Modulator)のことであり、光学結晶に外部より超音波を導入し、結晶の光学弾性効果を利用して入射した連続発振レーザ光の回折角度を変化させることにより直進透過するレーザ出力を連続的に変化させるものである。
【0018】
上記(2)の方法は、レーザ共振器を備えたQスイッチパルスレーザを用い、レーザ共振器のQ値の切り替えにより大出力のパルスを得る方法である。レーザ共振器は、EOMやAOMなどの変調器を内蔵したもので、この変調器の動作を外部電気信号により制御することによりレーザ光をパルス化するものである。
一般的に用いられるQスイッチパルスレーザは、パルス幅が10〜80nsであるので、本発明における突起状構造体10の製造には適さないが、パルス幅の長い特殊なQスイッチパルスレーザを用いれば、突起状構造体10を形成することができる。例えば、ZT−15(波長1064nm、コヒーレント社製)を150kHzで使用すれば、パルス幅が110nmとなって、突起状構造体10を形成することができる。
【0019】
上記レーザ光のパルス幅(レーザ光をフォトディレクターにより検出したときのパルス波形の半値幅)としては、100ns以上、好ましくは、100〜1000nsの範囲が好ましい。このようなものであれば、突起状構造体10の凸部11、凹部12の形状の制御が容易で、良好な突起状構造体10を磁気記録媒体6上に形成することができる。
また、レーザ光の照射ビーム径としては、0.1〜30μmが好ましく、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは8〜30μmの範囲とされる。
【0020】
図5は、突起状構造体における凸部11の高さh1と、レーザパワーの関係をパルス幅500ns(図中、長いパルス幅とした)と、50ns(図中、短いパルス幅とした)とで比較したものである。
また、図6は、突起状構造体における凹部12の深さh2と、レーザパワーの関係を、パルス幅500ns(図中、長いパルス幅とした)と50ns(図中、短いパルス幅とした)とで比較したものである。
【0021】
図5より、パルス幅が長いもののほうが、レーザパワーと凸部11の高さh1のグラフの傾きが緩やかになっていることがわかる。このことから、一定量のレーザパワーの変動に対して、パルス幅の長い方が凸部11の高さh1の変動が少ないことがわかる。
同様に、図6より、パルス幅が長いもののほうが、レーザパワーと凹部12の深さh2のグラフの傾きが緩やかになっていることから、一定量のレーザパワーの変動に対して、パルス幅の長い方が凹部12の高さh2の変動が少ないことがわかる。なお、図6中、一定レーザパワー以上で凹部12の深さh2が飽和状態、すなわちグラフ上では頭打ちとなっているのは、凹部12が成膜層5を貫通し、基板1まで達したために、これ以上加工できないためである。このような現象は基板1がガラス基板であるものによくみられる。これは、波長200〜1100nmのレーザ光に対してガラスがほとんど加工性を示さないためである。
【0022】
図7は、レーザパワーとパルス幅との関係を示すグラフであり、加工開始時パルス幅(凸部11の高さh1が10nmとなるときのパルス数とした)と、形成されたすべての突起状構造体10において基板1が露出する時のパルス幅、言い換えれば、それ以上凸部11が形成できないとされたときのパルス幅を示したものである。このグラフより、レーザパワーが小さく加工開始パルス幅が長い方が、基板露出時のパルス数との間の幅が大きいことがわかる。そして、この幅は、レーザパワーが大きくパルス幅が短くなるほど狭くなることがわかる。このことから、パルス幅が長い方が、凸部11の高さの制御または、凹部12の深さの制御に適しているといえることがわかる。
【0023】
このような実験から、磁気記録媒体6に照射するレーザ光のパルス幅が長い方が、凸部11、凹部12の形状を制御しやすいことがわかった。
また具体的なパルス幅としては、100ns以上が好ましいことが次の実験でわかった。次にこの実験について説明する。
以下の装置を用いてパルス幅と、突起状構造体の凸部11の高さh1との関係を調べた。
実験条件としては、次のようにした。
レーザとして、MillenniaX(連続発振、波長532nm、出力10W、スペクトラフィジックス社製)を用い、外部変調器EOMmode1370−LA(Conoptics,inc製)を用いてレーザ光をパルス化し、集光レンズには、MSPlan×5(オリンパス社製)を用いた。
また、磁気記録媒体としては、ガラス基板上に、下地層、磁性膜、保護層を順に成膜したもので、これら成膜層の総合厚さが100nmであるものを用いた。
そして、この磁気記録媒体を回転させながら上記レーザを照射し、以下の条件において突起状構造体を形成し、マーキング加工を行った。
加工集速・・・4m/s
加工パルス周波数・・・200kHz
加工ピッチ・・・半径方向20μm、円周方向20μm
加工範囲・・・円周上に100μm
【0024】
上記実験条件にて、レーザ光のパルス幅を変化させた場合の磁気記録媒体上に形成された突起状構造体の凸部の高さの変化量を調べた。結果を表1に示す。
この結果より、凹部12の深さh2を60nmを中心に制御しようとすると、100nsにおける変動を、60±20nm程度にすることができる。パルス幅がこれ以下の値であると、凹部12の深さを100nm(上記成膜面の厚さ)内に管理するのは難しく、100nsあたりが下限となることが分かる。このため、レーザのパルス幅は100ns以上であることが好ましい。
【0025】
【表1】
Figure 0004318835
【0026】
また、レーザ光の波長としては、200〜1100nmが好ましい。200nm未満であると、オゾンの発生が懸念され、この発生を防ぐために、非酸素中突起状構造体10を形成しなければならなくなり面倒となる。またレーザ光を発するレーザにはエキシマレーザなどの繰り返し性、安定性に劣るものが多く、形成される突起高さが不均一となり易く、さらにはコスト高となって好ましくない。また、波長が1100nmを越えると、金属への吸収が落ちるので、成膜層5上に、突起状構造体10を形成することができなくなるので好ましくない。また、この範囲の波長のレーザは、ガラスに吸収され難いため、ガラス基板を基板1とする磁気記録媒体へのレーザ照射を行う場合には、特に適しているといえる。逆に、ガラスは、例えば、CO2レーザの波長10.6μmのレーザに対しては、金属よりも吸収し易いため、パーティクルの発生が起こることもあるので、このような波長は適さない。
【0027】
また、このようなレザー光を照射して磁気記録媒体6上に、突起状構造体10を複数形成し、これらが識別記号、文字等のマーキングを構成するようにするには、磁気記録媒体6を回転させながら、パルスレーザ光を磁気記録媒体6の回転のZ相信号に同期をとって照射することが好ましい。
このとき、磁気記録媒体6を回転させながら、磁気記録媒体6あるいは集光レンズのどちらかが、磁気記録媒体6の半径方向に移動することによって文字の印字を行うことが好ましい。磁気記録媒体6の回転方向だけでは一次元の移動であるので、磁気記録媒体6あるいは集光レンズのどちらかが、磁気記録媒体6の半径方向に移動することによって2次元の移動が可能になり、文字等の印字を行うことができる。
また、このときに用いる集光レンズとしては、凸レンズ、アクロマッティクレンズ、顕微鏡用対物レンズ等のいずれのものを使用してもかまわない。ただし、焦点距離が小さすぎると焦点深度がとれないので、好ましくなく、焦点距離が大きすぎると連続発振レーザでは加工できなくなるので、焦点範囲としては10〜80μmが好ましい。
【0028】
磁気記録媒体6を回転させる方法としては、モータなどを用いるのが好ましい。このモータとしては、DC(サーボ)モータ、AC(サーボ)モータ、ステッピングモータ等が挙げられる。このようなモータとしては、Z相信号の出力が可能なものが好ましい。Z相信号とは、回転軸1回転に対して1パルスの出力信号を出すものであり、この場合、レーザ照射位置の位置決めの原点用として用いることができる。また、位置決めの原点の役割を有する信号であれば、Z信号の代わりとして使用することもできる。例えば、1回転あたり1024パルスが出力信号が出されるA相信号であれば、出力信号を1024回カウントすることにより原点信号として使用可能である。
【0029】
次に、アルファベットのAをマーキングとして磁気記録媒体上に印字する場合を例に挙げて本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。
まず、文字情報を図3に示すように、ドットパターンとして表す。この場合は、アルファベットのAを10×10のドットとして表した。
ついで、このドットパターンをデジタル信号に変換する。例えば、図4に示すように、図3におけるAのドットパターンの黒部を1、白部を0として表す。
ついで、上記変換されたデジタル信号の一行をまとまった信号として、データゼネレータ等のパルス発信器に入力する。この場合、Aを10×10のドットで表現しているので、1行が10ビットのデジタル信号とされ、例えば、一行目0000110000、2行目が0000110000、3行目が0001111000というように、各行のデジタル信号がパルス発信器に入力される。
ついで、前記パルス発信器にシーケンスを作製し、1回トリガー信号が入力されると、1回につき一行のデジタル信号が出力されるようにする。さらに、1回トリガー信号が入力されると、次の行のデジタル信号が1回出力されるようにする。このプロセスは、文字等の情報が完結するまで繰り返される。例えば、この場合には、10行目が終わるまで繰り返されることとなる。
このときのトリガー信号には、Z相信号を用い、磁気記録媒体を回転させながら、集光レンズが一軸方向に移動するようにしてマーキングを行う。このとき、マーキング加工時のパルス幅は、上述の突起状構造物を作製するのに適した範囲とする。
【0030】
このようにして、磁気記録媒体の一回転の原点位置に、上記デジタル信号の一行分が印字されることとなる。この各行のデジタル信号ごとに繰り返せば、文字等、この場合は、Aを印字することができる。
このように、原点信号をトリガー信号に用いれば、原点位置と文字等の情報の一行分がほぼ同じ位置にくることになる。したがって、印字の行方向がずれるということがない。Z相信号は磁気記録媒体が回転している間は、一回転に一回ずつ発生する。しかし、実際には、マーキングするのは、その間の一部の時間であるので、マーキングするだけのZ相信号が発生するようにしなければならないが、これは、マーキングの間だけリレーがONするようなシーケンサーにより容易に実現することができる。
仮に原点信号を用いずに、回転時間を推測してマーキングを施す方法であれば、回転のばらつきにより印字が行方向にずれてしまう。
【0031】
一般的なレザーマーキング装置においては、文字等を直接表現するために、ガルバノミラーとfθレンズを用いている。ガルバノミラーは、2枚のミラーで構成されており、2枚のミラーを制御することにより2次元の描写が可能になり、文字等を直接表現することができるものである。このガルバノミラーを用いると、レーザ光の集光レンズへの入射角度、入射位置は変化するため、通常用いられる集光レンズでは、同一表面上に焦点を結ぶことは困難である。この問題を解消するために用いられているのがfθレンズであり、fθレンズの焦点距離を大きくすることによって、レーザ光の集光レンズへの入射角度、入射位置が変化しても、同一表面上に焦点を結ぶことを可能としている。
例えば、Yfθレンズ(シグマ光機社製)では、焦点距離が300、150、100mmと小さくなるにしたがい、走査距離がφ240、120、60mmと短くなってしまう。
【0032】
このように、従来のレーザーマーキング装置において、連続発振レーザ光を外部変調装置を用いてパルス化して用いる場合には、そのピークパワーが小さいために、焦点距離の長いレンズを用いることができなかった。
しかしながら、上述の磁気記録媒体を回転させ、レーザ光を磁気記録媒体の回転のZ相信号に同期をとってパルス発振させる方法であれば、このようなレーザ光を外部変調装置を用いてパルス化して用いる場合であっても、焦点距離の短い通常の集光レンズを用いても、正確に記号や文字等を印字することができる。
一般に、レーザテクスチャ法としては、パルスレーザ光が用いられている。
よって、例えば、レーザテクスチャ法に用いられるレーザ法をそのままレーザマーキングに用いることが可能となる。
このようにすれば、容易に上記マーキングを磁気記録媒体6に形成することができる。
【0033】
このようなレーザ光を用いて磁気記録場板6表面上に突起状構造体10を形成してマーキングをする磁気記録媒体の製造方法によれば、レーザ光の波長、パルス幅が最適のものに設定されているので、突起状構造体10の凸部11の高さ、凹部12の深さ、形成位置等の設定を精度よく行うことができる。また、基本的にこの形成方法は乾式過程であるため、磁気記録媒体6への不純物の混入等を防ぐことができる。
また、このような磁気記録媒体6の製造方法においては、磁気記録媒体6を回転させ、レーザ光を磁気記録媒体6の回転のZ相信号に同期をとってパルスレーザ光を照射することによって複数の突起状構造体10を形成するものであるので、容易にかつ正確に、記号や文字などを示すマーキング7を、磁気記録媒体6上に形成することができる。
【0034】
また、このような成膜後の磁気記録媒体6にマーキングを施す方法は、例えば、片面のみ記録面として使用可能な磁気記録媒体6で、その表面に、記録面と非記録面とを識別するために用いることができる。
通常の磁気記録媒体6には、記録容量を向上させるために、その両面に記録面が形成されている。しかし、製造後の磁気記録媒体6の中には、その片面が記録面として不良であるものが含まれている。この不良面をここでは非記録面としている。
上記磁気記録媒体6における記録面(正常面)と非記録面(不良面)とは、磁気記録媒体6製造後に行われる表面検査や、電磁変換特性検査等の試験によりその記録面の特性を調べることにより初めてわかるものである。よって、これら記録面と非記録面との識別のためのマーキングは、これらの検査の後、すなわち磁気記録媒体6製造後(磁性膜の成膜後)に行わなければならないものであり、本発明におけるマーキングの形成方法が好適に用いられる。
【0035】
このような記録面と非記録面とを有する磁気記録媒体6に形成されるマーキング7は、磁気記録媒体の記録面、非記録面のどちらに形成しても構わない。
非記録面にマーキング7を形成する場合であれば、磁気記録媒体6の記録面の特性を阻害することなく、磁気記録媒体6の非記録面の任意の位置に、突起状構造体10を形成することができ、その識別が容易となる。
また、記録面にマーキング7を形成する場合のその形成位置としては、例えば、図1に示すような磁気記録媒体6における非記録領域101が好ましく、特に、この例のように、非記録領域101の最内周領域102に形成されることが望ましい。このようにすれば、マーキング7を記録面に形成する場合であっても、磁気記録媒体6の記録特性を低下させることがない。
【0036】
ところで、従来、このような片面のみ記録面として使用可能な磁気記録媒体6は、不良品として破棄されていた。
ところが、最近では、このような片面だけ使用可能な磁気記録媒体6であっても、実用可能とされる場合がでてきた。というのは、従来は、ハードディスクドライブ(HDD)には、磁気記録媒体1枚あたり、2個の磁気記録ヘッドが用いられてきたため、磁気記録媒体6の両面を記録面に用いることにより記録容量の向上が図られてきたという事情があったが、近年のHDDの記録密度の向上は目覚ましく、通常のパーソナルコンピュータ(PC)の用途では、磁気記録媒体6の片面を用いるだけで、必要な記録容量を満たしてしまうことが多くなってきているためである。
【0037】
このような事情から、従来、磁気記録媒体製造後の検査の段階で、片方の記録面が不良であるために用いられなかった磁気記録媒体6であっても、片面の記録面が正常であれば、磁気記録媒体6として十分に用いることができると考えられる。よって、従来不良品として破棄されていた片面だけが正常の磁気記録媒体6を有効に利用することができれば、大幅なコスト削減が実現できるものである。
このような片面のみ記録面として良好である磁気記録媒体6を用いる場合、正常の記録面と、そうでない非記録面とを区別して用いることが必要とされる。
【0038】
よって、上記マーキングが施された磁気記録媒体6であれば、磁気記録媒体6の記録面と、非記録面との識別が目視により容易にできる。よって、このような片面のみ使用可能な磁気記録媒体6を実用化することができる。これにより、磁気記録媒体6の製造コストを大幅に減少させることができるとともに、この片面のみ使用可能の磁気記録媒体6を磁気記録装置に用いれば、磁気記録再生装置のコストを下げることができる。
【0039】
なお、本発明はこのような用途に限定されるものではなく、様々な用途のマーキング7に使用することができる。例えば、両面使用の磁気記録媒体6の製造番号や日付などの識別等にも用いることができる。
また、本発明は、CSSゾーンのない磁気記録媒体におけるマーキングにも用いることができる。
【0040】
図9は、本発明の磁気記録媒体のマーキング装置の一実施形態を示すもので、この装置は、レーザ光源21と、レーザ光源21から発せられたレーザ光を集光する集光レンズ22と、マーキングを施すべき磁気記録媒体Dを保持する基板保持装置23とを備えて概略構成されている。集光レンズ22とは、凸レンズアクロマティックレンズ、顕微鏡用対物レンズ等のほかに、カライドスコープ等を用いることができる。
【0041】
カライドスコープはレーザ光を、エネルギー密度が均一な平行光とするための光学装置であり、図10に示すように、筒状のスコープ本体30内に、入射光を多重反射させ平行化するカライドミラー31と、カライドミラー31からの出射光の方向を変える反射ミラー32とを収容し、本体30の外周に反射ミラー32からの反射光の光路を整える集光用レンズ33を設けて構成されたものである。このカライドスコープは、レーザ光のエネルギー密度を均一にすることができるので集光レンズ22として用いるのに好ましい。
また、基板保持装置33は、マーキング処理を施すべき磁気記録媒体Dを周方向に所定の回転速度で回転させることができるように構成されている。
本発明の磁気記録媒体のマーキング装置は、これらの装置に限らず、その他外部変調器、各種制御装置等を備えて構成することができる。
【0042】
このような記録媒体のマーキング装置であれば、成膜後の磁気記録媒体6上に、上述の突起状構造体10を複数容易に形成することができる。
【0043】
図11は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の例を示すものである。ここに示す磁気記録再生装置は、磁気記録媒体6と、磁気記録媒体6を回転駆動させる媒体駆動部41と、磁気記録媒体6に情報を記録再生する磁気ヘッド42と、ヘッド駆動部43と、記録再生信号処理系44とを備えている。記録再生信号処理系44は、外部からの記録信号を処理して磁気ヘッド44に送ったり、磁気ヘッド42からの再生信号を処理して外部に送ることができるようになっている。
このような磁気記録再生装置であれば、片面のみ使用可能な磁気記録媒体6であっても、その内部に備えて使用することができる。よって製造コストを低くすることができるので、安価とすることができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
(実施例1)
リチウムシリケイトガラスからなるガラス基板1上に、Cr合金からなる下地層2、Co合金からなる磁性膜3、カーボンからなる保護層4を順に成膜した磁気記録媒体6の非記録領域101に加工範囲を円周上に500μmとして、次に示す装置、方法により突起状構造体10を複数形成した。このとき基板1上に形成された下地層2、磁性膜3、保護層4をあわせた成膜層5の膜圧は100nmであった。
レーザ光源として、MillenniaX(連続発振、波長532nm、出力5W、スペクトラフィジックス社製)を用い、外部変調器EOM mode1370−LA(Conoptics,inc製)を用いてレーザをパルス化し、集光レンズには、MSPlan×5(オリンパス社製)を用いた。
そして、この磁気記録媒体6を回転させながら上記レーザを、加工パルス周波数200kHz、レーザ出力2.5W、パルス幅500nsで照射した。このときの回転する磁気記録媒体6の集速を4m/s、ピッチを半径方向20μmとし、その加工範囲を円周上に100μmとした。
【0045】
この結果、磁気記録媒体6の所定の位置に、凸部11の高さが50nmである突起状構造体10を複数形成することできた。その形状は良好であり、ガラス基板が露出した突起状構造体10はなかった。
【0046】
(実施例2)
磁気記録媒体6の基板1としてニッケル燐メッキを施したアルミ基板を用いた以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体6上に凸部11の高さが50nmである複数の突起状構造体10を形成した。
この結果、磁気記録媒体6の所定の位置に、突起状構造体10を容易に形成することできた。その形状は良好であり、アルミ基板のニッケル燐下地層が露出した突起状構造体10はなかった。
【0047】
(実施例3)
レーザ光源として、MillenniaV(連続発振、波長532nm、出力5W、スペクトラフィジックス社製)を用い、レーザ出力を0.8Wとして、連続発振レーザを用いた以外は実施例1と同様にして、磁気記録媒体6上に凸部11の高さが50nmである複数の突起状構造体10を形成した。
この結果、磁気記録媒体6の所定の位置に、突起状構造体10を容易に形成するこできた。その形状は良好であり、ガラス基板が露出した突起状構造体10はなかった。
【0048】
(実施例4)
レーザ光源としてZT−15(パルス発振、波長1064nm、出力2W、コヒーレント社製)を用い、加工パルス周波数を150kHz、レーザ出力0.15W、パルス幅110nsとした以外は、実施例1と同様にして、凸部11の高さが50nmである複数の突起状構造体10を形成した。
この結果、磁気記録媒体6の所定の位置に、突起状構造体10を容易に形成することできた。その形状は良好であり、ガラス基板が露出した突起状構造体10はなかった。
【0049】
(比較例1)
レーザ光のパルス幅を1500nsとした以外は、実施例1と同様にして、凸11部の高さが200nmである複数の突起状構造体10形成した。
しかしながら、形成した全ての突起状構造体10において、ガラス基材が露出してしまった。
【0050】
(比較例2)
レーザ光のパルス幅を1500nsとした以外は、実施例2と同様にして、凸11部の高さが200nmである複数の突起状構造体10形成した。
しかしながら、形成した全ての突起状構造体10において、アルミ基材のニッケル燐メッキ部分が露出してしまった。
【0051】
(比較例3)
レーザ光源として501QM−VD(パルス発振、波長1064nm、出力1.5W、コヒーレント社製)を用い、加工パルス周波数を10kHz、レーザ出力を0.01W、パルス幅を10nsとした以外は、実施例1と同様にして、凸部11の高さが50nmである突起状構造体10を複数形成した。
この結果、形成された突起状構造体10の30%程度で、ガラス基板が露出してしまった。このとき、レーザ出力を可変しても、ガラス基板が露出していない突起状構造体10を得ることはできなかった。
【0052】
実施例1と比較例1の突起状構造体10形成後の磁気記録媒体6にけるコロージョン性を評価した。コロージョン性の評価は、それぞれの磁気記録媒体6を温度80℃の温水に60分間浸して温水抽出し、この温水中のリチウムイオン量をICP−MSにより測定した。このとき、レーザ処理をしていない実施例1に用いた磁気記録媒体6と同様のものをリファレンスとし、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
この結果から、比較例1の磁気記録媒体6から、実施例1およびリファレンスの磁気記録媒体6に比較して、多量のリチウムイオンが析出していることがわかった。
【0053】
実施例2と比較例2の突起状構造体10形成後の磁気記録媒体6にけるコロージョン性を評価した。コロージョン性の評価は、それぞれの磁気記録媒体6を温度80℃、湿度80%のオーブン中に168時間放置し、その後、温度25℃の温水に60分間浸して温水抽出し、この温水中のニッケルイオン量をICS−MSにより測定した。レーザ処理をしていない実施例2に用いた磁気記録媒体6と同様のものをリファレンスとし、同様の試験を行った。結果を表2に示す。この結果から比較例2の磁気記録媒体6から、実施例2およびリファレンスの磁気記録媒体6に比較して、多量のニッケルイオンが析出していることがわかった。
【0054】
【表2】
Figure 0004318835
【0055】
(実施例5)
レーザには、MilleniaV(スペクトラフィジックス社製、出力5W)レーザ出力2.5W、外部変調器としてEMO mode1370−LA(Conoptics.inc製)、集光レンズとして顕微鏡用対物レンズMSPlan×5(オリンパス社製、焦点距離36mm)モータとしてACサーボモータ(新明和製)を用い、磁気記録媒体6として、上記実施例1に用いた磁気記録媒体6を用い、この磁気記録媒体6の加工周速を4m/sで回転させながら、加工ピッチを半径方向20μmとし、円周方向の間隔を制御することによって、その表面に、突起状構造物10と形成することにより、文字Aを印字した。
そして、図3にあるように、文字Aは、10×10ドットとして、このドットを白部を0、黒部を1としたデジタル信号に変換し、デジタル信号が1の時のみに、レーザがパルス発振して、突起状構造物10が形成されるようにした。
そして、図4に示した文字Aを変換したデジタル信号は行ごとに、データゼネレータDZ2020(ソニーテクトロニクス社製)に取り込み、トリガー信号が入力されたら、順番に1回ずつ対応するデジタル信号が発振されるようにした。また、上記データゼネレータのクロック周波数は、2MHsであったので、そのままデジタル信号を発信したのでは2μm間隔のドットとなってしまうので、、デジタル信号が0のときには0000000000、1のときには1000000000のデジタル信号を割り当て、20μmドット間隔になるように調整した。このとき、レーザ光の1パルスあたりのパルス幅は500nsであった。トリガー信号には、ACサーボメータのZ相信号を用いた。
この結果、200×200μm角のAという文字を行方向のずれなしできれいに作製することができた。また、このときの突起状構造体10の凸部11の高さh1は、500nmであった。
【0056】
(比較例4)
レーザには、MilleniaZ(スペクトラフィジックス社製、出力10W)
レーザ出力10W、外部変調器としてEMO mode1370−LA(Conoptics.inc製)、集光レンズとしてYfθレンズ(シグマ光機社製、焦点距離100mm)を用い、磁気記録媒体6に実施例1と同様のものを用い、この磁気記録媒体6を静止させ、ガルバノミラーを動かすことにより、上記Aの印字を行った。
この結果、磁気記録媒体6上に突起状構造体10を形成することができず、文字Aを印字することができなかった。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の磁気記録媒体は、基板上に少なくとも磁性膜が形成された磁気記録媒体であって、この記録媒体上に、目視により識別可能な複数の突起状構造体からなるマーキングが形成されているものであるので、磁気記録媒体における様々な識別を目視により容易に行うことができるものである。例えば、磁気記録媒体における記録面と非記録面とを有するものであれば、その識別を容易に行うことができる。また、このような磁気記録媒体であれば、従来不良品とされていた片面のみ良好な磁気記録媒体でも製品として用いることができ、大幅なコストダウンを計ることができる。
【0058】
また、上記突起状構造体の凸部の高さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)×2nm以下であれば、目視可能でわかりやすく、また磁気記録媒体の耐コロージョン性の低下させることのなくマーキングを施された磁気記録媒体を得ることができる。
上記突起状構造体の凹部の深さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)nm以下であれば、同様に目視可能でわかりやすく、また磁気記録媒体の耐コロージョン性の低下させることのなくマーキングを施された磁気記録媒体を得ることができる。
さらに、上記基板上に形成された層の総合厚さが、10〜300nmである磁気記録媒体であれば、容易に良好なマーキングを施すことができる。
上記マーキングが、目視により識別可能な記号または文字などであれば、より磁気記録媒体の識別が容易となる。
また、上記マーキングにより正常面(記録面)と不良面とを識別された磁気記録媒体によれば、これを用いることにより従来破棄されてきた片面のみ使用可能な磁気記録媒体を製品として用いることが可能となり、大幅なコスト削減が可能となる。また、この磁気記録媒体を磁気記録装置に用いれば、磁気記録装置の製造コストを下げることができる。
【0059】
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、パルス発振レザー光または、パルス化された連続発振レーザ光を、磁気記録媒体に照射することによって上記突起状構造体を形成するものであるので、成膜後の磁気記録媒体に、上記突起状構造体を複数形成して、目視により識別可能なマーキングを容易に形成することができる。詳しくは、凸部の高さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)×2nm以下であり、凹部の深さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)nm以下である突起状構造体を複数、容易に磁気記録媒体上に形成することができる。
また、この方法においては、レーザ光により突起状構造体を、磁気記録媒体上の正確な位置に形成することができるので、輪郭のはっきりとした正確な形状の記号や文字等のマーキングを磁気記録媒体の表面に形成することができる。
また、上記磁気記録媒体の製造方法において、レーザ光の波長が200〜1100nm、そのパルス幅を100ns以上にすれば、上記凸部の高さまた、凹部の深さ等の制御がよういであり、これらの値にばらつきの少ない良好な形状の突起状構造体を得ることができる。
【0060】
本発明の磁気記録媒体のマーキング装置によれば、上記形状の突起状構造体を容易に形成することができ、上記磁気記録媒体を容易に製造することができる。また、本発明の磁気記録再生装置においては、正常記録面と不良記録面とを有し、従来破棄されてきた磁気記録媒体であっても用いることができるので、製造コストが低く、安価とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の一例を示す平面図である。
【図2】 (a)本発明の磁気記録媒体に形成される突起状構造体の一例を示した平面図である。
(b)(a)におけるA−A’方向からみた断面図である。
【図3】 本発明の磁気記録媒体に形成されるマーキングの一例をドットパターンとして示した図である。
【図4】 図3におけるマーキングのドットパターンをデジタル信号として表した図である。
【図5】 本発明の磁気記録媒体に形成される突起状構造体の一例における凸部の高さh1と、レザーパワーの関係を示したグラフである。
【図6】 本発明の磁気記録媒体に形成される突起状構造体の一例における凹部に深さh2と、レザーパワーの関係を示したグラフである。
【図7】 本発明の磁気記録媒体に形成される突起状構造体を形成する際のレーザ光のパルス幅と、レーザパワーの関係を示したグラフである。
【図8】 磁気記録媒体の一例の構造を示すための断面図である。
【図9】 本発明の磁気記録媒体のマーキング装置の一例を示す概略構成図である。
【図10】 本発明の磁気記録媒体のマーキング装置に用いられるカライドスコープの一例を示す概略構成図である。
【図11】 本発明の磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…基板、 2…下地膜、 3…磁性膜、 4…保護膜、 5…成膜層
6…磁気記録媒体、 7…マーキング
10…突起状構造体、11…凸部、12…凹部

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも磁性膜が形成された磁気記録媒体であって、この記録媒体上に、目視により識別可能なマーキングが形成され、このマーキングが複数の突起状構造体からなり、且つ、該磁気記録媒体が、正常面と不良面とを有するものであって、上記マーキングにより、これら正常面と不良面との識別が可能とされたことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 上記突起状構造体の凸部の高さが、10nm以上、(基板上に形成された層の総合厚さ)×2nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 上記突起状構造体の凹部の深さが、10nm以上、基板上に形成された層の総合厚さ)nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 上記基板上に形成された層の総合厚さが、10〜300nmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 上記マーキングが記号または文字を示すものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え、該磁気記録媒体が、請求項1ないしのいずれか一項に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
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