JP4306117B2 - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧供給ポンプにより加圧された高圧燃料をコモンレールに蓄圧し、このコモンレールに蓄圧された高圧燃料をインジェクタからエンジンに噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置に関するもので、エンジン回転速度とエンジン負荷とに応じたエンジンの最適燃焼を得るための適正な指令噴射量および指令噴射時期を電子制御により算出して決定する電子制御燃料噴射装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼルエンジンの排気ガスの規制強化、地球環境保護、ディーゼルエンジンの運転性の向上の観点から、燃料タンクから低圧供給ポンプにより汲み上げられた燃料を高圧供給ポンプで加圧して蓄圧室であるコモンレールに蓄圧し、そのコモンレールから分岐する分岐管の先端に設置される各インジェクタの電磁弁への通電または通電停止によりディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室内に適正な噴射量および噴射時期でコモンレールに蓄圧された高圧燃料を噴射することが可能なコモンレール式燃料噴射装置が用いられるようになってきた。
【0003】
例えば特開昭62−258160号公報に記載されたコモンレール式燃料噴射装置は、図5に示したように、エンジン負荷センサにより検出されるエンジン負荷としてのアクセル開度:ACCPとエンジン回転速度センサにより検出されるエンジン回転速度:NEとを制御パラメータとした2次元マップ101を用いて指令噴射量:QFINを算出し、この燃料噴射量:QFINとエンジン回転速度:NEとを制御パラメータとした2次元マップ102を用いて指令噴射圧力:PFINを算出し、その指令噴射量:QFINとエンジン回転速度:NEとを制御パラメータとした2次元マップ103を用いて指令噴射時期:TFINを算出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する噴射圧力については、高圧供給ポンプで加圧した高圧燃料をコモンレールに蓄圧するようにしているため、定速走行から加速走行へ移るためにエンジン負荷としてのアクセル開度:ACCPとエンジン回転速度:NEが増加する過渡時、指令噴射圧力:PFINが変更された際に、実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINに追従するのにある程度の時間を必要とする。
これにより、図3に示すように、加速時において、アクセル開度:ACCPが増大するとき、実コモンレール圧力:PC(図3に破線で示す)が指令噴射圧力:PFIN(図3に一点鎖線で示す)に一致するまでは、実コモンレール圧力:PCは、指令噴射圧力:PFINよりも小さい値となる。
【0005】
一方、上述のアクセル開度:ACCPの増大に伴い、図3に示すように、指令噴射量:QFINも破線の如く増大する。そして、上記指令噴射量:QFINに応じた燃料量で、インジェクタからディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室へ噴射されるよう、燃料噴射制御装置は、上記インジェクタの電磁弁を制御する。
したがって、上記指令噴射量:QFINで噴射されるよう、指令噴射圧力:PFINに到達していない実コモンレール圧力:PCに基づいて、インジェクタの噴射期間が設定されることとなる。すなわち、噴射期間は、過大となるよう制御されてしまう。
しかも、指令噴射時期:TFINは、上述の如く、指令噴射量:QFINとエンジン回転速度:NEとから決定される。よって、指令噴射時期の算出においては、加速時等において、指令噴射圧力に対して追従遅れする実コモンレール圧力の情報に基づいて演算されているわけではない。
【0006】
このような状況の中でインジェクタから燃料が噴射される場合、具体的に噴射率で見ると、コモンレール圧力は要求圧力(すなわち、指令噴射圧力:PFIN)のとき、指令噴射時期:TFINにて指令噴射量:QFINが噴射される場合には、図4上部の実線で示すような噴射率波形となる。一方、指令噴射圧力:PFINよりも低い実コモンレール圧力:PCのとき、指令噴射時期:TFINにて指令噴射量:QFINが噴射される場合には、図4下部の破線に示すように、上記要求圧力時での指令噴射量:QFINの噴射率に比べて、噴射期間が間延びしたものとなる。
このように、加速時に実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINに対して追従遅れすることにより、噴射期間が過大となると、ディーゼルエンジンの最適な燃焼期間をオーバーして燃料が燃焼室に噴射されることとなる。したがって、ディーゼルエンジンの排気ガス中に未燃ガスが多くなり、黒煙濃度(スモーク排出量)が増大し、ひいてはディーゼルエンジンの排気ガス性能が悪化するという問題があった。
【0007】
【発明の目的】
本発明の目的は、従来の噴射量制御または噴射時期制御を改良し、実際の噴射圧力に応じて噴射量制御または噴射時期制御を行うことにより、過渡時に、指令噴射圧力が変化する際の、指令噴射圧力に対する実際の噴射圧力の追従遅れを要因とするエンジンの排気ガス中の黒煙濃度の増加を抑えることができ、また、エンジンの排気ガス性能の悪化を抑制することのできる蓄圧式燃料噴射装置を提供することにある。さらに、指令噴射圧力に対する実際の噴射圧力の追従性または応答性を高めることのできる蓄圧式燃料噴射装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1および請求項3に記載の発明によれば、過渡時、つまり指令噴射圧力に対する実際の噴射圧力の追従遅れ時には、噴射圧力検出手段にて検出された検出噴射圧力と回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータによって算出されるガード噴射量以下に指令噴射量を制限することにより、インジェクタよりエンジンに噴射供給される噴射量が従来よりも減少するため、コモンレールから消費される燃料量を減少でき、その燃料量の減少分だけ指令噴射圧力に対する実際の噴射圧力の追従性および応答性も向上できる。それによって、指令噴射圧力に対する実際の噴射圧力の追従遅れ時でも、エンジンの排気ガス中の黒煙濃度を低減させることができる。
【0009】
請求項2および請求項4に記載の発明によれば、過渡時、つまり指令噴射圧力に対する実際の噴射圧力の追従遅れ時には、指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量と噴射圧力検出手段にて検出された検出噴射圧力と回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータによって、指令噴射時期を演算することにより、インジェクタよりエンジンに噴射供給される噴射時期が従来よりも進角または遅角する。それによって、指令噴射圧力に対する噴射圧力の追従遅れ時であっても、最適な噴射タイミングに制御でき、エンジンの排気ガス性能の悪化を抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔実施形態の構成〕
図1ないし図4は本発明の実施形態を示したもので、図1はコモンレール式燃料噴射装置を示した図である。
【0011】
本実施形態のコモンレール式燃料噴射装置は、多気筒内燃機関(例えば6気筒のディーゼルエンジン:以下エンジンと略す)1の各気筒に取り付けられた複数のインジェクタ2と、比較的に高い圧力の高圧燃料を蓄圧するサージタンクの一種であるコモンレール3と、燃料タンク4から低圧供給ポンプ5を経て吸入された燃料を高圧に加圧し、コモンレール3内に吐出する可変吐出量型の高圧供給ポンプ6と、複数のインジェクタ2を駆動する噴射制御用電磁弁7および高圧供給ポンプ6を駆動する噴射圧力制御用電磁弁9を電子制御する電子制御ユニット(燃料噴射制御装置:以下ECUと言う)10とを備えた電子制御燃料噴射システムである。
【0012】
各インジェクタ2は、コモンレール3より分岐する複数の分岐管11の下流端に接続され、エンジンの各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給する燃料噴射ノズルである。これらのインジェクタ2からエンジン1への燃料の噴射は、分岐管11の途中に設けられた電磁式アクチュエータとしての噴射制御用電磁弁7への通電および通電停止(ON/OFF)により電子制御される。
【0013】
また、インジェクタ2は、噴射制御用電磁弁7が開弁している間、コモンレール3に蓄圧された高圧燃料をエンジン1の気筒の燃焼室内に噴射供給する。そして、コモンレール3には、連続的に燃料噴射圧力に相当する高い圧力(コモンレール圧力:PC)が蓄圧される必要があり、そのために燃料配管12、吐出弁13を経て高圧供給ポンプ6が接続されている。
【0014】
高圧供給ポンプ6は、エンジン1のクランク軸の回転に伴って回転することで、燃料タンク4内の燃料を汲み上げる低圧供給ポンプ(フィードポンプ)5を内蔵し、この低圧供給ポンプ5により吸い出された燃料を加圧して高圧燃料を圧送するサプライポンプよりなる。この高圧供給ポンプ6には、電磁式アクチュエータとしての噴射圧力制御用電磁弁9が取り付けられている。その噴射圧力制御用電磁弁9は、ECU10からの制御信号により電子制御されることにより、高圧供給ポンプ6から吐出弁13、燃料配管12を経てコモンレール3への高圧燃料の圧送量を調整することで、各インジェクタ2からエンジン1に噴射供給する噴射圧力を変更する。
【0015】
この電子制御燃料噴射システムを制御するECU10は、本発明の指令噴射量演算手段、指令噴射圧力演算手段、指令噴射時期演算手段に相当する。このECU10には、例えばクランク角度センサ21よりクランク角度信号が入力され、アクセル開度センサ22よりエンジン負荷としてのアクセル開度信号が入力され、これらのエンジン運転情報より判断される最適の噴射時期、噴射量(=噴射開始時期から噴射終了時期までの噴射期間)となるようにECU10は噴射制御用電磁弁7に制御信号を出力する。ここで、ECU10およびクランク角度センサ21は、本発明の回転速度検出手段に相当する。また、アクセル開度センサ22は、本発明のエンジン負荷検出手段に相当する。
【0016】
同時に、ECU10はエンジン回転速度:NEとアクセル開度:ACCPにより判断される最適な噴射圧力となるように噴射圧力制御用電磁弁9に制御信号を出力する。さらに、より好ましくは、インジェクタ2からエンジン1へ噴射供給する実際の噴射圧力、つまり実コモンレール圧力:PCを検出する圧力センサ(本発明の噴射圧力検出手段に相当する)23をコモンレール3に配設し、圧力センサ23の検出噴射圧力(実コモンレール圧力:PC)が指令噴射圧力と一致するように高圧供給ポンプ6よりコモンレール3に吐出される吐出量を制御する。なお、冷却水温センサ24、吸気温センサ25、給気圧センサ、燃料温センサ等からの検出信号(エンジン運転情報)により噴射量、噴射時期、噴射圧力を補正しても良い。
【0017】
〔実施形態の制御方法〕
次に、本実施形態のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。ここで、図2はコモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示した図である。
【0018】
先ず、クランク角度センサ21よりクランク角度(パルス)信号が入力され、アクセル開度センサ22よりエンジン負荷としてのアクセル開度信号が入力され、更に、クランク角度信号の間隔時間を計算することでエンジン回転速度:NEが算出され、これらのアクセル開度:ACCPおよびエンジン回転速度:NEを制御パラメータとした2次元マップ41に基づいて指令噴射量:Qreqestを算出する。なお、エンジン負荷としてのアクセル開度:ACCPがあまり変化しない定速走行時には、この指令噴射量:Qreqestを、指令噴射量:QFINとして出力する。
【0019】
また、圧力センサ23により検出される実コモンレール圧力:PCおよびエンジン回転速度:NEを制御パラメータとした2次元マップ42に基づいてガード噴射量:Qguardを算出する。そして、指令噴射量:Qreqestとガード噴射量:Qguardとのうち低い方の値を、インジェクタ2の開弁期間(通電期間)を指令するための指令噴射量:QFINとして出力する。
【0020】
次に、算出した指令噴射量:Qreqestおよび算出したエンジン回転速度:NEを制御パラメータとした2次元マップ43に基づいて指令噴射圧力:PFINを算出する。そして、インジェクタ2の噴射時期(厳密には噴射を開始する時期)を指令するための指令噴射時期:TFIN2を出力する。この指令噴射時期:TFIN2は、算出した指令噴射量:Qreqest、圧力センサ23より検出した実コモンレール圧力:PCおよび算出したエンジン回転速度:NEを制御パラメータとした2次元マップ44に基づいて算出される。
【0021】
また、指令噴射量:QFINおよび実コモンレール圧力:PCを制御パラメータとした2次元マップ(図示せず)に基づいて噴射開始時期から噴射終了時期(インジェクタ通電終了時期)までの噴射期間(インジェクタ通電期間)を算出する。さらに、指令噴射圧力:PFINと実コモンレール圧力:PCとの圧力偏差に基づいて高圧供給ポンプ6の吐出量を算出する。そして、算出した噴射開始時期、噴射期間となるようにインジェクタ2の噴射制御用電磁弁7へ制御信号(インジェクタ駆動電流)が供給される。また、算出した吐出量となるように高圧供給ポンプ6の噴射圧力制御用電磁弁9へ制御信号(ポンプ駆動電流)が供給される。
【0022】
〔実施形態の特徴〕
以上のように、コモンレール式燃料噴射装置においては、指令噴射圧力:PFINと実コモンレール圧力:PCとが一致するように高圧供給ポンプ6の噴射圧力制御用電磁弁9へ制御信号を出力している。そして、高圧供給ポンプ6で加圧した高圧燃料をコモンレール3に蓄圧するようにしているため、算出される指令噴射圧力:PFINが変化(増加)する際の、実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINに追従するのにある程度の時間を必要とする。これにより、実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINに一致するまでの間は、指令噴射圧力:PFINと実コモンレール圧力:PCとが相違することとなる。
【0023】
このため、加速時に、算出された指令噴射量:QFINとなるよう、現在の実コモンレール圧力:PC(指令噴射圧力:PFINよりも小さい)に基づいて算出される噴射期間は、上述した如く、図4上部に示した要求圧力時(すなわち、指令噴射圧力:PFIN)に比べて、図4下部の破線で示すように過大となってしまう。したがって、ディーゼルエンジンの最適な燃焼期間をオーバーして燃料が燃焼室に噴射されることとなるため、ディーゼルエンジンの排気ガス中に未燃ガスが多くなり、黒煙濃度(スモーク排出量)が増大し、ひいてはディーゼルエンジンの排気ガス性能が悪化する。
【0024】
そこで、本実施形態では、アクセル開度:ACCPおよびエンジン回転速度:NEを制御パラメータとした2次元マップ41により算出される指令噴射量:Qreqestと実コモンレール圧力:PCとエンジン回転速度:NEとを制御パラメータとした2次元マップ42により算出されるガード噴射量:Qguardとを比較して、定速走行から加速走行に移ったとき、つまり指令噴射圧力に対するコモンレール圧力の追従遅れ時の指令噴射量:QFINをガード噴射量:Qguardに制限している。それによって、図3のタイミングチャートに実線で示したように、算出される指令噴射量:QFINが従来よりも減少するため、エンジン1の最適な燃焼期間を超えて、燃料が燃焼室へ噴射されることを防止できる。したがって、エンジン1の排気ガス中の未燃ガスが少なくなり、エンジン1の排気ガス中の黒煙濃度を減少させることができる。
【0025】
また、エンジン1の各気筒毎に取り付けられた各インジェクタ2から各気筒の燃焼室内へ噴射供給される噴射量が減少する。これにより、コモンレール3から消費される燃料量が減少するので、コモンレール3内の残留圧力が従来よりも大きくなる。したがって、燃料量が従来よりも減少した分だけ、実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINに追従するのに必要な時間が短縮され、指令噴射圧力:PFINに対する実コモンレール圧力:PCの追従性および応答性が良好となる。
【0026】
また、本実施形態では、指令噴射量:QFINと実コモンレール圧力:PCとエンジン回転速度:NEとを制御パラメータとした2次元マップ44により算出される指令噴射時期:TFIN2を使用している。ここで、2次元マップ44は、図2上では、実コモンレール圧力:PCがP1(大)=120MPa、P2(中)=85MPa、P3(小)=50MPaの3段階のマップを簡略的に示してある。詳細には、コモンレール圧力毎(例えば10MPa毎)に、このようなマップが設定されている。そして、現在の実コモンレール圧力:PCに基づいて、インジェクタ2の指令噴射時期:TFIN2が算出されることとなる。
【0027】
なお、上記マップにおけるTFIN2は、同一のエンジン回転速度:NEおよび指令噴射量:QFINでは、実コモンレール圧力:PCが増大するにつれ、小さくなるように設定されている。このように設定された2次元マップ44にて、指令噴射時期:TFIN2が設定されるため、指令噴射圧力:PFINに対して、実コモンレール圧力:PCが追従遅れをして小さい値となる加速時には、その実コモンレール圧力:PCに応じた指令噴射時期:TFIN2が設定されることとなる。
【0028】
具体的に言うと、上述の如く、2次元マップ44はコモンレール圧力が増大するにつれ、指令噴射時期:TFIN2が小さくなるように設定される。したがって、加速時には、指令噴射圧力:PFINよりも、実コモンレール圧力:PCが小さいため、図4下部の実線に示すように、要求圧力(指令噴射圧力:PFIN)に基づいた指令噴射時期:TFINよりも大きな指令噴射時期:TFIN2で燃料が噴射されることとなる。すなわち、噴射時期が進角されることとなる。なお、この図4下部の実線で示す噴射率は、説明の便宜上、図2の2次元マップ42で算出されるガード噴射量:Qguardにて、指令噴射量を制限しない場合のもので図示されている。
【0029】
このように、実コモンレール圧力:PCに基づいて指令噴射時期:TFIN2が進角され、最適な噴射時期に設定されることにより、エンジン1の最適な燃焼期間を超えて、燃料が燃焼室へ噴射される事態を回避することが可能となる。したがって、エンジン1の排気ガス中の未燃ガスが少なくなり、エンジン1の排気ガス中の黒煙濃度を減少させることができる。
なお、上述の指令噴射時期:TFIN2を算出する2次元マップ44は、減速時においても有効である。
【0030】
ここで、減速時は、加速時とは逆に、指令噴射圧力:PFINに対して、実コモンレール圧力:PCが大きくなる追従遅れが発生するが、この場合だと、指令噴射圧力:PFINよりも大きな実コモンレール圧力:PCに基づいて、噴射期間は短めに演算されることとなる。
そして、上述した従来の技術のように、指令噴射量:QFINとエンジン回転速度:NEとから決定された指令噴射時期:TFINにて、上記短めの噴射期間で燃料が噴射されると、燃焼室内で激しい燃焼となり、ひいてはNOxの増大を引き起こす恐れがある。したがって、減速時においても、エンジン1の排気ガス性能の悪化を引き起こすという問題がある。
【0031】
これに対して、上述の2次元マップ44にて、指令噴射時期:TFIN2が設定されれば、減速時における実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINよりも大きい状態では、指令噴射時期:TFIN2は、コモンレール圧力が指令噴射圧力:PFINであるときよりも小さい値が設定される。すなわち、噴射時期が遅角されることとなる。
【0032】
このため、減速時にて実コモンレール圧力:PCが指令噴射圧力:PFINよりも大きい状態となったときにおいても、噴射時期を遅角させることにより、燃焼が激しくなるような領域を避けて、燃料を燃焼室内に噴射することが可能となるので、NOxの低減を図ることができる。よって、エンジン1の排気ガス性能の悪化を抑制することができる。
【0033】
なお、上述した実施形態では、図2の2次元マップ42で算出されるガード噴射量:Qguardにて、指令噴射量を制限し、且つ、図2の2次元マップ44にて指令噴射時期:TFIN2を、実コモンレール圧力:PCに応じて、進角制御、遅角制御させるもので説明した。
【0034】
このような実施形態に限らず、最適な燃焼期間を超えて燃料を噴射することによるエンジン1の排気ガス性能の悪化を抑制するために、図2の2次元マップ42で算出されるガード噴射量:Qguardにて、指令噴射量を制限する制御をし、指令噴射時期については従来の技術のようなTFINを算出するようにしても良い。
【0035】
また、指令噴射量:QFINを、従来の技術のように、アクセル開度:ACCPおよびエンジン回転速度:NEから算出するのみとし、この指令噴射量:QFINを、図2の2次元マップ44で、実コモンレール圧力:PCに応じて算出される指令噴射時期:TFIN2により進角制御、遅角制御にて、燃料噴射させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射装置の概略構成を示した構成図である(実施形態)。
【図2】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したブロック図である(実施形態)。
【図3】指令噴射圧力変更時のアクセル開度、指令噴射量、実コモンレール圧力およびスモーク排出量の挙動を示したタイミングチャートである(実施形態)。
【図4】要求圧力時の噴射率波形および実コモンレール圧力追従遅れ時の低圧、高噴射量時の噴射率波形を示したタイミングチャートである(実施形態)。
【図5】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したブロック図である(従来の技術)。
【符号の説明】
1 エンジン
2 インジェクタ
3 コモンレール
6 高圧供給ポンプ
7 噴射制御用電磁弁
6 高圧供給ポンプ
9 噴射圧力制御用電磁弁
10 ECU(指令噴射量演算手段、指令噴射圧力演算手段、燃料噴射制御装置、指令噴射時期演算手段)
21 クランク角度センサ(回転速度検出手段)
22 アクセル開度センサ(エンジン負荷検出手段)
23 圧力センサ(噴射圧力検出手段)
Claims (4)
- (a)加圧した高圧燃料を吐出する高圧供給ポンプと、
(b)この高圧供給ポンプより吐出された高圧燃料を蓄圧するコモンレールと、
(c)このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料をエンジンに噴射供給するインジェクタと、
(d)エンジン回転速度を検出する回転速度検出手段と、
(e)エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、
(f)エンジンへの噴射圧力を検出する噴射圧力検出手段と、
(g)前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度と前記エンジン負荷検出手段にて検出されたエンジン負荷との制御パラメータにより指令噴射量を算出する指令噴射量演算手段、
およびこの指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量と前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータにより指令噴射圧力を算出する指令噴射圧力演算手段を有し、
この指令噴射圧力演算手段により算出された指令噴射圧力に応じて前記高圧供給ポンプを制御すると共に、前記指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量に応じて前記インジェクタを制御する燃料噴射制御装置とを備え、
前記燃料噴射制御装置は、過渡時の指令噴射量を、前記噴射圧力検出手段にて検出された検出噴射圧力と前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータにより算出されるガード噴射量以下に制限することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - (a)加圧した高圧燃料を吐出する高圧供給ポンプと、
(b)この高圧供給ポンプより吐出された高圧燃料を蓄圧するコモンレールと、
(c)このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料をエンジンに噴射供給するインジェクタと、
(d)エンジン回転速度を検出する回転速度検出手段と、
(e)エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、
(f)エンジンへの噴射圧力を検出する噴射圧力検出手段と、
(g)前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度と前記エンジン負荷検出手段にて検出されたエンジン負荷との制御パラメータにより指令噴射量を算出する指令噴射量演算手段、
この指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量と前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータにより指令噴射時期を算出する指令噴射時期演算手段、
および前記指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量と前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータにより指令噴射圧力を算出する指令噴射圧力演算手段を有し、
この指令噴射圧力演算手段により算出された指令噴射圧力に応じて前記高圧供給ポンプを制御すると共に、前記指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量に応じて前記インジェクタを制御する燃料噴射制御装置とを備え、
前記燃料噴射制御装置は、過渡時の指令噴射時期を、前記指令噴射量演算手段にて算出された指令噴射量と前記噴射圧力検出手段にて検出された検出噴射圧力と前記回転速度検出手段にて検出されたエンジン回転速度との制御パラメータにより演算することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記指令噴射量演算手段は、エンジン負荷およびエンジン回転速度を制御パラメータとした2次元マップに基づいて指令噴射量を算出し、
前記ガード噴射量は、検出噴射圧力およびエンジン回転速度を制御パラメータとした2次元マップに基づいて算出され、
前記燃料噴射制御装置は、前記指令噴射量演算手段により算出した指令噴射量がガード噴射量よりも大きいときに、ガード噴射量を最終の指令噴射量とすることで、過渡時の指令噴射量をガード噴射量以下に制限することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項2に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記燃料噴射制御装置は、最終の指令噴射量およびエンジン回転速度を制御パラメータとして検出噴射圧力毎に設定された2次元マップに基づいて、過渡時の指令噴射時期を算出することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
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