JP4301699B2 - ベルト式クラッチ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はベルト式クラッチ機構に係り、詳しくは電動モータに連動連結したローラアームにクラッチローラを軸支し、このクラッチローラの転動による動力伝達ベルトの緊張、弛緩の切換えで、上記動力伝達ベルトを巻回した駆動プーリと従動プーリとの間の動力伝達をオンオフするようにしたベルト式クラッチ機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動プーリと従動プーリとの間に巻回した動力伝達ベルトの緊張、弛緩を切換えて、動力の伝達をオンオフするように構成したベルト式クラッチ機構としては、例えば、図7〜図9に示すように、離間して配設した従動プーリaと駆動プーリbとの間に動力伝達ベルトcを巻回し、これに圧接するクラッチローラdを軸支したローラアームeを、扇状の歯車fとピニオンギヤgを介して電動モータhの出力軸iに連動連結して、上記ローラアームeの転動作動により動力伝達ベルトcの緊張、弛緩の切換えるように構成したものが提案されている。
【0003】
しかしながら、上記構成のベルト式クラッチ機構では、軸受け部材jに内装した出力軸iにピニオンギヤgを直接軸支するようにしていたため、同図に点線で示すように、クラッチオンすなわち動力伝達ベルトcが緊張状態に保持されている場合に、駆動プーリbから従動プーリaに伝達される駆動力が、クラッチローラd、ローラアームeおよび歯車fを介してピニオンギヤgに反力として常時作用し、当該ピニオンギヤgを軸支する電動モータhの出力軸iが上記反力に対して片持ち状態を維持することとなり、出力軸i自体の偏心や軸受け部材j、シール材等の破損および偏摩耗を誘発して、長期に亘る安定したクラッチのオンオフ動作を確保できなくなる惧れを有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の如き実状に鑑み従来のベルト式クラッチ機構の性能向上を目指す研究、開発の過程で創案されたものであって、その目的とするところは、支持マウントにピニオンギヤを支持させた状態で、当該ピニオンギヤを電動モータの出力軸に連動連結することにより、ベルト式クラッチ機構を構成する電動モータの出力軸に作用する偏荷重を確実に分散させることができ、またピニオンギヤの支持マウントをそのまま電動モータのマウントに兼用させることにより、各部材間の緊密状態を保持してコンパクトな構成とすることができるベルト式クラッチ機構を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するため本発明が採用した技術的手段は、駆動プーリ15と従動プーリ16との間に巻回した動力伝達ベルト17にクラッチローラ18を圧着し、減速機構を内蔵した電動モータ22による当該クラッチローラ18の転動でベルト張力の緊張、弛緩を切換えるように構成したベルト式クラッチ機構において、上記クラッチローラ18を先端に軸支するローラアーム20の回動基端に歯車19を軸着し、かつこれらを取り付けるブラケット24に軸受け部25を有する支持マウント26を固定し、上記歯車19に噛合するピニオンギヤ21に受座部30を同軸状に一体形成し、当該受座部30を支持マウント26の軸受け部25に嵌着させた状態で、ピニオンギヤ21を上記減速機構を内蔵した電動モータ22の出力軸23に連動連結すると共に、上記支持マウント26に電動モータ22を取付固定したことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の構成を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、1は本発明のベルト式クラッチ機構を採用したグレンタンク2を搭載するコンバインであり、該コンバイン1は、図示しないクローラ走行装置を備えた走行機体の前部に上下及び左右移動自在な前処理部3を支持し、かつその後方に運転席4と前面パネル5aおよびサイドパネル5bからなる操作パネル6を備えた運転操作部7が配設されていると共に、上記運転操作部7後部の一側には側方へ回動自在なグレンタンク2が配設され、他側には脱穀部8が配けられている。また上記グレンタンク2の後方には縦搬送パイプ9が立設されており、脱穀部8で脱穀選別処理された穀粒を、図示しない揚穀筒により揚上搬送してグレンタンク2に貯留した後に縦搬送パイプ9を経て排出オーガ10の排出口10aから機外に放出するようにコンバイン1が構成されている。
【0007】
上記サイドパネル5bには、機体速度を制御する無段変速レバー11が設けられ、該無段変速レバー11の後方には、エンジンからの動力を排出オーガ10の駆動機構に入・断制御する排出クラッチスイッチ12が設けられており、この排出クラッチスイッチ12をオン操作すると、図2〜図4に示すように、エンジンからの回転動力が、後述するベルト式クラッチ機構13を介してグレンタンク2内の図示しない横螺旋軸に伝達されるようになっている。なお14は、グレンタンク2を外側方に回動するためのタンクレバーである。
【0008】
上記ベルト式クラッチ機構13は、駆動プーリをなすカウンタ軸プーリ15と従動プーリをなす横螺旋軸プーリ16との間に動力伝達ベルト17を巻回し、この動力伝達ベルト17に圧着するクラッチローラ18を、回動基端に扇状の歯車19を軸支したローラアーム20の先端に軸支すると共に、上記歯車19に噛合するピニオンギヤ21を、減速機構を内蔵した電動モータ22の出力軸23に連動連結し、当該電動モータ22の駆動力でローラアーム20を揺動させることにより、動力伝達ベルト17の張力を緊張・弛緩させて、上記カウンタ軸プーリ15から横螺旋軸プーリ16への伝達動力を入・断するようになっている。
【0009】
ここで上記ベルト式クラッチ機構13について詳細に説明すると、図6に示すように、横螺旋軸プーリ16、ローラアーム20および歯車19は、前記タンクレバー14を取着したブラケット24にそれぞれ取り付けられ、かつ当該ブラケット24には、リング状のボールベアリング25を嵌着した支持マウント26が固定されていると共に、上記歯車19の一面側に固着したプレート27と、ローラアーム20の中間部から突設したピン28とを圧縮スプリング29を介して弾性的に連結し、歯車19の回動に連繋するローラアーム20の揺動でその先端のクラッチローラ18を動力伝達ベルト17に弾着する構成となっている。
【0010】
一方、図5に示すように、上記歯車19に噛合するピニオンギヤ21の底部には、前記支持マウント26のボールベアリング25に嵌着される受座部30が同軸状に一体形成されており、上記支持マウント26にボールベアリング25を介してピニオンギヤ21を支持させた状態で、当該受座部30の先端に切り欠いたはめ込み凹部31を、外周面の一部を切り欠いて平行面を形成した出力軸23に嵌合することにより、電動モータ22の回転駆動力をピニオンギヤ21に伝達するようになっている。また上記支持マウント26は、そのまま電動モータ22自体を螺子32、32…を介してブラケット24に固定するモータマウントとして兼用されるものであり、当該部位における構造のコンパクト化を容易にする構成となっている。
【0011】
本発明は叙上の如く構成されているから、排出オーガ10を介してグレンタンク2内の穀粒を機外に放出するに当たって、運転操作部7の排出クラッチスイッチ12をオンすると、まず電動モータ22が回転駆動して図3に示すピニオンギヤ21が図視で時計方向に回転すると、これに噛合する歯車19が相対的に反時計方向に回転し、この歯車19の回転力が圧縮スプリング29を介してローラアーム20に伝達され、当該ローラアーム20が反時計方向に揺動すると、その先端に軸支したクラッチローラ18が動力伝達ベルト17に弾着して該ベルト17が緊張状態に保持されることによりベルト式クラッチ機構13がクラッチオンとなり、カウンタ軸プーリ15からの回転動力が横螺旋軸プーリ16に伝達されて図示しない横螺旋軸の回転でグレンタンク2内の穀粒が縦搬送パイプ9を介して排出オーガ10に搬送されることになる。
【0012】
また、運転操作部7の排出クラッチスイッチ12をオフすると、電動モータ22の回転方向が逆となり、図3に示すピニオンギヤ21が図視で反時計方向に回転し、これに噛合する歯車19を介してローラアーム20が相対的に時計方向に回動することにより、動力伝達ベルト17に対して弾着状態を保持していたクラッチローラ18も動力伝達ベルト17から離間する方向に揺動して、当該ベルト17の緊張状態が弛緩状態に切り換わり、クラッチオンの状態にあったベルト式クラッチ機構13はクラッチオフとなって、カウンタ軸プーリ15から横螺旋軸プーリ16に至る回転動力の伝達が断たれ、排出オーガ10への穀粒の搬送が停止されることになる。
【0013】
このような排出クラッチスイッチ12のオンオフ操作において、特に本願発明のベルト式クラッチ機構13では、支持マウント26に嵌着したボールベアリング25でピニオンギヤ21の受座部30を全周に亘って支持しているので、クラッチオン時に動力伝達ベルト17からの反力が、ピニオンギヤ21を介して電動モータ22の出力軸23に直接作用することがなく、上記ボールベアリング25および支持マウント26により当該出力軸23への偏荷重を確実に分散させることができ、従来のベルト式クラッチ機構のように、出力軸23自体の偏心や軸受け部材、シール材等の破損および偏摩耗を誘発することなく長期に亘って安定したクラッチのオンオフ動作を確保することができる。
【0014】
【発明の効果】
これを要するに本発明は、駆動プーリと従動プーリとの間に巻回した動力伝達ベルトにクラッチローラを圧着し、減速機構を内蔵した電動モータによる当該クラッチローラの転動でベルト張力の緊張、弛緩を切換えるように構成したベルト式クラッチ機構において、上記クラッチローラを先端に軸支するローラアームの回動基端に歯車を軸着し、かつこれらを取り付けるブラケットに軸受け部を有する支持マウントを固定し、上記歯車に噛合するピニオンギヤに受座部を同軸状に一体形成し、当該受座部を支持マウントの軸受け部に嵌着させた状態で、ピニオンギヤを上記減速機構を内蔵した電動モータの出力軸に連動連結すると共に、上記支持マウントに電動モータを取付固定したから、歯車とピニオンギヤとの噛合時に電動モータの出力軸に作用する偏荷重を、軸受け部を有する支持マウントでピニオンギヤを支持することにより確実に分散させて、電動モータの出力軸を内嵌する軸受け部材の破損、偏摩耗などを未然に防止することができる。
また上記支持マウントは、電動モータを取付固定するモータマウントに兼用されるから、ピニオンギヤの支持マウントがそのまま電動モータのマウントとなるので、各部材間の緊密状態を保持してコンパクトにベルト式クラッチ機構を構成することができる。
という極めて有用な新規的効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のベルト式クラッチ機構を採用したコンバインの全体平面図である。
【図2】グレンタンクの正面図である。
【図3】ベルト式クラッチ機構の全体正面図である。
【図4】(a)は要部拡大正面図である。
(b)は同上一部断面平面図である。
【図5】(a)はピニオンギヤの左側面図である。
(b)は同上正面図である。
(c)は同上右側面図である。
(d)は出力軸の正面図である。
(e)は同上側面図である。
(f)はピニオンギヤと出力軸との嵌合状態を示す作用説明図である。
【図6】ベルト式クラッチ機構の要部分解斜視図である。
【図7】従来のベルト式クラッチ機構の全体正面図である。
【図8】(a)は従来のベルト式クラッチ機構の要部平面図である。
(b)は同上正面図である。
【図9】従来のベルト式クラッチ機構の要部分解斜視図である。
【符号の説明】
13 ベルト式クラッチ機構
15 カウンタ軸プーリ(駆動プーリ)
16 横螺旋軸プーリ(従動プーリ)
17 動力伝達ベルト
18 クラッチローラ
19 歯車
20 ローラアーム
21 ピニオンギヤ
22 電動モータ
23 出力軸
24 ブラケット
25 ボールベアリング(軸受け部)
26 支持マウント
30 受座部
Claims (1)
- 駆動プーリ(15)と従動プーリ(16)との間に巻回した動力伝達ベルト(17)にクラッチローラ(18)を圧着し、減速機構を内蔵した電動モータ(22)による当該クラッチローラ(18)の転動でベルト張力の緊張、弛緩を切換えるように構成したベルト式クラッチ機構において、上記クラッチローラ(18)を先端に軸支するローラアーム(20)の回動基端に歯車(19)を軸着し、かつこれらを取り付けるブラケット(24)に軸受け部(25)を有する支持マウント(26)を固定し、上記歯車(19)に噛合するピニオンギヤ(21)に受座部(30)を同軸状に一体形成し、当該受座部(30)を支持マウント(26)の軸受け部(25)に嵌着させた状態で、ピニオンギヤ(21)を上記減速機構を内蔵した電動モータ(22)の出力軸(23)に連動連結すると共に、上記支持マウント(26)に電動モータ(22)を取付固定したことを特徴とするベルト式クラッチ機構。
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