JP4294744B2 - 溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛の加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛にフィブリル化を防止する部分とフィブリル化を起こす部分を柄調のプリントにより形成し,フィブリル化による白化部分と白化していない部分の相違により柄を付与する加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛のフィブリル化防止手段としては,N−メチロール系繊維素反応型樹脂やグリシジル基を有する化合物で処理する方法や,カチオン化剤を含む化合物で処理する方法等が用いられてきた。しかし,これらはフィブリル化の進行を抑制したり,ピリングを防止したり,また,加工時にフィブリル化を起こさないようにするための方法でしかなく,加工方法も,パディング法や吸尽法が主な加工方法にすぎず,プリントの技法によりフィブリル化部分とフィブリル化防止部分を柄調に生ぜしめる方法は未だ見出されていないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,このような現状に鑑みて行われたもので,プリント技法により溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛にフィブリル化防止部分とフィブリル化を起こす部分を形成し,フィブリル化による白化部分と非白化部分の差異による柄を付与する加工方法を得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明は,上記目的を達成するもので,次の構成よりなるものである。すなわち、本発明は、溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛をアルカリ性に調整した糊剤で柄調にプリントする工程の前工程または後工程に繊維素反応型樹脂で処理する工程を設けることにより、糊剤がプリントされている樹脂部のpHをアルカリ側に調整し、しかる後にフィブリル化処理を行うことを特徴とする溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛の加工方法を要旨とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明では,被加工布帛として溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛を用いる。溶剤紡糸セルロース繊維は,パルプをN−メチルモルフォリン−N−オキサイドに溶解させ,濾過して不十分を取り除いた後に紡糸して得られる再生セルロース繊維であり,通常のビスコースレーヨンに比べて重合度,結晶化度,配向度が高く,高強力,低伸度,耐アルカリ性等の特性を有している。
このような溶剤紡糸セルロース繊維を含む織物,編物,不織布等の布帛を本発明では用いる。
溶剤紡糸セルロース繊維の含有量は,100%であってもよいが,少なくとも50%以上含まれていることが望ましい。
【0006】
溶剤紡糸セルロース繊維と混用される他の繊維としてはレーヨン,キュプラ,ポリノジック,ハイウェットモジュラスレーヨン等の再生セルロース繊維や,羊毛,絹等の天然繊維,ナイロン,ポリエステル,アクリル等の合成繊維を挙げることができるが,ここで混用される他の繊維の割合は50%以下であることが望ましい。50%を超えると,混用した繊維にはフィブリル化効果が少ないので,顕著なフィブリル化部分と非フィブリル化部分の差が現れにくくなり,本発明の柄調加工効果が乏しくなるので望ましくない。
【0007】
上述の布帛を用いて,本発明では,その表面にアルカリ性に調整した糊剤を柄調にプリントする。
ここで用いるアルカリ剤としては,水酸化ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,重炭酸ナトリウム等を挙げることができ,アルカリと併用する糊剤としては,アルギン酸ナトリウム,澱粉,CMC,PVA,天然ゴム系糊剤等が挙げられる。アルカリの使用量については,全糊剤の重量の0.1〜50%の範囲で用いるが過度の強力低下や,プリント部とプリントされていない部分との風合差を最小減にする必要がある。
プリントの方法としては,通常の機械捺染方法や手工捺染方法のいずれの方法で行ってもよく,機械捺染法の場合には,ローラー捺染,スクリーン捺染等により行い,手工捺染方法の場合には,スクリーン捺染や型紙捺染等によって行う。
プリントの柄については花柄,格子柄,市松模様,ストライプ柄,水玉模様,縞模様等いかなる柄でもよく,本発明では特に限定を必要とするものではない。
【0008】
アルカリをプリントした後,乾燥を行う。乾燥は,80〜120℃で0.5〜2分程度行う。
フィブリル化処理に際しては,ワッシャー,液流染色機等を用いて,常温〜150℃程度で行い,フィブリル化を起こす部分にフィブリル化効果が出るくらいまで,30分〜5時間程度の処理を行う。
【0009】
本発明方法では,アルカリ性糊剤による柄プリント工程の前工程または後工程で繊維素反応型樹脂処理工程を加えることができ,この工程を加えることにより本発明の柄の形成をより一層鮮明に行うことができる。
繊維素反応型樹脂処理を柄プリント工程の前工程で行う場合には,繊維素反応型樹脂処理工程→アルカリ性糊剤の柄プリント工程→フィブリル化処理工程の順に処理を行い,繊維素反応型樹脂処理工程を後工程で行う場合には,アルカリ性糊剤の柄プリント工程→繊維素反応型樹脂処理工程→フィブリル化処理工程の順に処理を行う。
【0010】
繊維素反応型樹脂処理工程では,繊維素反応型樹脂を含有する水溶液を用いて処理する。
繊維素反応型樹脂には,N−メチロール系繊維素反応型樹脂やグリシジル基を含有する化合物等があり,N−メチロール系繊維素反応型樹脂としては,ジメチロールエチレン尿素,ジメチロールプロピレン尿素,ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素,ジメチロールジメトキシエチレン尿素,ジメチロールウロン,ジメチロールトリアジン等を挙げることができる。
N−メチロール系繊維素反応型樹脂と併用する触媒としては,有機アミン塩や金属塩,塩化マグネシウム,硝酸亜鉛,ホウフッ化亜鉛,硝酸マグネシウム,塩化亜鉛等の金属塩,有機酸等を挙げることができる。
【0011】
本発明で用いるグリシジル基を有する化合物としては,グリコールのジグリシジルエーテル,ポリオールのジおよびポリグリシジルエーテル,ジカルボン酸のジグリシジルエステル等を挙げることができる。
繊維素反応型樹脂を含有する水溶液の付与量は,繊維重量に対して0.5〜20重量%の範囲で用いるのが適当であり,要求されるフィブリル化の抑制程度に応じて使用量を決定する。
繊維素反応型樹脂を含有する水溶液を布帛に付与する方法としては,一般に公知の通常の方法で付与すればよいが,実用的にはパディング法が好ましい。
【0012】
処理剤の付与後,乾燥を行う。乾燥は,80〜160℃で0.5〜3分行う。
アルカリ性糊剤による柄プリント工程の前工程で繊維素反応型樹脂処理を行う場合,これに続くアルカリ性糊剤の柄プリント工程では,アルカリの使用量を全糊剤の重量の0.01〜10%の範囲に止め,乾燥後に120〜200℃にて0.5〜3分間程度の熱処理を行うことにより繊維素反応型樹脂をセルロースと反応させ,アルカリ性糊剤の柄プリント部分で繊維素反応型樹脂とセルロースとの反応を抑制する。
【0013】
アルカリ性糊剤による柄プリント工程の後工程で繊維素反応型樹脂処理を行う場合にも,アルカリ性糊剤の柄プリント工程ではアルカリの使用量を全糊剤の重量の0.01〜10%の範囲に止め,乾燥後の熱処理を省略して,繊維素反応型樹脂処理工程で乾燥後に110〜220℃で0.5〜5分間の熱処理を行うとよい。
以上のごとく,フィブリル化防止部分とフィブリル化部分を溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛に形成し,フィブリル化処理を行うことにより,顕著に白化したフィブリル化部分と白化していない非フィブリル化部分の柄を溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛に付与することができる。
本発明は,以上の構成よりなるものである。
【0014】
【作用】
上述の本発明方法において,アルカリ性糊剤による柄プリント工程の前工程または後工程で溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛に繊維素反応型樹脂処理を行うと,一般に,セルロース分子の無定形領域が架橋されて膨潤状態下での摩擦によるフィブリル化が抑制されるようになるが,繊維素反応型樹脂の架橋は,pHが酸性側で発現し,アルカリ側では架橋されず,従って,アルカリ性に調整した糊剤をその上や下に柄調にプリントすることにより,樹脂部のpHをアルカリ側に調整しておくと,そのプリント部分は樹脂が架橋せずフィブリル化を起こす部分になり,その相違が柄として現れるようになる。
【0015】
【実施例】
次に,本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
実施例1
通常の方法で染色仕上された溶剤紡糸セルロース繊維(リヨセル)100%の50番手単糸使いの織物ローン(経糸密度100本/吋,緯糸密度90本/吋)を用意し,これに下記処方1に示す繊維素反応型樹脂処理液をピックアップ70%でパディング法により付与後,100℃で1.5分の乾燥を行った。
処方1
スミテックスレジン NS−19 100g/リットル
(住友化学株式会社製,グリオキザール系樹脂)
スミテックスアクセラレータ X−110 30g/リットル
(住友化学株式会社製,金属塩系触媒)
【0016】
次にスクリーン捺染機を用いて,この布帛に下記処方3のアルカリ性の捺染糊を水玉模様に印捺し,続いてテンターを用いて100℃×2分の乾燥を行った。
処方2
アルギン酸ナトリウム(5%) 50部
NaOH(フレーク) 5部
水 45部
この後,通常の捺染工程のソーピング条件に従って,ノニオン界面活性剤にて100℃×10分のソーピングを行った。
ここで,ワッシャーを用いて,浴比1:30で60℃×1時間のフィブリル化処理を行い,以下,100℃×2分間の乾燥を行うことにより,本発明のフィブリル有り無しによる水玉柄調の加工布帛を得た。
【0017】
実施例2
通常の方法で染色仕上された溶剤紡糸セルロース繊維(リヨセル)100%の50番手単糸使いの織物ローン(経糸密度100本/吋,緯糸密度90本/吋)を用意し,スクリーン捺染機を用いて,これに下記処方4のアルカリを有する捺染糊を用いて縞柄模様に印捺し,続いて,テンターを用いて100℃×2分の乾燥を行った。
処方3
アルギン酸ナトリウム(5%) 50部
NaOH(フレーク) 5部
水 45部
【0018】
次に,下記処方5に示す繊維素反応型樹脂処理液を用いて,上述の被加工布帛にピックアップ70%でパディング法により付与後,100℃で1.5分の乾燥および160℃×2分の熱処理を行った。
処方4
デナコール EX−851 100g/リットル
(ナガセ化成株式会社製,水溶性エポキシ系樹脂)
スミテックスアクセラレータ KX 10g/リットル
(住友化学株式会社製,金属塩系触媒)
続いて,通常の捺染工程のソーピング条件に従って,ノニオン界面活性剤にて100℃×10分のソーピングを行った。
ここで,ワッシャーを用いて,浴比1:30で60℃×1時間のフィブリル化処理を行い,乾燥を行うことにより,本発明のフィブリル有り無しによる縞柄調の加工布を得た。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば,溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛にフィブリル有り無しによる顕著な柄を付与することができる。
Claims (1)
- 溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛をアルカリ性に調整した糊剤で柄調にプリントする工程の前工程または後工程に繊維素反応型樹脂で処理する工程を設けることにより、糊剤がプリントされている樹脂部のpHをアルカリ側に調整し、しかる後にフィブリル化処理を行うことを特徴とする溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛の加工方法。
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JP27701797A JP4294744B2 (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 溶剤紡糸セルロース繊維を含む布帛の加工方法 |
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JPH11117182A JPH11117182A (ja) | 1999-04-27 |
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