JP4280223B2 - 鉄損に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、モーター鉄芯などに用いられる無方向性電磁鋼板の鉄損を下げて、エネルギーロスを少なくし、電気機器の効率化を図り省エネに寄与すべく、鉄損、特に、歪取焼鈍後の鉄損に優れた無方向性電磁鋼板を提供する。
無方向性電磁鋼板は、結晶粒径が150μm程度で鉄損が最小となることが知られている。このため、製品特性の観点から、あるいは製造の簡略化、高生産性化の観点から、仕上げ焼鈍での結晶粒成長性のより良い鋼板が望まれている。
さらに、需要家によって鉄心の打ち抜き加工が施される際には、打ち抜き加工における打ち抜き精度は結晶粒が細かいほど良く、結晶粒径は、例えば40μm以下が好ましい。このように、結晶粒径に対する鉄損と打ち抜き加工精度の要求が相反する場合もある。
特に、この相反する要求を満たす場合は、製品板の結晶粒径を細かいまま出荷し、需要家の打ち抜き加工の後に、例えば、750℃×2時間程度の歪取り焼鈍を行って結晶粒を成長させる方策が択られている。
近年、需要家より低鉄損材の要求ニーズが強く、また、需要家の生産性向上によって歪取り焼鈍の低温短時間化が志向されてきており、歪取り焼鈍での結晶粒成長性のより良い製品板のニーズが増大してきた。
結晶粒成長を阻害する主たる要因のひとつは、鋼中に微細に分散する介在物である。製品中に含まれる介在物の個数がより多くなるほど、また大きさが小さくなるほど、結晶粒成長が阻害されることが知られている。
すなわち、ゼナー(Zener)が提示したように、介在物の球相当半径rと鋼中に占める介在物の体積占有率fで表されるr/f値がより小さいほど、結晶粒成長はより悪化する。したがって、結晶粒成長を良好化するためには、介在物の個数をより少なくすることは勿論、介在物の大きさをより粗大化させることが肝要である。
無方向性電磁鋼板の結晶粒成長を阻害する微細介在物としては、シリカやアルミナなどの酸化物、硫化マンガンなどの硫化物、窒化アルミや窒化チタンなどの窒化物などが知られている。
これらの微細介在物を除去あるいは必要充分なレベルにまで減少させるために、溶鋼段階で高純化を図ればよいことは自明である。しかし、微細介在物を除去、あるいは必要充分なレベルにまで減少させるために、溶鋼段階で高純化を図ることは、製鋼コストアップが避けられないので、好ましくない。
そこで別法として、種々の元素を鋼に添加して介在物の無害化を図る方法がいくつか知られている。
酸化物に関しては、技術進歩により、強脱酸元素であるAlを充分量添加し、酸化物の浮上除去時間を充分に採ることにより、溶鋼段階で酸化物を除去し無害化することが可能となっている。
硫化物に関しては、例えば(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)などに開示されるように、脱硫元素である希土類元素(以下、REMと記載)などの添加によってSを固定する方法が知られている。
また、窒化物に関しても、(特許文献5)あるいは(特許文献6)などに開示されるように、Bの添加によって粗大介在物としてNを固定する方法が知られている。
特開昭51−62115号公報 特開昭56−102550号公報 特開昭59−74212号公報 特許3037878号公報 特許1167896号公報 特許1245901号公報
上述の方法によって、酸化物、硫化物ならびに窒化物を無害化した上で、製品板に仕上げ焼鈍あるいは打ち抜き加工後の歪取り焼鈍を行った場合、結晶粒成長が部分的にばらついて、微細結晶粒と粗大結晶粒が混在するようになり、鉄損が不良となる場合があった。
この原因は、焼鈍段階において、製品板の一部分に微細な炭化チタン(以下、TiCと記載)が生成し、結晶粒の成長を阻害するためであることが、以下に具体的に述べるように明らかであった。
製品板の仕上げ焼鈍あるいは打ち抜き加工後の歪取り焼鈍は、通常、1000℃以下の比較的低温で処理される場合が多く、なかでも、歪取り焼鈍は、製品板の表面コーティングの損耗を防ぐために750℃程度とさらに低温であり、そのような低温で結晶粒を充分に成長させるため、1時間以上の長時間にわたる焼鈍を余儀なくされている。
このような低温かつ長時間の焼鈍では、製品板の温度が全面で常に一定であることは極めて希であり、一部はより低温となり、別の一部はより高温となり、ばらつきが避けられない。
ところで、電磁鋼において、TiCの生成温度が700〜800℃の範囲内にあることが、別途検討により明らかである。低温かつ長時間の焼鈍において、ばらつきの中で高温となった部分は、TiCの生成温度を超えるためTiCは生成せず、高温であるが故に結晶粒成長速度も速く、従って結晶粒は粗大化する。
一方、ばらつきの中で低温であった部分は、TiCの生成温度以下となって、焼鈍中にTiCが生成することが起こり得る。低温下で生成するTiCは、低温の故に充分な大きさに成長することができず、微細となり、長時間の焼鈍中の結晶粒成長を妨げる。
生成するTiCは微細であるため、鋼中に含有されるTi量とC量が高々数ppm程度であっても、結晶粒成長を阻害するに足る個数のTiCが生成することとなる。さらに、低温であるが故に結晶粒の成長速度も遅いため、微細TiCによって結晶粒成長が阻害される効果がより強くなり、従って、結晶粒は成長せず微細となる。
このように、焼鈍温度の不可避的なばらつきにより、TiC有無のばらつきが発生し、ひいては結晶粒成長のばらつきが発生することになるのである。
本発明は、焼鈍中に微細TiCが析出することを防止することにより、結晶粒を充分に粗大成長させ、低鉄損化することが可能な無方向性電磁鋼板を提供することを目的とする。
本発明の要旨は次の通りである。
(1)質量%で、C:0.01%以下、Si:0.1%以上7.0%以下、Al:0.1%以上3.0%以下、Mn:0.1%以上2.0%以下、N:0.005%以下、Ti:0.0015%超0.02%以下、REM:0.05%以下、S:0.005%以下、O:0.005%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、[S]で示されたSの質量%と、[O]で示されたOの質量%と、[REM]で示されたREMの質量%と、[Ti]で示されたTiの質量%と、[N]で示されたNの質量%が、[1式]ならびに[2式]を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
[REM]2×[O]2×[S]≧1×10-15 [1式]
([REM]2×[O]2×[S])÷([Ti]×[N])≧1×10-10 [2式]
本発明により、無方向性電磁鋼板中に析出する微細なTiCを充分に抑制でき、仕上げ焼鈍や歪取り焼鈍段階での結晶粒成長を良好化することが可能となり、充分良好な磁気特性が得られ、需要家のニーズを満たしつつ省エネに貢献できる。
以下に、本発明の作用メカニズムについて、詳細に説明する。前述の通り、電磁鋼中の硫化物を無害化するにあたってREMを用いる技術、すなわち、REM添加によりSを固定して硫化物系介在物を減少させる技術は、従来から知られている。
ここで、REMとは、原子番号が57のランタンから71のルテシウムまでの15元素に原子番号が21のスカンジウムと原子番号が39のイットリウムを加えた合計17元素の総称である。
発明者が、この度、電磁鋼へのREM添加によって起こる現象を仔細に検討した結果、以下に示す事実が明らかとなった。すなわち、鋼中のREM、O、S、TiならびにNの成分値を適正な範囲内とすることにより、鋼中でREMオキシサルファイドを形成させ、かつ、REMオキシサルファイドの表面上にTiNを複合析出させてTiを固定し、焼鈍中のTiCの生成を防止できるような、各成分値の適正範囲が存在することが判明した。
これについて、以下に詳細に説明する。REMは鋼中で種々の元素と反応して介在物を形成するが、その一例として、REMオキシサルファイドや、REMサルファイド、あるいは、REMオキサイドなどがある。これらの結晶構造とTiNの結晶構造には類似する点が多いので、鋼中にこれらのREM介在物が存在した場合、図2に示すように、REM介在物に対して幾何学的に整った形で、TiNが複合析出する場合がある。
TiNの生成開始温度は1200〜1300℃の範囲であり、また、TiCの生成開始温度は700〜800℃の範囲であることが、別途検討により明らかであるので、一旦、TiNとしてTiが固定されると、製品板の仕上げ焼鈍あるいは打ち抜き加工後の歪取り焼鈍では、TiNが溶解してTiCが生成することはない。
ところで、REM介在物の中でも、REMオキシサルファイドの結晶格子構造と、TiNの結晶格子構造は、特に類似する点が多いため、この複合析出がより強固となり、Tiをより強固に固定することができる。よって、鋼中にREMオキシサルファイドを選択的に生成させることが、焼鈍中のTiCの生成をより確実に防止するために重要である。
REMオキシサルファイドの生成を左右する要件は、構成元素たるREMとOとSの溶解度積に関連すると考えられ、鋼中のREM量、O量ならびにS量の積の形で表される値が、所定の値を上回ることが必要であると推察される。
一方、Tiに関しては、TiNが生成し十分に成長することが必要であり、特に、鋼中のTiをTiNとして固定しきるために、TiNの成長に足るTiとNが鋼中に充分含有されることが必要である。ここで、TiNの生成を左右する要件は、構成元素たるTiとNの溶解度積に関連すると考えられる。
但し、鋼中のTi量やN量が過剰な場合には、鋼中の全てのTiならびにNがTiNとしてREMオキシサルファイド上に固定されるわけではなく、TiNを形成し損ねた余剰Tiが残存し、それによりTiCが生成することが起こり得る。従って、TiとNの溶解度積は、REMとOとSの溶解度積に対して、ある一定値以下の比率に押さえる必要がある。
以上に鑑み、発明者が鋭意検討の結果、[S]で示されたSの質量%と、[O]で示されたOの質量%と、[REM]で示されたREMの質量%と、[Ti]で示されたTiの質量%と、[N]で示されたNの質量%が、[1式]ならびに[2式]を満たす場合に、鋼中にREMオキシサルファイドが生成され、かつ、REMオキシサルファイドの表面上にTiNが複合析出され、TiがTiNとして固定され、TiCの生成が抑制されることを見出した。
[REM]2×[O]2×[S]≧1×10-15 [1式]
([REM]2×[O]2×[S])÷([Ti]×[N])≧1×10-10 [2式]
以下に、上記で述べた適正な成分範囲について、具体的に、表1と図1を用いて説明する。
質量%で、C:0.0026%、Si:3.0%、Al:0.59%、Mn:0.21%を含有し、O、S、Ti、NならびにREMの含有量を表1に示す通りに種々変更した鋼を連続鋳造し、熱間圧延し、熱延板焼鈍し、厚さ0.35mmに冷間圧延し、850℃×30秒の仕上げ焼鈍を施し、絶縁皮膜を塗布して製品板を作成した。このときの製品板の結晶粒径は、いずれも、30〜33μmの範囲内にあった。
次に、これら製品板に、従来一般的に行われるより短時間の750℃×1.5時間の歪取り焼鈍を施した。その後に、介在物、結晶粒径ならびに磁気特性の調査を行った。結果を表1ならびに図1に示す。
No.1からNo.4に示すように、鋼の[REM]2×[O]2×[S]値が[1式]の範囲内にあり、かつ、([REM]2×[O]2×[S])÷([Ti]×[N])値が[2式]の範囲内にある場合には、歪取り焼鈍を施した後の結晶粒径は59〜72μmと充分に粒成長し、磁気特性(鉄損:W15/50)は、1.87〜1.94W/kgと良好であった。
これらの鋼中にはREMオキシサルファイドが存在し、また、図2に示すように、REMオキシサルファイドの表面上にTiNが複合析出していた。また、焼鈍後で、TiCは発生していなかった。以上の結果により、製品の成分値が本発明の範囲内にあった場合には、鋼中のREMがREMオキシサルファイドを形成し、その上にTiNが複合析出してTiが固定されたことにより、TiCの生成が防止されたことが明らかであった。
No.5からNo.7に示す例は、[REM]2×[O]2×[S]値が[1式]の範囲外にある場合である。これらの鋼中にはREMオキシサルファイドは観察されなかった。また、TiCが観察され、これにより結晶粒成長が阻害され、歪取り焼鈍を施した後の結晶粒径は34〜36μmに留まり、W15/50値は2.3W/kg前後であり不良であった。
この場合、鋼中にREMオキシサルファイドが生成せず、よって、REMオキシサルファイドの表面上にTiNが複合析出してTiを固定することがなく、TiはTiCとして歪取り焼鈍中に生成し、結晶粒成長を阻害した。以上によって、[REM]2×[O]2×[S]値が[1式]の範囲内にあることが必要であることが明らかとなった。
No.8からNo.10に示す例は、[REM]2×[O]2×[S]値が[1式]の範囲内にあり、かつ、([REM]2×[O]2×[S])÷([Ti]×[N])値が[2式]の範囲外にある場合である。これらの鋼中にはREMオキシサルファイドが観察された。しかし、REMオキシサルファイドの表面にTiNは観察されなかった。また、TiCが観察され、これにより結晶粒成長が阻害され、歪取り焼鈍を施した後の結晶粒径は37〜41μmに留まり、W15/50値は2.2〜2.3W/kg程度であり不良であった。
この場合、鋼中にREMオキシサルファイドが生成したものの、その表面にTiNを複合析出させてTiを固定するには至らず、TiはTiCとして歪取り焼鈍中に生成し、結晶粒成長を阻害した。以上によって、[REM]2×[O]2×[S]値が[1式]の範囲内にあり、かつ、([REM]2×[O]2×[S])÷([Ti]×[N])値が[2式]の範囲内にあることが必要であることが明らかとなった。
なお、ここで特記すべきは、例えば、比較例No.5などのように、Ti量が少ない場合に却ってTiCが生成する場合があることである。従来知見によると、Ti量は極力少ないほうが好ましいので、多大な労力を払ってでも鋼中へのTiの混入防止が必要とされていたが、本発明を用いた場合には、低Ti化に対する多大な労力を必要とせず、場合によっては積極的にTiを添加して、不可避的に混入するTi量よりも鋼中のTi量を高めるなどして、REMオキシサルファイドの表面上にTiNを積極的に複合析出せしめ、これによりTiを固定し、焼鈍中にTiCが析出することをなくし、良好な製品特性を安定的に得ることが可能となる。
なお、以上の結果は、歪取り焼鈍を従来一般的に行われているより短時間で行った結果であるが、従来レベルの歪取り焼鈍を行った場合には、微細介在物のピン止め作用による結晶粒成長差がより顕著化するので、以上述べた結晶粒成長性、ならびに鉄損の適不適が一層明確になることは言うまでもない。
また、REMの元素であれば、1種だけ用いても、あるいは2種以上の元素を組み合わせて用いても、本願発明の範囲内であれば上記の効果は発揮される。
次に、本発明における成分組成の好ましい含有量の限定理由について説明する。
[C]:Cは、磁気特性に有害となるばかりか、Cの析出による磁気時効が著しくなるので、上限を0.01質量%とした。下限は0質量%を含む。
[Si]:Siは鉄損を減少させる元素である。下限の0.1質量%より少ないと鉄損が悪化する。また、上限の7.0質量%を超えると加工性が著しく不良となるため、上限を7.0質量%とした。
なお、Siは鋼中のTiの活量を上げる効果を有するため、Si量の下限値については、Siがより高いとTi析出物の生成がより活発化し、REMオキシサルファイドへのTiNの複合析出がより促進され、REMオキシサルファイド1個あたりに固定されるTi量が増加し、鋼中の微細なTi析出物の個数密度がより減少する。この効果はSi量の概ね二乗に比例するため、Si量はより高いほうが好ましい。
具体的には、鋼中における径100nm以下の微細Ti析出物の個数密度が、Si量が2.2質量%の場合に1×109個/mm3以下となり、Si量が2.5質量%の場合に5×108個/mm3以下となる。よって、Si量の下限値として、2.2質量%以上であることが好ましく、2.5質量%以上であればさらに好ましい。
また、Si量の上限としてより好ましい値は、冷延性がより良好な4.0質量%である。上限値が3.5質量%であれば、冷延性が一層良好となって一層好ましい。
[Al]:AlはSi同様に鉄損を減少させる元素である。下限の0.1質量%未満では鉄損が悪化し、上限の3.0質量%を超えるとコストの増加が著しい。 Alの下限は、鉄損の観点から、好ましくは0.2質量%、より好ましくは0.3質量%、さらに好ましくは0.6質量%とする。
[Mn]:Mnは鋼板の硬度を増加させ、打抜性を改善するために、0.1質量%以上添加する。なお、上限の2.0質量%は経済的理由によるものである。
[N]:Nは、AlNやTiNなどの窒化物となり鉄損を悪化させる。本発明によってREM介在物にTiNとして固定されるものの、その実用上の上限として0.005質量%とした。なお、上記の理由により、上限として好ましくは0.003質量%、より好ましくは0.0025質量%、さらに好ましくは0.002質量%である。
また、前記の理由により、Nはできる限り少ないほうが好ましいが、0質量%に限りなく近づけるには工業的な制約が大きいため、下限を0質量%超とする。なお、実用上の下限として0.001質量%を目安とし、0.0005質量%まで下げると、窒化物が抑制されてより好ましく、0.0001質量%まで下げると、さらに好ましい。
[Ti]:TiはTiCなどの微細介在物を生成し、粒成長性を悪化させ、鉄損を悪化させる。本発明により、REMオキシサルファイドにTiNとして固定されるものの、その実用上の上限として0.02質量%とした。なお、上記の理由により、上限として好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.005質量%である。
なお、Tiは粒成長性を悪化させる元素であるために少ないほうが好ましく、下限は0質量%超であるが、前述の通り、Ti量が過少な場合には、REMオキシサルファイドへの固定効果が発揮されない場合があり得る。
よって、Ti量が前記の評価式[2式]を満たすとき、Ti量が0.001質量%を超えておれば、REMオキシサルファイドへの固定効果がより確実になるため好ましく、さらに0.002質量%以上であれば一層好ましく、さらに0.0025質量%以上であればより一層好ましい。
[REM]:REMはオキシサルファイドを形成してSを固定し、微細サルファイドの生成を防止または抑制する。また、TiNの複合生成サイトとなり、Tiの固定効果を発揮する。このため、Ti量に応じた所用量を上回る含有量が必要となるが、0.001質量%以上であれば、前述の効果がより確実となって好ましく、0.002質量%以上がより好ましく、0.0025質量%以上がさらに好ましく、0.003質量%以上が一層好ましい。なお、上限値の0.05質量%は経済的な理由による。
[S]:SはMnS等の硫化物となり、粒成長性を悪化させ、鉄損を悪化させる。本発明によりREMオキシサルファイドとして固定されるものの、その実用上の上限として0.005質量%とした。
また、前記の理由により、Sはできる限り少ないほうが好ましいが、0質量%に限りなく近づけるには工業的な制約が大きく、またREMオキシサルファイドの形成に必要であるため、下限を0質量%超とし、経済性などを考慮した実用上の下限として0.0005質量%を目安とする。
[O]:Oは0.005質量%より多く含有されると、酸化物が多数生成し、この酸化物によって磁壁移動や結晶粒成長が阻害される。よって、0.005質量%以下とすることが好ましい。
また、前記の理由により、Oはできる限り少ないほうが好ましいが、0質量%に限りなく近づけるには工業的な制約が大きく、またREMオキシサルファイドの形成に必要であるため、下限を0質量%超とし、経済性などを考慮した実用上の下限として0.0005質量%を目安とする。
以上、述べてきた成分以外の元素で、本願の鋼の効果を大きくさまたげるものでなければ、含有していても良い。
以下に、選択元素について説明する。なお、これらの含有量の下限値は、すべて0質量%超とする。
[P]:Pは材料の強度を高め、加工性を改善する。但し、過剰な場合は冷延性を損ねるため、0.1質量%以下が好ましい。
[Cu]:Cuは耐食性を向上させ、また固有抵抗を高めて鉄損を改善する。但し、過剰な場合は製品板の表面にヘゲ疵などが発生して表面品位を損ねるため、0.5質量%以下が好ましい。
[Ca]および[Mg]:CaおよびMgは脱硫元素であり、鋼中のSと反応してサルファイドを形成し、Sを固定する。しかし、REMと異なり、TiNを複合して析出させる効果は小さい。添加量を多くすれば脱硫効果が強化されるが、上限の0.05質量%を超えると、過剰なCaおよびMgのサルファイドにより粒成長が妨げられる。よって、0.05質量%以下が好ましい。
[Cr]:Crは耐食性を向上させ、また固有抵抗を高めて鉄損を改善する。但し、過剰な添加はコスト高となるため、20質量%を上限とした。
[Ni]:Niは磁気特性に有利な集合組織を発達させ、鉄損を改善する。但し、過剰な添加はコスト高となるため、1.0質量%を上限とした。
[Sn]および[Sb]:SnまたはSbは偏析元素であり、磁気特性を悪化させる(111)面の集合組織を阻害し、磁気特性を改善する。これらは1種だけ用いても、あるいは2種を組み合わせて用いても、上記の効果を発揮する。但し、0.3質量%を超えると冷延性が悪化するため、0.3質量%を上限とした。
[Zr]:Zrは微量でも結晶粒成長を阻害し、歪取り焼鈍後の鉄損を悪化させる。よって、できる限り低減して、0.01質量%以下とすることが好ましい。
[V]:Vは窒化物あるいは炭化物を形成し、磁壁移動や結晶粒成長を阻害する。このため、0.01質量%以下とすることが好ましい。
[B]:Bは粒界偏析元素であり、また窒化物を形成する。この窒化物によって粒界移動が妨げられ、鉄損が悪化する。よって、できる限り低減して、0.005質量%以下とすることが好ましい。
以上の他にも公知の元素を添加することが可能であり、例えば、磁気特性を改善する元素としてBi、Geなどを用いることができ、これらを所要の磁気特性に応じて適宜選択すればよい。
次に、本発明における好ましい製造条件ならびにその規定理由について説明する。まず製鋼段階において、転炉や2次精錬炉などの常法により精錬する際、スラグの酸化度、すなわち、スラグ中のFeO+MnOの質量比を1.0〜3.0%の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、スラグの酸化度が1.0%未満であれば、電磁鋼のSi範囲内では、Siの影響によりTiの活量が上がるため、スラグからの覆Tiを有効に防止し難く、鋼中のTi量が不必要に上がり、また、スラグの酸化度が3.0%超であれば、スラグからの酸素供給によって溶鋼中のREMオキシサルファイドが不必要に酸化されてREMオキサイドとなり、鋼中Sの固定が不十分となるからである。
さらに、製鋼段階において、スラグの塩基度、すなわち、スラグ中のSiO2の質量%に対するCaOの質量%の比率を、0.5から5の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、スラグの塩基度が0.5未満であれば、スラグからの覆Tiが多くなって、鋼中のTi量が不必要に上がり易くなるため、Tiを固定するために所要のREM添加量が多くなり、また、スラグの塩基度が5を超えると、スラグからの覆Sが多くなって、鋼中のS量が不必要に上がり易くなるため、Sを固定するために所要のREM添加量が多くなり、いずれも経済的に不利になるからである。
さらに、また、炉材耐火物などを吟味して外来性の酸化源を極力排除することも重要である。さらに、また、REM添加時に不可避的に生成するREMオキサイドの浮上に足る時間を保つため、REM添加から鋳造までの時間を10分以上おくことが好ましい。以上述べた対策によって、所望の組成範囲内の溶鋼を溶製した後、連続鋳造、ないし、インゴット鋳造によりスラブ等の鋳片を鋳造する。
この後、さらに、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍し、一回または中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により製品厚に仕上げ、次いで、仕上げ焼鈍し、絶縁皮膜を塗布する。以上述べた方法により、製品板中の介在物を、本発明範囲内に制御することが可能となる。
質量%で、C:0.0026%、Si:3.0%、Al:0.59%、Mn:0.21%を含有し、O、S、Ti、NならびにREMの含有量を表1に示す通りに種々変更した鋼を連続鋳造し、熱間圧延し、熱延板焼鈍し、厚さ0.35mmに冷間圧延した。
次いで、850℃×30秒の仕上げ焼鈍を施し絶縁皮膜を塗布して製品板を製造し、さらに、750℃×1.5時間の歪取り焼鈍を施した後に、製品板中の介在物調査、結晶粒径調査、ならびに、25cmエプスタイン法による磁気特性調査を行った。介在物調査は、レプリカ法によって介在物を抽出した後にTEMを用いて観察し、結晶粒径は、板厚断面を鏡面研磨し、ナイタールエッチングを施して結晶粒を現出させて平均結晶粒径を測定した。
前記の表1から明らかなように、本発明に準拠する製品板は結晶粒成長ならびに鉄損値に関して良好な結果が得られた。一方、本発明範囲外の製品板は結晶粒成長ならびに鉄損値が劣る結果が得られた。
以上説明した通り、無方向性電磁鋼板中に内包される介在物を適正に制御することにより、簡易な焼鈍でも安定して良好な磁気特性が得られ、特に、簡易な歪取り焼鈍でも安定して良好な磁気特性を得ることが可能となり、需要家のニーズを満たしつつ省エネに貢献できる。
本発明による[1式]を用いて、鋼中のREM量、S量、O量、Ti量ならびにN量から計算される値と、歪取り焼鈍後の結晶粒径ならびに鉄損値との相関を示す図である。 REMオキシサルファイドの表面上にTiNが複合した介在物を示す図である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.1%以上7.0%以下、Al:0.1%以上3.0%以下、Mn:0.1%以上2.0%以下、N:0.005%以下、Ti:0.0015%超0.02%以下、REM:0.05%以下、S:0.005%以下、O:0.005%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、[S]で示されたSの質量%と、[O]で示されたOの質量%と、[REM]で示されたREMの質量%と、[Ti]で示されたTiの質量%と、[N]で示されたNの質量%が、[1式]ならびに[2式]を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    [REM]2×[O]2×[S]≧1×10-15 [1式]
    ([REM]2×[O]2×[S])÷([Ti]×[N])≧1×10-10 [2式]
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