JP3852231B2 - 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置に係り、特に、その画像形成装置において電荷が関与する転写ロール、中間転写体等の電荷関与部品とそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、基本的に、一様に帯電された感光体の表面に画像情報に基づく光像を照射して静電潜像を形成した後、その静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、続いて、そのトナー像を直接又は中間転写体に一時的に転写した後に記録材(紙、OHPシートなど)へ転写した後、その転写された未定着のトナー像を記録材に定着して永久像とすることにより、所望の画像形成が行われるようになっている。
【0003】
そして、このような画像形成装置においては、感光体を帯電させるための帯電ロールや、トナー像を感光体又は中間転写体から記録材へ転写させるための転写ロール、トナー像を中間的に担持する中間転写体等の構成部品が使用されており、かかる各構成部品は、所定の電圧が印加されるか、或いは、トナー像を静電的作用により担持できる状態に保たれる等のように、何らかのかたちで電荷が関与する部品となっている。ここで、このような構成部品を「電荷関与部品」と称することとする。
【0004】
ところで、このような転写ロールや中間転写体等の電荷関与部品では、以下に詳述するように「表面平滑性及び離型性」、「電気抵抗値とその環境安定性」がそれぞれ要求されている。
【0005】
▲1▼表面平滑性及び離型性について:
転写ロール、中間転写体等の電荷関与部品は、その表面にトナーや紙粉等の異物が付着し、かかる異物の存在が上述した画像形成プロセス等に悪影響を与えることを防ぐ必要性から、かかる異物を取り除いてその表面を清掃するためのクリーニング装置が配設されている。このクリーニング装置としては、ブレード方式、ファーブラシ方式、エアーフロー方式等を使用する種々のものが知られているが、その異物を確実に除去することが可能で低コストであるという観点から、ブレード方式のクリーニング装置が多用されている。このブレード方式のクリーニング装置は、前記した電荷関与部品の表面に、ゴム等からなるブレード板を当接(摺接)させるように配設し、そのブレード板先端部によってトナー等の異物を掻きとるようにしたものである。
【0006】
しかし、このようなブレード方式のクリーニング装置を適用する場合、そのブレード板が例えば回転駆動するような電荷関与部品の表面に直接当接する関係上、その電荷関与部品の駆動系にかかる負荷をできる限り低減したり、そのブレード板や記録材との摺擦による表面磨耗を低減する必要性があり、また、トナー等の異物が付着しにくいようにしたり、容易に掻きとれるようにする必要性がある。このような必要性から、電荷関与部品は、その表面が平面平滑性に優れ、また、離型性に優れたものであることが望まれる。しかも、このような表面の表面平滑性や離型性は、上記ブレード板の構成(硬さ、厚み)や取り付け条件(取り付け角度、当接力)や動作状態(先端部の食い込み量)にも様々な影響を及ぼすものであり、このような観点からしても重要な特性である。
【0007】
一般に、上記表面平滑性については、10点平均の表面粗さRz(JIS B0601)で表した場合、Rz≦10.0μm、好ましくはRz≦5.0μmであることが望ましいとされている。また、上記離型性については、温度23℃、湿度55%の環境下における水に対する接触角θで表した場合、θ≧90°であることが望ましいとされている。
【0008】
▲2▼電気抵抗値とその環境安定性について:
所定の電圧が印加されるような電荷関与部品では、電気抵抗特性が所望の抵抗値の範囲内にあるとともに環境変動に対しても安定していることが望ましい。つまり、電圧印加等により発生させるべき静電的作用が所望通りに、しかも安定して得られることが求められるのである。
【0009】
例えば、転写ロールの場合においては、一般に、その電気抵抗値R(Ω)が106.0 ≦R≦1010.0、好ましくは107.0 ≦R≦108.0 の範囲にあることが望ましいとされている。電気抵抗値Rは、転写ロールを、その芯金の両端部にそれぞれ500gの荷重をかけつつ金属板上に押し当てた状態で、1000Vの直流電圧を印加したときの10秒経後における電流値より算出したものである。
【0010】
また、中間転写体(ベルト又はドラム)の場合においては、一般に、その表面抵抗率ρs(Ω/□)が109.0 ≦ρs≦1013.0、好ましくは1011.0≦ρs≦1012.0の範囲にあることが望ましいとされている。この表面抵抗率ρsが109.0 を下回ると、導電性が高まるため印加される電荷が除去されてしまい、トナー像を転写すべき静電的な作用が十分に発生しなくなる。逆に、表面抵抗率ρsが1013.0を超えると、印加される電荷が蓄積されやすく、除電機構が必要となりコストアップとなる。なお、その体積抵抗率ρv(Ω・cm)については、上記表面抵抗率ρsに準じて決まるものであるが、一般に、107.0 ≦ρv≦1011.0、好ましくは109.0 ≦ρv≦1010.0の範囲にあることが望ましいとされている。
【0011】
上記表面抵抗率ρs及び体積抵抗率ρvの測定は、ハイレスターIP抵抗測定器とHRプローブ(共に三菱油化製)を用い、印加電圧100V、印加時間30秒という条件下で測定して得られる表面抵抗実測値Rsと体積抵抗実測値Rvを下記算出式a)、b)に代入することにより求めた値である。式b)中のSはHRプローブの断面積(cm2 )、Tはその厚み(cm)を示す。
ρs=Log10(Rs×10) …a)
ρv=Log10(S×Rv/t) …b)
【0012】
一方、上記電気抵抗値(特に表面抵抗率)は、高温高湿から低温低湿のいかなる環境下においても安定していることが望まれている。これは、例えば、その電気抵抗値が高温高湿下では急激に低下し、また低温低湿下では急激に上昇すると、各環境下で同じ電気抵抗値にならず、かかる電気抵抗値の変動に応じた印加電圧の制御が困難となるからである。
【0013】
電荷関与部品ではこのような各特性▲1▼、▲2▼が要求されているが、従来においては、例えば、特開平3−212672号公報に、導電性基材上に半導電性弾性層と表面層をこの順に形成した転写ロールであって、その表面層を、離型粒子(PTFE等のフッ素樹脂系粒子など)と導電性粒子(カーボン、金属酸化物などの10-1〜104 Ω・cm程度の導電性を示すもの)とを合成ゴム系結合体(ポリウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマーなど)中に分散して構成してなる電子写真用転写ロールが示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この提案の転写ロールの場合には、次のような問題がある。
【0015】
まず、第一に、離型粒子は、トナー粒子に対する離型性を表面層に付与するためのものであるが、その分散性が悪く、またその分散助剤として界面活性剤を使用するとブリードの発生が懸念される。しかも、トナー粒子に対する離型性を十分に発揮させるためには、その離型粒子を比較的多めに配合する必要があり、このため、その多めの離型粒子の配合により転写ロールの表面(表面層)における平面平滑性が悪化するおそれがある。特に、その表面平滑性の悪化は、ブレード方式のクリーニング装置におけるクリーニング不良となりやすくなり、その結果として、クリーニングされなかった転写ロール上のトナー等の異物により転写電界が変動して画像の品質が低下したり、かかる異物が転写時において記録材の裏面に付着して汚すいわゆる裏面汚れが発生する。
【0016】
第二に、導電性粒子は、表面層を半導電性とするためのものであるが、その抵抗が比較的低いもの(10-1〜104 Ω・cm程度)であるため、かかる導電性粒子の添加量に対する電気抵抗値の変化が大きく、所望の抵抗値を安定して得ることが難しい。
【0017】
第三に、表面層における分散の状態を、離型粒子、導電性粒子及び合成ゴム系結合体を水系溶媒に乳化重合して得られる水系エマルジョンを乾燥硬化して形成した場合、その塗工の際に水系エマルジョンからなる塗料が流れやすく、その流展性が悪いので、平滑な塗工面を得るのが困難である。また、ポリウレタン系ポリマー等の合成ゴム系結合体は吸湿しやすい材料であるため、前述したような環境の変化による電気抵抗値の変動を招きやすい。さらに、ポリウレタン系ポリマー等の合成ゴム系結合体はそもそも離型性が劣り摩擦係数も大きいため、ブレード方式のクリーニング装置におけるブレード板先端部がめくれやすくなり、クリーニング不良を誘発する。
【0018】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上述したような画像形成装置における電荷関与部材として要求される表面平滑性、離型性及び電気抵抗値の各特性を簡易な構成で容易に得ることができ、しかも、使用環境による電気抵抗値の変動がきわめて少ない(電気抵抗値の環境安定性に優れた)、画像形成装置の電荷関与部材とそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成し得る本発明は、画像形成装置における電荷が関与する構成部品であって、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に、シリコーン系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマー又はフッ素系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマーの少なくとも一方を分散してなる最外層を有する電荷関与部品である。
【0020】
また、本発明は、上記最外層の樹脂に、さらに複合金属酸化物を分散してなる電荷関与部品である。
【0021】
さらに、本発明は、上記クシ型ブラフトポリマー及び複合金属酸化を分散してなる最外層の樹脂に、さらにカーボンを分散してなる電荷関与部品である。
【0022】
上記電荷関与部品は、画像形成装置における電荷が関与する構成部品であれば特に制約されるものではないが、一般に、転写用ロール、中間転写体又は帯電用ロールの少なくとも1つである。
【0023】
そして、本発明は、電荷が関与する構成部品として、上記した各電荷関与部品のいずれかを使用した画像形成装置である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
本発明の転写ロール、中間転写体等の電荷関与部品は、基本的に、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に、シリコーン系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマー又はフッ素系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマーの少なくとも一方を分散してなる最外層を有するものである。
【0026】
ここで、この電荷関与部品の最外層には、前述したような表面平滑性、離型性、環境安定性が要求されるほか、耐磨耗性、電荷関与部品と当接する感光体等の当接部品に対する非汚染性などの特性が要求されるが、これらの特性を満足する材料としてフッ素系樹脂がある。このようなフッ素系樹脂としては、PVF(ポリフフッ化ビニル)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTEF(ポリ塩化3フッ化エチレン)、FEP(ポリ4フッ化エチレン6フッ化プロピレン)、PTFE(エチレン4フッ化エチレン)、ECTFE(エチレン塩化3フッ化エチレン)、PFA(4フッ化エチレンパーフルオロアルイルビニルエーテル)、FETFE(フルオロオレフィンビニルエーテル)等が挙げられる。
【0027】
そして、これらのフッ素系樹脂を、基材上に平滑に形成することができ、また、半導電性材料とするために導電性材料を良好に分散させることができるという観点からみた場合、そのフッ素系樹脂は容易に塗料化できるものであることが必要とされる。つまり、塗料化したフッ素系樹脂を使用すると、スプレーコーティング、浸漬法、スクリーン印刷法等の塗布手段により、きわめて平滑な表面からなる最外層を基材上に形成することができ、また、導電性材料を均一に分散させることが可能となり電気抵抗のばらつきを少なく抑えることができるのである。このような観点から、本発明者らが鋭意研究したところ、上記フッ素系樹脂のうちで「フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂」が最も有利であることが判明した。
【0028】
フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂は、トルエン、キシレン等の汎用溶剤により塗料化することができ、基材への表面平滑な塗工も上述したような各種の塗布手段により完全に行うことができる。そして、前述した表面平滑性、離型性、環境安定性をはじめ、耐磨耗性、当接部品に対する非汚染性という各特性の要求も満たし得る。この樹脂を前記各塗布手段により塗工して最外層を形成するに当たっては、その塗膜の基材との密着性を向上させるためにプライマーを適宜使用してもよい。
【0029】
また、このフルオロオレフィンビニルエーテル樹脂としては、離型性、耐磨耗性、環境安定性及び当接部品に対する非汚染性が特に優れている観点から、1塩化3フッ化エチレンとビニルエーテルの共重合体をイソシアネートで架橋して得られるポリマーが望ましい。このポリマーは、1塩化3フッ化エチレンとビニルエーテルの共重合比や、イソシアネートの種類及び配合量を適宜調整することにより、塗膜の柔軟性を増大させることが可能である。このため、駆動時に弾性変形が起こる状態で使用される転写ロールや中間転写体等の最外層として用いた場合には、その最外層にクラックが生じたり、剥落するという問題が発生することが防止することができる。
【0030】
一方、上記クシ型グラフトポリマーは、アクリル系モノマーとシリコーン系重合性モノマー又はフッ素系重合性モノマーとを共重合して得られるグラフトポリマーであり、シリコーン系重合体又はフッ素系重合体からなる主幹の側鎖にアクリル成分からなる重合体が配置したポリマー構造となっている。この2種のクシ型ポリマーは、通常、それぞれ単独で使用されるが、併用してもよい。
【0031】
したがって、このクシ型グラフトポリマーは、前記フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に混合させた場合、その側鎖のアクリル系成分における官能基が上記樹脂成分との結合に寄与して相溶性に貢献するためきわめて均一な分散が可能となり、しかも、シリコーン系重合体又はフッ素系重合体からなる主幹部は表面エネルギーが低く上記樹脂成分と相溶しないため最外層の表層部にそって配向する。この結果、優れた離型性が容易に得られる。また、このクシ型グラフトポリマーは、きわめて少ない添加量(上記樹脂固形分100重量部に対して0.1〜5.0重量部程度)でもって上述の優れた離型性が得られることに加えて、塗膜形成時の凝集を防止する効果があるので、表面がきわめて均一で平滑な塗膜(最外層)を形成することが可能である。
【0032】
このように上記フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に上記クシ型グラフトポリマーを分散してなる基本的な最外層を有する電荷関与部品では、かかる最外層の存在により、表面平滑性、離型性、環境安定性、耐磨耗性、当接部品に対する非汚染性に優れたものとなる。また、この最外層を半導電性とするために上記樹脂に導電性材料を分散させた場合には、その導電性材料を上記樹脂に均一良好に分散させることができるため、容易に所望の電気抵抗値を有するものとすることができる。
【0033】
また、本発明の電荷関与部品は、上記の基本的な最外層の樹脂に、さらに複合金属酸化物を分散してなるものである。この複合金属酸化物の添加量は、前記樹脂の固形分100重量部に対して5〜30重量部程度である。また、この複合金属酸化物は、複数の金属酸化物からなるものであればよいが、好ましくは3種以上の金属酸化物を焼成して得られる固溶体である。すなわち、この好ましい複合金属酸化物は、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン、リン等の異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は金属化合物等から選ばれる3種以上のものを高温中(800〜1500℃)で焼成して得られる金属酸化物の固溶体である。そして、この複合金属酸化物は次のような特徴がある。高温で焼成しているので不純物が少なく安定した電気抵抗値が得られる。しかも、その粉砕が容易であるので粒径を均一にすることができ分散性に優れたものである。また、耐熱性、耐溶剤性、耐候性に優れたものである。しかも、一般の金属酸化物のように導電性を発現させるためその外周面にアンチモンをドーピングする必要がないため、安全性にも優れている。
【0034】
したがって、このような複合金属酸化物を分散させて最外層を構成した場合には、その複合金属酸化物が前記した樹脂に良好に分散するため電気抵抗値がほぼ安定した良好な半導電性の層とすることができる。
【0035】
また、その複合金属酸化物として3種以上の金属酸化物を焼成して得られる固溶体からなるものを使用して最外層を構成した場合には、その添加量に対する電気抵抗値の変動がきわめて少ない層とすることができる。しかも、この場合には、前述したように粒径が均一な複合金属酸化物とすることができため、ゴムや樹脂に、らには溶媒に溶かした材料に対して容易に均一分散させることができ、良好な塗料化と良好でかつ確実な最外層の塗布形成が可能となる。また、かかる複合金属酸化物は耐熱性、耐溶剤性、耐候性に優れているので、融点の高い材料に分散したり、高温で長時間加硫する材料に用いても劣化や変質するおそれがなく、溶剤に溶かした材料に分散させても何ら問題がなく、この結果、温度や湿度等の環境の変化に対しても電気抵抗値をはじめとする前述の各種物性が影響されず安定したものとなる。さらに、アンチモンによる処理を行う必要がないので、最外層が別部品や別部材と摺擦する場合又は廃棄される場合であっても、安全性が確保される。
【0036】
また、この3種以上の金属酸化物を焼成して得られる固溶体からなる複合金属酸化物は、原子価の異なる異種原子を固溶させて互いの格子位置を置換したり、格子位置付近に不飽和イオンを形成することにより、ドナーレベルを形成して伝導体への電子の励起を容易化し、その電気抵抗値(体積抵抗率)を少なくとも105 Ω・m以上、好ましくは107 〜1012Ω・mの半導電性抵抗領域を実現することが可能である。これにより、最外層をより簡便にかつ確実に半導電性の層とすることができる。ちなみに、この複合金属酸化物の体積抵抗率ρ(Ω・m)は、温度22℃、湿度55%の標準環境下において、JIS K 1469に準拠して電流値Iの測定を行い下記式c)より粉体の電気抵抗率を求めたものである。式中、Sは試料の断面積(cm2 )、hは試料の充填高さ(cm)、Vは電位差(V)を示す。なお、各測定値は、試料に対して50kgf/cm2 の圧力を加えた状態下で測定したものである。
ρ=S/h×V/I …c)
【0037】
さらに、本発明の電荷関与部品は、上記の基本的な最外層の樹脂に、さらに複合金属酸化物とともにカーボンを分散してなるものである。このカーボンは、前記樹脂に対して複合金属酸化物とともに導電性を付与して、最外層を半導電性の層とするための補助材料として使用される。このカーボンを分散させることにより、複合金属酸化物の樹脂に対する添加量を少なくし、最外層の電気抵抗の特性を変化させることなくその硬度を低く抑えることが可能となる。つまり、最外層の硬度を低く保つために複合金属酸化物の添加量を少なくした場合、その添加量の低減による最外層における電気抵抗特性の変化をカーボンの添加により補完するものである。したがって、このカーボンの添加量は、複合金属酸化物の添加量を考慮するとともに最外層の電気抵抗値に応じて適宜選定される。ただし、カーボンの添加量が多すぎると、最外層の硬度が高くなるため、その点も考慮する必要がある。
【0038】
このカーボンは、その平均粒径が10〜500nm程度のものであれば特に制約されるものではないが、好ましくは、その揮発分が1.5%以上のものである。この揮発分とは、カーボン粒子の表面に形成された酸化被膜の粒子全体に対する重量比率である。この揮発分が15%未満では、カーボン粒子が導電性の高いものであるため、前記樹脂に分散させた際にカーボンの導電性が支配的となり、複合金属酸化物の前述したような効果が発揮されにくくなる。また、この揮発分の上限値は好ましくは25%である。つまり、この揮発分が25%を超えて、カーボン粒子の導電性が低いものとなりすぎると、カーボンを多量に添加する必要があり、この結果、多量のカーボンの添加により最外層の硬度が高くなりすぎたり、最外層の表面に凹凸が現れて表面平滑性が低下してしまうという不具合がある。
【0039】
以上のような各最外層を有する本発明の電荷関与部品は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置における一次転写又は二次転写ロール、ベルト状又はドラム状の中間転写体、感光体等を一様に帯電させる帯電ロール、現像用ロール、除電用ロール等の構成部品うちの少なくとも1つである。この場合、最外層は、その各部品ごとにおける基材上に直接若しくは所定の中間層を介して塗布形成される。また、最外層の厚さは、その各部品ごとに要求される適切な厚さに適宜設定され任意である。
【0040】
また、本発明の画像形成装置は、電子写真方式を利用した公知の複写機、プリンタ、複合機等であって、上述の転写ロール、中間転写体、帯電ロール等の電荷関与部品を備えたものであり、その電荷関与部品として上述の最外層を有するように構成してなる電荷関与部品を使用したものである。
【0041】
【実施例】
次に、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0042】
[実施例1]
はじめに、フルカラー画像形成装置に使用する二次転写ロール1として、図1に示す構造のものを以下の工程により作製した。図中の10はロール芯金、11は半導電性の弾性体層、12は被覆層、13は最外層(表面層)である。
【0043】
まず、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂であるルミフロンLF−600(旭ガラス株式会社製)とルミフロンLF−601C(旭ガラス株式会社製)を1:1の割合で混合した後、その混合物をトルエンとキシレンとを同量混合した混合溶媒に固形分で30重量%溶解させ、このときの樹脂固形分100に対して下記の材料を配合して分散させた。
フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂: 100重量部
シリコン・アクリル−クシ型グラフトポリマー: 1重量部
複合金属酸化物(CuO,Fe2 O3 ,Mn2 O3 ):20重量部
この材料を配合した混合物は、サンドミルを用いて8時間攪拌混合してその複合金属酸化物を十分分散させた後、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に対して硬化剤(日本ポリウレタン製:コロネートHL)を25重量部配合して十分攪拌し、最外層13を形成するための半導電性塗料を用意した。上記クシ型グラフトポリマーとしては、東亜合成化学製のアロンGS−30を使用した。
【0044】
これとは別に、EPDM100重量部に対して、導電性カーボンとプロセスオイル(ゴムに柔軟性を付与するオイル)、亜鉛華及び分散剤助剤とを混練し、さらに硫黄、加硫促進剤、発泡剤及び発泡助剤を適量配合して半導電性ゴムとした後、この半導電性ゴムを押出機を用いて内径9mm、外径15mmのチューブ形状に成形し、所定の長さに切断した後、その成形品を電気炉を用いて180℃で30分間加熱して加硫発泡させた。続いて、得られた円筒状の発泡体を320mmの長さに切断した後、その発泡体の中空内部に直径10mm、長さ250mmの芯金10を圧入し、その発泡体(11)表面を研磨して外径を25mmに仕上げた半導電性発泡ロールを準備した。
【0045】
次いで、この半導電性ロールを内壁の直径が28mmφの円筒状金型にセットし、その発泡ロールと金型内壁とのすき間に、導電性カーボン、プロセスオイル、亜鉛華、硫黄、分散剤助剤及び加硫促進剤を適量配合して分散させたEPDMの生ゴムを注入した後、180℃で30分間加熱加硫して被覆層12を備えた半導電性発泡ロールを得た。
【0046】
次いで、この半導電性発泡ロールの外周面上に、先に用意した半導電性塗料をエアー圧2kg/cm2 でスプレーコーティングした後、160℃で20分間硬化させることにより、厚さ30μmの最外層13が形成された二次転写ロール1(図1)を作製した。
【0047】
そして、この作製した二次転写ロール1の電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θについて測定したところ、以下の結果が得られた。この電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θは、前述した通りのものである。
電気抵抗R=107.5 Ω、表面粗さRz=1.5μm、接触角θ=95°。
この結果から、得られた二次転写ロール1は、前述したように転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべて同時に満足するものであることが確認された。
【0048】
次に、この二次転写ロール1を、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転写ロール(65)として使用し、10,000枚のフルカラー画像形成を連続して行った。
【0049】
ここで、上記フルカラー画像形成装置について説明すると、この画像形成装置は、基本的に、電子写真プロセスにより感光ドラム50上にトナー像を形成した後、そのトナー像を中間転写ベルト60に一次転写してから所定のタイミングで記録材Pに二次転写し、最後にトナー像の定着を行うようになっている。
【0050】
すなわち、矢印A方向に回転する感光ドラム50の表面が帯電装置を構成する帯電ロール51により一様に帯電された後、その帯電されたドラム表面にレーザー書き込み装置52から第1色目の画像情報に基づく露光がなされて第1色目の静電潜像が形成される。次いで、この静電潜像は、現像装置53の対応する色のトナー像を収容する現像器(Y:イエロー,M:マゼンタ,C:シアン,K:ブラックの色トナーを収容する現像器Y,M,C,Kのいずれか)により現像されて第1色目のトナー像が形成される。
【0051】
次いで、この第1色目のトナー像は、感光ドラム50と中間転写ベルト60が当接する一次転写位置に感光ドラムに回転に伴って移動し、一次転写装置を構成する一次転写ロール54から転写用電界の作用を受けることにより中間転写ベルト60に静電的に転写される。この際、上記中間転写ベルト60は、複数のロール、即ち駆動ロール61、張架ロール62、バックアップロール(対向ロール)63及びテンションロール64により張架されて矢印B方向に回転するようになっている。また、上記転写用電界は、一次転写ロール54にトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が図示しない電源装置から印加されることにより形成される。さらに、転写後の感光ドラム50の表面は、ブレード方式のドラム用クリーナ55により残留トナー等が除去されて清掃される。
【0052】
これ以降は、上記したプロセスが同様に繰り返されることにより、フルカラー画像を構成する第2色目のトナー像、第3色目のトナー像、第4色のトナー像が感光ドラム50上で順次形成れた後、中間転写ベルト60上の第1色目のトナーと重ね合わせられるように次々と一次転写される。このようにして中間転写ベルト60上には、第1色目〜第4色目のトナー像からなる多重トナー像が形成される。
【0053】
続いて、中間転写ベルト60上の多重トナー像は、バックアップロール63と対向するような状態で中間転写ベルト60を介して配設される二次転写装置を構成する二次転写ロール65が位置する二次転写位置にベルトの回転に伴って移動する。一方、この多重トナー像の移動に同期するようにして、記録材Pが、その収容トレイ70からピックアップロール71により送り出されるとともにレジストロール72により二次転写ロール65と中間転写ベルト60の間に送り込まれる。これにより、中間転写ベルト60上の多重トナー像は、バックアップロール63から転写用電界の作用を受けることにより記録材Pに静電的に転写される。この際、上記転写用電界は、バックアップロール63にトナーの帯電極性と同極性の電圧が図示しない電源装置から給電ロール66を介して印加されることにより形成される。また、転写後の中間転写ベルト60の表面は、ブレード方式のベルト用クリーナ67により残留トナー等が除去されて清掃される。さらに、転写後の二次転写ロール65の表面は、ブレード方式のロール用クリーナ68により付着トナーや紙粉等の異物が除去されて清掃される。
【0054】
なお、二次転写ロール65(ロール用クリーナ68を含む)及びベルト用クリーナ67は、リトラクト機構等により変位し中間転写ベルト60に対して接離可能に配設されており、例えば、二次転写開始直前から次の一次転写が開始される前までの間だけ中間転写ベルト60に当接するように設定されている。また、ロール用クリーナ68のブレード68aは、ポリウレタン、シリコーン等の合成ゴムにて形成されたものであり、二次転写ロール65に常時当接されている。
【0055】
最後に、多重トナー像が転写された記録材Pは、二次転写位置からロール方式の定着装置80に送り込まれ、その定着装置70による加熱加圧作用を受けることにより、多重トナー像が記録材P上に定着されて永久像となる。図3中の一点鎖線は記録材Pの搬送経路を示す。以上のようにして、記録材P上にフルカラー画像が形成されるようになっている。
【0056】
このような画像形成装置の二次転写ロール65として前述の二次転写ロール1を取り付けて、10,000枚分のフルカラー画像形成を行ったところ、かかる画像形成後における二次転写ロール1(特にその最外層13)には何の異常(例えば、最外層14にクラックが発生したり、その最外層14が削れて欠損することなど)も認められなかった。また、ロール用クリーナ68のクリーニング不良はまったく発生せず、しかも、その画像形成後における二次転写ロール1の表面にトナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。さらに、高温高湿( 28℃、85%)の環境下と低温低湿(10℃、15%)の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれの環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められなかった。
【0057】
[実施例2]
実施例1で作製した半導電性塗料に配合したシリコン・アクリル−クシ型グラフトポリマーをフッ素・アクリル−クシ型グラフトポリマー(東亜合成化学製:アロンGF−300)へ変更した以外は実施例1と同様にして二次転写ロール1(図1)を作製した。
【0058】
そして、この二次転写ロール1の電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θについて実施例1と同様に測定したところ、以下の結果が得られた。
電気抵抗R=107.8 Ω、表面粗さRz=1.8μm、接触角θ=93°。
この結果から、この二次転写ロール1も、前述したような転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべて同時に満足するものであることが確認された。
【0059】
次に、この二次転写ロール1を、実施例1と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成後における二次転写ロール1(特にその最外層13)には何の異常も認められなかった。また、ロール用クリーナ68のクリーニング不良はまったく発生せず、しかも、その画像形成後における二次転写ロール1の表面にトナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれの環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められなかった。
【0060】
[実施例3]
実施例1で作製した半導電性塗料に配合した複合金属酸化物の配合量を10重量部に変更するとともに、その塗料にさらに導電性カーボン(揮発分5.0%、平均粒径50nm)を3重量部配合した以外は実施例1と同様にして二次転写ロール1(図1)を作製した。
【0061】
そして、この二次転写ロール1の電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θについて実施例1と同様に測定したところ、以下の結果が得られた。
電気抵抗R=107.5 Ω、表面粗さRz=1.5μm、接触角θ=95°。
この結果から、得られた二次転写ロール1は、前述したように転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗R、表面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべて同時に満足するものであることが確認された。また、この実施例3では、二次転写ロール1の表面の硬度(アスカーC硬度計による測定値)を測定したところ、実施例1、2の二次転写ロールではその硬度が「35°」であったのに対し、その硬度が「28°」に低減していることが確認された。これは、この実施例では(カーボンを配合して)複合金属酸化物の配合量を実施例1、2に比べて減らしたことにより、ロール表面の柔軟性が増したことを示している。
【0062】
次に、この二次転写ロール1を、実施例1と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成後における二次転写ロール1(特にその最外層13)には何の異常も認められなかった。また、ロール用クリーナ68のクリーニング不良はまったく発生せず、しかも、その画像形成後における二次転写ロール1の表面にトナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれの環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められなかった。
【0063】
[実施例4]
この実施例では、フルカラー画像形成装置に使用する中間転写ベルト2として、図2に示す構造のものを以下の工程により作製した。図中の20はベルト基材、21は最外層(表面層)である。
【0064】
まず、耐熱皮膜用ポリイミドワニス(宇部興産株式会社:Uワニス−S)100重量部に導電性カーボンを12重量部配合し、ミキサーにより両者を十分に攪拌した。次いで、この原液を円筒の成形金型に30℃で均一に流し込んだ後、130℃に加熱しつつ遠心成形し、そのベルト成形品を半硬化した状態で金型内から取り出し、その脱型したベルト成形品を鉄芯に被せて450℃で30分間加熱して厚さ80mmのシームレスベルト基材20を得た。
【0065】
次いで、このベルト基材20の外周面に、実施例1で作製した半導電性塗料を実施例1と同様のスプレーコーティングした後に加熱硬化させることにより、厚さ30mmの最外層21が形成された中間転写ベルト2(図2)を作製した。
【0066】
そして、作製した中間転写ベルト2の表面抵抗率ρs(Ω/□)、体積抵抗率ρv(Ω・cm)、表面粗さRz及び接触角θについて測定したところ、以下の結果が得られた。表面抵抗率ρs及び体積抵抗率ρvは、前述した測定機器と測定方法により得られたものであり、具体的には標準環境(22℃、55%)下で100Vの直流電圧を10秒間印加したときの測定値を前記算出式a),b)より求めた。
表面抵抗率ρs=6×1011Ω/□、体積抵抗率ρv=5×109 Ω・cm、
表面粗さRz=1.2μm、接触角θ=96°。
この結果から、得られた中間転写ベルト2は、前述したように中間転写体として一般的に要求される表面抵抗率ρs、体積抵抗率ρv、表面粗さRz及び接触角θに関する特性条件をすべて同時に満足するものであることが確認された。
【0067】
次に、この中間転写ベルト2を、実施例1と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の中間転写ベルト(60)として使用し10,000枚のフルカラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成後における中間転写ベルト2(特にその最外層21)には何の異常も認められなかった。また、ベルト用クリーナ67のクリーニング不良はまったく発生せず、しかも、その画像形成後における中間転写ベルト2の表面にトナーや紙粉等の固着もまったく発生していなかった。さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、いずれの環境下で得られた画像も、その画質に差異は認められなかった。
【0068】
[比較例1]
実施例1で作製した半導電性塗料においてシリコン・アクリル−クシ型グラフトポリマーを配合しないように変更した以外は実施例1と同様にして二次転写ロール1(図1)を作製した。
【0069】
そして、作製した比較例1に係る二次転写ロール1の表面抵抗率ρs(Ω/□)、体積抵抗率ρv(Ω・cm)、表面粗さRz及び接触角θについて測定したところ、以下の結果が得られた。
電気抵抗R=107.7 Ω、表面粗さRz=12.0μm、接触角θ=75°
この結果から、比較例2の二次転写ロール1は、前述したような転写ロールとして一般的に要求される電気抵抗Rの特性条件を満足するものの、表面粗さRz及び接触角θについてはその要求される特性条件(Rz≦10.0μm、θ≧90°)を満足できないものであることが確認された。つまり、そのロール1の表面平滑性及び離型性は不十分なものであった。
【0070】
次に、この二次転写ロール1を、実施例1と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカラー画像形成を連続して行ったところ、その二次転写ロール1とベルトクリーナ67のブレード板67aとの摺擦力(二次転写ロール1の回転駆動トルク)が実施例1の場合に比べて3割程高くなり、また、1,000枚のフルカラー画像形成後にロール用クリーナ68のクリーニング不良による記録材Pの裏面汚れが発生し始めたことが確認された。さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、特に高温高湿の環境下で得られた画像の画質が悪いことが確認された。
【0071】
[比較例2]
実施例4で作製したシームレスベルト基材20に、実施例1における半導電性塗料においてシリコン・アクリル−クシ型グラフトポリマーを配合しないで作製した塗料をコーティングした以外は実施例4と同様にして二次転写ベルト2(図2)を作製した。
【0072】
そして、作製した比較例2に係る中間転写ベルト2の表面抵抗率ρs(Ω/□)、体積抵抗率ρv(Ω・cm)、表面粗さRz及び接触角θについて実施例1と同様に測定したところ、以下の結果が得られた。
表面抵抗率ρs=8×1011Ω/□、体積抵抗率ρv=7×109 Ω・cm、
表面粗さRz=10.4μm、接触角θ=79°。
この結果から、比較例2に係る中間転写ベルト2は、前述したような中間転写体として一般的に要求される表面抵抗率ρs及び体積抵抗率ρvの特性条件を満足するものの、表面粗さRz及び接触角θについてはその要求される特性条件を満足できないものであることが確認された。つまり、そのベルト2の表面平滑性及び離型性は不十分なものであった。
【0073】
次に、この中間転写ベルト2を、実施例4と同様に、図3に示すフルカラー画像形成装置の二次転写ロール(65)として使用し10,000枚のフルカラー画像形成を連続して行ったところ、かかる画像形成の初期段階からハーフトーンの画像部分の均一性(いわゆる粒状性)が悪くなり、また、3,000枚のフルカラー画像形成後にベルト用クリーナ67のクリーニング不良による記録材Pの裏面汚れが発生し始めたことが確認された。さらに、実施例1と同様の高温高湿の環境下と低温低湿の環境下でフルカラー画像形成を行ったところ、比較例1と同じように特に高温高湿の環境下での画像の画質が悪いことが確認された。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電荷関与部品によれば、フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に前記したクシ型グラフトポリマーを分散してなる最外層を具有させたことにより、従来例のように離型粒子の分散不良による離型性の低下や離型粒子の多量の添加による表面平滑性の低下が発生することなく、前述した画像形成装置における電荷関与部材として要求される表面平滑性及び離型性の各特性条件をいずれも容易に満足するものとなり、この結果、電荷関与部品の表面(最外層)に付着するトナーや紙粉等の異物を容易に取り除くことができ、クリーニングしやすいものとなる。また、回転駆動するような電荷関与部品のクリーニング装置としてブレード方式のものを何ら支障(前述のクリーニング不良、駆動系の負荷増加、摺擦による表面磨耗など)なく使用することができる。
【0075】
また、上記最外層の樹脂にさらに複合金属酸化物を分散させた場合には、前述した画像形成装置における電荷関与部材として要求される電気抵抗値の特性条件を容易に満足するものとなり、また、その複合金属酸化物の添加量に対する電気抵抗値の変動や環境変化に対する電気抵抗値の変動も十分に抑制され、環境安定に優れたものとなる。
【0076】
さらに、上記最外層の樹脂にさらに複合金属酸化物に加えてカーボンをも分散させた場合には、その最外層の硬度を増大させることなく、その電気抵抗値を適切に調整して上記特性条件を容易に満足するものとなる。しかも、使用環境による電気抵抗値の変動がきわめて少ない(電気抵抗値の環境安定性に優れた)
【0077】
そして、これらの電荷関与部品を画像形成装置の転写ロールや中間転写体等の電荷関与部品として使用した場合には、クリーニング不良による記録材の裏面汚れが発生することがなく、しかも、環境変化に対しても画質がほぼ安定した良好な画像形成を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1等に係る二次転写ロールの層構成を示す概略断面図である。
【図2】 実施例4等に係る中間転写ベルトの層構成を示す概略断面図である。
【図3】 実施例1等に係るカラー画像形成装置を示す概要図である。
【符号の説明】
1…二次転写ロール(電荷関与部品)、2…中間転写ベルト(電荷関与部品)、13、21…最外層。
Claims (7)
- 画像形成装置における電荷が関与する転写用ロール、中間転写体、帯電用ロール、現像用ロール及び除電ロールの少なくとも1つである構成部品であって、
フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂に、シリコーン系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマー又はフッ素系モノマーとアクリル系モノマーからなるクシ型グラフトポリマーの少なくとも一方と、複合金属酸化物とを分散してなる最外層を有することを特徴とする電荷関与部品。 - 前記フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂が、1塩化3フッ化エチレンとビニルエーテルの共重合体をイソシアネートで架橋して得られるポリマーである請求項1記載の電荷関与部品。
- 前記複合金属酸化物が、3種以上の金属酸化物を焼成して得られる固溶体である請求項1に記載の電荷関与部品。
- 前記複合金属酸化物は、前記フルオロオレフィンビニルエーテル樹脂の固形分100部に対して5〜300重量部含有されている請求項1に記載の電荷関与部品。
- 前記最外層の樹脂に、さらにカーボンを分散してなる請求項1記載の電荷関与部品。
- 前記カーボンが、揮発分1、5%以上のカーボンである請求項5に記載の電荷関与部品。
- 電荷が関与する構成部品として、請求項1〜6のいずれかに記載の電荷関与部品が使用されていることを特徴とする画像形成装置。
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