JP4301489B2 - 型締力を均一分布させるための金型板を有する射出成形機 - Google Patents

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は、射出成形機において射出型の一部分を支持するための可動金型取付板の構造物に関する。特に本発明は、射出成形機の台の上に摺動自在に支えられた、剛性が改善された可動金型支持取付板に関する。
【０００２】
（発明の背景）
概して、プラスチック物品を射出成形するための機械は、互いに離隔して一般に４本の平行なタイバーによって相互連結された一対の固定された金型取付板を含み、４本の平行なタイバーは矩形のアレイを画定するように位置決めされた軸をそれぞれ有する。固定金型取付板の１つは静止したままであり、組み立てられるか係合させられると型キャビティを画定して所望の成形部品の外形と対応する複数部片の射出型の一部分を担持するようになされている。可動金型取付板は、固定金型取付板間のタイバーの上に摺動自在に支えられ、可動金型取付板が型部分を支える固定金型取付板の方へ向かって動くと２つの型部分が接触してその間に所望の部品を形成するための金型ピャビティを画定するように、型の協働部分を担持するようになされている。
【０００３】
可動金型取付板は一般に、矩形の外形を有する板状の構造物であり、それぞれの隅部に４個の孔を含み、これらの各々を通じてタイバーが延びている。可動金型取付板作動システムが、型を支持しない固定金型取付板と可動金型取付板との間に位置付けられ、可動金型取付板をタイバーに沿って金型取付板の方向に向かって、または金型取付板から離れるように動かし、さらに型部分が一緒になると可動金型取付板を堅く適所に保持させて、溶融物質が高圧の下で型キャビティの中に射出されるときに型の分離を防止する。
【０００４】
射出成形機の金型取付板（ｐｌａｔｅｎ）は一般的に、Ｈｉｒａｔａ他の米国特許第５１８８８５０号、Ｆｕｋｕｚａｗａ他の米国特許第５０６６２１７号、Ｂｌｕｍｌ他の米国特許第５１１０２８３号、Ｊｏｙｎｅｒの米国特許第５１２３８３４号、Ｙｏｓｈｉｏｋａの米国特許第５１６２７８２号、Ｈｉｒａｔａ他の米国特許第５１９２５５７号、Ｇｌａｅｓｅｎｅｒの米国特許第５５９３７１１号、およびＧｌａｅｓｅｎｅｒの米国特許第５７７６４０２号に示すようにブロックの形状を呈する。これらの特許の各々において、金型取付板は、半型を支持するほぼ短形の側を有する実質的にブロック形状である。両半型の締め付け中に、金型取付板の金型取付面に対して力が発生する。このようなブロック形状の金型取付板では代表的であるように、型取付面は凹状に変形されて、側部の頂部と低部とを新しく現れる力に向けて強制し、金型取付板を曲げて金型取付板の裏側を横切って張力を引き起こす。この結果、締め付け力の下で金型取付板の中心部は分離して、両半型の間に間隙を生じさせ、副産物としてバリが形成する場合もある。
【０００５】
Ｂａｉｒｄの米国特許第４６１５８５７号は、成形動作中のバリを減らすためのカプセル包囲手段および方法を開示している。この装置によれば、プラスチックの射出トランスファ成形はバリを事実上なくすような形で実施されるとされている。この場合の金型プレスのたわみは、締付構成における金型プレスによって測定される。金型の支持構造物は、支持柱およびバーが型面に対して個別のばねとして、また金型が締付構成の中にある間に発生する力に応答して作用するように、これらの支持柱およびバーを構成することによって、型面に等しい力を加えるように配置されている。支持柱およびバーのばね定数と長さは、金型プレスにおいて見出される実際のたわみを説明するために計算され、これによってプレスの締め付け中に型の上に均一な圧力を発生させる。
【０００６】
したがって、金型封着中の金型取付板の曲げが測定され、装置の金型取付ブロックの圧縮率が、金型取付板の曲げを補償するために１つまたは両方の金型取付板上における横方向位置の関数として調節され、こうして一定の力が、金型の分離表面における横方向の位置の位置に関係なく分離表面の上に加えられる。取付ブロックの剛性と長さは、取付ブロックによって与えられる力を定義し、金型取付板上のブロックの位置および所定の金型取付板のたわみに応じた指定の式に従って決定される。Ｂａｉｒｄはたわみを補償するが、これを達成する方法と装置は非常に複雑で、特定の型によって発生される特定の力について個別の設計を必要とする。したがって、均一に適用可能な設計は達成されない。
【０００７】
図５ａ、５ｂは、上記の特許において先に検討したブロック形状金型取付板とは僅かに異なる形状を有する従来の技術の成形型取付板を示す。図５ａに示すように、金型取付板は、いくつかの開口部が通る側面、前壁、および後壁を有する。図５ｂに示すように、複数のスロットとリブが後壁に向かって延びており、後壁は金型取付板の前壁よりも小さな表面積を有することができる。金型取付板はまたその各隅部にタイバーを受け入れるための孔を含み、タイバーは金型の締め付け中に金型取付板の間の力Ｆ_Ｃに対抗する。各タイバーは図示するように抵抗力Ｆ_Ｒを支える。前記の複数のリブおよびスロットは、金型取付板の重量を減らすために備えられている。すなわち金型取付前面は、金型締め付け中は圧縮状態にあるが、後壁は単一ビームにおけるように引張り状態にある。タイバーは図５ａにおいて点線および矢印で示すように、内側に引っ張られて変形し、金型取付板面の動きに順応し、これによって、型面を曲げて、金型面が上記の特許の金型取付板と同様に成形中に凹状外形を持つようにする。したがって、図５ａ、５ｂの金型取付板の設計にもかかわらず、金型面の曲げは補償されず、バリの発生の可能性はなお存在する。金型取付板の両側は曲がるので、タイバーの隅部における支持物も曲がって、その結果タイバー支持物に不均一な負荷がかかることになる。これは、タイバーの曲げおよび高い応力集中の原因となり、早期疲労破壊を引き起こす。矢印Ｃは、締め付け中にタイバーがどのように曲げられるかを示す。
【０００８】
この状況をさらに複雑にするために、複数のタイバーに接触しない図５ａ、５ｂに示すような金型取付板を最近設計するようになったことは有利である。その代わりに、金型取付板は機械の台にのみ支持され、締め付け中は、締付具自体だけが可動金型取付板を支持する。本発明におけるように（図４を参照）、大きな孔が金型取付板の中にあって、タイバーを機械の長さにわたって通し、非可動金型取付板のみに連結できるようにする。この構成は、可動金型取付板を射出成形機から除去するためにタイバーを除去する必要がないので、急速分解および再組立てを可能にするので、従来の技術よりも有利である。この構成の結果として、可動金型取付板の面にわたって均一な圧力を加えることが、なおさらに問題となっている。タイバーの追加的な構造上の剛性なしに、可動金型取付板は隅部において自由にたわみ、型の隅部区域において完成された成形物品には望まれないバリが生ずる。
【０００９】
したがって、成形または押圧縮締め付け中に金型取付板のたわみを補償するための手段を含み、射出成形中にバリの発生を実質的になくする、簡単に設計されて軽量である金型取付板を有する、射出成形機の必要性が存在する。
【００１０】
（発明の概要）
本発明の主要目的は、実質的に平らで平行な金型取付面が締め付け中に結果として得られるように設計された金型取付板を有する、射出成形機を提供することである。
【００１１】
本発明の別の目的は、可動金型取付板はタイバーに連結されず、射出成形機において使用するために特に適合した、構造的に最適化された金型支持取付板を提供することである。
【００１２】
本発明のさらに別の目的は、所定の射出成形機のために比較的低い締め付け圧を必要とする、締め付け中に実質的に平らで平行な金型取付面を提供する、軽量の金型支持取付板を提供することである。
【００１３】
本発明のさらに他の目的は、より速い型サイクル動作を可能にする実質的に最適化された軽量の金型取付板を有し、これによって所定の射出成形機のスループットを増加する射出成形機を提供することである。
【００１４】
本発明のさらなる他の目的は、可動金型取付板の軽量化によって射出成形機の動作サイクル当り使用エネルギーがより少なくなる金型取付板を有する、射出成形機を提供することである。
【００１５】
上記の各目的は、本発明による射出成形機によって達成される。この機械は、第１半型を有する静止金型取付板、前記第１半型と共に型を形成するための第２半型を有する少なくとも１つの可動金型取付板、前記静止金型取付板に対して前記可動金型取付板を案内するための手段、および前記金型の中に溶融樹脂を射出するための手段を含む。金型取付板の少なくとも１つのために、背面が液体圧シリンダなどの圧力源に接続するために金型取付板に対して中央に位置付けられている。半型を支えるための前面が背面に平行にかつ背面から離隔しており、構造壁が前面の周囲から後方に向かって突出している。背面から前面に向かって複数の離隔したリブが延び、これらのリブは構造的に最適化されたパターンで構造壁に堅く取りつけられている。型面の局部的な曲りを減らすために背面中央から正面へ締付力を均一に向けるための手段が備えられている。
【００１６】
本発明の詳細を下記の説明と図面に述べるが、図面において同様な参照文字は同様な要素を示す。
【００１７】
（好ましい実施形態の詳細な説明）
図１を参照すると、本発明による少なくとも１つの可動金型取付板１０を使用する射出成形機１１が概して示されている。可動金型取付板１０の背面１４の中央位置に、金型取付板を液体圧シリンダ３０によって開閉（矢印Ａ）できるようにする締付具２０が堅く付着されている。可動金型取付板１０は、機械台３８に付着されたレール４０に載ってこれに沿って動く。複数のタイバー３２が機械１１の長さにわたって延び、間隔を置いて離れた第１静止型取付板３４ａと第２静止金型取付板３４ｂとにそれぞれ連結している。好ましい実施形態では、タイバー３２は可動金型取付板１０に接続されず、またはこれを案内しない。
【００１８】
第１半型２６ａは、可動金型取付板１０の前面１２に取り外し可能に取りつけられている。第２半型２６ｂは第２静止金型取付板３４ｂに取り外し可能に取りつけられているので、半型２６ａ、２６ｂは、締付具２０による締め付け中に接触させられると、その中に金型キャビティ２８を形成する。射出成形物品を形成するための高い圧力と温度の下で型キャビティ２８に溶融樹脂を選択的に提供する射出装置３６が、第１静止金型取付板３４ｂに取りつけられ、また型キャビティ２８と連絡している。この射出圧力は、締付具２０によって発生する締付力によって克服されなければならない。高圧の樹脂が型キャビティに入ると、圧力は半型２６ａ、２６ｂの２つの面を分離するように作用する。
【００１９】
複数の構造リブ１８が背面１４から前面１２に延び、半型２６ａ、２６ｂの面にわたって締付力を均一に分布させるための手段を提供する。
【００２０】
次に図２、３ａ、３ｂ、４を参照すると、本発明による金型取付板１０のさらに詳細な図が示されている。中央空所２２によってすべて分離された複数の背面１４ａ〜１４ｄが、締付力Ｆ_Ｃを加えるために単一の締付具２０に接続される。中央空所２２は、締付力を加えるために４つの分離しているが共面の表面を作り出す。半型２６ａを取り外し可能に取りつけるために特に適合されている前面１２は、背面１４ａ〜１４ｄに実質的に平行で、これらの背面から転置される。頂壁４６、底壁４８、およびウェブ４２ａ、４２ｂは、前面１２の周囲から後方に向かって延びている。
【００２１】
複数のリブ１８が背面１４ａ〜１４ｄから延びて、前面１２と頂壁４６との背部、底壁４８、およびウェブ４２ａ、４２ｂに取りつけられている。各リブ１８は同様に形状化され、背面１４ａ〜１４ｂから前面１２、頂壁４６、底壁４８、およびウェブ４２ａ、４２ｂへ延びる台形の形状を呈する。リブ１８の位置、サイズ、およびパターンは、その他の構造要素と共に、均一に支持された堅固な前面１２を作り出す。好ましい実施形態では、複数のリブ１８の位置とサイズは、最適化された構造設計を生み出した構造解析に基づく。最適化された構造設計は、力を中央締付具２０から前面１２へ均一に伝達して、締め付け中に発生することのある均一ではないたわみを最小限に抑える構成を規定する。さらに、最適化された構造は結果的に可動金型取付板１０の全重量を減らし、これは型の開閉に必要なエネルギーを減らし、より速いサイクル・タイムを可能にする。
【００２２】
金型取付板１０底部の２つの隅部には、レール４０に接続するガイド・ブロック２４ａ、２４ｂが設けられている。レール４０は、型が開閉されているとき金型取付板１０を後方および前方に案内し、締付具２０が外れた場合には可動金型取付板１０が傾くことを防止する。
【００２３】
一対のリブ１８の間には、可動金型取付板１０の頂部と底部にそれぞれ補強材４４ａ、４４ｂが取りつけられている。好ましい実施形態では、これらの補強材は、可動金型取付板１０の構造的剛性を増加し、リブ１８の負荷伝達能力を増加するようになされているＴ形補強材である。可動金型取付板１０の内側と外側にある一対のリブ１８には、一対の垂直部材５０ａ、５０ｂが取りつけられている。好ましい実施形態では、これらの部材は、可動金型取付板１０の負荷伝達能力を増すためにリブ１８をこれらの特定の位置で共に結ぶ個別ウェブである。垂直部材５０ａ、５０ｂの位置およびサイズは、最適化された設計を生み出す構造解析に基づくものである。
【００２４】
特に図２を参照すると、本発明は締付力Ｆ_Ｃを半型の表面に均一に伝達するための最適化された可動金型取付板１０の構造を提供することがわかる。この結果、均一な圧力分布Ｐが半型の表面に存在し、局部的な曲げとたわみが最小限に抑えられる。この配置の主な利点は成形された物品の上におけるバリの減少である。
【００２５】
本発明の別の利点は、軽量の金型取付板を有する射出成形機が提供されることである。これは金型取付板を動かすための動力の使用を少なくし、型取付板をより急速に動かすことができるようにし、これによってサイクル・タイムを短縮する。
【００２６】
本発明のさらに別の利点は、射出成形機がタイバーの支持物なしに使用するために特に適した可動金型取付板を有することである。これによって機械の分解がより速くより容易になる。
【００２７】
本発明は、本明細書において図解したものに限られるものではなく、この図解は本発明を実施する最良の様式を単に示したものであると考えられ、形状、サイズ、部品の配置、および動作の詳細を変更できることを理解すべきである。本発明はむしろ、特許請求の範囲によって定義されているように本発明の精神および範囲内のあらゆる変更を包含することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による代表的な射出成形機の側面図である。
【図２】 均一な密封圧力Ｐを示す本発明による金型取付板の側断面図である。
【図３ａ】 本発明による改善された金型取付板の等角背面図である。
【図３ｂ】 本発明による改善された金型取付板の等角前面図である。
【図４】 本発明による改善された金型取付板の背面図である。
【図５ａ】 従来技術による金型取付板の立面図である。
【図５ｂ】 従来技術による金型取付板の立面図である。

Claims (5)

1. 金型取付板が載置される射出成形機上の少なくとも１つのレールに対して摺動自在である金型取付板であって、
   半型を載置する実質的に矩形の前面と、
   前記前面に平行でありこれから離隔している背面であって、締付力を伝達するために配置され、使用中に締付具を受け、該締付具を強固に固定する背面と、
   前記前面の周辺から後方に延在する壁と、
   前記背面、前記壁、および前記前面の間を所定のパターンで延びて、これらの各々を相互連結する複数の離隔したリブであって、発生した前記締付力が前記締付具を介して前記背面から前記前面へ実質的に均一に伝達され、これによって締め付け中に前記半型の表面に均一な圧力分布を作り出すリブと、
   を含み、前記背面は、その中央に中央空所が設けられ、前記中央空所の周囲に４つの分離した面が画成され、前記締付具は実質的に前記背面の中央に取りつけ可能であり、前記前面に実質的に直角な締付力を加え、それにより前記半型の表面に均一な圧力分布が生じる金型取付板。
2. 第１および第２補強材をさらに含み、前記第１補強材は前記金型取付板の頂部に位置する一対のリブの間に取り付けられ、前記第２補強材は、前記金型取付板の底部に位置する一対のリブの間に取り付けられ、前記底部に位置する一対の前記リブを連結する請求項１に記載の金型取付板。
3. 前記第１および第２補強材が実質的にＴ形状であり、さらに前記第１補強材は頂部の壁に連結されていると共に、前記第２補強材は底部の壁に連結されている請求項２に記載の金型取付板。
4. 第１および第２垂直部材をさらに含み、前記垂直部材の各々は一対の前記リブを連結する請求項１乃至３のいずれか１項に記載の金型取付板。
5. 金型取付板が載置される射出成形機上の少なくとも１つのレールに対して摺動自在である金型取付板であって、
   半型を載置する実質的に矩形の前面と、
   前記前面に平行でありこれから離隔している背面であって、締付力を伝達するために配置され、使用中に締付具を受け、強固に固定する背面と、
   前記前面の周辺から後方に延在する壁と、
   前記背面、前記壁、および前記前面の間を所定のパターンで延びて、これらの各々を相互連結する複数の離隔したリブであって、発生した前記締付力が前記締付具を介して前記背面から前記前面へ実質的に均一に伝達され、これによって締め付け中に前記半型の表面に均一な圧力分布を作り出すリブと、
   を含み、前記締付具は実質的に前記背面の中央に取りつけ可能であり、前記前面に実質的に直角な締付力を加え、前記金型取付板は、前記前面から後方に延在する少なくとも一つのウエブと、第１及び第２の垂直部材とを含み、前記垂直部材の各々は一対の前記リブを連結し、前記リブ、前記ウエブ、前記第１または第２の垂直部材で、ほぼ台形形状を形成する金型取付板。

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