JP4307307B2 - 膜分離装置を用いる生物学的処理方法および装置 - Google Patents

膜分離装置を用いる生物学的処理方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は膜分離装置を用いる生物学的処理方法および装置に関し、凝集剤を用いる反応槽内の汚泥濃度の制御、およびそれに伴う窒素除去、リン除去、省エネルギー運転、ならびに膜面閉塞の防止の技術に係るものである。
従来、有機物、窒素濃度の高い窒素含有汚水を処理する方法として活性汚泥処理があり、膜分離装置を併用して槽内の活性汚泥濃度を高く維持する浸漬型膜分離活性汚泥処理設備がある。この設備は、前処理設備において夾雑物を除去した汚水を流量調整槽(脱窒槽)に貯留し、流量調整槽から槽内液を一定流量で曝気槽に供給するとともに、曝気槽から槽内液を流量調整槽へ返送して循環する間に生物学的脱窒し、曝気槽において膜分離装置で固液を分離し、ろ液を減菌槽を経て放流している。
特開2001−62471
従来の構成において、曝気槽では散気装置から散気する空気によって上昇流を生じさせ、この上昇流によって槽内混合液を膜分離装置の膜面に対してクロスフローで供給しながら固液分離を行う。この際に、分離した固形分の付着に起因して膜面が閉塞することを防止するために、固気液混相の上昇流を膜面に掃流として作用させている。
曝気槽では膜分離装置により固液を分離する結果として汚泥濃度が高くなり、汚泥濃度の高まりによって膜面が閉塞する傾向が強くなる。このため、散気装置から散気する曝気空気量を増加させて上昇流の流速を上げる必要がある。
曝気槽における曝気空気量を増加させると、槽内混合液の溶存酸素濃度が高まり、曝気槽内の微生物によって消費する酸素量を超える分量の溶存酸素が残留し、この残留溶存酸素が槽内混合液とともに曝気槽から流量調整槽(脱窒槽)、あるいは他の構成では嫌気槽へ流入する。
曝気槽における曝気空気量(酸素供給量)を低減するためには曝気槽内の汚泥濃度を下げる必要がある。しかし、曝気槽と流量調整槽(脱窒槽)あるいは曝気槽と嫌気槽の間で槽内混合液が循環する構成において、膜分離装置を備えた曝気槽の汚泥濃度は流量調整槽(脱窒槽)あるいは嫌気槽の汚泥濃度より高く維持しており、曝気槽における汚泥濃度を下げると流量調整槽(脱窒槽)あるいは嫌気槽の汚泥濃度が従属的に低下する。流量調整槽(脱窒槽)あるいは嫌気槽の汚泥濃度の低下は、生物学的脱窒反応やリン除去等の処理能力を低下させる。
したがって、曝気槽では膜面閉塞を防止するために曝気空気量を増加させるか、汚泥濃度を低減させることが必要であり、流量調整槽(脱窒槽)あるいは嫌気槽では生物学的脱窒反応やリン除去を促進するために、槽内の汚泥濃度を高め、槽内混合液の溶存酸素濃度を低減することが必要であり、双方の槽において背反する課題がある。
本発明は上記した課題を解決するものであり、曝気槽における汚泥濃度と、流量調整槽(脱窒槽)あるいは嫌気槽における汚泥濃度をそれぞれの適値に制御することができる膜分離装置を用いる生物学的処理方法および装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載する本発明の膜分離装置を用いる生物学的処理方法は、無酸素槽もしくは嫌気槽からなる第1の槽において槽内混合液を攪拌機により攪拌し、曝気槽からなる第2の槽において散気装置から供給する空気により生起する上向流で膜分離装置の膜面洗浄を行いながら槽内混合液を固液分離し、第1の槽と第2の槽との間において槽内混合液を循環させて生物学的処理をするに際し、
第1の槽において凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌し、攪拌後の一定時間の静置もしくは攪拌強度の調整によって水深方向の汚泥濃度勾配を形成し、所定水深下にある目標汚泥濃度の槽内混合液を第2の槽へ供給することで第1の槽および第2の槽の汚泥濃度をそれぞれ所定汚泥濃度に調整するものである。
上記した構成により、第1の槽内では、凝集剤の添加によって槽内混合液中の汚泥が凝集してその沈降性が向上する。汚泥フロックの沈降性は一様ではなく、重量の大きいものほど短時間に沈降し、重量の小さいものほど沈降に時間を要する。
攪拌を停止して静置すると槽上部側では汚泥濃度が経時的に薄くなる傾向となり、槽底部側では汚泥濃度が経時的に濃くなる傾向となる。沈降開始後の一定時間が経過した時点において、第1の槽内には各汚泥フロックの沈降性の相違によって槽底部側ほど汚泥濃度が高くなる汚泥濃度勾配が形成される。
あるいは、攪拌強度を調整し、槽内混合液に与える上方への速度を調整することにより、ストークスの法則によって形状が大きく抵抗の大きな汚泥フロックほどに槽底部側に分布して汚泥濃度が高くなる汚泥濃度勾配が形成される。
一方、第2の槽では膜分離装置による固液分離によって膜透過液が槽外へ流出し、分離された汚泥が残留することで、汚泥濃度が経時的に濃くなる傾向となる。
このため、第1の槽から平均汚泥濃度より低い目標汚泥濃度に相応する所定水深下の槽内混合液を第2の槽へ送液し、第2の槽から汚泥濃度の高い槽内混合液を第1の槽へ返送することで、第1の槽の汚泥濃度が高まる。逆に第2の槽では槽内混合液が第1の槽から流入する汚泥濃度の低い槽内混合液で希釈されて汚泥濃度が低下する。
したがって、第2の槽をなす曝気槽では、汚泥濃度が低下することで膜面閉塞を防止するための曝気空気量を抑制し、槽内混合液の溶存酸素濃度を生物学的処理に必要な適値に維持できる。第1の槽をなす無酸素槽あるいは嫌気槽では、槽内の汚泥濃度が高まり、溶存酸素の消費が促進され、さらに第2の槽から流入する槽内混合液中の溶存酸素濃度が低下することで生物学的脱窒反応やリン除去が促進される。
さらに、第1の槽において槽内混合液を吸い込む水深を調整して、任意の目標汚泥濃度の槽内混合液を第1の槽から第2の槽へ送液することで、第1の槽をなす無酸素槽あるいは嫌気槽における汚泥濃度と、第2の槽をなす曝気槽における汚泥濃度とをそれぞれの適値に制御することができる。
ところで、膜分離装置の運転には膜が閉塞しにくい適切な汚泥濃度の範囲が存在し、汚泥濃度が適切な範囲よりも低くなる設備の初期運転の立ち上げ時には、汚泥濃度が運転に適する濃度範囲に達するまで、膜の閉塞を防ぎ、槽内での反応時間(槽内滞留時間)を確保するためにフラックスを抑制した運転を行う必要がある。この運転立ち上げ時に、第1の槽における汚泥濃度の高い槽内混合液を第2の槽へ送液することで、曝気槽の汚泥濃度の増加を早めることで短い期間で汚泥濃度を適切な範囲にして運転立ち上げ期間を短縮することができる。
請求項2に記載する本発明の膜分離装置を用いる生物学的処理装置は、攪拌機を配置した無酸素槽もしくは嫌気槽からなる第1の槽と、膜分離装置を浸漬した曝気槽からなる第2の槽と、前記攪拌機を制御して凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌し、一定時間の静置後に、もしくは攪拌強度の調整によって第1の槽内に水深方向の汚泥濃度勾配を形成する攪拌制御装置と、目標汚泥濃度に相応する所定水深下の槽内混合液を第1の槽から第2の槽へ送液する送液手段と、第2の槽から第1の槽へ槽内混合液を返送する返送手段とを備えたものである。
以上のように本発明によれば、第1の槽をなす無酸素槽あるいは嫌気槽において汚泥濃度を高めつつ、第2の槽をなす曝気槽において汚泥濃度を低減するという、従来において背反する課題を同時に実現することができる。
このため、第2の槽をなす曝気槽において、汚泥濃度の低下によって膜面閉塞を防止するために必要な曝気空気量を抑制し、槽内混合液の溶存酸素濃度が生物学的処理に必要なもの以上となる過剰曝気を防止でき、省エネルギー運転が可能となる。あるいは、設備の初期運転の立ち上げ時には、第1の槽の汚泥濃度が槽内混合液を第2の槽へ送液することで、運転立ち上げ期間を短縮することができる。
また、第1の槽をなす無酸素槽あるいは嫌気槽において、槽内の汚泥濃度の高まり、および溶存酸素濃度の低下によって生物学的脱窒反応やリン除去を促進できる。
さらに、第1の槽から第2の槽へ送液する槽内混合液の目標汚泥濃度の選択によって、第1の槽をなす無酸素槽あるいは嫌気槽における汚泥濃度と、第2の槽をなす曝気槽における汚泥濃度とをそれぞれの適値となる所定範囲内で任意の値に制御できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、第1の槽をなす流量調整槽1は無酸素槽(脱窒槽)を兼ねており、第2の槽は曝気槽2からなる。
流量調整槽1は槽内に攪拌機3と送液手段をなす水中ポンプ4を配置しており、槽外に攪拌機3を制御する攪拌制御装置5および水中ポンプ4を制御する送液制御装置6を配置している。また、流量調整槽1には被処理液として下水、産業排水等を供給する原水供給系7および凝集剤を供給する薬品供給系8が連通している。薬品供給系8は原水供給系7、曝気槽2、後述する送液管路14、返送管路15に接続することも可能である。
曝気槽2は槽内に膜分離装置9を浸漬しており、膜分離装置9は膜充填部10を有し、膜充填部10には駆動圧(膜間差圧)を与える吸引ポンプ11を接続している。この吸引ポンプ11に代えて重力ろ過方式を採用することも可能である。膜充填部10の下方には散気管12を配置しており、散気管12にはブロワ13を接続している。
膜充填部10は所定間隙をあけて平行に配列する膜カートリッジからなり、各膜カートリッジは濾板の表裏両側面に有機平膜を配置してなり、膜面を上下方向に沿わせて配置する。膜充填部10にはセラミック膜やチューブ状の膜を使用することも可能である。
流量調整槽1と曝気槽2は水中ポンプ4の吐出側に接続した送液管路14および返送手段をなす返送管路15で連通し、曝気槽2の槽内混合液が槽内の水頭により返送管路15を通して流量調整槽1へ流れる。曝気槽2には余剰汚泥を排出する汚泥排出系16を設けている。
本実施の形態では水中ポンプ4を固定的に配置する構成を示しているが、索体を介してウインチ等の揚重手段によって水中ポンプ4を懸垂支持することも可能である。この場合には送液管路14をフレキシブルなホース等で構成し、索体の巻揚げ、繰出しによって水中ポンプ4の位置を水深方向において変更することが可能となる。水中ポンプ4の移動は上述した構成に限るものではなく、公知の技術によって実現可能であり、詳細な説明を省略する。また、水中ポンプ4に代えて槽外にポンプを配置し、吸引側に接続したフレキシブルなホース等の先端の吸引口を水深方向に移動させることも可能である。
攪拌制御装置5は攪拌機3を制御して所定の攪拌強度で流量調整槽1の凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌し、一定時間の静置によって流量調整槽1に水深方向の汚泥濃度勾配を形成する。この操作は一定の静置時間(インターバル)をあけて攪拌機3を間欠的に駆動することで、流量調整槽1に汚泥濃度勾配を繰り返し形成することも可能である。
目的とする汚泥濃度勾配を形成するのに必要な静置時間は予め実験によって求め、水中ポンプ4を配置した水深において目標汚泥濃度が形成される時間とする。
あるいは、攪拌制御装置5は攪拌機3を制御して流量調整槽1の凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌し、攪拌強度の制御によって槽内混合液に与える上方への速度を調整することで汚泥濃度勾配を形成する。目的とする汚泥濃度勾配を形成するのに必要な攪拌強度は予め実験によって求め、水中ポンプ4を配置した水深において目標汚泥濃度が形成される攪拌強度とする。
目標汚泥濃度の選択変更は静置時間の変更および攪拌強度の変更によって実現できるが、流量調整槽1に所定の汚泥濃度勾配を形成する状態で水中ポンプ4を水深方向に移動させることによっても実現できる。
また、攪拌機3、水中ポンプ4、吸引ポンプ11、ブロワ13は制御装置(図示省略)によって統合的に制御することもでき、流量調整槽1もしくは曝気槽2に設置する汚泥濃度計測器(図示省略)から得る指標に基づいて制御装置で自動制御運転することも可能である。
以下、上記した構成における作用を説明する。流量調整槽1では、原水供給系7から流量調整槽1に流入する被処理液を攪拌機3により攪拌し、槽内混合液を水中ポンプ4により送液管路14を通して曝気槽2に定量供給する。
曝気槽2では、ブロワ13から供給する空気を散気管12から槽内混合液に散気し、この曝気空気により生起する上向流で膜分離装置9の膜充填部10に充填した膜カートリッジの膜面洗浄を行いながら膜分離装置9で槽内混合液を固液分離し、膜透過液を吸引ポンプ11(重力ろ過方式においては水頭圧による)を通して槽外へ取り出す。曝気槽2の槽内混合液は返送管路15を通して流量調整槽1に返送し、流量調整槽1と曝気槽2との間において槽内混合液を循環させて脱窒素処理する。
流量調整槽1は被処理液が流入することで汚泥濃度は薄くなる傾向にあり、曝気槽2は膜分離装置9による固液分離によって膜透過液が槽外へ流出し、分離された汚泥が残留することで、汚泥濃度が経時的に濃くなる傾向となる。
このため、以下の手順によって流量調整槽1から曝気槽2へ汚泥濃度が低い槽内混合液を送液し、流量調整槽1の汚泥濃度を高めるとともに、曝気槽2の汚泥濃度を低下させる。
流量調整槽1において薬品供給系8から凝集剤を供給し、凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌機3で攪拌する。この凝集剤の添加によって槽内混合液中の汚泥が凝集してその沈降性が向上する。図2に示すように、凝集剤を添加しない場合Aには時間が経過しても汚泥沈降率は余り変化しないが、凝集剤を添加した場合Bには比較的短時間において汚泥沈降率が高まる。
汚泥フロックの沈降性は一様ではなく、重量の大きいものほど短時間に沈降し、重量の小さいものほど沈降に時間を要する。攪拌を停止して静置すると槽上部側では汚泥濃度が経時的に薄くなる傾向となり、槽底部側では汚泥濃度が経時的に濃くなる傾向となる。沈降開始後の一定時間が経過した時点において、流量調整槽1の槽内には各汚泥フロックの沈降性の相違によって槽底部側ほど汚泥濃度が高くなる汚泥濃度勾配が形成される。
あるいは、攪拌強度を調整し、槽内混合液に与える上方への速度を調整することにより、ストークスの法則によって形状が大きく抵抗の大きな汚泥フロックほどに槽底部側に分布して汚泥濃度が高くなる汚泥濃度勾配が形成される。
この操作によって水中ポンプ4を配置した所定水深下に目標汚泥濃度の槽内混合液を形成し、その槽内混合液を水中ポンプ4によって曝気槽2へ供給する。先にも述べたが目標汚泥濃度の槽内混合液の取得は水中ポンプ4の移動によっても実現できる。
このように、流動調整槽1から平均汚泥濃度より低い目標汚泥濃度に相応する所定水深下の槽内混合液を曝気槽2へ送液し、曝気槽2から汚泥濃度の高い槽内混合液を流動調整槽1へ返送することで、流動調整槽1の汚泥濃度が高まる。逆に曝気槽2では槽内混合液が流動調整槽1から流入する汚泥濃度の低い槽内混合液で希釈されて汚泥濃度が低下する。したがって、無酸素槽をなす流量調整槽1では、槽内の汚泥濃度が高まり、かつ曝気槽2から流入する槽内混合液中の溶存酸素濃度が低下することで生物学的脱窒反応が促進される。
ここで、曝気槽2における汚泥濃度の時間変化の収支を説明する。
流入水量:Qm/d
送液量:(r+1)Qm/d
返送量:rQm/d
余剰汚泥排出量(曝気槽からの排出):wQm/d
流出水量(膜透過液):(1−w)Qm/d
流量調整槽内汚泥濃度:XAmg/L
曝気槽内汚泥濃度:XMmg/L
曝気槽容量:Vm
経過時間:t
流出水中浮遊物質濃度:XPmg/L(通常は0mg/L)
とすると、曝気槽汚泥濃度の時間変化の収支式は下式となる。
dXM/dt=(r+1)Q×XA−rQ×XM−(1−w)Q×XP
定常状態でdXM/dt=0、XP=0を仮定すると、
XM=(r+1)/(r+w)×XA
となり、曝気槽2の汚泥濃度は流量調整槽1からの汚泥濃度によって制御可能となる。
また、曝気槽2では、汚泥濃度が低下することで膜面閉塞を防止するための曝気空気量を抑制し、槽内混合液の溶存酸素濃度を生物学的処理に必要な適値に維持できる。ここで、曝気空気量と槽内混合液の流速との関係を図3に示す。清水Aの場合には少ない曝気空気量で高い流速を得ることができるが、MLSS12000mg/Lの槽内混合液の場合Bには流速が遅くなり、MLSS15000mg/Lの槽内混合液の場合Cではさらに流速が遅くなる。よって、汚泥濃度が低下するほどに少ない曝気空気量で膜面洗浄に必要な流速を得ることができる。
また、槽内混合液への酸素の溶解効率は次式で表される。
(汚泥への酸素溶解効率)=α×(清水での酸素溶解効率)
αの値は0から1であり、汚泥濃度が低いと大きな値をとるので、汚泥濃度が低下すると酸素溶解効率が向上し、曝気空気量を減らすことができる。
また、曝気槽2の汚泥濃度が低くなることで活性汚泥が体内にもつ有機物を分解するための呼吸が少なくなり、必要酸素量をさらに低減することが可能となる。その結果、省エネルギー運転を実現することができる。
ところで、流動調整槽1において取水する槽内混合液の汚泥濃度は低いものに限らず、汚泥濃度の高い槽内混合液を曝気槽2へ送液して流動調整槽1および曝気槽2における汚泥濃度をそれぞれの適値に制御することも可能である。
例えば、膜分離装置2を用いる生物処理装置においては、槽内に活性汚泥を高濃度に保持することで粘性によるせん断力が上がり、膜面の洗浄効果を得ることができるが、設備の初期運転の立ち上げ時には槽内の汚泥濃度が低いのでせん断力が小さく、十分な洗浄効果を得ることができないため、汚泥濃度が通常運転に適する濃度範囲に達するまで、フラックスを抑制した運転を行う必要がある。しかし、運転立ち上げ時に、流量調整槽1における汚泥濃度の高い槽内混合液を曝気槽2へ送液することで、曝気槽2の汚泥濃度の増加を早めて運転立ち上げ期間を短縮することができる。
図4に本発明の他の実施の形態を示す。先の実施の形態において説明した構成と同様の作用を行うものには同一符号を付してその説明を省略する。図4においては、請求項1および2に記載する第1の槽として、無酸素槽もしくは嫌気槽をなす反応槽20を設け、流量調整槽1から反応槽20へ被処理液を定量供給する定量供給系21を設け、反応槽20と曝気槽2との間において槽内混合液を循環する。この場合に流量調整槽1を無酸素槽とし、反応槽20を嫌気槽とし、曝気槽2から流量調整槽1への返送手段を設けることで、曝気槽2の前段に嫌気槽と無酸素槽の両方を設置することも可能である。薬品供給系8は原水供給系7、曝気槽2、送液管路14、返送管路15に接続することも可能である。
この構成においても、先の実施の形態において説明したものと同様の操作によって、曝気槽2の汚泥濃度を低減することで、膜面閉塞を防止するための曝気空気量を抑制でき、酸素溶解効率の向上により曝気空気量を減らすことができ、活性汚泥の呼吸のための必要酸素量を低減できる。
この結果、反応槽20へ返送される槽内混合液に含まれる溶存酸素濃度を極力抑制して、反応槽20を無酸素槽もしくは嫌気槽として運転することが可能となる。よって、反応槽20を無酸素槽として運転し、曝気槽(好気槽)2における硝化反応および反応槽(無酸素槽)20における脱窒反応によって窒素除去を行う。また、よって反応槽20を嫌気槽として運転し、反応槽(嫌気槽)20と曝気槽(好気槽)2とにおいて活性汚泥を循環し、反応槽(嫌気槽)20において活性汚泥から放出するリンを曝気槽(好気槽)2において活性汚泥に過剰に摂取させ、曝気槽(好気槽)2から余剰汚泥を引抜くことで汚泥とともにリンを除去する。
これらの反応において、反応槽20において汚泥濃度勾配を形成して汚泥濃度の低い槽内混合液を曝気槽2へ送液し、曝気槽2から汚泥濃度の高い槽内混合液を返送することで、反応槽20の汚泥濃度を高めて生物学的脱窒素処理、生物学的脱りん処理を促進することができる。また汚泥濃度を高めることで反応槽20の容量を小さくすることが、次式に示すように、可能である。
(反応槽容量)=(窒素負荷)/(脱窒速度)/(MLSS濃度)
図5に本発明の他の実施の形態を示す。先の実施の形態において説明した構成と同様の作用を行うものには同一符号を付してその説明を省略する。図5においては、反応槽20と曝気槽2とを水深方向に沿った適当間隔の複数箇所においてそれぞれバルブ31を介して接続し、各バルブ31を開閉操作するバルブ制御装置32を設け、曝気槽2から水中ポンプ4によって槽内混合液を反応槽20へ返送し、反応槽20の水位を曝気槽2より高く維持する。
この構成により、各バルブ31を選択的に開放することで反応槽20の水深方向の特定部分の槽内混合液を曝気槽2へ返送することができる。よって、反応槽20において汚泥濃度勾配を形成して汚泥濃度の低い槽内混合液を曝気槽2へ返送し、曝気槽2から汚泥濃度の高い槽内混合液を返液することが可能となる。
本発明の実施の形態における膜分離装置を用いる生物学的処理装置を示す模式図 凝集剤が汚泥沈降におよぼす効果を示すグラフ図 汚泥濃度が流速におよぼす影響を示すグラフ図 本発明の他の実施の形態における膜分離装置を用いる生物学的処理装置を示す模式図 本発明の他の実施の形態における膜分離装置を用いる生物学的処理装置を示す模式図
符号の説明
1 流量調整槽
2 曝気槽
3 攪拌機
4 水中ポンプ
5 攪拌制御装置
6 送液制御装置
7 原水供給系
8 薬品供給系
9 膜分離装置
10 膜充填部
11 吸引ポンプ
12 散気管
13 ブロワ
14 送液管路
15 返送管路
16 汚泥排出系
20 反応槽
21 定量供給系
31 バルブ
32 バルブ制御装置

Claims (2)

  1. 無酸素槽もしくは嫌気槽からなる第1の槽において槽内混合液を攪拌機により攪拌し、曝気槽からなる第2の槽において散気装置から供給する空気により生起する上向流で膜分離装置の膜面洗浄を行いながら槽内混合液を固液分離し、第1の槽と第2の槽との間において槽内混合液を循環させて生物学的処理をするに際し、
    第1の槽において凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌し、攪拌後の一定時間の静置もしくは攪拌強度の調整によって水深方向の汚泥濃度勾配を形成し、所定水深下にある目標汚泥濃度の槽内混合液を第2の槽へ供給することで第1の槽および第2の槽の汚泥濃度をそれぞれ所定汚泥濃度に調整することを特徴とする膜分離装置を用いる生物学的処理方法。
  2. 攪拌機を配置した無酸素槽もしくは嫌気槽からなる第1の槽と、膜分離装置を浸漬した曝気槽からなる第2の槽と、前記攪拌機を制御して凝集剤を伴う槽内混合液を攪拌し、一定時間の静置後に、もしくは攪拌強度の調整によって第1の槽内に水深方向の汚泥濃度勾配を形成する攪拌制御装置と、目標汚泥濃度に相応する所定水深下の槽内混合液を第1の槽から第2の槽へ送液する送液手段と、第2の槽から第1の槽へ槽内混合液を返送する返送手段とを備えたことを特徴とする膜分離装置を用いる生物学的処理装置。
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