本発明は、固体撮像装置への入射光を効率的に受光部に集光する光導波路の光反射膜形成が容易な固体撮像装置および固体撮像装置の製造方法に関するものである。
固体撮像素子においてフォトダイオ−ド上にオンチップマイクロレンズを設けて、その焦点位置がフォトダイオ−ドの受光部近傍に位置するように、中間層の膜厚を設定する方法が主流となっている。しかしながら、画素寸法の縮小化にともなって、また、配線の多層化が進み絶縁膜の膜厚が厚くなるにつれて、画素の開口部とマイクロレンズとの位置合わせずれや、小F値における光路ずれが、受光部の感度に影響を与える度合いが大きくなってきている。
近年、上記問題を避ける構成として、光導波路を有する固体撮像素子が提案されている。これらは、マイクロレンズを通過した入射光の焦点を光導波路の光入射面近傍に設定し、光導波路によって光を効率的に受光部に導くようにしたものである(例えば、特許文献1、2、3参照。)。これにより、上記問題を解決するとともに、自由度の大きいマイクロレンズおよび平坦化層の設計が可能になるとされている。
ここでの光導波路の側壁は高反射率を有する薄膜で覆われる必要があり、その薄膜としては、アルミニウム、銀、金、銅およびタングステンなどの材料が挙げられている。成膜方法として、側壁の膜厚が得られるように高カバレッジのCVDが有効であるとされている。
例えば、上記光導波路の作製においては、光導波路の側壁に光反射膜として高反射率(例えば反射率が85%以上)で、高カバレッジのアルミニウム膜の単層膜を用いる。このアルミニウム膜は、化学的気相成長(CVD)法によって成膜される。この成膜における原料としては、例えばメチルピロリダインアラン(MPA)を用いる。このMPAを用いた成膜では、高反射率の膜を形成するために、80℃〜120℃程度の低温での成膜が必要であり、また上記温度範囲では、アルミニウムの成長に選択性を有するため、下地に窒化チタン(TiN)膜や窒化タングステン(WN)膜など金属膜を形成していた。
特開平7−45805号公報
特開平8−139300号公報
特開2002−118245号公報
解決しようとする問題点は、CVD法によって成膜されるアルミニウム膜は、例えば下地を窒化チタン(TiN)膜を用いた場合、アルミニウム膜の膜厚が約50nm〜60nmで反射率が最も高くなる。一方、アルミニウム膜の膜厚が60nmを越えてそれ以上に厚くなるにしたがい、アルミニウム膜表面の反射率は低下する点である。それはアルミニウム膜の膜厚が厚くなると、表面の粗さが急激に粗くなり、成膜表面があれて白濁し、光反射率が例えば85%未満の膜となるためである。他方、アルミニウム膜の膜厚が50nm〜60nm程度では、光導波路に入射した光の一部がそのアルミニウム膜を透過し、その裏の絶縁膜を透過して電荷転送部に侵入することがある。このように電荷転送部に光が侵入することによりスミアが発生するという悪影響を生じる点である。このことは光導波路における光漏れが極わずかな光量であっても、電荷転送部に大きな影響を与える。そのため、アルミニウム膜は100nm程度の膜厚が必要である。したがって、上記二つの問題点を同時に解決する固体撮像装置および固体撮像装置の製造方法が求められていた。
本発明の固体撮像装置は、基板に設けた受光部と、前記基板上に形成されていて前記受光部を被覆する絶縁膜と、前記受光部上の前記絶縁膜に設けた光導波路と、前記光導波路の側壁に形成した光反射膜とを備えた固体撮像装置において、前記光反射膜は、窒化チタン膜、窒化タングステン膜、タングステン膜、タンタル膜、窒化タンタル膜もしくは窒化珪化チタン膜からなる第1膜と、アルミニウム膜、銀膜、金膜、銅膜、白金膜、ロジウム膜もしくはタングステン膜からなる第2膜との積層膜を複数層に形成したものからなる。
本発明の固体撮像装置の製造方法は、基板に設けた受光部を被覆する絶縁膜の前記受光部上に光導波路を形成し、前記光導波路の側壁に光反射膜を形成する工程を備え、前記光反射膜を形成する工程は、窒化チタン膜、窒化タングステン膜、タングステン膜、タンタル膜、窒化タンタル膜もしくは窒化珪化チタン膜で形成される第1膜と、アルミニウム膜、銀膜、金膜、銅膜、白金膜、ロジウム膜もしくはタングステン膜で形成される第2膜との積層膜を複数層に形成する。
本発明の固体撮像装置は、光導波路の側壁に形成する光反射膜は、下地となる第1膜と光を反射するもので前記第1膜上に形成した第2膜との積層膜を複数層に形成したものからなるため、最表面に形成される光を反射する第2膜は光反射率を低下させることのない膜厚で成膜することができる。このため、入射光を、光導波路に形成した光反射膜によって効率よく反射して受光部に導くことができるという利点がある。さらに、第2膜は複数層に形成されるため、表面反射率を低下させることの無い膜厚で、総膜厚は光導波路が形成される絶縁膜方向に入射光が透過することの無い膜厚に形成することができるため、電荷転送部に悪影響を与えること、例えばスミアが発生することがないという利点がある。よって、固体撮像装置の電荷転送に悪影響を及ぼすことなく感度の向上が図れる。
本発明の固体撮像装置の製造方法は、下地となる第1膜と光を反射するもので第1膜上に形成した第2膜との積層膜を複数層に形成することで光反射膜を形成するため、最表面に形成される光を反射する第2膜を、光反射率を低下させることのない膜厚で成膜することができる。このため、入射光を、光導波路に形成した光反射膜によって効率よく反射して受光部に導くことができるようになるという利点がある。さらに、第2膜は複数層に形成されるため、表面反射率を低下させることの無い膜厚で、総膜厚は光導波路が形成される絶縁膜方向に入射光が透過することの無い膜厚に形成することができるため、固体撮像装置の電荷転送部に悪影響を与えること、例えばスミアが発生することがないという利点がある。よって、電荷転送に悪影響を及ぼすことなく感度の向上が図れる固体撮像装置の製造ができる。
固体撮像装置において、電荷転送に悪影響を及ぼすことなく感度の向上を図るという目的を、光導波路に設ける光反射膜を、下地となる第1膜と光を反射するもので第1膜上に形成した第2膜との積層膜を複数層に形成することで、プロセス的負荷を大きくかけることなく実現した。
本発明の固体撮像装置に係る一実施例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
図1に示すように、半導体基板11には複数の受光部12が形成されている。図面では、一つの受光部に着目して示した。この半導体基板11上には絶縁膜21を介して、例えば複数層に配線41、42、43が形成されている。図面では3層の配線を示したが、上記配線は1層であっても2層であっても、または4層以上であってもよい。図面では、3層の構成を一例として示した。
具体的には、半導体基板11上に酸化シリコン膜22、窒化シリコン膜23が形成されている。この窒化シリコン膜23は後に説明する光導波路31を形成する際のエッチングストッパとなる膜であり、上記酸化シリコン膜22は窒化シリコン膜23の応力緩和を目的とした膜である。したがって、それぞれの目的を満たす膜であれば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜に限定はされない。さらに上記エッチングストッパとなる窒化シリコン膜23上には、配線間の層間絶縁膜24が形成されている。最下層の層間絶縁膜24は、ノンドープトシリケートガラス(NSG)膜(下層)と、テトラエトキシシラン(TEOS)を原料に用いたプラズマCVD法により成膜される酸化シリコン膜(以下、P−TEOS膜等)(上層)とからなり、層間絶縁膜24に形成された配線溝内にバリアメタル層(図示せず)介して銅膜を埋め込んでなる溝配線構造の1層目の配線41が形成されている。さらに、配線41を被覆するように、層間絶縁膜24上には、銅の拡散を防止するとともに銅配線の腐食を防止する保護層(エッチングストッパ層にもなる)25が形成されている。この保護膜25は、例えば窒化シリコン膜もしくは炭化シリコン膜で形成されている。さらに、上記保護膜25上には、2層目の層間絶縁膜26、保護層27、および3層目の層間絶縁膜28、保護層29が形成されていて、各層間絶縁膜26、28には、上記溝配線構造と同様なる構造の第2層目の配線42、第3層目の配線43が形成されている。上記層間絶縁膜26、28は例えばP−TEOS膜のみで形成されていてもよい。さらに保護層29上には層間絶縁膜30が形成されている。
上記層間絶縁膜30から上記層間絶縁膜24にかけて光導波路31となる孔32が形成されている。この孔32の側壁には光反射膜51が形成され、さらに側壁に光反射膜51を介して、孔32内部には、例えば高密度プラズマCVD法により成膜される酸化シリコン膜もしくは塗布により形成される酸化シリコン膜のような、例えば可視光線に対して透明な膜が埋め込まれていて、その部分が上記光導波路31となる。なお、光導波路31を形成する膜は、固体撮像装置が受光する波長の光を透過する材料が選択される。例えば、受光波長領域が可視光領域ならば可視光を透過する材料として例えば酸化シリコンが選択され、受光波長領域が赤外光ならば赤外光を透過する材料が選択される。
上記光反射膜51は、例えば下地となる第1膜52と光を反射する第2膜53とからなる積層膜54を複数層に形成したものからなる。図面では、積層膜54を2層に形成したものを示したが、3層以上に形成することもできる。
上記第1膜52は、例えば窒化チタン(TiN)膜、窒化タングステン(WN)膜、タングステン(W)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜もしくは窒化珪化チタン(TiSiN)膜からなり、その膜厚は、例えば3nm〜10nmとすることが好ましい。なお、上記第1膜52の膜厚が3nmよりも薄いと下地膜としての機能を果たさなくなる可能性があり、また10nmよりも厚い膜厚では光導波路31を狭くするために好ましくない。第1膜52は第2膜53を成膜するうえでの下地膜としての機能を果たす最低限の膜厚が確保できていれば十分である。
また、上記第2膜53は、例えば有機アルミニウム化合物を原料に用いたCVD法により成膜されたアルミニウム膜からなり、50nm以上70nm以下の膜厚に形成されることが好ましい。第2膜53を上記アルミニウム膜で形成した場合、上記膜厚範囲を越えると反射率が急激に低下する。これは、膜表面の表面粗さが粗くなり、表面が白濁した膜となるためである。また、上記膜厚範囲を下まわる膜厚の場合には、光を透過しやすくなり、好ましくない。したがって、上記アルミニウム膜は上記膜厚範囲内に形成されることが好ましい。この膜厚範囲内に形成されることにより、上記アルミニウム膜表面における可視光の反射率は85%以上を確保することができる。また、第2膜53は2層に形成されることから、第2膜53の総膜厚は100nm以上となり、入射光が光反射膜31を透過することは無い。このため、光導波路31から光が漏れて層間絶縁膜26、28、30等を透過し、図示はしていない電荷転送部に入射することは無い。したがって、光導波路31を起因とするスミアの発生を抑制することができ、高品質な固体撮像装置を構成することができる。
なお、アルミニウム膜の他には、可視光線の反射率がアルミニウム膜よりも高い銀(Ag)膜を用いることもできる。その他、波長領域によっては、金、銅、白金、ロジウム、タングステン等の材料膜を用いることもできる。すなわち、上記光反射膜51の第2膜53は、固体撮像装置の受光波長に応じて、例えば反射率が85%以上の高反射率が得られる材料膜を適宜選択することが好ましい。
上記光導波路31を除く上記層間絶縁膜30上には遮光膜61が形成されている。この遮光膜61は、例えばタングステン膜で形成されている。さらに光導波路31上および遮光膜61上を被覆するパッシベーション膜34、平坦化膜35、カラーフィルタ層36が形成され、光導波路31上方のカラーフィルタ層36上には、オンチップレンズ71が形成されている。上記パッシベーション膜34は、例えばプラズマCVD法により成膜されるいわゆるプラズマ窒化シリコン膜からなり、上記平坦化膜35は、例えばSOG(Spin on glass)膜からなる。またカラーフィルタ層36は、各色(RGB)の受光部12に対応して、R(赤)G(緑)B(青)の各色が塗り分けられている。
上記構成の固体撮像装置1では、オンチップレンズ71に入射した光はオンチップレンズ71により集光され、光導波路31を通り、受光部12に集光される。そのため、オンチップレンズ71に入射した光は外部に逃げることなく効率良く受光部12に集光されるので、固体撮像装置の感度が向上される。それとともに、光導波路31の側壁には光反射膜51が形成されている。この光反射膜51は、下地となる第1膜52と光を反射するもので第1膜52上に形成した第2膜53との積層膜54を複数層(上記実施例では2層)に形成したものからなるため、最表面に形成される光を反射する第2膜53は光反射率を低下させることのない膜厚、すなわちアルミニウム膜の場合には50nm以上70nm以下の膜厚で成膜することができる。このため、入射光を、光導波路31に形成した光反射膜51によって効率よく反射して受光部12に導くことができるという利点がある。さらに、第2膜53は複数層に形成されるため、表面反射率を低下させることの無い膜厚で、総膜厚は光導波路31が形成される層間絶縁膜24、26、28、30方向に入射光が透過することの無い100nm以上の膜厚に形成することができるため、電荷転送部(図示せず)に悪影響を与えること、例えばスミアが発生することがないという利点がある。よって、固体撮像装置の電荷転送に悪影響を及ぼすことなく感度の向上が図れる
本発明の固体撮像装置の製造方法に係る一実施例を、図2〜図5の概略構成断面図によって説明する。ここでは、本発明の主要部である光導波路の形成方法を主として説明する。その他の製造方法は既知の製造方法と同様に行うことができる。
図2(1)に示すように、半導体基板11には複数の受光部12が形成されている。図面では、一つの受光部に着目して示した。この半導体基板11上には絶縁膜21を介して、例えば複数層に配線41、42、43が形成されている。図面では3層の配線を示したが、上記配線は一層であっても二層であっても、または4層以上であってもよい。図面では、3層の構成を一例として示した。
具体的には、半導体基板11上に酸化シリコン膜22、窒化シリコン膜23が形成されている。この窒化シリコン膜23は後に説明する光導波路を形成する際のエッチングストッパとなる膜であり、上記酸化シリコン膜22は窒化シリコン膜23の応力緩和を目的とした膜である。したがって、それぞれの目的を満たす膜であれば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜に限定はされない。さらに上記エッチングストッパとなる窒化シリコン膜23上には、配線間の層間絶縁膜24が形成されている。この層間絶縁膜24は、ノンドープトシリケートガラス(NSG)膜(下層)とテトラエトキシシラン(TEOS)を原料に用いたプラズマCVD法により成膜される酸化シリコン膜(以下、P−TEOS膜とう)(上層)とからなり、層間絶縁膜24に形成された配線溝内にバリアメタル層(図示せず)介して銅膜を埋め込んでなる溝配線構造の1層目の配線41が形成されている。さらに、配線41を被覆するように、層間絶縁膜24上には、銅の拡散を防止するとともに銅配線の腐食を防止する保護層(エッチングストッパ層にもなる)25が形成されている。この保護膜25は、例えば窒化シリコン膜もしくは炭化シリコン膜で形成されている。さらに、上記保護膜25上には、2層目の層間絶縁膜26、保護層27、および3層目の層間絶縁膜28、保護層29が形成されていて、各層間絶縁膜26、28には、上記溝配線構造と同様なる構造の第2層目の配線42、第3層目の配線43が形成されている。上記層間絶縁膜26、28は例えばP−TEOS膜のみで形成されていてもよい。さらに保護層29上には層間絶縁膜30が形成されている。
上記層間絶縁膜30上に通常のレジスト塗布技術によりレジスト膜(図示せず)を形成した後、通常のリソグラフィー技術により、光導波路を形成する領域上における上記レジスト膜に開口部を形成し、レジストマスクを完成させる。その後、レジストマスクを用いたエッチング技術により、上記層間絶縁膜30から上記層間絶縁膜24にかけて光導波路を形成するための孔32を形成する。その後、上記レジストマスクを除去する。
次いで、図2(2)に示すように、上記孔32の内壁に光反射膜を構成する下地となる第1膜52(521)を形成する。この第1膜521は、例えば、窒化チタン(TiN)膜、窒化タングステン(WN)膜、タングステン(W)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜もしくは窒化珪化チタン(TiSiN)膜で形成し、その膜厚は、例えば3nm〜10nmとする。その成膜方法は、例えばスパッタリング法もしくは化学的気相成長(CVD)法による。なお、上記第1膜521の膜厚が3nmよりも薄いと下地膜としての機能を果たさなくなる可能性があり、また10nmよりも厚い膜厚では光導波路を狭くするために好ましくない。また第1膜521は第2膜53を成膜するうえでの下地膜としての機能を果たす最低限の膜厚が確保できていれば十分である。したがって、第1膜521は上記膜厚範囲とした。
上記第1膜521をスパッタリング法により窒化チタン膜で形成する成膜条件例を以下に説明する。スパッタリングのターゲットにはチタンターゲットを用い、プロセスガスにはアルゴン(Ar)を用い、さらにスパッタリング雰囲気に窒素ガスを添加する。またDC(タ−ゲット)パワ−は15kW、基板温度は200℃以下とした。このような条件で成膜を行った。上記スパッタリングでは、孔32のアスペクト比に応じて、指向性の高い遠距離スパッタ法、イオン化スパッタ法などを用いることが好ましい。
次いで、図3(3)に示すように、上記第1膜521表面に、光反射膜を構成する光を反射する1層目の第2膜53(531)を成膜して、積層膜54を形成する。上記第2膜531はアルミニウム膜からなり、例えば有機アルミニウム化合物を原料に用いたCVD法により成膜され、その膜厚は50nm以上70nm以下とすることが好ましい。上記第2膜531の成膜は、上記第1膜521を成膜した後、大気開放することなく連続処理を行うことが好ましい。このように大気開放することなく連続的に成膜処理を行うことによって、コンフォーマルなアルミニウム膜を得ることができる。上記アルミニウム膜の膜厚が70nmを越えると、膜表面の凹凸が著しく激しくなり、表面が白濁した状態になって反射率が急激に低下することが実験によってわかっている。また、アルミニウム膜の膜厚が50nmに満たない場合には、光を透過しやすくなり、好ましくない。したがって、上記膜厚範囲とした。また、アルミニウム膜の成膜に用いる有機アルミニウム化合物としては、例えばMPA(メチルピロリダインアラン)を使用することができる。その他の反応ガスとして、例えば、DMAH(ジメチルアルミニウムハイドライド)、TMA(トリメチルアルミニウム)、DMEAA(ジメチルエチルアミンアラン)を使用することも可能である。そして、成膜雰囲気の圧力を例えば30Pa、基板温度を例えば90℃〜120℃として、成膜を行った。
次いで、図3(4)に示すように、上記第2膜531表面に、光反射膜を構成する下地となる2層目の第1膜52(522)を形成する。この第1膜522は、最初に形成した第1膜521と、同様な成膜方法で、同様なる材料を用いることができ、同様なる膜厚に形成することができる。すなわち、窒化チタン(TiN)膜、窒化タングステン(WN)膜、タングステン(W)膜、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜もしくは窒化珪化チタン(TiSiN)膜で形成し、その膜厚は、例えば3nm〜10nmとする。その成膜方法は、例えば、第1層目の第2膜531を成膜した後、大気開放することなく連続処理にて、例えばスパッタリング法もしくは化学的気相成長(CVD)法により成膜する。スパッタリングで成膜する場合には、孔32のアスペクト比に応じて、指向性の高い遠距離スパッタ法、イオン化スパッタ法などを用いることが好ましい。なお、上記第1膜522の膜厚も第1膜521と同様に、3nmよりも薄いと下地膜としての機能を果たさなくなる可能性があり、また10nmよりも厚い膜厚では光導波路を狭くするために好ましくない。また第1膜522は第2膜53を成膜するうえでの下地膜としての機能を果たす最低限の膜厚が確保できていれば十分である。したがって、第1膜522は上記膜厚範囲とした。
次いで、上記第1膜522表面に、光反射膜を構成する光を反射する2層目の第2膜53(532)を成膜して、積層膜54を形成する。この実施例では、2層の積層膜54を形成した。上記第2膜532は、最初に形成した第1膜521と、同様な成膜方法で、同様なる材料を用いることができ、同様なる膜厚に形成することができる。すなわち、アルミニウム膜からなり、例えば有機アルミニウム化合物を原料に用いたCVD法により成膜され、その膜厚は上記第1層目の第2膜531と同様な理由により、50nm以上70nm以下とする。上記第2膜532の成膜は、上記第1層目の第2膜531と同様な理由により、上記第1膜522を成膜した後、大気開放することなく連続処理を行うことが好ましい。
このように、光反射膜51の光を反射する第2膜53を、スパッタリング法によって形成するのではなく、化学的気相成長(CVD)法によって形成することから、孔32の開口部にオーバーハング上に第2膜53が形成されることは無く、カバレッジ性に優れたコンフォ−マルな形状を得ることが可能となる。このため、入射してきた光を孔32の開口部で遮る心配もない。
上記説明したように、第1膜52(521)と第2膜53(531)とからなる1層目の積層膜54(541)と、第1膜52(522)と53(532)とからなる2層目の積層膜54(542)とにより光反射膜51が形成される。したがって、光反射膜51は、アルミニウム膜からなる第2膜52が2層形成されることになり、その総膜厚が100nm以上となるので、光導波路31から層間絶縁膜24、26、28、30方向に入射光が透過することがほとんど無くなり、光導波路31内を反射、通過する光によって、電荷転送部(図示せず)に悪影響を与えること、例えばスミアが発生することはない。また、光反射膜51の最表面は、高反射率(例えば85%以上の反射率)が得られるアルミニウム膜からなる第2膜52となっているため、入射光を光反射膜51によって効率よく反射して受光部12に導くことができる。
上記光反射膜51は、下地となる第1膜52と光を反射する第2膜53からなる積層膜54を2層に形成したが、積層膜54を複数層に形成したものからなるものであればよく、積層膜54を3層以上に形成することもできる。
その後、例えば異方性ドライエッチング技術(例えば反応性イオンエッチング)もしくはイオンミリングによって、層間絶縁膜30上および孔32底部の余剰な光反射膜51を除去することで、図4(5)に示すように、孔32側壁のみに光反射膜51を形成する。
次いで、図4(6)に示すように、孔32内部に光反射膜51を介して光透過膜33を埋め込むように形成する。この光透過膜33は、例えば、高密度プラズマCVD法によって酸化シリコン膜で形成する。もしくは、塗布法によって酸化シリコン膜で形成することもできる。上記孔32内に埋め込まれた光透過膜33が上記光導波路31となる。したがって、光透過膜33として、可視光線に対して透明な膜として酸化シリコン膜を選択したが、固体撮像装置が受光する波長領域が赤外光ならば赤外光を透過する材料が選択される。
次いで、例えば化学的機械研磨により層間絶縁膜30上の余剰な光透過膜33を除去して、図5(7)に示すように、孔32の内部のみに光透過膜33を残すことによって、上記光反射膜51とともに光導波路31を形成する。
その後、図示はしないが、遮光膜、パッシベーション膜、オンチップレンズ等を形成することによって、前記図1によって説明したような固体撮像装置が完成される。
上記固体撮像装置の製造方法は、下地となる第1膜52と光を反射するもので第1膜52上に形成した第2膜53との積層膜54を複数層(2層)に形成することで光反射膜51を形成するため、最表面に形成される光を反射する第2膜53を、光反射率を低下させることのない膜厚で成膜することができる。このため、入射光を、光導波路31に形成した光反射膜51によって効率よく反射して受光部12に導くことができるようになるという利点がある。さらに、第2膜53は複数層(2層)に形成されるため、可視光の反射率を85%以上に確保することができる膜厚で、総膜厚は光導波路31が形成される層間絶縁膜24、26、28、30方向に入射光が透過することの無い膜厚に形成することができるため、固体撮像装置の電荷転送部(図示せず)に悪影響を与えること、例えばスミアが発生することがないという利点がある。よって、電荷転送に悪影響を及ぼすことなく感度の向上が図れる固体撮像装置の製造ができる。
また、上記製造方法では、第1膜52と第2膜53とからなる積層膜54を2層に形成下後、エッチバックを行っているが、第1膜521、第2膜531、第1膜522、第2膜532を成膜するごとにエッチバックを行って、各膜を孔32の側壁に形成していくことも可能である。
本発明の固体撮像装置および固体撮像装置の製造方法は、光導波路を必要とする用途にも適用できる。
固体撮像装置に係る一実施例を示した概略構成断面図である。
固体撮像装置の製造方法に係る一実施例を示した概略構成断面図である。
固体撮像装置の製造方法に係る一実施例を示した概略構成断面図である。
固体撮像装置の製造方法に係る一実施例を示した概略構成断面図である。
固体撮像装置の製造方法に係る一実施例を示した概略構成断面図である。
符号の説明
1…固体撮像装置、11…半導体基板、12…受光部、24,26,28,30…層間絶縁膜、31…光導波路、51…光反射膜、52…第1膜、53…第2膜、54…積層膜