JP4317609B2 - 集合型密閉二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単電池を複数個直列配置して一体電槽としてなる集合型密閉二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の集合型密閉二次電池としては、特開平7−85847号公報に開示されたものが知られている。その集合型密閉二次電池61は、図7に示すように、有底矩形筒形状に形成された電槽63内に発電要素を収容し、電槽63の開口部を蓋体64により封止してなる単電池62を複数個直列配置し、これら単電池62の電槽63を端板65及び拘束バンド66にて緊締状態で連結し、また各単電池62の正極端子67及び負極端子68を蓋体64を貫通させて上方に突出させ、これら端子67、68を電気接続バー69で順次直列に接続した構造となっている。
【0003】
また、特開平6−215804号公報には、図8に示すように、プラスチック製の電槽71と蓋体72を熱溶着したモノブロック蓄電池において、その電槽71の2つの対向する側壁の外面にそれぞれ内側に凹入空間を形成した側板73を熱溶着して電槽71の側壁と側板73との間に冷却ジャケット部74を構成し、蓋体72の一端部両側に冷却ジャケット部74に対して冷却媒体を供給する入口オリフィス75を、他端部両側に冷却媒体を排出する出口オリフィス(図示せず)を突出させたものが開示されている。76は、蓋体72のオリフィス75と冷却ジャケット部74内とを連通するように側板73の両端部の上部に膨出された接続樋部である。また、側板73の両端部の上部に入口オリフィスと出口オリフィスを設けたものも開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−85847号公報の集合型密閉二次電池では、各単電池が密接配置されて緊締されているので、周囲温度が高い場合や大電流で充放電した場合に各単電池からの放熱が十分に行われず、電池温度が上昇して電池寿命が低下するという問題がある。
【0005】
これに対して、特開平6−215804号公報の蓄電池では、電槽71の両側面が水冷ジャケット部74で冷却されるために温度上昇を抑制でき、上記集合型密閉二次電池に適用することにより効果が期待できるが、その水冷ジャケット部74に対して冷却媒体を供給・排出するための入口オリフィス75や出口オリフィスが蓋体72上に突出しているために、不測に何らかの障害物等が当たって破損し、冷却媒体が漏れ出して冷却不能になる恐れがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、冷却媒体通路に対して冷却媒体を供給・排出するオリフィスの破損の恐れがなく、冷却媒体の漏れにより冷却不能になる恐れのない集合型密閉二次電池を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の集合型密閉二次電池は、有底矩形筒形状の電槽内に発電要素を収容して成る単電池を複数個直列配置し、各単電池を相互に一体接合するとともにその開口部を一体型の蓋体にて封止した集合型密閉二次電池において、単電池の配置方向に対してその両側に冷却媒体通路を配設するとともに、冷却媒体通路に対して冷却媒体を供給・排出する入口オリフィスと出口オリフィスを蓋体に形成した凹部内に蓋体の外形外に突出しないように配設したものであり、オリフィスが蓋体外形より突出しないので、不測に傷害物に当たって破損する恐れが殆どなく、冷却媒体の漏れにより冷却不能になる恐れを無くすことができる。
【0008】
また、入口オリフィス及び出口オリフィスの接続口を水平方向に配設すると、複数の二次電池を並列配置する場合にオリフィス間を接続する接続管も水平に配管できて蓋体上に突出せず、配管作業が容易でかつ配管がコンパクトに納まるとともに損傷の恐れもない。
【0009】
また、入口オリフィス及び出口オリフィスを、短辺部の先端から長辺部の先端より突出しないように接続口を突設された平面形状略J字状で下面開放のJ字ボックス片にて構成し、このJ字ボックス片を蓋体の凹部底面に接合するとともに、凹部底面の長辺部の先端に対応する位置に冷却媒体通路に対する連通開口を形成すると、このJ字ボックス片を凹部の底面に接合することによってJ字ボックス片の長辺部にて接続口が保護されたオリフィスを蓋体に配設でき、しかも冷却媒体通路に対する連通開口が長辺部の先端に位置しているので、接続口と連通開口をともに二次電池の両端部に位置させることができて二次電池全体をコンパクトに構成することができる。
【0010】
また、蓋体の一側に凹部を形成し、J字ボックス片をその長辺部が外側に短辺部が内側に位置するように配設すると、二次電池の一側にこのJ字ボックス片を配置しても接続口が長辺部で保護され、また蓋体の他側に電極端子を配設し、中央部に単電池の安全弁を配置することができ、二次電池を全体としてコンパクトに構成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の集合型密閉二次電池の一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0012】
本実施形態の集合型密閉二次電池1は、電気自動車用の駆動電源として好適に用いることができるニッケル・水素二次電池であり、図1〜図3に示すように、単電池2を複数個直列配置して相互に接合して一体電槽とし、単電池列の両端に端板6を接合し、単電池2及び端板6の配列方向に対してその両側に内側に扁平な空間を凹入形成した板状の冷却ジャケット部材3を接合し、その上に単一体の蓋体5を接合して各単電池2及び端板6を密閉し、端板6、6間を拘束バンド7にて緊締して構成されている。8は一端と他端の単電池2から上方に突出された正極端子や負極端子が貫通するように蓋体5に形成された端子装着穴、9は各単電池2に対応して蓋体5に貫通形成された安全弁装着穴である。10、11は冷却媒体の入口オリフィスと出口オリフィスであり、蓋体5の両端部に一体的に装着される。上記単電池2、冷却ジャケット部材3、蓋体5、端板6、入口オリフィス10、出口オリフィス11等は、PP/PPEアロイなどの合成樹脂にて構成され、溶着によって相互に一体接合されている。また、隣接する単電池2、2は、図2、図3に示すように、接続体12にて電気的に接続されている。
【0013】
以下、詳細に説明すると、単電池2は、図2、図3に示すように、有底矩形筒形状の電槽14内に発電要素15を収容して成り、各単電池2を直列に配列した状態で互いに対向する電槽14の対向壁面16に、相互に当接する多数の突部17がマトリックス状に突設され、これら突部17にて両対向壁面16、16間に形成された空間にて電槽14、14間の冷却媒体通路18が構成されている。なお、単電池列の両端の単電池2の外側の対向壁面16には端板6が当てられて接合され、その端板6と対向壁面16との間にも冷却媒体通路18が形成されている。また、適当箇所の複数(図示例では4箇所)の突部17は大径に形成され、その端面に互いに嵌入係合する係合突起19aと係合凹部19bが形成されて電槽14相互の位置決めがなされている。また、電槽14の上端から適当距離下方位置と下端縁部には互いに当接する接合縁部20が突設されている。そして、単電池2を直列に配列した状態で互いに当接している突部17及び接合縁部20を相互に溶着することによって各単電池2が一体電槽として一体接合されている。
【0014】
この単電池2の配列方向に対してその両側における単電池2と冷却ジャケット部材3の内側面との間に形成された空間にて冷却媒体通路18に連通する両側の冷却媒体通路21が構成されている。また、上記端板6の上縁には両側の冷却媒体通路21に連通して冷却媒体(水)を分配する分配ヘッダ形成樋22が形成されている。
【0015】
一体電槽とされた各単電池2の電槽14における上方の接合縁部20より上部の上部枠26には、図2、図3及び図4に示すように、隣接する単電池2を電気的に接続する接続体12を配置する略三角形状の切欠13が千鳥状に形成されており、接続体12は切欠13に配置された状態で電槽14及び蓋体5に密封状態で一体接合されている。
【0016】
接続体12は、図2、図3及び図5に示すように、金属(ニッケル等)製の接続軸27と合成樹脂製の支持体28にて構成され、接続軸27が支持体28の保持筒部29に圧入状態で貫通されるとともに、接続軸27の鍔部27aと保持筒部29内周との間に介装したOリング31にて完全に密封されている。また、支持体28には保持筒部29から一対の三角形状の翼部30が突設され、この接続体12を切欠13に配置したときそれぞれ上部枠26に接合されるように構成されている。
【0017】
蓋体5は、図2、図3及び図6に示すように、内面に各電槽14の上部枠26に対応するように個別枠32が形成されるとともに、外周部に断面倒立L字状に外周枠33が垂下され、長手方向両端部には分配ヘッダ形成樋22の上端に接合されて分配ヘッダ35を密閉形成する密封突条34が突設されている。
【0018】
蓋体5の両端部の一側部に形成された凹部40の底面には端子装着穴8が形成されている。また、蓋体5の両端部の他側部に形成された凹部41の底面には入口オリフィス10と出口オリフィス11を接合する接合突条36が突設され、これらオリフィス10、11は凹部41内に蓋体5の外形外に突出しないように配設されている。また、これらオリフィス10、11は、平面形状が略J字状で下面開放のJ字ボックス片37の短辺部の先端から接続口38を突出させて構成されている。蓋体5のJ字ボックス片37の長辺部の先端部に対向する部分に分配ヘッダ35に連通する連通開口39が形成されている。
【0019】
以上の構成の集合型密閉二次電池1においては、入口オリフィス10から冷却媒体を供給すると、分配ヘッダ35を通って両側の冷却媒体通路21に流入し、この冷却媒体通路21内を下流側に向かって流れるとともに、単電池2間の冷却媒体通路18を通って両側の冷却媒体通路21、21間でも流通し、単電池2の電槽14の対向壁面16を含めてすべての側面が冷却媒体にて強制冷却され、冷却媒体はその後出口オリフィス11から排出される。したがって、すべての単電池2の四周側面が冷却媒体にて効果的に冷却される。
【0020】
また、各単電池2を溶着して相互に一体接合して一体電槽とするとともにその開口部に一体型の蓋体5を溶着して封止しているので、少ない部品数と組立工数にて一体電槽とした集合型密閉二次電池1を得ることができ、また各単電池2の電槽14の対向壁面16に突部17を形成して突部17を当接させて相互に溶着しているので簡単かつ安価に対向壁面16、16間の略全面にわたる冷却媒体通路18を形成することができる。
【0021】
また、単電池列の両側にコンパクトな板状の冷却ジャケット部材3を接合して冷却媒体通路21を構成しているので軽量に構成することができる。
【0022】
また、冷却媒体通路21に対して冷却媒体を供給、排出する冷却媒体の入口オリフィス10と出口オリフィス11を単電池配置方向の両端に配設するとともに分配ヘッダ35を介して両側の冷却媒体通路21に接続しているので、単一の冷却媒体経路にて上記構成と相まってすべての単電池2の全周を効果的に冷却することができる。
【0023】
そして、入口オリフィス10と出口オリフィス11が蓋体5の外形外に突出しないように凹部41内に配設されているので、不測に傷害物に当たって破損する恐れが殆どなく、冷却媒体の漏れにより冷却不能になる恐れを無くすことができる。また、入口オリフィス10及び出口オリフィス11の接続口38が水平方向に配設されているので、複数の二次電池を並列配置する場合にオリフィス10、11間を接続する接続管も水平に配管できて蓋体5上に突出せず、配管作業が容易でかつ配管がコンパクトに納まるとともに損傷の恐れもない。
【0024】
さらに、本実施形態ではオリフィス10、11を配設する凹部41を蓋体5の両端部における中央ではなく側部に形成しているが、J字ボックス片37の長辺部が外側に短辺部が内側に位置するように配設しているので、そのJ字ボックス片37の長辺部にて接続口38が保護され、損傷の恐れはない。
【0025】
また、オリフィス10、11において、J字ボックス片37の短辺部の先端から接続口38を突出させ、長辺部の先端部に冷却媒体通路に対する連通開口39が配設させているので、接続口38と連通開口39をともに二次電池1の両端部に位置させることができ、二次電池全体をコンパクトに構成することができ、かつ蓋体5の両端部において、その一側に形成した凹部40に電極端子を配設し、蓋体5の他側に形成した凹部41にオリフィス10、11を配設し、中央部に単電池の安全弁を配置しているので、二次電池を全体として一層コンパクトに構成できる。
【0026】
なお、上記実施形態では各構成部材を溶着によって一体接合する例を示したが、接着材にて一体接合してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の集合型密閉二次電池によれば、以上の説明から明らかなように、単電池の配置方向に対してその両側に冷却媒体通路を配設するとともに、冷却媒体通路に対して冷却媒体を供給・排出する入口オリフィスと出口オリフィスを蓋体に形成した凹部内に蓋体の外形外に突出しないように配設したので、オリフィスが蓋体外形より突出せず、不測に傷害物に当たって破損する恐れが殆どなく、冷却媒体の漏れにより冷却不能になる恐れを無くすことができる。
【0028】
また、入口オリフィス及び出口オリフィスの接続口を水平方向に配設すると、複数の二次電池を並列配置する場合にオリフィス間を接続する接続管も水平に配管できて蓋体上に突出せず、配管作業が容易でかつ配管がコンパクトに納まるとともに損傷の恐れもない。
【0029】
また、入口オリフィス及び出口オリフィスが、短辺部の先端から長辺部の先端より突出しないように接続口を突設された平面形状略J字状で下面開放のJ字ボックス片からなり、このJ字ボックス片を蓋体の凹部底面に接合するとともに、凹部底面の長辺部の先端に対応する位置に冷却媒体通路に対する連通開口を形成すると、このJ字ボックス片を凹部の底面に接合することによってJ字ボックス片の長辺部にて接続口が保護されたオリフィスを蓋体に配設でき、しかも冷却媒体通路に対する連通開口は長辺部の先端に位置しているので、接続口と連通開口をともに二次電池の両端部に位置させることができて二次電池全体をコンパクトに構成することができる。
【0030】
また、蓋体の一側に凹部を形成し、J字ボックス片をその長辺部が外側に短辺部が内側に位置するように配設すると、二次電池の一側にこのJ字ボックス片を配置しても接続口が長辺部で保護され、また蓋体の他側に電極端子を配設し、中央部に単電池の安全弁を配置することができ、二次電池を全体としてコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集合型密閉二次電池の一実施形態の外観斜視図である。
【図2】同実施形態の縦断側面図である。
【図3】同実施形態の部分縦断正面図である。
【図4】同実施形態の単電池群の上端部における部分斜視図である。
【図5】同実施形態の電気接続体の斜視図である。
【図6】同実施形態の蓋体の斜視図である。
【図7】従来例の集合型密閉二次電池の正面図である。
【図8】他の従来例の集合型密閉二次電池における冷却ジャケット部の要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 集合型密閉二次電池
2 単電池
5 蓋体
10 入口オリフィス
11 出口オリフィス
14 電槽
15 発電要素
21 冷却媒体通路
37 J字ボックス片
38 接続口
39 連通開口
41 凹部
Claims (2)
- 有底矩形筒形状の電槽内に発電要素を収容して成る単電池を複数個直列配置し、各単電池を相互に一体接合するとともにその開口部を一体型の蓋体にて封止した集合型密閉二次電池において、
単電池の配置方向に対してその両側に冷却媒体通路を配設するとともに、冷却媒体通路に対して冷却媒体を供給・排出する入口オリフィスと出口オリフィスを蓋体に形成した凹部内に配設し、
入口オリフィス及び出口オリフィスが、短辺部の先端から長辺部の先端より突出しないように接続口を突設された平面形状略J字状で下面開放のJ字ボックス片からなり、このJ字ボックス片を蓋体の凹部底面に接合するとともに、凹部底面の長辺部の先端に対応する位置に冷却媒体通路に対する連通開口を形成したことを特徴とする集合型密閉二次電池。 - 蓋体の一側に凹部を形成し、J字ボックス片をその長辺部が外側に短辺部が内側に位置するように配設したことを特徴とする請求項1記載の集合型密閉二次電池。
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