JP4294079B2 - 高圧放電ランプ - Google Patents
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Description
メタルハライドランプ及び高圧ナトリウムランプは、高圧水銀ランプに用いられていた従来の設備をそのまま用いるために、通常、電源周波数による簡易な銅鉄形リアクタンス安定器を用いて点灯される。そのために、メタルハライドランプ及び高圧ナトリウムランプには、従来の高圧水銀ランプには装備されていなかった始動回路が内蔵されている。
ところで、このような始動回路を内蔵したメタルハライドランプ及び高圧ナトリウムランプでは、特に寿命末期等におけるランプの始動不良または立消えなどにより、熱応動スイッチの接点間で間欠的なアーク放電が発生する。このアーク放電によって供給されるいわゆる初期電子が引き金となって、給電用の一対のステムリード線間でアーク放電が持続的に発生することがある。ステムリード線間で持続的なアーク放電が生じると、外管バルブが加熱されて破損するという問題が生じる。そこで、このステムリード線間で生じるアーク放電を防止するために、熱応動スイッチの接点を外囲バルブで覆うことによって、熱応動スイッチの接点で生じるアーク放電からの初期電子の供給を断ち切るという方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
発光管の管電圧は、点灯後漸次に上昇していき、約3分後には、130Vに到する。ここで、熱応動スイッチの開放転移時間が約3分以上になると、一旦動作を停止していた始動回路のグロー点灯管に、管電圧によって130Vの電圧が印加されることとなり、グロー点灯管が再動作してランプが立ち消えするというランプの品質に関わる問題が発生する。特に、冬場の寒冷地のように、点灯前のランプの放置温度が低くなると、熱応動スイッチの開放転移時間がさらに長くなり、ランプの立消えが発生し易くなるという問題も有している。
従来の高圧放電ランプでは、発光管及び始動回路は、給電用の一対のステムリード線と連結された金属製の支持部材によって外管バルブ内に支持されている。かかる構成においては、熱応動スイッチの接点でアーク放電が生じてから、ステムリード線間で生じる持続的なアーク放電に至るまでに、必ず熱応動スイッチの接点付近、特に発光管及び始動回路を支持する金属製の支持部材間において、複数のアーク放電が順次発生する。そして、この支持部材間において生じたアーク放電が、最終的にガラスステム近傍でのステムリード線間におけるアーク放電へと遷移することが明らかになった。
また、上記の支持部材は、外管バルブ内のステムに封着された支持体に連結されている。これにより、支持体をステムに封着して、支持体に支持部材を連結させるという簡易な構成によって支持部材を電気的に浮遊状態にすることができるので、本発明に係る高圧放電ランプの構成を簡易にすることができる。
<メタルハライドランプの全体構成>
図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係るメタルハライドランプの構成について説明する。図1は、メタルハライドランプ1の全体構成を示す図である。
なお、発光管3内には、発光物質として、例えば、ヨウ化ナトリウム(NaI)やヨウ化スカンジウム(ScI3)等の金属ハライド、緩衝ガスとして水銀(Hg)、始動補助ガスとしてネオン・アルゴンペニングガス(Ne+0.5%Ar)がそれぞれ所定量封入されている。発光管3の寸法は、全長が150mm、内径が27mmである。また、主電極13、14間の距離は70mmである。
点灯回路は、発光管3、始動回路20、リアクタンス安定器40、外部電源41を有している。発光管3、始動回路20及びリアクタンス安定器40は、外部電源41に対して並列に接続されている。
<点灯動作>
図2を参照しながら、点灯回路の動作について説明する。電源投入時、熱応動スイッチ23は、常温にあるので閉状態になっている。電源が投入されると、外部電源41から供給される電圧は、グロー点灯管21、抵抗体22及び熱応動スイッチ23が直列に接続された始動回路20に印加される。すると、この電圧によってグロー点灯管21が作動して、グロー点灯管21内の電極が開閉の動作を繰り返す。グロー点灯管21による開閉動作ごとの電流遮断によりリアクタンス安定器40に約1.2kVの高圧パルス電圧が誘起される。併せて、外部電源41からの電圧によって主電極13、補助電極15間で補助放電が発生する。この補助放電によって生じる初期電子の作用、及び上記の高圧パルス電圧によって主電極13、14間に主放電が開始されて発光管3が点灯する。
<従来のメタルハライドランプの解析>
ここで、従来の技術の項で述べたように、始動回路20を内蔵したメタルハライドランプでは、特に寿命末期におけるランプの始動不良及び立ち消えなどにより、熱応動スイッチ23の接点でアーク放電が発生することがある。従来の高圧放電ランプにおいては、この熱応動スイッチ23の接点で生じたアーク放電が起因となって、ステムリード線11、12間において持続的なアーク放電が生じ、このアーク放電によって、外管バルブ2が破損することがある。
まず、図4を参照しながら、従来のメタルハライドランプの発光管及び始動回路を支持する構造を説明する。図4は、従来のメタルハライドランプにおける発光管及び始動回路を支持する構造を示す図である。なお、図4においては、主として、発光管3及び始動回路20を支持する部材を図示しており、抵抗体22、熱応動スイッチ23、及び抵抗器24等は省略している。
発光管3を支持する部材としては、発光管バンド32と、支持バネ板33、34とがあり、始動回路20を支持する部材としては、熱遮蔽板36と、グロー点灯管バンド37と、抵抗支持体38とがある。
支持バネ板33、34は、ステンレスからなる部材であって、例えばメタルハライドランプの運搬時の振動等によって、支持枠31の位置がずれることを防止するためのものである。支持バネ板33、34は、対向するように支持枠31に溶接され、それぞれの両端部は外管バルブ2の内面に圧接されており、支持バネ板33、34の弾性力によって支持枠31が振動することを防止している。
抵抗支持体38は、セラミックからなる本体部と、本体部の両端に鉄(Fe)からなる金属線が取り付けられた部材である。抵抗支持体38の一端は、抵抗体22(図3参照)に接続され、他端は、支持枠31に接続されている。これによって、抵抗体22は外管バルブ2内に支持されている。
上記構造の従来のメタルハライドランプでは、各支持部材は、支持枠31を介して、ステムリード線11に連結されている。ステムリード線11は、給電用のリード線であるため、これに連結された上記の各支持部材は、電気的に導通状態にある。したがって、熱応動スイッチ(図3参照)の接点でアーク放電が生じると、上記の支持部材間において、複数のアーク放電が順次発生する。これらのアーク放電が最終的にガラスステム4近傍でのステムリード線11、12間でのアーク放電へと遷移することが本発明者らによって確認された。
そこで、本発明者らは、上記の解析結果に基づいて、ステムリード線11、12間においてアーク放電が生じることを防止するためには、発光管3及び始動回路20の支持部材を、電圧が印加される部材又は電流が流れる部材とは電気的に接続しない状態、すなわち、電気的に浮遊状態にすれば必要十分であることを見出した。以下、図5を参照しながら、本実施の形態に係るメタルハライドランプにおいて、発光管3及び始動回路20の支持部材を電気的に浮遊状態にする具体的な構成について説明する。図5は、本実施の形態に係るメタルハライドランプにおける発光管3及び始動回路20を支持する構造を示す図である。なお、図5においては、図4と同様に、主として、発光管3及び始動回路20を支持する部材を図示しており、抵抗体22、熱応動スイッチ23、及び抵抗器24等は省略している。
従来のメタルハライドランプでは、図4に示すように、支持枠31は、ステムリード線11に溶接されているため、支持枠31に溶接された各支持部材は、導通状態にあった。一方、本実施の形態に係るメタルハライドランプでは、図5に示すように、支持枠31は、ガラスステム4に封着された支持体30に溶接されているため、電気的に浮遊状態にあり、支持枠31に溶接された各支持部材も電気的に浮遊状態にある。
以下、本実施の形態に係るメタルハライドランプの点灯実験について説明する。本実施の形態に係るメタルハライドランプを20個製作して、寿命試験を行った。試験を行った20個のランプのうち、2個のランプで熱応動スイッチ23の接点で間欠的にアーク放電が発生することが観測された。しかし、このアーク放電が起因となって、発光管3及び始動回路20の支持部材の間で次なるアーク放電が発生することはなく、ステムリード線11、12間にアーク放電が遷移することはなかった。以上より、本実施の形態によるメタルハライドランプによれば、熱応動スイッチの接点でアーク放電が生じた場合でも、ステムリード線間で持続的にアーク放電が生じることを効果的に防止できることが確認された。
以上、本発明を種々の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を考えることができる。
(1)上記構成では、ガラスステム4において、支持体30を1本のみ封着する構造を示したが、複数本の支持体をガラスステム4に封着して、複数本の支持体30によって支持枠31を固定する構成としてもよい。これにより、支持枠を支持する強度が増すという利点が得られる。
(3) また、上記においては、メタルハライドランプについて説明したが、例えば、高圧ナトリウムランプ等の始動回路を外管バルブ内に有する他の高圧放電ランプにも適用することができる。このときも同様に、熱応動スイッチの接点でアーク放電が生じても、発光管及び始動回路の支持部材が電気的に浮遊状態にあるため、当該支持部材間ではアーク放電が生じることはない。したがって、熱応動スイッチの接点でアーク放電が生じた場合でも、ステムリード線間でのアーク放電に遷移することはないので、ステムリード線間で持続的なアーク放電が生じることを防止することができる。
2 外管バルブ
3 発光管
4 ガラスステム
11、12 ステムリード線
13、14 主電極
15 補助電極
20 始動回路
21 グロー点灯管
22 抵抗体
23 熱応動スイッチ
30 支持体
31 支持枠
32 発光管バンド
33、34 支持バネ板
36 熱遮蔽板
37 グロー点灯管バンド
38 抵抗支持体
40 リアクタンス安定器
41 外部電源
Claims (1)
- 外管バルブ内に、発光管と、発光管を始動させる始動手段とが収容された高圧放電ランプであって、
前記発光管及び前記始動手段は、電気的に浮遊状態にある導電性の支持部材によって支持されており、
前記支持部材は、前記外管バルブ内のステムに封着された支持体に連結されており、
さらに、前記支持体は、前記ステムの端面において、前記ステムに封着された給電用の2本のステムリード線を結ぶ線分上には位置していないことを特徴とする高圧放電ランプ。
Priority Applications (1)
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