発明の背景
本発明は射出成形システムおよびこのシステムにおけるインモールドコーティング(IMC)の使用に関する。より詳細には、本発明は既存の成形システムの改良方法であって、IMC装置の使用を許容し、成形システムの型内において成形された物品がコーティングできるようにする方法に関する。
成形された熱可塑性および熱硬化性の物品、たとえば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリウレタンから作られた物は、自動車、船舶、レクリエーション製品、構造物、オフィス製品、およびアウトドア装置産業をはじめとする多数の用途で利用される。自動車産業用途としては、ボディパネル、ホイールカバー、バンパー、ヘッドランプ、テールランプ、フェンダー、フード、およびダッシュボードがあげられる。
成形品の表面品質が耐久性、耐薬品性および耐候性用のもののような必要な基準に合わない場合、またはペイント接着を促進するためには、そのような物品はコーティングされなければならない。
射出成形システムは、熱可塑性または熱硬化性物品を生産するために使用される。それらは、基体形成物質(典型的にはホッパーから供給されるペレット、顆粒または粉末のプラスチック材料である)を融点または軟化点以上に加熱し、充填圧力を加え、クランプ圧力下に維持される閉じられた型内に型が実質的に満たされるまで射出する。その後、充填圧力を使用して、型は基体形成物質で完全に充填され、ワークピースを形成する。その後、機械は成形またはクランプ圧力下で保持され、ワークピースを変形することなく型から取り出すことができるまで冷却する。(型はあらかじめ決定されるタイミングサイクルを通常使用して、典型的には機械的にあるいは液圧で開閉される。)そのような射出成形は、たぶんもっとも広範に利用されているプラスチック部材の製造方法であろう。
これらのシステムにおいて一般に使用される型は2つの部分を有し、1つは静止され、他方は移動可能である。これらの半型によって一般に成形される型キャビティーは、1つの半型の上に成形品の仕上げ表面である第1の表面が形成され、対応する第2の表面が他の型の上に形成される。静止している半型は、典型的には型のキャビティーセクションを収容し、射出機械のシリンダーの射出セクションに接して固定プラテン上にマウントされる。移動可能な半型は典型的にはコアとエジェクター機構を有する。型が閉じた位置にある場合、圧力下に基体形成材料の射出が行われる。クランプ圧力、つまり基体形成材料の射出の間に型を閉じておくために使用される圧力は、材料を射出するために使用される圧力より大きくなければならない。
発明の要約
本発明は、射出成形システムを分配装置と操作可能にし、成形システムをコーティングされた物品を提供できるようにする改良方法に関する。本発明の方法は、(1)オペレーティングシステムと成形機械を有する成形システム、(2)コーティング組成物を保持し、供給することができる分配装置を含み、任意にコーティング組成物の分配を制御するためのオペレーティングシステムおよび/またはデータ保存手段を含む。成形システムの成形機械は第1および第2の型セクションを有する型、基体形成物質を射出するための少なくとも1つのノズルを有する。成形システムのオペレーティングシステムは、型セクションと通信し、開いた状態と閉じた状態の間で該セクションを始動することができる。本発明の方法は、成形機械を分配装置と通信するように改良し、分配装置を成形システムとともに機能するように適合させ、あらかじめ決定された1組のパラメータに基づいてコーティング組成物を、該型セクションが閉じた状態にある時に型内に供給する。このようにして供給されたコーティング組成物は形成されて型内にある成形物品の少なくとも1つの表面のあらかじめ決定された1または複数の部分を、型セクションを閉じた状態にしたままで覆い、コーティングし、コーティングされた物品を提供する。あらかじめ決定されるパラメータの組としては、成形サイクル中のセットポイントでコーティング組成物のセットされた量を分配することを含むことができる。
この方法はいくつかのオプションの変数を含むことができる。例えば、1つのパーティは成形システムを提供することができる。その一方で他方のパーティは、コーティングを分配する装置を提供する。パーティのどちらかが、改良および適合工程の1つ又は両方を行う責任を負うことができる。
さらに、型セクションによって成形される型キャビティー内にコーティング組成物を射出し導くために、所望の位置に少なくとも1つのノズルを有するように、さらに型を改良することができる。この分配装置は、任意に、選択的かつ流動的にコーティング組成物用の少なくとも1つのノズルに連結可能である。さらに、分配装置は成形機械と選択的に連結可能であり、任意に移動可能なカートシステムを含むことができ、再配置を可能とし、または機械にマウント可能な移動可能システムとすることができる。コーティング組成物が2成分システムとして提供される場合、コーティング組成物の射出の前に構成成分をブレンドし、混合するために混合装置を提供することができる。
さらに、型はコーティング組成物の流れを向上するか制限する少なくとも1つの特性を含ませるために改良することができる。成形された基体を横切る流れはモデル化されることができ、成形機械および/または分配装置のための最適のセッティングを決定することができる。任意に、型はさらにこのフローモデル化の結果に基づいて変えることができる。成形システムのオペレーティングシステムは、型内へのコーティング組成物の供給をコントロールすることができる。
他の任意の追加のステップもさらに可能である。例えば、好ましい基体材料および/またはコーティング組成物の好ましい材料を決定することができる;最適の型温度および/または型内にコーティング組成物を射出するための基体温度を決定することができる;あるいは、少なくとも1つのセンサーを少なくとも型の1つの変数の測定のために型にマウントし、分配装置および/またはオペレーティングシステムに接続することができる。
図面の簡単な説明
図面はある実施態様を例証する目的のためのみに示され、本発明を制限するものとして解釈されない。
図1は、本発明の方法を実行するのにふさわしい成形装置の側面図である。
図2は、型キャビティーの垂直方向の断面図である。
図3はコーティングされる前の成形された基体の平面図である。示された基体は、コーティング組成物のフローを促進および/または導くために増大した厚さの領域を有する;
図4および図5は、図3に示された基体のそれぞれ正面図および背面図である。
図6は成形されたドアパネルの側面図である。ドアパネルには、コーティング組成物のフローを導くために深さの異なる領域が提供される。
図7は、それの仕上げ表面上にコーティングされた図4の基体を示す。
図8は、仕上げ表面のランナー部分にのみ本質的に位置するコーティングを有する図4の基体である。
図9は、本質的に平らな仕上げ表面を備えた本質的に平坦な成形されたプラークの正面図である。
図10は、示された異なる厚さを有する領域を有する成形された基体の正面図である。
図11は、除去可能な柔軟な封じ込めフランジを有する基体の平面図である。
図12は、除去可能な封じ込めフランジを例証する図11の12−12に沿った断面図である。
図13Aから13Dは、様々な構成の除去可能な封じ込めフランジを有する、成形された基体の断面図の例である。
図14は、基体仕上げ表面の周縁のまわりに完全に伸びる除去可能な封じ込めフランジを有する基体の平面図である。
図15Aは、仕上げ表面上と周縁部に除去可能な封じ込めフランジを有し、仕上げ表面のあらかじめ決定された領域にコーティングを有するようにされた基体の平面図である。図15Bは図15Aの15B−15Bに沿った断面図である。
図16は、図1に示されるタイプの第1のまたは静止している半型の断面図である。
図17Aは、基体の表面上にコーティングが射出されるべき場所に、容易に圧縮されることができる領域を有する成形された基体の正面図であり、図17Bは図17Aの17B−17Bに沿った横断面図であり、コーティング組成物の射出ポイントの下の圧縮可能な領域を示す。図17Cは図17Aの成形された基体の、コーティングされた後の正面図である。
図18Aは、コーティング組成物が基体の表面上に射出されることになっている位置で、容易に圧縮可能なエリアを含んでいる、成形された基体の正面図である;
図18Bは、図18Aに示されたプラークの横断面図であり、成形された基体はまだ型キャビティー内にあり、コーティング組成物が基体の仕上げ表面に適用されている。図18Cは、図18Bに示されるコーティングされた物品の正面図である。
図19は、成形された基体をコーティングすることができ、型ランナーが組込まれた、成形装置についての部分的な概要図である。
図20は、型ランナーおよびIMC組成物入口を有する型キャビティーについての概要図である。
図21は図20の型キャビティーについての概要図である。型キャビティーは基体形成組成物で満たされ、IMCがそれに適用されている。
封じ込めシュラウドを有する型ランナーは、コーティング組成物が基体形成材料がインジェクターに入るのを防ぐ。
図22は、半型中の型ランナーの概要図である。図22(a)は、図22に示された封じ込めシュラウドの拡大図である。
図23および図24は封じ込めシュラウドを備えた他の型ランナーの概要図である。
図25は型ランナー封じ込めシュラウドが存在する場所での、縦断面の半型の断面図である。
図26は、ゲートピンを介してIMC組成物が基体射出装置内に入るのを防ぐために、ゲートピン装置のまわりにバリアを有する半型の部分的な正面図である。
図27は、IMC組成物が基体形成材料のインジェクターのオリフィスに入ることを防ぐバリアを有する、コーティングされた基体の部分的な正面図である。
図28A−Cは、ゲートピンおよびコーティング組成物の流れのためのバリヤーを示す、型の部分的な横断面図である。
図29は、IMC組成物が基体形成材料のインジェクターのオリフィスへ入ることを防ぐためのバリアを有する、コーティングされた基体を示す、型の部分的な横断面図である。
図30A−Cは、種種の構成のバリヤーリムを有するコーティングされた基体の部分的な横断面図である。
図31A−Dは、成形物品の「外観」表面上におけるIMC組成物の流れを示すフローチャートである。
図32はIMC組成物のための供給および制御装置である。
例示的実施態様の詳細な説明
図面の中で、類似の数字は同様の又は対応する部分を示す。
図1は、成形装置10を示し、これは第1の半型20を有し、これは好ましくは第2の移動可能な半型30に対して静止しているあるいは固定された位置にある。本発明の方法は広範なタイプおよびスタイルの型において実施することができる。静止する半型20は成形機械10のプラテン21の上にマウントされる。可動の半型30はプラテン31にマウントされ、プラテンは成形機械10のクランプ機構70にマウントされている。図1は開いた位置での2つの半型を示す。半型20および30は噛み合うことができ、少なくとも図2に示されるように、それによりそれらの間に型キャビティー40を形成する。半型20、30はフェイスまたは表面24および34に沿ってかみ合い、成形装置が閉じた位置にある場合に、パーティングラインを形成する。
たとえば、公知のような液圧、機械または電気アクチュエーターを介する、クランプアクチュエーター72を有するクランプメカニズム70の運動により、可動の半型30は、第1のもしくは固定された半型20に対してほぼ水平な軸に沿って往復運動する。以下に詳述されるように、クランプメカニズム70によって加えられるクランプ圧力は、第1の組成物インジェクターおよび第2の組成物またはIMCインジェクターにより発生又は加えられる圧力よりも大きな操作圧力を有するべきである。たとえば、クランプメカニズム70によって加えられる圧力は、型表面に対して約14MPa(約2,000psi)から103MPa(約15,000psi)、好ましくは約27MPa(約4,000psi)から83MPa(約12,000psi)、さらに好ましくは約41MPa(約6,000psi)から69MPa(約10,000psi)までの範囲である。
図2では、2つの半型20と30は閉じた位置で示され、パーティングライン42に沿って、互いに接するかまたは噛み合う。型キャビティー40の断面図が示されるが、型キャビティーのデザインは、成形される最終生成物により、サイズおよび形が非常に異なることができる。型キャビティー40は、一般に第1の半型の上に第1の表面44を有し、その上に物品の仕上げ表面が形成される。第2の半型の上に対応する裏側または反対側の第2の表面46が形成される。型キャビティーは基体形成組成物およびIMC組成物が独立してその内部に射出されることを可能にするよう、個別のオリフィスを有するように改良される。インジェクターと射出オリフィスの位置は、装置ごとに、および部材ごとに変えることができ、効率、機能性、ワークピースのジオメトリーなどのような要因に基づくことができる。
さらに図1の中で示されるように、第1の(基体形成)組成物インジェクター50は、一般に溶融樹脂である、熱可塑性材料および熱硬化性材料を型キャビティー内に射出することができる典型的な射出装置である。第1のインジェクター50は「バック−オフ」位置で示される。しかし、これは水平方向に動くことができ、ノズルまたは樹脂出口58が半型20と噛み合い、型キャビティー40内に射出することができる。
例示のみの目的のために、第1のインジェクター50はレシプロケーティングスクリュー機械として示され、ここで第1の組成物はホッパー52内に置かれ、回転するスクリュー56は組成物を加熱された押し出しバレル54を通して動かし、ここで組成物はその融点以上に加熱される。加熱された物質がバレル54の端の近傍に集まると、スクリュー56は射出ラムの役割をし、ノズル58を通して物質を型キャビティー40内へ入れる。ノズル58は、一般にそのノズルまたはスクリューチップに逆止弁を有し、スクリュー56内への材料の逆流を防ぐ。
成形される部品のサイズおよび/または複雑さのために、時々、押出物は1以上の位置から型に射出されることがある。マニホールドによって押出物の流れをコントロールするために、押出物を熱することが必要なことがある。これらのマニホールドの通路はホットランナあるいはマニホールドシステムと呼ばれることがあり、図16に詳細に示される。
操作の際には、基体形成する材料のあらかじめ決定された量が、第1のインジェクター50から型キャビティー40に射出され、基体またはワークピースが成形される。型キャビティーの中で成形された基体は少なくとも仕上げ表面82および反対の表面84を持っている。
好適な熱可塑性基体としては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アセタール樹脂、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン類、およびポリ塩化ビニル樹脂(PVC)があげられる。これらは限定的なものではなく、あくまでも例示にすぎない。
本発明は既存の成形システムを改良するものであり、それは型自身を含み、IMC組成物の第2のインジェクター60からの型キャビティー40内への導入を許容する。基体形成材料がコーティングを受容するに十分なモジュラスを発現するか、または型キャビティーの圧力もしくは温度が所望の範囲内に達した時、IMC組成物の射出が開始される。これらの条件はより詳細に下に記述される。
図2では、第2のインジェクター60は、第1のインジェクター50を有していない半型に位置する、第2のノズル62に接続される。より詳細には、第1の組成物インジェクター50は固定半型20に位置し、また、第2の組成物インジェクター60は移動可能な半型30に位置するように示される。しかしながら、第2のノズル62の位置あるいは数は、コーティングされるワークピースの部分およびそのジオメトリーに基づく。
図2に示されるように、IMC組成物90は第2のノズル62を介して型キャビティー40に射出される。IMCが適用される前に、型は開かれずアンクランプされない。すなわち、半型は両方の組成物の射出の間、パーティングラインを維持し、閉じた位置を保持する。IMC組成物90は広がり、仕上げ表面82のあらかじめ決定された部分または領域をコーティングする。
図16は図1の中で示される一般的な設計の、仮想の第1のまたは静止している半型を描く。図面は、型キャビティー内への基体形成材料の供給に使用された型の内部の典型的なランナーシステムを示し、2つのタイプのゲート、すなわち、160で示されるホットチップおよび170で示されるようなバルブゲートシステムを示す。図16において、100は半型である。製造されたポリマーは射出ユニットからブッシング112を介して供給される。キャビティープレート110は成形される部材に隣接する型の部分である。キャビティープレートがヒートシンクとして作用することを防ぐという機能を有するノズルチップインシュレーターは114として示される。さらに、ノズルヒーター115は、射出される溶融した材料の正確な温度を維持するシステムの一部である。
マニホールドヒーター118はマニホールドを熱く維持する機能を有する。スプルーインシュレーター120は温度維持システムの一部として機能する。ノズルチップ122は溶融した材料の型内への実際の供給地点で、ノズルハウジング124内に位置する。使用されるポリマーによって要求される時、加熱または冷却のために水または油が循環されるラインは126および128として示される。マニホールドヒーター130、ノズルインシュレーター132およびエアーギャップ134はすべて、温度維持システムの一部である。ロケーティングリング136は射出ノズルに関して型を配置するために使用される。スプルーヒーター138はスプルーブッシュ142の上に置かれる。マニホールド140は一般に成形システム全体の基礎または土台である。バルブゲート144はノズルチップ122用の供給システムの一部であり、空気開放配管150および空気閉鎖配管148により始動される。圧力変換器180は型の中の圧力を測定する;一般に1よりも多いそのような変換器が使用される。温度変換器182は型の中の温度を決定するために使用される;一般に1よりも多いそのような変換器が使用される。
基体を形成するために使用される物質の射出は、3段階プロセスとして見ることができる。第1段階は通常、高射出段階と呼ばれる。射出機械から型内に材料を射出するために使用される最適な圧力は実験により決定することができるが、好ましくは十分に大きく、型の容量の少なくとも約85から95%を満たす。加圧時間、プラスチック型サイズ、および構成のすべてが決定の要因となる。一般に、ポイント圧力がわずかに減少した時点で、型のパーティングラインでフラッシユがみられるまで、圧力は増加される。
射出の第2の段階は射出充填と呼ばれる。これも一連の実験により決定することができ、好ましくはその終了時に型はその容量の少なくとも99%まで充填される。
射出充填の後、射出圧力はワークピースがゆがまないように低下される。これは射出ホールドと呼ばれる、第3の段階の開始である。他と同様、実験により決定することができる。
型を改良する際に、具体的な型、具体的な基体材料および具体的なIMC組成物に関連するシステムの最終のマシンコンディションの決定が重要になりうる。改良された型のセットアップにおいて、商業的に受け入れ可能な時間で許容可能な部材を生産するために、多くの変数が関係づけられなければならない。射出機械の圧力、時間および他のセッティングは、製造される部材の形、および/または使用される高分子材料に応じて変化する。
射出成形における、これらおよび他の重要なオペレーティングパラメータを最適化するために、一連の実験を、型および具体的な基体形成材料で行うことができる。与えられた型の体積は計算することができる。この計算および基体形成材料の密度に基づいて、投入量を決定することができる。最小の時間で最適かつ完全に型の充填ができるまで、異なる機械変数を試みることができる。好ましくは、これらの実験では、型に1つ以上の変換器および/またはセンサーが取り付けられ、種種の機械変数(たとえば射出速度および圧力)を変えながら、圧力および/または温度が測定される。オペレーティングパラメータを最適化するために、型に基づくフローモデリングを行なうことができる。
射出された樹脂の量における変化は、投入量の全重量の0.5%の量まで許容される。ひとつには樹脂が圧縮可能で、許容可能な部材がこの範囲内で生産されるので、そのような変化が生じる。
新しい部材についての射出成形での最適操作変数の決定は、基本的に反復技術(すなわち試行錯誤)である。熟練技能者は何が必要かに関してある考えを持っているかもしれないが、彼はそれにもかかわらず任意の新しい形状についてはある量のスクラップを生成するだろう。選択はたとえば、バレル温度、型温度、射出高圧限界、射出保持圧力、射出速度、充填時間および保持時間について行われる。末端の調節が操作可能な条件を一括化するために行われ、ついで微調整され、これは一括化手段と呼ばれる。
このプロセスを例示するために、一連の実験が改良された771のMg(850トン)のCINCINNATI MILACRON(登録商標)の液圧クランプ射出成形機および改良された型を使用して行われ、多くの基体材料に関して最適のマシンセッティングを決定した。最適の結果を与えることが見いだされたマシンセッティングは、以下の表1に示された。これらのセッティングは一括化手続きの使用により得られた。この手続きの中で使用される型は、折り曲げられた側面を有する開いた箱の形を本質的に持っている自動車エンジン用のためのバルブカバーに似ている。
これらの結果は、別の成形機械に必ずしも適用可能ではないことがある。もっと正確に言えば、改良されられるシステムに基づいて、新しい一連のテストが必要なことがある。
さらに、これは、型または樹脂が異なる場合にも真実である。そのようなケースでは、最適のオペレーティングパラメータを見つけるために同様の試験を行う必要があるであろう。
実験では基体形成材料として、次の樹脂を使用した:
例1:IMPET(登録商標) EKX215、ガラス充填ポリエステル(Ticona)
例2:IMPET(登録商標) EKX230、ガラス充填ポリエステル(Ticona)
例3:FORTRON(登録商標) 4184L6 ポリフェニレンスルフィド(Ticona)
例4:PC/PBTアロイ(GEプラスチック;ピッツフィールド マサチューセッツ)
例5:ポリスチレン(ノバケミカル;カルガリー、アルベルタ)
基体の生産用のオペレーティングパラメータを決定し、ついで適当な表を参照してまたは測定により基体形成材料の溶融温度を決定し、IMC組成物が適当な時間で射出されるようにしなければならない。図16に関連して上述された変換器またはセンサーの使用によって、基体の温度がその1つまたは複数の構成成分の溶融温度以下に冷却された時点を決定することが可能である。あるいは、溶融温度は、圧力の観察により間接的に決定することができる。成形品がその溶融温度に達した場合、それは多少収縮し始め、それにより、圧力が減少する。
変換器が使用されない場合、溶融温度に到達しIMC組成物の射出が始まる時間を決定することができ、ついで操作をコントロールするために使用することができる。言いかえれば、型の閉鎖から基体がその溶融温度に達するまでの時間を決定することができ、IMC組成物の射出の開始をコントロールするために使用することができる。
改良された機械を使用し、IMC組成物としてIMPET(登録商標) 430樹脂、およびSTYLECOAT(登録商標)Xプライマー(OMNOVAソリューションズ社;フェアローン、オハイオ州)を使用して一連の実験が実行された。温度測定によって、基体樹脂は型が閉じられた50秒後にその融点以下に十分に冷えていることが決定された。3つの部材で、IMCについて90秒の硬化時間を使用して作られた。これらの部材は良好な隠蔽および硬化を示した。
さらに33の部材を作り、これらのマシンセッティングを確認し、これらのすべてが許容可能であること、すなわち良好な外観および接着を有することが確認された。さらなるサンプルが、型を閉鎖してから30秒後にIMCを射出し、硬化時間を60秒だけとして作られた。いくつかの部分が単に軽くコーティングされたのみであったので、この部材は許容されなかった。これは、前のマシンセッティングの正確さを確認するものである。
別の一連の部材は基体樹脂としてVANDAR(登録商標) 9114 PBTポリエステルアロイを使用して作られた。樹脂は型を閉じた30秒後にその溶融温度以下に冷えた。これらの部材はすべて良好な外観、つまり均一な隠蔽および良好な接着を示した。
IMC組成物を正しい時間(すなわち基体樹脂の表面がその溶融温度に冷却した直後)に射出することの必要性をより明確に示すために、射出が早すぎたものおよび遅すぎたものと比較した。一連の実験(それぞれ5つの部材が作られた)は、液圧のクランプを使用して、改良された東芝950射出成形機で、VANDAR(登録商標)700樹脂およびSTYLECOATプライマーをIMC組成物として使用して行われた。上述のようにして、マシンセッティングは決定され、IMC組成物が射出される時間、つまり型の閉鎖と、IMCの射出の開始の間の時間(秒)を除いて同一であった。これらの実験の結果は、以下の表2に示される。
これらの例は、IMC組成物が、基体の表面温度がその溶融温度以下にちょうど下がった時に射出されるようにシステムを決定しセットする望ましさを実証する。したがって、本発明の方法は、IMC組成物を射出する最適の時間を含むオペレーティングパラメータの決定およびセットとを含むことができる。
上述のように、基体は、あらかじめ決定された領域で選択的にコーティングすることができる。さらに、選択的なコーティングは、型を改良して基体の厚さまたは深さをコントロールまたは修正することにより、さらにコントロールすることができる。この点で、厚さまたは深さは、基体の1つの表面から基体の反対の表面への距離、周囲寸法、または寸法として定義される。IMC組成物流れを増加させるための型の改良は、一般に仕上げ表面と呼ばれ、IMC組成物が選択的に導かれるかまたは適用される第1の表面、および実質的に反対側の裏面の2つの表面の間の深さに関連する。IMCは仕上げ表面全体をカバーすることができるが、しかし必ずしも仕上げ表面全体をカバーしなくてもよい。例えば、図3では、厚さは仕上げ表面82から裏面あるいは反対側の表面84との距離をいう。図3の中で示されるように、基体の仕上げ表面および裏面の間の厚さは変化することができる。
それぞれの基体は固有の圧縮係数を有し、すなわち所定の温度で特定の基体は、特定の計算可能なパーセンテージで圧縮可能である。したがって、たとえ成形品または基体が単一の圧縮率を持っても、基体の第2の領域に比べてより厚い基体の第1の領域は、第2の基体より大きな厚さまたは距離で圧縮することができるだろう。例えば、所定の基体は、ある温度で20パーセントの圧縮率を持っている。したがって、2.0cmの厚さを持っている基体の部分は、0.4cm圧縮することができる。一方、1.0cmの厚さを持っている基体の部分は、同じ温度で0.2cmしか圧縮することができない。
型を適当に改良することにより、この圧縮性は基体のあらかじめ決められた領域を選択的にコーティングするために利用することができる。基体圧縮性も、基体のある領域あるいは経路にIMCのフローを効果的に向けるために利用することができる。
上記のように、IMCは、公知の多数の方法で基体に適用することができる。図2には、たとえば半型30の上のような好適な位置において、成形装置の上にノズル62を有するIMC(または第2の)組成物インジェクター60が示される。第1の量の第1の組成物が、型キャビティ内に所望のあらかじめ決定された量で射出され、たとえば、図3−5に示されたプラーク100のような、基体、ワークピースまたは物品を形成する。
図3の中で示されるように、基体は少なくとも1つの仕上げ表面82および裏面84を持っている。その後、IMC組成物90は、インジェクター60から少なくとも1つのノズル62を通って、基体の仕上げ表面側に、たとえば図4に示されたタブ103上の104のような場所で型キャビティー内に射出される。
IMC組成物の射出および硬化の前および/または硬化中に型が開かれず、クランプは解除されず、すなわち、半型はパーティングラインを維持し、互いから実質的に固定された距離をほぼ維持しつつ、第1と第2の両方の組成物が型キャビティ内に射出される。
液体IMC組成物は、射出ポイント104から仕上げ表面82の上に分配され、四方に広がる。射出ポイントの位置は、IMC組成物インジェクターおよびそれらのノズルが改良された成形装置において位置する場所に依存する。従って、IMC組成物の射出のポイントは実質的に基体仕上げ表面82のいかなる場所にも位置することができ、本発明の図面の中で示される位置へ制限されない。
IMC組成物は基体上で硬化し、コーティングを形成する。硬化は、これらに限定されないが、たとえば成形された基体、型自身、又は型を通って流れる温度制御された流体などの熱源から、任意に熱活性化される。
型の改良は基体上のIMC組成物の流れを導くかまたは経路を付けることを含むことができる。上述のように、成形プロセスの変数の制御を通じて、所望の基体を生産する材料の量は、実験的にあるいはフローモデリングによって決定することができる。第1の組成物が型キャビティーに射出され、融点以下に冷えたか、そうでなければIMCを受容または支持するのに十分な温度に達した後、あらかじめ決定された量のIMC組成物はインジェクター60から基体の射出ポイント上に、好ましくは基体の仕上げ表面上に射出される。コーティング組成物は一般に約3.5から約35MPa(500から5000psi)、典型的には約7から約30MPa(1000から4500psi) の圧力で射出され、IMC組成物がノズルから離れて、型表面と基体の表面との間を広がることを促進する。IMCの流れは、基体の好ましい領域にIMCを導く、コーティングされる表面の下の基体の樹脂の厚さまたは深さを変えるように型を改良することによりコントロールされる。例えば、基体がコーティングされる領域の下で一定の厚さを持つように型キャビティーが設計されている場合、IMC組成物は射出位置から本質的に放射状に、均一かつ一定に広がるだろう。同じ相対関係の下では、コーティングされる表面の下の厚さにおいて異なる領域を有するように基体が形成されると、IMC組成物はより大きな相対的な厚さを有する1または複数の領域に流れるように経路づけられることができる。したがって、コーティングの深さは、コーティングされた表面上で変化することができる。基体の圧縮性は、より深い深さを有する基体領域が、第2の領域に対してより圧縮され、より良好なIMC流れを提供し、それらの移行を促進する。基体温度も、圧縮性の要因であり、したがって流れに影響を与える要因である。
型への別の潜在的な改良では、基体には、IMC組成物が基体上に射出されるポイントのまわりに、増加した厚さの領域が供給される。増加した厚さによって、IMC組成物の射出位置のまわりの基体の厚さは、基体の少なくとも1つの他の領域あるいは部分より大きいことが理解される。図5の中で示されるように、プラーク100は、IMC射出位置にタブ領域103を有する。タブ領域103の厚さはIMC組成物の経路付けを向上させるために変えることができる。図4の中のタブ部分104は、IMC組成物が型キャビティから流れ出るのを防ぐ、薄い部分または封じ込めタブフランジ102を含んでいる。封じ込めフランジについてはさらに以下に説明される。比較的厚いタブ領域は、基体の仕上げ表面82上へのIMCノズルからのコーティング組成物フローを促進する。IMC組成物は、タブのような最小もしくはより薄い厚さの基体部分を避ける傾向があるからである。
型のさらなる改良では、基体上のIMC組成物フローを促進するために、基体には、優先のフローチャンネルあるいは領域である、少なくとも1つの「ランナー」部分が提供される。ランナー部分は隣接する別の領域より比較的厚い領域であり、そこではIMC組成物は優先的な流路を定められることができる。有利に、ランナー部分は、複雑な設計あるいはコーティングするのが難しい基体に提供することができる。ランナー部分は、一般に基体上のIMC組成物の射出ポイントのはじめの領域に位置し、そこからあらかじめ決められた場所または終点まで基体上を広がる。例えば、図5は、タブ領域103を含み、これから実質的にプラーク100の下端107まで伸びるランナー部分106を有する。図6は、3つのランナー部分109を有するドアパネルを示す。型キャビティー内に射出されるIMC組成物の量に応じて、ランナー部分を有する仕上げ表面は完全にコーティングされることができ、またはたとえば、ランナー部分のような特定の領域のみをコーティングすることができる。塗布されるコーティングの量および厚さは部分ごとに変化することができる。
ランナー部分の深さはコーティングされる基体および設計仕様に応じて変えることができる。基体はIMC組成物の射出領域から伸びるランナー部分を有することができ、これは比較的厚いので、基体表面へ適用されたIMCのすべてがランナー部分に実質的にとどまる。したがって、想像することができるように、多くのユニークな結果がランナー部分を利用するように型を改良することにより得られる。例えば、ランナー部分は基体表面の末端の部分へコーティング組成物を方向付けるために利用することができる。ランナー部分の厚さは、必要に応じ、たとえば射出のポイントから離れる方向で、徐々に減少させることができ、または離され、もしくは2以上のランナー部分に分割され、所望のコーティングの効果を達成することができる。
成形された基体あるいは物品には、封じ込めフランジ98が提供されることができる。少なくとも図4の中で示されるように、封じ込めフランジ98は好ましくは基体、特にはプラーク100の周縁のまわりに完全に伸びる。フランジ98はバリヤーとして使用されることができ、IMC組成物の型キャビティからの漏れ出し、および潜在的なパーティングラインからの噴き出しを防ぐ。少なくとも図3の中で示されるように、フランジ98は、仕上げ表面82の平面より下の平面に一般にオフセットされるか形成される。したがって、仕上げ表面82はエッジ83を有し、これはフランジ98へ移り変わる。仕上げ表面エッジ83は、仕上げ表面に対して約90度の角度で壁内に落ち込む。基体壁86は、フランジ部分98で終了し、フランジ部分は壁86に対して約90度の角度で伸びる。仕上げ表面82とフランジ98との間の比較的鋭い角度、並びに薄いフランジの相対的な非圧縮性は、IMC組成物のフローへの実質的な障害の役割をすると考えられている。フランジ98は、一般に基体の最も薄い部分または領域よりも小さな厚さを持っている。図3の中で示されるように、フランジ98は、基体の最も薄い部分である96より薄い。フランジ98は、コーティングされる基体表面の全周囲を実質的に取り囲む。フランジは約0.57から約0.45cm(0.225から約0.176インチ)、望ましくは約0.44から約0.19cm(0.175から約0.076インチ)、および好ましくは約0.19から約0.11cm(0.075から約0.045インチ)の幅を有する。
図7の中で示されるように、IMC90は成形された基体の仕上げ表面全体を被覆する。成形された基体の配置、並びに他の成形変数により、コーティング90は被覆できるにもかかわらずフランジ98を被覆しない。フランジ98のデザインにより一般に約10重量%未満、望ましくは5重量%未満、好ましくは1重量%未満のIMCがフランジ98を被覆する。フランジ98はその末端において、他の基体材料を有しない。フランジとパーティングラインの間に他の基体材料あるいはより外側の端部はない。
破壊可能で除去可能なフラッシュエッジまたは封じ込めフランジを含むように型を改良することができる。成形品、部品あるいは基体は、しばしばあるあらかじめ決定された一定の許容差に適合するように構築される。たびたび、物品は、部材のアセンブリーまたは配置内に正確にあるいは本質的に正確に適合するようにデザインされている。コーティングを封じ込めるために追加の封じ込めフランジと共に提供される物品は、しばしば指定された製作公差より大きい。更に、しばしば、封じ込めフランジ仕上げ表面はIMCでコーティングされず、不適当な外観を有する物品をもたらす。
液体のままの、未硬化のIMC組成物を、意図された基体のターゲット表面に封じ込めることは非常に困難である。たびたび、組成物は、たとえば、パーティングラインのような周囲の型表面;コーティングされるべきでない物品の仕上げ表面ではない表面;および型自身の上に流れ、漏れ出す。コーティングの漏れに関連した別の問題は、コーティング組成物が型内に適切に充填されず、不鮮明な外観を有するコーティングされた部材、均一なフィルムを有さないかもしくは適当なコーティング厚さを有しない部材、または所望のもしくは必要なテクスチャーを示さない部材をもたらす。エジェクターピン上へのコーティングの浸透は、成形装置の接着および不作動を引き起こす場合がある。部品の破壊の可能性があり、また型表面がコーティングの堆積を除去するために清掃されなければならないので、そのようなオーバーフローは許容しがたい。
本発明の方法によって改良された成形システムは、型を改良することにより上記の課題を解決し、成形された物品またはワークピースが、たとえば物品がコーティングされてコーティングが硬化された後に、手でとれるような柔軟でしたがって容易に除去可能な柔軟なlMC封じ込めフランジあるいはフラッシュエッジを持つようにする。削除された除去可能な封じ込め端を備えたコーティングされた物品は、そのままアセンブリー内で使用することができる。それは単に部分的にコーティングされることがあり、恐らく不体裁なことがある除去可能な封じ込めフランジの1つの利点は、容易にそれを削除し廃棄することができるということである。さらに、所望の寸法および正確な基準の完全にコーティングされた部材を生産することができる。コーティング封じ込めが達成されると、労働およびコストを節約でき、また、廃棄物が最小限にされるという利点が得られる。除去可能な封じ込めフランジは、部材の塗装作業、二次的ハンドリングおよび部材成形者と塗装業者との間の輸送費を潜在的に除去する。
図11−15Bを参照すると、除去可能な柔軟な封じ込めフランジを有する成形品あるいは基体が示される。図11には物品200が示される。主または仕上げ表面210がコーティングされる。除去可能な封じ込めフランジ220の存在により、IMC組成物が、基体の表面を去り、かつ他の型表面あるいは成形品の裏面を汚染することが防止される。
図11は基体形成材料が型内に射出される、基体射出領域230を示す。IMC組成物射出領域240は、仕上げ表面を横切って広がるIMC組成物の進入ポイントを示す。主表面のフローオフを禁じるために、除去可能なフランジ220は、既に封じ込めのための機能を含んでいる射出領域240のまわりの領域を除き、仕上げ表面の周縁のまわりに伸びる。除去可能なフランジ220は仕上げ表面の全周縁の周囲に伸びているものとして示される。ただしそれはたとえば、ワークピースが流れを制限するジオメトリーを含む場合などには、一部のみの周囲に伸びることができる。図14は、基体200の主表面の周縁の近くで伸びる除去可能なフランジ220を示す。IMC組成物射出入口領域240も示される。再び、他のある封じ込め機能が存在するか、本質的に漏れが特定の領域で生じない場合、除去可能なフランジは、基体主部分の周囲のまわりの完全な距離に満たない部分で伸びることができる。
除去可能なフランジは、部材の仕上げ表面端あるいは周縁と、裏面端もしくは周縁の間の領域もしくは面において、基体表面上に配置されるかまたは形成される。どちらのフランジが利用されても、フランジはそれぞれ幅および深さまたは高さを持っている。図12の中で示されるように、幅Aはコーティングされる仕上げ表面Dと、それと反対側の仕上げ表面ではない表面Eとの間の位置で、フランジが基体の主要部Cから離れる最大距離として定義することができる。深さBは、深さ又は厚さの寸法として考えることができ、フランジの幅に沿って変化することができ、一般に最も深い深さはフランジの最も外側の部分に存在する。フランジは基体に隣接ないし近接して、容易に破壊することができる非常に薄い部分を有するようにデザインされる。フランジの除去は簡単であり、たとえば、フランジを前後に曲げて、それらのリーディングエッジを壊し、部材の主表面の端から離すだけである。必要でないが、さらにフランジは、切刃、ホットエッジツール、ウォータージェット、バッファー、サンダー、ルーターなどの道具を使用して除去することができる。
除去可能なフランジは多数の形状を持つことができる。図12は、図11の断面での構成を示す。ここでフランジ220は、その外側の末端部分が、基体の主要部分と接触し、除去可能に接続している部分よりも、より大きな深さを有するくさびとして形成される。除去可能な封じ込めフランジは、パーティングライン205の1つの側にのみ形成されることができる。基体主要部分の垂直の側表面と封じ込めフランジ上表面との間の角度は、約10から約90度まで変わることができ、好ましくは約15から約30度まである。図13Aは、基体215上にIMC216を有するコーティングされた基体220、および三角形のフランジ221の断面図を示す。矩形のフランジ222は図13Bの形状の中で示される。図13Cおよび13Dの中でそれぞれ示されるように円形、半円のフランジも利用することができる。フランジはほとんどすべての幾何学的形状またはデザインであることができ、たとえば楕円、涙形、テーパーなどであることができる。
フランジが容易に除去可能であるようにするために、基体主要部分へのフランジの取り付け箇所は、容易にそこから分離されるか破壊することができるように十分に薄くあるべきである。フランジの厚さは基体形成組成物に依存する。従って、基体に極く隣接している付着箇所でのフランジの厚さは、約0.7mm、0.6mmあるいは0.5mm未満で、好ましくは約0.1mmから0.4mmの範囲である。基体の主要部分に付着している箇所から離れる方向でのフランジの厚さは、任意の好ましい厚さに大きくすることができ、それは、付着箇所での厚さより一般に大きい。基体の主要部分から周縁部端までのフランジの幅は、一般に約10mm未満、望ましくは約2.5mmから約8mmまで、および好ましくは約3から約6mmまでである。
除去可能な封じ込めフランジが、機械加工、ミリング操作等により、上記に記述された半型のどちらか又は両方に形成されるように型を改良することができる。典型的には、フランジは、たとえば図12に示されるように、型のパーティングライン205の1つの側または両側に沿って形成される。封じ込めフランジのデザイン、および基体の主要部分への狭い付着箇所での実質的な非圧縮性のために、IMC組成物は、図13A−13Dの中で示されるように、基体の主要部分および封じ込めフランジとの間の付着箇所で主として止められる。すなわち、圧縮勾配が形成され、IMCは比較的厚く圧縮可能な基体の主要部分を横切って流れることができるが、基体の主要部分に取り付けられた比較的薄い圧縮不可能な封じ込めフランジエッジを横切って流れることは本質的にできない。
除去可能な封じ込めフランジが、基体の表面上に伸び、仕上げ表面または他の表面のあらかじめ決められた領域上へのIMC組成物の流れ込みを防ぐように、型を改良することができる。図15Aは、仕上げ表面Dのあらかじめ決められた領域へIMC316を封じ込めるために、仕上げ表面Dの部分を横切って伸び、また基体の周縁部の周囲に伸びる除去可能な封じ込めフランジ320を有する基体300を図示する。
図15Bは図15Aの15B−15Bに沿った断面図である。この図には、除去可能なフランジ320によって、仕上げ表面Dの前もって定義した部分にIMC316が封じ込められていることが示される。
従って、除去可能なIMC封じ込めフランジは、前もって定義した部分を優先的にコーティングするために、基体の任意の表面上の1以上の任意の領域で利用することができる。除去可能な封じ込めフランジが、基体、特にそれの仕上げ表面上で利用される場合、基体上に明確に定義されたコーティング境界あるいは領域を作ることができる。様々な表面の審美的な結果を封じ込めフランジ(特に除去可能なもの)を利用して作成することができる。任意の数の封じ込めフランジを有するように型を改良することができる。封じ込めフランジは任意のタイプのパターン、デザイン、ロゴ、レタリング、記章などを作成するために利用することができる。異なる色がつけられたコーティングを、封じ込めフランジ境界を持っている基体の異なる領域に組み入れて、それにより、シェイデング、コントラストカラー、特殊効果などを行うことができる。
除去可能な封じ込めフランジは、スライドあるいはコアのような移動可能な型部分に隣接しているエッジ開口部でも、基体上に使用することができる。除去可能なフランジは、IMC組成物が、移動可能なコア領域に漏れだし、恐らくこれを結合することを防止または妨害する。
図17A−18Cには別の型の改良が示される。この点で、IMC組成物は、図17Aの中で示されるような基体325のうちの310の基体表面の中心部分、または図18Aの中で示されるような基体400の基体表面の角410で射出されることができる。典型的には、IMC組成物は、物品が使用される場合に目立たない、成形された基体上の位置で射出される。あるいは、IMC組成物は、後で除去されるか基体の別の部分から切り取られる箇所で、基体上に射出することができる。例えば、所望の場合、図4のタブ103で、成形された基体の主要部分に接続する箇所でIMC組成物射出領域を切り取ることができ、本質的に正方形のコーティングされた物品を残す。
IMCの射出位置で、基体に増加した相対的な厚さを有する領域あるいは圧縮可能なゾーンを作ることにより、IMC組成物フローを促進するか高めることができることが知られた。図17Aから17Cは、基体上のフローを促進する、異なる圧縮性を有する、成形された基体325を図示する。図17Aは、基体325の正面図であり、封じ込めフランジ330が、基体の仕上げ表面302にIMCを封じ込めるために利用できることを示している。成形サイクルの間に、基体の射出入口領域310上にIMC組成物を射出することができる。基体の射出口領域312も点線で図示される。基体は仕上げ表面302の反対側304から射出されており、スプルーが除去された後に存在する場合があるすべてのフローラインおよび望ましくないエッジを隠す。
増加した厚さの領域308は、コーティング組成物のフロー、したがって得られるコーティングの厚さおよび表面領域をコントロールするために選択的に使用される「フローゾーン」を形成する。例えば、対応して相対的な圧縮性が増加する相対的に厚さの増加した領域では、フローゾーンは、フローゾーンから相対的に薄い断面を有するその隣接する基体表面へのIMC組成物の流れを促進する。さらに、このフローゾーンは、コーティングのための射出位置に隣接する。フローゾーンは、増加した(あるいは減少した)圧縮性のチャンネルの提供によりコーティングのフローを選択的にコントロールするためにフローゾーンが設計されているので、強化用の支柱あるいは同様の構造細部から生ずる場合のある増加した厚さを有する他の複雑な断面部分とは異なる。しかしながら、増加した(あるいは減少した)厚さのこれらの領域は、フローゾーンとしても役立つ。同様に、周辺のフランジのようなより薄い断面積の部分において生じるように、フローゾーンは減少した圧縮性を有する領域を含むことができる。この場合、フローゾーンは、コーティングのための封じ込めゾーンの役割をする。さらに、この場合、フローゾーンは射出サイトに隣接する必要がないし、恐らく実際射出サイトに隣接しているというよりむしろ遠方になる。
図17Bは、図17Aの成形された基体の17B−17Bに沿った側面断面図である。仕上げ表面302および裏面304は、その間に変化する距離または厚さを有している。スプルー314は基体射出成形工程の間に形成される。射出入口領域310の裏面領域には、領域308が提供され、これはIMC組成物のフローを促進するために基体領域306より大きな厚さを有する。領域308は、IMC組成物が仕上げ表面302上に射出される場所であるその中央の部分で、より厚い部分または最も大きな深さを持っている。基体の厚さは、射出入口領域310からテーパー状に薄くなり、基体部分306で比較的一定の厚さになる。領域308により提供される相対的な深さまたは厚さは、IMC組成物に容易に圧縮可能な領域を提供し、仕上げ表面302の他の所望の領域へのフローを促進する。図17Cの中で示されるように、IMC320は完全に仕上げ表面302をカバーする。あるいは、所望の場合、基体325は、たとえば上記のモールドランナーのような他の圧縮性の異なるゾーンを含むことができ、基体の圧縮性を利用してあらかじめ選ばれた領域にコーティングすることができる。
図18A−Cは、射出入口領域でIMC組成物のフローを促進する圧縮の差異を生み出すための、さらなる基体圧縮性の使用を図示する。図18Aは、仕上げ表面402および封じ込めフランジ430を有する基体400を示す。IMC組成物は入り口領域410で射出される。基体形成材料は裏面領域412で射出される。図18Bは、半型442と444の間の型キャビティ440の中に位置するプラーク400の部分断面図である。成形された基体は、入口領域410に位置するノズルを介して入り口チャンネル424を通って、射出装置422からのIMC組成物420でコーティングされていた。型パーティングライン460も図示される。IMC組成物は、領域406を含む基体の他の部分と比較された時、増加した厚さを持っている領域408で基体上に射出される。増加した厚さのため、IMC組成物は領域406と比較して、領域408において、より容易に基体を圧縮することができる。図18Cは、コーティングされた基体400の仕上げ表面401の正面図を図示する。
IMC射出位置(たとえば、図17A中の310)において、基体はコーティングされることが意図される基体の別の部分と比較して、約1.1:1から約10:1、望ましくは約1.25:1から約2:1、および好ましくは約1.3:1から約1.5:1の厚さの比率を有する。
仕上げ表面を横切るIMC組成物のなめらかで均一な流れを促進するために、図17Bおよび18Bの中で示されるようなIMC組成物射出の位置から他の基体領域へのなめらかな、または実質的に均一な変化が作られる。変化ゾーンもテーパーまたはランプと考えられることができる。もちろん、ここに述べられるように、たとえばランナー部分およびコーティング封じ込めフランジのような他のものも、IMC組成物フローをコントロールまたは促進するために組み入れることができる。さらに、基体および/または型温度の制御もこの流れに影響を与えることができる。
図19−25は型ランナー22を示す。図20で示されるように、第1の組成物インジェクター50は半型20と接触し、ノズルまたは樹脂出口58は半型20とかみ合い、型ランナー22を介して型キャビティー40内に射出することができる。型ランナー22は、型キャビティー40内へインジェクター50から基体組成物を移動させるための通路を半型中に提供する。型ランナーはスプルーブッシュ、または型ランナードロップなどと呼ばれる場合がある。
図22は、1つのタイプの型ランナー22の概要を示す。型ランナー22は半型20またはプラテン21と、離れるかまたは一緒になることができるボディ要素を有している。すなわち、型ランナーは、半型内に挿入され、取り付けられる、分離可能で取り外し可能な別個の要素であることができ、または半型それ自身の中に形成または賦形されることができる。型ランナー22は第1の末端23および第2の末端25を有し、それらの間に伸びる。第1の末端23は射出成形機から溶融した材料を受け取る。また、第2の末端25は、型キャビティー40内へ材料を放出する。該材料は引き続いて型キャビティー内で基体を形成し、それはコーティングされることができる。型ランナー22は、封じ込めシュラウドの領域以外においては、射出の間の基体上への応力、ひずみ、剪断力を避けるために、断面は円筒状である。他の適切な形状としては、制限されないが、円錐形、螺旋形、およびテーパーなどがあげられる。少なくとも図20の中で示されるように、成形操作のためにノズル58は第1の末端23に位置するかまたは固定される。型ランナー22は封じ込めシュラウド27を有し、これはIMC組成物の通路26を通っての成形装置50内への流動を防止するか又は終了させる。
封じ込めシュラウドは、一般にくぼみ、またはボイドであり、第1の末端と第2の末端との間の型ランナー通路の少なくとも1つの部分の全周囲または全周縁のまわりに伸びる。言いかえれば、封じ込めシュラウドは、一般的には、通路の軸に本質的にほぼ垂直な平面で、通路の周縁のセグメントの周囲の型ランナー中に形成される、キャビティである。それぞれの封じ込めシュラウドは、少なくとも図22(a)にそれぞれ28および29として示される、ベース部分および端または末端を有する。ベース部分28は、通路の軸長に沿った前もって定義した幅を持っている。封じ込めシュラウドはさらに高さを持っており、通路周縁から放射状に外側に伸びる。
上記のように、封じ込めシュラウドはその周囲またはそこを通って、IMC組成物が出口通路から基体材料が入る通路へと通過することを防止し、終了させるのに有効なデザインまたは構造を有している。基体形成組成物が型キャビティ内に射出された後、型ランナーおよび封じ込めシュラウドも基体形成組成物で充填される。基体組成物が充填された封じ込めシュラウドは、この薄い領域での基体の相対的な非圧縮性を、IMC組成物のフローを防ぐためのバリヤーとして利用する。
ランナーの他の例において、ベース部分は、封じ込めシュラウド中に形成された突出部を含む部分的にコーティングされた基体スプルーの本質的に容易な除去を可能とするために、たとえば図23および24の中で示されるように、ターミナルの部分以上の幅または厚さを持っている。ベース部分の幅は変わることができるが、一般には約0.025mmから約6.4mmまで、好ましくは約0.06mmから約0.4mmまでである。従って、封じ込めシュラウドの末端あるいは放射状の外側の部分は、しばしばベース部分よりも小さい幅を持っている。ベース部分と末端の部分の間の封じ込めシュラウドの高さは変わることができ、一般には、約0.1mmから約2mm、、望ましくは約0.2から約0.65mm、好ましくは0.25から約0.4mmである。封じ込めシュラウドは、第1の末端23と第2の末端25の間で型ランナー通路に沿って任意の場所に位置することができる。好ましくは、封じ込めシュラウドは、IMC組成物が型ランナーに入いることができる、第2の末端の方向に位置する。封じ込めシュラウドは、第2の末端まで約0.25mmのところまで接近して位置することができる。シュラウド設計および位置は多数の要因、たとえば、ランナーの直径、基体の組成、および成形されたワークピースを型から取り出す必要性などに依存する。
図22では、封じ込めシュラウド27Aは、第1の末端23および第2の末端25の間の通路によって形成された軸に垂直な平面を有するアニュラリングとして示される。アニュラリングはそれの末端部分で角を四角に切った。図23は、封じ込めシュラウド27Bを示す。成形しコーティング操作が行なわれ、コーティングされた部品が型から取り除かれた後、型ランナーから、通路および封じ込めシュラウドを充填した基体により形成されたスプルーが容易に除去できるような角度で、封じ込めシュラウド27Bはセットされる。シュラウド27Bは、通路と、ベース部分からターミナル部分への測定された高さにより形成された軸によって形成される角度シータで一般にセットされる。角度シータは、約1〜約90度まで、望ましくは約25〜約65度まで、および好ましくは約40〜約55度までである。
図23に示される封じ込めシュラウドと第2の末端25の間の通路は、封じ込めシュラウドおよび第1の末端23の間の通路より大きな直径を持っている。この配置はスプルーの除去を容易にする。すなわち、スプルーが型キャビティの方向に型から引かれる場合、封じ込めシュラウドは柔軟であり、第2の末端に最も近い通路に提供される直径のスペースに追従する。封じ込めシュラウドは、さらにたとえば図24の中で示されるようなテーパーまたはくさび型27Cの態様であることができる。
図25は、封じ込めシュラウドが図22におけるように存在するところの位置での、半型の縦軸での断面図である。そこに見ることができるように、封じ込めシュラウド27は、型ランナーを通ってIMC組成物が流れるのを防ぐために、通路26の周縁全体のまわりに伸びている。この実施態様では、型ランナーは円筒状の形である。したがって、封じ込めシュラウドは通路周縁のまわりで放射状に伸びる。
型ランナーがどのように機能するか理解するために、コーティングプロセスが図面19−25を参照しつつ説明される。基体形成材料は、射出成形装置へ導入され、その融点以上に加熱される。基体形成材料は回転するスクリュー56を利用して装置を通って移動されて、バレルの端に置かれる。成形サイクル中に、半型20および30は、図19の中で示されるような閉じた位置にされ、溶融された基体形成材料は、型ランナー22を通して射出成形装置のノズル58から型キャビティ40内に射出される。一般に、最終生産物が望ましく型キャビティを満たすように、適切な量の基体材料が型キャビティ内に射出される。図19に示されるように、基体形成材料は型キャビティの形をとり、型ランナー22中に存在するスプルー部分53をさらに含み、一般にそれらの形に追従し、それを完全に満たす。一旦基体形成材料が射出されたならば、材料は冷却され、その上にIMC組成物が適用できるポイントまで固化される。IMC組成物は、基体材料の仕上げ表面上で型キャビティ40内に射出される。図20に示されるように、インジェクター60は、仕上げ表面44の上にIMC組成物を射出する。圧力により、IMC組成物は仕上げ表面44を横切って入口62から広がる。IMCが、スプルー53および型ランナー22と同じ側の基体上に射出されるので、IMC組成物は射出装置50の方向にスプルー53に沿って流れる。
図21は型キャビティ中のコーティングされた基体を図示し、ここでは、封じ込めシュラウドがIMC組成物が型ランナーを通って流れることを防止するために利用されている。未硬化のIMC組成物は基体の表面を横切って広がり、型ランナー22の第2の末端25にさらに入る。コーティング組成物は、スプルー材料の圧縮性のため、型ランナーの第2の末端25から型ランナーの第1の末端23へスプルーを上へ移動する。一旦IMC組成物が封じ込めシュラウド27に遭遇すれば、コーティングは封じ込めシュラウド中の基体組成物の相対的な非圧縮性のために、さらなる広がりが止められる。したがって、IMC組成物が第1の末端23へ到達し、射出装置50に入り、かつその内部の基体形成材料を汚染することが防止される。
インモールドコーティングが型キャビティ内に射出された後、それは硬化され基体材料に接着し、コーティングを形成する。その後、固定された半型は割られ、スプルー53と共にコーティングされた基体材料が取り出される。スプルーは、型ランナー封じ込めシュラウドによって形成されたリムまたは突出部を含んでいる。封じ込めシュラウドの中で形成された突出部は一般に柔軟であるので、スプルーは型ランナーから容易に除去可能である。IMC組成物が、射出装置を汚染せず、ランナーシステム中にIMC組成物の堆積物が存在しないので、コーティングされた基体をさらに生産することができる。
図26−29はIMCフローを制御する他の型の改良を示す。基体740は、基体物質742のバリヤーリムを含むバリヤー743、基体射出入口領域744、およびIM組成物射出領域746を含んでいる。上に記述されるような封じ込めフランジ748も示される。フランジ748はコーティング741でコーティングされる基体の領域を完全に取り囲んで示されるが、フランジはワークピースの配置および型のフロー特性に基づいて、コーティングされる領域の一部のみを取り囲むことができる。基体射出入口領域744には、バリヤー743の存在によりIMCがない。
図27の中で示されるように、バリヤーリム742は基体射出入り口領域744の周囲のまわりに伸びる。バリヤーリム742は、隣接する基体の表面、バリヤーリム周縁部の外側の表面と比較された時に、***しているかもしくは盛り上がっている突出部を有する。典型的には基体射出オリフィスは一般に円形かあるいは円筒状である。従って、バリヤーリム742もオリフィスのまわりに相補的な形で形成され、例えば環状であることができるが、一般的に他の形も可能である。
バリヤーリムおよび基体の他の部分の高さは、上述のように、基体の一端から他端まで、たとえば、仕上げ表面から裏面または反対側の表面まで、すなわち対応する半型の間で測定されることができる。特記のない限り、本明細書においては、リムの高さ又は厚さは最大の高さを言う。バリヤーリムの高度または高さは仕上げ表面からリムの末端までで測定することもできる。図28Bの中のYは、バリヤーリム742の高さを示す。それは、Zで示される幅の全体にわたり本質的に同じである。バリヤーリム高さYおよび幅Zは、少なくとも図28Cの中で示されるように、IMC組成物741が基体射出入口領域744内に流れ込むことを本質的に防止するようにデザインされる。IMC組成物が図27の射出入口領域746で基体740の表面に射出された後、基体を圧縮することにより型キャビティ表面と基体表面の間を横切って、コーティングは広がる。最終的に、図28Cに示されるように、IMC組成物741はバリヤーリム742のベースに到る。IMC組成物は、リムの幅Zの圧縮によりバリヤーリム742の高さ方向に流れあがることを試みる。バリヤーリムの幅Zは比較的薄いので、図28Cに示されるように、IMC組成物741が基体射出入り口領域744内に流れ込むことを十分に防止する。少なくとも、リム幅が比較的非圧縮性で、IMCシールまたはコーティング流れに対するバリヤーを形成するからである。
IMCコーティングがリム自身の上を流れず、基体射出入口領域に流れないように、バリヤーリムの幅Zは十分に薄くすることができる。従って、バリヤー近傍における基体の厚さX(図30A中で示す)(1つの基体表面から裏面表面まで測定する)に対するバリヤーリム幅Zの比率は、一般に約0.1:1から約2:1、好ましくは約0.25:1から約1:1、より好ましくは0.3:1から約0.8:1である。必要な圧縮性の相違は基体組成物、型温度および部品設計等に依存して変化することができ、限定された実験により容易に決定することができる。
さらに、バリヤーリム高さY(図27中の742)と基体厚さXとの間の高さ比率の差も、IMC組成物の基体射出領域あるいはオリフィスへの突破を防ぐのに十分である。その範囲は一般に、約0.1:1から約5:1、望ましくは約0.5:1から約2:1、好ましくは約1:1である。
図28A−Cは、基体射出オリフィスバリヤーを形成するプロセスを図示し、図1の中で示され、上記に記述された装置に類似する型アセンブリの部分の横断面図を示す。図28Aは、第1の半型710と第2の半型712の間にはさまれた型キャビティ40の部分図を示す。図28Aでは、リム722を含むバリヤー成形レリーフ721を有する型キャビティが示される。基体形成組成物740は、図28Bに示されるようにゲートピン720が入口から後退した時に、基体射出入口領域724で型キャビティ40内に射出される。上記のように、ゲートピンは基体入り口制御の単なる1例である。
典型的な成形サイクルの間、ゲートピン720は図28Bに示されたように、入り口724から後退し、基体形成材料740が型キャビティー40内に所定量流れ込むことを許容する。バリヤーリム742を含むバリヤー743も、基体物質で作られる。十分な量の基体形成物質740が射出された後、ゲートピン720は、基体形成材料のフローを止めるためと、成形された物品の表面にきれいなシャットオフを残すという美観上の目的のために、図28Cの中で示されるような閉じた位置へ移動される。
基体物質が冷えた後、適切なモジュラスに達し、または他の方法でそれの表面上に液体を受容することができるようにし、コーティング組成物が型キャビティ内に射出される。射出に際して、バリヤー743に遭遇するまで、IMC組成物741は基体の表面を横切って流れる。バリヤーリム742に到達すると、IMC組成物は、型キャビティに対してリム幅を圧縮し、基体入口領域あるいは基体射出オリフィスに流れ込むのを止める。これはリムの高さに沿った基体バリヤーリム幅の相対的な圧縮性のためである。したがって、図28Cに示すように、IMC組成物741が、ゲートピンと周囲のクリアランスの間を流れ、ゲートピン720に到達または流れ込むことが防止される。
図29は、ゲートピンのない射出装置用のバリヤーを図示する。したがって、上記のような型の改良は、ゲートピンが利用されなくても、基体射出オリフィスへのバリヤーが提供される。バリヤーの存在のために、IMC組成物は基体射出入り口領域に達することができない。
バリヤーリム742は種々の高さおよび幅を有することができ、したがって、基体の主表面に対して本質的に垂直な90度に形成された2つの実質的に等しい高さを有し、実質的に一定の幅を有する2つの壁を有する、図28B、28Cおよび29の中で示されるバリヤーリムとは異なる様々な形あるいはデザインを有することができる。図30Aは変化する高さYおよび幅Zを有するテーパー状のリム742を有する異なる態様のバリヤーデザインを示す。基体740の主な部分は厚さまたは深さXを有している。リム742は基体の主表面に本質的に垂直な1つの壁を有し、約45度に傾いている壁を有している。リムの上部の最も薄い部分は実質的に非圧縮性であり、したがって、IMC組成物は基体射出入口領域744内に本質的に流れ込むことができない。図30B−Cはバリヤーリムデザインの他の態様を図示し、異なるテーパー状のリムおよび部分的に丸いリムをそれぞれ示す。バリヤーリムのデザインは、バリヤーを有する基体が、成形とコーティングの後に型キャビティから容易に取り除くことができることが望ましいという型の制限のみにより限定される。
図9には、プラーク200を生産するために使用される型であって、IMC組成物を受容するように改良された型が示される。型キャビティ幅は30.5cmであり、その長さは52cmである。型は、基体の射出用の型キャビティーの中心に位置する液圧の型ゲート、および部品表面上にIMC組成物を導入するテーパーを有するタブを有する。タブは型のエッジ部分に位置する。タブおよびセクションAは、0.003mmの厚さを持っている。セクションBは厚さ0.0025mmである。セクションCは厚さ0.002mmである。セクションDは厚さ0.0015mmである。プラークはその部品の左側に水平方向に4枚のパネルを有し、その部品の右側に垂直方向に4枚のパネルを有する。部品の右側の水平方向のパネルは長さ15cmおよび13cmの幅を有していた。垂直方向のパネルは幅3.8cmおよび長さ52cmである。プラークはIMC封じ込めフランジを持っていない。型は、改良された771Mg(850トン)のCINCINNATI MILACRON(登録商標) VISTA(登録商標)射出成形機内に置かれた。249℃の温度に熱したABS樹脂が、型キャビティ内に射出され、上記の寸法および厚さを有するセクションA−Dを有する、図9の中で示されるプラークを製造した。プラークの正面は滑らかな表面である。また、したがって、プラークの裏面は様々な厚さで外形が変化を示す。およそ120秒のホールドタイムの後に、STYLECOAT(登録商標)コーティング組成物がプラークのタブ部分から、プラークの正面の表面上へ射出された。以下の表は、どのようにコーティング組成物がプラークの異なる部分上に流れたかを詳細に示す。
コーティングされる部品の表面積および所望の膜厚から、1.97立方センチの量が完全なIMCショットを与え、プラーク全体を被覆すると決定された。
チャートから理解されるように、プラーク表面上へIMC射出すると、最上段の左側のパネルおよび内側の垂直方向のパネル(ランナー部分A)は、フルショットの25%が使用されたときに差別的にコーティングされる。したがって、この実施例は、セクションAが有効なランナー部分であり、コーティングはセクションAに沿って流れ、側面に流れ出て、その後、より薄いセクションB、CおよびDへ流れることを示す。IMCのフルショットの50%が利用された時、IMCはセクションCへセクションAおよびBから流れ始めた。
図9の中で示されるプラークは封じ込めフランジを有しない。フルショットの50%以上のレベルのコーティングが利用された時、パーティングラインを通って型キャビティからコーティング組成物の浸みだしが生じた。したがって、基体表面の所望の部分上にIMC組成物を維持するために封じ込めフランジが必要であることが示される。
図10は、様々な基体厚さを有する熱可塑性の物品300を示す。実施例部品は、上記の通りに改良された15cm四方の鋼製の型と、45Mg(50トン)射出成形機で製造された。基体形成材料はPET熱可塑性物質だった。また、IMCはSTYLECOATプライマーだった。型温度は、IMC組成物射出の前30秒のディレイタイムで121℃だった。
セクションE(0.29cm厚)、セクションF(0.22cm厚)、およびセクションG(0.15cm厚)は以下の表に示されるように、異なる厚さを有する。セクションH(0.15cm厚)は、より厚い中間部分を利用するタブデザインを表わし、ノズルチップサイトでのフローチャンネルを容易にする。セクションI(0.06cm厚)は薄い部分の封じ込めフランジを表わす。薄い部分と厚い部分を有する型のデザインと改良の目的は、IMC組成物の望ましい形でのチャネルフローを助けることである。
これは、次のものを含むいくつかの方法で表わすことができる:
1.型パーティングラインの内部のIMC組成物を、部品の表面上に差別的に置くタブサイト(セクションH)で、IMC組成物流れをチャネリングすること。
2. IMC組成物流れをより重要な領域(セクションE、F、G)にチャネリングすること。
3.型の周囲および/または他の部分に沿ったIMC組成物の流れを制限し、IMC組成物を部品の所望の表面上、およびパーティングライン内(セクションI)に封じ込めること。
型についての観察されたIMC隠蔽性は以下のとおりである:
上記は、この向上された流れメカニズムは、変化する厚さの結果として選択された領域への優先的な流れおよび堆積と、薄いセクション化された封じ込めフランジの結果パーティングライン内の部材の表面上にIMC組成物を含むことをはじめとする利点を有することを示す。
本発明の方法は、既存の型の改良方法に関し、型が射出成形機械に関連して使用されることができるようにし、型がコーティングされた物品を製造することができるようにするものである。射出成形機械は、溶融した材料を射出するための少なくとも1つの射出装置を有する任意のものであることができる。成形機械はIMC組成物を射出するための別個の装置を含むことができ、あるいは一体化されたシステムを含むことができる。
より詳しく以下で議論されるように、いくつかの実施態様は、IMCを適用するのに必要な設備のうちのいくらかあるいはすべてが供給されている成形者に関する。この設備は、IMC組成物射出装置;IMC組成物インジェクターノズル;ホース、取り付け器具、および他の射出装置をインジェクターノズルと接続するのに必要な器具;またIMC組成物混合および/または貯蔵機器;を含む。別の実施態様では、IMC組成射出装置に所望の時間に、所望の箇所に、特定の温度、量、圧力でIMCを射出するための成形システムと関連して作動することができるように提供される。
図32は、IMCの供給および制御装置860であって、成形装置10に接続可能で、成形装置10にインモールドコーティングの能力および制御を提供する装置が示される。制御装置860は、IMC組成物のバットのような、IMCコンテナを支持するためのIMCコンテナ受容シリンダー862を含む。適当なIMC組成物としては、米国特許第5,777,053号に開示されているものが挙げられる。制御装置860は、受容シリンダー862に受容された時にIMCコンテナとの流体コミュニケーションを有するように適応された計量シリンダーまたはチューブ864をさらに含んでいる。移送ポンプ866が制御装置860に提供され、受容シリンダー862から計量シリンダー864にIMC組成物を移送することができる。
計量シリンダー864は、成形装置10のIMC組成物インジェクター62に選択的に流体的に連結可能である。計量シリンダー864は、計量シリンダー864からIMC組成物を空にして、インジェクター62にインモールドコーティング組成物を導くためのピストン868のような液圧手段を含んでいる。戻しライン(図示せず)は、インジェクター62と受容シリンダー862に接続され、これらの間を流体的に連結する。
制御装置860は、動力源に接続することができる電気ボックス874をさらに含んでいる。電気ボックス874は、IMC組成物の型キャビティー40への供給の制御のために複数の制御盤876およびタッチパッドまたは他のタイプのコントローラ878を有する。圧縮空気コネクター(図示せず)は、公知の圧縮空気ラインに制御装置860を接続するために制御装置上860に提供される。圧縮空気は、移送ポンプ866を運転し、かつ清浄操作中に制御装置860およびその流体連絡にある配管からIMC組成物を取り除くために使用される。さらに、空気は清浄化の目的のために、流体連絡にある配管から溶剤を取り除くために使用される。
供給および制御装置860は、好ましい実施態様においては半型20および30のうちの1つの上に配置されるように適応されるリモートの発信機(図示せず)を有することができる。発信機は、例えば操作時に制御装置860へ信号を送る公知のロッカスイッチであることができる。発信機は、半型20,30の1つの上(または他の場所)に置かれることができ、半型20,30の閉鎖時に稼働されることができる。発信機から送られた信号は制御装置860上でタイマー(図示せず)を開始するために使用される。
別法として、成形装置10は半型20,30が閉じる際に信号を発生することができる発信機または発信機手段を装備することができる。制御装置860に信号を伝えるために、公知の信号伝達ケーブルが成形装置10と制御装置860の間に接続されることができる。そのような配置は、半型20,30の1つに独立した発信機を接続する必要を除去するだろう。
発信器の代わりに、または発信器とともに、制御装置860は少なくとも1つのリモートセンサー(図示せず)を好ましくは有することができる。リモートセンサーは型キャビティー40内の内部圧力および/または温度を測定または記録するために、半型20,30の上、または型キャビティー40に隣接して配置される。センサーは公知の任意のタイプのものであることができ、たとえば、圧力変換器または熱電対などであることができる。1つまたは複数のセンサーおよび制御装置860は公知の手段により操作可能に接続され、それらの間を測定信号が通ることを許容する。
型キャビティー40内にIMC組成物を射出する準備をするために、所望のIMC組成物のコンテナが受容シリンダー862内に置かれる。計量シリンダー864は、インジェクター62に流体的に接続される。戻しライン868は、インジェクター62および受容シリンダー862に流体的に接続される。電気ボックス874に電力を供給するために、制御装置860は、公知の460ボルトのACあるいはDC電源のような適切な動力源に接続される。上に記述されるように、リモートセンサーは、半型20,30のうちの1つに適切に配置される。
図1に示されるように、第1の組成物が成形装置10のホッパー52内に置かれる。第1のインジェクター58は、固定半型20と入れ子になるかまたはかみ合うように移動される。公知の手段を介して、つまり加熱された押し出しバレル54と回転スクリュー56を使用して、第1の組成物はその融点以上に加熱され、ノズル58へ導かれる。半型20,30は閉鎖され、それにより型キャビティー40を作る。存在する場合には、発信器またはセンサーは、半型20,30の一つの上に配置され、それらが閉鎖された時に、半型20,30が閉まっており、成形プロセスが始まったことを示す信号を制御装置860へ送る。
信号を受取ると、以下この時間を時間T0と呼ぶ、供給および制御装置860は、その内部に含まれていたタイマーを作動させる。タイマーはT0からの経過時間を追跡するために使用される。あらかじめ定義された経過時間間隔で、制御装置860が始動され、種種のIMCに関連する関数を制御し、成形プロセスにおいて所望の点で型キャビティー40にIMC組成物が供給されることを保証する。したがって、制御装置860は成形装置10と同時に操作される。
T0の後に、成形プロセスは継続し、ノズル58のノズルバルブ(図示せず)は、あらかじめ決定された時間の間、開放位置に移動され、対応する量の基体形成材料が型キャビティー40に入るようにする。スクリュー56は、ノズルピンがその閉じた位置に戻るまで、型キャビティー40内へ第1の組成物を推進する力を提供する。第1の組成物は型キャビティー16内に満たされる。一旦型キャビティー16が満たされ充填されれば、第1の組成物はその融点以下の温度に冷却される。第1の組成物は均一には冷却せず、成形された物品の内部は一般に溶融したままである一方、表面はより早く冷却されるので表面を構成する物質は堅くなり始める。
射出後、型キャビティー40中の樹脂は少なくともある程度まで固形化し始め、基体が射出および/またはコーティング組成物の導入により生じる流動圧力に耐えることができるようになる。この固形化中に、成形物品は幾分冷却され、少なくとも若干の収縮が起こると信じられる。所定量のIMC組成物がインジェクター62を介して型キャビティー内に導入される準備がされる。IMC組成物が射出される成形プロセスのポイントは、以下においてTIMCと呼ばれ、T0からの経過時間として特徴づけられることができる。第2のインジェクター62がIMC組成物を正確にTIMCで射出するために、制御装置860はT0とTIMCとの間の正確な時間にいくつかの機能を果たさなければならない。これらの機能の各々が、T0に対して前もって決定された経過時間において起こる。そのような機能の1つは、所望の量のIMC組成物で計量シリンダー864を充填することである。この機能は、TIMCよりも前に起こる。したがって、あらかじめ選択された経過時間で、制御装置860は弁(図示せず)を開け、IMC組成物の充填されたコンテナと計量シリンダー864の間の流体連絡を許容する。その後、移送ポンプ866はコンテナから計量シリンダー864にコーティング組成物を移送する。計量シリンダー864が所望の量で満たされた時、バルブは閉じ、より多くのIMC組成物がシリンダーに入るのを防ぐ。シリンダー864に入ることを許されたIMC組成物の量は選択的に調整可能である。
シリンダー864が充填された後、TIMCの直前に、制御装置860が、インジェクター62のピンまたは弁(図示せず)を開け、インジェクター62と型キャビティー40の間の流体連絡を許容する。弁は通常閉鎖位置に対してバイアスがかけられ、または閉鎖位置に対して促進され、すなわち型表面にフラッシュされるが、制御装置860により開放位置に選択的に移動可能である。特には、たとえば、制御装置860の電気的に動力が供給された液圧ポンプ(図示せず)が弁を移動させるために使用される。その直後またはその後すぐに、TIMCにおいて、シリンダー864の液圧手段はその内部に含まれるIMC組成物を空にし、IMC組成物をインジェクター62に供給し、それは型キャビティー40内に入る。
IMC組成物は型キャビティー内に、一般に約3.5から約35MPa、望ましくは約10から31MPa、好ましくは約13.5から約28MPaの圧力で射出される。
一旦コーティング組成物が型キャビティー4016内に射出されたら、第2のインジェクター62は非活性化され、したがってコーティング組成物の流れを止める。コーティング組成物は成形された物品の周囲を流れ、その表面に接着する。コーティング組成物の硬化または架橋は基体もくしは半型の残余の熱、もしくは組成物の成分の反応により起こる。コーティング組成物はついで型キャビティー内で硬化し、基体表面に接着し、その上にコーティングを形成する。基体の残余の熱が硬化を起こすために使用される場合、コーティングの適当な硬化が達成できる温度以下に成形された物品を冷却する前に、IMC組成物を射出する。IMC組成物は、架橋反応を起こし、それにより基体にコーティングを硬化させ結合させる、内部に含まれる触媒を活性化させるための最低限の温度を必要とする。
上述のように、IMC組成物は好ましくは成形された物品の表面がその融点に十分達したように冷却されたすぐ後に射出される。温度が融点に達したことの決定は、同じ材料と型条件を使用して行われた先の実験の結果に基づいて、T0からの経過時間により決定できる。別法として、送信機に変えてまたは送信機とともに温度センサーが使用された場合、成型樹脂がその融点に達したポイントは、その樹脂の融点が知られている場合には、型の内部温度を観察することにより直接決定することができる。このポイントは型の内部圧力を測定することにより間接的に決定することもできる。成形品がその溶融温度に達して固形化を開始した場合、それは多少収縮し始め、それにより型内の圧力が減少し、これは型内の圧力変換器(図示せず)の使用により記録することができる。
上述されたシステムにおいて、IMCが適用される前に型は開かれずアンクランプされない。すなわち、半型は第1および第2の組成物の射出の間、パーティングラインを維持し、実質的に互いに固定された位置を一般に保持する。
インモールドコーティング組成物の射出の間に、制御装置860は、システム内にIMC組成物を循環させるために移送ポンプ866を使用する。インジェクター62上の弁は、閉じた位置を保持し、それによりIMC組成物が型キャビティー40内に入いることを防止する。サイクルの間にIMC組成物を循環させる1つの目的は、コーティング組成物のどんな部分も、成形装置10の加熱装置への接近により望ましくなく加熱されることを防ぐことである。そのような加熱は、IMCの材料特性に悪影響を与えるか、または流体配管内でのIMC組成物の固形化を起こす場合がある。
オペレーターは、制御装置860の制御盤876およびキーパッド878によって、制御装置860の特定の操作パラメータを調節および/またはセットすることができる。例えば、計量シリンダー864と受容シリンダー862の間の連絡を制御する弁をより長期間開けておくことにより、計量シリンダー864中に充填されるIMC組成物の量を増加させるか、または減少させるために操作することができる。さらに、計量シリンダー864が移送ポンプ866により満たされるまでの時間T0からの経過時間を調節するために、および/または液圧手段によってシリンダー864が空にされるまでの時間T0からの経過時間を調節するために装置を操作することができる。この時間はほぼTIMCに近づけることにより調節することができる。
センサーは型キャビティー40に隣接してマウントされた圧力変換器であることができ、その内部の圧力を記録するように適合される。この配置では、制御装置860のタイマーおよび送信機は省くことができる。この実施態様では、成形プロセスが開始された時間を示すためにT0からの経過タイムを使用しないで、制御装置860は、圧力変換センサーによって記録された型キャビティー40内の圧力に基づいて、型キャビティー40内にIMC組成物を射出する。IMC組成物は、使用されるセンサーのタイプとは関係なく、望ましくは成形プロセス中の同じポイントのTIMCで型キャビティーに射出される。したがって、この実施態様は時間依存性ではなく、圧力依存性である。
熱可塑性樹脂が型キャビティーを満たす際、型キャビティー40中の圧力は最初に上昇するので、そのような制御が可能となる。型キャビティー40が充填されるとともに、圧力はさらに上昇するだろう。最後に、成形品が冷えて固形化し始めるとともに、型キャビティー40中の圧力は減少し始めるだろう。TIMCに対応する冷却期間の間の前もって決定された圧力で、IMC組成物は、型キャビティー40に好ましく射出される。あらかじめ決定された圧力は、一般に、使用される樹脂の具体的な種類に基づき、また使用されるIMC組成物の具体的な種類にも基づくことがある。
圧力変換器センサーによって得られた圧力測定値に基づいて、制御装置860によって行なわれた一連の機能は、型キャビティー40中で測定された圧力に依存することができる。したがって、成形プロセス中の所望の時点で型キャビティー40にIMC組成物を射出することができるように、機能の各々が、型キャビティー40中のあらかじめ決定された圧力で生じるだろう。型キャビティー40の中で測定された圧力に基づいて型キャビティー16および成形品の表面上にIMC組成物を射出することは、米国特許第6,617,033号に記述されている。
用語「変換器」は、それにともなう変数について、その値を測定又は記録することができる任意のタイプのセンサーまたは他の手段をいう。したがって、たとえば、圧力変換器は型キャビティー40のまわりの種種の場所に位置する複数の圧力変換器であることができる。この配置で、多くの圧力測定値に基づいて、IMC組成物の射出をはじめとして、制御装置860はその機能を行なう。例えば、制御装置860は、多くの圧力センサーによって得られた多くの圧力測定値のあらかじめ決定された圧力平均値に基づいてその機能を行なうことができる。多くの圧力変換器により型キャビティー40の中で観察される実際の圧力をよりよく決定することができるので、この配置は望ましいことがある。
上記の実施態様に変えて、またはそれに加えてIMC組成物の射出時点を決定するために温度センサーを使用することができる。すなわち、型キャビティー40の温度が使用される物質の公知の融点以下に温度が到達したら、IMC組成物を射出することができる。
いくつかの公知の射出成形機および型は、既に、型キャビティー40の中で圧力を測定するために適合された1つ以上の変換器を装備している。これらの機械は、多くの場合公知のデータ転送手段を介して、制御装置860のような関連機器に1つまたは複数の圧力の信号を送ることができる。この場合、遠隔の圧力変換器センサーの必要性は除かれる。型キャビティー40から得られた1つまたは複数の圧力測定の信号を受け取るためには、射出成形機10に適切に制御装置860を接続する必要がある。
センサーは型キャビティー40に隣接してマウントされ、温度を記録するように適合された、熱電対であることができる。この構成では制御装置860のタイマーもなくすことができる。さらに、成形された部材60は熱電対センサーによりその内部に記録された温度に基づいて、型キャビティー40内にIMC組成物を射出することができる。IMC組成物はそれぞれの成形サイクルにおいて、成形プロセスの同じポイント、TIMCで型キャビティー40内に射出される。
分配および制御装置860は、データ収集手段を備え、および/またはこれに接続されることもできる。データ収集手段は、1あるいは一連の成形品のために制御装置860上でセットされたオペレーティングパラメータを記録することができる、内蔵のハードドライブあるいは他の記録媒体でありえる。
もちろん、他の異なる配置も可能であり、たとえば、ネットワークに装置を接続し、遠隔の位置でオペレーティングパラメータを記録することができる。どんな場合でも、データ収集手段はあらかじめ決定されたT0からの経過時間セッティングを記録することができ、様々な制御装置機能が使用のためにセットされることができ、および/または種種の機能が生じる時の実際の経過時間間隔をセットすることができる。例えば、IMC組成物のそれぞれの射出については、データ収集手段は移送ポンプ866が計量シリンダー864を満たすT0からの時間、インジェクター62の弁が開くT0からの時間、液圧手段が計量シリンダー864を空にしてインジェクター62が型キャビティー40内にIMCを射出するT0からの時間、および/またはインジェクター62の弁が閉じるT0からの時間を記録することができる。もちろん、特定の量のIMC組成物を射出するためのIMC組成物射出の数、計量シリンダー864を空にするための液圧などの他の機能も記録することができる。
1つ以上の圧力変換器が、ロッカースイッチ(時間依存性センサー)の代わりに使用される場合、データ収集手段は関連する測定値を記録するために使用することができる。例えば、データ収集手段は、その時間において制御装置860の様々な機能が起こる、特定の測定圧力値を記録することができる。同様に、センサーが熱電対である場合、それにより得られた温度を記録することができる。
どんな場合も、データ収集手段によって記録されたデータまたは情報は、品質管理目的に使用することができる。例えば、コーティングを施した一部材は、型キャビティー40から取り出される際に検査され、その一部材に関連したIMC組成物の特定の射出について集められたデータと比較されることができる。その部材がコーティングと基体との間の接着の不足、耐引っかき性の不足、表面の欠陥、適切なコーティング被覆の不足などのような特定の品質管理要求事項を満たさない場合、時間依存性、圧力依存性または温度依存性またはその他であろうとなかろうと、現在のパラメータは、その後のコーティングされた部材のコーティング特性を改善するために調節することができる。
制御装置860は集めたデータを転送するための手段を装備することができる。これは、データが、ローカルコンピュータ、イントラネット、インターネット、他のネットワークなどに接続可能なデータリンクを提供して、モバイル記憶媒体にデータが記録されることを可能にするディスクドライブまたはその他同種のものを提供することを含む任意の公知の手段を介して行うことができる。データを転送するためのそのような手段は、リアルタイムで集めたデータを遠隔で分析することを許容することができる。
制御装置860は、たとえば受容シリンダー862内に配置され、インモールドコーティングの特定のコンテナ上のバーコードをスキャンするために使用することができるバーコードリーダーのような、公知のパッケージコードリーダー(図示せず)を含むことができる。上記のデータ収集手段と共に使用される、IMC組成物のための特定のコンテナのためのバーコードは、特定のコンテナからのIMC組成物のすべての射出のために記録されたデータと関連づけることができる。さらに、コンテナのバーコードは、成形装置からのコーティングを備えた完成部材を受容する、完成部材の集積所または採取手段と関連づけることができる。そのような情報の記録および格納は、特定の完成部材について、分析と、それについて記録されたデータと使用された特定のインモールドコーティングとの容易な比較を許容する。
制御装置860には、ユーザが成形されコーティングされる一連の部材を表わす部分アイコンを簡単に選択することを可能にするユーザー・インタフェースを提供することができる。それらが時間ベース、キャビティー圧ベース、または他の方法によるものでも、ユーザー・インタフェース上の特定の部分アイコンの選択は、制御装置860上の制御パラメータをプリセットする。ユーザー・インタフェースは、新しい一連の部材が成形およびコーティングプロセスで製造されるたびごとに、オペレーターが管理パラメータを個々にセットする必要性を除く。
制御装置860には、モニター(図示せず)のようなディスプレイ手段を供給することができる。ディスプレイ手段は、リアルタイムに、制御装置860によって測定され、および/または記録される、データあるいは情報のすべてを表示することができる。上述されたいずれの構成においても、制御装置860はIMC組成物のコンテナあたり特定の数の射出のみを許容するようにすることができる。別法として、またはさらに、制御装置860はバーコードリーダーとともに使用される場合には、特定のタイプのIMCのみで操作されるように設定することができる。
別の実施態様では、分配あるいは「基礎の」装置が提供される。この装置は上記の「インテリジェント」制御装置860と本質的に同じようにIMC組成物を保持し、供給するが、制御システムは含んでいない。この点で、基礎装置はIMC組成物を維持し分配するのに必要な構成要素だけを含んでいる。基礎装置は、成形機械あるいは他の外的制御および/または制御機能用のシステムに依存する。しかしながら、基礎装置はデータ保存装置を収納し、および/または製造された部材およびオペレーティングパラメータのモニターのために使用されたデータ伝達部分を収容することができる。
図32の中で示されるように、インテリジェント分配システム860はスタンドアロンのユニットでありえる。従って、別の実施態様においては、供給および/または制御システムは成形機械とは異なる移動可能なカートに置かれる。システムが移動可能なカート上に置かれる場合、その位置を変えて、2つ以上の成形機械と接続して使用できようにしたり、または単に作業者の好みに応じて移動することができることが望ましい。さらにスタンドアローンのカート装置、特には完全に含有された分配および制御装置もしくはインテリジェントカートを加えることによって既存の射出成形システムを改良することにより、成形システムは最小休止時間を備えたIMC対応の成形システムに変換することができる。射出成形システムの休止時間を最小限にすることは、成形システムにIMC能力を供給することに関連したコストを大きく低減する。
別の実施態様において、IMC分配システムが既存の成形機械に直接マウントされるか、または一体化されるように改良される。このシステムが本質的に上記と同様に機能している一方、分配および/または制御装置は、成形機械と一体化されるように設計され、賦形される。しかし型内にIMC組成物を射出するために必要な機械システムおよび/または電気的システムもしくは制御システムを収容するための外部装置またはカートは存在しない。一体化されたシステムは、制御機能を有するインテリジェントシステム、または基本システムのいずれかでありえる。
他のタイプの分配および/または制御装置を使用することができる。さらなる実施態様では、型キャビティー内に射出する前に適当な量でIMC組成物の2成分を混合するためのIMC混合装置を取り付けることができる。混合装置は、装置860に組み入れることができるか、あるいは分配装置に関連して作動する、スタンドアロンの装置でありえる。
さらなる実施態様では、既存の型は、上述の分配および/または制御システムに関連して働くように改良されることができる。型は、少なくとも1つのインジェクター60およびノズル62を組込むために半型20、30を再加工することにより改良される。これは、既存の型を評価し、次に、所望の結果を達成するためにそれを改良することにより行われる。これは、下記要因の1つ以上を含むことができる:
・改良の前の既存の型の標準のオペレーティングパラメータ、
・半型を作るために使用された鋼あるいは他の金属のタイプ;
・型キャビティー表面の条件、
・存在する場合には、型内で使用されたランナーシステムのタイプとランナーの位置;
・流体の流れ、冷却/加熱配管の位置および冷却/加熱容量を含む型の冷却/加熱;
・仕上げ表面に対するパーティングラインおよびエジェクターピンの位置をはじめとする仕上げ表面に関する部品設計;コア、スライド、シャットオフあるいは内部パーティングラインの存在および位置、および仕上げ表面に対するそれらの位置;また異なる部品厚さあるいは壁ストックの領域、
・1つまたは複数のIMC組成物インジェクターの追加、並びに
・基体または1つまたは複数の樹脂インジェクターのデザインおよび1つまたは複数の基体インジェクターの位置。
このリストは広範囲であるが、それは型改良の全体の評価をカバーしない。他の要因が追加の型改良について必要な場合がある。さらに、それらが議論される順番は特定の要因の重要性に関係はない。
既存の型はそれが存在する状態で評価される。この点で、改良が行われる前の型は、操作温度、圧力、受容するために型が設計された樹脂のタイプ(例えば、低温樹脂を使用するために設計された型は、高い硬化温度を要求するIMC組成物の使用のために改良されることができないことがある)、使用される樹脂に基づいた成形温度、および型の充填パターンを含む最適のパラメータについての完全な理解を得るために調査される。
分析の別の部分は、型に使用された工具鋼のタイプの決定を含むことができる。異なるタイプの工具鋼は異なる特性を有し、鋼の機械加工性および性能に影響する。
しかし、分析の別の部分は、多くの方法で成形過程に影響を及ぼす型キャビティー表面の条件の決定を含むことができる。第1に、ワークピースの表面は、型キャビティーの表面の条件の反映である。粗い型表面は、不鮮明あるいは粗い表面のワークピースを生産する。これは後の型外コーティング操作のための良好な接着には望ましいことがあるが、IMCの表面仕上げまたは品質に影響を与える。第2に、成形過程が完成した後、表面の仕上げは、ワークピースの離型に影響を与える;高度に磨き上げられた型キャビティーは、磨き上げられていないキャビティーよりも、コーティングされたワークピースをより良好に離型する。第3に、型キャビティーがクロムメッキされていた場合、型が改良される方法を調節しなければならない。(クロムメッキされた型キャビティーは優れた表面外観、離型性、および型寿命を提供する;しかしながら、クロム仕上げは比較的薄い。したがって、物質の除去を必要とする型キャビティー改良はクロム表面仕上げを計算に入れなければならない。)
仕上げ表面上のIMCの流れを型ランナーが妨害する場合に、型ランナーによって生じる熱を打ち消すために型を改良することができる。基体インジェクターおよびインジェクターヒーターを通る基体形成材料の流れにより、ランナーのまわりの型温度は、型の他の部分より熱い。上に述べられるように、IMC組成物流れは基体の圧縮性によって影響を受ける。したがって、ランナーシステムがコーティングされる仕上げ表面に近ければ、型は温度の問題に対処するように適当に改良される必要があるだろう。これらの改良はランナーの位置を変更すること、ランナーの近くへの追加の型冷却の提供、または仕上げ表面の他の場所の近くへの型加熱の追加を含むことができるが、これに制限されるものではない。
型冷却および/または加熱は、樹脂の固形化の補助および/または樹脂流れを制御するために使用することができる。型冷却はワークピースの樹脂の固形化に必要な時間の短縮、および所望の型温度を維持するために使用することができ、型加熱は型キャビティー全体が充填される前に樹脂が固形化するのを防ぐために使用することができる。これは、大きなワークピースおよび/または複雑な構成を備えたワークピースにおいて特に重要である。典型的な射出成形設備は、型冷却に使用される冷却プラント水を有する。型冷却に通常使用される第1のタイプは、冷却塔によって冷却され、10〜21℃の間の温度の水により冷却される。第2のタイプは外界温度が32℃以上である場合には温度が高くなることがあるが、21から32℃の間の冷却水を生産する蒸発冷却器を利用する。第3のタイプの水は加熱水であり、射出成形設備が水を熱し、成形作業に熱した水を供給する能力を有するものである。成形設備は、さらに型温度をさらにコントロールするために使用することができる油を熱するために油加熱器を持つことができる。型はこれらの3つのタイプの1つ以上の温度制御された水および/または油を使用して、IMC組成物の流れを制御するために改良されることができる。型への実際の改良は半型に冷却または加熱配管を加え、加熱されたおよび/または冷却された流体の所望の流れを許容することを含むことができる。更に、成形システムは1以上のタイプの加熱されたおよび/または冷却された流体を受容するように改良される必要のある場合がある。
上述のように、IMC組成物流れは基体の圧縮性に基づき、これは基体温度の関数である。基体が冷えるとともに、それは固形化し始める。また、固形化された基体は溶融樹脂ほど圧縮可能ではない。冷やされたあるいは、冷たい水は、ランナーの近くの型の部分のような熱すぎる領域の型温度を低下させるために使用することができる。型の中のホットスポットは、より低温である他の領域よりも圧縮可能な基体の領域に帰着する場合がある。その結果、より少ない抵抗の路を通るIMC組成物は、より圧縮可能なホットスポットに流れる。ホットスポットは、冷却性能を加えるかより冷たい水を利用することにより解決することができる。最後にコーティングされる仕上げ表面の領域については、反対のことが言える。これらの領域の樹脂は、コーティング組成物が完全に表面をコーティングする機会を得る前に、過度に固形化されることがある。基体のこれらの領域が低い圧縮性を有するので、IMC組成物は、仕上げ表面の末端に到着する前に流動が停止することがある。型加熱は、基体の固形化を遅くすることができる。熱した水および/または油がこれらの領域を通ってポンプ移送されるように型を改良することによって、基体はより溶融状態を維持し、IMC組成物の流れが向上される。
型は1つ以上の温度制御された水のタイプおよび/または油がIMCを硬化するのを支援するために使用するように改良することができる。上述のように、IMCは、熱および、より特には基体の熱に基づいて硬化される。したがって、仕上げ表面と隣接する型部分に加熱および/または冷却配管を有するように型を改良することは、使用される樹脂およびIMCに基づく型温度を最適化することによりIMCの硬化を促進することができる。
型に関して流れのモデリングまたは分析を行い、行うことのできる最適の改良を決定することができる。これらの改良は、仕上げ表面を完全に被覆し、フローラインを最小限にし(特にメタリックコーティングの場合)、IMCの望ましくない流れを最小限にすることを含むIMC組成物の所望のフローパターンを得ることに関する。フロー分析は、仕上げ表面をグリッドに分けることにより、IMCノズルの最適場所または配置を決定する。改良前の型の特性およびIMC組成物に導入することが意図されている改良に基づいてIMC組成物の流れを決定するためにコンピュータ技術(例えば、フローモデリングソフトウェア)を使用することができる。フロー分析は、さらに1以上のIMC組成物ノズルが必要か、または望ましいかどうかを決定することもできる。さらにフロー分析は、有効性を確認するために改良の後に行なうことができる。
本発明の方法は、1以上の配管がインジェクターの好ましい配置を妨害する場合には、冷却および/または加熱ラインを改良するか、またはIMC組成物のインジェクターの配置を変更することを含む。その位置が冷却および/または加熱ラインを妨害する場合には、1つ又は複数のラインまたはノズルが移動されなければならない。ノズル位置が所望の流れを達成するのに非常に重要であるという事実を考慮すれば、ラインを改良することが必要な場合がある。しかしながら、ラインを単に除去することは、型キャビティーの仕上げ表面上にホットまたはコールドスポットを作る場合があるので、必ずしも選択肢とはならない。その結果、IMC組成物ノズルの再配置あるいは冷却または加熱用の水および/または油の1つまたは複数のラインの改良が望ましいか、決定されなければならない。これは、ノズルの再配置および冷却ラインの改良の1つまたは両方のシミュレーション試験を行い、補足のフロー分析またはモデリングにより行うことができる。最良の解決策が冷却ラインを改良することであることが決定された場合、冷却ラインの一部の移動および/または冷却ラインの再配置には公知の方法を使用することができる。冷却の一部が移動される場合、バブラーまたは液だめを利用することができる。バブラーを使用すると流れは低減されるが、型のこの領域は依然として冷却されたか熱された流体の幾分かの流れを受容し、それによって、型内のホットまたはコールドスポットの激しさを低減する。これは、たとえそれが冷却ラインおよび/または加熱ラインを妨害するとしてもも、最適のノズル位置が利用されることを可能にする。
仕上げ表面に関する物品のデザインは、型に行われる改良に影響する。これらの改良は、仕上げ表面を完全に被覆し、フローラインを最小限にし(特にメタリックコーティングの場合)、IMCの望ましくない流れを最小限にすることを含むIMC組成物の所望のフローパターンを得ることに関する。
仕上げ表面がリブ、ボス(内部開口)あるいは複雑な表面を含んでいる場合、望まれるようにIMC組成物が流れないことがある。改良は、流れを導きおよび/または流れを促進することができる型ランナーの追加を含むことができる。増加した部品厚さを有する領域を作ることによって、基体の増加した圧縮性により流れを向上させることができる。一般に、IMC組成物流れを促進するか導くために基体の圧縮性を増加させるように、型の変更を行なうことができる。別法として、仕上げ表面がパーティングライン、コア、スライド、シャットオフ、内部パーティングラインあるいはエジェクターピンに近い場合、IMC流れを制限するように改良される必要があることがある。上に述べられるように、IMC組成物は著しい圧力の下で型キャビティーへ導入され、最小の抵抗の路を流れる。したがって、仕上げ表面がこれらの型構成要素のうちのどれか1つを含んでいる場合、IMC組成物はそれらの要素から仕上げ表面を出ることができ、これはIMCが完全に仕上げ表面をコーティングするのを妨害し、型の機能に影響する。したがって、型はIMC組成物がこれらの型構成要素あるいは位置へ流れるかどうかを決定するために評価される。圧力下で適用されるIMCは、約0.025mmより大きなすべての開口に入る。エジェクターピンまたはコアピンは、例えば、典型的には0.05あるいは0.075mmのクリアランスを有し、したがって、仕上げ表面がエジェクターピンまたはコアピンを含んでいる場合、IMC組成物はエジェクターピンまたはコアピンキャビティーに入り、結局、エジェクターピンまたはコアピンの操作を妨害する。パーティングライン、コア、スライド、シャットオフおよび内部パーティングラインについても同じことが言える。次に、改良のない構成に基づいて、これらの領域への、もしくはこれらの領域からのIMC組成物の流れが防止されるように部品が設計されているか否かについて、部品構成が評価されなければならない。例えば、既存の成形物品が最初から仕上げ表面のまわりにパーティングラインと一致するフランジを含んでいる場合、改良は必要ではないことがある。最初から存在するフランジは、流れ防止材の役割をすることができる。しかしながら、物品の自然な構成がそのような特徴を含んでいない場合、型はIMC組成物の望まれない流れを防ぐ、流れ防止の役割をするものを組み込むように改良されることができる。
改良は、少なくとも1つのIMC組成物インジェクターの追加を含むことができる。フロー分析または型のモデリングに基づき、IMCインジェクターの最適位置が決定され、型はノズルを含むように改良される。IMCノズルは、好ましくは、型自体の周囲の近く、および仕上げ表面の端の上に存在する。型に対する位置に関して、IMC組成物ノズルは、型の再配置可能な構成要素であり、したがってノズルへのアクセスは型のメンテナンスを助ける。ノズルがツールの中に埋められれば、ノズルの手入れは困難だろう。仕上げ表面に対する位置については、仕上げ表面の端の上のIMCノズルは、成形過程に伴う視覚的な欠陥を最小限にすることができる。さらにフロー分析は、1よりも多いIMC組成物インジェクターが必要かどうかを決めるため、および多数のインジェクターの最適場所を決定するために使用することができる。より詳細には、IMC組成物は、仕上げ表面のすべての部分がフローラインの外観を示すことなく、均一にコーティングされるように型キャビティー内に導かれる。フロー分析は、所望の流れを得るために1つまたは複数のIMC組成物インジェクターの最適の配置を決定する。仕上げ表面を横切る層流が好ましい。さらに、ノズル配置は、最適のノズル配置を決定するために、上に記述された流れ向上構造あるいは防止構造に関して評価することができる。
図31A−Dを参照すると、4つの異なるスタイルのノズル配置が示されている。図31Aは、単一のノズル62が仕上げ表面532全体をコーティングするのに十分な、小さく、あまり複雑ではない部材530を示す。この例において、ノズルは仕上げ表面の中心に置かれ、ノズル62の周囲にすべての方向において層流534を生ずる。図31B−Dは、仕上げ表面538を有する、より大きなおよび/またはより複雑な部分536を示し、単一のノズルでは仕上げ表面を完全にコーティングするのに必要な流れのレベルを生成するのには十分ではない。図31Bでは、2つのノズル62aおよび62bが仕上げ表面538の一方の端に示されている。結果は、2つの別個のIMC流れ540および542を生成し、それらは互いの方向に流れ、接合線544で、仕上げ表面の中間で会う。更に、個別の流れが互いに達するとともに、ポケット546および548が生成される。結果として、接合線が完成したワークピースにおいて視認され、ポケット546および548はコーティングされない。図31Cは、図31Bの中で示されるものよりも好ましい2つのノズル配置を示す。この点で、ノズル62cおよび62dは、仕上げ表面の同じ側に別々に間隔を置いて配置される。その結果、一体になった単一の層流550が、2つのノズルによって生産される。この配置では、流れは仕上げ表面の1つの側で始まり、一緒に反対側に流れ、接合線は生成されず、エアポケットは最小限にされる。更に、エアポケットが生成される場合、仕上げ表面の端に隣接して存在し、これは受容可能である場合がある。図31Dを参照すると、より多くの流れが必要な場合、型は3のノズル配置62e、62fおよび62gを含むように改良されることができる;しかしながら、3つのノズルは好ましくは単一の層流が生じるように配置される。必要ならば、個々のノズル62e−gの流れは所望の流れを提供するために変えることができる。この点で、ノズル62fは、流れの75%を受容し、その一方でノズル62eおよび62gはともに25%だけを受容することができる。3つのノズルの使用が所望の流れを得るのに十分だったことは知られているが、より多くのノズルを利用することができることがある。さらに、型加熱および/または冷却をはじめとする上記の流れ向上構造は、所望の流れを達成するために、多数のノズル配置と関連して使用することができる。
実際のノズルのサイズおよび配置は、仕上げ表面をコーティングするのに必要なIMC組成物の体積に基づく。より大きな表面は、より大きな内直径を備えたノズルの使用を必要とする。洗浄および/または取り替えのために取り外しできるように、ノズルは型にマウントされる。ノズルチップはキャビティーの壁の形に一致するように形成される。
改良はさらに1つまたは複数の樹脂インジェクターの評価を含むことができる。仕上げ表面に対する樹脂ノズルの位置は、第一の考慮事項である。基体ノズルが、仕上げ表面の中にない場合、または十分に仕上げ表面に近くない場合、改良は必要ではない。ノズルが、IMCの流れの範囲内にある場合、ノズルのデザインは好ましくはIMC組成物が樹脂ノズルに入らないことを保証するよう評価される。IMCが樹脂ノズルに入ることができることが決定された場合、IMC組成物が樹脂インジェクターに入るのを防ぐために、いくつかの上述の封じ込めフランジのうちの1つを組込むように改良されることができる。さらに、ノズルの近くに存在する場合がある、上昇した型温度を低下させる冷却向上構造を含むように型を改良することができる。
既存の型が改良できないとわかった場合、上述された法則、考察などを使用してコーティングされた部材を製造するためにのみ新しい型を設計することができる。
成形システムを改良する際に、具体的な型、基体材料、およびIMC組成物を使用して所定の改良された機械において使用のために最終の機械の状態を決定することが望ましい。改良された型をセットアップする際、たとえば機械の最小のサイクル時間のようなあらかじめ決定された目的に基づいて、受容可能な製品を製造するために、多くの変数が互いに制御されなければならない。より詳細には、改良された射出機械の圧力、時間および他の変数は、型の配置(つまり製造される部材の形および使用されている高分子材料)に応じて変わる。従って、型改良は一連の実験および/またはフロー分析を、改良された型および具体的なポリマー物質について行い、プロセスを最適化することを含む。所定の型の体積は計算することができる。この計算および基体を形成する物質の比重に基づいて、投入量を決定することができる。異なる機械変数が、最小の時間で最適かつ完全に型の充満を終えるように決定されるまで試みられる。これらの実験では、好ましくは型に圧力および/または温度を測定する変換器が取り付けられ、様々な機械変数(例えば射出速度および圧力)が変更される。
要約すると、既存の射出成形システムを改良する本発明の方法は、典型的には装置を所有しまたは操作する射出成形業者により、射出成形機を提供することを含み、たとえば上述されたカートのようなIMC分配システムを提供し、成形機械をIMC供給システムと接続するように改良することを含む。必要ならば、本発明方法はさらに、少なくとも1つの物品を成形するための型を、所望の場所でIMC組成物を型キャビティー内に導き、成形された基体の仕上げ表面をコーティングするための1つの射出ノズルを少なくとも含むように改良することを含むことができる。IMC分配システムは、型の上のノズルおよび成形機械に接続される。型は流れを導き、向上しおよび/または制限するために少なくとも1つの流れ向上機能を含むように改良されることができる。最後に、本発明方法はさらに、改良されたシステムが正しく機能することを保証するための工程を含むことができる。この工程は検討される基体形成物質の溶融温度を決定し、この情報をさらなるテストとともに使用し、型キャビティー内にIMC組成物を射出し、所望の仕上げ表面の被覆を得るための最適のパラメータを決定することを含む。
(これらのパラメータには、型キャビティー内に射出されるIMC組成物の量;IMC組成物の温度;IMC組成物が射出される時間;そしてIMC組成物が射出される圧力が含まれる)。改良された成形システムと検討される型のための最初の運転をセットアップすることに関し、所望のコーティング特性が達成されることがさらに保証される。