JP2004055048A - 磁気記録媒体の磁化パターン形状規定用マスク及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の磁化パターン形状規定用マスク及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁化パターン形状規定用マスクに関する各種の情報をマスク単独で容易に特定できるようにした、磁化パターン形状規定用マスク、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】磁気記録媒体の磁性層にエネルギー線を照射して加熱し、外部磁界を印加して磁性層に磁化パターンを形成する際に、磁化パターンの形状を規定するマスク1において、形成する磁化パターンの形状に応じて、磁性層に対するエネルギー線の照射強度に局所的な濃淡を生じさせるマスクパターン領域を形成すると共に、マスク1に関する情報を特定するためのマーク6を、マスク1と一体的に形成する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録装置に用いられる磁気ディスクなどの磁気記録媒体の磁化パターン形状規定用マスク及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置(ハードディスクドライブ)に代表される磁気記録装置は、コンピュータなどの情報処理装置の外部記憶装置として広く用いられ、近年では動画像の録画装置やセットトップボックスのための記録装置としても使用されつつある。
【0003】
磁気ディスク装置は、通常、磁気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシャフトと、該シャフトにベアリングを介して接合された磁気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたアームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上の任意の位置に移動させることのできるアクチュエータとからなる。
【0004】
記録再生用ヘッドは、通常は浮上型ヘッドで、磁気記録媒体上を一定の浮上量で移動している。また、浮上型ヘッドの他にも、媒体との距離をより縮めるために、コンタクトヘッド(接触型ヘッド)の使用も提案されている。
【0005】
磁気ディスク装置に搭載される磁気記録媒体は、一般にアルミニウム合金などからなる基板の表面にNiP層を形成し、所要の平滑化処理、テキスチャリング処理などを施した後、その上に、金属下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤滑層などを順次形成して作製されている。あるいは、ガラスなどからなる基板の表面に金属下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤滑層などを順次形成して作製されている。磁気記録媒体には面内磁気記録媒体と垂直磁気記録媒体とがある。面内磁気記録媒体は、通常、長手記録が行われる。
【0006】
磁気記録媒体の高密度化は年々その速度を増しており、これを実現する技術には様々なものがある。例えば磁気ヘッドの浮上量をより小さくしたり磁気ヘッドとしてGMRヘッドを採用したり、また磁気ディスクの記録層に用いる磁性材料を保磁力の高いものにするなどの改良や、磁気ディスクの情報記録トラックの間隔を狭くするなどが試みられている。例えば100Gbit/inchを実現するには、トラック密度は100ktpi以上が必要とされる。
【0007】
各トラックには、磁気ヘッドを制御するための制御用磁化パターンが形成されている。例えば磁気ヘッドの位置制御に用いる信号や同期制御に用いる信号である。情報記録トラックの間隔を狭めてトラック数を増加させると、データ記録/再生用ヘッドの位置制御に用いる信号(以下、「サーボ信号」と言うことがある。)もそれに合わせてディスクの半径方向に対して密に、すなわちより多く設けて精密な制御を行なえるようにしなければならない。
【0008】
また、データ記録に用いる以外の領域、即ちサーボ信号に用いる領域(サーボ領域)や該サーボ領域とデータ記録領域の間のギャップ部を小さくしてデータ記録領域を広くし、データ記録容量を上げたいとの要請も大きい。このためにはサーボ信号の出力を上げたり同期信号の精度を上げたりする必要がある。
【0009】
サーボ信号の形成に従来広く用いられている方法は、ドライブ(磁気記録装置)のヘッドアクチュエータ近傍に穴を開け、その部分にエンコーダ付きのピンを挿入し、該ピンでアクチュエータを係合し、ヘッドを正確な位置に駆動してサーボ信号を記録するものである。しかしながら、位置決め機構とアクチュエータの重心が異なる位置にあるため、高精度のトラック位置制御ができず、サーボ信号を正確に記録するのが困難であった。
【0010】
一方、レーザビームを磁気ディスクに照射してディスク表面を局所的に変形させ物理的な凹凸を形成することで、凹凸サーボ信号を形成する技術も提案されている。しかし、凹凸により浮上ヘッドが不安定となり記録再生に悪影響を及ぼす、凹凸を形成するために大きなパワーをもつレーザビームを用いる必要がありコストがかかる、凹凸を1ずつ形成するために時間がかかる、といった問題があった。
【0011】
このため、新しいサーボ信号形成法が提案されている。
その一例は、高保磁力の磁性層を持つマスターディスクにサーボパターンを形成し、マスターディスクを磁気記録媒体に密着させるとともに、外部から補助磁界をかけて磁化パターンを転写する方法である(USP5,991,104号公報)。
【0012】
また、他の例は、媒体を予め一方向に磁化しておき、マスターディスクに高透磁率で低保磁力の軟磁性層などをパターニングし、マスターディスクを媒体に密着させるとともに外部磁界をかける方法である。軟磁性層がシールドとして働き、シールドされていない領域に磁化パターンが転写される(特開昭50−60212号公報(USP3、869、711号公報)、特開平10−40544号公報(EP915456号公報)、Digest of InterMag 2000、GP−06、参照)。
【0013】
これらの技術はマスターディスクを用い、強力な磁界によって磁化パターンを媒体に形成している。
一般に磁界の強度は距離に依存するので、磁界によって磁化パターンを記録する際には、漏れ磁界によってパターン境界が不明瞭になりやすい。そこで、漏れ磁界を最小にするためにマスターディスクと媒体を密着させることが不可欠である。そしてパターンが微細になるほど、隙間なく完全に密着させる必要があり、通常、両者は真空吸着などにより圧着される。
【0014】
また、媒体の保磁力が高くなるほど転写に用いる磁界も大きくなり、漏れ磁界も大きくなるため、更に完全に密着させる必要がある。
従って、上記の各技術は、保磁力の低い磁気ディスクや圧着しやすい可撓性のフロッピー(登録商標)ディスクには適用しやすいが、硬質基板を用いた、高密度記録用の保磁力が3000Oe以上もあるような磁気ディスクへの適用が非常に難しい。
【0015】
即ち、硬質基板の磁気ディスクは、密着の際に微小なゴミ等を挟み込み媒体に欠陥が生じたり、或いは高価なマスターディスクを痛めたりしてしまう恐れがあった。特にガラス基板の場合、ゴミの挟み込みで密着が不十分になり磁気転写できなかったり、磁気記録媒体にクラックが発生したりするという問題があった。
【0016】
また、上述の特開昭50−60212号公報(USP3、869、711号公報)に記載された様な技術では、ディスクのトラック方向に対して斜めの角度を有したパターンを形成する場合、記録は可能であるが信号強度の弱いパターンしか作れないという問題があった。保磁力が2000〜2500Oe以上の高保磁力の磁気記録媒体に対しては、転写の磁界強度を確保するために、マスターディスクのパターン用強磁性体(シールド材)は、パーマロイあるいはセンダスト等の飽和磁束密度の大きい軟磁性体を使わざるを得ない。
【0017】
しかし、斜めのパターンでは、磁化反転の磁界はマスターディスクの強磁性層が作るギャップに垂直方向となってしまい所望の方向に磁化を傾けることができない。その結果、磁界の一部が強磁性層に逃げてしまい磁気転写の際に所望の部位に十分な磁界がかかりにくく、十分な磁化反転パターンを形成できず高い信号強度が得にくくなってしまう。こうした斜めの磁化パターンは、再生出力が、トラックに垂直のパターンに対してアジマスロス以上に大きく減ってしまう。
【0018】
これに対して、特願2000−134608号及び特願2000−134611号の各明細書に記載された技術は、局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気記録媒体に磁化パターンを形成する。例えば、媒体を予め一方向に磁化しておき、パターニングされたマスクを介してエネルギー線等を照射し局所的に加熱し、該加熱領域の保磁力を下げつつ外部磁界を印加し、加熱領域に外部磁界による記録を行ない、磁化パターンを形成する。
【0019】
本技術によれば、加熱により保磁力を下げて外部磁界を印加するので、外部磁界が媒体の保磁力より高い必要はなく、弱い磁界で記録できる。そして、記録される領域が加熱領域に限定され、加熱領域以外には磁界が印加されても記録されないので、媒体にマスク等を密着させなくても明瞭な磁化パターンが記録できる。このため圧着によって媒体やマスクを傷つけることなく、媒体の欠陥を増加させることもない。
【0020】
また、本技術によれば、斜めの磁化パターンも良好に形成できる。従来のようにマスターディスクの軟磁性体によって外部磁界をシールドする必要がないためである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
このように、特願2000−134611号の明細書に記載された磁化パターン形成技術は、各種の微細な磁化パターンを効率よく且つ精度よく形成でき、しかも媒体やマスクを傷つけることなく媒体の欠陥を増加させることもない優れた技術である。
【0022】
しかしながら、本技術において使用されるマスクは、その表裏,円周上の位置,面内におけるマスクパターンの形成方向,種類等といった各種の情報を、マスク単体では必ずしも適切に特定できないという課題があった。
【0023】
具体的に説明すると、本技術において使用されるマスクとしては、例えば、厚さ2.3mmの石英ガラス等からなる透明基板の表面に、わずか100nmのシリコン等の薄膜を設けたものが用いられている。ところが、シリコンは可視光下では半透明であり、また、薄膜の厚さが薄いために、マスクの表裏を判別するのが困難であった。その上、通常の可視光下ではマスクの表裏を判別し得たとしても、実際の製造現場においてはマスクの製造にフォトレジストなどを使用することがあり、その際には黄色光下で作業を行なうために表裏の判別はさらに困難となっていた。
【0024】
また、図6は、従来の磁化パターン形成方法に用いられるマスクの平面図であるが、図6に示すように、マスク1には、磁化パターン形成方法によって形成する磁化パターンに応じた多数の直線状のマスクパターン2が形成されていて、そのマスクパターン2の集合であるスポーク3が複数、マスク1の放射方向に曲線状に形成されている。特に、これら複数のスポーク3の中には、磁気記録媒体の使用時に信号を読み込む磁気ヘッドのスタート位置(マスク面内の円周方向における位置)を決めるために、一つだけ他のマスクパターン2と異なる形状に形成された検査用のマスクパターン(以下、インデックスパターン、又は、indexパターンと呼ぶ。)からなるスポーク3が存在する。しかし、個々のマスクパターン2の幅は約1μm程度と非常に細かいため、インデックスパターンを他のマスクパターン2と目視で区別することはほぼ不可能である。また、マスクパターン2の集積であるスポーク3も、例えば、幅が外周で0.4mm程度,内周で0.2mm程度と言った具合に細い上に、同一の形状で等間隔に形成されている場合が多いので、インデックスパターンからなるスポーク3を他のスポーク3から目視で識別し、マスク面内の円周方向における位置を特定するのは困難であった。
【0025】
また、マスク1を検査する際には、原子間力顕微鏡(atomic force microscope:以下、AFMという)でマスクパターン2を観察し、マスク1の表面形状に問題がないか確認する。AFMは、カンチレバーと呼ばれる探針を測定物に近接させて、カンチレバーが原子間力によって移動する移動量から表面形状を測定する。このとき、マスク1の表面形状を正確に測定するためには、マスク1の面上において、マスクパターン2の凹凸が延在する角度、即ちAFMのカンチレバーによる走査方向が、マスクパターン2に対して垂直となるように、マスク1の面内における方向を調整する必要がある。ところが、上述のようにマスクパターン2の幅は非常に微小であるため、マスクパターン2が形成されているマスク1面内の方向を目視にて特定することは極めて困難である。よって、マスクパターン2に対して垂直な方向を特定し、マスク1の検査を適切に行なうためには、多くの手間を要するという課題がある。
【0026】
マスクに関するこれらの情報を特定し易くするために、マスク1に目印を刻んだり、シールやマジックペン等でなんらかの目印を付けたりすることも考えられる。ところが、このような方法で目印を刻んだり付けたりした場合には、その工程において発塵の虞があり、またマスク1表面に大きな凹凸が生じるため、磁化パターン形成時における磁気記録媒体との間の密着性が失われたり、洗浄に問題が生じたりする虞がある。さらに、マジックやシールで目印を付けた場合には、磁化パターン形成時にマスクにエネルギー線を照射することになるため、目印の耐久性にも問題がある。
【0027】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、磁気記録媒体の磁性層に磁化パターンを形成する際に前記磁化パターンの形状を規定するマスクであって、磁化パターン形成時における磁気記録媒体との間の密着性を損なうことなく、また、洗浄やエネルギー線の照射による不具合を伴うことなく、該マスクに関する各種の情報をマスク単独で容易に特定できるようにした、磁化パターン形状規定用マスク、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、マスクに関する各種の情報を特定するためのマークを、マスクと一体的に形成することによって、前記目的が効果的に達成されることを見出し、本発明に至った。
【0029】
本発明の要旨は、磁気記録媒体の磁性層にエネルギー線を照射して加熱し、外部磁界を印加して前記磁性層に磁化パターンを形成する際に、前記磁化パターンの形状を規定するマスクであって、形成する前記磁化パターンの形状に応じて、前記磁性層に対するエネルギー線の照射強度に局所的な濃淡を生じさせるマスクパターン領域を有するとともに、上記マスクに関する情報を特定するためのマークが、該マスクと一体的に形成されていることを特徴とする磁化パターン形状規定用マスクに存する(請求項1)。
【0030】
このとき、前記マークを、上記マスクの表裏,上記マスクの円周上の位置,上記マスクの面内におけるマスクパターンの形成方向,及び上記マスクの種類のうち、少なくとも何れか一つの情報を特定するためのものとすることが好ましい(請求項2)。
【0031】
また、前記マークを、前記マスクパターン領域の外部に形成してもよい(請求項3)。
【0032】
好ましくは、本発明の磁化パターン形状規定用マスクは、エネルギー線を透過させる円板状の基板と、該基板上に設けられ、エネルギー線を透過しない遮蔽層とを備えて構成されるとともに、該遮蔽層の少なくとも一部が、前記磁化パターンに応じた形状でエネルギー線を透過させるべく開放されることにより、前記マスクパターン領域が形成されていることを特徴としている(請求項4)。
【0033】
この場合、前記マークを、上記基板及び/又は上記遮蔽層の一部を変形させて形成してもよい(請求項5)。
【0034】
また、上記遮蔽層に、前記マスクパターンの集合であるスポークを放射方向に曲線状に形成するとともに、前記マークを、前記複数のスポークのうち少なくとも1つを、他のスポークよりも上記マスクの径方向の内方及び/又は外方に伸ばして形成してもよく(請求項6)、さらに、前記複数のスポークの内周側端部及び/又は外周側端部に、前記マスクパターンと平行な角度の切り欠きとして形成してもよい(請求項7)。
【0035】
また、本発明の別の要旨は、上記基板上に、上記遮蔽層と前記マークとを同一の工程で作成することを特徴とする、上記磁化パターン形状規定用マスクの製造方法(請求項8)、並びに、予め前記マークが形成された上記基板上に、上記遮蔽層を設けることを特徴とする、上記磁化パターン形状規定用マスクの製造方法に存する(請求項9)。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明について説明する。なお、各図面において実質同一部分については同一符号を付して説明する。
【0037】
本発明に係るマスクは、磁気記録媒体の磁性層にエネルギー線を照射して加熱し、外部磁界を印加して磁性層に磁化パターンを形成する際に、磁化パターンの形状を規定するものである。そして、形成する磁化パターンの形状に応じて、磁性層に対するエネルギー線の照射強度に局所的な濃淡を生じさせるマスクパターン領域を有するとともに、マスクに関する情報を特定するためのマークが、該マスクと一体的に形成されていることを、その特徴としている。
【0038】
マークにより特定される情報は特に制限されず、マスクに関する各種の情報を対象とすることが可能であるが、具体例としては、(1)マスクの表裏,(2)マスクの種類(そのマスクの属性や製造番号等),(3)マスクの円周上における位置(特にインデックスパターンの位置),(4)マスクの面内におけるマスクパターンの形成方向(特にAFM測定時に必要となる、各スポーク内のマスクパターンの形成方向)などが挙げられる。以下の説明では、これら(1)〜(4)の情報を特定するマークを形成する場合について、それぞれ実施の形態を挙げて説明する。なお、1つのマークにより特定される情報は一種に限定される訳ではなく、1つのマークから複数の情報を特定できるように構成してもよい。以下の実施の形態においてもそれぞれのマークから複数の情報を特定することが可能な場合もある。
【0039】
また、本発明の適用対象となるマスクは、形成すべき磁化パターンに応じたエネルギー線の濃淡を生じさせるマスクパターンを有するマスクであれば特に制限されず、エネルギー線の透過部と非透過部とからなるマスクパターンを有するマスク、エネルギー線を拡散させるマスクパターンを有するマスク、ホログラムマスクなど、何れの方式のマスクも使用可能である。以下の実施形態では、何れも、エネルギー線の透過部と非透過部とからなるマスクパターンを有するマスクを例として説明する。
【0040】
(1)第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態として、主にマスクの裏表を特定するためのマークを有する磁化パターン形成規定用マスクについて、図1を用いて説明する。なお、図1(a)は磁化パターン形成用マスクの正面図、図1(b)は図1(a)の磁化パターン形状規定用マスクのA矢視部の拡大断面図である
【0041】
図1(a)に示すように、本実施形態に係る磁化パターン形成用マスク1は、エネルギー線を透過させる基板4の一面に、エネルギー線を遮蔽する遮蔽層としての機能を有する無機物層5が形成されている。また、無機物層5のうちの磁化パターン形状を規定する領域(マスクパターン領域)には、形成する磁化パターンの形状に応じて無機物層5が開放され、マスクパターン2を形成している。さらに、マスクパターン2は、そのマスクパターン2の集合であるスポーク3が、磁化パターン形状規定用マスク面上において放射方向に曲線状に形成されるように配されている。
【0042】
更に、本実施形態の磁化パターン形成用マスク1では、図1(b)に示すように、基板4の無機物層5が形成された面の縁部の一部に、マークとしての切欠き6が形成されている。この切欠きの形状や数は特に限定されるものではなく、任意に切欠きを形成することができる。
【0043】
本発明の第1実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクは上述のように形成されているので、切欠き6の有無によって、マスクの表裏を特定することができる。さらに、切欠きの形状や数や配置を工夫することによって、マスク1の種類を特定したり、磁化パターン形状規定用マスク1の円周上の位置を特定したりすることができる。
【0044】
続いて、本実施形態の磁化パターン形状規定用マスクの製造方法について説明する。
エネルギー線に対して透過性のある透明基材、例えば、石英ガラス、光学ガラス、ソーダライムガラス等からなる円板状の基板4の縁部の一部分に、切欠き6を設ける。切欠き6は、少なくともマスクパターン2が形成されることになる部分にかからないように位置決めをして形成する。また、製造する磁化パターン形状規定用マスク1の種類によって切欠き6に違いを持たせる場合には、種類判別のため予め大きさや形状等を決定しておき、その大きさや形状に合わせて切欠き6を形成する。さらに、切欠き6を形成する方法は、研削した後に発塵防止のために研磨する等の物理的な方法や、フッ酸で溶かす等の化学的な方法など、どのような方法でもよいが、磁化パターン形成時のことを考慮すると発塵の無い方法が好ましい。
【0045】
こうして形成された基板4の表面に、クロムやシリコンなど無機物をスパッタリング形成し、その上にスピンコート等によりフォトレジストを塗布し、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:以下、RIEという)などのエッチング等によって、所望の無機物層5を作成する。この場合は透明基材上に無機物層を有する部分がエネルギー線が透過できない非透過部、基板のみの部分がエネルギー線が透過する透過部となる。また、マスク1に誘電体層からなる無反射コーティングを施すことも好ましい。これによりエネルギー線をより有効に利用することができるからである。
このとき、磁化パターン形成の際にエネルギー線が透過するマスク1上の領域を規定するマスクパターン2の部分には無機物層5が形成されないようにしておく。
【0046】
以上のようにして第1実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクが製造される。したがって、予め切欠き6を設けた基板4の表面に無機物層5を形成するため、無機物層5を形成した後に基板に目印を刻んだりする場合と異なり、形成時に塵が発生して磁化パターン形状規定用マスク表面に付着したりするおそれはない。また、シールやマジックペン等で目印をつける場合のように、目印の耐久性に欠けるという問題もない。
【0047】
(2)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態として、主としてマスクの種類(そのマスクの属性や製造番号等)を特定するためのマークを有する磁化パターン形成用マスクについて、磁化パターン形成用マスクの正面図である図2を用いて説明する。
図2に示すように、本実施形態にかかる磁化パターン形成用マスクは、エネルギー線を透過させる基板4の一面に、エネルギー線を遮蔽する遮蔽層としての機能を有する無機物層5が形成されている。無機物層5が形成された面の、磁化パターン形状を規定するための領域(マスクパターン領域)には、形成する磁化パターンに応じて無機物層5が開放され、マスクパターン2を形成している。また、マスクパターン2は、マスクパターン2の集合であるスポーク3が磁化パターン形状規定用マスク1面上において放射方向に曲線状に形成されるように、配されている。
さらに本実施形態では、径方向外側の縁部のマスクパターン2にかからない領域において、無機質層5を開放することにより、マークとして機能し得る形状、例えば文字(図2では「sample」)等の記号8が形成されている。
【0048】
第2実施形態としての磁化パターン形状規定用マスク1は上述のように形成されているため、磁化パターン形状規定用マスク1の円周上の位置を目視で簡単に特定することができる。また、マスク1の種類の情報やマスク1の管理番号などのマスク1の種類についての情報を特定することができる。
【0049】
なお、磁化パターン形状規定用マスク1の表から観た形状と裏から観た形状とが異なる形状に記号8を形成すれば、磁化パターン形状規定用マスク1の表裏を特定することもできる。
また、記号8を文字の代わりに図7(a)などのバーコード等の1次元コードの形状に形成したり、図7(b)のようなPDF417や図7(c)のようなQRコードや図7(d)のようなデータコードなどの2次元コードの形状に形成したり、もしくはホログラムとして形成したりしてもよく、それにより必要に応じ多くの情報をこの磁化パターン形状規定用マスクから読み取れるようにすることができる。
【0050】
続いてこの磁化パターン形状規定用マスクの製造方法について説明する。
例えば、石英ガラス、光学ガラス、ソーダライムガラス等のエネルギー線に対して透過性のある透明基材を円板状に形成し基板4を製造する。こうして形成された基板4の表面に、クロムやシリコンなど無機物をスパッタリング形成し、その上にスピンコート等によりフォトレジストを塗布し、RIEなどのエッチング等によって、所望の透過部と非透過部を作成する。この場合は透明基材上に無機物層5を有する部分がエネルギー線の非透過部、基板4のみの部分がエネルギー線の透過部となる。ただし本実施形態では、磁化パターン形成に用いるマスクパターン2がある領域の他、マスク1外縁部のマスクパターン2にかからない領域に、特定の情報をもたせた文字,模様及び配列のうちの1つ又は複数の形状の透過部を形成し、これを記号8とする。
このとき、予め記号8が形成される領域には無機物層5を形成しないようにし、マスクパターン2の形成と同時にマークとしての記号8を形成するようにしておけば、製造工程を増やすことなくマークを形成することができ、好ましい。
【0051】
以上のようにして第2実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクが製造される。したがって、基板に刻んで目印をつける場合とは異なりマーク形成工程において発塵が無く、またマスク1表面に大きな凹凸が生じ、磁化パターン形成時にマスク1と磁気記録媒体との間の密着性が失われたり、洗浄によりマークが消えてしまう等の問題が生じたりする虞も無い。さらに、磁化パターン形成時にマスク1にエネルギー線を照射してもマークが消えることは無い。
【0052】
(3)第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態として、主としてマスクの円周上における位置を特定するためのマークを有する磁化パターン形成用マスクについて、磁化パターン形成用マスクの正面図である図3を用いて説明する。
図3に示すように、本実施形態に掛かる磁化パターン形成用マスクは、エネルギー線を透過させる基板4の一面に、エネルギー線を遮蔽する遮蔽層としての機能を有する無機物層5が形成されている。無機物層5が形成された面の、磁化パターン形状を規定するための領域(マスクパターン領域)には、形成する磁化パターンに応じて無機物層5が開放され、マスクパターン2を形成している。また、マスクパターン2は、マスクパターン2の集合であるスポーク3が磁化パターン形状規定用マスク1面上において放射方向に曲線状に形成されるように、配されている。
さらに本実施形態では、複数形成されたスポーク3のうちの1つが、径方向外側及び内側に略0.5mm程度伸ばして形成され、その突出部分7がマークとなるように形成されている。この突出部分7はインデックスパターンを含むスポーク3の径方向外側及び内側に透過部が形成されたものである。
【0053】
通常、磁化パターン形状規定用マスク1のスポーク3は、径方向に同じ長さに形成される。マスクパターン2が形成されている部分は、磁化パターン形成の際に磁気記録媒体の磁性層に磁化パターンを形成する領域に対応している。磁気記録媒体に形成する磁化パターンは磁気記録媒体を回転させながら読みとられ、磁気ヘッドの位置制御や同期制御に用いられる。よって、同心円上において信号を有している必要があるため、スポークの長さは径方向において同じ長さとなる。したがって、これらのスポーク3のうちの1本が長く形成されていれば、目視で簡単に確認することができる。
【0054】
第3実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクは上述のように形成されているため、磁化パターン形状規定用マスク1の円周上の位置を目視で簡単に特定することができる。
また、どのスポーク3に突出部分7を形成してもよいが、本実施形態のようにインデックスパターンを含むスポーク3に突出部分7を形成することが好ましい。これにより、どのスポーク3にインデックスパターンが含まれているかを容易に特定することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態ではマークとしてスポーク3を径方向内側及び外側に伸ばして突出部分7として形成したが、径方向内側のみに伸ばして形成しても良く、径方向外側のみに伸ばして形成しても良い。さらに、磁気記録媒体の記憶容量が減るため好ましいことではないが、場合によってはある特定のスポークを縮めて形成することでマークとしてもよい。
また、マークとするスポーク3は1本に限定されるものではなく、必要に応じて数本設けてもよい。
また、スポークを伸ばす距離は0.5mm程度に限定されるものではなく、目的に応じた距離だけ伸ばせばよい。ただし本実施形態のようにスポークを0.5mm程度以上伸ばして形成すれば、突出部分7を目視で判別することが可能となり、即ちマークを肉眼で判別できるため、情報の特定が容易となる。
【0056】
続いて、この磁化パターン形状規定用マスクの製造方法について説明する。第2実施形態と同様に、例えば、石英ガラス、光学ガラス、ソーダライムガラス等のエネルギー線に対して透過性のある透明基材を円板状に形成し、基板4を製造する。こうして形成された基板4の表面に、クロムやシリコンなど無機物をスパッタリング形成し、その上にスピンコート等によりフォトレジストを塗布し、RIEなどのエッチング等によって、所望の透過部と非透過部とを作成する。この場合は透明基材上に無機物層5を有する部分がエネルギー線の非透過部5、基板4のみの部分がエネルギー線の透過部となる。ただし本実施形態では、磁化パターン形成に用いるマスクパターン2がある領域の他、インデックスパターンが含まれるスポーク3の径方向外側及び径方向内側の領域にも透過部を形成し、突出部分7を形成する。
【0057】
このとき、予め突出部分7が形成される領域には無機物層5を形成しないようにし、マスクパターン2形成と同時にマークとしての突出部分7を形成するようにしておけば、製造工程を増やすことなくマークを形成することができ、好ましい。
【0058】
以上のようにして第3実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクが製造される。したがって、第2実施形態と同様に、基板を刻んで目印をつける場合とは異なり、マークを形成する際に発塵が無く、マスク表面に大きな凹凸が生じ、磁化パターン形成時に磁気記録媒体との間の密着性が失われる事はない。また、洗浄によりマークが消えてしまう等の問題が生じたりすることもない。さらに、磁化パターン形成時にマスクにエネルギー線を照射しても、マークが消えてしまうことも無い。
【0059】
(4)第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態として、主としてマスクの面内におけるマスクパターンの形成方向を特定するためのマークを有する磁化パターン形成用マスクについて、磁化パターン形成用マスクの正面図である図4を用いて説明する。
図4に示すように、本実施形態に掛かる磁化パターン形成用マスクは、エネルギー線を透過させる基板4の一面に、エネルギー線を遮蔽する遮蔽層としての機能を有する無機物層5が形成されている。無機物層5が形成された面の、磁化パターン形状を規定するための領域(マスクパターン領域)には、形成する磁化パターンに応じて無機物層5が開放され、マスクパターン2を形成している。また、マスクパターン2は、マスクパターン2の集合であるスポーク3が磁化パターン形状規定用マスク1面上において放射方向に曲線状に形成されるように、配されている。
さらに本実施形態では、スポーク3の径方向外側端部に、スポーク3を構成するマスクパターン2と平行な角度の切欠き9が、マークとして形成されている。マスクパターン2それぞれは磁化パターン形状規定用マスク1の面上で一定の角度を持って形成されており、同じ角度をもつマスクパターン2は放射状に集合してスポーク3を形成している。また、一つのスポーク3が一つの角度を持つマスクパターン2の集合であるとは限らず、例えば本実施形態では図4に拡大して示す様に別々の角度で形成された4種類のマスクパターン2が集合してスポーク3を形成している。
【0060】
第4実施形態としての磁化パターン形状規定用マスク1は上述のように形成されているため、磁化パターン形状規定用マスク1上におけるマスクパターン2の角度を容易に特定することができる。このことによる効果について説明する。磁化パターン形状規定用マスク1は製造後、マスクパターン2が正しく形成されているか検査をする必要がある。検査はAFM等を用いてマスクパターン2の幅を測定することで行なうが、マスクパターン2の幅を正確に測定するためには測定方向をマスクパターン2に対して垂直な方向に合わせる必要があり、例えばAFMで検査を行なう場合にはAFMのカンチレバーの操作方向がマスクパターン2に対してマスク1の面上で垂直な方向となるようにする必要がある。従来では、マスクパターン2が非常に微細であるため目視できず、マスクパターン2に対して垂直な方向を決めることが困難であった。しかし本実施形態のように、マスクパターン2に対して平行な角度に切欠き9を形成することにより、マスクパターン2に対して垂直な方向を容易に特定することができ、検査を容易且つ精密に行なうことができる。
【0061】
なお、切欠き9の形状の違いによって、マスク1の種類を特定できるように構成することも可能である。また、切欠き9がスポーク3ごとによって異なっている場合には、磁化パターン形状規定用マスク1の円周上の位置を特定できるように構成することも可能である。
【0062】
続いて、この磁化パターン形状規定用マスク1の製造方法について説明する。第2実施形態及び第3実施形態と同様に、例えば、石英ガラス、光学ガラス、ソーダライムガラス等のエネルギー線に対して透過性のある透明基材を円板状に形成し、基板4を製造する。こうして形成された基板4の表面に、クロムやシリコンなど無機物をスパッタリング形成し、その上にスピンコート等によりフォトレジストを塗布し、エッチング等によって、所望の透過部と非透過部とを作成する。この場合は透明基材上に無機物層5を有する部分がエネルギー線の非透過部、基板4のみの部分がエネルギー線の透過部となる。ただし本実施形態では、磁化パターン形成に用いるマスクパターン2がある領域の他、マスク1外縁付近のマスクパターン2にかからない領域に、マスクパターン2と平行な角度の切欠き9の形状の透過部を形成する。即ち、磁化パターン形状を規定する領域の径方向外側に、径方向内側のマスクパターン2と同じ角度のパターンを形成し、そのパターンを平行に集合させて切欠き9を形成する。このとき、予め切欠き9が形成される領域には無機物層5を形成しないようにし、パターン形成と同時に切欠き9を形成するようにしておけば、製造工程を増やすことなくマークを形成することができ、好ましい。
【0063】
以上のようにして第4実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクが製造される。したがって、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、基板を刻んで目印をつける場合とは異なりマーク形成工程において発塵が無く、またマスク1表面に大きな凹凸が生じ、磁化パターン形成時に磁気記録媒体との間の密着性が失われたり、洗浄によってマークが消えてしまう等の問題が生じたりする虞も無い。さらに、磁化パターン形成時にマスク1にエネルギー線を照射してもマークが消えることは無い。
【0064】
なお、上述の第1実施形態から第4実施形態のそれぞれにおいて説明した各種のマーク(基板の切欠き6,記号8,突出部7,切欠き9)の全種類または任意の2種以上を組み合わせて、単一のマスクに同時に形成しても良い。また、いずれの種類のマークについても、単一のマスクに対して1つだけ形成してもよく、2つ以上形成してもよい。
【0065】
ところで、上述の本発明の磁化パターン形状規定用マスク1は全て、基板4の一面に無機物層5を形成している。無機物層5を形成する際には、マークやマスクパターン2などの非透過部を形成しない領域と非透過部を形成する領域を形成するためにフォトリソグラフィーを利用することがある。フォトリソグラフィーでは、図5(a)に示すように、まず基板4の面上にフォトレジストを塗布しフォトレジストの薄膜10を形成する。ところが、基板4の断面が矩形である場合には、基板4の周縁領域においてフォトレジストの薄膜10が厚くなり、フォトレジストの薄膜10の断面がスキーのジャンプ台のような形状(以下、スキージャンプ形状という)になってしまう。これを防止するため、第1実施形態から第4実施形態のいずれの実施形態においても、基板4の周縁領域に図5(b)に示すような面取り27を設けることが望ましい。面取り27を設けることで、基板4上にフォトレジストの薄膜10を形成してもスキージャンプ形状が形成されることは無く、フォトレジストの薄膜10を均一に形成することが可能となるので、マスクパターン2やマークを精度良く形成することができる。
【0066】
次に、本発明に係るマスクを用いた磁化パターン形成方法について説明する。まず、本発明の、局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気記録媒体に磁化パターンを形成する技術について説明する。
本発明の磁化パターン形成方法において好ましくは、第1の外部磁界を印加し磁性層を予め所望の方向に均一に磁化したのち、磁性層を局所的に加熱すると同時に第2の外部磁界を印加し加熱部を該所望の方向とは逆方向に磁化して磁化パターンを形成する。これにより、互いに逆向きの磁区が明りょうに形成されるので、信号強度が強くC/N及びS/Nが良好な磁化パターンが得られる。
【0067】
まず、磁気記録媒体に強い第1外部磁界を印加して、磁性層全体を所望の磁化方向に均一に磁化する。第1外部磁界を印加する手段は、磁気ヘッドを用いてもよいし、電磁石または永久磁石を、所望の磁化方向に磁界が生じるよう配置して用いてもよい。更にそれら手段を組み合わせて使用してもよい。
なお、所望の磁化方向とは、磁化容易軸が面内方向にある媒体の場合には、データの記録/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方向)と同一又は逆方向であり、磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合には、垂直方向のいずれか(上向き、下向き)である。従ってそのように磁化されるように、第1外部磁界を印加する。媒体が円板形状である場合、第1外部磁界の印加方向は、周方向、半径方向、板面に垂直方向のいずれかをとるのが好ましい。
【0068】
また、磁性層全体を所望の方向に均一に磁化するとは、磁性層の全部をほぼ同一方向に磁化することを言うが、厳密に全部ではなく、少なくとも磁化パターンを形成すべき領域が同一方向に磁化されていればよい。
第1外部磁界の強さは磁性層の保磁力に合わせて設定すればよいが、磁性層の室温での保磁力(静的保磁力)の2倍以上の磁界によって磁化することが好ましい。これより弱いと磁化が不十分となる可能性がある。ただし、通常、磁界印加に用いる着磁装置の能力上、磁性層の室温での保磁力の5倍以下程度である。室温とは例えば25℃である。また磁気記録媒体の保磁力は、磁性層(記録層)の保磁力とほぼ同じである。
【0069】
磁性層は一般に静的保磁力(単に保磁力と称することもある。)と動的保磁力を有するが、局所加熱については、少なくとも磁性層の動的保磁力がある程度低下する温度まで加熱できればよい。勿論、静的保磁力が低下する温度まで加熱してもよい。好ましくは100℃以上に加熱する。加熱温度が100℃未満で外部磁界の影響を受ける磁性層は、室温での磁区の安定性が低い傾向がある。
【0070】
ただし、加熱温度は所望の保磁力の低下が得られる範囲で低いことが望ましい。例えば磁性層の磁化消失温度やキュリー温度の近傍までである。加熱温度が高すぎると加熱したい領域以外への熱拡散が起こりやすく、パターンがぼやけてしまう虞がある。また、磁性層が変形してしまう可能性がある。更に、通常、磁気記録媒体の表面には潤滑剤からなる潤滑層が形成されており、加熱による潤滑剤の劣化等の悪影響を防止するためにも、加熱温度は低いほど好ましい。加熱により潤滑剤が分解などの劣化を起こしたり気化して減少したりする虞があるほか、特に近接露光の場合には気化した潤滑剤がマスク等に付着する虞もある。従って本発明の磁化パターン形成法を、潤滑層を備えた磁気記録媒体に工業的に適用可能にするためにも、加熱温度はできるだけ低いことが望ましい。
【0071】
このため加熱温度は磁性層のキュリー温度以下とするのが好ましい。例えば300℃以下とするのが好ましく、より好ましくは250℃以下であり、更に好ましくは200℃以下である。
次に、加熱と同時に印加する第2の外部磁界の方向は、一般に、第1外部磁界と逆方向である。媒体が円板形状である場合、第2の外部磁界の印加方向は、周方向、半径方向、板面に垂直方向のいずれかをとるのが好ましい。
【0072】
なお、加熱のためにパルス状エネルギー線を使用する際には、第2外部磁界は連続的に印加してもパルス状に印加しても良い。また第2外部磁界がパルス状磁界である場合は、パルス状磁界成分のみであってもよいし、パルス状磁界成分と静磁界成分の組合せであってもよい。このとき、パルス状磁界成分と静磁界成分の合計を第2外部磁界の強度とする。
【0073】
第2外部磁界の最大強度は、強いほど磁化パターンが形成しやすい。磁気記録媒体の磁性層の特性によって最適強度は異なるが、第2外部磁界が静磁界の場合は、室温の保磁力(静的保磁力)の1/8以上であることが好ましい。これより弱いと、加熱部が、冷却時に周囲の磁区からの磁界の影響をうけて再び周囲と同じ方向に磁化されてしまう可能性がある。ただし、磁性層の室温での保磁力の2/3以下とするのが好ましく、1/2倍以下とするのがより好ましい。これより大きいと、加熱部の周囲の磁区も影響を受けてしまう可能性がある。
【0074】
第2外部磁界がパルス状磁界の場合は、室温の保磁力(静的保磁力)の2/3以上であることが好ましい。あまり弱いと加熱領域が良好に磁化されない虞がある。さらに好ましくは室温の静的保磁力の3/4以上である。室温での静的保磁力より強い磁界をかけてもよい。ただし、磁性層の室温での動的保磁力より小さい磁界とする。第2外部磁界がこれより大きいと、非加熱領域の磁化に影響を与えてしまうからである。
【0075】
なお本発明において、磁界強度の値H(Oe)は磁束密度の値B(Gauss)でそのまま代用できる。一般にB=μH(ただし、μは透磁率を表す)の関係があるが、通常磁化パターンの形成は空気中で行われるため、透磁率は1であって、B=Hの関係が成り立つからである。
第2外部磁界を印加する手段は、磁気ヘッドを用いてもよいし、電磁石または、永久磁石を所望の磁化方向に磁界が生じるよう複数個配置して用いてもよい、更にそれらの異なる手段を組み合わせて使用してもよい。高密度記録に適した高保磁力媒体を効率よく磁化するためには、フェライト磁石、ネオジム系希土類磁石、サマリウムコバルト系希土類磁石などの永久磁石が好適である。
【0076】
第2外部磁界がパルス状磁界である場合は、パルス状磁界印加手段のみであってもよいし、パルス状磁界印加手段と静磁界印加手段の組合せであってもよい。例えば前者では、電磁石などでパルス状磁界のみを発生する。例えば後者では、永久磁石または電磁石によってある程度の大きさの静磁界を与えておき、それ以上の磁界を電磁石でパルス状に印加する。インダクタンスの小さな空芯コイルを用いると、パルス幅を狭くでき磁界印加時間を短くできるため好ましい。また、永久磁石のかわりに他のヨーク型などの電磁石を用いてもよい。
【0077】
静磁界とパルス状磁界を組み合わせると、パルス状に印加する磁界を小さくすることができる。一般に電磁石は磁界が大きくなるほどパルス幅を短くすることが困難になるので、それだけパルス幅を短くしやすい。
或いはパルス状磁界は、常時磁界を発生する磁石を短時間のみ磁気記録媒体に接近させる方式によって印加することもできる。例えば、磁気記録媒体の一部に永久磁石によって磁界を印加しつつ、媒体を所定以上の速度で回転させればよい。
【0078】
また、第2外部磁界が静磁界とパルス状磁界の組み合わせの場合は、静磁界の磁界強度を磁性層の室温での静的保磁力より小さくする。好ましくは静的保磁力の2/3以下とし、より好ましくは1/2倍以下とする。あまり大きいと、形成した磁化パターンに影響を与えてしまい出力が落ちるだけでなく、モジュレーションが悪化する。下限は特にないが、あまり弱いと静磁界を用いる意味が小さくなるので、例えば磁性層の室温での静的保磁力の1/8以上とする。
【0079】
次に、第2外部磁界がパルス状磁界である場合のパルス幅について説明する。本発明では第2外部磁界のパルス状磁界成分のパルス幅を、単に第2外部磁界のパルス幅と称する。ここで、磁界のパルス幅とは半値幅を指す。
第2外部磁界のパルス幅は通常100msec以下とする。好ましくは10msec以下とする。第2外部磁界のパルス幅を短くするほど印加できる磁界の上限値が大きくなる。動的保磁力の値は磁界の印加時間によって変化し、第2外部磁界のパルス幅を短くするほど磁性層の室温での動的保磁力が大きくなるからである。より好ましくは1msec以下とする。
【0080】
ただし好ましくは10nsec以上とする。あまり短いとそれだけ動的保磁力が大きくなるため、加熱領域を磁化するために必要な第2外部磁界が大きくなってしまう。また、磁界の大きさにもよるが、電磁石の特性上磁界の立上がり、立下がりには時間を要するので、パルス幅を短くするのには限界がある。より好ましくは100nsec以上とする。ここで、磁界のパルス幅は半値幅を指す。
【0081】
局所加熱にパルス状エネルギー線を使用する場合は、第2外部磁界のパルス幅はパルス状エネルギー線のパルス幅以上とする。これ以下であると、局所加熱中に磁界が変化してしまうので磁化パターンが良好に形成されないためである。
またパルス状エネルギー線とパルス状の第2外部磁界を同期させ、同時に印加するのが好ましい。通常、エネルギー線のパルス幅より磁界のパルス幅のほうが長いと考えられるが、このときは第2外部磁界のパルスを印加し、磁界が最大になるところでエネルギー線のパルスが印加されるよう制御するのが好ましい。
【0082】
動的保磁力を高めた磁気記録媒体やAFC媒体には、第2外部磁界としてパルス状磁界を適用すると特に効果が高い。例えば、記録用の磁性層とともに熱的に安定性を保つための安定化磁性層を有する、2層の磁性層を備えた磁気記録媒体が挙げられる。安定化磁性層が記録用磁性層の瞬時の磁化反転を抑えるように働くため、動的保磁力が高く、従来法では磁化パターンが形成しにくい。このような媒体に静的保磁力近傍或いはそれ以上の外部磁界を、パルス状に与えると良好な磁化パターンが形成できる。
【0083】
第2の外部磁界は、外部磁界も該加熱された広い領域に亘って印加することで、複数の磁化パターンを一度に形成することができる。
局所加熱が磁気記録媒体全面に一度に行える場合は、加熱と同時に第2の外部磁界も媒体全面に印加し磁化パターンを形成することが望ましい。これにより、より短時間での磁化パターン形成が可能となり大きくコストを削減できる。また、磁界を媒体の一部分にのみ印加するには、それ以外の領域への磁界が及ばないよう磁石配置を工夫したり特定の手段を講じることが多いが、全面に印加する場合はその必要がない。なおかつ、回転機構或いは移動機構が不要となるので、装置構成も簡単になり磁気記録媒体が安価に得られる。
【0084】
図8に本願発明に係る具体的な転写機構の一例を示す。
磁気ディスク(磁気記録媒体)11上にスペーサ17を介してマスク14が載置され、その上方に遮光板13が配され、開口部13aを通してエネルギー線15が照射されるようになっている。マスク14には、上述のとおり形成すべき磁化パターンに応じて透過部、遮光部が形成されている。
【0085】
遮光板13には開口部13aの両側に永久磁石12a(N極)、12b(S極)が取り付けられるとともに、コイルがループ状に数十回巻かれた空芯コイル(電磁石)18a、18bが該永久磁石12a、12bに沿って配されている。また磁気ディスク11の逆の面にも永久磁石12c(N極)、12d(S極)が取り付けられるとともに、コイルがループ状に数十回巻かれた空芯コイル(電磁石)18a、18bが該永久磁石12c、12dに沿って配されている。
【0086】
空芯コイル18a、18bは互いに導線でつながれるとともに、両端が図示するように直流電源21,コンデンサ22,サイリスタ23につながれている。また、磁気ディスク11の装脱着がしやすいように、空芯コイル18a、18bはそれぞれくの字型に曲げられている。
ここに、永久磁石12a〜12dによって、磁気ディスクの円周方向で均一磁化とは逆方向に、ディスク内周域(半径21mmの位置)で約1.7kガウス、ディスク外周域(半径46.5mmの位置)で約1.9kガウス程度の磁界が常に印加される。
【0087】
パルス状外部磁界を印加するために、まず直流電源21によってコンデンサ22に、750Vの電位差を持たせる。次に、外部磁界を印加したいタイミングに応じてトリガー装置24からトリガー信号を発生し、サイリスタ23のゲート端子に入力させると、コンデンサ22に蓄積されていた電位差によって空芯コイル18a、18bに電流が一気に流れる。このパルス状電流によりコイルの周囲に、パルス幅200μsecであって、ディスク内周域(半径21mmの位置)で約1.8kガウス、ディスク外周域(半径46.5mmの位置)で最大強度約2.0kガウス程度のパルス状磁界が発生する。
【0088】
図8(b)に示すように、空芯コイル18a、18bによる磁界は永久磁石12a〜12dによる磁界を補助するように働くので、合計で、ディスク内周域(半径21mmの位置)で約3.5kガウス、ディスク外周域(半径46.5mmの位置)で最大強度約3.9kガウス程度のパルス状磁界が印加される。
一方、トリガー装置24からのトリガー信号は遅延装置(ディレイ)25を経てエキシマレーザ(波長248nm)などのエネルギー線源26に入力され、これによりパルス状エネルギー線が発生する。エネルギー線は、図示しないプログラマブルシャッター、ビームエキスパンダ、プリズムアレイなどを経た後、例えばパルス幅数十nsec、エネルギー密度100〜200mJ/cmのパルス状エネルギー線5として照射される。
【0089】
通常、電磁石の特性上磁界の立上がり、立下がりには時間を要するので、磁界強度が最大になるときにちょうどエネルギー線15が照射されるように、遅延装置(ディレイ)25によってエネルギー線の出射時間を調節する。
これによりエネルギー線15の照射と同時に、合計3000Oe程度のパルス状磁界が印加される。磁気ディスク11の加熱領域の動的保磁力は3000Oe以下にまで低下しているので、加熱領域のみがパルス状磁界によって反転磁化され、磁化パターンが形成される。なお、コンデンサ等を使用せず、直流電源から直接パルス状電流を流してもよい。
【0090】
例えば、媒体が直径が2.5インチ以下の小径のディスク状磁気記録媒体であると、簡単な配置や手段によってディスク全面へのエネルギー線照射、磁界印加が行え好ましい。より好ましくは直径1インチ以下である。
また、ディスク状磁気記録媒体に対し、円周方向に磁界を印加したい場合は、媒体の中心に垂直方向の大きなパルス電流を流すことによって、簡便に円周方向の磁界を発生させることができる。これは特に、直径1インチ以下の小径のディスク状磁気記録媒体に適用すると好ましい。
【0091】
本発明は、記録再生用磁気ヘッドを制御するための制御用情報を持つ磁化パターンの形成に好適である。例えばヘッドの位置に対応した信号を発生するパターンである。
制御用情報は、その情報を用いて磁気ヘッドなどの記録再生手段を制御するものであるが、例えば、磁気ヘッドをデータトラックに位置決めするためのサーボ情報や、媒体上での磁気ヘッドの位置を示すアドレス情報、磁気ヘッドによる記録再生速度を制御するための同期情報などが含まれる。或いは、サーボ情報を後で書込むための、基準情報も含まれる。
【0092】
これら制御用磁化パターンは高精度で形成される必要があり、特にサーボパターンは、データトラックの位置制御用パターンであるため、サーボパターンの精度が悪いとヘッドの位置制御も粗くなるため、サーボパターン以上に高い位置精度をもったデータパターンは理論的に記録できず、従って媒体の記録密度が高くなるほどサーボパターンは高精度に形成される必要がある。
【0093】
本発明では精度の高いサーボパターン又は基準パターンが得られるため、特にトラック密度が40kTPI以上であるような高密度記録用の磁気記録媒体に適用すると効果が高い。
次に、本発明における磁性層の局所的な加熱の方法について説明する。
加熱手段は、磁性層表面を部分的に加熱できる機能を備えていればよいが、不要な部分への熱拡散防止やコントロール性を考えると、パワーコントロール、加熱する部位の大きさが制御しやすいレーザ等のエネルギー線を利用する。
【0094】
ここで、マスクを併用することで、エネルギー線をマスクを介して照射し複数の磁化パターンを一度に形成することができるため、磁化パターン形成工程が短時間となりかつ簡便である。
エネルギー線は連続照射よりもパルス状にして加熱部位の制御や加熱温度の制御を行うのが好ましい。特にパルスレーザ光源の使用が好適である。パルスレーザ光源はレーザをパルス状に断続的に発振するものであり、連続レーザを音響光学素子(AO)や電気光学素子(EO)などの光学部品で断続させパルス化するのに比して、パワー尖頭値の高いレーザをごく短時間に照射することができ熱の蓄積が起こりにくく非常に好ましい。
【0095】
連続レーザを光学部品によりパルス化した場合、パルス内ではそのパルス幅に亘ってほぼ同じパワーを持つ。一方パルスレーザ光源は、例えば光源内で共振によりエネルギーをためて、パルスとしてレーザを一度に放出するため、パルス内では尖頭のパワーが非常に大きく、その後小さくなっていく。本発明では、コントラストが高く精度の高い磁化パターンを形成するために、ごく短時間に急激に加熱しその後急冷させるのが好ましいため、パルスレーザ光源の使用が適している。
【0096】
磁化パターンが形成される媒体面は、パルス状エネルギー線の照射時と非照射時で温度差が大きい方が、パターンのコントラストを上げ、或いは記録密度を上げるために好ましい。従ってパルス状エネルギー線の非照射時には室温以下程度になっているのが好ましい。室温とは25℃程度である。
なお、パルス状エネルギー線を使用する際に、外部磁界は連続的に印加してもパルス状に印加しても良い。
【0097】
エネルギー線の波長は、1100nm以下であることが好ましい。これより波長が短いと回折作用が小さく分解能が上がるため、微細な磁化パターンを形成しやすい。更に好ましくは、600nm以下の波長である。高分解能であるだけでなく、回折が小さいため間隙によるマスクと磁気記録媒体のスペーシングも広くとれハンドリングがしやすく、磁化パターン形成装置が構成しやすくなるという利点が生まれる。また、波長は150nm以上であるのが好ましい。150nm未満では、マスクに用いる合成石英の吸収が大きくなり、加熱が不十分となりやすい。波長を350nm以上とすれば、光学ガラスをマスクとして使用することもできる。
【0098】
具体的には、エキシマレーザ(157,193,248,308,351nm)、YAGのQスイッチレーザ(1064nm)の2倍波(532nm)、3倍波(355nm)、或いは4倍波(266nm)、Arレーザ(488nm、514nm)、ルビーレーザ(694nm)などである。
エネルギー線のパワーは、外部磁界の大きさによって最適な値を選べばよいが、パルス状エネルギー線の1パルス当たりのパワーは1000mJ/cm以下とすることが好ましい。これより大きなパワーをかけると、パルス状エネルギー線によって該磁気記録媒体表面が損傷を受け変形を起こす可能性がある。変形により媒体の粗度Raが3nm以上やうねりWaが5nm以上に大きくなると、浮上型/接触型ヘッドの走行に支障を来すおそれがある。
【0099】
より好ましくは500mJ/cm以下であり、更に好ましくは200mJ/cm以下である。この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。また、パワーは10mJ/cm以上とするのが好ましい。これより小さいと、磁性層の温度が上がりにくく磁気転写が起こりにくい。なお、エネルギー線のディフラクションの影響がパターン幅により変わるので、パターン幅に応じて最適なパワーも変化する。また、エネルギー線の波長が短いほど、印加可能なパワーの上限値は低下する傾向にある。
【0100】
また、エネルギー線による磁性層、保護層、潤滑層の損傷が心配される場合は、パルス状エネルギー線のパワーを小さくして、該パルス状エネルギー線と同時に印加される磁界強度を上げるといった手段を取ることもできる。なお、保護層と潤滑層を介してパルス状エネルギー線を照射するにあたり、潤滑剤の受けるダメージ(分解、重合)等も考慮し、照射後に再塗布するなどの必要がある場合がある。
【0101】
パルス状エネルギー線のパルス幅は、1μsec以下であることが望ましい。これよりパルス幅が広いと磁気記録媒体に与えたエネルギーによる発熱が分散して、分解能が低下しやすい。1パルス当たりのパワーが同じ場合、パルス幅を短くし一度に強いエネルギーを照射した方が、熱拡散が小さく磁化パターンの分解能が高くなる傾向にある。より好ましくは100nsec以下である。この領域であるとAlなど金属の比較的熱拡散の大きな基板を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。最小幅が2μm以下のパターンを形成する際には、パルス幅を25nsec以下とするのがよい。即ち、分解能を重視すれば、パルス幅は短いほど良い。また、パルス幅は1nsec以上であるのが好ましい。磁性層の磁化反転が完了するまでの時間、加熱を保持しておくのが好ましいからである。
【0102】
なお、本発明においてパターンの最小幅とは、パターン中の最も狭い長さを言う。四角形のパターンであれば短辺、円形ならば直径、楕円形ならば短径である。
なお、パルス状レーザの一種として、モードロックレーザのようにピコ秒、フェムト秒レベルの超短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パルスを高周波で照射している期間においては、各々の超短パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。例えば、一旦200℃に昇温された領域はほぼ200℃に保たれる。
【0103】
従ってこのような場合、連続照射期間(超短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エネルギー量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/cm)とする。
また、レーザなどのエネルギー線は、一般にビームスポット内で強度分布(エネルギー密度分布)を有しており、エネルギー線を照射して局部加熱した場合もエネルギー密度による温度上昇の違いが生じる。このため加熱ムラにより局部的に転写の強度の違いが起こる。そこで好ましくは、エネルギー線に予め強度分布の均一化処理をなす。照射した領域の加熱状態の分布を小さく抑えられ、磁化パターンの磁気的強さの分布を小さく抑えることができる。従って磁気ヘッドを使用して信号強度を読み取る際に、信号強度の均一性の高い磁化パターンを形成することができる。
【0104】
強度分布の均一化処理としては、例えば以下のような処理が挙げられる。ホモジナイザやコンデンサレンズを用いて均一化したり、遮光板やスリットなどでエネルギー線の強度分布の小さい部分だけを透過し必要に応じて拡大する、などである。
本発明のマスクは、エネルギー線の透過部と遮光部を有するいわゆるフォトマスクであり、エネルギー線の強度分布を形成すべき磁化パターンに対応して変化させ、磁気ディスク面上にエネルギー線の濃淡(強度分布)を形成する。これにより、複数又は広い面積の磁化パターンを一度に形成することができるため、磁化パターン形成工程が短時間かつ簡便なものとなる。
【0105】
マスクは磁気ディスク全面を覆うものでなくてもよい。磁化パターンの繰り返し単位を含む大きさがあれば、それを移動させて使用することができる。
また、マスクの材質は限定されないが、本発明においてマスクを非磁性材料で構成すると、どのようなパターン形状でも均一な明瞭さで磁化パターンが形成でき、均一で強い再生信号が得られるので好ましい。
【0106】
強磁性体を含むマスクを使用した場合は、磁化で磁界分布が乱される虞がある。強磁性の性質上、磁気ディスクの半径方向或いは、半径方向に延びた円弧状のパターンから斜傾したパターン形状の場合は、磁化遷移部分で磁区が互いに十分対抗しないので良質の信号が得にくい。
マスクはエネルギー線の光源と磁気記録媒体の間に配置する。磁化パターンの精度を重視するならば、マスクの全部又は一部を媒体に接触させるのが好ましい。レーザ光の回折の影響を極力少なくでき、高い分解能を持った磁化パターンを形成できる。例えばマスクを媒体上に静置した場合は、媒体表面の数μm程度のうねりにより、媒体と接触する部分としない部分ができる。ただし、媒体に圧痕を形成したり損傷することのないよう、マスクと媒体に対する加圧は100g/cm以下とする。
【0107】
ただし、欠陥や傷を少なくするためには、少なくとも媒体の磁化パターンを形成する領域では、マスクと媒体とのあいだに間隙を設けるのが好ましい。ゴミ等の挟み込みによる媒体やマスクの傷つき、欠陥発生を抑えることができる。
また、磁化パターン形成前に潤滑層が設けられている場合は、特に、マスクと媒体とのあいだに間隙を設けるのが好ましい。マスクに潤滑剤が付着するのを最小限にするためである。また、潤滑層が設けられたディスクとマスクを接触させた状態で大パワーのエネルギー線を照射すると潤滑剤の急激な気化により爆発状態となり、潤滑剤が飛散したり、更にはマスクが破損したりする虞があるためである。
【0108】
磁気記録媒体の磁化パターン形成領域とマスクの間隙を保つ方法としては、両者を一定距離に保てる方法であればよい。例えばマスクと媒体とを特定の装置により保持して一定距離を保っても良い。また、両者のあいだの、磁化パターン形成領域以外の場所にスペーサを挿入してもよい。マスク自体に、スペーサを一体形成しても良い。
【0109】
マスクと磁気記録媒体とのあいだに、媒体の磁化パターン形成領域の外周部又は/及び内周部にスペーサを設けると磁気記録媒体表面のうねりを矯正する効果が生まれるので磁化パターン形成の精度が上がるのでよい。
スペーサの材質は硬質のものが良い。また、パターン形成に外部磁界を用いるので磁化されないものが良い。好ましくは、ステンレス、銅などの金属や、ポリイミドなどの樹脂である。高さは任意だが、通常、0.1μm〜数百μmである。
【0110】
マスクと磁気記録媒体の最小間隙は0.1μm以上あることが好ましく、これにより、ゴミ等の挟み込みによる磁気記録媒体やマスクの損傷、欠陥発生を抑えることができる。即ち、間隔を0.1μm以上とすることで媒体表面のうねりにより磁化パターン形成部分がマスクと予期せぬ接触を起こすのを防ぐ。従って、接触部分で媒体の熱伝導度が変わるため、そこだけ磁化されやすさが特異的に変化し、所望のパターン通りに磁化パターンが形成されないといった問題がない。より好ましくは0.2μm以上とする。ただし、間隔は1mm以下とするのが好ましい。これにより、エネルギー線の回折を小さく、磁化パターンがぼやけるといった問題がない。
【0111】
例えば、エキシマレーザ(248nm)を用い、マスクに形成された2×2μmのパターン(2μmの透過部と2μmの非透過部を交互に持つパターン)を媒体に転写する場合、マスクと媒体のあいだの距離は25〜45μm程度以下に保つ必要がある。これ以上距離が大きいと、回折現象によってレーザ光の明暗のパターンが鮮明でなくなる。1×1μmのパターン(1μmの透過部と1μmの非透過部を交互に持つパターン)の場合、距離は10〜15μm程度以下とする。
【0112】
マスクを用いる場合は、上記条件の範囲内で、媒体との距離をできるだけ短くするのが好ましい。距離が長いほど照射するエネルギー線の回り込みにより磁化パターンがぼやけやすくなるためである。これを改善し、より明瞭なパターンを得るために、マスクの透過部の外側に、回折格子の働きをする細い透過部を形成したり、半波長板の働きをする手段を設けたりすることで回り込み光を干渉により打ち消すこともできる。
【0113】
磁気ディスクはディスクの主両面に磁性層が形成されている場合があるが、その場合、本発明の磁化パターン形成は片面づつ、逐次に行ってもよいし、マスク、エネルギー照射系および外部磁界を印加する手段を磁気ディスクの両面に設置して、両面同時に磁化パターン形成を行うこともできる。
一面に二層以上の磁性層が形成されており、それぞれに異なるパターンを形成したい場合は、照射するエネルギー線の焦点を各層に合わせることにより、各層を個別に加熱し、個別のパターンを形成できる。
【0114】
磁化パターンを形成する際には、エネルギー線の光源とマスクとの間、又はマスクと該媒体との間の照射をしたくない領域に、エネルギー線を部分的に遮光可能な遮光板を設けて、エネルギー線の再照射を防ぐ構造とするのが好ましい。遮光板としては、使用するエネルギー線の波長を透過しないものであればよく、エネルギー線を反射又は吸収すればよい。ただし、エネルギー線を吸収すると加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、熱伝導率がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、Cr、Al、Feなどの金属板である。
【0115】
また好ましくは光学系に縮小結像技術(結像光学系)を用いる。形成すべき磁化パターンに応じた強度分布を有するパターン化エネルギー線を縮小して媒体表面に結像させる。これによれば、エネルギー線を対物レンズで絞った後マスクを介する場合、すなわち近接露光の場合に比較して、マスクのパターニング精度やアライメント精度により磁化パターンの精度が制限されることがなく、より微細な磁化パターンを精度良く形成することができる。また、マスクと媒体が離間しているため、媒体上のゴミの影響も受けにくい。
【0116】
本技術によれば、光源から出射したエネルギー線を、マスクを介して強度分布を変化させ、結像レンズなどの結像手段を通して媒体表面に縮小結像させる。なお、結像レンズは投影レンズと称することもあり、縮小結像を縮小投影と称することもある。
【0117】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、遮蔽部を色の異なる複数の物質で形成し、色が異なる領域をマークとしてもよい。
また、マークを形成する位置としてはマスクパターン領域の径方向外側及び内側が好ましいが、磁化パターン形成を行なわない領域であればマークをマスクパターン領域内に形成してもよい。また、一つのマスク上に、各実施形態で形成した複数の種類のマークを形成してよい。
また、遮蔽層は無機物層に限定されるものではなく、樹脂等の有機物で形成してもよい。
また、本発明に用いるマスクは、本発明に係る磁化パターン形成方法に好適であるが、それ以外の様々な分野、特に高いパワーを必要とし、微細なパターンを要求されるレーザー加工の分野においても利用することが可能である。
【0118】
ところで、本発明に係るマスクには、スペーサとしての突起を形成してもよい。磁化パターン形成時には、マスクを透過するエネルギー線が干渉や回折をすることがあるが、突起を形成することにより、マスクと磁気記録媒体との距離を均一にすることができ、エネルギー線の干渉や回折の程度を均一に制御することが可能となる。したがって、磁化パターン形成時に磁気記録媒体にエネルギー線が当たる領域の形状、即ち磁化パターンの形状をより精密に制御することができるようになるのである。
【0119】
このように突起が形成されたマスクにおいては、その突起の形状や配置に情報を付与し、ある円周上の位置の領域に突起を形成したりある特定の形状に突起を形成したりして、突起をマークとしてもよい。
【0120】
以下、スペーサとしての突起について説明する。
突起の高さは、マスクと磁気記録媒体のパターン形成領域での間隔を狭くし回折による入射エネルギーの拡散を防ぐために、低いほどよく、高さが10μm以下であるのが好ましい。より好ましくは7μm以下であり、更に好ましくは5μm以下である。
【0121】
形成するパターンの線幅(パターンの最小幅)が1μmを切って狭くなると、特に光の回折の影響を多く受けるようになるため、線幅が狭いほど突起の高さをより低くするのが望ましい。
ただし、あまり低いと磁気記録媒体のうねりと接触するおそれがあるため、高さは0.01μm以上であるのが好ましい。より好ましくは0.1μm以上である。
【0122】
なお、本願においてパターンの最小幅とは、パターン中の最も狭い長さを言う。四角形のパターンであれば短辺、円形ならば直径、楕円形ならば短径である。マスクと磁気記録媒体のパターン形成領域での間隔を少なくとも同心円上において均一に保つためには、突起の高さも同心円上において均一なほど好ましい。従って、突起の高さの同心円上のばらつきは平均高さの±20%以内が好ましい。下限は特に無いが、事実上、平均高さの±3%以上のばらつきはある。間隔の均一性の評価は、干渉縞の本数や位置、形状を観察することで容易に行える。
【0123】
上記突起は不連続に設けられてなるのが好ましい。通常、マスクも磁気記録媒体もそれぞれ多少のうねりを有しているので、マスクと磁気記録媒体を接触させる場合には、一旦接触したのちに両者が最も安定的に接触するよう、即ち両者の少なくとも同心円上における間隔がなるべく一定になるよう、互いに移動できることが好ましい。
マスク上の連続した突起によってマスクと磁気記録媒体を接触させた場合、接触面積が大きいため摩擦抵抗が高く、両者の相対位置が動きづらくなり、マスクと磁気記録媒体の平面性を保とうとする動きを阻害する場合がある。従って、突起は不連続に設けられてなるのが好ましい。つまり、複数の突起を離散的に設ける。不連続に形成された突起によってマスクと磁気記録媒体が接触すると、両者の摩擦抵抗が低くなり面方向への動きを阻害することなく、媒体とマスクの間隔をより均一に保ちやすい。
【0124】
また、突起が不連続であることにより空気の通り道があるので、マスクと磁気記録媒体が吸着してしまうことがない。従って、両者がうねりに応じて面方向に移動しても摩擦によるキズつきが起こりにくいという利点もある。また、突起が連続的に設けられていると応力によって一部が剥がれやすくなる虞があるので、この点でも不連続が好ましい。
次に、複数の突起を離散的に設ける場合の突起形状について説明する。
突起形状は基板面に対して垂直方向から見たとき、つまりマスクを真上から見たときに略円形であるのが好ましい。この様な形状であれば突起高さが均一になりやすいためである。突起形成時に加熱を伴う場合、熱収縮に伴う形状の変化(いわゆるヒケ)が突起の高さのばらつきを増大させる可能性があるが、略円形の突起においてはヒケも周囲から均一に起こるため、突起高さが均一になりやすい。
突起形状は、真ん中がへこんで周縁部が盛り上がっているなどしてもよい(いわゆるクレーター状)が、真ん中が頂点で山なりの形状が好ましい。上記ヒケなどによる高さ変動が一様で、高さの調整がしやすいためである。
【0125】
また、突起形状としては、マスク面に対して垂直方向の断面が略矩形状であるような形状であることも好ましい。つまり、突起の側面がほぼ垂直に切り立っており、突起の頂部と底部の形状がほぼ等しい形状である。この様な形状であれば、突起の底面積に対して、実際に磁気記録媒体と接触する頂部の面積を大きくすることができ、マスクと磁気記録媒体とのアライメントのずれに対し、支持位置の余裕を設けることができるからである。
突起の面方向の大きさは、マスクと磁気記録媒体に加わる荷重に耐えるためにある程度以上大きいことが好ましい。突起形状が略円形の場合は直径0.5μm以上あることが好ましい。より好ましくは1μm以上である。また、弾性変形による間隔の変化を極力小さくするためには直径5μm以上であることがより好ましい。最大径に関しては特に上限はないが、マスクと磁気記録媒体の接触抵抗を小さくするためには、直径1mm以下が好ましい。突起形状が略円形でない場合は、長辺の長さが上記数値の範囲にあることが好ましい。
【0126】
複数の突起を離散的に設ける場合には、突起と突起の間隔は、突起の大きさにも応じて適宜設計されるが、マスクと媒体との間隔を少なくとも同心円上においてほぼ均一に保てればよい。ただし、少なくとも面内に3個以上設ける必要がある。個々の突起が相当大きい場合には面内に3個程度でよいが、通常はより多く設けた方が好ましい。突起の大きさが小さい場合、例えば直径が1μm程度の小さいものであれば、荷重による変形を防ぐために、隣接する突起の底部同士が接触していてもよい。
【0127】
この突起は、形成すべき磁化パターンの少なくとも一部に応じたエネルギー線の濃淡を生じさせるマスクパターン領域を有するマスクの少なくとも一部に設けられる。
エネルギー線の透過部と非透過部の組み合わせからなるマスクパターン領域を有するマスクにおいては、突起はパターン領域内のエネルギー線非透過部及び/またはパターン領域の周縁部に設けられてなる。
パターン領域のエネルギー線非透過部に設けると、パターン領域内の全面に亘って突起を設けることができ、マスクと磁気記録媒体との距離を均一に保って両者を支えるためには望ましい。パターン領域の周縁部に設けると、マスクと磁気記録媒体とがパターン領域で接触しないので、媒体やマスクを傷つけることがなく、磁気記録媒体の欠陥を増加させる虞もない。また、マスクと磁気記録媒体がパターン領域で接触しないので、加熱工程において意図しない熱伝導が起こる虞もなく、好ましい。
【0128】
また、突起をパターン領域内のエネルギー線非透過部とパターン領域の周縁部の両方に設け、非透過部の突起を周縁部の突起より低く形成するのも好ましい態様である。マスクと磁気記録媒体の間隔を例えば3μm以下程度に狭くしていくと、パターン領域でマスクと磁気記録媒体が意図せず接触し、摩擦等により傷つき欠陥となってしまう虞がある。特に磁気記録媒体とマスクの間を減圧し吸着固定する場合は、磁気記録媒体がたわむのでより接触しやすい。そこで、マスクのパターン領域内に低めのなだらかな突起を設けておくと、磁気記録媒体がマスク面と直接接触せずなだらかな突起と接触するので欠陥になりにくいと考えられる。
更に、パターン領域の周縁部に突起を設けるに際し、その突起の一部がパターン領域内の非透過部にかかるように設けても良い。この様に突起を設けることにより、パターン領域が磁気記録媒体の端部付近まであり、パターン領域の周縁部に突起を設けるのが寸法的に厳しいような場合であっても突起を設けることができる。従って、磁気記録媒体のパターン領域を広げることができ、より大容量の磁気記録媒体を得ることができる。
次に、突起に要求される特性について説明する。突起にはある程度の滑性、硬度、耐熱性、耐溶剤性などの特性が要求される。上述のようにマスクと磁気記録媒体との摩擦があまり大きすぎず、相対的に移動可能であることが望ましいから、突起はある程度滑性が高いほうが好ましい。
【0129】
また、マスクと磁気記録媒体とが吸着せず、マスクが容易に取り外せるためにも、滑性が高いほうが好ましい。工業化段階においては、磁気記録媒体へのマスクの設置はロボット等の自動機で行われるため、面と垂直な方向へマスクと磁気記録媒体を離そうとした場合にマスクが容易に取り外せるのが好ましい。
また、マスクは多数の磁気記録媒体への磁化パターンの転写に使用されるため、塑性変形しやすい材料により突起を構成すると、一部の突起で徐々に変形が起こり、特定の位置でマスクと磁気記録媒体間の間隔が狭くなり、非同心円状の歪んだ干渉縞の発生を誘発してしまう虞がある。従って硬度の高い材料により突起を構成するのが好ましい。
【0130】
例えば、磁気記録媒体にマスクを10回程度繰り返し装脱着したのちのマスクの突起高さの塑性変形量が元の高さの50%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下である。工業的に使用するには、10%以下であることが好ましい。
更に、突起に直接はエネルギー線が照射されないが、マスクの非透過部の裏面に設置される場合があるため、エネルギー線で加熱されたマスクの非透過部での熱が突起に間接的に伝わることがある。そのため、突起は熱により変形や分解しにくいものが望ましく、好ましくは分解温度が100℃以上の材料を使用する。また、エネルギー線のパワーがより高いほど突起の耐熱性も高いことが望ましく、例えば100mJ/cm以上のパワーを印加する場合には分解温度が200℃以上のものが好ましい。
【0131】
突起形成時においては、特にフォトリソグラフィー等の手法で作成する場合は、突起は所定の溶剤に対して可溶な材料からなるのが好ましい。しかし、突起形成後はマスクに付着したゴミ、粒子などの除去を目的とした有機溶剤洗浄を受ける場合があるため、溶剤可溶性は持たないほうが好ましい。例えば、突起に作成後に熱処理等により耐溶剤性を付与してもよい。
【0132】
次に、突起を形成したマスクの構成について説明する。
マスクは、前述したように、形成すべき磁化パターンに応じたエネルギー線の濃淡を生じさせるマスクパターンを有するマスクであれば、エネルギー線の透過部と非透過部からなるマスクパターンを有するマスク、エネルギー線を拡散させるマスクパターンを有するマスク、ホログラムマスクなど何れの方式のマスクも使用可能である。
エネルギー線の透過部と非透過部からなるマスクパターンは、例えば、石英ガラス、光学ガラス、ソーダライムガラス等のエネルギー線に対して透過性のある透明基材上に、クロム等の金属をスパッタリング形成し、その上にスピンコート等によりフォトレジストを塗布し、エッチング等によって、所望の透過部と非透過部を作成することができる。この場合は透明基材上にクロム層を有する部分がエネルギー線非透過部、原盤のみの部分が透過部となる。好ましくは、クロム層上に酸化クロム層を形成する。酸化クロム層はクロムを酸化させるだけで形成でき、光学的反射率が低いため、多重反射等の影響を低減できる効果を持つ。またクロム層との密着性も優れているので好ましい。また、マスクに誘電体層からなる無反射コーティングを施すことも好ましい。これによりエネルギー線をより有効に利用することができるからである。
【0133】
以上のようにして、マスクにマスクパターン領域を形成し、この後マスクの磁気記録媒体に対向すべき面の少なくとも一部に突起を形成する。以下、マスクに突起を形成する方法について説明するが、例えば以下のような方法を採ることができる。
【0134】
[方式1]
マスクにポリイミドなどの放射線硬化性又は熱硬化性の樹脂層を形成し、この樹脂層にフォトリソグラフィーにより突起を形成する。この方法では樹脂層の厚さが突起高さにほぼ等しくなるので、樹脂層の厚さを制御することで突起高さを精度良く均一に、かつ容易に制御できるという利点がある。また樹脂層の塗布形成やエッチング液による除去は短時間で行えるという利点もある。
【0135】
ポリイミド樹脂が感光性ポリイミド樹脂である場合は、樹脂層形成後にそのままフォトリソグラフィー、エッチングを行えばよいが、非感光性ポリイミド樹脂である場合は、樹脂層上にフォトレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィー、現像、エッチングなどを行う。
樹脂層の形成法としては塗布によるのが一般的であり、ディップ法、スピンコート法などがある。続いて、形成すべき突起に応じたパターンを有する突起形成用マスクを介して、樹脂層付きマスクにレーザー光などを照射し、潜像を形成する。次いで有機溶剤などにより不要部分をエッチング除去し、突起を形成する。
【0136】
この後に、突起の硬度を上げ、かつ突起の耐溶剤性を向上させるために、加熱処理または紫外線照射処理などを行い架橋を促進させるのが好ましい。加熱処理としては、オーブンを使用したり、赤外線ランプを使用するなどの方法がある。この際、樹脂の材質によっては硬化時のヒケが大きく、突起の中央部が選択的に縮小しクレータ状になる場合がある。このような硬化時のヒケの大きい樹脂を使用する場合は、突起高さを均一にするために突起の形状は略円形であることが好ましい。
本方法は、高い突起を形成するには樹脂層を厚く塗布すればよい反面、非常に薄い樹脂層は通常形成しにくいので、例えば突起高さが0.3μm以上10μm以下の比較的高い突起の形成に適する。
【0137】
[方式2]
また、無機物によって突起を形成してもよい。硬度の高い突起を形成しやすい点で好ましい。無機物とは例えば金属(合金を含む)、酸化物や窒化物などの誘電体、カーボンなどである。形成方法としては以下のようにいくつかがある。
(方式2−1)
マスクに無機物層を形成し、この無機物層にフォトリソグラフィーにより突起を形成する。この方法では無機物層の厚さが突起高さにほぼ等しくなるので、無機物層の厚さを制御することで突起高さを精度良く均一に、かつ容易に制御できるという利点がある。
【0138】
無機物層は十分な硬度と耐候性があれば特に材質は限定されないが、磁化されない材質であると、印加される外部磁界による影響が少ないため好ましい。
クロムや酸化クロムを用いると、マスクの非透過部の形成と共通の工程で突起が形成でき好ましい。無機物層の成膜法としてはスパッタリング、蒸着、CVD、メッキなどが一般的である。続いて、無機物層上にフォトレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィーを行う。形成すべき突起に応じたパターンを有する突起形成用マスクを介して、該フォトレジスト層にレーザー光を照射し、潜像を形成する。次いで現像し、さらにエッチング液などにより無機物層の不要部分をエッチング除去し、突起を形成する。
【0139】
本方式によれば、無機物層の厚さとエッチング量をコントロールすることで形成する突起の高さを任意に変えられるので、様々な突起高さに適用できる。例えば0.001μm以上10μm以下である。厚く成膜すれば高い突起も形成できるが、無機物層は樹脂に比べて薄く形成することが容易なので、樹脂を使う方式では形成しにくい0.001μm以上3μm以下の低い突起も作りやすい。
【0140】
(方式2−2)
マスクの突起を形成したい場所に無機物層を成膜して突起を形成する。すなわち、形成したい突起形状に応じた孔部を有する遮蔽板をマスク上に配置し、スパッタリング、蒸着等により無機物層を成膜する。この方法は(方式2−1)と同様の利点を備えるほか更に、非常に簡便に突起が形成でき、しかもウエットな工程を全く経ることがないため、マスク上に異物が残留する可能性が極めて低く、磁化パターン転写時に磁気記録媒体を汚染する虞が低く好ましい。すなわち無機物層のフォトリソグラフィーが不要でその後の樹脂の除去、洗浄工程も不要であるし、樹脂の塗布も不要で、無機物層を成膜するだけでよい。
また、この方法では無機物層の厚さが突起高さにほぼ等しくなるので、無機物層の厚さを制御することで突起高さを精度良く均一に、かつ容易に制御できるという利点がある。
【0141】
無機物層の材質、成膜方法などは(方式2−1)と同じである。ただし本方式においては無機物層の成膜時に、遮蔽板を、スパッタリングターゲット或いは蒸着源とマスクとの間に配する。突起形状は遮蔽板の孔部の形状によってコントロールでき、帯状であってもよいし不連続であってもよい。
遮蔽板には、作製したい突起形状に応じて例えば打ち抜きなど機械的加工が施される。遮蔽板の材質は加工がしやすく一定の耐久性があれば特に限定されないが、例えばステンレス鋼(SUS)、真鍮、銅などの金属箔、ポリイミドなどの樹脂フィルム等が用いられる。厚みも特に限定されないが加工性と耐久性の点で10μm以上が好ましい。一方、あまり厚いと孔部を通して無機物膜が成膜されにくくなり、また加工もしにくいので1mm以下が好ましい。
【0142】
本手法は、突起形状に応じて遮蔽板を機械的に加工するので、比較的底面積の大きい突起の形成に適している。底面積の大きい突起とは例えば円形なら直径0.2mm以上、四角形なら一辺が0.2mm以上である。大きい突起のほうが物理的に強いので、多数の小さい突起で媒体を支えるよりも少数の大きい突起で支えるほうが強度の点で好ましい。
また本手法では遮蔽板の孔部において、遮蔽板の厚みの陰になる部分は成膜されにくいので側面の傾斜したなだらかな突起ができやすい。但し遮蔽板の孔の形状を厚み方向で変化させ上側ほど広くするなどすれば、マスク面に垂直方向の断面形状が略矩形である側面が比較的切り立った形状の突起も形成できると考えられる。
【0143】
すなわち、本手法では底面積の広いなだらかな突起が形成されやすい。ところでハードディスクの場合、パターン領域とディスク外周端との距離は例えば0.3mm以下と非常に狭いため、パターン領域の周縁部に頂上を持つなだらかな突起を形成する際には突起のすそ野がパターン領域にまで広がることが多い。この様な場合には、パターン領域内の非透過部にすそ野が広がるように突起を形成することが好ましい。
また、ディスクとマスクのアライメントが多少ずれてもディスクを支えられるように、突起は少なくともディスク半径方向の長さが大きいほうが好ましい。パターン領域のパターンの形状によっては突起のディスク周方向の長さが大きくできない場合があるが、そのときは長円形や楕円形にすればよい。
【0144】
本方式によれば、無機物層の厚さをコントロールすることで形成する突起の高さを任意に変えられるので、様々な突起高さに適用できる。例えば0.001μm以上10μm以下である。また、無機物層は樹脂に比べて薄く形成することが容易なので、樹脂を使う方式では形成しにくい0.001μm以上3μm以下の低い突起も作りやすい。
スパッタリングの途中で遮蔽板の孔部の形状や位置を変えるなどによって場所により突起の高さを変えることも容易である。またエッチング工程が不要で厚く成膜するだけで高い突起が容易に形成できる点が好ましい。
【0145】
(方式2−3)
マスクに、いわゆるリフトオフ法により無機物からなる突起を形成する。すなわちマスク上のフォトレジスト層をフォトリソグラフィーにより凹凸を形成し、この上に無機物層を成膜したのちフォトレジスト層を除去すると、フォトレジストの無かった部分のみ無機物層が突起として残るのである。
詳しく説明する。マスクにフォトレジストを所定の厚さに塗布し、形成したい突起の位置と形状に応じてレーザー光を照射し現像し、一部のフォトレジストを除去し凹凸を形成する。この上に形成したい突起の高さに応じて金属層を成膜したのち、例えばフォトレジスト除去液に浸漬する。するとフォトレジスト層が除去されるとともにその上に成膜された金属層が除去されるので、フォトレジストの無い場所に成膜された金属層のみが突起として残る。
この方法では金属層の厚さが突起高さにほぼ等しくなるので、金属層の厚さを制御することで突起高さを精度良く均一に、かつ容易に制御できるという利点がある。
【0146】
無機物層の材質、成膜方法などは(方式2−1)と同じである。フォトレジスト除去液としては例えば強アルカリ液などが用いられる。
本手法では突起形状はフォトレジスト層に形成する凹凸の形状によってコントロールでき、帯状であってもよいし不連続であってもよい。フォトリソグラフィーを行うので(方式2−2)に比べて底面積の小さい突起の形成に適している。底面積の小さい突起とは例えば円形なら直径0.2mm未満、四角形なら一辺が0.2mm未満である。
小さい突起は形成できる場所の自由度が高く、狭い領域にも形成できる点が好ましい。パターン領域とディスク外周端との距離が例えば0.3mm以下と非常に狭いハードディスクの周縁部にも設けることができる。
またフォトリソグラフィーで突起を形成するため(方式2−2)に比べてパターンとのアライメントが正確に取りやすい。場合によってはパターンと突起を同時に形成することもでき、工程を大幅に短くできる。更に、リフトオフ法によれば、マスク面に垂直方向の断面形状が略矩形状である突起、即ち側面が切り立った形状の突起が形成しやすい。従って同じ底面積でも頂部の面積がより大きな突起が形成しやすく、ディスクとマスクのアライメントが多少ずれてもディスクを支えられるため好ましい。更に、突起はディスク半径方向の長さが大きいほうが好ましい。これによりマスクとディスクとのアライメントずれに対しより余裕を持たせることができる。
【0147】
本方式によれば、無機物層の厚さをコントロールすることで形成する突起の高さを任意に変えられるので、様々な突起高さに適用できる。例えば0.001μm以上10μm以下である。また、無機物層は樹脂に比べて薄く形成することが容易なので、樹脂を使う方式では形成しにくい0.001μm以上3μm以下の低い突起も作りやすい。
リフトオフ法を何度か繰り返すことによって、場所により突起の高さを変えることもできる。また無機物層のエッチング工程が不要で厚く成膜するだけで高い突起が容易に形成できる点が好ましい。
【0148】
[方式3]
マスクの、突起を形成したい場所に液状樹脂を滴下して突起を形成する。この方法では樹脂の全面塗布を行わなくて良く、またフォトリソグラフィーが不要でその後の樹脂の除去、洗浄工程も不要であるため、非常に簡便に突起を形成できるという利点がある。
放射線硬化性または熱硬化性樹脂を滴下後、オーブンや赤外線ランプによる加熱又はレーザー光照射などで樹脂を硬化させることが、突起の硬度を上げ、かつ突起の耐溶剤性を向上させるために好ましい。
【0149】
この際、樹脂の材質によっては硬化時のヒケが大きく、突起の中央部が選択的に縮小しクレータ状になる場合がある。このような硬化時のヒケの大きい樹脂を使用する場合は、突起高さを均一にするために突起の形状は略円形であることが好ましい。
本方法においては、突起の高さや大きさは樹脂の量及び粘度などを調節することで制御できる。高い突起を形成するには樹脂量を多く粘度を高くして滴下すればよい。例えば突起高さが0.3μm以上10μm以下の比較的高い突起の形成に適する。
【0150】
[方式4]
マスクに、無機/有機の微粒子を分散した放射線硬化性又は熱硬化性の樹脂層を形成することにより突起を形成する。この方法ではフォトリソグラフィーが不要でその後の樹脂の除去、洗浄工程も不要であるため、非常に簡便に突起を形成できるという利点がある。
樹脂層の形成法としては塗布によるのが一般的であり、ディップ法、スピンコート法などがある。塗布後、オーブンや赤外線ランプによる加熱又はレーザー光照射などで樹脂を硬化させることが、突起の硬度を上げ、かつ突起の耐溶剤性を向上させるために好ましい。
【0151】
粒子としては十分な硬度を有すれば種類は限定されないが、例えばガラス、シリコン、樹脂系等の微粒子が印加される外部磁界への影響が少ないため好ましい。粒子の大きさは形成したい突起の大きさに合わせて選定すればよいが、通常、0.3μm以上10μm以下程度である。突起高さを均一にするため、添加する粒子は球形であるのが好ましい。
本方法においては、突起の高さや大きさは粒子の大きさ、形状及び添加量、樹脂の量及び粘度などを調節することで制御できる。本法は例えば突起高さが0.3μm以上10μm以下の比較的高い突起の形成に適する。
【0152】
[方式5]
マスクを構成する基材に、エネルギー密度の高いエネルギー線を照射し、基材を変形させて突起を形成する。或いは、基材上に加工層を成膜したのちエネルギー密度の高いエネルギー線を照射し、加工層を変形させて突起を形成する。基材としては通常、石英ガラス、ソーダライムガラスなどが用いられる。加工層材料としてエネルギー線照射による変形が可能で、かつ十分な硬度を有する材料であればよいが、例えば非透過部の形成材料であるクロムや酸化クロムなどを用いると、非透過部の形成と同じ工程で突起を形成でき、好ましい。この場合、パターン領域の周縁部にもクロムや酸化クロムなどを成膜すればよい。
【0153】
この方法では、樹脂の塗布やフォトリソグラフィーが不要でその後の樹脂の除去、洗浄工程も不要であるため、非常に簡便に突起を形成できるという利点がある。また、突起の材質が、例えばマスクの基材の石英ガラスなどであるので硬度の高い突起を形成しやすいという利点もある。更に、レーザーの照射条件を選ぶことで高さ1μm以下の低い突起が容易に形成できる。高さ数〜数十nmも可能である。従って例えば突起高さが0.001μm以上3μm以下の比較的低い突起の形成に適する。
【0154】
本方法においては、マスクの基材または加工層にレーザー光を照射する。使用に適したレーザとしては、炭酸ガスレーザ(波長10.6μm)、エキシマレーザ(157,193,248,308,351nm)、YAGのQスイッチレーザの基本波(1064nm)、2倍波(532nm)、3倍波(355nm)、或いは4倍波(266nm)、Arレーザ(488nm、514nm)、レーザダイオード(780,980,820nm)などが挙げられる。
マスクの基材であるガラス、石英等に直接突起を形成する場合、波長の長い例えば炭酸ガスレーザ(波長10.6μm)のような光源を用いることが好ましい。
【0155】
マスクのパターン領域非透過部やパターン領域周縁部にレーザを照射して加工層を加熱することにより変形させて突起を形成する場合、用いるエネルギー線は加工層に対して吸収のある波長のレーザー光であればよいが、例えばYAGレーザの基本波(1064nm)、倍波(532nm)、三倍波(366nm)、四倍波(266nm)、Arガスレーザ(514,488nm)、エキシマレーザ(157,193,248,308,351nm)、レーザダイオード(780,980,820nm)などが挙げられる。
照射されるレーザはパルス状であるが、元々パルス発振のレーザを使用する場合でも、連続発振のレーザを音響光学素子(AO),電気光学素子(EO)、機械的なシャッター等でパルス化してもかまわない。パルス状のレーザを照射することで略円形の突起が形成しやすい。
【0156】
照射するレーザのパルス幅は、光源の発生するエネルギー密度が高い場合、短くてもかまわないが、加工層で十分発熱を起こすためにはパルス幅1nsec以上が好ましい。また、エネルギー密度の低い光源でもパルス幅を十分大きくすることで突起の作成は可能であるが、加工時間をいたずらに伸ばさないために、パルス幅1秒以下程度が好ましく、100msec以下がより好ましい。
突起の形成方法としてはマスクをスピンドル等の回転体に乗せて回転させながらレーザビームを所定の場所に照射する場合と、マスクをXYステージ等に乗せて移動させながらレーザビームを所定の場所に照射する場合がある。
【0157】
以上のように形成した突起を他の層で覆ってもよい。例えば水素化カーボンやアモルファスカーボンなどの炭素質層や、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂層などである。カーボン層はスパッタリングやCVDなどで形成可能であり、硬度が高いので突起の削れが防止でき、また潤滑性も付与できる。フッ素系樹脂も潤滑性が付与できる。
突起がクロムなどの金属からなる場合、コロージョンによる媒体の汚染を防止するためにも、他の層で覆うのが好ましい。
【0158】
以上のようにして突起を形成したマスクを用いることにより、磁化パターン形成時に磁気記録媒体とマスクとの距離を均一にすることができる。これにより、マスクパターンを透過するエネルギー線が回折する程度をマスクの同心円上において均一にすることができ、磁気記録媒体の加熱領域の形状を精密に制御することができるようになるため、精密な磁化パターン形状を形成することができる。
【0159】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、その要旨の範囲を越えない限り本発明は実施例に限定されるものではない。
【0160】
(実施例1)
磁化パターン形状規定用マスク表面の、マスクパターンが形成されている領域よりも外周側及び内周側に、それぞれ複数個の突起を形成した。以下、その際の手順について説明する。
【0161】
まず、直径120mm,厚さ2.3mmの円板状に石英ガラスを形成してなる基板に、スパッタリング法でSiを厚さ100nmに成膜し、非透過部となるSi薄膜を形成した。成膜時の条件は、スパッタリングガスとしてArを使用し、スパッタリングガス圧0.6Pa,電力500Wで53秒間スパッタリングを行なった。
【0162】
次に、形成したSi薄膜表面に、フォトレジストMCPR−2200Xをスピンコート法で厚さ200nmに塗布し、フォトレジスト薄膜を形成した。
この基板表面上のフォトレジスト薄膜が塗布された領域のうち、半径19.7mmから半径46.7mmまでの範囲のマスクパターンを形成しようとする領域と、半径48.0mmから半径50.0mmまでのマークとしての英数字を形成しようとする領域とにKrレーザ(波長413nm)を照射して露光を行なった。また、マークとしての英数字は1辺の大きさが2mmとして形成した。
【0163】
露光させる方法を説明する。ターンテーブルにSi薄膜を形成した側の面が重力方向上方を向くように基板を設置し、ターンテーブルを回転させた。ターンテーブルとともに基板が回転している状態で、この基板に向けて対物レンズからKrレーザを露光させた。対物レンズがターンテーブルの半径方向に移動しながら露光を行なうようにし、Krレーザが基板表面のフォトレジスト薄膜が螺旋状または同心円状に感光するように露光させた。Krレーザ光は、ターンテーブルの回転数と半径位置で決定される線速度に応じた適切な光量となるようにパワーコントロール用電気光学素子(EO)で光量を調節され、次いでマスクパターンの形状に応じて断続されるよう変調用電気光学素子(EO)で露光するタイミングを制御されるようにした。
【0164】
マスクパターンは、タイミングパターン又はプリアンプルパターン,プレアンプルパターンと呼ばれるマスクパターンと、タイミングパターンに沿ってジグザグに形成されたジグパターン及びザグパターンと、マスク面上での径方向の位置を表わすグレイコードパターンとを含めた総称であるが、タイミングパターン及びジグパターン及びザグパターンは幅が0.5〜2μm程度に形成され、グレイコードパターンはそれよりさらに大きい幅に形成された。
【0165】
また、マスクパターンはマスクの放射方向に集合してスポークと呼ばれる領域を形成するようになされている。このスポークは放射方向に伸びる円弧状に形成されており、この円弧はマスク外部にある点から等距離にある円弧となるよう形成される。マスク外部の点とは、今製造しているマスクを用いて製造される磁気記録媒体を読み込む読込みヘッドの支点であり、この支点から等距離にある円弧は読込みヘッドが移動する領域に相当する。
以上のようにして露光を行なった後、現像を行ない、フォトレジスト薄膜の露光した領域のフォトレジストを除去した。
【0166】
次いでRIEによって、フォトレジスト薄膜が除去された領域のSi薄膜を除去した。RIE時の条件は、使用ガスSF,流量30秒,電力50Wで62秒間RIEを行なった。このとき、フォトレジスト薄膜が形成されている領域では、Si薄膜はフォトレジストによって保護されているため、RIEによってSiが除去されることはない。
【0167】
マスクをナガセレジストストリップ液N303Cに浸漬し、マスク表面のフォトレジスト薄膜を除去し、乾燥した。
マスクの、Si薄膜を形成した面に、スパッタリング法でSiOを厚さ30nmで成膜した。この成膜時の条件は、スパッタリングガスとしてAr/O=7/3を用い、スパッタリングガス圧0.6Pa,電力500Wで73秒間スパッタリングを行なった。
【0168】
上述の工程により、半径19.7mm〜46.7mmの領域にマスクパターンが形成され、さらに半径48.0mm〜50.0mmの領域に英数字の目視にて確認可能なマークが形成された磁化パターン形状規定用マスクが製造できた。
なお、製造の際に何らかの原因によってマーク部分のパターン形成が精密にできないことがあったとしても、上述のようにマークの形状はフォトレジストをマスクの円周方向に沿って露光させて成形するのであるため、例えば文字や数字ならば多少曲がって形成される程度であるので、情報を特定するのに問題はない。しかし、マークを2次元コード等の形状に形成する場合には、マークの形状がずれると情報を特定することができなくなる虞があり、補正が必要となる可能性がある。
【0169】
(実施例2)
直径120.00±0.20mm,厚さ2.3±0.1mm,周辺3mmを除く表面と裏面の平行度(TTVとも呼ばれる:Total ThicknessVariation)6μm以下,周辺3mmを除く表面平坦度(表面TIRとも呼ばれる:Total Indication Reading)2μm以下,周辺3mmを除く裏面平坦度(裏面TIRとも呼ばれる)6μm以下,1μm×1μm角における表面凹凸(Ra)0.18nm以下,15℃〜200℃における熱膨張率6.5×10−7以下の石英からなる円板状の基板の外周に、以下のような形状の面取り(チャンファとも呼ばれる)を形成した。
【0170】
(実施例2−1)
面取りした部分の径方向の幅を基板の表面又は裏面と平行な方向で測定した距離(以下、面取り幅という)0.45±0.15mm,面取りした面が表面又は裏面となす角度(以下、面取り角度という)45°±2°,端面と面取りの仕上げRrms≦0.03μmのチャンファをマスクの表面及び裏面に形成した。このマスクにフォトレジスト薄膜を形成してもマスクの端部でスキージャンプ形状が形成されなかった。
【0171】.
(実施例2−2)
面取り幅1.0mm±0.1mm,面取り角度10°±1°の第1の面取りを基板の表面及び裏面に形成し、第1の面取りと基板の端面とで形成される角に、面取り幅0.10mm±0.03mmの第2の面取りを形成し、端面と各面取りとで形成される角の仕上げをRrms≦0.03μmにて行なった。このマスクにフォトレジスト薄膜を形成してもマスクの端部でスキージャンプ形状が形成されなかった。特に、より粘度の高い液体を塗布した際には、面取り部の傾斜が緩やかな本実施例の方が実施例2−1に比べて、よりスキージャンプ形状の発生を抑制することができた。
【0172】
(実施例2−3)
基板の裏面に扇形の切欠きを設けた。面取り幅の最大値が3.0mm±1.0mm,面取り角度10°±2°,扇形の角度30°で、端面と各面取りとで形成される角の仕上げをRrms≦0.03μmにて行なった。この面取りをマークとすることで、マスクの周方向の位置を特定することができた。
【0173】
【発明の効果】
本発明によれば、マスクに関する各種の情報を特定するためのマークを、マスクと一体的に形成しているので、磁化パターン形成時における磁気記録媒体との間の密着性を損なうことなく、マスクに関する各種の情報をマスク単独で容易に特定することができる。また、洗浄やエネルギー線の照射により、マークに不具合が生じることも無く、安定して利用できる(請求項1)。
【0174】
このとき、前記マークを、上記マスクの表裏,上記マスクの円周上の位置,上記マスクの種類,及び上記マスクの面内におけるマスクパターンの形成方向のうち少なくとも何れかの情報を特定するためのものとすれば、マスクの検査や管理、使用時に必要となるこれらの情報を適切に特定することが可能となる(請求項2)。
【0175】
また、前記マークを、前記マスクパターン領域の外部に形成することで、上記マスクを用いた磁気記録媒体への磁化パターン形成時に、前記磁化パターンが前記マークによって変化することを防止することができる(請求項3)。
【0176】
更に、マスクを、エネルギー線を透過させる基板と、エネルギー線を透過しない遮蔽層とから構成するとともに、遮蔽層の一部を磁化パターンに応じた形状に開放し、これをマスクパターン領域とすることによって、一般的に使用されている高精細のマスクに本発明を適用することが可能となる(請求項4)。
【0177】
また、上述の構成のマスクにおいて、基板や遮蔽層の一部を変形させてこれをマークとすることにより、マークを基板や遮蔽層と同一の工程によって一体に形成することが可能となり、マークの形成が容易になるとともに、マークの安定性も高めることができる(請求項5)。
【0178】
さらに、マスクパターンの集合であるスポークが遮蔽層上に放射方向に形成されている場合、複数のスポークのうち少なくとも1つを、他のスポークよりもマスクの径方向の内方や外方に伸ばして、これをマークとすることにより、例えばインデックスパターンの位置など、マスク面内の円周方向における位置を容易に特定することが可能になる(請求項6)。
【0179】
また、スポークの内周側や外周側の端部に、マスクパターンと平行な角度の切り欠きを形成し、これをマークとすることにより、例えばAFMによるマスクの検査時等に、マスク1の面内における方向を容易に調整することが可能になる(請求項7)。
【0180】
更に、基板上に、遮蔽層とマークとを同一の工程で作成したり(請求項8)、予めマークが形成された基板上に遮蔽層を設けたり(請求項9)することにより、製造工程を増やすことなく効率的且つ確実にマークの形成を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクの概要を示す図面であり、図1(a)は本発明の第1実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクの正面図、図1(b)は図1(a)の磁化パターン形状規定用マスクのA矢視部の拡大断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクの概要を示す正面図である。
【図3】本発明の第3実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクの概要を示す正面図である。
【図4】本発明の第4実施形態としての磁化パターン形状規定用マスクの概要を示す正面図である。
【図5】本発明の磁化パターン形状規定用マスクの製造工程を説明するための、基板の要部の断面図である。
【図6】従来例としての磁化パターン形状規定用マスクの概要を示す正面図である。
【図7】本発明の磁化パターン形状規定用マスクに形成されるマークを示す図であり、図7(a)はバーコードを示す図、図7(b)はPDF417を示す図、図7(c)はQRコードを示す図、図7(d)はデータコードを示す図である。
【図8】本発明の磁化パターン形成方法を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 マスク
2 マスクパターン
3 スポーク
4 基板
5 無機物層
6 基板の切欠き
7 スポークの突出部分
8 記号
9 切欠き
10 フォトレジストの薄膜
11 磁気ディスク
12a、12b、12c、12d 永久磁石
13 遮光板
13a 開口部
14 マスク
15 エネルギー線
17 スペーサ
18a、18b、19a、19b、19c、19d  空芯コイル(電磁石)
21 直流電源
22 コンデンサ
23 サイリスタ
24 トリガー発生装置
25 遅延装置(ディレイ)
26 エネルギー線源
27 面取り

Claims (9)

  1. 磁気記録媒体の磁性層にエネルギー線を照射して加熱し、外部磁界を印加して前記磁性層に磁化パターンを形成する際に、前記磁化パターンの形状を規定するマスクであって、
    形成する前記磁化パターンの形状に応じて、前記磁性層に対するエネルギー線の照射強度に局所的な濃淡を生じさせるマスクパターンが形成されたマスクパターン領域を有するとともに、
    該マスクに関する情報を特定するためのマークが、該マスクと一体的に形成されていることを特徴とする、磁化パターン形状規定用マスク。
  2. 前記マークが、該マスクに関する情報として、該マスクの表裏,該マスクの種類,該マスクの円周上の位置,及び該マスクの面内におけるマスクパターンの形成方向のうち、少なくとも何れか一つの情報を特定するためのものであることを特徴とする、請求項1記載の磁化パターン形状規定用マスク。
  3. 前記マークが、前記マスクパターン領域の外部に形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の磁化パターン形状規定用マスク。
  4. エネルギー線を透過させる円板状の基板と、該基板上に設けられ、エネルギー線を透過しない遮蔽層とを備えて構成されるとともに、
    該遮蔽層の少なくとも一部が、前記磁化パターンに応じた形状でエネルギー線を透過させるべく開放されることにより、前記マスクパターン領域が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁化パターン形状規定用マスク。
  5. 前記マークが、該基板及び/又は該遮蔽層の一部を変形又は加工して形成されていることを特徴とする、請求項4記載の磁化パターン形状規定用マスク。
  6. 該遮蔽層に、前記マスクパターンの集合であるスポークが、放射方向に複数形成されるとともに、
    前記マークが、前記複数のスポークのうち少なくとも一つを、他のスポークよりも該マスクの径方向の内方及び/又は外方に伸ばして突出させた部分として形成されている
    ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の磁化パターン形状規定用マスク。
  7. 該遮蔽層に、前記マスクパターンの集合であるスポークが、放射方向に形成されるとともに、
    前記マークが、前記複数のスポークの内周側端部及び/又は外周側端部に、マスクパターンと平行な角度の切り欠きとして形成されている
    ことを特徴とする、請求項4〜6の何れか一項に記載の磁化パターン形状規定用マスク。
  8. 該基板上に該遮蔽層と前記マークとを同一の工程で形成することを特徴とする、請求項4〜7の何れか一項に記載の磁化パターン形状規定用マスクの製造方法。
  9. 予め前記マークが形成された該基板上に、該遮蔽層を設ける工程を有する
    ことを特徴とする、請求項4〜7の何れか一項に記載の磁化パターン形状規定用マスクの製造方法。
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