JP4291934B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、起泡性、洗浄性等の洗浄剤としての必須条件を満足しながら、毛髪等に対して優れたコンディショニング効果を有し、泡質、使用性が良好で、かつ低温安定性に優れた洗浄剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の消費者のヘアケア意識の高揚に伴い、ヘアケア製品に対する要望が多様化してきている。シャンプーのような洗浄剤においては、洗浄性や起泡性等の洗浄剤としての基本的機能の他に、洗髪中及びすすぎ時の泡質や指通りが良く、髪がきしまない等の使用性の良さ、また、乾燥後の髪のまとまりやすさ、しなやかさ、櫛通りが良いこと等の仕上がり感の良さを満たしていることが重要な要素となっている。
【0003】
従来、シャンプーのコンディショニング剤として、カチオン化セルロース等のカチオン性ポリマーやシロキサン化合物等が広く用いられている。しかしカチオン性ポリマーを単独で配合したシャンプーを連用すると、カチオン性ポリマーが毛髪上に蓄積し、べたつき感、ごわつき感が生じる等の欠点があった。また、シロキサン化合物を配合したシャンプーは、仕上がり感には優れているものの、それが本来持つ消泡性により泡立ちが著しく低下し、洗髪時の指通りが悪化する等使用性について十分満足のいくものではなかった。一方、泡立ちを改良する目的で、ラウリン酸モノエタノールアミドやラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸エタノールアミド類を配合する試みが一般的に多く行われているが、シロキサン化合物の配合による消泡性をカバーする為には大量に配合する必要があり、この場合、脂肪酸エタノールアミド類が毛髪上に吸着して、すすぎ時に不快な特有のきしみ感を伴う等の欠点が生じていた。
【0004】
これらの欠点を解消する手段として、直鎖脂肪酸イソプロパノールアミドを用いる等の試みがなされているが、低温で結晶が析出する場合がある等、十分満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術を背景として本発明の目的は、起泡性、洗浄性等の洗浄剤としての必須条件を満足しながら、洗髪中及びすすぎ時の泡質や指通りが良く、髪がきしまない等の使用性の良さ、乾燥後の髪のまとまりやすさ、しなやかさ、櫛通りが良いこと等の仕上がり感の良さを満たし、かつ低温安定性に優れた洗浄剤組成物を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、本発明の目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の分岐鎖アシル基を持つ分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドと、シロキサン化合物とを洗浄剤組成物に配合すると上記欠点が改善されることを見出した。また、更にカチオン化ポリマーを併用することによりその効果が増強されることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の請求項1の発明は、平均炭素数が8〜22の分岐鎖アシル基を持つ、分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドと、シロキサン化合物とを配合する洗浄剤組成物である。本発明の請求項2は、分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドが分岐鎖脂肪酸モノイソプロパノールアミドである請求項1に記載の洗浄剤組成物である。また、本発明の請求項3は、分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドがイソステアリン酸アルカノールアミドである請求項1に記載の洗浄剤組成物である。そして、本発明の請求項4は、分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドがイソステアリン酸モノイソプロパノールアミドである請求項1に記載の洗浄剤組成物である。また、本発明の請求項5は、カチオン性ポリマーを配合してなる請求項1〜4いずれかに記載の洗浄剤組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0008】
本発明の分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドとしては、平均炭素数が8〜22、望ましくは16〜20の分岐鎖アシル基を持つものが用いられ、分岐鎖アシル基としてイソステアリン酸残基を有するものが特に望ましい。尚、アシル基の平均炭素数が8より小さいと増粘性や起泡性が十分得られず、22より大きいと洗浄力が十分得られない。
【0009】
また、これらの分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドのアルカノールアミド構造としては、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド、モノイソプロパノールアミド等が挙げられ、イソプロパノールアミドの構造を有するものが望ましい。
【0010】
これらの分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、イソステアリン酸モノイソプロパノールアミド、イソステアリン酸モノエタノールアミド、イソステアリン酸ジエタノールアミド、イソノナン酸モノイソプロパノールアミド、イソパルミチン酸モノイソプロパノールアミド等が挙げられ、これらの中でも特に望ましいものとしてイソステアリン酸モノイソプロパノールアミドが挙げられる。
【0011】
これらの分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドは、本発明の組成物中に0.001〜20.0質量%の配合が望ましく、さらに望ましくは0.01〜5.0質量%配合される。0.001質量%より少ないと所望の効果が得られない場合があり、また、20.0質量%を越えて配合するとすすぎ時にきしみを感じたり、乾燥後べたつき感を感じる等感触上、弊害が生じる場合がある。
【0012】
これらの分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドは一種又は二種以上を混合して用いることができ、直鎖脂肪酸アルカノールアミドと組合せて用いた場合にも相乗作用により所望の効果が得られる。
【0013】
本発明におけるシロキサン化合物として、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、ベタイン基含有シリコーン等が挙げられる。優れたコンディショニング効果を付与するためには、これらシロキサン化合物のうちジメチルポリシロキサンが望ましく、その中でも25℃における動粘度が5000mm2/s〜1000000mm2/sであるジメチルポリシロキサンが特に望ましい。また、これらのシロキサン化合物は乳化重合されたものであっても良い。
【0014】
これらのシロキサン化合物は一種又は二種以上を混合して使用することができ、起泡性、洗浄性を損なわない範囲で十分なコンディショニング効果を与えるためには、本発明組成物中に0.01〜25質量%配合されることが望ましい。
【0015】
本発明で使用されるカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン化セルロース誘導体(商品名:ポリマーJR−400[UCC社製]、レオガードG[ライオン社製]、カチナールHC−200[東邦化学社製]等)、カチオン化グアーガム誘導体(商品名:ジャガーC−17及びC−13−S[セラニーズ社製]等)、4級化ポリビニルピロリドン誘導体(商品名:GAFQUAT734及び755[GAF社製]等)、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド誘導体(商品名:MERQUAT100、550及び3330[カルゴン社製]等)、ポリグリコールポリアミン縮合物(商品名:ポリコートNH[コグニスジャパン社製]等)、カチオン化澱粉、カチオン化ポリペプタイド等が挙げられる。
【0016】
これらのカチオン性ポリマーは一種又は二種以上を混合して用いることができ、起泡性、洗浄性を損なわない範囲で十分なコンディショニング効果を与えるためには、本発明組成物中に0.01〜10質量%配合されることが望ましい。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物には洗浄効果を発現させるために界面活性剤を配合することが望ましい。界面活性剤ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性のいずれでもよく、特にアニオン性、両性活性剤が洗浄性、起泡性の面から望ましい。
【0018】
望ましい界面活性剤の具体例としては、脂肪酸石けん、アルキル硫酸塩型界面活性剤、アルキルエーテル硫酸塩型界面活性剤、α−オレフィンスルホン酸塩型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤、アミノ酸塩型界面活性剤(サルコシン塩型、β−アラニン塩型、グルタミン酸塩型、アスパラギン酸塩型等)、スルホコハク酸塩型界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0019】
これらの界面活性剤は、通常、本発明の洗浄剤組成物中に3〜50質量%配合される。
【0020】
本発明の洗浄剤組成物は、所望により洗浄剤に一般に配合される成分、例えば、高級アルコール、ラノリン誘導体、蛋白質誘導体や、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類等の油性成分、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の保湿成分、脂肪酸アルカロールアミド、脂肪酸エチレングリコール等のパール光沢剤、水溶性高分子物質(アニオン性、両性、非イオン性のものを含む)、金属イオン封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、酸化防止剤、色素及び香料等を含むことができる。
【0021】
また、本発明の洗浄剤組成物は、ヘアーシャンプーとして特に好適に使用されるが、ボディシャンプー、洗顔料、ハンドソープ等他の洗浄剤組成物においても良好な感触、使用感、低温安定性を得るために適用することができ、固形、液体、エアゾールフォーム、ミスト等様々な形態のものに用いることができる。
【0022】
【実施例】
次に本発明を実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0023】
a)洗浄性試験法
5cm×5cmのウールモスリン布にラノリン7質量%及びスダンIII0.005質量%のクロロホルム溶液0.4mLを均一に塗布し、乾燥させ、この汚染布を3質量%の洗浄剤溶液40mLが入った約100mLのガラス製シリンダー中に入れ、40℃の恒温槽中で15分間振とうし、汚染布を流水中でよくすすぎ、乾燥させ、反射率を調べ、次式により洗浄率を求めた。
【0024】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎・・・洗浄性優秀 洗浄率 85%以上
○・・・洗浄性良好 洗浄率 70%以上85%未満
△・・・洗浄性普通 洗浄率 55%以上70%未満
×・・・洗浄性不良 洗浄率 55%未満
【0025】
b)起泡性試験法
界面活性剤濃度が2質量%となるように水溶液(CaCO3 50ppm人工硬水使用、40℃)を調製し、ロスマイルス試験法に準じて行った。
【0026】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎・・・泡立ち優秀 泡高さ 250mm以上
○・・・泡立ち良好 泡高さ 210mm以上250mm未満
△・・・泡立ち普通 泡高さ 170mm以上210mm未満
×・・・泡立ち不良 泡高さ 170mm未満
【0027】
c)コンディショニング性試験法
洗髪時及びすすぎ時の使用感試験法(ハーフヘッド法)パネル(20人)が頭髪を左右半々に分け、一方をコントロールとして下記組成のシャンプーで、他方を試料で、同時に洗髪し、洗髪中及びすすぎ時の泡質、指の通り具合、髪のきしみの有無を比較官能評価した。
【0028】
Figure 0004291934
【0029】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎・・・コントロールより良いと答えた人数が19名以上
○・・・コントロールより良いと答えた人数が16〜18名
△・・・コントロールより良いと答えた人数が8〜15名
×・・・コントロールより良いと答えた人数が7名以下
【0030】
d)洗髪乾燥後の髪の仕上がり感試験法
パネル(20人)が前記と同様の方法で洗髪した後、毛髪を乾燥させ、左右の毛髪のまとまり易さ、しなやかさ、櫛通りの良否等の仕上がり具合を比較官能評価した。
【0031】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎・・・コントロールより良いと答えた人数が19名以上
○・・・コントロールより良いと答えた人数が16〜18名
△・・・コントロールより良いと答えた人数が8〜15名
×・・・コントロールより良いと答えた人数が7名以下
【0032】
e)低温安定性試験法
試料を0℃の恒温槽中に1週間放置し、結晶の析出の有無を目視にて確認した。
【0033】
また、評価の基準を次のように設定した。
◎・・・結晶析出を認めない
×・・・結晶析出を認めた
【0034】
実施例1〜7及び比較例1〜5(シャンプー)
表1に記載の配合組成よりなるシャンプーを調製し、その洗浄性、起泡性、洗髪時及びすすぎ時の使用感、仕上がり感、低温安定性について調べ、その結果を表1に示した。尚、表中の数字は質量%を示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004291934
【0036】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1〜7の洗浄剤はいずれも優れた性能を示していた。
【0037】
一方、比較例1〜5では、使用性、仕上がり感、低温安定性のいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0038】
Figure 0004291934
【0039】
常法により上記組成のヘアーシャンプーを調製し、洗浄性、起泡性、洗髪時及びすすぎ時の使用感、仕上がり感、低温安定性を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0040】
Figure 0004291934
【0041】
常法により上記組成のふけとりシャンプーを調製し、洗浄性、起泡性、洗髪時及びすすぎ時の使用感、仕上がり感、低温安定性を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0042】
Figure 0004291934
【0043】
常法により上記組成のヘアーシャンプーを調製し、洗浄性、起泡性、洗髪時及びすすぎ時の使用感、仕上がり感、低温安定性を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0044】
Figure 0004291934
【0045】
常法により上記組成の全身(ヘアー・ボディ両用)シャンプーを調製し、洗浄性、起泡性、洗浄時及びすすぎ時の使用感、髪の仕上がり感、低温安定性を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。
【0046】
【発明の効果】
以上記載のごとく、本発明は、起泡性、洗浄性等の洗浄剤としての必須条件を満足しながら、毛髪等に対して優れたコンディショニング効果を有し、泡質、使用性が良好で、かつ低温安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することができる。

Claims (5)

  1. 平均炭素数が16〜20の分岐鎖アシル基を持つ分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドと、シロキサン化合物とを配合する洗浄剤組成物。
  2. 分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドが分岐鎖脂肪酸モノイソプロパノールアミドである請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  3. 分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドがイソステアリン酸アルカノールアミドである請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  4. 分岐鎖脂肪酸アルカノールアミドがイソステアリン酸モノイソプロパノールアミドである請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  5. カチオン性ポリマーを配合してなる請求項1〜4いずれかに記載の洗浄剤組成物。
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