JP4318058B2 - 芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置 - Google Patents

芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4318058B2
JP4318058B2 JP21928298A JP21928298A JP4318058B2 JP 4318058 B2 JP4318058 B2 JP 4318058B2 JP 21928298 A JP21928298 A JP 21928298A JP 21928298 A JP21928298 A JP 21928298A JP 4318058 B2 JP4318058 B2 JP 4318058B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrofluoric acid
reaction
photoreaction
tube
reaction solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21928298A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000044501A (ja
Inventor
光夫 車屋
常俊 本田
博史 腰山
利昭 煙山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Jemco Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jemco Inc filed Critical Jemco Inc
Priority to JP21928298A priority Critical patent/JP4318058B2/ja
Publication of JP2000044501A publication Critical patent/JP2000044501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4318058B2 publication Critical patent/JP4318058B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/093Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置に関する。より詳しくは芳香族ジアゾニウム塩の光分解により芳香族フッ素化物を製造する方法において、収率が高く、装置の保守管理上有利な製造方法とその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族フッ素化合物は医薬品、農薬、液晶などの中間体として有用である。芳香族フッ素化合物を製造する代表的な方法としては、求電子的フッ素置換、脱ハロフッ素化反応(Halex法)、ジアゾ化−脱ジアゾフッ素化反応(Balz-Schiemann法)などが知られている。求電子的フッ素置換はフッ素ガスなどを用いて行われるが、反応の制御および位置選択性に問題がある。脱ハロフッ素化反応はo-位またはp-位に強い電子吸引基が必要であり基質が限定される。
【0003】
ジアゾ化−脱ジアゾフッ素化反応は上記方法の中では最も汎用性が高いが、化学的に不安定で毒性のあるジアゾニウム塩を単離する工程が必要である。また、熱分解の制御が困難で反応の再現性が良くない。さらに、基質により収率が大きく異なり、特に極性置換基を有する複雑な化合物では収率が低いという問題があった。
【0004】
ジアゾ化の後、脱ジアゾフッ素化をピリジンなどの塩基の存在下に光照射により行なう改良法も提案されている(特開昭63-188631号)。この方法では、反応の制御が比較的容易であり、ジアゾニウム塩の単離が不要となる。また、高選択的に反応が進行するという利点がある。しかし、反応を長時間継続させたり、反応装置を繰り返し使用した場合には、反応溶液に接する光透過材にカップリング体やタール状物質が付着して反応効率が低下すると云う問題があった。
【0005】
そこで、ジアゾ化反応溶液にフッ酸を加え、あるいはジアゾ化反応溶液の塩基濃度よりも少ない塩基濃度のフッ酸を加えて反応溶液を希釈した後に光照射を行うことによって光照射時間を短縮し、また光透過材の汚れを減じて長時間の連続使用を図る製造方法が本発明者等により提案されている(特開平9-20697号)。
【0006】
【発明の解決課題】
本発明は、このような従来の問題を解決し、フッ酸ないしフッ酸塩基混合溶液を用いたジアゾニウム塩の光分解反応による脱ジアゾフッ素化反応を効率よく、工業的に実施できる方法を提供するものである。
具体的には、本発明の製造方法は、反応溶液を光反応器に循環し、反応の進行状況に応じて光分解反応を繰り返すことにより、反応効率を高めると共に光透過材の汚れの原因となる副生物の生成を抑えて長時間の実施を可能にし、さらにフッ酸ないしフッ酸と塩基を回収して繰り返し使用することにより工業的製造方法として実用性を高めたものである。
【0007】
【課題解決の手段】
すなわち本発明は以下の製造方法に関する。
〔1〕 フッ酸単独またはフッ酸と塩基の混合溶液を反応溶液として用い、該反応溶液中で芳香族アミノ化合物をジアゾ化し、生成したジアゾニウム塩を光分解して脱ジアゾフッ素化することにより芳香族フッ素化合物を製造する方法において、(イ)波長280nm〜340nmの紫外線を用いて光分解反応による脱ジアゾフッ素化を行なわせ、(ロ)光分解によって生じる窒素ガス量によって光分解の進行を検出し、これに基づいて反応溶液を貯槽と光反応容器の間で循環させて光分解反応を進め、(ハ)光分解反応後、反応溶液を加熱してフッ酸を蒸留回収する一方、(ニ)フッ酸濃度が低下した反応溶液から目的の芳香族フッ素化合物を回収し、(ホ)その残渣からフッ酸またはフッ酸と塩基を回収すると共に、回収したフッ酸またはフッ酸と塩基を反応溶液の一部に再利用することを特徴とする芳香族フッ素化合物の製造方法。
【0008】
本発明の上記製造方法は以下の態様を含む。
〔2〕塩基濃度0〜50wt%のフッ酸塩基混合溶液を反応溶液として用いる上記[1]の製造方法。
〔3〕溶媒に対する芳香族アミノ化合物の濃度が0.01〜5mmol/gである上記[1]または上記[2]に記載の製造方法。
【0009】
さらに本発明は、上記製造方法の実施に好適な以下の製造装置に関する。
〔4〕 フッ酸単独またはフッ酸と塩基の混合溶液を反応溶液として用い、該反応溶液中で芳香族アミノ化合物をジアゾ化し、生成したジアゾニウム塩を光分解して脱ジアゾフッ素化することにより芳香族フッ素化合物を製造する装置であって、縦長に立設された光電管と、該光電管を囲むように立設された縦長の光反応管とを有し、上記光電管ないし光反応管には照射光の波長域を限定するフィルターが装着されており、一方、光反応管は光透過性材料によって形成されており、かつ発生したガスを外部に導く排気管とガス計量手段が設けられており、さらに反応溶液を光反応管に循環する貯槽が設けられており、光反応管において波長280nm〜340nmの紫外線を用いて光分解反応による脱ジアゾフッ素化を行なわせ、光分解によって生じる窒素ガス量をガス計量手段によって検出して光分解の進行を検出し、これに基づいて反応溶液を貯槽と光反応容器の間で循環させて光分解反応を進めることを特徴とする光反応装置。
〔5〕 照射光の波長を限定するフィルターを設けることに代えて、光反応管が照射光の波長を限定する光透過性材料によって形成されている上記[4]に記載の光反応装置。
〔6〕 芳香族フッ素化合物の製造に用いられる装置であって、光反応管がフルオロオレフィン重合体製チューブによって形成されている上記[4]または上記[5]に記載の光反応装置。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を具体的な態様に基づいて詳細に説明する。図1に本発明の製造工程例の概略を示し、図2にその装置構成例を示す。
図示するように、本発明の製造方法は、(I)フッ酸単独または、フッ酸と塩基の反応溶液中で原料の芳香族をジアゾ化する工程、(II)生成したジアゾニウム塩を光分解して脱ジアゾフッ素化することにより芳香族フッ素化合物を製造する工程、(III)生成物を含む反応溶液を加熱してフッ酸を回収する工程、(IV)フッ酸濃度を下げた反応溶液から目的の芳香族フッ素化合物を回収する工程、(V)回収残渣からフッ酸または、フッ酸と塩基を回収する工程、(VI)回収したフッ酸および塩基をジアゾ化工程に循環して再利用する工程を有する。
【0011】
調整槽1において調製された反応溶液は反応槽2に導かれ、ここでジアゾ化反応が進み、反応槽2から貯槽16に送られ、該貯槽16から光反応装置10に供給される。反応溶液は光分解反応の程度に応じて貯槽16と光反応装置10とを循環され、反応終了後に貯槽16を経て外部に抜き出される。
以下、各工程を説明する。
【0012】
( ) ジアゾ化工程
フッ酸単独または、フッ酸と塩基の混合溶液を反応溶液として用い、該反応溶液に原料の芳香族アミノ化合物と亜硝酸付与剤を加えることによりジアゾ化反応を行わせる。原料の芳香族アミノ化合物は芳香環に直接アミノ基が結合している化合物であればよく、芳香族炭化水素およびヘテロ原子を含む芳香族化合物が含まれる。芳香族炭化水素の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙げられ、ヘテロ環の例としてはピリジン、ピリミジン、ピラゾリン、トリアジン、キノリン、フラン、ベンゾフランピロール、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリゾール、インドール、ナフチジン等が挙げられる。
【0013】
原料の芳香族アミノ化合物は、アミノ基のほかに置換基を有してもよい。置換基の種類は限定されない。本発明は、特に極性置換基を有する芳香族化合物を原料とする場合に有用である。すなわち、極性置換基を有する芳香族化合物のジアゾ化−光分解では、タール状化合物などの副生物が生じやすいが、本発明の方法ではこのような化合物を原料とする場合においても、タール状化合物の副生を最低限に抑えて目的化合物を得ることができる。極性置換基の例としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、トリフルオロメチル等のハロアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシ等が挙げられる。1分子中に極性置換基を複数有していてもよいし、ここに挙げた以外の置換基を有していてもよい。
【0014】
ジアゾ化のために用いられる亜硝酸付与剤はジアゾ化剤として通称されるものであり、無水亜硝酸、亜硝酸ソーダ、亜硝酸カリウム等が好適である。亜硝酸付与剤の添加量は、亜硝酸として少なくとも芳香族アミンに対する当量以上必要である。
【0015】
反応溶液は、フッ酸単独またはフッ酸と塩基の混合溶液が用いられる。フッ酸塩基混合溶液を用いることにより光分解反応を効率よく進め、目的化合物の収率を高めることができる。塩基はフッ酸と錯体を形成する塩基、すなわち、酸素、窒素、リン、硫黄を含む化合物を用いることができる。具体的には、例えば、ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン化合物、エテルエーテル等のエーテル化合物、ケトン化合物、アルデヒド化合物、エステル化合物、およびアルコ−ル、カルボン酸、水、スルホキシド、スルホンアミド化合物、アミド化合物、ニトリル、イソニトリル、ホスフィン、ホスファイト、ホスフェイト化合物等が使用でき、特にアミン化合物およびエーテル化合物が好適である。
【0016】
反応溶液としてフッ酸のみを使用する場合は、原料のアミンに対し10〜50倍モル、好ましくは15〜40倍モルの使用が適当である。塩基を共存させる場合は、塩基濃度が50wt%までが適当である。塩基の濃度がこれ以上になれば目的の芳香族フッ素化合物の収率が低下する。
また、反応溶液に対する芳香族アミノ化合物の濃度は0.01〜5mmol/gが適当である。0.01mol/g未満では生産性が悪く、5mmol/gより高いと未溶解のアミノ化合物が発生し、反応量の低下、副生成物の増加が起こるので好ましくない。
なお、反応温度は−150〜150℃が適当であり、−100〜100℃が好ましい。反応時間は芳香族アミノ化合物の種類にもよるが0.1〜10時間程度である。
【0017】
(II) 光反応工程
上記ジアゾ化工程で得た反応生成物に光を照射してそのジアゾニウム塩を光分解し、脱ジアゾフッ素化反応により目的の芳香族フッ素化合物を生成させる。この光反応は、波長280nm〜340nm、好ましくは、280nm〜320nmの紫外線を用いるのが良い。280nm未満の紫外線を含むとタール状物質の生成が増大し目的化合物の収率が低下する。また340nmを超える波長では反応速度が大幅に低下する。照射光の波長を上記範囲に制限することにより、目的化合物の収率と反応速度を高めることができる。特に、ハロゲンを置換基として有する化合物の光分解反応では、その置換数が増えるほど波長による影響が著しい。
【0018】
上記波長域は、紫外線光源とフィルターとによって制御することができる。一般に、光源には高圧水銀ランプ等が用いられるが、これに透過限界波長が280nm以上の紫外透過フィルタ−を組み合わせれば良い。また、フィルター効果を有するガラス材料によって光反応容器を形成することによって波長を制御しても良い。例えば、低膨張ホウケイ酸ガラス(パイレックス)などを用いて反応容器を形成すれば良い。
【0019】
なお、光分解反応の段階でタール状の副生物が生じ、これが光反応器の壁を汚し、光の照射を妨げて反応効率を低下する問題がある。このタール状物質は使用するアミノ化合物や塩基濃度によって生成量が異なるが、フッ酸濃度を高めれば低減することができる。この場合、フッ酸濃度を高めると相対的に塩基濃度が低下するため、目的化合物の収率が低下する懸念があるが、先に述べたように、溶液中の塩基濃度が10〜50wt%であればタール状物質の量も少なく、目的化合物の収率も高い。
【0020】
光分解の反応温度は−100〜200℃が適当であり、−50〜100℃が好ましい。反応時間は、原料化合物にもよるが1〜30時間が適当である。
光分解反応により脱ジアゾ化が進むのにつれて窒素ガスが発生する。この発生した窒素ガス量を測定することによって、光分解反応の進行状況が把握でき、原料からの窒素ガス発生計算量または、ガスの発生が無くなるまで、貯槽から光反応容器に反応溶液を循環して光分解反応を繰り返し行う。
【0021】
図3、図4に光分解装置の構成例を示す。図3は本発明に用いる光反応装置の概略を示す縦断面図であり、図4はその概略横断面図である。図示するように、光分解装置10の中央部には縦長の光源11(光電管:例えば蛍光管状のもの)が立設されており、該光電管11を囲むように複数の光反応管13が立設されている。光電管11はその側方全周に光を照射するランプ11aと該ランプ11aを気密に収納した透明な筒状のケース11bによって形成されている。ランプ11aの種類ないし波長、出力は反応系に応じて適宜選択される。透明ケース11bは反応溶液には直に接触しないので、その材質は反応溶液に対する防蝕性を有するものに限定されず透明性の高い石英ガラスや有機ガラスなどの光透過材を用いることができる。該透明ケース11bには照射光の波長域を上記範囲に限定するフィルター(図示省略)が装着されている。あるいは、照射光の波長域を上記範囲に限定するフィルター機能を有したガラス材によって透明ケース11bを形成しても良い。
【0022】
光反応管13は光電管11の光が均等かつ効率的に照射されるように上記光電管11を囲むように配列されている。図示する装置例では光反応管13が8本づつ2重に光電管11を中心として同心円状に配列されており、外側の光反応管13は内側の隣接する光反応管13の間から光電管11を臨む位置に設置されている。光反応管13は内部に反応溶液を供給し光反応を行わせるものであるので、反応溶液およびその生成物に対して耐蝕性がある光透過性の材料が用いられる。
【0023】
光反応管13は縦長の管状部材によって形成されており、その下端には内部に反応溶液を供給し、また反応溶液を抜き出すための管路15が接続しており、該管路15は外部の貯槽16に接続している。複数の光反応管13は管路15を通じて貯槽16に連通しており、光反応管13と貯槽16の間に循環路が形成されている。さらに、光反応管13の上端には管内で発生した窒素ガスを外部に導く排気管17が設けられており、該排気管17には窒素ガスの計量手段19が設けられている。
【0024】
上記光源11および光反応管13は冷却槽21に収納されており、支持台23によって該冷却槽21に固定される。該冷却槽21には冷却媒体24が貯溜されている。冷却媒体としては蒸留水またはイオン交換水が好適であるが、透明であり光照射を著しく妨げないものであれば他の冷却媒体を用いることもできる。光電管11および複数の上記光反応管13はこの冷却水24に浸漬されており、図示する装置例では、光電管11および光反応管13の上端部は電気的接続ないしガス抜きのために冷却水24の水面から突出して設けられている。さらに、冷却槽21には冷却水24の温度を調節する冷却管25が設けられている
【0025】
上記光反応装置10は光反応管13が冷却水中に個々に立設した構造であるので、各々の光反応管13の外周が冷却水によって包み込まれた状態となり、冷却効率が良く、また縦型構造であるので光反応管13の内部で発生した反応ガスが上部管端に抜け易く、発生したガスによって光反応が妨げられず、かつ発生ガス(窒素ガス)量を検出することにより光分解反応の進行状況を把握することができる。なお、反応温度を高める必要がある場合には冷却水に代えて目的温度の温水を用いることにより、容易に反応系を適切な温度に保つことができる。
【0026】
本発明の製造方法においては、フッ酸ないしフッ酸塩基混合溶液を反応溶液として用いるので、通常の石英ガラスなどによって形成した光反応管では耐久性が乏しく短時間で腐食される。一方、テフロンに代表されるフルオロオレフィン重合体によって形成されたものは、透明性が高くフッ酸に対する耐久性に優れるので好ましい。また、円筒形で縦型に支持して配置しているので、強度的にも充分であり、ガラスその他の他の材質による補強の必要も無い。さらに、フッ酸濃度が高い反応溶液を循環させるため、フルオロオレフィン重合体では避けられないフッ酸の浸透による、ガラス類の直接の腐食の心配がない。このフルオロオレフィン重合体によって形成した反応管を着脱自在に設け、繰り返し使用により透明度が低下した光反応管を取り外して、フッ素系不活性溶媒中で煮沸して、透明度を回復させて再使用する方法が本発明者等により提案されている(特開平8-259727号)。
【0027】
光反応管の好適な材料としては、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン重合体(PVDF)、フッ化ビニル重合体(PVF)などが挙げられる。
【0028】
(III) フッ酸回収工程
光反応終了時にフッ酸濃度が85wt%以上の場合は、50℃以下での蒸留温度でフッ酸の回収ができる。例えば、90wt%のフッ酸、10wt%のピリジン反応溶液の場合、使用量の50〜60wt%のフッ酸が水分200〜1000ppmの範囲で回収できる。蒸留温度がこの範囲より高すぎると、回収したフッ酸中の水分が多くなるので好ましくない。なお、蒸留槽にはテフロンライニングした耐酸性容器を用いると良い。目的化合物の回収に先だってフッ酸を蒸留回収すると共に反応溶液中のフッ酸濃度が低下するので、次工程において目的化合物を効率良く回収することができる。
【0029】
(IV) 目的化合物の回収
反応溶液から目的の芳香族フッ素化合物を回収する。回収方法としては溶媒抽出を利用することができる。具体的には、例えば、フッ酸ピリジン混合溶液中で光反応によって生成させた2,4-ジブロモ-5-フルオロ-6-メチル安息香酸メチル(BFTAM)を回収するには、溶媒としてジクロロメタン(CH2Cl2)を用いて回収することができる。この反応溶液にジクロロメタンを加えると、BFTAMはジクロロメタンに吸収され、比重差によって、上側のフッ酸ピリジン混合反応溶液と下側のジクロロメタン溶媒相とに分離する。この溶媒相を回収し、水、及びアルカリによって洗浄し、抽出操作によって混入したフッ酸分を取り除いた後、蒸留によって濃縮して目的化合物のBFTAMを得ることができる。また、回収したジクロロメタンは再利用することができる。
【0030】
( ) フッ酸・塩基の回収
目的の芳香族フッ素化合物を回収した反応残液を加熱して、フッ酸、及び塩基を使用した場合、塩基の蒸留回収が可能である。この蒸留の際、フッ酸濃度に応じ、減圧蒸留すると良い。具体的には、常圧下で留出分がなくなるまで加熱蒸留し、その後に留出分がでるまで徐々に減圧して蒸留を行う。このような常圧下あるいは減圧下の蒸留によって反応残液からフッ酸およびフッ酸と塩基の化合物を回収することができる。
【0031】
(VI) 回収フッ酸の循環再利用
フッ酸の蒸留工程において、蒸留温度を制御することにより、水分量が少ない高品位のフッ酸を回収することができるので、これを光反応より前の各工程に回送して再利用することができる。また、フッ酸と塩基の混合溶媒、例えば、フッ酸・ピリジン溶液を用いた場合には、ピリジンはピリジンのフッ酸塩として得られるが、これも水分量が少いので、ジアゾ化反応の溶媒の一部として再利用することができる。
【0032】
本発明の製造方法および製造装置によれば各種の芳香族フッ素化合物を効率よく製造することができる。その製造例を図5〜図11に示す。
図5は3,4,5−トリフロロブロモベンゼンの合成例、図6は2−フロロ−4−クロロ安息香酸メチルの合成例、図7は2,4,5−トリフロロ安息香酸メチルの合成例、図8は2,4−ジクロロ−5−フロロ安息香酸メチルの合成例、図9は2,4,5−トリフロロベンゾトリフロリドの合成例、図10は4−フロロイソキノリンの合成例、図11は2,4-ジブロム-5-フロロ-6-メチル安息香酸メチルの合成例である。
これらは何れも本発明の光分解反応によって目的化合物を高収率で得ることができる。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例によって具体的に示す。
〔実施例1〕
マグネット回転子を入れたフッ素樹脂容器に、予め調製したフッ酸ピリジン溶液(フッ酸70wt%)33.6gを仕込み、2,4-ジクロロ-5-アミノ安息香酸メチル4.38g(純度約100%,約19.9mmol)を投入し、室温で溶解させた。次いで−15℃に冷却し、亜硝酸ソーダ1.52g(22mmol)を6分かけて加えた(最高温度-9℃)。次いで徐々に昇温し、10℃で1時間熟成した。この反応溶液を−20℃に冷却し、攪拌しながらフッ酸67gを5分かけて加えた。この容器に窒素ガス排出管を取り付け、20℃に保った水浴中で、パイレックス製冷却管を付けた1kw水冷式高圧水銀灯(理工科学産業製 UVL-1000HC)により、波長280nm以上の紫外線を22時間照射した。光照射の間、窒素ガスの発生を監視し、反応の進行をみた。窒素ガスの発生が停止したことを確認し、光の照射を終了した。次いで、フッ素樹脂製の連結管、冷却器および、受け器を容器に接続し、50℃の油浴上で留出が無くなるまでフッ酸を回収した。次に、残った反応溶液を氷水で冷却し、塩化メチレン60mlを3回に分けて抽出した。これらの抽出液を合わせて水100mlで洗浄し、次いで水100mlに10%の炭酸カリウムを加えて中和した(pH=7)。更に水100mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し濃縮し、粗製物4.29gを得た。この主成分はGC−MS、NMR分析により、2,4-ジクロロ-5-フルオロ-安息香酸メチルであることを確認した(略収率93%)。ガスクロマトグラフによる純度は96.41%であった。一方、抽出後の反応溶液を耐圧フッ素樹脂容器に移して蒸留することにより、更にフッ酸、溶媒、ピリジンを回収した。それぞれの回収量および組成を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004318058
【0035】
実施例2
原料として2,4-ジフロロ-5-アミノ安息香酸メチルを3.75gを用いた他は実施例1と同様にして反応させたところ、2,4,5-トリフルオロ安息香酸メチルを収率96%で得た。
【0036】
実施例3
原料として2,4-ジクロロ-5-アミノベンゾトリフロリド4.44gを用い、フッ酸ピリジン溶液(ピリジン20wt%)を101.8gを用いたほかは実施例1と同様にして反応させたところ、3,4,5−トリフルオロブロモベンゼンを収率96%で得た。
【0037】
実施例4
原料として2,4-ジフロロ-5-アミノベンゾトリフロリド4.01gを用いたほかは実施例1と同様にして反応させたところ、2,4,5-トリフルオロブロモベンゼンを収率89%で得た。
【0038】
実施例5
原料として2-アミノ-4-クロロ安息香酸メチル3.76gを用いたほかは実施例3と同様にして反応させたところ、2-フルオロ-4-クロロ安息香酸メチルを収率75%で得た。
【0039】
比較例1
実施例1と同様の実験において、高圧水銀灯の冷却管を石英製に変えて用いた他は同様な操作を行ったところ、光照射において照射時間が長くなるにつれて、容器の汚れの増加が観察され、窒素ガスの発生が停止した時点で反応を終了した場合の2,4-ジクロロ-5-フルオロ安息香酸メチルの収率は42%であり、収率の低下のみならず、副生成物の増加が確認された。
【0040】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、光分解反応の進行状況を窒素ガスの発生量によって検出し、その程度に応じて光分解を繰り返すので、従来のジアゾ化−光分解法よりも効率的に目的化合物を得ることができる。さらに、反応溶媒として用いるフッ酸塩基混合溶液を回収して再利用するので経済性にも優れる。しかも、高選択的に反応が進行し、目的物との分離が困難な脱ジアゾ水素化体が殆ど副生せず、極性置換基を有する化合物でも収率が高く、反応の制御も容易であるなどの利点を有する。また、本発明の好適な態様においては、光分解反応に特定波長の紫外線を用いるのでタール状物質が殆ど発生せず、反応応容器の汚染を防止できるので、光分解反応が高収率で達成され、かつ装置の保守管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の概略を示すフロー図。
【図2】本発明を実施する製造装置の構成例を示す説明図。
【図3】本発明の方法で用いる光分解装置を模式的に示した縦断面図。
【図4】図3の光分解装置を模式的に示した横断面図。
【図5】3,4,5−トリフロロブロモベンゼンの合成例を示す反応式
【図6】2−フロロ−4−クロロ安息香酸メチルの合成例を示す反応式
【図7】2,4,5−トリフロロ安息香酸メチルの合成例を示す反応式
【図8】2,4-ジクロロ-5-フロロ安息香酸メチルの合成例を示す反応式
【図9】2,4,5−トリフロロベンゾトリフロリドの合成例を示す反応式
【図10】4−フロロイソキノリンの合成例を示す反応式。
【図11】2,4-ジブロム-5-フロロ-6-メチル安息香酸メチルの合成例を示す反応式
【符号の説明】
1−調製槽、2−反応槽、10−光反応装置、 11−光電管、
13−光反応管、15−管路、 16−貯槽、19−ガス計量手段、
21−冷却槽、23−支持台、 24−冷却水、 25−冷却管

Claims (6)

  1. フッ酸単独またはフッ酸と塩基の混合溶液を反応溶液として用い、該反応溶液中で芳香族アミノ化合物をジアゾ化し、生成したジアゾニウム塩を光分解して脱ジアゾフッ素化することにより芳香族フッ素化合物を製造する方法において、(イ)波長280nm〜340nmの紫外線を用いて光分解反応による脱ジアゾフッ素化を行なわせ、(ロ)光分解によって生じる窒素ガス量によって光分解の進行を検出し、これに基づいて反応溶液を貯槽と光反応容器の間で循環させて光分解反応を進め、(ハ)光分解反応後、反応溶液を加熱してフッ酸を蒸留回収する一方、(ニ)フッ酸濃度が低下した反応溶液から目的の芳香族フッ素化合物を回収し、(ホ)その残渣からフッ酸またはフッ酸と塩基を回収すると共に、回収したフッ酸またはフッ酸と塩基を反応溶液の一部に再利用することを特徴とする芳香族フッ素化合物の製造方法。
  2. 塩基濃度0〜50wt%のフッ酸塩基混合溶液を反応溶液として用いる請求項1の製造方法。
  3. 溶媒に対する芳香族アミノ化合物の濃度が0.01〜5mmol/gである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. フッ酸単独またはフッ酸と塩基の混合溶液を反応溶液として用い、該反応溶液中で芳香族アミノ化合物をジアゾ化し、生成したジアゾニウム塩を光分解して脱ジアゾフッ素化することにより芳香族フッ素化合物を製造する装置であって、縦長に立設された光電管と、該光電管を囲むように立設された縦長の光反応管とを有し、上記光電管ないし光反応管には照射光の波長域を限定するフィルターが装着されており、一方、光反応管は光透過性材料によって形成されており、かつ発生したガスを外部に導く排気管とガス計量手段が設けられており、さらに反応溶液を光反応管に循環する貯槽が設けられており、光反応管において波長280nm〜340nmの紫外線を用いて光分解反応による脱ジアゾフッ素化を行なわせ、光分解によって生じる窒素ガス量をガス計量手段によって検出して光分解の進行を検出し、これに基づいて反応溶液を貯槽と光反応容器の間で循環させて光分解反応を進めることを特徴とする光反応装置。
  5. 照射光の波長を限定するフィルターを設けることに代えて、光反応管が照射光の波長を限定する光透過性材料によって形成されている請求項4に記載の光反応装置。
  6. 芳香族フッ素化合物の製造に用いられる装置であって、光反応管がフルオロオレフィン重合体製チューブによって形成されている請求項4または5に記載の光反応装置。
JP21928298A 1998-08-03 1998-08-03 芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置 Expired - Fee Related JP4318058B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21928298A JP4318058B2 (ja) 1998-08-03 1998-08-03 芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21928298A JP4318058B2 (ja) 1998-08-03 1998-08-03 芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000044501A JP2000044501A (ja) 2000-02-15
JP4318058B2 true JP4318058B2 (ja) 2009-08-19

Family

ID=16733077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21928298A Expired - Fee Related JP4318058B2 (ja) 1998-08-03 1998-08-03 芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4318058B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100546970C (zh) * 2006-05-18 2009-10-07 中国科学院广州化学研究所 一种溴代苯甲酸酯的合成方法
CN107793289A (zh) * 2016-08-30 2018-03-13 上海伟和生物科技有限公司 一种2,3,5‑三氟溴苯的制备方法
CN112174770A (zh) * 2020-10-30 2021-01-05 德兴市德邦化工有限公司 一种3,4,5-三氟溴苯的生产工艺
CN117486670B (zh) * 2023-12-29 2024-03-12 山东国邦药业有限公司 一种3,4,5-三氟溴苯的合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000044501A (ja) 2000-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5871633B2 (ja) ビス(1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピル)エーテルおよびその製造方法
JP4611984B2 (ja) ポリハロゲン化ジアマンタン類及びその誘導体の製造方法
KR101357455B1 (ko) 1,2,3,4-테트라클로로헥사플루오로부탄의 제조 방법 및 정제 방법
EP1032557B1 (fr) Procede de preparation de derives de bromomethyl-biphenyle
RU2453524C2 (ru) Способ получения замещенных бромбензолов
JP4318058B2 (ja) 芳香族フッ素化合物の製造方法と製造装置
CN107188778A (zh) 八氟环戊烯的制备方法
JP5574509B2 (ja) 芳香族アルデヒドの芳香族アシルハライドへの変換方法
JPH024719A (ja) アルキルアレーンの臭素化
EP0915814B1 (fr) Procede pour greffer un groupement difluoromethyle substitue
JP2006257042A (ja) 2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミドおよび2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルアミンの製造方法
TWI634101B (zh) 芳香衍生物的製備系統及製備方法
JPS5953887B2 (ja) モノ−またはジ−(トリクロルメチル)−ベンゼンの連続的製造方法
KR100904485B1 (ko) 모노할로겐화 에틸렌카보네이트의 제조방법
JP4255446B2 (ja) 2−トリフルオロメチル−6−フルオロベンズアルデヒドおよびその誘導体の製造方法
CN1132733A (zh) 引入氟取代基的方法
EP0647214A1 (en) Process for the oxidation of aromatic methyl groups
JP4605015B2 (ja) 含フッ素エーテル化合物
JP3831801B2 (ja) 芳香族フッ素化合物の製造方法
JP2005126330A (ja) ビフェニル誘導体の製造法
CN111655676A (zh) 1,3-二氧戊环化合物及全氟(2,2-二甲基-1,3-二氧杂环戊烯)的制造方法
JP3813040B2 (ja) 含ハロゲン芳香族化合物の製造方法
JPH024731A (ja) ジフエニルメタン化合物の酸化方法
KR100507451B1 (ko) 방향족화합물의 제조방법
JP4283173B2 (ja) 4−トリフルオロメチル−3−メチルフルオロベンゼンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081028

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090512

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090514

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120605

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130605

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees