JP4308110B2 - 電動車両 - Google Patents
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Description
図11は従来の電動車両の概要図である。従来の電動車両200は、機体201にオーガ202及びブロア203からなる作業装置204、作業装置204を駆動するエンジン205、クローラからなる左右の走行装置206,206、これらの走行装置206,206を駆動する左右の電動モータ207,207、エンジン205に駆動されてバッテリ208や電動モータ207,207に電力を供給する発電機209、電動モータ207,207を制御する制御部211を備えたというものである。
一般に、電動車両200を旋回走行させるときには、旋回内側モータ207及び旋回内側走行装置206を減速させる。その後、電動車両200を直進走行に切換えるには、旋回内側モータ207及び旋回内側の走行装置206を徐々に加速させる。
特に、左右の走行装置206,206はクローラであるから、クローラ特有の接地性の高さや駆動力の大きさがある。このため、旋回走行から直進走行へ切換え操作したときに、電動車両200を旋回走行から直進走行へ迅速に且つ円滑に切換えるようにするには、改良の余地がある。
制御部は、旋回走行時に減速制御信号出力によって旋回内側モータの減速制御を実行する旋回内側モータ減速ステップと、旋回走行を終了して直進走行に切換えた時点から徐々に高まる加速制御信号出力によって旋回内側モータの加速制御を実行する旋回内側モータ加速ステップとを備え、
この旋回内側モータ加速ステップは、旋回走行から直進走行へ切換わった時点で、旋回内側モータの速度が一定の最低基準速度を上回らない低速度域にあるという条件を満たしたときには、直進走行に切換わった時点だけ一時的に高めた加速制御信号出力によって旋回内側モータの加速制御を実行する構成である。
ここで、「最低基準速度」とは、旋回内側モータが停止又は停止に近い速度である。また、「直進走行に切換わった時点だけ一時的に高めた加速制御信号出力」とは、例えば高レベルのワンショットパルス(ただ1つのパルス)の出力である。
この結果、旋回内側モータを停止又は停止に近い速度から急激に加速することができる。旋回外側モータの速度に対する旋回内側モータの速度の速度差を急速に解消することができる。このため、電動車両を操作者の操作感覚に合うように、旋回走行から直進走行へ迅速に且つ円滑に転換することができる。
これに対して請求項1では、旋回内側モータを停止又は停止に近い速度から一気に加速することにより、左右のクローラの速度差を急速に解消して、旋回走行から直進走行へ迅速に且つ円滑に切換えることができる。
電動車両としての除雪機10(作業機10)は、左右の走行装置20L,20Rを備えた走行フレーム31に、伝動ケース32を上下スイング可能に取付け、伝動ケース32の左右両側部に左右の電動モータ33L,33Rを取付け、伝動ケース32の上部にエンジン34(内燃機関34)を取付けるとともに、伝動ケース32の前部に除雪作業部40を取付け、さらに、伝動ケース32の上部から後上方へ左右の操作ハンドル51L,51Rを延し、これら左右の操作ハンドル51L,51R間に操作盤53を備え、作業者が操作盤53の後から連れ歩く、自力走行式の歩行型作業機である。
スイング駆動機構46により、伝動ケース32並びに除雪作業部40を上下にスイングさせることで、オーガハウジング44の姿勢を調節できる。
図2に示すように、機体11は前部に発電機54及びバッテリ55を備える。
クラッチ操作スイッチ73は、オーガ41並びにブロア42をオン・オフ操作する押し釦スイッチ、すなわち、除雪作業部40(作業部)のオン・オフ操作をする作業切換えスイッチである。以下、クラッチ操作スイッチ73のことを適宜「オーガスイッチ73」と言い換えることにする。
オーガハウジング姿勢調節レバー78は、スイング駆動機構46を操作してオーガハウジング44の姿勢を変更するときに操作するレバーである。
一方、右手の親指を前に延ばして右旋回操作スイッチ81Rの押ボタン82Rを押している間だけ、除雪機10を右旋回させることができる。
このように、左右の操作ハンドル51L,51Rから手を放すことなく、小さい操作力で極めて容易に旋回操作をすることができる。
従って、除雪機10を左旋回操作又は右旋回操作する度に、操作ハンドル51L,51Rを握り替えたり、操作ハンドル51L,51Rから手を放す必要がない。このため、除雪機10の操縦性が高まる。
メインスイッチ71にキーを差込み、回してスタート位置にすることにより、セルモータ(スタータ)93の回転によりエンジン34を始動させる。
エンジン用スロットルレバー76は、図示せぬスロットルワイヤでスロットルバルブ94に繋がっているので、エンジン用スロットルレバー76を操作することでスロットルバルブ94の開度を制御することができる。これにより、エンジン34の回転数を制御することができる。
なお、走行準備レバー77をフリーにするか、クラッチ操作スイッチ73を操作するか、の何れかにより電磁クラッチ91を断状態にすることができる。
本発明の除雪機10は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ36L,36Rを備える。具体的には、左右の電動モータ33L,33Rの各モータ軸を左右の電磁ブレーキ36L,36Rによって制動するようにした。これらの電磁ブレーキ36L,36Rは、駐車中は制御部56の制御により、ブレーキ状態(オン状態)にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ36L,36Rを開放する。
1つのレバーで前後の方向と高低速の速度制御とを設定できるので、方向速度レバー75と名付けた。
すなわち、左旋回操作スイッチ81Lを押している間だけ、除雪機10を左旋回させることができる。また、右旋回操作スイッチ81Rを押している間だけ、除雪機10を右旋回させることができる。
(1)メインスイッチ71をオフ位置に戻す。
(2)方向速度レバー75を中立位置に戻す。
(3)走行準備レバー77を離す。
左の短絡ブレーキ回路39Lは、文字通り左の電動モータ33Lの両極を短絡させる回路であり、この短絡により電動モータ33Lは急制動状態になる。右の短絡ブレーキ回路39Rも同様であるから説明を省略する。
ST01;初期設定をする。
ST02;メインスイッチ71、方向速度レバー75、走行準備レバー77のスイッチ手段77a、左・右旋回操作スイッチ81L,81R等の、各スイッチ信号(レバー位置信号を含む)を入力信号として読み込む。
ST03;左旋回操作スイッチ81L(以下、「左旋回スイッチ81L」と言う。)がオンであるか否かを調べ、YESならST04に進み、NOならST05に進む。
ST04;左旋回モードで電動モータ33L,33Rを制御する。なお、このST04を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図7〜図10にて示す。
ST06;右旋回モードで電動モータ33L,33Rを制御する。なお、このST06の制御については、上記ST04の制御と実質的に同じ制御ステップであり、左旋回制御の代わりに右旋回制御を実行するものである。説明を省略する。
ST07;左・右操作スイッチ81L,81Rが共にオフなので、直進モードで電動モータ33L,33Rを制御する。すなわち、電動車両10を直進させる。
ST08;メインスイッチ71が「オン位置」にあるか否かを調べ、YESならこの制御を続行すると判断してST02に戻り、NOならこの制御を終了する。
ST101:制御部56に内蔵されたタイマを、リセットした(カウント時間Tcを0)後にスタートさせる。
ST102;上記図6のST03において左旋回操作スイッチ81Lがオンなので、左の電動モータ(旋回内側モータ)33Lの実速度Lsを計測する。実速度Lsは、例えば図4の回転センサ98Lで現実の電動モータ33Lの回転数を計測すればよい。
ST103;図8に示す旋回内側モータの減速補正マップにより、カウント時間Tcから減速補正係数α1を求める。
図8は本発明に係る旋回内側モータの減速補正マップの説明図であり、横軸をカウント時間Tc、すなわち経過時間Tc(msec)とし、縦軸を旋回内側モータ33Lの減速補正係数α1として、経過時間Tcに対応する減速補正係数α1を得る、旋回内側モータ33Lの減速補正マップを示す。
減速補正係数α1の特性曲線は、上限値の1.0は経過時間Tcが0(msec)のときに対応する。下限値のα1aは経過時間Tcが500(msec)のときに対応する。
ST104;左の電動モータ(旋回内側モータ)33Lの実速度Lsに旋回内側モータの減速補正係数α1を乗じて、旋回内側モータ33Lの減速目標速度Ltを得る。
ST105:減速目標速度Ltに基づく減速制御信号出力Qd(図示せず)によって、旋回内側モータ33Lの減速制御を実行する。すなわち、実速度Lsを減速目標速度Ltまで減速させるように制御する。
ST106;左旋回操作スイッチ81Lのスイッチ信号を入力信号として読み込む。
ST107;左旋回操作スイッチ81Lがオンであるか否かを調べる。YESなら旋回操作を続行中であると判断して、ST102に戻る。NOなら旋回操作を終了したと判断して、出結合子A1に進む。
ST112;実速度Lsが予め設定された一定の最低基準速度Lmを超えているか否かを調べる。YESなら、実速度Lsが最低基準速度Lmを超えた「通常速度域」にあるという条件を満たしているのでST113に進む。NOなら、実速度Lsが最低基準速度Lmを上回らない「低速度域」にあるという条件を満たしているのでST114に進む。
ST114;実速度Lsが低速度域にあるので、予め設定され、加速補正係数の特性が互いに異なる複数の旋回内側モータ加速パターンの中から1つ、すなわち第2のパターンを選択する。具体的には図10に示す旋回内側モータの第2加速補正マップMbを選択する。
ST116;選択された旋回内側モータ加速パターン、すなわち図10から選択された旋回内側モータの加速補正マップMa,Mbにより、カウント時間Tcから加速補正係数β1を求める。カウント時間Tcの変化に応じた加速補正係数β1を求めればよい。
ST117;旋回内側モータ33Lの実速度Lsを計測する。
ST119:加速目標速度Ht1に基づく加速制御信号出力Qu(図示せず)によって、旋回内側モータ33Lの加速制御を実行する。すなわち、実速度Lsを加速目標速度Ht1分だけ加速させるように制御する(「Ls+Ht1」に制御する)。
ST120;タイマのカウント時間(経過時間)Tcが、予め設定された一定の基準時間Tsに達したか否かを調べる。YESなら直進に切換えたときの、旋回内側モータ33Lの加速制御が終了したと判断してST121に進む。NOならST116に戻る。
ST121;タイマを停止させた後に、図6のST04にリターンする。
図10は本発明に係る旋回内側モータの加速補正マップの説明図であり、横軸をカウント時間Tc、すなわち経過時間Tc(msec)とし、縦軸を旋回内側モータ33Lの加速補正係数β1として、経過時間Tcに対応する加速補正係数β1を得る、旋回内側モータ33Lの第1・第2加速補正マップMa,Mbを示す。
実線の曲線は、第2加速補正マップMbの特性曲線を示し、旋回走行から直進走行へ切換わった時点で、実速度Lsが最低基準速度Lmを上回らない「低速度域」にあるという条件に対応する。
第1・第2加速補正マップMa,Mbによれば、旋回内側モータ33Lの加速補正係数β1は、経過時間Tcが0のときに0に近く時間Tcが経過するほど1に近い値であることが判る。より具体的には加速補正係数β1は、上限値を1.0に設定した。
制御部56は、直進走行に切換えた時点から加速補正係数β1の変化に応じて、徐々に高まる加速制御信号出力Qu(図示せず)により、旋回内側モータ33Lの加速制御を実行することになる。この結果、旋回内側モータ33Lは最低速度から徐々に加速する。
第2加速補正マップMbによる加速補正係数β1は、直進走行に切換えた時点(経過時間Tc=0)で0.1程度のβ1bを最低値とし、この最低値β1bから時間Tcの経過とともに徐々に増大するように変化する特性を有するとともに、さらに、直進走行に切換わった時点だけ、一時的に高い補正係数β1cとなる特性を有する。
このワンショットパルス特性の波形は、直進走行に切換えた時点(経過時間Tc=0)を起点P1とし、若干の時間Tcaを経過(Tc=Tca)したときのピークを最高点P2とし、さらに若干の時間Tcbを経過(Tc=Tcb)したときを終点P3とした、三角波である。三角波のうち、起点P1から最高点P2までは加速補正係数β1が急激に高まる急加速補正範囲であり、最高点P2から終点P3までは加速補正係数β1が急激に戻る急戻し範囲である。
起点P1から最高点P2までの時間(Tca−0)は約50msecである。最高点P2から終点P3までの時間(Tcb−Tca)も約50msecである。
言い換えると、加速補正係数β1は、左旋回操作スイッチ81Lがオフに切り替わった時点、すなわち操作解除信号を受けた時点における最低値β1bに一定値(β1c−β1b)を加えた値である。
なお、ワンショットパルス特性の波形は、三角波又は概ね三角波が最も好ましい。しかし、三角波に限定されるものではなく、例えば方形波であってもよい。
言い換えると、左旋回操作スイッチ81Lがオフに切り替わった時点、すなわち操作解除信号を受けた時点における、旋回内側モータ33Lの加速制御信号出力Quは、加速制御信号出力の最低値Qumiに一定値Qucoを加えた値である(Qu=Qumi+Quco)。なお、Qumi及びQucoについては図示しない。
さらには、左右の電動モータ33L,33Rの駆動制御方式は、例えば、モータ端子にパルス電圧を供給するパルス幅変調方式(PWM方式)である。減速制御信号出力Qd又は加速制御信号出力Quに応じて、モータドライバ37L,37Rはパルス幅が制御されたパルス信号を発して、電動モータ33L,33Rの回転を制御することができる。
左右の電動モータ33L,33Rのうち、電動車両10を旋回させるときの旋回内側の方を旋回内側モータ33L(又は33R)と言い、他方を旋回外側モータ33R(又は33L)と言う。
これに対して本発明では、旋回内側モータ33L(又は33R)を停止又は停止に近い速度から一気に加速することにより、左右のクローラ20L,20Rの速度差を急速に解消して、旋回走行から直進走行へ迅速に且つ円滑に切換えることができる。
また、制御部56は内蔵するメモリに、各マップを予め設定しておき、上記制御フローチャートのステップにおいて、マップを適宜読み出して補正係数を設定することができるようにしたものである。図8及び図10では理解を容易にするために各マップを模式的に表したものであり、各マップの形態はこれに限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、各マップにて表された減速補正係数α1の特性曲線及び加速補正係数β1の特性曲線は、演算式等によって求めるものであってもよい。
さらにまた、減速補正係数α1の特性曲線及び加速補正係数β1の特性曲線を表したマップは、経過時間と補正係数との二次元マップに限定されるものではない。例えば、経過時間と補正係数と電動モータの実速度との三次元マップであってもよい。
例えば、ST104及びST118の実速度Lsは、ST101からST102へ進んだ時点に計測された値である。この場合の制御部56は、刻々と変化する現時点の実速度を、各目標速度Lt,Ht1まで加・減速させるように、ST106,ST119で加・減速制御を実行する。
右の旋回走行時においても左の旋回走行時と同様である。
Claims (1)
- 機体の左右に配置したクローラベルトの各駆動輪を左右の電動モータで各々駆動するようにし、これらの電動モータを制御する制御部を備えた電動車両において、
前記左右の電動モータのうち、車両を旋回させるときの旋回内側の方を旋回内側モータとしたときに、
前記制御部は、旋回走行時に減速制御信号出力によって前記旋回内側モータの減速制御を実行する旋回内側モータ減速ステップと、旋回走行を終了して直進走行に切換えた時点から徐々に高まる加速制御信号出力によって前記旋回内側モータの加速制御を実行する旋回内側モータ加速ステップとを備え、
この旋回内側モータ加速ステップは、旋回走行から直進走行へ切換わった時点で、前記旋回内側モータの速度が一定の最低基準速度を上回らない低速度域にあるという条件を満たしたときには、直進走行に切換わった時点だけ一時的に高めた前記加速制御信号出力によって前記旋回内側モータの加速制御を実行する構成であることを特徴とした電動車両。
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