JP4295886B2 - ペプチドの精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧降下剤または血圧降下食品として有用であるアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチドの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンギオテンシン変換酵素は、主として肺や血管内皮細胞、腎近位尿細管に存在し、アンギオテンシンI(Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu)に作用して、アンギオテンシンIのC末端よりジペプチド(His9−Leu10)を開裂遊離させ、強力な昇圧作用を有するアンギオテンシンIIを生成させる酵素である。
【0003】
また、この酵素は生体内降圧物質であるブラジキニンを分解し不活化する作用も併有し、昇圧系に強力に関与している。従来より、アンギオテンシン変換酵素の活性を阻害すれば、降圧に働き、臨床的には高血圧症の予防、治療に有効であると考えられている。
最近ではプロリン誘導体であるカプトプリルが合成され、降圧活性が確認されて以来、種々のアンギオテンシン変換酵素阻害物質の合成研究が盛んであり、又天然物からの取得も試みられているところである。
天然物由来のアンギオテンシン変換酵素阻害剤は食品あるいは食品原料から得られるので低毒性で安全性の高い降圧剤となることが期待されるからである。
しかしながら、天然物由来の蛋白質を酵素により加水分解して得られるペプチド中には苦味ペプチドが多量に含有されており、かかるアンギオテンシン変換酵素阻害剤としての利用に制限を与えている。
【0004】
かかる対策として、イ)ペプチドにロイシンアミノペプチターゼやカルボキシペプチターゼを作用させる方法(佐藤泰,関口義彰,千葉善根,猪飼勝弘,農化,43,286,(1969)、S.Arai, M.Yamashita, H.Kato, M.Fujimaki, Agr.Biol.Chem., 34,729,(1970))、ロ)ペプチドにα−キモトリプシンを作用させてプラスティンとする方法(M.Fujimaki, M.Yamashita, S.Arai, H.Kato, Agr.Biol.Chem., 34, 483, 1325(1970))、ハ)合成吸着剤にアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチドを吸着させ、有機溶媒により溶出する方法(特開平4−341193号公報)、ニ)疎水性吸着剤に苦味ペプチドを吸着させ除去する方法(特開平4−190797号公報)などが挙げられる。
しかしながら、イ)及びロ)の方法ではペプチドの一次構造が変わってしまい、ハ)及びニ)では苦味ペプチドの除去効率が悪く工業的な方法とは言い難い。故にペプチドの一次構造を変えずに苦味ペプチドを効率良く除去できる新たな方法が望まれている。
【0005】
そこで本出願人も特開平6−298794号公報で、蛋白質を水性媒体中で蛋白分解酵素により加水分解して得られたアンギオテンシン変換酵素阻害剤含有ペプチド溶液を精製するにあたり、▲1▼加水分解反応溶液から不溶物を除去したのち、該ペプチド濃度を10重量%以上の溶液とし、▲2▼該溶液を合成吸着剤と接触させ、非吸着画分を分収し、▲3▼該合成吸着剤を水または塩水溶液で洗浄して更に非吸着画分を回収する方法を開示した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記合成吸着剤による精製により、苦みは除去できるものの、素材由来の臭いが残り、また、ペプチドの回収率が70〜75%程度とやや悪かった。
そこで、本発明者は、その他のペプチドの精製手段を探索し、通常着色成分や不純物の除去に用いられる活性炭について注目した。しかし活性炭でアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチドの精製を行うと、苦みペプチドが除去出来なかったり、アンギオテンシン変換酵素阻害活性が低下したりすることがたびたび発生し、活性炭の性能面をより深く検討する必要があると考えられた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに本発明者はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、魚肉蛋白質を水性媒体中で蛋白質分解酵素により加水分解して得られたアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド含有溶液を、平均細孔直径3nm以下の活性炭を上記ペプチド含有溶液に対して40〜100重量%用いて処理することにより、阻害活性を低下させることなく、苦みや臭いが除去できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明においては、まず魚肉蛋白質を水性媒体中で蛋白分解酵素により加水分解してアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド(以下ACE阻害ペプチドと称する)含有溶液を得る。
本発明における蛋白分解酵素としては、サーモライシン、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン等公知の蛋白分解酵素及び微生物が生産する蛋白分解酵素等いずれも使用可能である。
本発明における水性媒体としては特に限定はなく、水、エタノール、メタノール等のアルコール、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩の水溶液などが挙げられる。
【0009】
魚肉蛋白質を酵素で加水分解するには、魚肉蛋白質の性状により処方は異なるが、難溶性の場合には熱水に魚肉蛋白質を混合し強力な攪拌でホモジナイズした後、固形分0.1〜50重量%程度の溶解液又は懸濁液とした後、酵素を魚肉蛋白質に対して、0.001〜50重量%、好ましくは0.1〜15重量%添加し、5〜90℃、好ましくは、20〜70℃で、1分〜3日間の反応条件下で分解率5%以上になるまで静置又は攪拌下で加水分解し、ACE阻害ペプチド含有溶液を得る。該分解率は全窒素に対するアミノ酸窒素の%で表す。測定方法は、Journal of Agricultural and food Chemistry 24 No.6 1090〜1093(1976)に基づく。
【0010】
本発明では、上記で得られたACE阻害ペプチド含有溶液を平均細孔直径が3nm以下好ましくは、1〜3nmの活性炭を用いて精製することを最大の特徴とするもので以下かかる精製法について述べる。
上記ACE阻害ペプチド含有溶液は、そのまま上記の活性炭による精製工程に入ってもよいが、まず上記で生成させた加水分解生成物から不溶物を分離除去して液体分を回収するのが好ましい。不溶物の除去にあたっては、遠心分離、濾過、デカンテーションなどの通常の固液分離方法のいずれかが採用される。不溶物を除去した後の液体分はACE阻害ペプチド濃度が1重量%以上、好ましくは5〜30重量%の溶液となるように濃縮されるのが好ましい。濃縮方法としてはフラッシュ式、遠心薄膜式などの減圧濃縮法、限外濾過膜濃縮法、逆浸透膜濃縮法などが採用される。
【0011】
次いで、該ACE阻害ペプチド含有溶液を平均細孔直径3nm以下の活性炭と接触させ、非吸着画分を回収する。
活性炭の平均細孔直径としては、3nm以下であることが必要で、3nmを越えると苦みや臭いが除去できなくなり不適当である。かかる平均細孔直径として好ましくは1〜3nmである。1nm未満では、苦みや臭いが充分除去できない場合がある。かかる平均細孔直径は窒素ガス吸着法により測定される。測定装置としては例えば、Micrities社製「ASAP2400」が用いられる。
【0012】
上記における特定の平均細孔直径をもつ活性炭としては、水蒸気、二酸化炭素、空気などの酸化性ガスで賦活した活性炭が挙げられ、好ましくは水蒸気で賦活した活性炭である。賦活方法としては、特に制限されるものではないが、平均粒子径が0.001〜10mm程度の木材、椰子殻、石炭等の炭化物に、750〜1000℃の水蒸気を吹付けて30〜48時間程度賦活することにより水蒸気で賦活した活性炭が調製される。
具体的には、武田薬品工業株式会社製「白鷺AW50」、「白鷺A」、「白鷺M」、「白鷺C」、「白鷺P」、「水道用白鷺CW」、「白鷺PHC」、「モルシーボンNGPX」、「粒状白鷺WHA」等が挙げられる。
【0013】
更に上記活性炭の細孔容積としては、0.01〜0.8cc/gが好ましく、更には0.1〜0.7cc/gである。かかる細孔容積が0.01cc/g未満では、臭いや苦みが完全に取れない場合があり、0.8cc/gを越えるとACE阻害活性が低下する場合がある。
また、上記活性炭の比表面積も800〜1300m2/gが好ましく、更には
900〜1200m2/gである。
かかる比表面積が800m2/g未満では、臭いや苦みが完全に取れない場合があり、1200m2/gを越えるとACE阻害活性が低下し、収率も低下する場合がある。
なお、上記の細孔容積、比表面積も上記窒素吸着法により測定される値である。
【0014】
ACE阻害ペプチド含有溶液を上記活性炭を用いて処理する方法としては、バッチ式の処理、連続カラムによる処理のいずれでもよいが、処理効率の点でバッチ式の方が好ましい。バッチ式で処理する場合には、ACE阻害ペプチド含有溶液の濃度を1〜50重量%(好ましくは5〜30重量%)の調整した後、該ペプチドに対して40〜100重量%の活性炭を用いるのが必要である。40重量%未満では、苦みや臭いが充分に除去されず、100重量%を超えると、ACE阻害活性が低下し、収率も低下する。
活性炭を添加後、5〜80℃(好ましくは30〜70℃)で、30〜120分程度攪拌した後、活性炭を濾紙、濾布、ガラスフィルター、遠心分離等で除去して非吸着画分を回収すればよい。
なお、活性炭を濾過する際に活性炭が濾液にもれるのを防ぐために、活性炭と同時にケイソウ土の層を形成してから活性炭を濾過してもよい。
【0015】
連続カラムにより処理する場合には、ACE阻害ペプチド溶液の濃度1〜20重量%の水溶液を線速度(LV)を3cm/時間以上、空間速度(SV)を3/時間以下程度になるように活性炭を充填したカラムに導入すればよい。
【0016】
上記の活性炭での吸着処理後の活性炭は必要に応じて水洗浄され、非吸着画分が回収される。
回収時に吸着した苦味成分の溶離が見られる場合に、塩水溶液を使用することもある。塩水溶液とは特に制限はなくナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩などの塩の水溶液が挙げられる。特に、塩化ナトリウムの水溶液が実用的である。該水溶液の使用濃度は1重量%〜飽和濃度、好ましくは5〜20重量%であり、使用量は活性炭の充填容積の1〜3倍量が好ましい。
【0017】
本発明の精製方法で得られたACE阻害ペプチド溶液は必要に応じて濃縮乾固、フリーズドライ、スプレードライ、真空乾燥等の方法で粉末化され、医薬品、健康食品(健康補助食品)として用いられたり、苦みがなく臭いもないのでそのまま食品に添加して用いられる。
【0018】
医薬品や健康食品として用いられる場合、ペプチド単独あるいは製剤用担体と混合して調製した製剤の形で使用される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつペプチドと反応しない物質が用いられる。具体的には、例えば乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、庶糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン界面活性剤、プロピレングリコール等が挙げられる。
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。
上記で製剤された医薬品や健康食品は、血圧降下、心筋肥大防止、脳卒中防止、の目的で用いられ、例えば健康食品としては以下のものが挙げられる。
【0019】
イ)サポニン含有食品(オタネニンジン根含有食品、エゾウコギ含有食品)
ロ)糖含有食品〔オリゴ糖(フラクトオリゴ糖含有食品、イソマルトオリゴ 糖含有食品、ガラクトオリゴ糖含有食品)、多糖類(シイタケ含有食品 、ムコ多糖、蛋白含有食品、コンドロイチン硫酸含有食品、マンネンタ ケ(霊芝)含有食品、キチン、キトサン含有食品
ハ)ミネラル含有食品(カルシウム含有食品、アルファルファ含有食品、プ ルーンエキス食品、β−カロチン含有食品
ニ)油脂含有食品
ビタミンE含有油脂〔麦(小麦、鳩麦)胚芽油、大豆胚芽油、米胚芽油 〕エイコサペンタエン酸含有食品、大豆レシチン含有食品、γ−リノレ ン酸含有食品(月見草油、ボラージ油)、ドコサヘキサエン酸含有食品
ホ)蛋白質含有食品
大豆蛋白含有食品、カゼイン、ホエー蛋白、鯉加工食品
ヘ)タウリン
牡加工食品、シジミ加工食品、緑イ貝加工食品
【0020】
また、具体的にペプチドが添加される食品としては、以下のものが挙げられる。
(1)農水産加工品
はるさめ、こしあん、こんにゃく、パン、麺類(即席めん、パスタ、生めん、乾めん)、餅、シリアル食品、大豆加工品(豆腐、豆乳、納豆、凍豆腐)、水産加工品〔練り製品、(かに風味)蒲鉾、(魚肉)ハム、(魚肉)ソーセージ、(魚肉)ウィンナー、ふりかけ、お茶づけのり〕、缶詰( シーチキン、オイルサーディン、焼鳥)、レトルト食品(カレー、シチュー、スパゲティー)
(2)乳製品
牛乳、加工乳、乳酸菌飲料、バター、チーズ、練乳、粉乳
(3)菓子
ケーキ、ムース、(粉末)デザート、アイスクリーム、飴、チョコレート、グミ、キャンディー、クッキー、ウエハース、ゼリー
(4)調味料
味噌、醤油、うま味(風味)調味料、(粉末)天然調味料、ソース、ドレッシング、焼き肉のたれ、みりん、カレー、シチュー、香辛料、スパイス、ヨーグルト
(5)飲料
清涼飲料(炭酸飲料、果実飲料、スポーツドリンク、栄養飲料)、嗜好飲料(コーヒー、ココア、麦汁)、みそ汁、スープ
【0021】
ACE阻害ペプチドの投与量(摂取量)は、投与方法、患者の症状、年令等により異なるが、通常1回0.001〜5000mg、好ましくは0.01〜2000mgを1日当たり1〜3回である。
上記の製剤あるいは食品は、ACE阻害ペプチドを0.01重量%以上、好ましくは0.5〜100重量%の割合で含有することができる。これらの製剤あるいは食品は、治療上価値ある他の成分を含有していてもよい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳しく説明する。
実施例1
カツオ節(蛋白質含量70重量%)50gに水40mlを加え充分ホモジナイズし、水酸化ナトリウムでpH7.0とし、サーモライシンを0.6g(蛋白質に対して1.7重量%)添加後、60℃で5時間静置反応を行った(分解率28.6%)。その後、100℃で10分間煮沸後放置して、3000×gで遠心分離して得られた上澄み液を得た。残渣には水80mlを添加して撹拌後、再度同条件で遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液を合わせて、ペプチド濃度7.1重量%の上澄液140mlを得た。
【0023】
上記の如く調製したACE阻害ペプチド含有溶液をロータリーエバポレターでペプチド濃度10重量%に濃縮し、かかる溶液100mlに、活性炭(武田薬品工業(株)製「白鷺A50W」、平均細孔直径2.35nm、比表面積1020m2/g、細孔容積0.60cc/g、含水率50%)4gを加えて、60℃で1時間攪拌し、更にケイソウ土5gを加えて撹拌した後、濾過し吸着画分を回収した。
かかる回収液についてペプチド回収率、ACE阻害活性の測定及び苦味、臭いの官能テストを行った。
【0024】
ペプチド回収率
精製前のACE阻害ペプチド含有溶液中のペプチドに対して、精製後のペプチドの回収率をケルダール法により測定した。
【0025】
ACE阻害活性の測定
ACE阻害活性の測定は、CheungとCushmanの方法〔Biochemical Pharamacology 20,1637(1971)〕に準じて以下の方法で行った。
酵素基質;Bz(ベンジル)−Gly−His−Leu
(86mgを水8mlとリン酸緩衝液8mlに溶解した溶液)
酵 素;うさぎの肺のアセトンパウダー(シグマ社製)
(1gを50mMのリン酸緩衝液10ml中で粉砕した後、遠心分離した上澄液)
上記の酵素基質を100μl、酵素溶液を12μl及び本発明の所定濃度のペプチドを混合し、水で全体を250μlとした後、37℃で30分間反応を行った。
【0026】
反応は1N−HClの250μlを用いて終了させた。反応終了液に酢酸エチル1.5mlを入れVortexで15秒撹拌し、それを遠心分離した。
酢酸エチル層から1.0mlをとり出して、酢酸エチルを留去し、それに1mlの蒸留水を入れて残渣を溶解し、抽出された馬尿酸の紫外吸収228nmの値(OD228)を測定した。
ACE阻害率はペプチドなしで反応したときのOD228を100%とし、反応時間0分のときのOD228を0%として求め阻害率50%の時のペプチドの濃度IC50(μgPro/ml)で活性を表示した。
苦みの官能テスト
上記回収液を凍結乾燥して得られた粉末を10名のパネラーで評価した。
評価は、苦味を全く感じない場合を10点、苦みを少し感じる場合を5点、苦味を強く感じる場合を0点とし、パネラー10名の評価点数を合計して算出した。
臭いの官能テスト
上記処理液を凍結乾燥して得られた粉末を10名のパネラーで評価した。
評価は、臭いを全く感じない場合を10点、臭いを少し感じる場合を5点、臭いを強く感じる場合を0点とし、パネラー10名の評価点数を合計して算出した。
【0027】
実施例2
実施例1で活性炭の添加量を6gにした以外は同様に処理して、実施例1と同様に評価した。
【0028】
実施例3
実施例1で活性炭として、活性炭(武田薬品工業(株)製「白鷺P」、平均細孔直径2.05nm、比表面積1000m2/g、細孔容積0.58cc/g、含水率3%)を用いた以外は同様に処理して、実施例1と同様に評価した。
【0029】
実施例4
実施例1においてサーモライシンを同重量のペプシンに替えて実験を行った。ペプシンの作用条件としては塩酸でpH1.6として、反応温度は37℃で5時間静置反応した。以下同様に処理して実施例1と同様に評価した。
【0030】
実施例5
実施例1において、かつお節の替りに鶏肉を用いた以外は同様に処理して、同様に評価した。
【0031】
比較例1
実施例1において、塩化亜鉛水溶液で賦活した活性炭(武田薬品工業(株)製「カルボラフィン」、平均細孔直径3.65nm、比表面積1450m2/g、細孔容積1.19cc/g、含水率3%)4gを用いた以外は実施例1と同様に処理して同様に評価した。
実施例1〜5、比較例1の結果は表1にまとめて示す。
【0032】
【0033】
【発明の効果】
魚肉蛋白質を加水分解して得られたアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド含有溶液を、平均細孔直径3nm以下の活性炭を用いて処理する本発明の精製方法により、ACE阻害ペプチド含有溶液からACE阻害活性を低下させることなく苦みや臭いを除くことができ、血圧降下剤又は血圧降下食品として有用なペプチドが収得できる。
Claims (1)
- 魚肉蛋白質を水性媒体中で蛋白質分解酵素により加水分解して得られたアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド含有溶液中のペプチドの濃度を5〜30重量%に調製し、その後、平均細孔直径3nm以下、細孔容積0.01〜0.8cc/g、比表面積800〜1300m 2 /gの水蒸気で賦活した活性炭を前記アンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド含有溶液中のペプチドに対して40〜100重量%用いて処理することを特徴とするペプチドの精製方法。
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