JP4304195B2 - 生物学的粒子をソーティングする装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生物学的粒子(例えば、細胞、染色体)の生物学的情報を取得すると共に取得した生物学的情報に基づいて粒子をソーティングする装置と方法に関する。特に、本発明は、蛍光色素などを用いて染色された細胞や染色体を層流状態で流し、その流れにレーザ光などの光を照射して得られる情報光(散乱光、蛍光)を検出し、検出された情報光に含まれる光学的情報を電気信号に変換して細胞や染色体の生物学的情報を取得し、さらに必要であればその生物学的情報をもとに特定の細胞や染色体の集団を採取するフローサイトメータまたはセルソータに関する。
バイオテクノロジーの発展に伴い、医学や生物学などの分野では、細胞や染色体など(以下「細胞」という。)の自動分析および分別を行う流動式細胞分析装置(フローサイトメータ)が用いられている。この流動式細胞分析装置は、分析対象である細胞粒子を、細胞整列手段である流路内で一列にして流し、この流れてくる粒子にレーザ光を照射し、粒子より生じる情報光(前方散乱光、蛍光・側方散乱光)を検出して電気信号に変換し、これらの電気信号に基づいて細胞を分析するものであり、多数の細胞を高速で分析し、必要であれば特定の細胞の集団を採取できるものである。
図16は一般的なフローサイトメータの構成と、その作動を説明するための模式図である。この図に示すフローサイトメータ200では、容器中にあって細胞を含む懸濁液201は、別の容器中にあるシース液202とともに、エアーポンプ203によって漏斗状のフローチャンバ(ノズル)204に導かれる。フローチャンバ204の内部では、シース液202が懸濁液201を円筒状に包み込む層流、すなわち細胞をフローセルの中心軸に沿って一つ一つ正確に流すシースフローが形成される。フローチャンバ204の下部ではシースフローの高速流が形成され、そこにレーザ光源205から出射されて集束レンズ206によって絞り込まれたレーザ光207が照射される。懸濁液201に含まれる細胞は、多くの場合、蛍光染料や蛍光ラブルモノクロナール抗体などの蛍光物質で蛍光標識されている。したがって、細胞がレーザ光207中を経過するとき、散乱光と蛍光が発生する。
散乱光は、集光レンズ208とビームブロック209からなる集光光学系を経て、例えばフォトダイオードなどの検出器210で検出される。一方、蛍光については、赤色蛍光が集光レンズ211、ハーフミラー212、集光レンズ213、フィルタ214からなる集光光学系で集められ、光検出器215で検出され、また緑色蛍光はハーフミラー212から集光レンズ216、フィルタ217で集められ、光検出器218で検出される。通常、蛍光の検出器215、218には、微弱光の検出が可能な光電子増倍管が用いられる。散乱光を検出する検出器210、赤色蛍光を検出する光検出器215および緑色蛍光を検出する光検出器218からの信号は、それぞれ信号処理回路219に送られ、ここで散乱光と蛍光の強度を分析することにより細胞の同定が行われる。
図17に示すように、信号処理回路219の同定結果は、荷電部220に送信される。荷電部220は、同定された細胞がシースフロー下端のブレークオフポイント221に到達し、同定された細胞を含む液滴が形成される直前に、すなわちシースフロー下端のブレークオフポイント221に到達して液滴となる直前に、同定結果に基づいて懸濁液201とシース液202に所定の極性の電荷を印加する。その結果、ブレークオフポイント221でシースフローから分離した液滴は、所定の極性の電荷が与えられている。荷電された液滴は、ブレークオフポイント221の下方に配置されるとともに異なる極性の電圧が印加されている一対の電極222,223の間でそれらの一方に電気的に吸引されて偏向し、電極222,223の下方にそれぞれ配置されている捕集管224又は225にソーティングされる。(例えば、特許文献1〜4参照)
特開昭59−643号公報 特開昭59−184862号公報 特開昭60−195436号公報 特表平3−503808号公報
このように、フローサイトメータでは、検出される細胞の高さ(レベル)(検出位置)と、検出された細胞に電荷が付与される高さ(レベル)(荷電位置)が異なる。そのため、フローサイトメータを稼動する前に、これら検出位置から荷電位置までの距離を正確に測定し、これを装置の固有値として入力する必要がある。ところが、適正な荷電位置は液体(懸濁液とシース液)の粘度や温度、及びジェットノズルの状態によって変動し、それによりソーティングの精度が低下するという問題があった。また、検出位置から荷電位置までの距離を計測するためにカメラを設置し、このカメラを上下して検出位置から荷電位置までの距離を計測することは可能であるが、それにはカメラを昇降する機構が必要であるし、その方法事態は極めて煩雑な作業である。
そこで、本発明によれば、生物学的粒子を含む液体のフローに光を当て、該生物学的粒子からの光を検出して、該生物学的粒子の生物学的情報を取得し、取得した生物学的情報に基づいて生物学的粒子をソーティングする装置であって、
上記生物学的粒子からの光を検出する光検出部と、
上記フローに振動を与える振動発生器と、
上記フローとこのフローから分離した液滴を撮像する固定撮影部と、
上記撮影部で撮影された画像を利用して、ブレークオフポイントとこれに最も近い液滴との間に形成された、液滴より小さいサテライトドロップの大きさを検出する手段と、
上記サテライトドロップの大きさに応じて上記振動発生器の振動の大きさを制御する手段を備えた装置を提供することができる。
本発明の装置において、上記検出手段は、サテライトドロップのフロー方向に沿った長さを検出する。
また、本発明によれば、生物学的粒子を含む液体のフローに光を当て、該生物学的粒子からの光を検出して、該生物学的粒子の生物学的情報を取得し、取得した生物学的情報に基づいて生物学的粒子をソーティングする方法であって、
上記生物学的粒子からの光を検出する工程と、
上記フローに振動を与える工程と、
上記フローとこのフローから分離した液滴を撮像する工程と、
上記撮影された画像を利用して、ブレークオフポイントとこれに最も近い液滴との間に形成された、液滴より小さいサテライトドロップの大きさを検出する工程と、
上記サテライトドロップの大きさに応じて上記振動の大きさを制御する工程を備えた方法を提供することができる。
このような構成を備えた装置と方法によれば、シースフローを一定位置に安定して形成することができる。そのため、粒子を正確にソーティングすることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る生物学的粒子の情報を得る装置の実施形態であるフローサイトメータを説明する。
(1)光学的要素:
図1は、フローサイトメータの光学的要素を示す。この図に示すように、フローサイトメータ1は、蛍光染料及び蛍光抗体で染色された生物学的粒子(細胞または染色体)を含む液体(通常、細胞を含む懸濁液とシース液とからなる。)が流れる細い流路を形成する流路ブロック(流路形成部)2(図2参照)を有する。流路ブロック2に形成されている流路3の中を流れるシースフロー(流れ)4に光を照射する照明部5は、複数の励起光源を備えている。これら複数の光源には、異なる波長のレーザ光を発生するレーザ発生器が好適に利用される。例えば、本実施の形態では、3つの励起光源を備えており、第1の光源として波長488nmの第1のレーザ光(アルゴンレーザ)を発生する第1のレーザ発生器6Aが使用され、第2の光源には波長635nmの第2のレーザ光(ヘリウムネオンレーザ)を発生する第2のレーザ発生器6Bが使用され、第3の光源として波長375nmの第3のレーザ光(紫外線レーザ)を発生する第3のレーザ発生器6Cが使用されている。
照明部5はまた、第1〜第3のレーザ発生器6A〜6Cから出射された第1〜第3のレーザ光8A〜8Cをシースフロー4に導光するために光ファイバ9A〜9C、ビームエキスパンダ10A〜10Cを備えており、レーザ発生器6A〜6Cから出射されたレーザ光は光ファイバ9A〜9Cを介してビームエキスパンダ10A〜10Cで調整された後、2つの反射/透過ミラー11B,11Cを介して合成され、一つの集光レンズ12でシースフロー4に集光される。
流路ブロック2の反対側には、流路ブロック2内の流路を流れる粒子に照射された光の前方散乱光(情報光)を検出する第1の検出装置21が配置されている。この第1の検出装置21は、図16を参照して説明した従来のフローサイトメータと同様に、集光レンズ22、光検出器23を備えており、細胞からの前方散乱光を集光レンズ22で光検出器23に集光するようにしてある。光検出器23は信号処理部24に接続されており、光検出器23で検出された情報が信号処理部24に送信されて処理されるようにしてある。信号処理部24における信号処理は後に説明する。一方、細胞の蛍光・側方散乱光(情報光)を検出する第2の検出装置25は、第1のレーザ光8A〜第3のレーザ光8Cの蛍光・側方散乱光をそれぞれ検出する第1の光ファイバ26A〜第3の光ファイバ26Cを備えており、これら第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cの一端が第1〜第3のレーザ光8A〜8Cの集光高さに対応する位置にそれぞれ固定されている(図4参照)。第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cの他端は、それぞれファイバコネクタ27A〜27Cを介して第1〜第3の分光器28A〜28Cにそれぞれ光接続されている。
第1〜第3の分光器28A〜28Cは、第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cから出力された光を分光する一つ又は複数の分光フィルタ(ハーフミラー)30A〜30Cを備えている。これら複数の分光フィルタ30A〜30Cは、予め決められたそれぞれの周波数領域の波長を反射・透過する性能を備えている。また、光の進行方向に関して分光フィルタ30A〜30Cの下流側には、各分光フィルタで反射された光の中から特定の波長域の光だけを選択的に透過するバンドパスフィルタ31A〜31Cが配置されている。さらに、光の進行方向に関して複数のバンドパスフィルタ31A〜31Cの下流側には各バンドパスフィルタを透過した情報光(側方散乱光と所定の蛍光色素に対応した蛍光)を検出するために複数の光検出器32A〜32C(SSC,FL1〜FL8)が設けてある。
このように構成されたフローサイトメータ1によれば、第1〜第3のレーザ発生器6A〜6Cで生成された第1〜第3のレーザ光8A〜8Cは、光ファイバ9A〜9C、ビームエキスパンダ10A〜10C、集光レンズ12を介して、流路ブロック2の流路3内を流れるシースフロー4によって導光されて粒子に集光される。このとき、レーザ光8A〜8Cは異なる波長を有することから、図示するように一つの集光レンズ12で集光する場合、波長差に起因する軸上色収差を生じる。そこで、実施の形態では、この波長差に起因する軸上色収差を消去するため、第1〜第3のレーザ光8A〜8Cの波長に対応して、それぞれビームエキスパンダ10A〜10Cで、本来平行光であるべきレーザ光8A〜8Cを僅かに非平行光に調整し、調整したレーザ光を集光レンズ12によって目的の場所に集光するようにしている。
シースフロー4によって搬送される生物学的粒子は、予め決められた複数の蛍光色素または蛍光抗体によって染色されている。そして、入射光の前方に散乱した前方散乱光が第1の検出装置21の集光レンズ22によって集光されて光検出器23に入射され、この光検出器23によって前方散乱光に含まれる光情報が読み取られて対応する電気信号に変換される。第1のレーザ光8が照射された粒子から出た側方散乱光と蛍光は入射光の側方に配置された第2の検出装置25の第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cによってそれぞれ受光される。光ファイバ26A〜26Cに受光された光はファイバコネクタ27A〜27Cを介して第1〜第3の分光器25A〜25Cに送られ、そこで分光フィルタ30A〜30Cによって複数の光に分解された後、バンドパスフィルタ31A〜31Cを介して光検出器32A〜32Cによって検出される。各光検出器32A〜32C(SSC,FL1〜FL8)は、バンドパスフィルタ31A〜31Cを通過した異なる波長域の光だけを検出する。以上のようにして光検出器32A〜32Cに検出された光は、その光に含まれる情報に対応した電気信号に変換された後、信号処理部24に送信されて処理され、処理後の信号が粒子の生物学的性質の同定や後に説明するソーティング処理に利用される。
(2)流体力学的要素:
フローサイトメータの流体力学的要素を説明する。図2は、フローサイトメータ1の層流形成容器40と該容器40の下端部に連結された流路ブロック2を模式的に表した図である。この図に示すように、容器40は、概略、上部の大径筒部41と、下部の小径筒部42と、これらの大径筒部41と小径筒部42を連結するテーパ部43を同心的に備えており、内部に層流形成室44を形成している。容器40の上端部は、シース液供給部45に接続されている。容器40の天井部には容器40の中心軸に沿って伸びる鞘管47が固定されており、生物学的粒子(細胞又は染色体)を含む液体を供給する供給部48に接続された供給管49が鞘管47に挿入されている。鞘管47の内径と供給管49の外径は、鞘管47に対して供給管49が上下に移動できるとともに鞘管47に対して供給管49が若干角度調整できるように決められている。そのため、鞘管47と供給管49との間には隙間が存在するが、この隙間はゴム製のOリング等の適宜シール部材(図示せず)によってシールされている。
容器40の下端部に連結された流路ブロック2は、光を透過できる材料、例えば水晶、ガラス、溶融シリカまたは透明プラスティックからなる群から選択された材料で作られており、容器中心軸と同軸上に細い流路3が形成されている。図3に示すように、流路3は長方形の断面を有し、長手方向の壁面55,56をX方向に向け、短手方向の壁面57,58をY方向に向け、一方の短手方向壁面57から第1〜第3のレーザ光8A〜8Cが入射され、前方散乱光59が対向する他方の短手方向壁面58から出射するとともに一方の長手方向壁面56から蛍光・側方散乱光60が出射するように配置される。
流路ブロック2はまた、図3と図4に拡大して示すように、蛍光・側方散乱光を検出する第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cを保持している。これらの光ファイバ26A〜6Cは、通常の光ファイバと同様に、光を導光するコアと、コアの周囲を被覆するクラッドからなる。これら第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cの一端面61A〜61Cは、それらの中心軸と直交する方向に加工されており、流路3の長手方向壁面56と所定の距離をあけて、容器中心軸と直交する水平方向(Y方向)に向けて配置されている。
図2と図4を参照すると、流路ブロック2は、下端オリフィス74から吐出される液体をそれぞれが細胞を含む液滴に分離するために、上下方向又は半径方向に振動を与える振動発生器89を保持している。振動発生器89は、小径筒部42の周囲に対称に複数配置するのが好ましい。また、振動発生器89には、ピエゾ素子(PZT)を用いるのが好ましい。
図4に示すように、フローサイトメータ1はまた、特定の粒子集団を採取するソーティング装置90を備えている。このソーティング装置90は、電荷注入回路91と、電極駆動回路(電源回路)92を有する。電荷注入回路91は、オリフィス74から噴射される液体に接触する注入電極93に接続されている。また、電極駆動回路92は、オリフィス74の下方に該オリフィス74から噴射される液体の両側に配置された一対の導電性電極板(偏向板)94,95に接続されている。なお、注入電極93の設置場所は限定的ではなく、流路ブロック2内の流路を流れる液体と接触することができればよい。
(3)基本動作:
このような構成を備えたフローサイトメータ1によれば、図2に示すように、シース液供給部45から供給されたシース液は容器40の内部を下方に向けて移動する。単位時間当たりのシース液の供給量は、容器40の内部をシース液が容器中心軸を中心として層流状態で移動するように決定する。一方、供給部48から供給された懸濁液は、供給管49を介して、層流状態で流れるシース液の中心に供給される。これにより、シース液が懸濁液の周囲を囲む円筒状の層流、すなわち粒子を容器40の中心軸に沿って一つ一つ正確に流すシースフローが形成される。次に、懸濁液とシース液は、容器40のテーパ部43で加速された後、小径筒部42に送られた後、流路ブロック2に入ってテーパ流路3で再び加速されて流路3に入る。
図3に示すように、流路3を通過する粒子は第1〜第3のレーザ光8A〜8Cが照射されることにより、前方散乱光と蛍光・側方散乱光を生じる。前方散乱光59は、第1〜第3のレーザ光8A〜8Cの延長上にある壁面58から流路ブロック2の外部に出て、第1の検出装置21で検出される。他方、第1〜第3のレーザ光8A〜8Cによる蛍光・側方散乱光60は第1〜第3の光ファイバ26A〜26Cにそれぞれ集光され、第2の検出装置25で検出される。
図4に示すように、流路3を通過したシース液は、オリフィス74からジェット噴射される。噴射されたシース液は、振動発生器89から容器40の小径筒部42に加えられた振動によって、それぞれに粒子を収容した液滴となる。特に、本実施の形態では、振動発生器89が容器40の小径筒部42に設けてあるので、振動発生器89が発生した振動が効率良く層流混合液に伝達され、良好に液滴96に分離される。
オリフィス74から噴射されるシース液に含まれる液滴は、電荷注入回路91から注入電極93に印加される電圧の正極性又は負極性に荷電される。電極に印加する電圧の極性は、信号処理部24で検出された粒子の生物学的性質に基づいて決定される。荷電された液滴96は、電極板94a,95aの間を通過する際に偏向され、特定の粒子だけが採取される。
(4)制御回路:
図5は、信号処理部24とソーティング装置90の回路構成を示す。図示するように、信号処理部24は複数のアンプ101を備えており、第1の検出部21と第2の検出部25の光検出器から出力された信号(前方散乱光、側方散乱光、蛍光に対応する信号)がそれぞれ増幅される。増幅された信号は、A/D変換器102でアナログ信号からデジタル信号に変換された後、メモリ103に送信されて記憶される。
上述のように、第2の検出部における3つの光ファイバ26A〜26Cは、流路3の流れの方向に関して異なる位置に配置されている。したがって、一つの粒子から出た蛍光・散乱光を下流側の光ファイバで検出する時刻は、同一の粒子から出た蛍光・散乱光を上流側の光ファイバで検出する時刻よりも所定時間遅れる。その結果、一つの粒子について、各光ファイバからアンプ101に信号が入力される時間に所定時間の差を生じる。そのため、本実施形態ではアンプ101がタイミング制御部104に接続されており、上記所定の時間遅れを考慮したタイミングをもってタイミング制御部104から送信される信号に基づき、一つの粒子に関連した信号が複数のアンプ101から同時に出力される。また、メモリ103から出力されたデジタル信号はコンペンセーション回路105、増幅回路106で処理された後、ソーティング装置90に出力されて上述した液滴(粒子)のソーティング処理に利用される。また、信号処理回路24から出力される信号は、ソーティング装置90に出力されて液滴制御及びソーティング制御に利用される。
ソーティング装置90は、液滴制御部110と荷電制御部120を有し、これら液滴制御部110と荷電制御部120は信号処理部24に接続されている。
ソーティング装置90は、オリフィス74から噴射される液体の流れ(シースフロー111)の下端部及びその周辺領域を撮影する固定カメラ(撮影部)112に接続されている。シースフロー110を挟んで固定カメラ112の反対側には、シースフロー111に向けて所定の周期で光を発するストロボ113が固定されている。
カメラ112の出力は、カメラ112の映像信号をデジタル処理するビデオデジタイザ(ビデオキャプチャ)114に接続されており、カメラ112で撮影された画像(映像信号)がビデオデジタイザ114でデジタル信号に変換される。ビデオデジタイザ114は、液滴制御部110に内蔵されている記憶部116に接続されており、カメラ112で撮影された画像が映像情報として記憶部116に記憶される。記憶部116と共に液滴制御部110に内蔵されている中央制御部117は記憶部116に接続されており、記憶部116に記憶されている映像情報をもとに以下に説明する処理を行う。中央制御部117は、振動発生器駆動部118とストロボ駆動部119に接続されており、振動発生器89とストロボ113の駆動を制御する。中央制御部117は、粒子が検出位置を通過した時点から、粒子が液滴に含まれた状態でシースフロー111から分離する直前までの時間(遅延時間)を制御するドロップディレイ制御部121に接続され、さらにドロップディレイ制御部121が電荷注入回路91に接続されている。
ストロボ113の発光周期tは、振動発生器89に印加する信号の周期、すなわち振動発生器89の振動周期と同一に固定されており、この周期tと液滴が形成される周期は完全に一致している。したがって、固定カメラ112で撮影されるシースフロー111は、図6に示す一定の形を有する。
ところで、シースフロー111の流速vは、次の式(1)で与えられる。
Figure 0004304195
L:レーザ集光位置(検出位置)LIP(Laser Intercept Point)からシースフローの下端位置(ブレークオフポイント)BP(Breakoff Point)までの距離
T:粒子が検出位置LIPから下端位置BPまで移動する時間
また、粒子の移動速度(液滴の落下速度)は、ストロボ113の発光周期を用いて、次の式(2)で表すことができる。
Figure 0004304195
λ:液滴の間隔
t:ストロボの発光周期
式(1)、(2)より、次の式(3)が導かれる。
Figure 0004304195
また、式(3)は、次の式(4)に変形できる。
Figure 0004304195
式(4)における(T/t)は、粒子が検出位置LIPからブレークオフポイントBPまで移動する時間(T)をストロボ発光周期(t)で割ったもので、検出位置LIPからブレークオフポイントBPまでの間に存在し得る粒子の数に対応しており、以下の説明では必要に応じて「ドロップディレイDD」という。ただし、ドロップディレイDDは、整数ではなく、小数点以下の値を含み得る数である。したがって、ドロップディレイDDを用いると、式(4)は次の式(5)に変形できる。
Figure 0004304195
図6は、カメラ112の撮影領域を併せて示しており、四角の枠130で囲まれた領域131が撮影された画像である。上述のように、振動発生器89の発振周波数とストロボ113の発光周波数は完全に一致しているため、カメラ112で撮影されたシースフロー及び該シースフローから分離した液滴の画像は、他の原因(例えば、振動発生器89に印加するパルスの電圧)が変化しない限り、図示する状態に留まる。また、図示するように、カメラ112で撮影されるのはブレークオフポイントBPを含むシースフロー111の一部であり、後に説明する画像処理で所定の分解能を得るために、検出位置LIPは含めない。
ブレークオフポイントBPから撮影画像上端132までの距離Lは、例えば、シースフロー111に沿ってその近傍に適当なスケール又はこれに代わる基準寸法物を配置し、撮影された画像の大きさ(画素数)と対比することにより計測することができる。
画像上端132から検出位置LIPまでの距離LB0は、以下に説明する計算過程1〜3に基づいて計算することができる。これらの計算過程は、中央制御部117で自動的に行われる。
計算過程1:
計算過程1は、粒子が検出位置LIPからブレークオフポイントBPまで移動する時間Tを計算する過程である。この計算過程1では、粒子間隔を十分あけた状態で粒子を流し、遅延時間Δt’を変化させながら、注入電極93に所定の極性(正極性又は負極性)の電荷を注入し、目的の方向に偏向した粒子の数をカウントする。目的の方向に偏向する粒子の数が最も多い状態は遅延時間Δt’が移動時間Tに一致した状態であり、その状態から電荷注入タイミングがずれると液滴及び粒子に電荷が適正に注入されず、目的の方向に偏向されない。したがって、遅延時間Δt’を変化すると、ガウス分布状態の時間遅れ(Δt’)−粒子数(カウントされた粒子数)特性(図示せず)が得られ、ガウス分布のピークに対応する時間遅れΔt’(peak)が移動時間Tに相当し、中央制御部117は時間遅れΔt’(peak)を計算し、これを移動時間Tとして記憶部116に記憶させる。
計算過程2:
計算過程2は、検出位置LIPからブレークオフポイントBPの間に存在し得る又は存在する複数の粒子の粒子間平均距離(これは、液滴の間隔に相当する。)λを計算する過程である。図6を参照すると、シースフロー111から形成される液滴133に対応して、シースフロー111には一定の間隔をあけて大径部分と小径部分が交互に形成されており、粒子間距離がシースフローにおける大径部分(又は小径部分)の間隔に対応している。したがって、中央制御部117は、画像データを二値化してシースフロー111を背景の画像から区別する。カメラ112で撮影したシースフロー111の撮影画像を二値化して得られた画像データの編集結果を図7に示す。この図7は、撮影画像の上下方向の各高さ〔y(i)〕を縦軸、横方向の画素数〔x(i)〕を横軸に示している。また、図に示されたY(1)‥Y(4)‥が各大径部の最大径部分(ピーク)の高さを表し、ピーク間の距離(平均距離)が間隔λを表す。
具体的に、計算過程2では、図9のフローチャートに示すように、中央制御部117は、後の処理に必要なデータ(i:Y軸方向の列番号、I:ピーク番号、F1:フラグ)を初期化し(1001)、i+1列に含まれるシースフローの画素数とi列に含まれるシースフローの画素数を比較する(1002)。i+1列の画素数x(i+1)がi列の画素数x(i)よりも大きい場合(画素数が増加傾向にある場合)、フラグF1を1に設定し(1003)、列番号iをカウントアップする(1004)。一方、i+1列の画素数x(i+1)がi列の画素数x(i)よりも小さい場合(画素数が減少傾向にある場合)、フラグF1が1か否か判断する(1005)。すなわち、判断ステップ1002,1005では、列番号iまで増加傾向にあった画素数が、列番号i+1から減少傾向に移ったか否か判断する。次に、画素数x(i)が閾値x(th1)(図7参照)を越えているか否か判断し(1006)、閾値x(th1)を越えていれば、Y(I)に列番号iを与えて記憶し(1007)、ピーク番号Iを更新し(1008)、フラグF1を「0」に設定し(1009)、i+1が最終列番号nに達したか否か判断する(1010)。i+1が最終列番号に達していない場合、列番号をカウントアップし(1004)、判断ステップ1002を実行する。そして、i+1が最終行番号nに達すると、上述のようにして求めたピーク番号Y(I)〔Y(1)‥Y(4)‥〕をもとに、ピーク間の平均距離、すなわち間隔λを計算する(1011)。なお、閾値x(th1)は、大径部と以下に説明するサテライトドロップ(小液滴)を区別するもので、通常形成されるサテライトドロップの大きさ及びその画素数よりも大きい値に設定される。
計算過程3:
計算過程3は、中央制御部117が、計算された時間Tと間隔λ等を用いて距離LB0を計算する過程である。具体的に、この計算過程3では、上述の式(4)を以下のように変形して得られる式(6)を用いて、距離LB0を計算する
Figure 0004304195
上述のように、式(5)に含まれる時間T、間隔λ及び距離Lは上述のように計算され、ストロボ発光周期tは既知である。したがって、これらの計算された諸数値を用いて、距離LB0が計算される。また、計算された距離LB0、Lを用いて距離Lが計算できる。
中央制御部117は、以上のようにして決定された距離Lと間隔λを式(5)に代入してドロップディレイDDを決定する。決定されたドロップディレイDDは、ドロップディレイ制御部121に基準値DDとして記憶部116に記憶され、後に説明するドロップディレイ調整制御に利用される。
(5)ソーティング制御:
粒子のソーティング制御において、液滴制御部110と荷電制御部120は、検出器が粒子を検出したことを示す信号(検出信号)を、信号処理部24から受信する。検出信号を受信すると、液滴制御部110は、ドロップディレイ制御部121を駆動し、記憶されているドロップディレイDDに対応する遅延時間Tの経過後、電荷注入回路91を起動し、液体に電荷を注入する。注入される電荷の極性は、信号処理回路24から出力された信号に基づいて、荷電制御回路120が決定する。そして、荷電制御回路120で決定された極性の電荷が、電荷注入回路91から液体に注入される。したがって、電荷注入直後にシースフロー111から分離される液滴(検出された粒子を含む液滴)は、粒子について検出された生物学的性質に対応した極性の電荷が注入され、電極板94,95の間を通過する際に偏向され、対応する容器(図示せず)に採取される。
(6)フィードバック制御(ドロップディレイ制御):
フローサイトメータ1で使用するシース液の粘度は環境(例えば、温度)によって変化する。シース液の粘度が変化するとブレークオフポイントBPが上下に移動し、液滴の形成されるタイミングが変化する。したがって、液滴制御部110は、カメラ112の画像を利用して、ブレークオフポイントBPから撮影画像上端までの距離L を計算する。この計算は、上述のように、シースフロー111に沿ってその近傍に適当なスケール又はこれに代わる基準寸法物を配置し、カメラ112で撮影された基準寸法物の大きさ(画素数)を基準として計測することができる。具体的には、図10に示すように、液滴制御部110は、列番号iを「1」に設定し(1011)、当該列番号の画素数x(i)が「0」か否か判断する(1012)。画素数x(i)が「0」でない場合、列番号iを更新し(1013)、同様の判断処理(1012)を行う。画素数x(i)が「0」と判断されると、その列番号iをYBP(図8参照)に設定し、このYBPの値と基準寸法物の寸法から比例計算によって距離L を計算する。
次に、液滴制御部110は、カメラ112から得られた画像をもとに間隔λを計算する。粒子間距離を計算する方法は、上述の計算過程2と同一である。
続いて、液滴制御部110は、計算された距離L と間隔λをもとに、式(5)を変形した次の式(7)から新たなドロップディレイDDを計算する。
Figure 0004304195
そして、以上のようにして計算された新たなドロップディレイDDに基づいて、液滴制御部110は、液体に電荷を注入するタイミング(時間遅れΔt)を調整する。なお、式(7)から明らかなようにL +LB0は長さの単位を有する固有値であるため、液滴が形成される周波数やシース液の供給圧力を変えても、上述のようにして間隔λは正確に求めることができるので、ドロップディレイDDは正確に求めることができる。その結果、ソーティングを高精度に維持できる。
(7)フィードバック制御(電圧制御):
図6に示すように、シースフロー111から液滴133が分離する際、分離した液滴133とこれに続く分離していない液滴133との間には、粒子を含まない小さな液滴のサテライトドロップ134が発生する。図面では、サテライトドロップ134が液滴133から分離して独立している理想的な状態で示されており、この独立した理想的な状態でシースフロー111に電荷を注入するのが最も好ましい。そこで、液滴制御部110は、カメラ112が撮影した画像を処理した二値画像データからサテライトドロップ134の状態を検出しながら、図6に示すようにサテライトドロップ134が独立した状態が得られるように、振動発生器89に印加する電圧を制御し、振動発生器89が発生する振動の大きさを調整する。
具体的に、図11のフローチャートに示すように、液滴制御部110は、上述したブレークオフポイントBPの列番号YBPを列番号iに与えるとともに、フラグF2を「1」に設定する(1021)。次に、列番号iをインクリメントし(1022)、ブレークオフポイントBPより下にある各列番号iの画素数x(i)が所定の閾値x(th2)(図8参照)を越えているか否か判断する(1023)。画素数x(i)が所定の閾値x(th2)を越えていない場合、フラグF2が「0」か否か判断し(1027)、フラグF2が「0」でなければ列番号iをインクリメントする(1022)。上述のように、ブレークオフポイントBPは画素数x(i)が「0」になった点である。したがって、図8に示すように、ブレークオフポイントBPに続く複数の列番号では、画素数x(i)が所定の閾値x(th2)を超えないので、ステップ1022→1023→1027を繰り返す。しかし、画素数x(i)が所定の閾値x(th2)を越えたと判断すると(1023)、フラグF2が「1」か否か判断し(1024)、フラグF2が初期状態(フラグF2=1)であれば、そのときの列番号iをサテライトドロップ上端列番号YS1に設定し(1025)、フラグFを「0」に切り換える(1026)。画素数x(i)が閾値x(th2)を一度越えると、その状態がしばらく維持される(図8参照)。したがって、画素数x(i)が閾値x(th2)を超えている間、ステップ1022→1023→1024が繰り返される。列番号iがサテライトドロップ下端部近傍の列番号になると、画素数x(i)が閾値x(th2)以下となる(1023)。その結果、処理1022から処理1027に進み、フラグF2が「0」に設定されているか否か判断する。このとき、フラグFは「0」に設定されている(1026)。したがって、列番号iをサテライトドロップ下端列番号YS2に設定する(1028)。また、サテライトドロップ下端列番号YS2からサテライトドロップ上端列番号YS1を引いて、サテライトドロップ上端からサテライトドロップ下端までの画素数Yを計算する(1029)。そして、液滴制御部110は、画素数Yからサテライトドロップ134の長さを計算する。次に、液滴制御部110は、計算されたサテライトドロップ134の長さYと記憶されている基準長さYrefとを比較し、駆動部118から振動発生器89に印加する電圧を調整してサテライトドロップ134の長さを一定に維持する。なお、サテライトドロップ134の長さに代えて、図8に示す画像の面積(大きさ)Aを次の式(8)に従って計算し、その面積Aを液滴制御部110で一定に維持するように制御してもよい。
Figure 0004304195
このように、フローサイトメータ1では、カメラ112で撮影した画像に基づいて振動発生器89に印加する電圧がフィードバック制御されるので、理想的な形のシースフローが一定位置に安定して自動的に形成される。また、カメラ112で撮影した画像を利用してドロップディレイDD(遅延時間Δt)が調整されるので、粒子は正確にソーティングされる。
(8)懸濁液/シース液供給部:
図12は、シース液供給部45と供給部48の詳細を示す。図示するように、シース液供給部45はシース液容器140を備えており、このシース液容器140にシース液141が収容されている。シース液容器140には2本のチューブ142,143が接続されている。チューブ142は、一端がシース液141の上部密閉空間に接続され、他端が圧力源144に接続されている。また、チューブ143は、一端がシース液141に浸けてあり、他端がバッファ容器145に接続されている。バッファ容器145は、シース液容器140の容量よりも遥かに小さな容量の容器であり、シース液容器140からチューブ143を介して供給されたシース液141が収容されている。バッファ容器145はまた、別のチューブ146を介して容器40に接続されている。図示するように、チューブ143、146の一端は、バッファ容器145に収容されているシース液141に浸けられている。
供給部48は、生物学的粒子(細胞または染色体)であるサンプル液147を収容するサンプル容器148を備えている。サンプル容器148は、一端を供給管49に接続したサンプルチューブ149が接続されており、このサンプルチューブ149の他端がサンプル液143に浸けられている。サンプル容器148に収容されているサンプル液147の上部密閉空間には、チューブ150の一端が接続されている。チューブ150の他端は圧力調整部151に接続され、さらに圧力調整部151が別のチューブ152を介して圧力源153に接続されている。そして、圧力調整部151とバッファ容器145の上部密閉空間がチューブ154で連結されている。
以上の構成によれば、シース液供給部45において、シース液容器140に収容されているシース液141は、圧力源144からチューブ142を通じて加えられる圧力P10によって加圧され、チューブ143を通じてバッファ容器145に圧力P11で供給される。また、バッファ容器145のシース液141は、シース液容器140から供給されるシース液141の圧力P11によって、チューブ146を通じて圧力P12で容器40に供給される。一方、供給部48において、圧力源153から提供された圧力P20は圧力調整部151で調整され、調整された圧力P21がサンプル容器148の上部密閉空間に加えられる。その結果、サンプル容器148のサンプル液147は、所定の圧力P22で、チューブ149を介して鞘管49に供給される。このとき、鞘管49から噴射されるサンプル液147の圧力P22は、容器40に供給されたサンプル液147がシース液141によって乱されることなく真っすぐに流れる必要がある。そのため、サンプル液147の圧力P22は、シース液141の圧力P12よりも所定の圧力ΔPだけ大きく設定されている。
具体的に、実施形態において、シース液供給部45におけるチューブ142,143,146の管内圧力P10,P11,P12はほぼ同一である。一方、供給部48において、圧力調整部151の下流側に接続された2つのチューブ150、149の管内圧力はほぼ同一である。そして、圧力調整部151は、チューブ154を通じて提供されるバッファ容器145の内部圧力P12’(この圧力は、圧力P11,P12とほぼ同一である。)を基準とし、これに必要な差圧ΔPを加えた圧力を、圧力調整部151から出力される圧力P21とする。
そして、実施形態において、シース液容器145とバッファ容器148の容積は、シース液容器140の約1/10〜約1/1000、好ましくは約1/500に設定されている。したがって、シース液141が消費されることによりシース液容器145のレベルが下がっても、バッファ容器145が無い場合に比べて、容器40に供給されるシース液141とサンプル液147の差圧を安定的に確保することができる。
(9)容器:
シース液供給部45のシース液容器145と供給部48のサンプル容器148の少なくともいずれか一方は、図13に示す容器を採用するのが好ましい。図13に示す容器155は、外側容器156と内側容器157からなる。外側容器156は、金属又はプラスチックなどの比較的剛性の高い材料で形成されている。内側容器157は、ガラスなどの材料で形成することができる。外側容器156は、内側容器157を収容可能な容器本体158と、容器本体158の上端口部に着脱自在にかつ密閉可能に装着される蓋159からなる。蓋159を容器本体158に取り付ける機構は、通常のねじ構造を用いるのが好ましい。また、蓋159と容器本体158の間をシールするために、図示するように、両者の間にOリング160を配置するのが好ましい。蓋159は、内側容器157に液体(シース液又はサンプル液)を供給し、また収容されている液体を加圧するために、複数のチューブ挿入孔161,162を有し、チューブ挿入孔161,162に挿入されたチューブ163,164の周囲がゴム等の弾性環状部材165,166でシールされている。このような構成の容器をシース液供給容器145やサンプル容器148に使用すれば、比較的剛性の高い材料で形成された外側容器156に囲まれた内部空間に圧力が加えられても、通常は割れ易いプラスチックなどの材料で形成されている内側容器157に亀裂が入っている場合でも、外側容器156の圧力は所定の値に維持されるので、安定してサンプル液が供給できる。また、容器155をサンプル容器に使用する場合、サンプル液に含まれる生物学的粒子が凝集して固まるのを防止するため、周期的に加振して粒子を攪拌する必要がある。この場合、外側容器156は剛性の高い材料で形成されているので、周期的な振動を加えても割れるという問題がない。なお、実施形態では蓋159に孔161,162を設け、これらにチューブ163,164を挿入しているが、蓋159にチューブを貫通した状態で固定し、この貫通チューブの両端(蓋の内側と外側)に別のチューブを接続してもよい。
(10)分光フィルタの配置:
フローサイトメータ1において、検出装置25の分光フィルタ30A〜30Cには、通常ダイクロックミラーが用いられる。このダイクロックミラーは、一般に、反射率が透過率よりも大きいという特性を有する。例えば、反射率Rは約0.9、透過率は約0.8である。したがって、例えば、図14に示すように、3つの分光フィルタ167,168,169を直列に配置し、各分光フィルタ167,168,169の透過光を検出器FL1〜FL4で検出するとともに分光フィルタを透過した光を下流側へ伝送すると、最後の分光フィルタ169で反射する光の強度と該分光フィルタ169を透過する光の強度はそれぞれ、検出装置25に入射する光の強度を1とした場合、0.576(=0.8×0.8×0.9)、0.512(=0.8×0.8×0.8)まで減少する。これに対し、図15に示すように、分光フィルタ167,168,169の反射光を下流側に伝送すると、最後の分光フィルタ169で反射する光の強度と該分光フィルタ169を透過する光の強度はそれぞれ0.729(=0.9×0.9×0.9)、0.648(=0.9×0.9×0.8)となり、図14に示す配置に比べて光の強度低下が少なく、そのため検出装置25の検出感度が高くなる。
本発明に係る装置の光学的要素を示す図。 本発明に係る装置の流体力学的構成を示す側面図。 図1に示す装置の検出流路とその近傍に配置された光ファイバの一部を拡大した拡大横断面図。 図1に示す装置の検出流路とその近傍に配置された光ファイバの一部を拡大した拡大縦断面図。 図1に示す装置の回路図。 シースフローの拡大正面図及びカメラの撮影画像を示す図。 撮影画像をデータ処理した後の画素数を横軸に表した図。 サテライトドロップの画素数を横軸に表した図。 λ検出処理のフローチャート。 ブレークオフポイントを検出するフローチャート。 サテライトドロップの大きさを検出するフローチャート。 容器にサンプル液とシース液を供給する装置を示す図。 サンプル液容器又はサンプル液容器の断面図。 検出装置における分光フィルタの配置を示す図。 検出装置における分光フィルタの好適な配置を示す図。 生物学的粒子の生物学的性質を得る従来装置を示す斜視図。 生物学的粒子のソーティングを説明する図。
符号の説明
1:装置
2:流路形成部材(流路ブロック)
4:シースフロー
5:照明部
6:第1のレーザ発生器
7:第2のレーザ発生器
8:第1のレーザ光
9:光ファイバ
11:集光レンズ
12:第2のレーザ光
13:光ファイバ
14:ビームエキスパンダ
15:集光レンズ
21:第1の検出部
22:集光レンズ
23:光検出器
24:信号処理部
25:第2の検出器
90:ソーティング装置
110:液滴制御部
112:固定カメラ
113:ストロボ
114:ビデオデジタイザ
117:中央制御部
118:振動発生器駆動部
119:ストロボ駆動部
120:荷電制御部
121:ドロップディレイ制御部
133:液滴
134:サテライトドロップ

Claims (11)

  1. 生物学的粒子を含む液体のフローに光を当て、該生物学的粒子からの光を検出して、該生物学的粒子の生物学的情報を取得する装置であって、
    上記生物学的粒子からの光を検出する光検出部と、
    上記フローに振動を与える振動発生器と、
    上記フローとこのフローから分離した液滴を撮像する固定撮影部と、
    上記撮影部で撮影された画像を利用して、ブレークオフポイントとこれに最も近い液滴との間に形成された、液滴より小さいサテライトドロップの大きさを検出する手段と、
    上記サテライトドロップの大きさに応じて上記振動発生器の振動の大きさを制御する手段を備えたことを特徴とする装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって、
    上記検出手段は、サテライトドロップのフロー方向に沿った長さを検出することを特徴とする装置。
  3. 請求項2に記載の装置であって、
    上記制御手段は、検出された長さに応じて上記振動の大きさを制御することを特徴とする装置。
  4. 請求項2に記載の装置であって、
    上記制御手段は、サテライトドロップの長さが一定となるように、検出された長さに応じて上記振動発生器に印加する電圧を制御することにより上記振動の大きさを制御することを特徴とする装置。
  5. 請求項1に記載の装置であって、
    上記制御手段は、上記振動発生器に印加する電圧を制御することにより上記フローに与える振動の大きさを制御することを特徴とする装置。
  6. 請求項1に記載の装置であって、
    上記生物学的粒子を所定の間隔をあけて配置した液体のフローを形成する流路形成部と、
    上記流路形成部を含む層流形成容器と、
    上記層流形成容器に供給されるサンプル液を収容する第1の容器と、
    上記層流形成容器に供給されるシース液を収容する第2の容器と、
    第1の容器に第1の圧力を供給する第1の圧力源と、
    第2の容器に第2の圧力を供給する第2の圧力源と、
    上記第1および第2の容器と連通し、第1の圧力が第2の圧力より所定の圧力差だけ大きくなるように第1の圧力を調整する圧力制御部とを備えたことを特徴とする装置。
  7. 生物学的粒子を含む液体のフローに光を当て、該生物学的粒子からの光を検出する方法であって、
    上記生物学的粒子からの光を検出する工程と、
    上記フローに振動を与える工程と、
    上記フローとこのフローから分離した液滴を撮像する工程と、
    上記撮影された画像を利用して、ブレークオフポイントとこれに最も近い液滴との間に形成された、液滴より小さいサテライトドロップの大きさを検出する工程と、
    上記サテライトドロップの大きさに応じて上記振動の大きさを制御する工程を備えたことを特徴とする方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、
    サテライトドロップのフロー方向に沿った長さを検出する工程を備えたことを特徴とする方法。
  9. 請求項7に記載の方法であって、
    上記制御工程は、検出された長さに応じて上記振動の大きさを制御することを特徴とする方法。
  10. 請求項8に記載の方法であって、
    上記制御工程は、サテライトドロップの長さが一定となるように、検出された長さに応じて上記振動発生器に印加する電圧を制御することにより上記振動の大きさを制御することを特徴とする方法。
  11. 請求項7に記載の方法であって、
    上記制御工程は、上記振動発生器に印加する電圧を制御することにより上記振動の大きさを制御することを特徴とする方法。
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