JP4317716B2 - 4輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4輪駆動車の駆動力配分制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪駆動車としては、常時4輪を駆動するフルタイム方式、4輪駆動と2輪駆動とを適宜切り換えるパートタイム方式及び必要に応じて4輪駆動状態と2輪駆動状態との間を遷移するオンデマンド方式(トルクスプリット方式)が知られている。フルタイム方式の4輪駆動車においては、前輪と後輪との間にセンターディファレンシャルを備えることにより前輪と後輪との間の差動回転を許容し、これにより常時4輪駆動を実現している。
【0003】
(パートタイム方式)
パートタイム方式の4輪駆動車としては、例えば2輪駆動状態から4輪駆動状態に機械的に切換えるようにしたものが知られている。この4輪駆動車においては、横加速度、操舵速度、スロットル開度及びスロットル開速度のそれぞれに所定の係数を掛け、この演算結果に基づいてスポーツ走行度合いを算出する。そして、この算出したスポーツ走行度合いに基づいて2輪駆動状態と4輪駆動状態との間で駆動モードが機械的に切換えられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
(オンデマンド方式)
一方、オンデマンド方式の4輪駆動車としては、例えば次のような構成が知られている。即ち、この4輪駆動車は原動機に直結された主駆動輪と、駆動力伝達装置を介して原動機に接続された副駆動輪(従動輪)とを備えており、路面状況や走行状態などに応じて駆動力伝達装置の締結力(係合力)を変化させることにより副駆動輪側への駆動力配分を最適になるよう調整している。前記駆動力伝達装置は電磁クラッチ機構を備えており、当該電磁クラッチ機構に内蔵された電磁コイルを通電制御することにより、各クラッチ板を互いに摩擦係合させてハウジングと回転軸とを駆動連結し、原動機が発生する駆動力を副駆動輪へ伝達させる。詳述すると、各駆動輪に設けられた車輪速センサに基づいて、主駆動輪の平均速度及び副駆動輪の平均速度の差を求め、その差に基づいて電磁コイルの通電制御を行い、4輪駆動状態となるようにしている。従って、駆動力伝達装置は主駆動輪又は副駆動輪がスリップすると、電子的な制御により4輪駆動状態となる。つまり、オンデマンド方式の4輪駆動車では、駆動力伝達装置が各クラッチ板の摩擦係合力を制御することによって、4輪駆動傾向モード又は2輪駆動傾向モードのいずれかを選択するとともに、4輪駆動状態において前輪と後輪との間の駆動力配分率を制御する。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−272955号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の4輪駆動車においては、次のような問題があった。即ち、特許文献1に記載されたパートタイム方式の4輪駆動車においては、2輪駆動状態及び4輪駆動状態の2つの駆動状態しかなかった。このため、走行状態に応じた駆動力の配分を適切に行うことが困難であった。
【0007】
また、前記オンデマンド方式の4輪駆動車においては、例えば運転者がスポーティできびきびした運転状態(いわゆるスポーツ走行)を好んで車両を運転している場合、車両の走行性能を高めるために駆動モードを2輪駆動傾向モードから4輪駆動傾向モードに切換えることが要求される。このため、車速、ハンドルの操舵角及び操舵角速度等の各種パラメータに基づいて運転者の運転状態を判定し、この判定結果に基づいて駆動モードを4輪駆動傾向モード(スポーツモード)に切換えるようにしていた。しかしながら、これらのパラメータだけでは運転者の運転状態を的確に把握することが困難な場合があった。従って、2輪駆動から4輪駆動への駆動モードの切換えが適正に実施されない場合があった。ひいては、走行状態に応じた駆動力の配分が適切に行われないおそれがあった。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、走行状態に応じた駆動力の配分を適切に行うことができる4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、原動機の駆動力を駆動力伝達装置を介して前輪側及び後輪側に伝達し、その時々の走行状態に応じて2輪駆動傾向モード及び4輪駆動傾向モードのうちいずれかの駆動モードを選択し、この選択した駆動モードに応じた駆動力配分を行うように前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分率を可変制御するようにした4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、車速と操舵角とをパラメータとした操舵角速度の3次元マップである操舵角速度判定閾値マップを予め格納した記憶手段と、前記記憶手段に格納された操舵角速度判定閾値マップに基づいてその時々の操舵角速度判定閾値を求め、実際の操舵角速度が前記操舵角速度判定閾値よりも小さいときには2輪駆動傾向モードを選択し、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードを選択する走行状態判定手段とを備え、前記操舵角速度判定閾値マップは、車速が大きくなるにつれて操舵角速度判定閾値が小さくなるように、且つ所定の小操舵角領域における操舵角速度判定閾値が当該小操舵角領域よりも大きい操舵角領域における操舵角速度判定閾値よりも大きくなるように、その特性を設定したことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記記憶手段には、車速と加速操作量とをパラメータとした加速操作速度の3次元マップである加速操作速度判定閾値マップをさらに格納し、
前記操舵角速度判定閾値マップに基づく駆動モードの選択に先立って又は当該判定後において、前記走行状態判定手段は、前記記憶手段に格納された加速操作速度判定閾値マップに基づいてその時々の加速操作速度判定閾値を求め、実際の加速操作速度が前記加速操作速度判定閾値よりも小さいときには2輪駆動傾向モードを選択し、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードを選択するようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、4輪駆動傾向モードが選択された状態で前記走行状態判定手段により2輪駆動傾向モードの選択がなされたときにだけ所定の遅延時間を設定する一方、2輪駆動傾向モードが選択された状態で前記走行状態判定手段により4輪駆動傾向モードの選択がなされたときには前記遅延時間を設定しないようにした遅延時間設定手段と、前記遅延時間設定手段により設定された所定の遅延時間を計時する計時手段とを備え、前記遅延時間設定手段により遅延時間が設定されたときには、前記計時手段により前記遅延時間が計時された後に駆動モードの切換えを行い、同じく前記遅延時間が設定されないときには即時に駆動モードの切換えを行うようにしたことを要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、原動機の駆動力は駆動力伝達装置を介して前輪側及び後輪側に伝達される。そして、その時々の走行状態に応じて2輪駆動傾向モード及び4輪駆動傾向モードのうちいずれかの駆動モードが選択され、この選択された駆動モードに応じた駆動力配分を行うように前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合が可変制御されることにより、前輪側と後輪側との駆動力配分率が可変制御される。駆動モードの選択は次のようにして行われる。即ち、前記記憶手段に予め格納された操舵角速度判定閾値マップに基づいてその時々の操舵角速度判定閾値が求められる。そして、実際の操舵角速度が前記操舵角速度判定閾値よりも小さいときには2輪駆動傾向モードが選択され、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードが選択される。
【0013】
前記操舵角速度判定閾値マップは、車速が大きくなるにつれて操舵角速度判定閾値が小さくなるように、且つ所定の小操舵角領域における操舵角速度判定閾値が当該小操舵角領域よりも大きい操舵角領域における操舵角速度判定閾値よりも大きくなるように、その特性が設定されている。このため、例えばワインディングロードを走行する際、急カーブを走行する際及びレーンチェンジの際のように、車速が大きく且つ操舵角速度(ハンドルの切り込み速度)が大きく車両の走行安定性が損なわれる蓋然性が高い走行状態を的確に捉えて4輪駆動傾向モードが確実に選択される。従って、前輪側及び後輪側への駆動力の配分がそれぞれ車両の走行状態に応じて適切に行われ、車両の走行安定性が向上する。
【0014】
また、操舵角速度判定閾値マップにおいて、所定の小操舵角領域の操舵角速度判定閾値は同じく他の領域の操舵角速度判定閾値よりも大きく設定されている。このため、走行状態としては頻度の高い、直進走行に近い走行状態では、燃費悪化・トランスファの温度上昇の抑制に重点をおいた2輪駆動傾向モードが確実に選択される。
【0015】
このように、操舵に関する車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態では車両の駆動モードを前もって4輪駆動傾向モードにすると共に、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性が低い直進走行に近い走行状態では、車両の駆動モードを2輪駆動傾向モードにするようにした。このため、車両の走行安定性の向上及び燃費悪化・トランスファの温度上昇の防止の双方を考慮したバランスのとれた駆動力配分が行われる。
【0016】
車両の走行安定性を考えると、常時4輪駆動傾向モードとすることが望ましいものの、この場合には燃費悪化及びトランスファの温度上昇を引き起こすおそれがある。このため、4輪駆動傾向モードと2輪駆動傾向モードとの切換えのバランスをとることが必要となる。例えばスポーツ走行時等のように、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性が高い場合には、車両の走行不安定を検出してから4輪駆動傾向モードにしたのでは応答性が悪く、走行状態に応じた適切な駆動力配分は困難である。このため、前もって4輪駆動傾向モードとすることが望ましい。一方、低速走行時及び緩やかなハンドル操作時等のように、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性が低い場合には、2輪駆動傾向モードとすることが望ましい。これは、燃費向上及びトランスファの温度上昇を抑制するためである。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置の作用に加えて、前記操舵角速度判定閾値マップに基づく駆動モードの選択に先立って又は当該判定後において、加速操作速度判定閾値マップに基づいてその時々の加速操作速度判定閾値が求められる。そして、実際の加速操作速度が前記加速操作速度判定閾値よりも小さいときには2輪駆動傾向モードが選択され、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードが選択される。
【0018】
即ち、前記操舵角速度判定閾値マップに加えて、加速操作速度判定閾値マップに基づいて車両の走行状態が判定される。このため、操舵角速度判定閾値マップと加速操作速度判定閾値マップとが相互に補完しあい、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態をいっそう的確に捉えることが可能となる。操舵角速度判定閾値マップでは判定が困難である走行状態も加速操作速度判定閾値マップによれば判定可能な場合がある。逆に、加速操作速度判定閾値マップでは判定が困難である走行状態も操舵角速度判定閾値マップによれば判定可能な場合もある。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置の作用に加えて、4輪駆動傾向モードが選択された状態で2輪駆動傾向モードの選択がなされたときにだけ所定の遅延時間が設定される。そして、前記遅延時間が設定されたときには、前記計時手段により当該遅延時間が計時された後に駆動モードの切換えが行われる。即ち、4輪駆動傾向モードが選択された状態で2輪駆動傾向モードの選択がなされたときには前記遅延時間の経過後に4輪駆動傾向モードから2輪駆動傾向モードへの切換えが行われる。一方、2輪駆動傾向モードが選択された状態で4輪駆動傾向モードの選択がなされたときには前記遅延時間が設定されることはない。そして、前記遅延時間が設定されないときには前記計時手段により前記遅延時間が計時されることなく即時に駆動モードの切換えが行われる。即ち、2輪駆動傾向モードが選択された状態で4輪駆動傾向モードの選択がなされたときには即座に2輪駆動傾向モードから4輪駆動傾向モードへの切換えが行われる。
【0020】
このように、2輪駆動傾向モードから4輪駆動傾向モードへの切換えは迅速に行われるので、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態が判定された場合には、素早く4輪駆動傾向の駆動力配分となる。また、4輪駆動傾向モードが選択された状態における2輪駆動傾向モードの選択は、遅延時間設定手段によって所定の遅延時間が設定されることにより鈍感にされている。このため、駆動モードの切り換わりハンチング現象(即ち、4輪駆動傾向モードと2輪駆動傾向モードとを繰り返す現象)が抑制される。4輪駆動傾向モードが少々の時間継続されたとしても車両の走行安定性の確保に奇与しているので、何ら支障はない。従って、モードの切り換わりハンチング現象を抑制した上で、車両の走行安定性を損なう蓋然性の高い走行状態であると判定されたときには、素早く4輪駆動傾向の駆動力配分にすることができ、車両の走行安定性を向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を前輪駆動ベースの4輪駆動車に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0022】
(4輪駆動車の構成概略)
図1において、4輪駆動車1は、エンジン2及びトランスアクスル3を備えている。トランスアクスル3は、トランスミッション3a、フロントディファレンシャル3b及びトランスファ3c等を有している。前記フロントディファレンシャル3bは左右一対のフロントアクスル4a,4bと連結され、その一対のフロントアクスル4a,4bにはそれぞれ左側及び右側の前輪5a,5bがそれぞれ連結されている。従って、エンジン2の駆動力は、トランスミッション3a、フロントディファレンシャル3b及び左右一対のフロントアクスル4a,4bを介して左側及び右側の前輪5a,5bにそれぞれ伝達される。
【0023】
また、前記トランスファ3cはプロペラシャフト6に連結され、そのプロペラシャフト6は駆動力伝達装置(カップリング)7が連結されている。この駆動力伝達装置7はドライブピニオンシャフト8を介してリヤディファレンシャル9が連結されている。リヤディファレンシャル9には左右一対のリヤアクスル10a,10bを介して左右の後輪11a,11bが連結されている。
【0024】
従って、プロペラシャフト6とドライブピニオンシャフト8とが駆動力伝達装置7によりトルク伝達可能に連結された場合、エンジン2の駆動力は次の経路で左右の後輪11a,11bへ伝達される。即ち、エンジン2の駆動力はトランスミッション3a、トランスファ3c、プロペラシャフト6、ドライブピニオンシャフト8、リヤディファレンシャル9及び両リヤアクスル10a,10bを介して左右の後輪11a,11bに伝達される。
【0025】
(駆動力伝達装置)
駆動力伝達装置7は湿式多板式の電磁クラッチ機構を備え、同電磁クラッチ機構は電磁コイル7a(図2参照)と互いに接離可能な複数のクラッチ板とを有している。そして、後述する駆動力配分制御装置21(駆動力配分用の電子制御装置)からの制御信号(指令値)に基づいて電磁コイル7aに供給される電流値に応じて各クラッチ板は互いに摩擦係合し、前輪5a,5bと後輪11a,11bとの間においてトルク(駆動力)の伝達が行われる。
【0026】
後輪11a,11b側へ伝達されるエンジン2の駆動力は各クラッチ板の摩擦係合力により決まり、この摩擦係合力は電磁コイル7aに供給する電流値により決まる。このため、電磁コイル7aへの電流供給量を制御することにより前輪5a,5bと後輪11a,11bとの間の伝達トルク、即ち前輪5a,5bと後輪11a,11bとの間の拘束力を任意に調整可能となる。電磁コイル7aへの電流の供給、遮断及び電流供給量の調整は後述の駆動力配分制御装置21により制御される。
【0027】
(駆動力伝達制御回路の電気的構成)
次に、4輪駆動車1の駆動力配分制御装置21の電気的構成を図2に従って説明する。図2に示すように、駆動力配分制御装置21はCPU(中央演算処理装置)22、ROM(読出し専用メモリ)23、RAM(書込み読出し専用メモリ)24及び入出力回路25等を備えたマイクロコンピュータを中心として構成されている。
【0028】
(ROM23)
ROM23にはCPU22が実行する各種の制御プログラム、各種のデータ及び各種の特性マップ等が格納されている。各種の特性マップはそれぞれ車両モデルによる実験データ及び周知の理論計算等によって予め求められたものである。RAM24はROM23に書き込まれた各種の制御プログラムを展開してCPU22が各種の演算処理(例えば電磁コイル7aを通電制御するための演算処理)を実行したり、各種の演算処理結果を一時的に格納したりするためのデータ作業領域である。
【0029】
(各種のプログラム)
前記ROM23に格納された各種の制御プログラムには、基本制御プログラム及び駆動モード選択プログラム等がある。基本制御プログラムは、通常モード(2輪駆動傾向モード)及びスポーツモード(4輪駆動傾向モード)の2種類の駆動モードにおいて、電磁コイル7aへ供給する電流値をその時々の走行状態に応じて算出し、この算出した電流値で電磁コイル7aを入出力回路25を介して通電制御するプログラムである。モード選択プログラムは、所定の制御周期毎に各種センサからの検出値とそれらに対応した駆動モード判定閾値との比較結果に基づいて前記通常モードとスポーツモードとの間で駆動モードを移行するためのプログラムである。走行状態は、車速V、操舵角θ、操舵角速度Vθ、スロットル開度θh及びスロットル開速度Vθhをパラメータとした走行状態である。
【0030】
(各種のマップデータ)
また、ROM23に格納された各種のマップデータには通常モード用のトルク特性マップデータ及びスポーツモード用のトルク特性マップデータがあり、それぞれ車両モデルによる実験及び周知の理論計算等によって予め求められたものである。両トルク特性マップデータは、その時々の走行状態に対して最適な駆動力配分率(トルク配分率)とするためマップデータであり、各種センサからの検出値に応じた伝達トルク、即ち、目標摩擦係合力(指令値)を得るためのものである。CPU22は各種センサからの検出値に基づいて得られた伝達トルクに基づいて電磁コイル7aへ供給する電流のデューティ比を演算する。
【0031】
スポーツモード時における伝達トルク(換言すれば、電磁クラッチ機構の摩擦係合力)が通常モード時における伝達トルクよりも大きくなるように、通常モード用のトルク特性マップデータ及びスポーツモード用のトルク特性マップデータはそれぞれ設定されている。従って、スポーツモードで駆動力伝達装置7が制御された場合には、通常モードで駆動力伝達装置7が制御された場合に比べて、後輪11a,11b側への駆動力配分割合が多くなる。即ち、前輪5a,5b側への駆動力配分割合と後輪11a,11b側への駆動力配分割合とが近づく。
【0032】
(第1及び第2のスポーツ走行判定閾値マップM1,M2)
また、図3及び図4に示すように、ROM23に格納された各種のマップデータには、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1及び第2のスポーツ走行判定閾値マップM2がある。
【0033】
(第1のスポーツ走行判定閾値マップM1)
第1のスポーツ走行判定閾値マップM1は、車速V及び操舵角θをパラメータとした操舵角速度Vθ、即ち第1のスポーツ走行判定閾値T1s(操舵角速度判定閾値)の3次元マップである。第1のスポーツ走行判定閾値マップM1において、第1のスポーツ走行判定閾値T1sは車速Vが大きくなるほど小さな値となるように設定されている。これは、車速Vが小さいときには車両の走行安定性が損なわれる蓋然性は低く、車速Vが大きくなるにつれて車両の走行安定性が損なわれる蓋然性は高くなるからである。
【0034】
加えて、第1のスポーツ走行判定閾値T1sが最小の操舵角θを含む小操舵角領域A(図3参照)を除いてほぼ最小値となるように、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1は設定されている。換言すれば、所定の小操舵角領域Aにおける第1のスポーツ走行判定閾値T1sが当該小操舵角領域Aよりも大きい大操舵角領域Bにおける第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも大きくなるように、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1の特性は設定されている。
【0035】
CPU22は第1のスポーツ走行判定閾値マップM1を参照することにより得られたその時々の予め設定された第1のスポーツ走行判定閾値T1sと第1のスポーツ走行判定対象値T1(即ち、その時々の実際の操舵角速度Vθ)とを比較する。そして、この比較結果に基づいてCPU22は4輪駆動車1の駆動モードを通常モードにすべきかスポーツモードにすべきかを判断する。
【0036】
第1のスポーツ走行判定閾値T1sが小さいほど通常モードにすべき旨の判定がされにくく、第1のスポーツ走行判定閾値T1sが大きいほど通常モードにすべき旨の判定がされやすい。換言すれば、第1のスポーツ走行判定閾値T1sが小さいほどスポーツモードにすべき旨の判定がされやすく、第1のスポーツ走行判定閾値T1sが大きいほどスポーツモードにすべき旨の判定がされにくい。
【0037】
従って、操舵角θが所定の低操舵角領域よりも大きい場合、操舵角速度Vθにかかわらず、車速Vが大きくなるにつれてスポーツモードにすべき旨の判定がなされやすくなっている。車速Vが小さい場合には操舵角θにかかわらず、操舵角速度Vθが大きくなるにつれてスポーツモードにすべき旨の判定がなされやすくなっている。
【0038】
(第2のスポーツ走行判定閾値マップM2)
第2のスポーツ走行判定閾値マップM2は、車速V及びスロットル開度θhをパラメータとしたスロットル開速度Vθh、即ち第2のスポーツ走行判定対象値T2の3次元マップである。第2のスポーツ走行判定閾値マップM2において、第2のスポーツ走行判定閾値T2sは車速Vが大きくなるほど小さな値となるように設定されている。これは、車速Vが小さいときには車両の走行安定性が損なわれる蓋然性は低く、車速Vが大きくなるにつれて車両の走行安定性が損なわれる蓋然性は高くなるからである。加えて、スロットル開度θhが大きくなるほど第2のスポーツ走行判定閾値T2sが小さな値となるように、第2のスポーツ走行判定閾値マップM2は設定されている。
【0039】
CPU22は第2のスポーツ走行判定閾値マップM2を参照することにより得られたその時々の予め設定された第2のスポーツ走行判定閾値T2sと第2のスポーツ走行判定対象値T2(即ち、その時々の実際のスロットル開速度Vθh)とを比較する。そして、この比較結果に基づいてCPU22は4輪駆動車1の駆動モードを通常モードにすべきかスポーツモードにすべきかを判断する。
【0040】
第2のスポーツ走行判定閾値T2sが小さいほど通常モードにすべき旨の判定がされにくく、第2のスポーツ走行判定閾値T2sが大きいほど通常モードにすべき旨の判定がされやすい。換言すれば、第2のスポーツ走行判定閾値T2sが小さいほどスポーツモードにすべき旨の判定がされやすく、第2のスポーツ走行判定閾値T2sが大きいほどスポーツモードにすべき旨の判定がされにくい。
【0041】
従って、車速V及びスロットル開度θhがそれぞれ大きくなるほどスロットル開速度にかかわらず、スポーツモードにすべき旨の判定がされやすい。車速Vが小さいほど且つスロットル開度θhが小さいほど高いスロットル開速度Vθhでなければスポーツモードにすべき旨の判定はなされない。
【0042】
(CPU)
CPU22は、ROM23に記憶された各種プログラムにしたがって駆動力伝達装置7を駆動制御する。即ち、電磁コイル7aを通電制御するための各種演算処理を実行する。CPU22には、入出力回路25を介してスロットル開度センサ32、左側前輪用の車輪速センサ33a、右側前輪用の車輪速センサ33b、左側後輪用の車輪速センサ33c、右側後輪用の車輪速センサ33d、操舵角センサ34及び駆動回路35にそれぞれ接続されている。駆動回路35には駆動力伝達装置7の電磁コイル7aがさらに接続されている。
【0043】
(スロットル開度センサ)
スロットル開度センサ32はエンジン2のスロットルバルブ(図示略)に接続されており、このスロットルバルブの開度(スロットル開度θh)、即ち運転者のアクセルペダル(図示略)の踏込操作量を検出する。スロットル開度センサ32は検出結果(踏込操作量信号)を駆動力配分制御装置21へ送る。
【0044】
(車輪速センサ)
各車輪速センサ33a,33b,33c,33dは左右の前輪5a,5b及び左右の後輪11a,11bにそれぞれ設けられている。この合計4つの車輪速センサ33a,33b,33c,33dは前輪5a,5b及び後輪11a,11bの車輪速(車輪の単位時間当たりの回転数、即ち回転速度)を各別に検出し、これらの検出結果(車輪速信号)を駆動力配分制御装置21へ送る。
【0045】
(操舵角センサ)
操舵角センサ34はハンドル軸( 図示略) に設けられており、ステアリングホイール(ハンドル)の回転角(即ち、操舵角)を検出する。操舵角センサ34は検出結果(操舵角信号)を駆動力配分制御装置21へ送る。
【0046】
(CPUの機能)
CPU22は、スロットル開度センサ32、各車輪速センサ33a,33b,33c,33d及び操舵角センサ34から得られる各種の情報(検出信号)に基づいて駆動力配分制御プログラム等の各種の制御プログラムを実行し、電磁コイル7aへ供給する電流の量(指令電流値)を演算する。そして、CPU22は演算した電流指令値を電磁コイル7aに供給するためのディーティ比制御信号を駆動回路35へ出力する。駆動回路35は前記デューティ比制御信号に基づいて駆動し、これにより前記電流指令値に応じた電流が電磁コイル7aへ供給される。
【0047】
即ち、CPU22は電磁コイル7aへ供給する電流の量を制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御する。具体的には、駆動力配分制御装置21(CPU22)は電磁クラッチ機構における各クラッチ板の摩擦係合力を制御することによって通常モード(2輪駆動傾向モード)及びスポーツモード(4輪駆動傾向モード)のうちいずれか一方のモードを選択する。そして、4輪駆動状態において前輪5a,5bと後輪11a,11bとの間の駆動力配分率(トルク配分率)を制御する。駆動力配分制御装置21の制御指令により、前輪5a,5bと後輪11a,11bに伝達されるトルク配分率は、前輪:後輪=100〜50:0〜50の範囲内で可変可能とされている。
【0048】
本明細書において、通常モード(2輪駆動傾向モード)とは2輪駆動に近い駆動力配分の4輪駆動状態をいう。換言すれば、通常モードは、4輪駆動状態であり且つ後輪11a,11b側への駆動力伝達割合が後述のスポーツモードよりも小さい状態である。即ち、通常モードにおいては、両前輪5a,5b側への駆動力配分量が増大するように駆動力配分制御装置21は駆動力伝達装置7を制御する。例えば、通常モードにおいては、両前輪5a,5bと両後輪11a,11bとのトルク配分比は100:0〜70:0との間で可変制御可能とされる。
【0049】
また、本明細書において、スポーツモード(4輪駆動傾向モード)とは、直結4輪駆動(即ち、トルク配分率が前輪:後輪=50:50となる場合)に近い駆動力配分の4輪駆動状態をいう。換言すれば、スポーツモードは、4輪駆動状態であり且つ後輪11a,11b側への駆動力伝達割合が前記通常モード時よりも大きい状態である。即ち、スポーツモードにおいては、駆動力伝達装置7を介して伝達されるエンジン2(内燃機関)の駆動力配分量が、両前輪5a,5bと両後輪11a,11bとで等しい状態に近づくように、駆動力配分制御装置21は駆動力伝達装置7を制御する。例えば、スポーツモードにおいては、両前輪5a,5bと両後輪11a,11bとのトルク配分比は50:50〜60:40との間で可変制御可能とされる。
【0050】
(車速V)
CPU22は、各車輪速センサ33a,33b,33c,33dから入出力回路25を介して取り込んだ各車輪速信号に基づいて、左右の前輪5a,5bの車輪速Vfl,Vfr及び左右の後輪11a,11bの車輪速Vrl,Vrrをそれぞれ演算する。そして、CPU22は、算出した各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrに基づいて車速Vを演算する。
【0051】
(差動回転数)
CPU22は、左右の前輪5a,5bの車輪速Vfl,Vfrに基づいて前輪平均回転数Nfn(=(Vfl+Vfr)/2)を求めると共に、左右の後輪11a,11bの車輪速Vrl,Vrrに基づいて後輪平均回転数Nrn(=(Vrl+Vrr)/2)を求める。さらに、CPU22は前輪平均回転数Nfnと後輪平均回転数Nrnとから差動回転数ΔN(=|Nfn−Nrn|)を演算する。
【0052】
(操舵角及び操舵角速度)
CPU22は、操舵角センサ34からの検出信号に基づいてその時々の操舵角θ及び操舵角速度Vθをそれぞれ算出する。操舵角速度Vθは単位時間当りの操舵角θの変化量である。
【0053】
CPU22は、スロットル開度センサ32からの検出信号に基づいてその時々のスロットル開度θh(スロットルバルブの開度)及びスロットル開速度Vθhをそれぞれ算出する。スロットル開速度Vθhは単位時間当りのスロットル開度θhの変化量である。
【0054】
CPU22は、駆動回路35に同CPU22が算出した電流値を電磁コイル7aに給電するためのデューティ比制御信号を出力する。駆動回路35は、デューティ比制御信号に基づいて駆動し、CPU22が算出した電流値を電磁コイル7aに給電する。即ち、CPU22は前述した通常モード用及びスポーツモード用の2つのトルク特性マップを参照して、スロットル開度Th、差動回転数ΔN、車速V、操舵角θ及び操舵角速度Vθに応じて演算した電磁コイル7aへ供給する指令電流値をデューティ比として求める。CPU22は、算出したデューティ比に対するデューティ比制御信号を入出力回路25を介して駆動回路35に出力する。
【0055】
尚、本実施形態において、エンジン2は原動機を構成し、CPU22は選択手段、走行状態判定手段及び遅延時間設定手段をそれぞれ構成する。ROM23は記憶手段を構成し、スロットル開度センサ32は加速操作量検出手段を構成する。操舵角センサ34は操舵角検出手段を構成し、遅延タイマtmは計時手段を構成する。また、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1は操舵角速度判定閾値マップを構成し、第2のスポーツ走行判定閾値マップM2は加速操作速度判定閾値マップを構成する。第1のスポーツ走行判定対象値T1はその時々の実際の操舵角速度であり、第2のスポーツ走行判定対象値T2はその時々の実際の加速操作速度である。第1のスポーツ走行判定閾値T1sは操舵角速度判定閾値を構成し、第2のスポーツ走行判定閾値T2sは加速操作速度判定閾値を構成する。さらに、スロットル開度θhは加速操作量を構成し、スロットル開速度Vθhは加速操作速度を構成する。
【0056】
(駆動モード移行処理)
次に、4輪駆動車1の走行時における駆動力配分制御装置21(CPU22)の駆動モード移行処理を図5に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートはROM23に予め格納された各種の制御プログラムに基づいて実行される。尚、本実施形態では、駆動力配分制御装置21のステップを「S」と略記する。
【0057】
4輪駆動車1の走行状態において、CPU22は車輪速センサ33a〜33d、スロットル開度センサ32及び操舵角センサ34からの検出信号を取り込み、その時々の車速V、操舵角θ、操舵角速度Vθ、スロットル開度θh及びスロットル開速度Vθhをそれぞれ演算し、S102へ処理を移行する。これら演算された車速V、操舵角θ、操舵角速度Vθ、スロットル開度θh及びスロットル開速度VθhはそれぞれRAM24に一旦格納される。操舵角速度Vθは第1のスポーツ走行判定対象値T1としてスポーツ走行判定の対象となる。スロットル開速度Vθhも第2のスポーツ走行判定対象値T2としてスポーツ走行判定の対象となる。
【0058】
S102において、CPU22は図3に示す第1のスポーツ走行判定閾値マップM1を参照して、現在の走行状態(車速V及び操舵角θ)に応じた第1のスポーツ走行判定閾値T1sを選定する。また、CPU22は図4に示す第2のスポーツ走行判定閾値マップM2を参照して、現在の走行状態(車速V及びスロットル開度θh)に応じた第2のスポーツ走行判定閾値T2sを選定する。これら演算された第1のスポーツ走行判定閾値T1s及び第2のスポーツ走行判定閾値T2sはそれぞれRAM24に一旦格納される。
【0059】
次に、CPU22は第1のスポーツ走行判定対象値T1(その時々の実際の操舵角速度Vθ)が第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも大きいか否かを判断する(S103)。
【0060】
第1のスポーツ走行判定対象値T1が第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも大きいと判断した場合(S103でYES)、CPU22は現在の走行状態はスポーツ走行状態であると判断し、4輪駆動車1の駆動モードをスポーツモード(S104)とする。即ち、CPU22はスポーツモード用のトルク特性マップデータを適用して駆動力配分制御を実行する。この結果、路面と前輪5a,5b及び後輪11a,11bとの間のトラクションが高められる。従って、前輪5a,5b及び後輪11a,11bにおけるスリップの発生が抑制され、4輪駆動車1の走行安定性が確保される。
【0061】
第1のスポーツ走行判定対象値T1が第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも大きくないと判断した場合(S103でNO)、CPU22はS105へ処理を移行する。
【0062】
S105において、CPU22は第2のスポーツ走行判定対象値T2(その時々の実際のスロットル開速度Vθh)が第2のスポーツ走行判定閾値T2sよりも大きいか否かを判断する。
【0063】
第2のスポーツ走行判定対象値T2が第2のスポーツ走行判定閾値T2sよりも大きいと判断した場合(S105でYES)、CPU22は現在の走行状態はスポーツ走行状態であると判断し、4輪駆動車1の駆動モードをスポーツモード(S104)とする。
【0064】
第2のスポーツ走行判定対象値T2が第2のスポーツ走行判定閾値T2sよりも大きくないと判断した場合(S105でNO)、CPU22は4輪駆動車1の駆動モードを通常モードとする(S106)。即ち、CPU22は現在の走行状態はスポーツ走行状態ではないと判断し、前記通常モード用のトルク特性マップデータを適用して駆動力配分制御を実行する。
【0065】
以後、CPU22はS101〜S106の処理を所定の制御周期毎に実行する。
尚、例えば山岳道路等のまがりくねった道でのスポーツ走行により、4輪駆動車1が加減速を繰り返すとき、又は4輪駆動車1がカーブを曲がったり直線を走ったりを繰り返すときには、CPU22はスポーツモードを優先させるように駆動力伝達装置7を制御する。即ち、図2に二点鎖線で示すように、CPU22は遅延タイマtmを備えており、当該CPU22はスポーツモードの状態で通常モードの判定をしたとき(S103及びS105でYESのとき)にだけ、所定の遅延時間Ltを設定する。
【0066】
遅延時間Ltが設定されたときには、遅延タイマtmにより遅延時間Ltが計時された後に、CPU22は駆動モードの切換えを行う。即ち、CPU22は遅延タイマtmが0から遅延時間Ltまで計時中であるときには4輪駆動傾向の駆動力配分を行うように前記駆動力伝達装置を優先制御する。換言すれば、遅延タイマtmが計時中であるときには、4輪駆動傾向モードは2輪駆動傾向モードに優先する。このため、CPU22における駆動力配分率の過度の可変制御が抑制され、頻繁に駆動力配分率が変更されること(いわゆる駆動モードの切り換わりハンチング)に起因する車両挙動の変化が抑制される。
【0067】
遅延タイマtmが計時中でないときには、CPU22はその時々の走行状態に応じて2輪駆動傾向モード及び4輪駆動傾向モードのうちいずれかの駆動モードを選択する。そして、この選択した駆動モードに応じた駆動力配分を行うように、CPU22は駆動力伝達装置7の駆動力伝達割合を可変制御する。また、通常モードが選択された状態でスポーツモードの判定をしたときにはCPU22は遅延時間Ltを設定することはない。このため、通常モードの状態でスポーツモードの判定をしたとき、CPU22は即時に駆動モードを通常モードからスポーツモードへ切換える。即ち、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態を検知したときには、車両の駆動モードが前もって2輪駆動傾向モードから4輪駆動傾向モードへ移行される。このため、走行状態に応じた駆動力の配分が適切に行われ、車両の走行安定性が確保される。
【0068】
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)駆動力配分制御装置21には、車速Vと操舵角θとをパラメータとした操舵角速度Vθの3次元マップである第1のスポーツ走行判定閾値マップM1を予め格納したROM23を備えた。駆動力配分制御装置21(厳密には、CPU22)は、ROM23に格納された第1のスポーツ走行判定閾値マップM1に基づいてその時々の第1のスポーツ走行判定閾値T1sを求め、当該第1のスポーツ走行判定閾値T1sと実際の操舵角速度Vθとを比較するようにした。そして、駆動力配分制御装置21は、実際の操舵角速度Vθが第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも小さいときには2輪駆動傾向モードと判定し、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードと判定するようにした。また、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1は、車速Vが大きくなるにつれて第1のスポーツ走行判定閾値T1sが小さくなるように、その特性を設定するようにした。さらに、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1は、所定の小操舵角領域Aにおける第1のスポーツ走行判定閾値T1sが当該小操舵角領域Aよりも大きい大操舵角領域Bにおける第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも大きくなるように、その特性を設定するようにした。
【0069】
このため、例えばワインディングロードを走行する際、急カーブを走行する際及びレーンチェンジの際のように、車速V及び操舵角速度Vθ(ハンドルの切り込み速度)がそれぞれ大きくて車両の走行安定性が損なわれる蓋然性が高い走行状態を的確に捉えて4輪駆動傾向モードが確実に選択される。従って、前輪側及び後輪側への駆動力の配分がそれぞれ車両の走行状態に応じて適切に行われ、車両の走行安定性が向上する。また、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1において、所定の小操舵角領域Aの第1のスポーツ走行判定閾値T1sは同じく大操舵角領域Bの第1のスポーツ走行判定閾値T1sよりも大きくなる。このため、走行状態としては頻度の高い、直進走行に近い走行状態では、燃費悪化・トランスファの温度上昇の抑制に重点をおいた2輪駆動傾向モードが確実に選択される。このように、操舵に関する車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態では車両の駆動モードを前もって4輪駆動傾向モードにすると共に、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性が低い直進走行に近い走行状態では車両の駆動モードを2輪駆動傾向モードにするようにした。このため、車両の走行安定性の向上及び燃費悪化・トランスファの温度上昇の防止の双方を考慮したバランスのとれた駆動力配分を行うことができる。
【0070】
(2)ROM23には、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1に加えて、車速Vとスロットル開度θhとをパラメータとしたスロットル開速度Vθhの3次元マップである第2のスポーツ走行判定閾値マップM2をさらに格納した。駆動力配分制御装置21は、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1に基づく駆動モードの判定後、ROM23に格納された第2のスポーツ走行判定閾値マップM2に基づいてその時々の第2のスポーツ走行判定閾値T2sを求めるようにした。そして、駆動力配分制御装置21は、実際のスロットル開速度Vθhが第2のスポーツ走行判定閾値T2sよりも小さいときには2輪駆動傾向モードと判定し、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードと判定するようにした。
【0071】
即ち、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1に加えて、第2のスポーツ走行判定閾値マップM2に基づいて車両の走行状態を判定するようにした。このため、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1と第2のスポーツ走行判定閾値マップM2とが相互に補完しあい、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態をいっそう的確に捉えることが可能となる。
【0072】
例えば、緩やかなカーブで急加速する場合等のように、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1では判定が困難である走行状態でも第2のスポーツ走行判定閾値マップM2によれば判定可能な場合がある。逆に、加速は緩やかであるもののハンドルの切り込み速度が速い場合等のように、第2のスポーツ走行判定閾値マップM2では判定が困難である走行状態でも第1のスポーツ走行判定閾値マップM1によれば判定可能な場合もある。
【0073】
従って、第1及び第2のスポーツ走行判定閾値マップM1,M2の2種類のマップを使用することにより、スポーツ判定の精度が向上し、きめ細かく且つ正確にスポーツ走行を判定することができる。さらに、例えば運転者の運転状態を演算により求めるようにした場合(例えば、横加速度、操舵角速度、アクセル開度及びアクセル開閉速度にそれぞれ所定の係数を掛け、各演算結果に基づいてスポーツ走行度合いを算出するようにした場合)に比べて、迅速にスポーツ判定を行うことができる。演算が複雑になることもないので、CPU22の演算負担を軽減することもできる。
【0074】
(3)駆動力配分制御装置21(厳密には、CPU22)は、4輪駆動傾向モードの状態において2輪駆動傾向モードの判定をしたときにだけ所定の遅延時間Ltを設定するようにした。この場合、遅延タイマtmにより遅延時間Ltが計時された後に駆動モードの切換えを行うようにした。また、駆動力配分制御装置21は、2輪駆動傾向モードの状態で4輪駆動傾向モードの判定をしたときには遅延時間Ltを設定しないようにした。この場合、即時に駆動モードの切換えを行うようにした。
【0075】
即ち、4輪駆動傾向モードが選択された状態で2輪駆動傾向モードの判定がなされたときには前記遅延時間の経過後に4輪駆動傾向モードから2輪駆動傾向モードへの切換えが行われる。一方、2輪駆動傾向モードが選択された状態で4輪駆動傾向モードの判定がなされたときには即座に2輪駆動傾向モードから4輪駆動傾向モードへの切換えが行われる。
【0076】
このように、2輪駆動傾向モードから4輪駆動傾向モードへ迅速に切換えられるので、車両の走行安定性が損なわれる蓋然性の高い走行状態が判定された場合には、素早く4輪駆動傾向の駆動力配分にすることができる。また、4輪駆動傾向モードが選択された状態における2輪駆動傾向モードの判定は、駆動力配分制御装置21によって遅延時間Ltが設定されることにより鈍感にされているので、駆動モードの切り換わりハンチング現象(即ち、4輪駆動傾向モードと2輪駆動傾向モードとを繰り返す現象)が抑制される。
【0077】
換言すれば、4輪駆動車1が加減速を繰り返すとき、又はワインディングロード等において4輪駆動車1がカーブを曲がったり直線を走ったりすることを繰り返すとき、駆動力配分制御装置21は4輪駆動傾向モードを2輪駆動傾向モードに優先して選択する。このため、駆動力配分制御装置21(CPU22)における駆動力配分率の過度の可変制御が抑制され、頻繁に駆動力配分率が変更されることに起因する車両挙動の変化も抑制できる。また、車両挙動の変化が抑制されることにより、乗り心地も改善される。
【0078】
ちなみに、4輪駆動傾向モードが少々の時間継続されたとしても車両の走行安定性に奇与しているので、何ら支障はない。従って、モードの切り換わりハンチング現象を抑制した上で、車両の走行安定性を損なう蓋然性の高い走行状態であると判定されたときには、素早く4輪駆動傾向の駆動力配分にすることができ、車両の走行安定性を向上させることができる。
【0079】
(4)CPU22はスロットル開度センサ32により検出されたスロットル開度θhに基づいてスロットル開速度Vθhを演算し、この算出したスロットル開速度Vθhを加味して通常モード(2輪駆動傾向モード)及びスポーツモード(4輪駆動傾向モード)のうちいずれかの駆動状態を選択するようにした。また、CPU22は操舵角センサ34により検出された操舵角θに基づいて操舵角速度Vθを演算し、この算出した操舵角速度Vθをさらに加味して駆動モードを選択するようにした。そして、CPU22は選択した駆動モードに応じて駆動力伝達装置7の駆動力伝達割合を可変制御するようにした。
【0080】
このため、4輪駆動車1の走行状態、即ち例えばスロットル開速度Vθhに基づく運転者の加速意欲の強弱及び操舵角速度Vθに基づくステアリングホイール(ハンドル)の切り込み速度に応じて適切に駆動力伝達装置7の駆動力伝達割合を制御可能となる。従って、走行状態に応じて通常モードからスポーツモードへの駆動モードの移行及びスポーツモードから通常モードへの駆動モードの移行をそれぞれ適正に実施することができる。ひいては、走行状態に応じた駆動力の配分を適切に行うことができる。例えば運転者がスポーティできびきびした運転状態(いわゆるスポーツ走行)を好んで車両を運転している場合、このスポーツ走行が精度よく検出されてスポーツモードに移行される。このため、スポーツ走行を好む運転者の運転に対する満足感が得られる。スポーツ車としての走りが楽しめる。
【0081】
(5)CPU22は、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1及び第2のスポーツ走行判定閾値マップM2に基づいてその時々の予め設定された第1及び第2のスポーツ走行判定閾値T1s,T2sをそれぞれ求めるようにした。そして、CPU22は第1及び第2のスポーツ走行判定閾値T1s,T2sとその時々の第1及び第2のスポーツ走行判定対象値T1,T2(実際の操舵角速度Vθ及びスロットル開速度Vθh)とをそれぞれ比較し、この比較結果に基づいてその時々の駆動モードを選択するようにした。第1のスポーツ走行判定閾値マップM1は車速V及び操舵角θをパラメータとした操舵角速度Vθの三次元マップであり、第2のスポーツ走行判定閾値マップM2は車速V及びスロットル開度θhをパラメータとしたスロットル開速度Vθhのた三次元マップである。このため、スロットル開速度Vθhに基づく運転者の加速意欲及び操舵角速度Vθに基づくステアリングホイールの切り込み速度等のその時々の走行状態をより正確に把握することができる。従って、前輪5a,5b側及び後輪11a,11b側において、より的確な駆動力配分が可能となる。
【0082】
(6)CPU22は、第1のスポーツ走行判定閾値マップM1及び第2のスポーツ走行判定閾値マップM2に基づいて、その時々の走行状態がスポーツ走行が否かの判定を行うようにした。このため、CPU22は複雑な演算をすることなくスポーツ走行か否かの判定(スポーツ判定)を簡単にすることができる。マップを参照するだけなので、瞬時にスポーツ走行か否かの判定が可能となり、通常モードとスポーツモードとの間の移行を迅速に行うことができる。従って、運転者がスポーティできびきびした運転状態を好んで4輪駆動車1を運転している場合にも対応できる。
【0083】
ちなみに、例えば横加速度、操舵角速度、スロットル開度及びスロットル開速度等の各種パラメータにそれぞれ所定の係数を乗算し、この演算結果に基づいてスポーツ判定するようにした場合には、CPU22での演算量が増大する。これに伴ってCPU22の処理負担も増大し、ひいてはスポーツ判定処理が遅延するおそれがある。本実施形態では、スポーツ判定の基準となる閾値のデータを実験等により求め、予めROM23に格納している。このため、スポーツ判定処理を迅速に実行することができる。
【0084】
(別例)
尚、前記実施形態は以下のような別例に変更して実施してもよい。
・本実施形態では、前輪駆動(FF)ベースの4輪駆動車1に駆動力配分制御装置21を搭載するようにしたが、後輪駆動ベース(FR)ベースの4輪駆動車に駆動力配分制御装置21を搭載するようにしてもよい。このようにしても、本実施形態の(1)〜(6)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0085】
・本実施形態では、オンデマンド方式(トルクスプリット方式)の4輪駆動車1において、駆動力配分制御装置21の制御に応じて前輪5a,5bと後輪11a,11bとの駆動力配分量を変更するようにしたが、センタディファレンシャルのLSD(スリップ制限差動装置)に適用するようにしてもよい。即ち、この4輪駆動車1には、センタディファレンシャル(センタデフ)に電子制御多板クラッチを備える。そして、駆動力配分制御装置21の制御に応じて駆動力配分量をセンタディファレンシャルによって決まる所定の比から、多板クラッチが完全に摩擦係合した前輪:後輪が50:50までの間で任意に設定可能とする。
【0086】
・駆動力伝達装置7としては、油圧式多板クラッチ及び電気モータを利用した等を使用するようにしてもよい。
・駆動力配分制御装置21は、スロットル開度θh、各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrr及び操舵角θ等の各種センサ信号を4輪駆動車1(車両)の多重通信ネットワーク(CAN;Controller Area Network;いわゆる自動車内LAN)により入手するようにしてもよい。
【0087】
・図5に示すフローチャートにおいて、S105の判定を行ってからS103の判定を行うようにしてもよい。
・本実施形態では、運転者の加速意欲を示す加速操作量としてスロットル開度θhを採用したが、アクセル開度を採用するようにしてもよい。
【0088】
・車速Vを、スリップの少ない従動輪である左右の後輪11a,11bにおける車輪速度の平均値を算出することにより得るようにしてもよい。
・ 本実施形態では、操舵角速度Vθ及びスロットル開速度Vθhの双方を加味して駆動状態を選択するようにしたが、スロットル開速度Vθhに基づいてのみ駆動状態を選択するようにしてもよい。即ち、図5に示すフローチャートにおけるS104の処理を省略するようにしてもよい。このようにしても、S105の処理、即ち操舵角速度Vθに基づく運転者の加速意欲の強弱に応じて適切に駆動力伝達装置7の駆動力伝達割合を制御可能となる。
【0089】
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)原動機の駆動力を駆動力伝達装置を介して前輪側及び後輪側に伝達し、走行状態に応じて前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより前輪側と後輪側との駆動力配分率を可変制御するようにした4輪駆動車の駆動力配分方法において、加速操作量に基づいて加速操作速度を演算し、この算出した加速操作速度を加味して2輪駆動傾向モード及び4輪駆動傾向モードのうちいずれかの駆動モードを選択し、この選択された駆動モードに応じて前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御するようにした4輪駆動車の駆動力配分方法。
【0090】
(ロ)ステアリングホイールの操舵角に基づいて操舵角速度を演算し、この算出した操舵角速度をさらに加味して駆動モードを選択するようにした前記(イ)項に記載の4輪駆動車の駆動力配分方法。
【0091】
(ハ)原動機の駆動力を駆動力伝達装置を介して前輪側及び後輪側に伝達し、走行状態に応じて前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより前輪側と後輪側との駆動力配分率を可変制御するようにした4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、車速及び操舵角θをパラメータとした操舵角速度Vθの3次元マップである第1のスポーツ走行判定閾値マップを予め格納した記憶手段と、前記記憶手段に格納された第1のスポーツ走行判定閾値マップに基づいて求められたその時々の第1のスポーツ走行判定閾値とその時々の実際の操舵角速度とをそれぞれ比較する選択手段とを備え、前記選択手段の比較結果に基づいてその時々の走行状態を判断し、スポーツ走行状態であると判断した場合には燃費重視の2輪駆動傾向モードからスポーツ走行に適した4輪駆動傾向モードへ駆動モードを移行するようにした4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
【0092】
(ニ)前記記憶手段には、車速及び加速操作量をパラメータとした加速操作速度の3次元マップである第2のスポーツ走行判定閾値マップM2をさらに格納し、前記第1のスポーツ走行判定閾値マップに基づく走行状態の判定に先立って又は当該判定後において、前記選択手段は前記記憶手段に格納された第2のスポーツ走行判定閾値マップに基づいて求められたその時々の第2のスポーツ走行判定閾値とその時々の実際の加速操作速度とをそれぞれ比較するようにし、前記選択手段の比較結果に基づいてその時々の走行状態を判断するようにした前記(ハ)項に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
【0093】
(ホ)前記加速操作速度判定閾値マップは、車速及び加速操作量がそれぞれ大きくなるほど加速操作速度判定閾値が小さくなるように、その特性を設定するようにした請求項2又は請求項3に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
【0094】
【発明の効果】
請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明によれば、走行状態に応じた駆動力の配分を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態における4輪駆動車の概略構成図。
【図2】 本実施形態における駆動力配分制御装置の電気的構成を示す回路図。
【図3】 本実施形態における第1のスポーツ走行判定閾値マップ。
【図4】 本実施形態における第2のスポーツ走行判定閾値マップ。
【図5】 本実施形態における走行時における駆動状態切換え制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…4輪駆動車(車両)、2…エンジン(原動機)、5a,5b…前輪、
7…駆動力伝達装置、11a,11b…後輪、21…駆動力配分制御装置、
22…CPU(選択手段、走行状態判定手段及び遅延時間設定手段)、
23…ROM(記憶手段)、
32…スロットル開度センサ(加速操作量検出手段)、
34…操舵角センサ(操舵角検出手段)、Lt…遅延時間、
A…第1のスポーツ走行判定閾値マップにおける小操舵角領域、
B…第1のスポーツ走行判定閾値マップにおける大操舵角領域、
M1…第1の駆動状態判定閾値マップ(操舵角速度判定閾値マップ)、
M2…第2の駆動状態判定閾値マップ(加速操作速度判定閾値マップ)、
T1…第1のスポーツ走行判定対象値(その時々の実際の操舵角速度)、
T2…第2のスポーツ走行判定対象値(その時々の実際の加速操作速度)、
T1s…第1のスポーツ走行判定閾値(操舵角速度判定閾値)、
T2s…第2のスポーツ走行判定閾値(加速操作速度判定閾値)、
tm…遅延タイマ(計時手段)、V…車速、θ…操舵角、Vθ…操舵角速度、
θh…スロットル開度(加速操作量)、
Vθh…スロットル開速度(加速操作速度)。

Claims (3)

  1. 原動機の駆動力を駆動力伝達装置を介して前輪側及び後輪側に伝達し、その時々の走行状態に応じて2輪駆動傾向モード及び4輪駆動傾向モードのうちいずれかの駆動モードを選択し、この選択した駆動モードに応じた駆動力配分を行うように前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分率を可変制御するようにした4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    車速と操舵角とをパラメータとした操舵角速度の3次元マップである操舵角速度判定閾値マップを予め格納した記憶手段と、
    前記記憶手段に格納された操舵角速度判定閾値マップに基づいてその時々の操舵角速度判定閾値を求め、実際の操舵角速度が前記操舵角速度判定閾値よりも小さいときには2輪駆動傾向モードを選択し、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードを選択する走行状態判定手段とを備え、
    前記操舵角速度判定閾値マップは、車速が大きくなるにつれて操舵角速度判定閾値が小さくなるように、且つ所定の小操舵角領域における操舵角速度判定閾値が当該小操舵角領域よりも大きい操舵角領域における操舵角速度判定閾値よりも大きくなるように、その特性を設定した4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 前記記憶手段には、車速と加速操作量とをパラメータとした加速操作速度の3次元マップである加速操作速度判定閾値マップをさらに格納し、
    前記操舵角速度判定閾値マップに基づく駆動モードの選択に先立って又は当該判定後において、前記走行状態判定手段は、前記記憶手段に格納された加速操作速度判定閾値マップに基づいてその時々の加速操作速度判定閾値を求め、実際の加速操作速度が前記加速操作速度判定閾値よりも小さいときには2輪駆動傾向モードを選択し、同じく大きいときには4輪駆動傾向モードを選択するようにした請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 4輪駆動傾向モードが選択された状態で前記走行状態判定手段により2輪駆動傾向モードの選択がなされたときにだけ所定の遅延時間を設定する一方、2輪駆動傾向モードが選択された状態で前記走行状態判定手段により4輪駆動傾向モードの選択がなされたときには前記遅延時間を設定しないようにした遅延時間設定手段と、
    前記遅延時間設定手段により設定された所定の遅延時間を計時する計時手段とを備え、
    前記遅延時間設定手段により遅延時間が設定されたときには、前記計時手段により前記遅延時間が計時された後に駆動モードの切換えを行い、同じく前記遅延時間が設定されないときには即時に駆動モードの切換えを行うようにした請求項1又は請求項2に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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