JP4290434B2 - 粘着性積層フィルム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は粘着性積層フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、廃棄処理の容易性、鋸刃でのカット性、透明性、容器との密着性、電子レンジでの耐熱性、低熱収縮性などのラップフィルムとしての要求性能を満たすと共に、コスト的にも満足することができ、鋸刃付きのカートンボックスに収納される小巻ラップフィルムとして好適な、非塩素系材料からなる粘着性積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般家庭あるいはホテル、レストランなどの外食産業分野等において使用される、いわゆる食品包装用ラップフィルムとしては、主にポリ塩化ビニリデン(以下、PVDCと略記する。)系又はポリ塩化ビニル(以下、PVCと略記する。)系のものが用いられてきた。これは、(1)カートンボックスに収納されたフィルムを引き出し、取り付けられた鋸刃で所定の長さにカットする際に、小さな力で鋸刃に沿ってきれいにカットできる、いわゆるカット性に優れていること、(2)透明性や光沢に優れ、ラップされた食品の見栄えに優れていること、(3)容器にかぶせた場合に剥がれにくい、いわゆる粘着性、密着性に優れていること、(4)電子レンジ加熱の際に通常の使用条件ではフィルムが溶融することのない実用的な耐熱性を有していることなど、食品包装やそれらに付帯する使用環境において、品質面で優位性を有しているからである。
【0003】
しかしながら、近年、塩素を含むPVDC製ラップフィルムやPVC製ラップフィルムに対し、焼却時に発生する塩化水素ガス、またPVC製ラップに対しては可塑剤の溶出などが問題視されてきた。さらに、環境ホルモンに該当する化学物質が微量検出されるなど、食品衛生面での新たな問題が取り上げられることも多くなってきている。その上、PVDC系フィルムにおいては、食品を包装したのち電子レンジなどで加熱すると、フィルムの収縮が大きすぎて食品が変形することがあるなどの不具合があり、また、PVC系フィルムにおいては、沸騰熱湯に接触すると白化現象が生じるなどの問題がある。
したがって、PVDC系やPVC系ラップフィルムに替る材料構成のラップフィルムが、これまで種々検討されており、特にポリオレフィン系樹脂を用いたラップフィルムの構成が多く提案され、上市されている。例えばポリエチレン系単層品、ポリエチレンとポリプロピレンとの積層品、ポリメチルペンテン−1単層品又はポリメチルペンテン−1とポリプロピレンとの積層品、ナイロンとポリプロピレンとの積層品などの構成である。
【0004】
しかしながら、このような構成のラップフィルムにおいては、以下に示すような欠点を有し、十分に満足し得るものではなかった。中でも、ポリエチレン系単層フィルムは、油物(例えば食肉や天ぷらなど)に接触し、かつ高熱となった場合には、フィルムが溶融して穴が開くという欠点を有している。さらに、前記構成のラップフィルムは、一般にカット性(切断しやすさ)について下記の問題点がある。すなわち、ラップフィルムは、通常紙箱などのケースに収納されており、そして、このケースに取り付けられた鋸刃と呼ばれる切断刃に当ててフィルムを引き取って適宣の長さに切断するものである。このフィルムの切断に利用される鋸刃としては、一般には0.2mm厚程度の鉄板をのこぎり型に打ち抜いただけの簡単な刃が使用されており、また、この鋸刃を支えるケースについても、300〜700g/m2程度のコートボール紙製の紙箱が使用され、剛性は極めて低い。
上記フィルムは、簡単な切断機構によっても、消費者の手作業に従って容易に切断されることが要請されるが、実際には、ケースや鋸刃が変形したりするばかりではなく、フィルムが変形したり、鋸刃から外れた位置で切断が起こったりする場合がある。具体的に説明すると、従来のPVDC系フィルムでは、切断の際にフィルムの一部に裂け目ができると、その裂け目が広がって、鋸刃に沿って切断されることなく、斜めに切れてしまう傾向がある。また、従来のポリエチレン系フィルムは、切断時にフィルムが伸びてしまったり、あるいは引張り力を要するため、ケースの曲折や変形が生じることがある。
【0005】
このような問題を解決したラップフィルムとして、少なくとも外層、中間層及び内層の3層を有し、かつ該内層及び外層がポリプロピレン系樹脂組成物からなり、上記中間層が脂肪族ポリアミド樹脂からなる積層フィルムを、該フィルムの引取り方向に延伸倍率2.0〜4.5倍で延伸処理してなる包装用フィルム(例えば、特許文献1参照)、あるいは両表面層をポリプロピレン系樹脂、中間層をポリアミド樹脂とした少なくとも3層の積層フィルムを縦方向及び横方向にそれぞれ2〜5倍延伸処理して得られた2軸延伸フィルムからなる包装用フィルム(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
しかしながら、これらの包装用フィルムは、その層構成が本発明のフィルムとは異なるものであり、またその性能についても、鋸刃でのカット性、透明性、容器との密着性、電子レンジでの耐熱性、低熱収縮性、食品安全性、コストなどの全てを必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0006】
また、他の材料構成からなるラップフィルムとして、ポリエステル系樹脂や生分解性樹脂を使用したものも数多く提案されているが、実用特性やコストなどの面で問題があり、まだ上市に至っていない。したがって、現在、市場では依然としてPVDC系やPVC系のラップフィルムが主流を占めており、品質やコストなどの面でこれらに匹敵する非塩素系材料からなるラップフィルムの開発が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平4―249131号公報
【特許文献2】
特開平8―80600号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、廃棄処理の容易性、鋸刃でのカット性、透明性、容器との密着性、電子レンジでの耐熱性、低熱収縮性、食品安全性などの要求性能を満たすと共に、コスト的にも満足し得る非塩素系材料からなるラップフィルムを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有するラップフィルムを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエチレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層、ポリアミド系樹脂層を含む特定の層構成と厚さを有する積層フィルムを、フィルムの引取り方向に所定の倍率で延伸処理することにより、ポリアミド系樹脂本来の特性(耐熱性、機械的特性)を損なうことなく、カット性、透明性、粘着性、耐熱性、低熱収縮性及び食品安全性などに優れ、かつコスト的にも満足し得るラップフィルムが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) ポリアミド系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層及びポリエチレン系樹脂を有する少なくとも4層構成からなる積層フィルムを、フィルム引取り方向に延伸倍率1.5〜5倍で延伸処理してなり、かつフィルム全体の厚さが40μm以下で、ポリアミド系樹脂層の厚さがフィルム全体の厚さの5〜80%であることを特徴とする粘着性積層フィルム、
(2) 内外層がポリエチレン系樹脂層であり、かつ該層を構成するポリエチレン系樹脂が、線状低密度ポリエチレン樹脂である上記(1)の粘着性積層フィルム、
(3) ポリアミド系樹脂層を構成するポリアミド系樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂である上記(1)、(2)の粘着性積層フィルム、及び
(4) 引取り方向に対し、平行方向の引張破断点伸度(EA)が200%以下で、垂直方向の引張破断点伸度(EB)が80%以上であり、かつ前記EA/EB比が0.7以下である上記(1)、(2)、(3)の粘着性積層フィルム、
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着性積層フィルムは、ポリアミド系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層及びポリエチレン系樹脂層を有する少なくとも4層構成からなり、この層構成としては、例えば外層(表層)/中間層/中心層/中間層/内層(表層)の構成を挙げることができる。
表層(外層、内層)を構成する樹脂層としては、ポリエチレン系樹脂層及びポリプロピレン系樹脂層いずれであってもよいが、本発明においては、粘着性や添加剤との相溶性などの点から、特に線状低密度ポリエチレン樹脂から構成されるポリエチレン系樹脂層が好適である。
ここで、線状低密度ポリエチレン樹脂とは、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であり、エチレンが40モル%以上、望ましくは70モル%以上を占め、かつα−オレフィンが炭素数3〜12であるものをいう。α−オレフィンは直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセンー1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が単独又は複数で用いられる。
【0011】
また、この線状低密度ポリエチレン樹脂としては、密度が好ましくは0.900〜0.950g/cm3、特に好ましくは0.910〜0.940g/cm3の範囲であり、かつ、メルトフローレート(MFR)が好ましくは0.5〜40g/10分、特に好ましくは1〜30g/10分の範囲のものが好適である。
表面層のポリエチレン樹脂には粘着性を向上させるために、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加することが好ましい。このポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンの縮合重合体の水酸基のうち、少なくとも1個が炭素数8〜22の高級脂肪酸等で脂肪酸エステル化された化合物が好適である。ここでグリセリン縮合重合体は重合度が通常2〜10、好ましくは2〜6の縮合重合体である。グリセリンの縮合重合体の水酸基のうち、エステル化された水酸基の数は1個以上であり、好ましくは1個以上かつ水酸基の数の70%以下、より好ましくは1個以上かつ水酸基の数の60%以下である。高級脂肪酸は炭素数8〜22の脂肪酸であれば、飽和でも不飽和でもよく、通常は炭素数10〜18の脂肪酸であることが好ましい。
【0012】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジオレート、ジグリセリントリオレートなどを挙げることができる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。このポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して通常0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜6重量部である。この配合量が0.2重量部より少ないと粘着性向上効果が十分ではなく、逆に10重量部を超えると、大量のブリーディングによるべとつきや臭いが生じ、また、ゲルが多発するので好ましくない。
一方、本発明の粘着性積層フィルムの少なくとも1層を構成するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、又は、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体を好適に用いることができる。更に、フィルムとして“コシ感”や“カット性”の向上を目的として石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン樹脂、又はそれらの水素添加誘導体を50〜10重量%程度添加することが好ましい。さらに、粘着性や剥離性の調整を目的として、前記表層の線状低密度ポリエチレン樹脂層と同様に、高級脂肪酸のエステル化合物等を添加してもよい。
【0013】
また、本発明の粘着性積層フィルムの別の層に用いられるポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、及びそれらの混合物などが挙げられるが、ラップフィルムとして必要な耐熱性やバリア性、及び原料コスト面より、通常は脂肪族ポリアミド樹脂が好ましく使用される。該ポリアミド樹脂としては、例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3―又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m―又はp−キシリレンジアミン等の脂肪族、脂環式、芳香族のジアミンとアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族、脂環式、芳香族ジカルボン酸との重縮合によって得られるポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド、ε−カプロラクタム、ε−ラウロラクタム等のラクタムから得られるポリアミド又はこれらの共重合ポリアミドなどが挙げられる。具体的には、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−9、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6/6,6、ナイロン−6,6/6,10、ナイロン−6/11等が好ましく挙げられる。成形性の観点からは、融点が170〜280℃、好ましくは190〜250℃のものが好適である。本発明においては、特に、ナイロン−6やナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6が好適に用いられる。
【0014】
また、このポリアミド系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層やポリエチレン系樹脂層との層間剥離を防止するために、接着性樹脂層を設けることが好ましい。この接着性樹脂層を構成する接着性樹脂は、一般的に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂等を使用することができる。
本発明の粘着性積層フィルムの製造方法については特に制限はないが、以下に示す方法を好ましく採用することができる。
まず、上記ポリエチレン系樹脂(以下PEと略記する。)とポリプロピレン系樹脂(以下PPと略記する。)とポリアミド系樹脂(以下PAと略記する。)と接着性樹脂(以下ADと略記する。)とを共押出成形することによって未延伸多層フィルムを作製する。この層構成の例としては、
PE/PP/AD/PA/PE
PE/PP/AD/PA/AD/PP/PE
PE/AD/PA/AD/PP/AD/PA/AD/PE
等が挙げられる。
【0015】
上記の共押出成形方法としては、Tダイ成形法又は水冷式インフレーション成形法が好ましい。すなわち、溶融押出された樹脂を上記成形方法により急冷することにより、通常よく用いられる空冷式インフレーション成形法と比較してより透明性に優れたフィルムが得られ易い。上記共押出成形により得られた未延伸多層フィルムは、次いでフィルムの引取り方向(縦方向)に延伸倍率1.5〜5倍、好ましくは1.7〜4倍に一軸延伸処理する。該延伸倍率が1.5倍未満ではフィルムのカット性が不十分であり、また5倍より大きいと延伸性が低下し、破断が生じたり、フィルムに延伸むらができやすくなる。該延伸処理は上記未延伸多層フィルムをそのままあるいは所定の幅にスリットしたものを加熱し、例えば延伸ロールの周速度を変化させることによりフィルムの引取り方向すなわち縦方向に延伸する方法等により行われる。該延伸処理による予熱温度としては、通常はポリエチレン系樹脂の融点以下、好ましくは40〜120℃の範囲である。
また、延伸後の熱固定温度は該予熱温度以上とし、さらにフィルムのシワ防止、横強度向上のためには、できるだけ高い温度とすることが好ましく、通常はポリエチレン系樹脂の融点以下、好ましくは80〜120℃範囲で行うのが有利である。該予熱及び熱固定温度がポリエチレン系樹脂の融点より高い場合は、延伸ロールにフィルムが溶融付着し、また、予熱温度が40℃未満では、フィルムが予熱不十分のために延伸困難となり、フィルムの破断が生じやすくなるので好ましくない。
【0016】
本発明の粘着性積層フィルムの厚さとしては40μm以下、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmの範囲であり、またポリアミド系樹脂層の厚さは全体の厚さに対して5〜80%の範囲とする必要がある。該フィルムの厚さが40μmを超えるとフィルム切断時の引裂強度が大きくなりすぎ、ラップフィルムの用途には不適である。
また、ポリアミド系樹脂層の厚さが全体厚さの5%未満ではポリアミド系樹脂本来の耐熱性、機械的強度等を維持することができず、また一軸延伸のポリエチレン系フィルム又はポリプロピレン系フィルムとしての物性が支配的になるので、延伸方向に裂け易くなる。ポリアミド系樹脂層の厚さは全体の厚さの10%以上であるのが好ましい。逆に80%を超えるものではポリエチレン系樹脂層やポリプロピレン系樹脂層の厚さが薄くなり、共押出成形により均一に中間層のポリアミド系樹脂層を覆うことが困難となる。ポリアミド系樹脂層の厚さは全体の厚さの70%以下であるのが好ましい。
【0017】
本発明の粘着性積層フィルムにおいては、引取り方向に対し、平行方向の引張破断点伸度(EA)が200%以下で、垂直方向の引張破断点伸度(EB)が80%以上であり、かつ前記EA/EB比が0.7以下であることが好ましい。前記EAが200%を超えると、鋸刃でカットする際に、フィルムが引取り方向に伸びすぎてカットしにくいフィルムとなるおそれがあり、EBが80%未満では、カットした端面が、鋸刃でちぎれるような切れ方となるおそれがある。また、EA/EB比が0.7を超えると、横方向に鋸刃に沿って切れずに、斜め切れする傾向がある。
このような構成及び性状を有する本発明の粘着性積層フィルムは、ラップフィルムとしての要求性能を満たしており、鋸刃付きのカートンボックスに収納される小巻ラップフィルムとして好適に用いられる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた延伸フィルムの性能は以下に示す方法に従って測定した。
・ 透明性
(株)村上色彩技術研究所製の透明度測定器を用いて測定した。測定値はMAX値、MIN値、AVE値と3種類得られるが、目視感と最も対応するMAX値で表示した。
(2)耐熱温度
幅30mm、長さ140mmの短冊状フィルム試験片の上下25mmに紙をあて10gの重りを下げ、1時間で切れない最高雰囲気温度を10℃刻みで測定した。
【0019】
(3)熱収縮率
打抜き治具によりフィルムを直径10mmの試料にし、これをシリコーンオイルを入れたアルミパン中に浸し、このアルミパンを140℃のホットプレートの上に置いた。アルミパンに熱を奪われるために一旦ホットプレートの温度は下がるが、これが140℃になってから45秒後にサンプルを取り出し、そのサイズ変化を測定した。
(4)カット性
フィルムを紙管に巻き、ラップフィルム用ケースに収納し、鋸刃による切断テストを行い、4段階レベル(良好、普通、やや不良、不良)によって評価した。なお、評価の基準として市販のラップフィルムをカットした際のレベルを普通として評価した。
(5)粘着強度
軽く2枚のフィルムを重ね合わせ、そのフィルム上を25mmφ、幅150mmのロールにて線圧0.029MPaで3回加圧し、5分以内に2枚のフィルムをせん断剥離する場合と、180度方向に剥離する場合に要する力をインストロンタイプの引張試験機(オリエンテック社製「UTM−4L」)で測定した。
その際の条件を第1表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
(6)引張破断点伸度
JIS K 7127に準拠し、引張試験機(オリエンテック社製「UTM−4L」)により測定した。
実施例1
450mm幅4種7層共押出Tダイ成形機を用いて第2表に示す樹脂を4台の押出機よりダイス温度260℃で同時に押出し、チルロール温度20℃、引取り速度20m/分の条件で製膜し、外層(ポリエチレン樹脂)/中間層(ポリプロピレン樹脂)/接着層(変性樹脂)/中心層(ナイロン−6)/接着層(変性樹脂)/中間層(ポリプロピレン樹脂)/内層(ポリエチレン樹脂)からなる4種7層積層フィルムからなる原反(厚み25μm、層比が1/2/1/2/1/2/1)を成形した。なお、内外層の樹脂組成物は、第2表に示す成分を各々第2表に示す比率でブレンダーにて混合した後、直径30mmの2軸押出機を用いて200℃の押出条件にてペレット化して調製した。次いで該フィルムをロール延伸機により、予熱温度90℃、熱固定温度110℃で縦方向に2.5倍延伸した。得られたフィルムの評価結果を第3表に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例2
実施例1において、原反成形を水冷式インフレーション成形としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、延伸フィルムを作製した。その結果を第3表に示す。なお、原反成形条件は、ダイス径75mm、ダイス温度250℃、フローアップ比1.8、引取速度15m/分とし、折幅210mm、厚さ25μmのフィルムを成形した。
比較例1〜4
実施例1において、第3表に示したフィルム厚さ、層比、延伸倍率にしたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、延伸フィルムを作製した。その結果を第3表に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、廃棄処理の容易性、鋸刃でのカット性、透明性、容器との密着性、電子レンジでの耐熱性、低熱収縮性、食品安全性などのラップフィルムとしての要求性能を満たすと共に、コスト的にも満足することができ、鋸刃付きのカートンボックスに収納される小巻ラップフィルムとして好適な、非塩素系材料からなる粘着性積層フィルムを提供することができる。
Claims (4)
- 脂肪族ポリアミド樹脂からなるポリアミド系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層及びポリグリセリン脂肪族エステルを含むポリエチレン系樹脂層を有し、内外層がポリエチレン系樹脂層である少なくとも4層構成からなる積層フィルムを、フィルム引取り方向に延伸倍率1.5〜5倍で一軸延伸処理してなり、かつフィルム全体の厚さが40μm以下で、ポリアミド系樹脂層の厚さがフィルム全体の厚さの5〜80%であることを特徴とする粘着性積層フィルム。
- 内外層を構成するポリエチレン系樹脂が、線状低密度ポリエチレン樹脂である請求項1記載の粘着性積層フィルム。
- 引取り方向に対し、平行方向の引張破断点伸度(EA)が200%以下で、垂直方向の引張破断点伸度(EB)が80%以上であり、かつ前記EA/EB比が0.7以下である請求項1又は2記載の粘着性積層フィルム。
- 小巻ラップフィルムに用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着性積層フィルム。
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