JP4304047B2 - 導電性ベルトおよび導電性ベルトの製造方法 - Google Patents
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上記画像形成装置における中間転写ベルトは静電潜像保持体と直接接触して、静電潜像保持体からトナーを受け取るものであるため、静電潜像保持体との間に適切なニップ幅が得られるように、ベルトの外表面において厚み方向にある程度の柔軟性を有する必要がある。さらに、表面粗さが大きい被転写体(例えばラフ紙)への転写性を良くするためにもベルトの外表面における厚み方向の柔軟性は重要である。
しかしながら、表面コーティング層に関しては、ブレードによる表面クリーニングまたは転写時の圧力などに起因する摩耗や剥離に対してさらなる改良の余地があった。
また、トナーが液体トナーからなる湿式現像方式のカラープリンタ、カラーコピーの中間転写ベルトとして用いる場合、ベース層の引張弾性率を500MPa以上とした場合、画像の色ズレが発生しやすい問題がある。
さらに、液体トナーを使用する場合には、液体トナーの溶媒が各層の材料中に膨潤すると、著しく耐久性が悪くなり、この点からも、前記導電性ベルトには改良の余地がある。
前記ベース層は引張弾性率が2000MPa以上且つ、内面側の表面電気抵抗率が106Ω/□以上1011Ω/□以下であり、
前記弾性層はJIS A硬度が70以下かつ体積抵抗率が108Ω・cm以上1012Ω・cm以下であり、
前記表層は複素弾性率が250MPa以下であり、
前記ベース層は電子導電剤が配合されたポリイミドまたはポリアミドイミドを含む樹脂からなり、厚さが50〜150μm、
前記弾性層はイオン導電性を有するポリウレタンエラストマーからなり、厚さが25〜400μm、
前記表層はフッ素ゴムからなり、厚さが3μm〜30μmであることを特徴とする導電性ベルトを提供している。
なお、ベース層の引張弾性率は、2300MPa以上がより好ましく、上限は特に限定されないが通常8000MPa以下とされる。該引張弾性率はJIS K 7113に従って測定している。
表面電気抵抗率は、三菱ダイヤインスツルメンタル株式会社製ハイレタスで500Vの印加電圧で測定した。
弾性層の体積抵抗率を108Ω・cm以上1012Ω・cm以下としているのは高い転写効率を得るためである。より好ましくは、109Ω・cm以上1011Ω・cm以下である。
また、ベース層の表面電気抵抗率と弾性層の体積抵抗率とは、表面電気抵抗率<体積抵抗率とし、かつ、その差異は0.5〜2桁程度とすることが好ましい。
前記弾性層の体積抵抗率は、印加電圧500V、温度23℃および相対湿度55%の条件下で三菱ダイヤインスツルメンタル株式会社製ハイレタスで測定した。
なかでもポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリウレア樹脂が好適であり、特に、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂が好ましい。
電子導電剤としては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、アンチモンドープ酸化チタン、酸化スズもしくはグラファイト等の導電性金属酸化物またはカーボン繊維等の電子導電剤が使用される。なかでも電子導電剤としてカーボンブラックを用いることが好ましい。
電子導電剤の配合量は電子導電剤の種類やベース層を構成する樹脂の種類によるので一概には言えないが、一般的には樹脂固形分100重量部に対して約1〜50重量部程度、さらに好ましくは約3〜40重量部程度である。
なお、JISA硬度が70を越えると体積抵抗率が大きくなると共に、転写ニップ幅が小さくなり画像が悪化する。弾性層のJIS A硬度を60以下がより好ましく、かつ、下限は30以上である。JIS A硬度はJIS K 6253に従って測定している。
前記イオン導電性を有するエラストマーとしては公知のイオン導電性ゴムが使用でき、イオン導電剤が添加されているエラストマーを用いても良い。イオン導電性ゴムとしては組成物中に極性基を持つゴム材料が挙げられ、具体的にはアクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、エピハロヒドリンゴム(特にエピクロルヒドリンゴム)、クロロプレンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(ラウリルトリメチルアンモニウム等)、オクタデシルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリメチルアンモニウム等)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸、塩塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリオールとしては、物性上の理由によりリン含有ポリオールまたは水酸基末端液状ポリブタジエン等の水酸基末端液状ゴムがより好ましく、1種あるいは複数種を混合して用いることができる。
厚みを25μm以上としているのは、ベルトの表面硬度が高くなり転写ニップ幅が小さくなるのを避けるためであり、400μm以下としているのは、ベルト総厚みの増加による設計上の問題の発生およびベース層からの弾性層の剥離を避けるためである。
表層の複素弾性率を250MPa以下としているのは、これにより、ブレードでの表面クリーニングや転写時の圧力などによる表層のクラック、摩耗または剥離を抑制することができ、導電性ベルトの耐久性を高めることができるからである。
なお、下限は30MPa以上で、これは30MPa未満とするとクリーニング性が悪くなることによる。
フッ素ゴムの種類は特に限定されず、フッ化ビニリデン(VdF)を主成分とするVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、VdF−クロロトリフルオロエチレン共重合体、VdF−ペンタフルオロプロペン共重合体、前記VdF−HFP共重合体とテトラフルオロエチレン(TFE)との3元共重合体、TFEとプロピレンとの交互共重合体等のフッ素系エラストマーが挙げられる。
この他、例えばシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等とVdFを主成分とする上記フッ素系エラストマーとの混合物を用いることができる。
該表層は、トナーの受け渡しを良好とするために、500V印加時における体積電気抵抗率を1010Ω・cm程度以上1015Ω・cm程度以下に調整することが好ましい。
なお、表層は絶縁性としてもよい。
円筒状の金型を回転させながらノズルからベース層を構成する材料を金型の外面に連続的に供給し、それと同時にノズルを金型の回転軸方向に移動させて、前記材料を均一に塗布後、硬化させることによりベース層を形成し、
ついで同一の方法でベース層上に弾性層を形成し、
その後、弾性層上に表層を塗装する製造方法を提供している。
(V/R)<1.5(mm/回転)…(1)
上記範囲の条件で塗布を行うことにより、ノズルの液吐出口近傍での液の撹拌効果等により縞模様および凹凸の発生を防止できる。
前記した方法によりベース層上に弾性層を形成した後、弾性層と表層の接着性を向上させるために、弾性層表面にプライマーを塗布しても良い。
(1)表層、弾性層、ベース層の順に遠心成形する方法
(2)弾性層、ベース層の順に遠心成形し、脱型した後、表層を塗布する方法
(3)ベース層のみ遠心成形し、脱型した後、弾性層、表層の順に塗布する方法
などが挙げられる。
なかでも、湿式現像方式のカラープリンター、カラーコピー機の中間転写体として好適に用いられる。
特に、湿式現像方式の電子写真装置においては、液体トナーの溶媒が導電性ベルトに浸入し、ベース層や弾性層が膨潤するとベルトの耐久性が著しく悪くなる場合があるため、表層の摩耗が少ないことおよび剥離が実質的に生じないことはベルトの耐久性を向上させる上で重要である。
図1は本発明の一実施形態のシームレスベルトからなる導電性ベルト1を示す。この導電性ベルト1の全体形状は略円筒状のシームレスベルトである。該導電性ベルト1は可撓性に富んでいて自重等で自在に変形し得るので、種々の形状となり得る。
上記導電性ベルトは図2に示すように、ベース層3、弾性層5および表層7を順次積層した3層の積層体構造としている。該導電性ベルト1を画像形成装置の中間転写ベルトとして用いる場合、外周面9はトナー等が付着する面であり、内周面11は回転中に駆動軸、従動軸等と直接接触する面となる。
弾性層5はイオン導電性を有するエラストマー製の弾性層であり、ポリプロピレングリコールと芳香族ジイソシアネートより得られる末端イソシアネートプレポリマーを主剤とし、ポリプロピレングリコールおよび芳香族ジアミンを硬化剤とする2液硬化型ウレタンゴムからなる。
表層は水系フッ素ゴム塗料を塗装することにより形成されている。
弾性層5はJIS A硬度が70以下かつ体積抵抗率が108Ω・cm以上1012Ω・cm以下とし、厚さは25〜400μmとしている。
表層7は複素弾性率が250MPa以下とし、厚さを3μm〜30μmとしている。
画像形成装置は、駆動軸13、第一従動軸15、第二従動軸17、感光ドラム19、転写ロール21、シリコーン系スポンジロール23およびヒーター25を備えている。
中間転写ベルトとして用いる導電性ベルト1は駆動軸13、第一従動軸15および第二従動軸17に張設され、図中矢印Aで示される方向に回転される。
次に、感光ドラム19と転写ロール21との間を通過する中間転写ベルト1にトナー像が転写される。
液状トナーはヒーター25によって加熱され、この加熱によって液状トナーの揮発成分がある程度揮発し、トナー粒子のバインダー樹脂が溶融する。
次に、中間転写ベルト1とスポンジロール23との間に供給された被印刷体27にトナー像が転写される。このトナー像が定着されることで画像が形成される。
この図では1つの感光ドラム19が示されているが、カラー印刷の場合はブラック、マゼンダ、シアンおよびイエローの4色のトナーのそれぞれに感光ドラム19が用意される。
図4に示すように円筒状の金型33を周方向に回転させながら、ベース層を構成する材料32をノズル31から連続的に供給すると同時に、ノズル31を金型の回転軸方向に移動させている。よって、供給したベース層を構成する材料32はらせん状に巻回される。 ノズル31の移動速度および金型33の回転速度を調整することにより、らせん状に巻回された液状の材料32は隣接部分が結合して均一な塗布層を形成する。
この塗布工程の後、常法により塗布した液状の材料を硬化させ、厚さ50〜150μmのベース層を形成する。
その後、弾性層の表面に静電塗装にて、水系フッ素ゴムを塗布し、厚さ3〜30μmの表層を形成している。
前記ノズルの液吐出口の中央部が金型33の外面に接しながら金型の回転軸方向に移動するように設定し、ノズル31の液吐出口と金型33に塗布された材料とを接触させている。
トリメリット酸とジフェニルメタンジイソシアネートから公知の方法で合成したポリアミドイミドワニス100重量部、カーボンブラック(ファーネスブラックを使用)6.2重量部、分散剤0.1重量部をビーズミルにて均一に混合し、ベース層を構成する材料を作成した。
金型として外径20mmφのアルミニウム製円柱の外面にセラミックスをコーティングしたものを使用し、この円柱状金型を回転させながらノズルを金型外面に接触させた。この状態でノズルから上記ベース層を構成する材料を定量供給しながら、ノズルを金型の回転軸方向に一定速度で移動させて前記材料の塗布を行った。
このとき、ローター回転数6rpm、(V/R)=1.17(mm/回転)(式中、Vは移動速度(mm/秒)、Rは金型の回転数(回転/秒)を示す。)の条件で塗布した。
ノズルには、内径2mm、外径4mmのPTFE製チューブを使用した。図5に示すようにノズル31の先端は45度に切り落とし、切り落とした面の中央部が金型33の外面に接しながら金型の軸方向に移動するようにノズル位置を設定した。
次いで、金型を回転させながら400℃まで段階的に加熱し、冷却することにより材料を硬化させ、厚さ80μmのベース層を形成した。
弾性層上に静電塗装にて水系フッ素ゴム塗料(ダイキン工業(株)製 GLS−213F)を塗布し、厚さ10μmの表層を形成した。
上記方法により本発明の導電性ベルトを得た。
表層を構成する材料として、水系フッ素ゴム塗料の代わりにポリテトラメチレンエーテルグリコールとジイソシアネートを主成分とするポリウレタンエマルジョン100重量部にフッ素ポリマーディスバージョン(フルオンAD1(旭硝子(株)製))50重量部を配合した水系塗料を用い、表層の厚さを10μmから8μmとした以外は、実施例と全く同様に導電性ベルト作製した。
(1)引張弾性率;JIS K 7113に従って測定した。また、表面電気抵抗率は、三菱ダイヤインスツルメンタル株式会社製のハイレタスを用いた測定した。
(2)表面抵抗率;三菱ダイヤインスツルメンタル株式会社製のハイレタスを用いた測定した。
(3)体積抵抗率;印加電圧500V、温度23℃および相対湿度55%の条件下で三菱ダイヤインスツルメンタル株式会社製のハイレタスを用いた測定した。
(4)硬度;JIS K 6253(1993)に従って用いて測定し、タイプAを用いた。
(5)複素弾性率;JIS K 7198法に基づき、動的歪10Hz、振幅2%、初期歪み10%、温度23℃の測定条件下で測定した。測定装置としてレオロジー社製DVE−V4を用いた。
実施例および比較例の各層に用いた材料のシートサンプル(2cm×2cm)を下記の通り作製した。
ベース層…ベース層のみバルトを作製し、シートサンプルを得た。
弾性層…離型処理を施したガラス板上に0.3mmの厚さにバーコート法でコートし、150℃で60分加熱硬化させてシートサンプルを得た。
表層…シリコーンゴムで枠取りした型に表層材料をキャストし、一晩貫挿させた後、150℃で60分加熱硬化させて、0.1〜0.3mmの厚さのシートサンプルを得た。
上記シートサンプルをn−デカンに23℃で24時間浸漬したときの体積膨潤率(%)を調べた。その結果を下記の表2に示す。
表2に示す通り、実施例の表層の膨潤率は0.1%と低く、比較例は7.2%であったため、実施例ではトナー液の膨潤が抑止できることが確認できた。
実施例および比較例で作製した導電性ベルトの一部をパラフィン溶媒に接液した状態で、かつウレタン製ブレードを接触させながらベルトを回転させて変化を観察した。
その結果、比較例で作製した導電性ベルトは100回転で表層が剥離したのに対し、実施例で作製した導電性ベルトは1000回転させても異常はなかった。よって、実施例の導電性ベルトでは耐久性が優れたものとなることが確認できた。
転写前のベルト上のトナー量(A)およびラフ紙上に転写されたトナー量(B)を測定し、転写率(%)を式;転写率(%)=(B/A)×100により求めた。
上記転写率は、ベルト上にトナーが乗っている状態を光学濃度および転写後のラフ紙上のトナー部の光学濃度を大日本スクリーン製造株式会社製の反射濃度計DM−800を用いて測定した。
その結果、比較例で作製した導電性ベルトにおいては転写率が89%であったのに対し、実施例で作製した導電性ベルトは転写率が97%であった。よって、画像が正確且つ鮮明に転写できる事が確認できた。
3 ベース層
5 弾性層
7 表層
9 外周面
11 内周面
13 駆動軸
15 第一従動軸
17 第二従動軸
19 感光ドラム
21 転写ローラ
23 スポンジローラ
25 ヒーター
27 紙
31 ノズル
32 ベース層を構成する材料
33 金型
Claims (4)
- ベース層、弾性層、表層が順次積層され、
前記ベース層は引張弾性率が2000MPa以上且つ、内面側の表面電気抵抗率が106Ω/□以上1011Ω/□以下であり、
前記弾性層はJIS A硬度が70以下かつ体積抵抗率が108Ω・cm以上1012Ω・cm以下であり、
前記表層は複素弾性率が250MPa以下であり、
前記ベース層は電子導電剤が配合されたポリイミドまたはポリアミドイミドを含む樹脂からなり、厚さが50〜150μm、
前記弾性層はイオン導電性を有するポリウレタンエラストマーからなり、厚さが25〜400μm、
前記表層はフッ素ゴムからなり、厚さが3μm〜30μmであることを特徴とする導電性ベルト。 - 液体トナーを用いる湿式方式のカラー画像形成装置の中間転写ベルトとして用いられる請求項1に記載の導電性ベルト。
- 請求項1または請求項2に記載の導電性ベルトを備えている画像形成装置。
- 請求項1または請求項2に記載の導電性ベルトの製造方法であって、
円筒状の金型を回転させながらノズルからベース層を構成する材料を金型の外面に連続的に供給し、同時に上記ノズルを金型の回転軸方向に移動させて、前記材料を均一に塗布後、硬化させてベース層を形成し、
ついで、同一の方法でベース層の表面に弾性層を形成し、
その後、前記弾性層の表面に表層材料を塗装して表層を形成していることを特徴とする導電性ベルトの製造方法。
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