JP4303468B2 - 膜スカホールドタンパク質 - Google Patents

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Description

【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2000年11月20日に出願された米国仮出願番号60/252,233号の一部継続出願である。
【0002】
(連邦研究支援の承認)
本発明は、少なくとも一部分、国立衛生研究所からの基金(認可番号R01GM31756、R01GM33775、GM63574および5F32GM19024)でなされた。従って、合衆国政府は本発明において特定の権利をもつ。
【0003】
(発明の背景)
本発明の分野は、分子生物学および膜技術を包含する。より詳細には、本発明は、人工膜スカホールドタンパク質(MSP)、これらをコードする配列、ベクターおよび組換え宿主細胞、これらの組換え生産のための方法、および繋がれたか、包埋膜タンパク質または内在性膜タンパク質のような、完全または部分的に疎水性のタンパク質を、これら膜タンパク質の生物学的活性を維持しながら、安定化、分散および可溶化するため、または膜フラグメントを安定化、分散および可溶化するための上記膜スカホールドタンパク質を用いる方法に関する。
【0004】
数年前、本発明者らは、配向された様式での雲母上への合成高密度リポタンパク質ディスク(rHDL、アポA−I)への吸着を基礎にした、走査プローブ顕微鏡法による膜タンパク質の研究のための新しいシステムを開発した(Carlsonら、1997;Bayburtら、1998;Bayburtら、2000;Carlsonら、2000)。観察された円板状構造の直径は、5.5ナノメーターの高さをともなって約10nmである。観察されたこの5.5nm高さのトポロジーは、原子的に平坦な雲母表面上でエピタキシャルに配向した単膜二重層と最も適合している(Carlsonら、1997)。
【0005】
精製された膜タンパク質は、特定のそのような円板状構造のホスホリピド二重層に再構築され、そして原子間力顕微鏡、または配向されたタンパク質−二重層アセンブリの表面を利用する分光学的技術による検査のいずれかのために、溶液中または次いで適切な表面上に吸着させて研究され得る。さらに、膜タンパク質を含む基礎となる円板状構造は、容易に認識され、そして試料の質を判定するための参照の点およびイメージを提供する。繋がれた膜タンパク質であるNADPH−シトクロムP450レダクターゼが、rHDL二重層ディスク中に組み込まれ、そして物理的に研究された(Bayburtら、1998;Bayburtら、2000)。このレダクターゼは、10nm直径のrHDLディスク中に組み込まれ得、これらのディスクは、雲母上に吸着され得、そして二重層構造の頂部から突出するレダクターゼの触媒ドメインがイメージされ得る。この組み込まれた酵素は、このような表面上で活性であり、代謝回転数は、粒子状膜調製物で得られたのと一致する。力曲線分析を用い、このドメインの高さ、およびAFMプローブの力の下のその圧縮性が推定された(Bayburtら、2000)。二重層表面の上のこの分子の高さは、最近のX線結晶構造を基礎にした予想された高さに対応している(Wangら、1997)。シトクロムP450レダクターゼは、本発明のMSP支持ナノスケール構造中に活性形態で組み込まれ得る。
【0006】
高密度リポタンパク質(HDL)は、アポA−Iと称されるタンパク質成分および種々のホスホリピドのアセンブリである。HDL粒子は、逆コレステロールトランスポートのための主要導管として作用することにより哺乳動物コレステロールホメオスタシスにおいて重要な役割を演じている(FieldingおよびFielding、1991)。コレステロールトランスポーターとしてのHDLの機能は、HDL−関連酵素レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ、またはLCATの活性に依存し(Glomset、1968;Jonas、1991)、これは、HDLリポタンパク質粒子中へのコレステロールエステルの挿入を媒介する。アポA−Iタンパク質の特定の部分は、この酵素の活性に必要である(Holvoetら、1995)。さらに、アポA−Iタンパク質の一部分は、N末端の球状ドメイン中に存在し、そして細胞表面レセプターとの相互作用を担うと考えられている。HDL粒子の1つの初期の形態は、染色された調製物の電子顕微鏡検査に基づく円板状のものであると仮定されている(Forteら、1971)。本発明者らの実験室は、水性条件下の合成形態のAFM研究を用い、これを確認した。しかし、この形態は、インビボの循環において優勢な形態ではない。むしろ、このアポA−I構造は、球状形態を安定化するために進化したように見える。
【0007】
HDLディスクの構造に対する2つの一般モデルが提案されている。1つのモデルは、湾曲するセグメント化されたαらせんロッドから構成される水平バンドまたは「ベルト」として、環状の二重層セクションを取り囲むアポA−Iタンパク質を有する(Wlodawerら、1979)。他のモデルは、一連のαらせんセグメント中で、二重層のエッジを垂直に横切るタンパク質を有する(Boguskiら、1986)。両方のモデルは、主に、間接的な実験証拠に基づいており、そしてそれらの間を区別する決定的な手段は出現していない。アポA−I遺伝子の配列分析は、このタンパク質が、ほぼ二重層の厚さと一致する、ほぼ22アミノ酸長の一連のらせんに折り畳まれることを示唆する。このディスクにおけるらせんの配置が、コンピューターモデリング(Phillipsら、1997)および減衰総反射率赤外分光光度法測定(Waldら、1990)により推定されている。これらの努力は、これらのらせんが、アシル鎖にほぼ平行に横たわり、そして二重層の厚さよりわずかに短いことを示唆した。タンパク質および脂質のこの配置は、ピケットフェンスモデルと一致する。
【0008】
ベルトモデルは、特定の電子顕微鏡法および中性子散乱データ(Wlodawerら、1979)と一致し、ここでは、これららせんは、二重層ディスクのエッジのまわりを「ベルト」のように長軸方向に配置されている。二色法測定のために試料配向の新たな方法を用いるより最近の赤外分光光度法研究は、先の研究に比較して、ベルトモデルにより一致している(Waldら、1990;Koppakaら、1999)。これまで、どのモデルが正確であるかに関し、たとえ、脂質なしで結晶化されたアポA−Iの低解像度x線結晶構造が得られたとしても(Borhaniら、1997)、人を引き付ける直接的証拠はない。N末端が短縮化されたアポA−Iの低解像度結晶構造は、蹄鉄形状に折り曲げられ、そして組合せられて約125×80×40Åの環状凝集物を与える、4つのらせんロッドから構成されるテトラマー種を含む単位セルを示す。このベルト立体配置中のダイマー種は、円板状粒子を形成し得ることが示唆された。
【0009】
逆コレステロール輸送サイクルおよびHDL粒子の成熟に関するデータに収集された情報は、アポA−Iタンパク質が、それを膜と自発的に相互作用させ、リポタンパク質粒子の形成を生じる特有の性質をもつことを示唆する。初期のアポA−I脂質結合事象が提案されているが(Rogersら、1998)、二重層会合形態の円板状粒子への変換は不明のままである。利用可能な証拠は、脂質フリーのアポA−Iの安定化エネルギーはかなり低く、そして2つのコンフォーマー(conformer)間に平衡があることを示唆する(AtkinsonおよびSmall、1986;Rogersら、1998)。1つのコンフォーマーは、長いらせんロッドであり得、そして他は、ほぼ半分の長さのらせん「ヘアピン」構造であり得る。低い安定化エネルギーおよび立体構造可塑性は、アポA−Iが、それが脂質膜と遭遇するとき構造的に再組織化されるのを可能にし、それ故、膜およびタンパク質の両方において構造的変化が生じるに違いないことを可能にすることを促進し、別個のリポタンパク質粒子を生成することが示唆されている(Rogersら、1998)。一旦これらの粒子が形成されると、アポA−Iは、なお、このリポタンパク質粒子の動力学的機能性に寄与する特定の立体構造変化を受け得る。これらの相互作用および変化のすべては、タンパク質−脂質界面で生じる。従って、アポA−Iそれ自身が、安定なナノメーターサイズのホスホリピド二重層を生成するために理想的であり得ると信じる理由はほとんどない。
【0010】
合成rHDLが、特定のタンパク質−脂質比、および脂質の相転移温度またはそれ以上の温度における、アポA−Iのホスファチジルコリンリポソームとの相互作用に際して自発的に形成される(Jonas、1986)。アポA−Iとホスホリピドとの混合物の界面活性剤透析の方法をまた用いて粒子状構造を形成し、そして精製された膜タンパク質を組み込む方法が与えられる。形成される円板状粒子のサイズは、形成混合物のタンパク質対脂質の比に依存し、そして二重膜ドメインの直径を反映する(Brouilletteら、1984;Waldら、1990)。従って、サイズのクラスが、ホスホリピドディクスの周において会合したアポA−I分子の数から生じる。これらのクラスは、ディスクあたりのアポA−Iタンパク質分子の化学量論について、LP1、LP2、LP3、およびLP4と称される。これらのLPクラス内の可変サイズがまた、アポA−Iの立体構造における不均一性に起因して生じる。本発明の1つの局面は、この不均一性の原因となる構造を識別し、そしてそれをなくし単分散のディスク構造の集団を生成する能力に基づく。現在、10nm直径より大きい均一粒子の形成は、2〜4個会合したアポA−I分子を含む種の混合物からの粒子の分離を必要とし、その一方、10nm直径の粒子が、低アポA−I/ホスホリピド比における形成の間の主要形態てある。単一サイズクラスの純度、および高効率の膜タンパク質または膜フラグメント組み込みを得るための能力は、アポA−I構造の改変を必要とする。
【0011】
異なる型の脂質凝集物が、精製された膜タンパク質の再構築および研究のために用いられており;これらは、膜分散物、界面活性剤ミセルおよびリポソームを含む。図1を参照のこと。生化学的および物理的研究のための精製された系は、いくつかの系では必ずしも固有ではない、安定性を必要とする。リポソームは、水性の内面を含む閉じた球状の二重層殻である。界面活性剤透析またはその他の方法によるリポソーム中への再構築は、代表的には、外部スペースおよび管腔スペースに対する、タンパク質のランダム配向を生じる。リガンドまたはタンパク質標的は、通常、親水性または荷電しているので、図1に示されるようなリポソーム二重層を通過し得ず、これはいくつかの例では有利ではない。リポソーム二重層の両側面は、バルク溶媒に接近可能ではないので、二重層の対向する側面上のドメイン間のカップリング効果は研究され得ない。リポソームはまた、凝集および融合する傾向があり、そして、通常、約1週間より長い期間、または停止した流れまたは激しい混合のような特定の物理的操作下では不安定である。規定された円筒型ポアサイズを通って押し出すことにより得られたリポソームのサイズは、一様の直径を示すよりむしろ、サイズ分布において多分散である。
【0012】
リポソームはまた、光散乱、および二重層中に存在する膜タンパク質の凝集に起因する困難性を提示し得る。リポソームの表面領域は相対的に大きい(10〜10Å)。単一膜タンパク質をもつリポソームを得るために、大きな脂質/タンパク質モル比を必要とする。界面活性剤ミセルは、膜タンパク質の膜に包埋された部分との相互作用による膜タンパク質の可溶化を可能にし、そして使用容易である。界面活性剤ミセルは動的であり、そしてサブユニット解離を促進する構造的動揺を受け、そしてしばしば、希釈溶液中でタンパク質を取り扱う能力において困難性を提示する。しかし、過剰の界面活性剤ミセルが、非凝集かつ可溶性状態にあるタンパク質を維持するために必要である。界面活性剤はまた、温和な変性性であり得、そしてしばしばホスホリピド二重層系で見出される性質を維持しない。特定のホスホリピド種は、しばしば、タンパク質構造および機能を支持および調整するために必要である(Tocanneら、1994)。従って、界面活性剤可溶化膜タンパク質の構造、機能,および安定性は疑問であり得る。過剰の界面活性剤ミセルが必要であるので、タンパク質複合体は、タンパク質濃度および界面活性剤タンパク質比に依存して解離し得る。対照的に、本発明のMSPナノ構造は、別個のサイズおよび組成のホスホリピド二重層模倣ドメイン、および単層リポソームより大きな安定性およびより小さな表面積を有して、構造的により頑丈である。このディスク構造は、二重層様界面活性剤の両側面への接近を可能にし、そしてまたリポソームの二重層構造のような二重層構造を提供する。
【0013】
当該技術分野には、膜タンパク質およびその他の疎水性または部分的に疎水性であるタンパク質の、これらタンパク質のネイティブな活性および性質が保存されるような分散のための、安定で規定された組成物に対する長年求められた必要性がある。
【0014】
(発明の要旨)
本明細書で用いられる膜スカホールドタンパク質(MSP)は、それ自身が、ホスホリピドおよびホスホリピド混合物と自己アセンブルするか、またはホスホリピドの非存在下でナノメーターサイズの膜二重層に自己アセンブルする人工タンパク質である。これらナノメーターサイズアセンブリのサブセットはね形状が円板状であり、そしてナノディスク(disc)またはナノディスク(disk)構造と呼ばれている。これらの「ナノスケール」粒子は、直径が、約5〜約500nm、約5〜約100nmまたは約5〜約50nmであり得る。ホスホリピドおよびMSPを含むこれらの構造は、正常膜の全体の二重膜構造を保存するが、これは、溶液中で可溶性であり、かつ種々の表面にアセンブルまたは固定され得る、システムを提供する。詳細に例示されるMSPのアミノ酸配列は、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号19、配列番号23、配列番号29、配列番号43、配列番号44および配列番号45に与えられる。
【0015】
本発明は、本発明のMSPを用いて形成されるナノメータースケールホスホリピド二重層構造またはナノディスクの使用をさらに提供し、さらなる疎水性または部分的に疎水性のタンパク質分子の組み込みに有用である。これらのさらなるタンパク質は、例えば、界面活性剤の使用により可溶化され得、そしてこの可溶化されたタンパク質は、ホスホリピドとともにまたはなしでMSPの溶液に添加され得、そしてこのナノスケール粒子は自己アセンブルし、その結果、MSPおよびさらなるタンパク質は、安定かつ可溶性粒子中に組み込まれる。次いで、任意の界面活性剤は、透析により除去され得る。これらのタンパク質は、生存する生物の種々の膜構造中に天然に見出され、MSP支持ナノ二重層またはナノディスク中で可溶化され、そして標的タンパク質のネイティブ構造および活性は、これらのMSP支持構造中で保存される。疎水性または部分的に疎水性のタンパク質の他に、膜フラグメントまたは破壊された膜が、本発明のMSPとアセンブルされ得る。
【0016】
MSP支持構造中に組み込まれた天然のタンパク質のネイティブな構造およびリガンド結合が維持されるように、MSP支持二重層またはナノディスクを溶液中で用いるかまたは多数の表面に適用し得る。具体的に例示したように、MSP支持構造体は、(例えば、表面プラズモン共鳴技術における使用のために)金表面に固定される。
【0017】
本発明は、本発明の少なくとも1つのMSPを含むナノスケールの脂質二重層またはナノディスクへの内在性膜タンパク質の組み込みのための方法に関する。3つのクラスの膜タンパク質(係留膜タンパク質、包埋膜タンパク質および内在性膜タンパク質)が、本発明の方法において用いられ得る。第一の膜タンパク質のクラスは、係留膜タンパク質である;このクラスは、NADPH−シトクロムP450レダクターゼおよびヒト組織因子によって例示される。包埋膜タンパク質の例としては、ウサギの肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 2B4、ヒト肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 3A4および昆虫ミクロソーム由来のシトクロムP450 6B1が挙げられるがこれらに限定されない。内在性膜タンパク質は、Halobacterium halobium由来のバクテリオドロプシン、Homo sapiens由来の5−ヒドロキシトリプタミン1A Gタンパク質共役レセプターおよび他のGタンパク質共役タンパク質レセプターを含むがこれらに限定されない、7ヘリックス膜貫通タンパク質によって例示される。各クラスの膜タンパク質のメンバーは、本発明のMSPおよび方法を用いてナノスケールの構造体中に成功裏に組み込まれた。特に、細胞表面レセプター、特にGタンパク質共役レセプターは、あるクラスの膜スカホールドタンパク質(MSP)から形成されたナノ二重層の二重層構造体中に組み込まれ得る。
【0018】
本発明者らは、得られるナノスケールのリポタンパク質粒子における、より大きな安定性、サイズの均質性および有用な官能基のために、スカホールドタンパク質(MSP)を操作することによって、構造的技術、生化学的技術および薬学的技術において使用するためのナノディスクを開発した。これらの粒子は、(例えば、ヒドロゲル中または金バイオセンサ表面上で)ディスクの精製および物理的操作のためのタグを形成し得、そしてこれらは、迅速かつ再現性のあるアッセイおよび結晶化のための実体として役立ち得る。ナノ粒子および膜タンパク質のスカホールドは、生物工学、製薬産業ならびに基礎研究において有用である。さらに、本発明者らの知見および関連技術によって含まれない構造原理および機能原理は、分子レベルでのタンパク質と脂質二重層との相互作用の理解を促進する。
【0019】
本発明の別の局面は、膜タンパク質を可溶化し得かつ機能的に安定な単分散リン脂質二重層会合形態で複合体を形成し得る、あるクラスの膜スカホールドタンパク質(MSP)に関する。さらに、このMSPは、一重膜タンパク質の物理的操作の手段を提供する。MSPは、ヒトアポリポタンパク質A−Iに倣ってモデル化され、これは、特定の条件下では、リン脂質と自己アセンブリして、100Å〜200Åの直径を有する円盤状構造を形成し得る(Brouilletteら、1984)。他の両親媒性タンパク質もまた、出発点として役立ち得る。アポタンパク質A−Iは既知であるが、これは、どのような一般的方法においても、完全に無関係な起源の係留膜タンパク質、包埋膜タンパク質および内在性膜タンパク質を可溶化および研究するためには用いられていない。本発明の特定の実施形態は、膜タンパク質の可溶化、操作および研究のための脂質結合MSPの使用である。
【0020】
本発明はさらに、親分子の配列を変更することによって、遺伝子操作されたMSPを用いてMSPのサイズを膜粒子形成に関して最小にし、そして自己アセンブリナノ粒子の安定性および単分散性を増大させる、材料および方法を提供する。特に、本発明者らは、Gタンパク質共役レセプターの研究のためのMSPを開発した。Gタンパク質共役レセプター(GPCR)は、哺乳動物細胞膜(ここでこれらはシグナル伝達要素として機能し、いくつかのクラスの生物活性リガンドに結合し、そして情報を細胞内機構に伝達する)における重要でかつ多様なクラスの薬学的標的である。本発明の人工MSPは、膜結合形態のGPCRを安定化および可溶化して、高処理能力スクリーニング適用における使用のための溶液中または固体支持体上での精製および操作、ならびに表面プラズモンバイオセンサおよび走査プローブ技術の表面上での精製および操作を可能にする。本発明の人工MSPを用いて、可溶性形態での組換え膜タンパク質の発現および精製を容易にし得る。
【0021】
本発明の範囲内にはまた、MSPをコードする組換えDNA分子およびこれらの組換えDNA分子を含む宿主細胞(これは、MSPを生成するために用いられる)が存在する。これらの組換えDNA分子によってコードされるMSPとしては、以下を含むがこれらに限定されないアミノ酸配列を含むMSPが挙げられる:配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号19、配列番号23、配列番号29、配列番号43、配列番号44および配列番号45。
【0022】
(発明の詳細な説明)
本願において使用される略語としては、以下が挙げられる:A、Ala、アラニン;M、Met、メチオニン;C、Cys、システイン;N、Asn、アスパラギン;D、Asp、アスパラギン酸;P、Pro、プロリン;E、Glu、グルタミン酸;Q、Gln、グルタミン;F、Phe、フェニルアラニン;R、Arg、アルギニン;G、Gly、グリシン;S、Ser、セリン;H、His、ヒスチジン;T、Thr、スレオニン、I、Ile、イソロイシン;V、Val、バリン;K、Lys、リジン;W、Try、トリプトファン;L、Leu、ロイシン;Y、Tyr、チロシン;MSP、膜スカホールドタンパク質;DPPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン;PC,ホスファチジルコリン;PS、ホスファチジルセリン;BR、バクテリオロドプシン。
【0023】
最も単純な単細胞生物は、水性物質で満たされた中心領域ならびに種々の可溶性低分子および高分子からなる。二重層構造で配置されたリン脂質からなる膜が、この領域を囲んでいる。より複雑な生存細胞においては、膜によってまた囲まれた内部区画および構造が存在する。これらの膜構造内に包埋または会合した、多くのタンパク質分子が存在し、そしてこれらのいわゆる膜タンパク質は、しばしば、情報およびエネルギーの伝達および処理を含む細胞機能を決定するために、最も重要である。膜タンパク質を研究する際の最も大きな問題は、リン脂質二重層の内側が疎水性であり、そして膜タンパク質の包埋または係留された部分自体もまた疎水性であることである。これらの膜タンパク質をそれらのネイティブな膜環境から単離する際に、これらのタンパク質が不活性な凝集体を形成することを防止することが、非常に困難である。本発明は、それ自体ネイティブ様のリン脂質二重層である可溶性ナノ粒子を生成する方法を提供し、この中に、目的の疎水性タンパク質(標的タンパク質)が組み込まれて、標的タンパク質を可溶性の単分散実態として維持し得る。これは、膜タンパク質のような疎水性タンパク質を、ナノメートル規模の構造体に組み込むことによって、達成される。
【0024】
膜スカホールドタンパク質(MSP)とは、本明細書中で使用される場合、リン脂質およびリン脂質混合物をナノメートルサイズの膜二重層に自己アセンブリさせる、人工タンパク質である。これらのナノメートルサイズのアセンブリのサブセットは、形状が円盤状であり、そしてナノディスクまたはナノディスク構造と称される。これらの構造は、通常の膜の二重層構造全体を保存するが、溶液中に可溶であり、かつ種々の表面にアセンブリまたは固定され得る系を提供する。
【0025】
本発明のMSPは、両親媒性でなければならず、この構造の一部が、多少親水性であり、そして水性溶媒に面し、そして他の部分が、多少疎水性であり、そして安定化されるべき疎水性二重層の中心に面する。基本的な生化学的文献の調査により、この必要な両親媒性特徴を有するタンパク質構造の2つの候補が明らかとなる:αヘリックスおよびβシート。文献中には、βシートが折り畳まれて、「内側」が疎水性でありそして「外側」が親水性である構造を作製し得る例が存在するが、これらの構造の最も単純なものにおいて、このように形成される中心キャビティは小さい。このような小さな内部領域は、リン脂質二重層を安定化させ得るが、この大きさは、任意の所望の膜タンパク質標的を組み込むためには小さすぎる。従って、本発明者らは、本発明のMSPを、基本的な両親媒性構築ブロックとしてαヘリックスを有するように設計した。各MSPは、より疎水性の残基(例えば、A、C、F、G、I、L、M、V、WまたはY)を優先的にヘリックスの片面に有し、そしてより極性のまたは荷電した残基(D、E、N、Q、S、T、H、KまたはR)を、このヘリックスの他方の面に有する、両親媒性αヘリックスを形成するアミノ酸配列を有する。概略的表現については、図2を参照のこと。さらに、この螺旋構造は、約20〜25アミノ酸ごとにプロリン残基(P)で終止して、「ねじれ」を形成するか、またはターンを開始して、円盤状のリン脂質二重層の縁部の周囲でのMSPの「巻き込み」を容易にする。図2を参照のこと。図2は、一般化された線型アミノ酸配列および螺旋状ホイール図を示し、このヘリックスの片側における、疎水性アミノ酸の優先的な配置を示す。正確なアミノ酸配列は、設計された線型配列における疎水性アミノ酸の位置および数が変化し得る。いずれかの螺旋軸が、ナノディスク二重層の垂線に対して平行または垂直のいずれかである、単純なモデルが作製され得る;図3Aおよび3Bを参照のこと。およそ10nmの直径を有するディスクを作製するためには、MSPは、この一般化された両親媒性配列を有する、約12〜約20以上の繰り返し単位を含む。好ましくは、このタンパク質は、両親媒性αヘリックスからなり、このヘリックスの各々が、14アミノ酸と25アミノ酸との間の長さを有し、ヘリックス形成のために折り畳み不可能な残基(例えば、プロリン)によって線状配列で終止し、これは、脂質二重層の疎水性コアを安定化させる、小さな螺旋構築ブロックを形成する。これらの小さな螺旋セグメントは、約1〜約5のアミノ酸残基で、一緒に結合される。10nmの円盤粒子の縁部を、与えられる「ベルト」モデルまたは「ピケットフェンス」モデルでカバーするためには、10〜20の間のこのようなヘリックスが必要であり、図3Aおよび3Bの単純な図の分析に基づくと、16が最適な数である。従って、本発明者らは、所望の両親媒性ヘリックスを含むタンパク質を発現するように、合成遺伝子を構築した。
【0026】
本発明のMSPは、係留膜タンパク質、包埋膜タンパク質、または内在性膜タンパク質を、ナノスケールの構造体中で安定化するために使用され得る。係留膜タンパク質は、大部分が、二重層の外側であり比較的単純な(例えば、単一パスのヘリックス)比較的可溶性の球状ドメインからなり、これが、このドメインを膜二重層に繋留する。この球状のドメインは、本質的に、配向が細胞外であり得るか、または細胞質であり得る。包埋膜タンパク質とは、本明細書中で定義される場合、ポリペプチドの膜繋留セグメントを含むがタンパク質の表面に疎水性アミノ酸の集団を有し、この疎水性ドメインが、膜二重層に包埋されている、タンパク質である。内在性膜タンパク質は、優先的に、膜二重層の内部に位置する;このタンパク質の比較的小さな部分は、細胞内の水性環境または細胞外の水性環境に曝露される。
【0027】
係留膜タンパク質のクラスは、NADPH−シトクロムP450レダクターゼ(例えば、ラット肝臓小胞体由来)、シトクロムb5およびヒト組織因子によって、例示される。NADPH−シトクロムP450レダクターゼは、小胞体において見出される膜タンパク質であり、そしてピリジンヌクレオチドの脱水および膜結合シトクロムP450への電子移動を触媒する。類似の構造のアイソザイムは、ヒト、植物、他の哺乳動物、昆虫などにおいて見出される。組織因子(TF)、またはトロンボプラスチンは、血液凝固カスケードの開始に重要な、30,000DaのI型係留膜タンパク質である。この膜結合タンパク質は、第VII因子に対する活性化補因子(血液凝固における最初の酵素段階を実施する、可溶性セリンプロテアーゼ)として働く。組織因子の発現は、血漿に直接接触しない細胞に制限され、血管構造の周囲および生物全体に、「止血エンベロープ」を形成する。高レベルのTFが、皮膚、脳、および血管を囲む外膜層において見出される。TF:VII複合体は、膜表面でアセンブリされて、高い活性を示さなければならず、そして最適な活性は、その膜が負に荷電したヘッド基を有するリン脂質を含む場合にのみ見られる。シトクロムb5は、膜二重層に貫入する単一の膜アンカードメインを有する、膜に繋留(係留)したヘムタンパク質である。ネイティブな膜から可溶化されたシトクロムb5は、界面活性剤の非存在下で大きな凝集物として存在し、そしてネイティブなポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)において、不連続なバンドよりむしろ、スミアとして現れる(図17、レーン2)。本発明において教示されるMSPを使用する自己アセンブリプロセス(ここで、シトクロムb5がMSPおよびリン脂質の調製物に添加される)を介する、ナノディスクの形成の結果として、シトクロムb5が、ディスクの大きさの構造体に組み込まれる(図17のレーン4)。このことは、右側のパネルにおいてナノディスクに対応するバンドの、強いヘム染色によって、裏付けられる。陰イオン交換クロマトグラフィーによって分離された、シトクロムb5を含むナノディスクは、図17のレーン5および6に示される。2つのピークが、この陰イオン交換カラムから、310mM NaClの近くおよび370mM NaClの近くで、溶出した。ディスク単独は、310mM NaClの近くで溶出し、そしてシトクロムb5単独は、450mM NaClと700mM NaClとの間で溶出することが、観察された。このデータは、シトクロムb5がMSP技術を使用して可溶化されること、ならびにシトクロムb5を含むディスク複合体が、所望でない凝集物質からクロマトグラフィーによって分離および精製され得ることを示す。精製された物質のヘム発色団の光吸収特性は、ヘム活性部位がネイティブのコンホメーションに存在することを示す。
【0028】
包埋膜タンパク質の例としては、ウサギ肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 2B4、ヒト肝臓ミクロソーム由来のP450 3A4、および昆虫ミクロソーム由来のシトクロムP450 6B1が挙げられるが、これらに限定されない。シトクロムP450は、全ての形態の生命において見出される酵素のスーパーファミリーである。多くの哺乳動物P450の1つの役割は、生体異物を解毒することである;例えば、ヒト肝臓P450は、内因性化合物および外因性化合物の大部分を解毒し、そしてこれらの酵素は、摂取された薬物全ての平均血漿寿命を決定する。最も広範に研究されるヒト肝臓シトクロムP450の1つは、シトクロムP450 3A4(CYP 3A4)である。この膜結合P450は、ヒト肝臓において最も高度に発現されるP450であり、そして全ての医薬品のほぼ50%を代謝する原因である(Guengerich,F.P.,Cytochrome P450.Cytochrome P450,P.R.Ortiz de Montellano編、1995、New York:Plenum Press.473−535)。シトクロムP450の研究のためのナノディスク技術の有用性を実証するために、本発明者らは、CYP 3A4を、MSPに支持されたナノ二重層ディスクに組み込んだ。図18〜21は、カラムから溶出するCYP 3A4の保持時間(417nmの吸光度によって観察された)およびナノディスクの保持時間(MSPとP450との両方を吸収する280nmでモニタリングされた)が同時であり、約24分であることを示す。この溶出時間はまた、ディスクタンパク質複合体の計算された保持時間に密接に相関する。このことを支持するさらなる証拠は、溶出したナノディスク粒子の大きさを直接的に測定する、ネイティブのポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)である(図21)。
【0029】
シトクロムP450 6B1(CYP 6B1)は、大きなシトクロムP450モノオキシゲナーゼタンパク質スーパーファミリーのメンバーであり、そして包埋膜タンパク質の別の例である。CYP 6B1は、Papilio polyxenes(アメリカクロアゲハ)(これは、フラノクマリン(大部分の生物に対して光毒性である植物代謝産物)を生成する植物を専らえさとするから単離された。CYP 6B1は、エポキシ化反応であると考えられる反応によって、フラノクマリンの解毒を触媒する(Ma,Rら(1994)Arch.Biochem.Biophys.310(2),332−40)。本発明のMSP技術の新たな適用を示すために、本発明者らは、膜タンパク質のレパートリーを含む単離された膜が、MSPを含むナノディスクに組み込まれ得ることを実証する。特に重要な実施形態は、通常の昆虫細胞培養物(異種発現系として広範に使用される、バキュロウイルス発現系)の使用である。従って、本発明者らは、過剰発現された昆虫CYP 6B1および過剰発現された昆虫NADPHシトクロムP450レダクターゼを含むミクロソーム調製物が産生されるように同時感染させた、市販のSf9昆虫細胞株を使用した。従って、本発明者らは、MSPナノディスクを使用して別のシトクロムP450系を可溶性単分散粒子に組み込み得ることのみでなく、このP450の供給源がまた、単に、クローニングされたCYP 6B1遺伝子で感染されたSf9細胞株由来の膜全体であり得ることを実証した。従って、MSPに支持されたナノディスクは、ハイスループットスクリーニング事業(例えば、膜結合タンパク質に対するリガンドの同定)における使用のため、または新たな医薬の同定のために、製造され得る。この適用は、目的の標的タンパク質を含む膜フラグメントの他の任意の供給源(例えば、任意の哺乳動物細胞培養系、または哺乳動物発現系)に拡張され得る。
【0030】
本発明のナノディスク技術の重要な用途は、酵素活性またはレセプター結合活性についてのハイスループットスクリーニングにおいてである。多くのこのような系において、例えば、P450モノオキシゲナーゼ触媒またはGタンパク質共役レセプターに組み込まれた対応するGタンパク質のために必要な電子移動パートナーの、ナノディスクに組み込まれた1つより多くの膜タンパク質標的を有することは、有利である。これらの状況におけるMSPナノディスク技術の用途を実証するために、本発明者らは、NADPHシトクロムP450レダクターゼおよびシトクロムP450 6B1を、首尾よく組み込んだ。本明細書中で実証されるように、各標的膜タンパク質は、MSPを使用してナノディスクに個々に組み込まれ得るか、またはこれらは、組み合わせて組み込まれ得る。レダクターゼに対するシトクロムP450の内因性の相対量は、レダクターゼ1分子あたり約10〜20分子のP450である(Feyereisen,R(1999)Annual Review of Entomology 44,501−533)。ディスクへの再形成の後のCYP6B1の活性を得るためには、P450分子およびレダクターゼ分子の両方が、単一のディスクに分割されるように、過剰量のレダクターゼがこの再形成混合物に添加されることが好ましい。ミクロソーム調製物に、外因的に添加されたレダクターゼを補充することが、達成された。このサンプルを、Superdexサイジングカラムによって分離し、ここで、280nmにおける吸光度は、MSP1の存在を示し、420nmおよび456nmにおける吸光度は、鉄を含む種の存在を示し、そして456nmにおける吸光度はまた、レダクターゼの存在を示す(図25)。456nm対420nmの比をプロットし、これは、456nmにおける吸光度がCYP 6B1に関する吸光度より高く、従って、レダクターゼによる吸光度に起因し得る、クロマトグラムの位置を示す(図26)。保持時間は、CYP6B1とレダクターゼとの両方を含む10nmの粒子の存在に相関した。図22〜24もまた参照のこと。
【0031】
内在性膜タンパク質は、7ヘリックス膜貫通タンパク質によって例示され、これには、Halobacterium halobium由来のバクテリオロドプシン、Homo sapiens由来の5−ヒドロキシトリプタミン1A Gタンパク質共役レセプター、および他のGタンパク質共役タンパク質レセプターが挙げられるが、これらに限定されない。膜タンパク質の各クラスのメンバーは、本発明のMSPおよび方法を使用して、ナノスケールの構造に首尾よく組み込まれた。特に、細胞表面レセプター、および特に、Gタンパク質共役レセプターは、膜スカホールドタンパク質(MSP)のクラスから形成したナノ二重層の二重層構造に組み込まれ得る。BRは、本明細書中以下に記載れるように、MSPナノディスクに組み込まれ、そして本発明者らは、ヒト由来のGタンパク質共役レセプターを5−HT−1A(セロトニン)に対するホストにする膜画分を提供する、市販の昆虫細胞発現系を使用した。ナノディスクへの5−HT−1Aの組み込みについて示されたリガンド結合活性は、このタンパク質が、本発明のナノディスクにおいて、活性コンホメーションにあることを示す。
【0032】
図10は、MSP/BR/ジミリストイルホスファチジルコリン合成混合物のゲル濾過溶出プロフィールを示し、バクテリオロドプシンが可溶化されたことを実証する。MSPの非存在下では、バクテリオロドプシンは、ボイド画分において定量的に溶出する。バクテリオロドプシンの主要なピークは、大部分のMSPディスクよりわずかに早い位置で溶出する(較正標準のStoke半径に基づいて、小さな複合体は約100Åの直径)。BRを含む、より大きな複合体もまた形成される。この複合体に存在するBRは、6Hisタグを含む操作されたMSPを通してのニッケルアフィニティーカラムに特異的に結合し得、そしてこのカラムから溶出され得る。さらに、ゲル濾過におけるBRの溶出プロフィールは、BRの非存在下でのMSPディスクの溶出プロフィールによく似ている。複合体におけるBRのスペクトルは、界面活性剤で可溶化されたモノマーBRのスペクトルに類似しており、そして4℃での貯蔵の際に、数週間変化しないようである。驚くべきことに、MSPは、外因的に添加されたリン脂質の非存在下で、BRを定量的に可溶化する。脂質に乏しいこれらの複合体はまた、小さなMSP/リン脂質ディスクの大きさである。
【0033】
本発明者らは、短いリンカーにより連結されたMSP1のタンデム反復を新たな分子を作製するように設計することによって、人工MSP(MSP2)を作製した。図5Gおよび配列番号17を参照のこと。比較的多量(数十ミリグラム/リットルの細胞培養物)の本発明の人工MSPを、細菌発現系において生成する。本発明者らの構築物は、形成され得るサイズクラス(3つのMSP1分子に対応するクラス)の数を減少する。予備的な証拠は、MSP2と共に形成される主な種のサイズが、2つのMSP1分子および4つのMSP1分子に対応することを示す。さらに、MSP1を含む調製物において、低いリン脂質:MSPの比で見出される膜スカホールドタンパク質の代替のコンフォメーションに起因する最小のディスクサイズが、MSP2には存在しない。理論に縛られることは望まないが、本発明者らは、より小さな粒子は、一分子のMSP2を含み、より大きなディスクが、2分子のMSP2を含むと考える。
【0034】
スカホールドタンパク質(MSP)は、円盤状リン脂質二重層実体の構造における可変性を最小限にし、より大きな構造的安定性およびディスク構造の増加したサイズ均質性を提供し、そしてディスクの精製および物理的操作のための有用な機能性(例えば、タグ)を組み込むように操作される。ディスクの均質性は、単一の膜タンパク質または単一の膜タンパク質複合体をディスクの単一のサイズクラスのディスクに効率的に組み込むために必要である。親分子であるapo A−Iは、ディスク構造の安定化を越える機能を有し;これには、細胞レセプター結合、LCAT活性化、および種々のリポタンパク種間の構造変換が挙げられる(Forteら、1971;Holvoetら、1995;Fidge、1999)。これらの機能的領域は、不必要であり、そしてしばしば、本発明の人工二重層系において有害である。人工スカホールドタンパク質は、両親媒性螺旋膜タンパク質構造の研究において使用され得る。
【0035】
二次構造の予測は、スカホールドタンパク質の構造的特徴を評価する方法を提供する。この構造の大部分は、図4に示されるように、反復配列中のプロリンにより中断されるαヘリックスから構成される。8〜9個のαヘリックスは、ディスクの形態の脂質と会合していると考えられる。apo A−IのN末端領域の特徴は、より球状であることが予想される。分子のこの部分を、ディスクを形成し得る構築物を生成するために、取り出した。高度な単分散性を有するディスク構築物を産生するMSPが望ましい。中心ヘリックス(99〜186)は、関連のタンパク質であるアポリポタンパクA−IIの脂質を含まない形態(これはディスク構造体の溶液に添加される)により置換され得(DurbinおよびJonas、1999)、これらのヘリックスは、「ヒンジ」ドメインの一部であり得(図5A〜5B)、これはディスクの縁部から解離し、LP2、LP3およびLP4クラス内の種々の粒径を生成する(Jonasら、1989)。解離したヒンジ領域を有するディスク形態はまた、タンパク質分解(これは望ましくない)に対してより感受性である(DaltonおよびSwaney、1993)。中心ヘリックスの対(100−143、122−165、および144−186)の欠失は、全長apo A−Iより小さいサイズのディスクを形成する組換え体を生じ、そしてさらに、2つの変異体(122−165および144−186)は、化学変性に対する安定性を増加する(Frankら、1997)。さらなる研究は、ヘリックス5および6(143−186)を別のヘリックスのセットと置き換えた(図5D)。ヘリックス3および4は、ディスクに安定性を与えると考えられる領域を含む(Frankら、1997)。ヘリックス3は、高い脂質親和性を有し、塩架橋を介する脂質結合形態に安定性を与えると考えられる。ヘリックス1はまた、高い脂質親和性を有し、完全に螺旋状である(Rogersら、1998)。ヘリックス対5−6の代わりにヘリックス対1−2を組み込む構築物が所望される。半反復の役割は、非常に興味が持たれる。これらの11マー反復は、αヘリックスであることが予測されるが、杭柵モデルにおいて二重層を架橋するのに十分に長くない。杭柵モデルにおけるディスクの分子動力学的モデルにおいて、半反復1に対応する領域は、実際に、「フロッピー」であり、そして脂質と相互作用せず、一方、半反復2は、ヘッド基領域付近の二重層に対して平行であることが見出された(図5Aおよび5C)。このような構造は、得られるディスクに障害を与え得る。半反復の役割を確認し、MSP構造および機能をさらに最適化するために、変異誘発および指向された進化を使用して、本明細書中以下に記載される改変体を作製した。
【0036】
MSPディスクに組み込まれたレセプターは、構造的、生化学的および薬学的な検索において有用である。膜タンパク質の研究は、現在、不溶性膜分散物、界面活性ミセルおよびリポソームに限定されている。多くの場合、界面活性剤を用いて得られるか得られないかもしれない、生化学的および物理学的研究のための精製された系は、安定性を必要とする。界面活性ミセルは、動力学的であり、そしてサブユニットの解離を促進しかつ希釈溶液においてタンパク質を扱う能力の困難性を示す構造的変動を受ける。MSPナノ二重層(ナノディスク)は、構造的により強固であり、別個のサイズおよび組成のリン脂質二重層模倣ドメインを有し、そして単層リポソームよりも大きな安定性および小さな表面積を有する。本発明の粒子は、4℃で少なくとも一ヶ月間、サイズおよび構造において安定である。
【0037】
シグナル伝達エレメントは、膜全体に存在するが、小胞は、膜の一方の面を、親水性試薬およびエフェクタータンパク質にアクセス可能にする。本発明の特定の実施形態は、キャリア粒子上の膜結合形態の薬学的標的(例えば、GPCR、イオンチャネル、レセプターキナーゼ、およびホスファターゼ)を安定化するために、ディスクを使用する。本発明者らは、GPCRに注目して、タンパク質を複数の架橋ヘリックスと共に、本発明のディスクに組み込んだ。本発明者らは、モデルの蛇行したレセプターである、バクテリオロドプシンを首尾良く組み込んだ。バクテリオロドプシンは、GPCRのモデルであり、これは、薬物発見のための現在の標的である。現在は、種々の生物体由来の1000を越える有望なGタンパク質レセプターがクローニングされており、そしていわゆる「オーファン」レセプターの多くは、天然リガンドの同定を待っている。リガンドクラスとしては、ペプチドホルモン、エイコサノイド、脂質、カルシウム、ヌクレオチドおよび生体アミンが挙げられる。GPCRは、現在市販されている医薬の半分より多くの割合を占めると考えられる。当業者は、過度の実験を行うことなく、この構造クラスの膜タンパク質の組込み方法を最適化し得る。再構成されたレセプターの構造の特徴付けは、以下に記載されるように、化学分析、分光法および原子間力顕微鏡を使用して実施される。
【0038】
本発明のMSPは、膜タンパク質を可溶化、安定化、操作するために、ディスクにおいて使用される。本発明のMSPは、ディスク上に処方された場合、ハイスループットスクリーニングまたは固相アッセイ技術のための表面技術(例えば、バイオセンサチップ)において適用可能である。ディスクスカホールドについての本発明者らの研究はまた、表面会合アセンブリを含んだ。例えば、SPRバイオセンサは、光学要素上の約50nm厚の金フィルムを使用して、表面プラズモンをこの金フィルムの表面の誘電性成分(サンプル)に結合する。MSP安定化二重層は、システインをMSPに操作することによって、生体模倣層含有タンパク質または他の目的の標的として使用するために、表面に結合され得る(図15A)。金表面に分子を結合するためにチオールを使用することは、周知である。システインの置換は、システイン残基の置換のために使用されるモデルに依存する。ベルトモデルに基づいて、システインは、両親媒性ヘリックスの軸の極性面に沿って配置され得るが、ただし、システイン残基は、ヘリックス−ヘリックス界面には位置しない。このベルトのヘリックス−ヘリックス界面は、apo A−I Milano(R173C)(これは、ジスルフィド結合ダイマーを形成する)の位置を表すと考えられる(Segrestら、1999)。代替の方法は、可撓性の、すなわちC末端リンカー内にシステインを導入することである。このような構築物は、理論上は、ベルト形態または杭柵形態のいずれかのディスクを金表面に結合し得る。あるいは、チオール脂質は、二重層ドメインに組み込まれ得る。SPRに加えて、金上の表面結合ディスクは、STMおよび電気化学研究(例えば、膜結合レドックスタンパク質(例えば、シトクロムP450およびその黄色蛋白)、ならびにイオンチャネル)において使用され得る。
【0039】
SPRデータはまた、誘電性の薄膜(例えば、通常はSPRの基板として使用される、金属フィルムに塗布された二酸化ケイ素)を使用して行われる測定から得られ得る。この技術のバリエーションは、結合プラズモン導波管共鳴(CPWR)と命名された(Salamonら、1997a)。シリカは、これらのプラズモン共鳴実験において活性表面として使用され得るため、自己構築二重層を生成するプロセスは、マイカまたは他の酸化ケイ素表面の表面上で表面を生成するために使用される同じ手順に単純化され得る。このことは、SPR実験に使用される条件を、AFM実験に使用される条件と直接比較可能にするという付加的な利点を有する。CPWR技術は、シリカコーティングを金属フィルムスライド(これはSPR分光法で現在使用される)に単に加えることによって、本発明者らのSPR機器を用いて容易に実施され得る。
【0040】
利用可能なシステイン基を有するMSPはまた、化学反応性基またはゲルマトリクスにおける固定化のための親和性タグでの特異的標識を可能にする。反応性結合基を有するヒドロゲルは、SPR測定のためのタンパク質を固定化するために有用である。ヒドロゲルの構成(図15B)において、ディスクは、リガンド結合のために利用可能な細胞内ドメインおよび細胞外ドメインの両方を含む、単分散性形態の二重層構築膜タンパク質のためのキャリアとして働く。本発明者らは、Hisタグを含むディスクが、BRを固定化するために使用され得る金属キレートマトリクスに結合することを、すでに証明した。このことは、ディスク構造の別の用途、すなわち、生体分離プロセスのための親和性マトリクスの調製およびリガンド親和性の測定を示す。本発明の粒子および技術は、薬物発見、構造/機能の相関付け、および膜タンパク質の構造決定のために有用である。
【0041】
膜タンパク質の構造決定に対する現在の制限は、多量の膜タンパク質を生成し、そしてこれらのタンパク質を結晶化する能力である。MSPは、膜タンパク質の安定化および発現のためのキャリアとして有用である。MSPは、界面活性剤の代わりに、結晶化のための膜タンパク質を可溶化するのに役立ち得る。実際に、脂質結合形態のMSPが構造的に安定でありかつ堅い(rigid)場合、結晶化は、MSPを通して結晶接触を導入することによって促進される。本発明者らは、MSP1またはMSP2が、外因性脂質の存在下および非存在下においてBRを可溶化するために使用され得ることをすでに証明した。MSP領域を有する膜タンパク質とのさらなる非例示的な融合構築物は、当該分野で公知の多数のベクターのいずれかを使用して、Escherichia coliにおいて発現され得る。このように、安定かつ可溶性形態の膜タンパク質(これは膜アンカーを含む)は、多量に生成される。MSPが添加されたリン脂質の非存在下でBRを安定化するという興味深い発見は、界面活性剤または脂質添加物の非存在下で、膜タンパク質を安定化するために人工MSPを使用することを可能にする。本発明の人工MSPは、BRおよび他の膜タンパク質(シトクロムP450、シトクロムP450レダクターゼおよびお5−HT−1Aレセプターを含むが、これらに限定されない)の可溶化に使用され得る。
【0042】
一般的に膜タンパク質、特にGタンパク質共役レセプター(GPCR)を提供する膜スカホールドタンパク質(MSP)を、均質生化学的アッセイまたは結晶化に適切な環境で使用する際の1つの重要な目的は、粒子の均質な調製を有する弧とである。全長ヒトApo−AIおよびその誘導体から代替の膜スカホールドタンパク質までの範囲の、本発明者らが記載した膜スカホールドタンパク質(短縮型ヒトApo−AI(t−MP)(アミノ末端可溶性ドメインは除去されている)、欠失変異体(1つ以上のタンパク質セグメントが除去されている)、および上記の物質のいずれか(ヒスチジンタグが組み込まれている)を含むが、これらに限定されない)は、溶液中でリン脂質と自己構築される場合に、主に8〜10nmの粒子を形成する。しかし、最初の再構築の際に、他のサイズの粒子が存在する。標準的なサイズ分離クロマトグラフィーは単一のサイズクラスの粒子を精製するために使用され得るが、標的タンパク質とMSPとリン脂質との最初の再構築混合物のサイズ分布を最小限にすることが好ましい。8〜10nmの粒子は名目上、2つのMSPタンパク質、Apo−AIタンパク質またはApo−AI誘導タンパク質から構成される。従って、本発明者らは、2つの短縮型Apo−AIタンパク質(MSP1と呼ぶ)が遺伝的に、単一のポリペプチド鎖から構成されるスカホールドタンパク質を形成する傾向がある、膜スカホールドタンパク質を構築した。これは、図5Gに概略的に例示される。
【0043】
ナノスケールのリン脂質二重層内で安定化され得るGPCRとしては、クラスA(ロドプシン様)GPCRが挙げられ、これはアミン、ペプチド、ホルモンタンパク質、ロドプシン、嗅覚プロスタノイド、ヌクレオチド様化合物、カンナビノイド、血小板活性化因子、ゴナドトロピン放出ホルモン、チロトロピン放出ホルモンおよび分泌促進物質、メラトニン、ならびにリゾスフィンゴリピドおよびLPAに結合する。アミンリガンドを有するGPCRとしては、アセチルコリンまたはムスカリン性レセプター、アデノレセプター、ドパミン、ヒスタミン、セロトニンまたはオクトパミンレセプターが挙げられるが、これらに限定されず;ペプチドリガンとしては、アンギオテンシンリガンド、ボンベシンリガンド、ブラジキニンリガンド、アナフィラトキシンリガンド、Fmet−leu−pheリガンド、インターロイキン−8リガンド、ケモカインリガンド、コレシストキニンリガンド、エンドセリンリガンド、メラノコルチンリガンド、神経ペプチドYリガンド、神経ペプチドリガンド、オピオイドリガンド、ソマトスタチンリガンド、タキキニンリガンド、トロンビンバソプレシン様リガンド、ガラニンリガンド、プロテイナーゼ活性化リガンド、オレキシンリガンドおよび神経ペプチドFFリガンド、アドレノメデュリン(G10D)リガンド、GPR37/エンドセリンB様リガンド、ケモカインレセプター様リガンドおよびニューロメディンUリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
他の特定のGPCRのリガンドとしては、とりわけ、ホルモンタンパク質、ロドプシン、嗅覚プロスタノイド、ヌクレオチド様化合物(アデノシン、プリンレセプター)、カンナビノイド、血小板活性化因子、ゴナドトロピン放出ホルモン、チロトロピン放出ホルモンおよび分泌促進物質、メラトニン、ならびにリゾスフィンゴリピドおよびLPAが挙げられる。クラスBセクレチン様GPCRとしては、以下に結合するGPCRが挙げられるが、これらに限定されない:カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、胃抑制性ポリペプチド、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン、副甲状腺ホルモン、PACAP、セクレチン、血管作用性腸ポリペプチド、利尿ホルモン、EMR1およびラトロフィリン(latrophilin)。クラスC代謝生成物産性グルタメートレセプターとしては、とりわけ、以下に結合するレセプターが挙げられる:代謝生成物産性グルタメート、細胞外カルシウム感作またはGABA−B。そのリガンドが未だ知られていない「嗅覚」レセプターもまた、本発明のアッセイの潜在的な標的である。
【0045】
特定のリガンドの結合を示すか、またはMSP支持型GPCRに結合するリガンドのインヒビターもしくはコンペティターを同定するために使用され得る、本発明のアッセイにおいて、種々の標識が、リガンド分子内(例えば、放射性同位体、例えば、H、14C、35S、32P)に組み込まれ得るか、または検出可能な化合物がリガンド分子に結合され得るが、ただし、同族レセプターに対する結合は、標識に起因して、有意には減少されない。標識としては、125I、131I、蛍光化合物、発光化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
融合されたMSP間のリンカー配列の必要な特性は、この融合されたタンパク質が、2つの別々のMSPと類似の様式で、粒子を構築するような可撓性および可溶性である。Gly−Gly−Gly−Ser/Thr−(配列番号46)の繰返しからなるリンカー配列は、これらの特性を有する。このリンカーの長さを最小にすることがまた、所望される。本発明者らは、本明細書の以下で記載されるように、Kpn Iに対するコンセンサスDNA制限部位に対応する、この最小のリンカーである−GT−との融合体を構築する。このKpn I部位は、Kpn Iを用いた制限および任意の所望のリンカーをコードする二本鎖合成DNAの挿入により任意の所望のリンカー配列を容易に挿入する方法を提供する(Robinsonら、1998)。本発明者らはまた、リンカー配列−GTGGGSGGGT−(配列番号15)を含む融合構築物を作製した。しかし、最小のリンカーを有するMSP2は、2つのMSP1タンパク質を含む粒子と非常に類似する粒子を構築する。
【0047】
MSP2スカホールドタンパク質についての完全なアミノ酸配列および核酸配列は、表7および8において示される(配列番号16および配列番号17も参照のこと)。このMSP2融合タンパク質を、E.coli中で発現し、そして単一のMSPについて記載されるのと同一の手順を基本的に使用して、均質となるまで精製した。このMSP2タンパク質は、有効なスカホールドタンパク質として役立ち、可溶な界面活性剤を除去して、リン脂質とともに自己構築する。サンプルの不均質性の取り組みについて、図13は、粒子の平均直径(Å)として標識された個々のピークを有する、ネイティブな勾配のポリアクリルアミドゲルのデンシトメトリートレースを示す。明らかに、特に、公称10nm粒子に対応する200の脂質/二量体の比において、大きな単分散性がMSP2タンパク質によって与えられる。
【0048】
重要なことに、このディスクの全体的な安定性は、化学的に誘導された変性およびトリプトファン残基の溶媒への曝露によってモニタリングされるように、図14に示されるようなモノマー膜のスカホールドタンパク質の融合によって変質されない。
【0049】
ディスク構造および関連するタンパク質の特徴付けにおいて使用される重要な技術は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)である。SPMは、走査型トンネル顕微鏡(STM)で最初に開発された走査原理を利用する、任意の顕微鏡のためのアンブレラターム(umbrella term)であるが、これらの顕微鏡は、非常に変化し得るので、これらの指針となる中心的な原理に関して、最良に議論される。この技術は、生物学的な膜および関連するタンパク質、二重層構造および組み込まれた膜タンパク質表面の分析において使用されている。SPMは、全ての空間的な3次元方向への独立した移動度(スキャニング)を、この表面のいくつかの特徴を検出(プローブ)し得る検出システムと組み合わせる。プローブされ得る種々の表面特徴(伝導率、表面力、圧縮性、キャパシタンス、磁気、蛍光発光)が、得られ得る情報の価値を示す。原子間力顕微鏡の優れたz軸感度により、rHDL単層に結合するタンパク質の存在を容易に検出可能にし、本発明者らは、MSPにより支持されたナノディスクにおいて固定された、十分に特徴付けられた内在性膜タンパク質および固着膜タンパク質について示した(Bayburtら、1998)。AFMを用いて可能となる正確な高さ測定の有用性の他の例は、本研究者のrHDLの正確な高さの定量化(Carlsonら、1997)、および種々のナノディスクアセンブリにおいてAFMプローブの力を調節することによって得られる膜タンパク質の高さの測定である(Bayburtら、2000)。MSPから形成されるディスクの表面会合は、ヒトアポA−Iタンパク質およびその改良された改変体の利用を可能にし、SPMによって表面のリン脂質二重層に組み込まれた単一の膜タンパク質の生物物理学的な特性を直接的に調査し得る。ディスクが原子レベルで(atomically)フラットな伝導性表面(例えば、金)に結合する能力は、走査型トンネル顕微鏡(STM)にとって必要である。理論的に、酸化還元活性系を介したトンネル効果を使用して、酵素の機能状態をプローブし得る(Friisら、1999;Mukhopadhyayら、2000)。これらの2つの技術は、相補的なデータを提供し、そして二重層/溶液の界面で生じる事象を可能な限り完全な画像として作製するために一緒に使用され得る。ディスクを金の表面上に配置する能力はまた、表面プラズモン共鳴(SPR)の使用も可能にする。膜タンパク質のこのような人口の脂質二重層への挿入、または表面に会合したタンパク質とこれらの相互作用は、SPRによって検出および定量され得る。
【0050】
ディスクの安定性の測定およびクラス中のサイズ分散性の決定は、作製される構築物を評価するために必要である。ゲル濾過および未変性のゲル電気泳動を使用して、異なるサイズのクラスを分離し、そして定量する。分光法を使用して、操作したMSPの二次構造(CD)および脂質会合(蛍光)特性(理論に基づく安定性および化学的変性を含む)を定量する。ディスク中の成分の組成および化学量論は、従来の方法によって定量される(Jonas、1986)。
【0051】
AFMを使用して、製造された系の脂質およびタンパク質成分の構造的な編成に基づいて、分子分解能のデータを提供する。この技術は、大気中、真空中、および水性流体および非水性流体下で使用され得る。この後者の能力は、生物科学において、この技術を最も重要な走査型プローブ技術にする。このAFMは、非常に汎用性のある装置であり、この装置は、種々の異なるモードにおける力データの画像および他の形態(例えば、接点力、タッピング力、位相力、および側方力)を獲得し得る(Sarid、1994)。これらの全ての走査型モードは、Digital Instruments Multimode Scanning Probe Microscope(Digital Instruments,Plainview,N.Y.)で市販され、そしてこれらは、rHDLおよび生物学的緩衝液中でrHDL層と会合されるタンパク質を画像化するために首尾良く使用されている。この装置をまた、STMおよび電子化学モードにおいても使用して、金に会合した構造および組み込まれた酸化還元タンパク質の特性を研究し得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、膜スカホールドタンパク質は、リン脂質およびリン脂質混合物をナノメーターサイズの膜二重層に自己構築する、タンパク質またはポリペプチドである。これらの構造のサブセットは、円盤形状であり、そしてナノディスクと呼ばれる。疎水性タンパク質(例えば、膜タンパク質)または膜フラグメントは、これらの粒子と会合し得、この疎水性タンパク質または膜フラグメントは、安定な構造で効率的に可溶化され、これにより、酵素の活性またはリガンドの結合に関して、このタンパク質の機能を維持する。これらの粒子は、溶液中で安定であるか、またはこれらは、この表面に関して、有利に均一な配向で表面に固定され得る。本明細書中で使用される場合、MSPを含むナノ粒子(別の疎水性のタンパク質または部分的に疎水性のタンパク質を含むか、または含まないナノ粒子)は、約5〜約500nm、望ましくは、約5〜約100nm、または約5〜約50nmの直径であり得る。約5〜約15nmの直径のナノ粒子(ディスク)は、特に有用である。
【0053】
本発明者らは、MSP1およびMSP2の両方が、バクテリオロドプシンとともに構築することを示した。添加されたリン脂質の非存在下で、粒子が、MSP1(図11)またはMSP2(図12)とともに形成される場合、最初の再構成混合物から、2つのバクテリオロドプシン含有種が観測される。本発明者らは、これらの種を形成するバクテリオロドプシンの可溶性のためにMSPが絶対に必要とされることを見出した。なぜならば、形成混合物由来のMSPを含まないと、ゲル濾過カラムの空隙容量中で溶出する、大きな非特異的なバクテリオロドプシンの凝集が生じるからである。図11の15分目にある小さなピークは、BRの凝集を示す。これらの実験において、バクテリオロドプシンの大部分は、MSPの存在下で可溶化されるようである。観測された粒子の2つのサイズは、この構造において変性コンフォメーションを組み込む推定「ヒンジドメイン」と完全に一致する。先行技術から、この可撓性ヒンジ領域は、MSP1に対する推定により、ヒトApo−AIのらせん体5および6に対応するらせん体を構成すると考えられている。従って、9.8nmの直径のバクテリオロドプシン含有粒子において、このタンパク質構造のこれらの可撓性部分は、この構造の疎水性コアと会合するが、7.6nmの直径の粒子において、このらせん領域は、この疎水性コアから解離して、より小さな直径粒子を形成するようである。
【0054】
親のApo−AIタンパク質のさらなる改変は、より効果的かつ安定な膜スカホールドタンパク質を形成し得る。例えば、BR/MSP構造の均一性を増加し、そして上述のタンパク質構造の可撓性「ヒンジ」領域の問題を処理するために、本発明者らは、ヒンジドメイン領域を欠失させ、2つの新しい膜スカホールドタンパク質を産生した。第1の場合において、推定らせん領域4および5をMSP1ヒスチジンタグ化構造から欠失させて、MSP1D5−6と呼ばれる構造を産生した。第2の実験において、推定ヘリックス5および6を欠失させて、MSP1D4−5と呼ばれる物質を産生した。本発明者らは、lac調節構造において、イソプロピル−チオ−b−D−ガラクトピラノシドを用いた発現の誘導により、高レベルで発現される、これらのタンパク質をE.coli中で過剰発現させた。
【0055】
複数の粒子サイズのクラスの形成を避ける代替の方法は、MSP構造を操作することであり、このヒンジドメインのらせん体は、この粒子の疎水性コアに対してより高い親和性を有するらせん体と置換される。この場合、より高い親和性相互作用は、より小さい種の形成を所望せず、ここで、このヒンジドメインは、解離される。この実験の指針において、本発明者らは、このヒンジ領域(らせん5および6)を、らせん1および2に対応するネイティブ配列に対応するタンパク質配列と置換するように選択した。別の形態において、本発明者らは、膜スカホールドタンパク質をコードするDNA構造を選択し、ここで、推定らせん領域3および4に対応するタンパク質配列を使用して、バクテリオロドプシンと脂質との構築の際に、単一のサイズの粒子を得る目的で、このヒンジ領域を置換する。
【0056】
親のヒトApo−AIタンパク質中に存在する、いわゆる「半反復(half−repeat)」単位はまた、MSPアセンブリ中のコンフォメーション不均質性を生じ得る。例えば、このピケットフェンスモデルにおいて、これらのらせん体は、この二重層平面に対して平行なコンフォメーションを取り、そしてタンパク質配列の他の領域が寄与すると考えられる場合、この粒子の疎水性コアとの相互作用に主な役割を果たさない。この「ベルトモデル」において、これらの短いらせん体の反復は、MSPが異なるコンフォメーションを取ることを可能にする、セグメント化された移動度を生じ得る。換言すれば、構造エレメントのタイプの数が最小化されるMSPは、膜スカホールドタンパク質概念の最も所望される実施形態である。従って、内在性膜タンパク質標的に可溶化する能力に関して、膜スカホールドタンパク質の構造をさらに最適化するために、本発明者らは、両方の半反復単位を欠失する誘導体配列を操作して、単純化されたMSP構造を産生し得る。
【0057】
本発明のMSPと特異的に反応する、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)は、当該分野で公知の方法によって作製され得る。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,第2版,Academic Press,New York;およびAusubelら(1993)Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,NYを参照のこと。
【0058】
クローニング、DNAの単離、増幅、および精製のため標準的な技術、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼなどに関連する酵素反応のための標準的な技術、および種々の分離技術は、当業者に公知の技術であり、普通に使用される技術である。多くの標準的な技術が、以下に記載されている:Sambrookら(1989)Molecular Cloning,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,New York;Maniatisら(1982)Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,New York;Wu(編)(1993)Meth.Enzymol.218,第1部;Wu(編)(1979)Meth.Enzymol.68;Wuら(編)(1983)Meth.Enzymol.100および101;GrossmanおよびMoldave(編)Meth.Enzymol.65;Miller(編)(1972)Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York;OldおよびPrimrose(1981)Principles of Gene Manipulation,University of California Press,Berkeley;SchleifおよびWensink(1982)Practical Methods in Molecular Biology;Glover(編)(1985)DNA Cloning 第1巻および第II巻,IRL Press,Oxford,UK;HamesおよびHiggins(編)(1985)Nucleic Acid Hybridization,IRL Press,Oxford,UK;SetlowおよびHollaender(1979)Genetic Engineering;PrinciplesおよびMethods,第1〜4巻,Plenum Press,New York;ならびにAusubelら(1992)Current Protocols in Molecular Biology,Greene/Wiley,New York,NY。使用した略語および命名法は、当該分野で標準的であり、そして本明細書中で引用されるような専門雑誌中で普通に使用される。
【0059】
本出願において引用される全ての参考文献は、本発明の開示と矛盾が生じない範囲で本明細書中で参考として援用されている。
【0060】
本明細書中で提供される記載は、本明細書中で権利を主張する場合、本発明の範囲を限定するように意図されない。当業者に生じる、例示の物品および方法における任意のバリエーションは、本発明の範囲内であると意図される。
【0061】
(実施例)
(実施例1.MSPの発現のための組換えDNA分子の構築)
以下に示されるヒトproApoAIコード配列を、pET−28(Novagen,Madison,WI)におけるNco IとHind III部位(下線が引かれている)との間に挿入した。開始コドンおよび終止コドンは、太字である。クローニングに使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位に、下線を引く。
【0062】
(表1.ProApoAIコード配列(配列番号1)クローニングにおいて使用した制限部位に下線を引き、そして翻訳の開始シグナルおよび終止シグナルを、太字で示す)。
【0063】
【化1】
Figure 0004303468
(表2.ProApoIアミノ酸配列(配列番号2))
【0064】
【化2】
Figure 0004303468
MSP1コード配列の構築を、以下のようにして達成した。MSP1(ProApoAIのN末端ドメインを欠く短縮型タンパク質)をコードするDNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発によって産生するために、プライマーを設計した(Higuchiら、1988)。プライマー1(配列番号3)。
【0065】
【化3】
Figure 0004303468
は、MSP1の精製および操作のためにN−末端6−ヒスチジンタグ、およびヒスチジンタグタグの除去のためにXa因子切断部位を導入する。Xa因子は、タンパク質配列IEGR中のRの後ろを切断する。プライマー2(配列番号4)
【0066】
【化4】
Figure 0004303468
を、逆方向プライマーとして使用した。
【0067】
【化5】
Figure 0004303468
【0068】
【化6】
Figure 0004303468
N−末端ヒスチジンタグなしでのMSP1の生成のために、プライマー1を、配列番号8に提供される配列を生成するためにプライマー1a:
【0069】
【化7】
Figure 0004303468
(配列番号7)で置換した。
【0070】
【化8】
Figure 0004303468
【0071】
【化9】
Figure 0004303468
タンデム型リピートを有するMSP(MSP2)の生成を、以下に記載されるように実行した。次のプライマーを、MSP2を生成するために使用した(図6A〜6Bを参照のこと):
プライマー3(配列番号10):
【0072】
【化10】
Figure 0004303468
プライマー3a(配列番号11):
【0073】
【化11】
Figure 0004303468
プライマー4(配列番号12):
【0074】
【化12】
Figure 0004303468
プライマー5(配列番号13):
【0075】
【化13】
Figure 0004303468
プライマー6(配列番号14):
【0076】
【化14】
Figure 0004303468
最初のPCRにおいて、プライマー2(またはN−末端ヒスチジンタグのためのプライマー2a)およびプライマー4を使用して、MSP遺伝子の3’末端にリンカー(アミノ酸配列
【0077】
【化15】
Figure 0004303468
(配列番号15)をコードする)を付加し、MSP−Aを生成した。2回目のPCRにおいて、リンカーを、MSP遺伝子の5’末端に付加し、MSP−Bを生成した。KpnIを用いたMSP−AおよびMSP−Bの処理、および引き続く連結は、次の構築物:一方はリンカーを有し、もう一方はリンカーを有さないもの、を生成した。KpnI部位は、KpnIでの制限および所望のリンカーをコードする二本鎖合成DNAとの再連結によって、任意の所望のリンカー配列を挿入する簡単な方法を提供する。図7A〜7Bを参照のこと。
【0078】
【化16】
Figure 0004303468
【0079】
【化17】
Figure 0004303468
【0080】
【化18】
Figure 0004303468
【0081】
【化19】
Figure 0004303468
ヒンジ領域を除去するために、ヘリックス4および5の除去を、次のPCRプライマーならびに鋳型としてMSP1コード配列のSac IおよびHind IIIフラグメントを使用してMSP1のC末端部分を構成することによって実行した。
【0082】
プライマーA(配列番号20):
【0083】
【化20】
Figure 0004303468
プライマーB(配列番号21):
【0084】
【化21】
Figure 0004303468
この増幅産物を、Sac IおよびHind IIIで消化し、そして配列決定のためにpLitmus28に連結した。pET 28ベクターにおいてSac I+Hind IIIで処理したヒスチジン化タグMSP1構築物を、MSP1D4−5を生成するために上記の断片と連結した。
【0085】
【化22】
Figure 0004303468
【0086】
【化23】
Figure 0004303468
ヘリックス5および6の除去を、同じ様式で行なったが、以下のプライマーを用いた2つの別々のPCR工程を、1回目の反応(反応1、プライマーC:
【0087】
【化24】
Figure 0004303468
配列番号24;およびプライマーD:
【0088】
【化25】
Figure 0004303468
配列番号25)および2回目の反応(反応2、プライマーE:
【0089】
【化26】
Figure 0004303468
配列番号26;およびプライマーF:
【0090】
【化27】
Figure 0004303468
配列番号27)において使用した。
【0091】
PCR産物は、ヘリックス5および6の両方が欠失するMPSのN末端部分およびC末端部分をコードし、そしてNhe I制限部位をそれぞれ含む。Nhe I、Nco IおよびHind IIIを用いてのPCR生産物の消化後、フラグメントを、Nco I+Hind IIIで処理したpET 28に連結し、ヘリックス5および6が欠失したMSP1D5−6のDNA配列を生成した。図9A〜9Bを参照のこと。
【0092】
【化28】
Figure 0004303468
【0093】
【化29】
Figure 0004303468
(実施例2.合成MSP遺伝子の構築)
MSP1の合成遺伝子を、PCRを用いて補充された次の重複合成オリゴヌクレオチドを使用して作製した。コドン使用頻度を、E.coliでの発現のために至適化し、そして制限部位を、遺伝子のさらなる遺伝子操作のために導入した。
【0094】
合成ヌクレオチドtaps1a(配列番号30)
【0095】
【化30】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps2a(配列番号31)
【0096】
【化31】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps3a(配列番号32)
【0097】
【化32】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps4a(配列番号33)
【0098】
【化33】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps5a(配列番号34)
【0099】
【化34】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps6a(配列番号35)
【0100】
【化35】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps1b(配列番号36)
【0101】
【化36】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps2b(配列番号37)
【0102】
【化37】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps3b(配列番号38)
【0103】
【化38】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps4b(配列番号39)
【0104】
【化39】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps5b(配列番号40)
【0105】
【化40】
Figure 0004303468
合成ヌクレオチドtaps6b(配列番号41)
【0106】
【化41】
Figure 0004303468
【0107】
【化42】
Figure 0004303468
以下は、半分の繰り返しが欠失したMSPpポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0108】
【化43】
Figure 0004303468
【0109】
【化44】
Figure 0004303468
【0110】
【化45】
Figure 0004303468
容易に生成し得る他の構築物は、上記の置換(すなわち、以下:ヒンジ欠失、ヒンジ置換、半分の繰り返しの欠失、ヒスチジンタグ、MSP2に対する異なるリンカーの任意の組み合わせを伴なう、MSP1またはMSP2)を含む。
【0111】
(実施例3.組換えMSPの発現)
MSPタンパク質を発現するために、核酸構築物を、pET28発現ベクター中のNco I部位とHind III部位との間に挿入し、そしてE.coli BL21(DE3)中に形質転換した。形質転換体を、選抜のためにカナマイシンを使用したLBプレート上で増殖させた。コロニーを、30μg/ml カナマイシンを含むLB培地で増殖させる5mlの開始培養物を接種するために使用した。過剰発現のために、30μg/ml カナマイシンを含む100容量のLB培地に1容量のオーバーナイト培養液を添加することによって、培養物を接種し、そして振盪フラスコ中、37℃で増殖させた。600nmの吸光度で0.6〜0.8に達するときに、イソプロピル b−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mMの濃度まで添加し、発現を誘導し、そして細胞を遠心分離で回収する前に3〜4時間以上増殖させた。細胞ペレットを、瞬間凍結し、そして−80℃で保存した。
【0112】
(実施例4.組換えMSPの精製)
ヒスチジンタグ化MSPの精製を、以下のように行なった。1リットルの発現培養液からの凍結細胞ペレットを、25ミリリットルの、1mMのフェニルメチルスルフォニルフルオリドを含む20mM Tris HCl(pH7.5)中に再懸濁した。Triton −X100(t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)を、1%の最終濃度になるように蒸留水中の10%(w/v)ストックから添加した。再懸濁された細胞を、50%デューティサイクル、5のパワーセッティングで、1分オン5分オフの4サイクル間、ブランソンプローブソニファー(Branson probe sonifier)を用いて氷上で超音波処理した。生じた溶解物を、Beckman Ti 45 ローターの超遠心分離機において、30,000rpmで30分間遠心分離した。生じた上清を、0.22mmナイロンシリンジフィルターを通して濾過した。塩濃度を、水中の4M NaClストックから0.5Mに調整し、そしてカラムに充填した5ml Hi−Trapニッケル(Pharmacia,Piscataway,NJ)に適用した。
【0113】
6H−MSP1のために、カラムを、1% Triton X−100を含む20ml 緩衝液(10mM Tris(pH8)、0.5M NaCl)、続いて、20ml 緩衝液+50mM コール酸ナトリウム、次いで20ml 緩衝液そして100mM イミダゾールを含む緩衝液20mlを用いて洗浄した。His−タグ化ポリペプチドを、0.5Mイミダゾール含む緩衝液15mlで溶出する。
【0114】
6H−MSP2のために、カラムを1% Triton X−100を含む20ml 緩衝液(10mM Tris(pH8)、0.5M NaCl);20ml 緩衝液+50mM コレート;20ml 緩衝液;35mM イミダゾールを含む緩衝液20ml用いて、洗浄した。次いで、His−タグ化ポリペプチドを、0.5Mイミダゾールを含む緩衝液15mlで溶出し、そして精製したタンパク質を、10,000MW カットオフのセルロース透析膜を用いて、10mM Tris(pH8)、0.15M NaClに対して透析する。
【0115】
(実施例6.MSPを含むナノスケール粒子の生成)
本発明のMSPタンパク質を脂質を用いて再構成するために、精製MSPを、10,000MWカットオフのフィルターを用いて加圧限外濾過デバイス(Amicon)中で、約2〜6mgタンパク質/mlまで濃縮した。タンパク質の濃度を、ビシンコニン酸(bicinchonic acid)アッセイ(Pierce Chemical,Rockford,IL)、または理論的な吸収係数を用いてA280の測定によって決定した。クロロホルムストック溶液中のリン脂質(この場合、ジパルミトイルホスファチジルコリンであるが、異なるホスファチジルコリンおよびホスファチジルコリンと他の脂質との混合物も使用し得る)を、窒素流下で乾燥し、そして真空下で終夜静置した。ホスフェート分析を実施して、クロロホルムストック溶液の濃度を決定した。乾燥させた脂質フィルムを、0.15M NaClおよび50mMコール酸ナトリウムを含む10mM Tris HCl(pH8.0またはpH7.5)の緩衝液に再懸濁し、25mMの最終脂質濃度を得た。懸濁液を、ボルテックスし、そして50℃に加熱して透明な溶液を得た。リン脂質溶液を、MSP1:脂質について2:200のモル比およびMSP2:脂質について1:200のモル比を得るように、MSPの溶液(2〜6mg/mlタンパク質)に加えた。この混合物を、37℃で一晩インキュベートし、次いでコレートを含まない1000容量の緩衝液に対して、緩衝液を4回交換しながら2日〜3日かけて透析した。
【0116】
(実施例7.係留(tethered)膜タンパク質の組み込み)
組織因子(TF)は、代表的な係留膜タンパク質である。この係留膜タンパク質に対するMSP技術の価値を実証するために、組換えヒトTFを、MSP支持ナノディスク中に組み込んだ。この組換えタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通アンカー、および短縮細胞質ゾルドメインから成る。短縮は、細菌酵素によってタンパク質分解を受けるタンパク質のC末端部分を取り除くことによって、タンパク質の均質性を増大させる。この改変は、TF活性に影響を与えない。タンパク質に対するさらなる改変としては、N末端輸送ペプチドおよびHPC4エピトープタグが挙げられる。この輸送ペプチドは、組換えE.coli宿主細胞の膜間腔(ペプチド配列が切断される空間)に発現したタンパク質を指向する。HPC4エピトープは、Ca2+依存性抗体を用いたアフィニティー精製を可能にし(Rezaieら、1992)、そしてTF活性に影響を与えない。
【0117】
80%ホスファチジルコリンおよび20%ホスファチジルセリンを含む25mMの脂質混合物を、10mM Tris Cl、150mM NaCl(pH8.0)中の50mM コレートで、可溶化した。TF、MSP1および脂質(1:10:1000の比)を混合し、そして37℃で一晩インキュベートした。次いで、サンプルを、10mM Tris Cl、150mM NaCl(pH8.0)を含む緩衝液(コール酸を含まない)に対して、2時間37℃で(10,000ダルトン分子量カットオフの膜にて)透析した。次いで、透析を、さらに6時間、2時間ごとに緩衝液と交換しながら4℃で続けた。次いで、約1mlのサンプルを、YM−10遠心分離濃縮装置を用いて250μlより下に濃縮し、そしてPharmacia 10/30 Superdex 200 HR ゲル濾過カラムに注入した。サンプルを、上記に記載するのと同一の緩衝液(コール酸を含まない)を用いて、0.5ml/分で溶出した。クロマトグラフィーからの画分を、8%〜25%勾配のSDSポリアクリルアミドゲルで泳動し、外見上の大きさを決定し、次いで凝固活性について確認した。MSP1ナノディスクの過剰集団中に組み込まれたTFの溶出を示すクロマトグラムを、図16A〜16Bに示す。
【0118】
いくつかのディスク画分中のTFの活性を、ヒト血清を用いた凝固アッセイによって決定した。活性を、凝固時間の逆元として画分25〜28においてモニターした。活性は、40hr−1にて画分25で最も高く、そして30hr−1にて画分28を通して減少した。このことは、ナノディスクピークの先端がMSP支持二重層におけるTFの組み込みに起因してより大きい有効質量を有するという点で、サイズクロマトグラムから予想される。したがって、このアッセイは、TFが活性なコンフォメーションでナノディスクに組み込まれること、およびナノディスクの膜環境がネイティブの膜系の環境を非常に模倣するということを実証する。
【0119】
シトクロムb5は、膜二重層を貫通する単一膜固着アンカードメインを有する、膜結合ヘムタンパク質である。そのネイティブな膜から可溶化されたシトクロムb5は、界面活性剤の非存在下で大きな凝集体として存在し、ネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動上での分離したバンドよりもスメアーに現れる。自己アセンブリプロセスを介したナノディスクの形成(ここで、シトクロムb5は、MSPおよび脂質の調製物に添加される)は、シトクロムb5のナノディスク構造への組み込みを生じる。これは、右のパネルの図17Bを参照して、レーン4におけるナノディスクに対応するバンドの強力なヘム染色によって確認される。陰イオン交換クロマトグラフィーによって分離されるシトクロムb5含有ナノディスクを、図17Bのレーン5および6に示す。2つのピークを、310mM NaCl付近および370 NaCl付近にて、陰イオン交換カラムから溶出した。ディスク単独を310mM NaCl付近で溶出し、シトクロムb5単独を450mM NaClと700mM NaClとの間で溶出した。これらのデータは、シトクロムb5がMSP技術を用いて好首尾に可溶化され得ること、およびシトクロムb5を含むディスク複合体がクロマトグラフィーによって分離され得、そして所望されない凝集材料から精製され得ることを示す。精製材料のヘム発色団の光学吸収特性は、ネイティブコンフォメーションにおけるヘム活性部位を実証する。
【0120】
ナノディスクをまた、20μlのapo A−I(10mg/ml)、6.6μl シトクロムb5(0.5mM)および50μl 卵ホスファチジルコリン/コール酸ナトリウム(11.2卵PC、6.2mg/ml コール酸ナトリウム)を混合し、一晩4℃でインキュベートすることによって形成させ得、続いてコレートを除去するために透析した。精製を、25mM Tris Cl(pH8.0)中で平衡化したPharmacia MonoQ FPLC陰イオン交換カラムを用いて達成した。直線勾配を、0〜1M NaClで20分間、0.5ml/分にて実行した。
【0121】
(実施例8.包埋(embedded)膜タンパク質組み込み)
ウサギ肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 2B4、ヒト肝臓ミクロソーム中に天然に見出されるシトクロムP450 3A4、および昆虫ミクロソーム由来のシトクロムP450 6B1は、代表的な包埋膜タンパク質である。
【0122】
シトクロムP450 2B4を、フェノバルビタールを用いた誘導後に、ウサギ肝臓ミクロソームから単離した。2B4ナノディスクの形成は、以下のようである。シトクロム P450 2B4を、界面活性剤透析方法によってディスク中に再構成した。この緩衝液は、10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1M NaCl、10%(v/v)グリセロールからなる。apo A−I、コール酸およびリン脂質の混合物(1:220:110のモル比)を、37℃で8時間インキュベートし、続いてP450(1:0.5、apo A−I:P450モル比)を添加し、室温で一晩インキュベートした。この混合物を、10,000MWカットオフのslide−a−lyzer(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)を用いて室温で2時間透析し、続いて、緩衝液を交換し、透析を4℃で続けた。P450含量の82%がこれらの条件下で再生され得ることが見出された。透析後、この混合物を、再構成緩衝液中で平衡化したSuperdex 200 HR10/30ゲル濾過カラム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)上に注入し、室温で0.25ml/分の流速にて0.5mlの画分で収集した。画分を8〜25%勾配のネイティブゲル上でのネイティブポリアクリルアミドゲル勾配ゲル電気泳動、およびPhastgelシステム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)を用いてクマシー染色を使用して、アッセイした。
【0123】
通常肝臓ミクロソーム由来のヒトシトクロムP450 3A4をまた、クローニングし、E.coli中で発現させ、精製し、そしてMSP支持二重層ナノディスクに組み込んだ。10ナノモルのMSP2、1マイクロモルの脂質、5ナノモルのシトクロムP450 3A4タンパク質および2マイクロモルのコール酸を、一緒に37℃で2時間インキュベートした。次いで、このインキュベートした混合物を、10K Slide−A−lyzer Dialysis Cassette(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)中で透析した。この透析は、10mM リン酸カリウム(pH7.4)、150mM NaCl緩衝液を用いて実行した。サンプルを37℃で6時間透析し、続いて緩衝液を交換し、そして12時間間隔で2回緩衝液を交換しながら4℃で透析を続けた。次いで、サンプルを、透析緩衝液中で平衡化したSuperdex 200 HR 10/30カラム(Pharmacia,Uppsala,SE)上で、室温にて0.5ml/分の流速で分画した。
【0124】
4つのグラフ(図18〜20)は、カラムから溶出されるシトクロムP450 3A4(417nmの吸光度で観察される)およびナノディスク(MSPおよび3A4タンパク質の両方が吸収する280nmにてモニターされる)の保持時間が同時(約24分)であることを示す。この溶出時間はまた、ディスクタンパク質複合体の計算した保持時間と密接に相関する。このことを支持するさらなる証拠は、溶出粒子のサイズを直接測定するネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動である(図21)。
【0125】
シトクロムP450 6B1は、別のモデルの包埋膜タンパク質である。このシトクロムは、Papilio polyxenes(黒アゲハ)から単離された。これらの蝶は、もっぱらフラノクマリン(ほとんどの生物に対して光毒性である植物代謝物)を産生する植物を餌とする。シトクロム6B1は、フラノクマリンの解毒を触媒する。
【0126】
本発明のMSP方法論の新規有用性を示すために、本発明者らは、膜タンパク質のレパートリーを含む単離された膜が、膜タンパク質をナノディスクに組み込むための供給源として求められ得ることを実証した。重要な例示的な実施形態は、異種発現系として広範に使用される、一般的な昆虫細胞(Sf9)−バキュロウイルス発現系の使用である。したがって、本発明者らは、ミクロソーム調製物が過剰発現された昆虫6B1および過剰発現された昆虫NADPHシトクロムP450レダクターゼも含むように、同時感染された昆虫細胞株を使用した。これらの実験において、本発明者らは、MSPナノディスクを使用して、別のシトクロムP450システムを可溶性単分散粒子に組み込み得ることを実証するだけでなく、このP450の供給源が単にこのタンパク質を含む膜全体であり得ることも実証する。
【0127】
標準的なバキュロウイルス発現系を使用して、過剰発現された昆虫シトクロム6B1および昆虫NADPH P450レダクターゼを有するミクロソーム調製物を得た。ミクロソーム調製物に含まれる脂質濃度に基づいて、MSP技術を使用して、110:1:220の脂質:MSP1:コレートの比率で用いて、ミクロソームタンパク質をナノ粒子ディスク中にアセンブリさせた。ミクロソームサンプルを、コレートを用いて界面活性剤で可溶化し、そしてMSP1と混合した。サンプルを4℃で2時間インキュベートした。界面活性剤を、透析または疎水性ビーズによって除去し得る。この実験において、BIOBEADS(疎水性ビーズ、BioRad、Hercules,CA)を過剰に添加し(1mlのディスク混合物当たり0.25g)、4℃で2時間インキュベートして界面活性剤を除去した。サンプルをビーズから外し、His−タグ化MSPを、Ni2+樹脂を用いたバッチ精製方法を用いることによって単離した。次いで、MSPディスクを、Superdexサイジングカラムクロマトグラフィーによって単離した(図22)。His−タグ化ディスクへのP450の組み込みの後、ニッケルアフィニティーカラム精製した分画およびサイジングカラム精製した分画のCO吸収分光法を行った(図24)。SDS−PAGEを実行して、ディスクへのシトクロムP450 6B1の組み込みを確認した(図23)。
【0128】
シトクロムP450のレダクターゼに対する内因性(天然の)比率は、約10〜20である。ディスクへの再構成後のシトクロムP450 6B1の活性を得るために、過剰量のレダクターゼが再構成混合物に添加されることが好ましく、その結果、P450分子およびレダクターゼ分子の両方が、単一のディスクに分けられる。レダクターゼが外因性に添加されたミクロソーム調製物の追加が、好首尾に実証された。
【0129】
ミクロソーム調製物を用いてディスクを作製するためのプロトコルを、1ヶ所改変して使用した。コレートを用いたミクロソーム調製の可溶化工程後であって、かつMSP1の添加前に、外因性ラットレダクターゼを添加した。そうでなければ、同一のディスクアセンブリ手順および精製手順を続けた。サンプルを、Superdexサイジングカラムによって分離し、ここで、280nmにおける吸光度は、MSP1の存在を示し、420nmおよび456nmにおける吸光度は、鉄の種の存在を示し、そして456nmにおける吸光度はまた、レダクターゼの存在を示す。456〜420nmの比率プロットを作製した;これは、456nmでの吸光度がシトクロムP450 6B1と関連する吸光度を超え、ゆえに、レダクターゼによる吸光度に寄与し得る、クロマトグラム上の位置を示し、。保持時間は、シトクロムP450 6B1およびレダクターゼを含む10nm粒子の存在を反映する(図26)。
【0130】
精製されたタンパク質、膜フラグメントまたは破壊された膜を有するMSP支持ナノディスクを、例えば、高スループットのスクリーニングベンチャーに使用して、新規の医薬および他の生物学的に活性な分子を同定し得る。
【0131】
(実施例9.内在性膜タンパク質組み込み)
バクテリオロドプシンは、モデルの内在性膜タンパク質である。バクテリオロドプシンを、以下の手順を用いてナノスケール構造に組み込んだ。このプロトコルは、他のタンパク質に対しても有用である。バクテリオロドプシンを、Sigma(St.Louis,MO)から凍結乾燥した紫膜として得た。1mg BRを、1mlの25mM リン酸カリウム(pH6.9)に懸濁した。同じ緩衝液中の1mlの90mM n−オクチル B−D−グルコピラノシドを添加し、サンプルを暗所に24℃で一晩静置した。この処理によって、界面活性剤で可溶化されたモノマー形態を生じる(Dencherら、1982)。BRを定量し、550nmにて63,000のモル吸光率と見積もった。BR(7.8μM)を、MSP1(97mM)またはMSP2(110mM)およびコレート(50mM)と混合し、10:1のMSP1:BRまたは5:1のMSP2:BRの最終モル比および約8mMのコレート濃度を得た。リン脂質を用いた再構成のために、脂質を、50mM コレートの存在下で上記のように可溶化し、1(MSP1):110(脂質):0.1(BR)のモル比で、MSP1と混合した。この混合物を室温で約3時間インキュベートし、続いて、10,000MWカットオフの透析デバイス(Slide−a−lyzer,Pierce Chemical)を用いて、1000容量の緩衝液に対して一晩透析した。緩衝液を数回交換しながら、透析を4℃で2日間続けた。10mM HEPES(pH7.5)、0.15M NaCl緩衝液を使用し得る。この緩衝液(pH7.5またはpH8)もまた、好首尾に使用した。
【0132】
ヒト由来の5−ヒドロキシトリプタミン 1A Gタンパク質共役レセプターを、MSP含有ナノ粒子に組み込んだ。市販の昆虫細胞発現系(これは、ヒト5−ヒドロキシトリプタミン 1A GPCRを含有する膜画分を提供する)を、MSP組成物を用いて支持した。簡単に言うと、5−HTレセプター含有膜調製物を、45:45:10の比でリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、MSP1およびコレートと混合した。
【0133】
市販のSf9昆虫細胞膜調製物(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)中で過剰発現される5−HT1Aレセプターを、以下のプロトコルを用いて可溶化した。クロロホルム中のPOPC、POPS、およびPOPE(Avanti Phospholipid)を、45:10:45のモル比で混合し、窒素流下で乾燥させ、ついで、数時間減圧下に置いて、残留溶媒を除去した。リン脂質を、25mM リン脂質濃度にて、50mM Tris(pH7.4)、0.2M NaCl、50mM コール酸ナトリウムの緩衝液中に分散させた。5マイクロリットルのsf9膜調製物(0.2mg/ml タンパク質)、緩衝液中の1.62マイクロリットルのリン脂質、2.4マイクロリットルのMSP1(4.2mg/ml)および0.28マイクロリットルの4M NaClを混合し、氷上で1時間静置した。この混合物を、50mM Tris(pH7.4)を用いて100マイクロリットルの総容量に希釈し、4℃にて50mM Tris(pH7.4)に対して、mini slide−a−lyzer(Pierce Chemical)中で透析した(1リットルの緩衝液を2回交換)。ナノディスクに会合した5HT1Aレセプター量を決定するために、放射性標識したリガンドをレセプターに結合させ、そしてディスク−レセプター−リガンド複合体を、以下のプロトコルに従って、MSP1の存在下で6−ヒスチジンタグを用いて単離した。透析後、この混合物を、50mM Tris(pH7.4)を用いて200マイクロリットルの総容量に希釈した。95マイクロリットルの希釈した混合物を、2つのチューブの各々に入れた。105マイクロリットルのストック試薬を添加して、最終容量200マイクロリットル中、50mM Tris(pH7.4)、10mM MgSO4、0.5mM EDTA、0.1% アスコルビン酸の最終濃度を得た。トリチウム標識した8−ヒドロキシ−DPAT(比放射能135000Ci/モル)を各チューブに添加して、1.5nMの濃度を得た。コントロールとして、標識していないメテルゴリン(最終濃度100マイクロモル濃度)を競合リガンドとして一方のチューブに添加した。氷上で1時間後、この混合物を200マイクロリットルのNiキレート樹脂に適用して、6ヒスチジンタグ化MSP1ディスクと会合するレセプターに特異的に結合させた。この樹脂を0.5mlの冷50mM Tris(pH7.4)を用いて3回洗浄し、非特異的に結合したリガンドを除去した。レセプター/ディスク複合体に結合した、特異的に結合した放射性標識8−ヒドロキシ−DPATを、10mM Tris(pH7.4)、0.5M NaCl中の0.5mlの0.5モル濃度イミダゾールを用いて溶出した。シンチレーションカクテルを溶出物と混合し、特異的に結合した放射性リガンドを、シンチレーション計数によって決定した。sf9膜に最初に存在したレセプターのうち、5%と15%との間のレセプターが、MSP1ナノディスクと会合することが見出された。
【0134】
5−HT GPCRが組み込まれる粒子を透析した。機能性(リガンド結合に関して)を、トリチウム化した8−OH−DPAT(このレセプターのアゴニスト)を含む緩衝液に対する透析を用いて試験した。次いで、その粒子をNi−NTAカラムに流し、MSP1上のヒスチジンタグを介して結合させ、その粒子に結合していない8−OH−DPATからその粒子を分離させ、次いで、カラムに結合した物質を溶出した。トリチウム標識したアゴニストの会合を実証し、これによって、組み込まれたGPCRがアゴニストに結合するというその能力を保持することを示した。
【0135】
(実施例10.MSP支持されたナノディスクリン脂質アセンブリの分析)
膜スカホールドタンパク質およびリン脂質の自己アセンブリから生じる、さらなる標的タンパク質を有するかまたは有さない粒子を、以下のように分析した。
【0136】
バクテリオロドプシン含有粒子を透析して、得られた混合物をSuperdex 200 HR10/30ゲル濾過カラム(Pharmacia)に注入し、そして室温にて0.5ml/分で緩衝液を用いて溶出した。吸光度をタンパク質について280nmでモニタリングし、BRについて550nmでモニタリングした。0.5mlの画分を収集した。サイログロブリン(669kDa、ストークス直径170A)、フェリチン(440kDa、ストークス直径122A)、カタラーゼ(232kDa、ストークス直径92A)、乳酸デヒドロゲナーゼ(140kDa、ストークス直径82A)、ウシ血清アルブミン(66kDa、ストークス直径71A)、およびウマ心臓シトクロムc(12.4kDa、ストークス直径35.6A)の混合物を使用してカラムを較正した。
【0137】
原子間力顕微鏡(AFM)を、緩衝液下の鋭い硝酸ケイ素プローブを用いる接触モードで、Digital Instruments Nanoscope IIIaを用いて実行した。MSP1およびMSP2のジパルミトイルホスファチジルコリン粒子を、10mM Tris(pH8)、0.15M NaCl、2mM CaCl中、1:50の第Xa因子:MSPタンパク質(質量)で8時間処理した。2〜10mlのサンプルを、新たに切断した雲母表面上に、20mlの画像化緩衝液(10mM Tris(pH8)、0.15M NaCl、10mM MgCl)と共に配置し、そして流体セル中にサンプルを載せる前に、30分以上インキュベートした。数mlの緩衝液を、流体セルを通して流して、未吸着の物質を除去した。
【0138】
ナノスケールの粒子のリン酸分析を、以下のように実行した。リン酸アッセイ手順は、Chenら(1956)Anal.Chem.28:1756−1758ならびにFiskeおよびSubbarow(1925)から適合させた。ほぼ40nmolのリン酸脂質を含有するサンプルを、ガラスチューブ中で乾燥させた。75mlの8.9N HSOを各チューブに添加し、そして210℃で30分間加熱した。1滴の30% Hを各チューブに添加し、そして30分間加熱した。チューブを冷却し、0.65mlのHOを添加し、その後83.3mlの2.5%(w/v)モリブデン酸アンモニウム四水和物を添加し、その後ボルテックスして、83.3mlの10%(w/v)アスコルビン酸を添加した。混合後、チューブを沸騰水浴中に7分間配置した。吸光度を、820nmで読み取った。吸光度を、0〜100nmolのリン酸の、リン酸カリウム標準を使用して較正した。カラムクロマトグラフィーからの緩衝液ブランクを、MSPタンパク質について含んだ。
【0139】
(実施例12.表面上のMSP支持された構造)
MSPおよび目的のタンパク質を含むナノディスクを、金表面上にアセンブルし得る。これの有用性は、溶液に対する、ナノディスクアセンブリ中に組み込まれた標的の、得られるエピタキシャル提示に関する。このことは、誘電性造影剤を用いて標的タンパク質にタグ化された他の高分子または低分子の結合を定量するための、理想的な系を提供する。このような測定を達成する一般的な方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用する。SPRは、表面での生体分子の相互作用をモニタリングするために使用される一般的な技術である。SPRが、金表面上の未標識タンパク質の相互作用を迅速に検出および定量する能力は、ディスク上の多様な膜タンパク質(包埋タンパク質および可溶化タンパク質)についての、高スループットチップアッセイを生み出すために有用である。
【0140】
さらなるチオール化脂質およびMSP1タンパク質を含むか、または含まないかのいずれかである、リン脂質DPPCからなるディスクを、以下のように調製した。ホスファチジルコリンを含有する25mMの脂質混合物を、10mM Tris Cl中50mMのコール酸塩で可溶化し、150mM NaClをpH8.0で合わせて、37℃で一晩インキュベートした。チオール化ディスクについて、90%のホスファチジルコリンおよび10%のチオール化脂質(ATA−TEG−DSPA、Northern Lipids)を、チオール化脂質中のチオールを曝すために、3.3mM Tris Cl、66.7mMのホウ酸、150mM NaCl中にpH9.0で可溶化した。MSP1および脂質(1:100)を合わせて、37℃で一晩インキュベートした。次いで、このサンプルを、10mM Tris Cl、150mM NaCl(pH8.0)を含有する緩衝液(コール酸を含まない)に対して37℃で2時間透析した(10,000MWのカットオフ膜)。次いで、透析を、2時間毎に緩衝液を交換して、さらに6時間4℃にて継続した。約1mlのサンプルをYM−10遠心分離濃縮機を使用して250μl未満に濃縮し、そしてPharmaciaの10/30 Superdex 200 HRゲル濾過カラムに注入した。サンプルを、0.5ml/分の流速で、コール酸を含まない上記の緩衝液を使用して、このカラムから溶出した。クロマトグラフィーからの画分を、8〜25%の勾配のポリアクリルアミドゲルを使用する、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析して、見かけのサイズを決定した。
【0141】
記載されるように調製したナノディスクサンプル(3〜20μM)を、SPR機器に注入して、このディスクが金表面に結合するか否かを決定した。DPPCおよび10%チオール化脂質のディスクの両方が、金表面に吸着し、そして修飾された金表面は、単層のメチル終結チオール(ノナンチオール)またはカルボキシ終結チオール(11−メルカプトウンデカン酸)で被覆された。チオール化ディスクを、3.3mM Tris、66.7mM ホウ酸、150mM NaCl(pH9.0)からなる緩衝液を使用して注入した。DPPCディスクを、10mM Tris、150mM NaCl(pH7.5またはpH8.0)を使用して注入した。全ての条件下で、このディスクは、過酷な条件(0.5M HCl)でさえも、取り除かれなかった。表面被覆は、注入されたディスクの濃度の増加と共に増加することが示された(3μM 対 19μM)。ディスクは、完全にパックされた単層を含まない;従って、表面被覆は、0.547の妨害制限(同一の非重複硬質スフィアとしての表面モデリングディスクへの、ランダムな連続的吸収に基づく、理論的最大被覆)によって制限される。ディスクの全単層についての被覆を、5.5nmのディスク高さおよび1.45と1.5との間の屈折率の仮定に基づいて算定した。全単層値に妨害制限を乗じて、最大被覆を決定し、次いで、この最大被覆を使用して、実験値に基づく被覆%を決定した。ディスク濃度が少なくとも10μMであった場合、この推定被覆は、約62%と約103%の間であった。ナノディスクの金表面に対する会合を実証する得られたSRPトレースは、図27に示される。
【0142】
(文献の列挙)
【0143】
【表1】
Figure 0004303468
Figure 0004303468

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、膜タンパク質を組み込む異なった型の脂質凝集を概略的に例示する。小さな円および三角形は、それぞれ、このレセプタータンパク質の細胞内ドメインおよび細胞外ドメインについてのリガンドを表す。
【図2】 図2は、αヘリックスのホイール構造を示し、このホイール構造は、αヘリックスにその両親媒性特性を与える、疎水性アミノ酸側鎖および親水性アミノ酸側鎖の配置を有する。
【図3】 図3Aは、二重層のMSP安定化についての「ピケットフェンス(picket fence)」モデルの概略表示である。これらの円は、直径が約1.5nmであり、そしてヘリックスの1回転当たり0.54nm(1回転当たり3.6アミノ酸残基)である、単一のαヘリックスを表す。図3Bは、MSPに支持された二重層の「ベルト」モデルの概略を示す。これらの長方形は、約1.5nmの直径および約3.9nmのヘリックス長を有する、単一のαヘリックスを表す。
【図4】 図4は、親アポA−I分子についての、配列および2次構造予測を表す。星印は、ヘリックスの繰り返しの境界を示す。太字で、下線を引いた配列は、αヘリックス構造を示し、イタリック体は、β構造を示し、そしてプレーンテキストは、潜在的なターンを示す。
【図5】 図5A〜図5Gは、種々の操作されたMSP構造を図解し、配列解析に基づいて、ピケットフェンストポロジーおよびヘリックスアサイメントで示される。図5A:MSP1は、ハーフリピート(半反復)の位置を示す。ハーフリピート1は、分子動力学シミュレーションに基づいて乱雑化される(Phillips、1997)。図5B:ヒンジドメインの運動。図5C:ハーフリピートの除去。図5D:ヘリックス3およびヘリックス4とのヒンジドメインの置換。図5E:MSP2、これは、MSP1の配列のタンデムな重複を有する。図5F:MSP1Δ1を作製するためのハーフリピート1の除去。図5G:MSP2Δ1を形成するためのMSP1Δ1のタンデムリピート。
【図6】 図6A〜図6Bは、人工MSPを増幅するために使用されるPCRストラテジーを、図として例示する。
【図7】 図7A〜図7Bは、長いリンカー配列を有するMSP2の線図(図7A)およびこのリンカー配列を有さないMSP2の線図(図7B)を例示する。
【図8】 図8A〜図8Bは、ヘリックス4およびヘリックス5を欠く、MSP1誘導体をコードする人工配列を構築し、かつこれを発現するためのストラテジーを例示する。
【図9】 図9A〜図9Bは、ヘリックス5よびヘリックス6を欠く、MSP1誘導体をコードする人工配列を構築し、かつこれを発現するためのストラテジーを例示する。
【図10】 図10は、MSP1構造へと再配置されたバクテリオロドプシンのゲル濾過溶出プロファイルを提供する。
【図11】 図11は、リン酸脂質の添加の非存在下でのMSP1によって可溶化されたバクテリオロドプシンのゲル濾過クロマトグラムを示す。バクテリオロドプシンは、550nmでの吸光度によって検出されるが、一方、MSP1とバクテリオロドプシンタンパク質とは、280nmにおける吸光度によって検出される。
【図12】 図12は、リン酸脂質の添加の非存在下でのMSP2によって可溶化されたバクテリオロドプシンのゲル濾過クロマトグラムである。バクテリオロドプシンは、550nmでの吸光度によって検出されるが、MSP2とバクテリオロドプシンタンパク質とは、280nmにおける吸光度によって検出される。
【図13】 図13は、MSPに対する脂質の比を変える、ナノスケール粒子の形成を例示する。粒子は、脂質 対 MSPの示されたモル比において形成され、そして、この粒子は、ネイティブの勾配ゲル電気泳動によって、分離された。右に示されるように、MSP1は、直径が8.2nm、9.6nmおよび10.6nmの粒子を形成する。MSP2は、主に9.6nmの粒子を形成する。
【図14】 図14は、トリプトファン蛍光によってモニターされたときの、ジパルミトイルホスファチジルコリンによる、複合体におけるMSP1およびMSP2の粒子(直径9nm)の化学変性の結果を示す。励起は280nmで存在し、そしてこの緩衝剤は10mM Hepeps H7.5;0.15M NaClであった。
【図15】 図15A〜15Bは、ディスクに組み込まれ、そして固相支持体に付着された、膜タンパク質を示す。図15A:金の上での、レセプター−標的複合体の、ディスク結合レセプターおよびリガンドにより誘導されるアセンブリ。図15B:ゲルマトリクスにおけるディスク結合レセプター。
【図16】 図16Aは、8nmおよび10nmのサイズを示す保持時間および25〜28分での組織因子活性(Tissue Factor activity)を有する、ナノディスク粒子のサイジングカラムおける、HPLCの結果を示す。図16Bは、8〜25%勾配のゲルを使用したSDS−PAGEの結果を示す;HPLCによって単離され、かつTFを含む、MSP1に支持されたナノディスク二重層は予測された分子量を有する。
【図17】 図17A〜図17Bは、8〜25%勾配ゲルを使用して、ネイティブPAGEによって決定されるようなディスクへのシトクロムb5の分離を示す。レーン1、分子量マーカー;レーン2、シトクロムb5;レーン3、ディスク;レーン4、ディスク/シトクロム5b;レーン5およびレーン6、陰イオン交換カラムから溶出した2つのプ−ルを表すディスクにおける、陰イオン交換精製したシトクロムb5。図17Aは、クマシーブルーで染色されたタンパク質を示す。図17Bは、ヘム特異的染色を示す。232kDaマーカータンパク質(カタラーゼ)はまた、ヘムに対して染色されたことに留意のこと。
【図18】 図18は、85%DPPC、15%POPCからなる10nmの二重層ディスクへと組み込まれたシトクロムP450 3A4のクロマトグラムである。
【図19】 図19は、85%DPPC、15%POPSからなる10nmの二重層ディスクへと組み込まれたシトクロムP450 3A4のクロマトグラムである。
【図20】 図20は、100%DPPCからなる10nm二重層ディスクへと組み込まれたシトクロムP450 3A4のクロマトグラムである。
【図21】 図21は、3つのディスクサンプルを用いた、8〜25%勾配ゲルにおけるPAGEの結果であり、この結果はナノディスク粒子のサイズと相関する。
【図22】 図22は、Superdex200サイジングカラムにおける、MSP可溶化シトクロムP450 6B1のHPLCクロマトグラフィーの結果を例示する。保持時間は、約1個の6B1(420nmトレース)を含むナノディスク粒子を示す。この流速は、0.25ml/分である。
【図23】 図23は、サンプル1(シトクロムP450 6B1およびNADPH P450レダクターゼを同時発現する細胞由来のミクロソーム膜で調製したナノディスク)を用いたPAGEの結果を例示する。サンプル2は、コントロールミクロソームを含む。
【図24】 図24は、[CO−Fe2+−CO−Fe3+]光学的差スペクトルを提供する。ナノディスクに取りこまれた活性シトクロムP450 6B1は、450nmで吸光する。
【図25】 図25は、Superdexサイジングカラムによって分離されたサンプルのクロマトグラムを示す。保持時間は、サイズが10nmのrHDL粒子を示す。
【図26】 図26は、MSPナノディスクにおける、シトクロムP450レダクターゼおよびシトクロムP450 6B1の同時組み込みを例示する。456nmでの吸光度(主に、レダクターゼ) 対 420nmでの吸光度(主に、P450)の比が、保持時間の関数としてプロットされる。約26分でのピークは、レダクターゼとシトクロムとの両方を含むナノディスク集団を示す。
【図27】 図27は、表面プラズモン共鳴によってモニターされる、金表面への、カルボキシル末端化されたチオールを含むDPPCナノディスクの結合を例示する。
【配列表】
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Claims (9)

  1. 膜スカホールドタンパク質であって、該膜スカホールドタンパク質は、水性環境において、ン脂質の非存在下で自己アセンブルするか、またはリン脂質もしくはリン脂質の混合物とアセンブルして、直径5nmと500nmとの間のナノスケールの粒子になり、ここで、該膜スカホールドタンパク質は、両親媒性であり、そして該膜スカホールドタンパク質は、少なくとも1つのαヘリックスを形成し、膜スカホールドタンパク質が、配列番号6および配列番号9らなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、膜スカホールドタンパク質。
  2. 前記膜スカホールドタンパク質が、リン脂質またはリン脂質の混合物とアセンブルして、直径5nmと500nmとの間のナノスケールの粒子になり、リン脂質二重層が形成される、請求項1に記載の膜スカホールドタンパク質。
  3. 前記リン脂質二重層が、円盤状である、請求項2に記載の膜スカホールドタンパク質。
  4. 前記膜スカホールドタンパク質が、少なくとも1つの疎水性または部分的に疎水性のタンパク質と一緒に自己アセンブルし、直径5nmと500nmとの間のナノスケールの粒子を形成し、該ナノスケールの粒子は、該膜スカホールドタンパク質および少なくとも1つの疎水性または部分的に疎水性のタンパク質を含む、請求項1に記載の膜スカホールドタンパク質。
  5. 前記膜スカホールドタンパク質が、リン脂質の非存在下で自己アセンブルして、直径5nmと500nmとの間のナノスケールの粒子を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜スカホールドタンパク質。
  6. 前記ナノスケールの粒子が、直径5〜100nmである、請求項5に記載の膜スカホールドタンパク質。
  7. 前記ナノスケールの粒子が、直径5〜50nmである、請求項6に記載の膜スカホールドタンパク質。
  8. 膜スカホールドタンパク質をコードするDNA分子であって、該膜スカホールドタンパク質は、配列番号6および配列番号9らなるアミノ酸配列を含む、DNA分子。
  9. 請求項8に記載のDNA分子を含む、組換え宿主細胞。
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