JP4276558B2 - 酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料とその製造方法とそれを用いた焼結用板 - Google Patents

酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料とその製造方法とそれを用いた焼結用板 Download PDF

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Description

本発明は、部品を焼結する際に用いる酸化物皮膜層を備えた焼結用板とその製造方法及び酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料とその製造方法に関する。
近年、金属射出成形(Metal Injection Molding、以下、MIMと呼ぶ)による鉄系、銅系、タングステン系の焼結材料及び部品の生産が実用化され、それに伴い焼結用板への機能要求が高まってきた。
従来では、焼結用板はアルミナ、シリカなどの耐火物を使用される場合が多い。
しかし、アルミナ、シリカなどの耐火物では熱衝撃や被処理物による重量変形に耐えるために板厚さを、例えば、10〜15mmにしなければならない。また、この厚い耐火物を使用すると焼結物の積載、焼結量が限定される上に焼結時の炉の昇温に膨大なエネルギーを必要とし、また、板の小さな熱伝導により降温するために長時間要した。ここで、本明細書において、被処理物とは、焼結もしくは熱処理されるものを呼ぶ。
これらを解決する為に、板厚さが薄く被処理物の積載量体積を増量出来、且つ従来の耐火物の特性を維持している焼結用板が要求されてきた。
モリブデン、タングステン等の高融点金属材料からなる板材は、耐火物としての特性には優れている。
従来、耐熱性を備えた板材としては、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に提案されたモリブデン板がある。ここで、特許文献1においては、ドープ剤を添加しない純モリブデン材料であって、円板面の大きさが15mm〜150mmで、厚さ方向に厚さの1/5以上を占める結晶粒を備えたモリブデン板が開示されている。
また、特許文献2及び3においては、板厚方向と実質的に垂直方向に配列したランタン酸化物を含むMo板が開示され、特に、特許文献3には、結晶粒子がインターロッキング構造を呈しているものが開示されている。
しかしながら、モリブデン板材をMIM等の焼結用にMIM成形品と接触させて用いたときには、モリブデン板材表面に被処理物が溶融付着してしまい、焼結部品として歩留まりが極めて悪いものであった。
そのために、モリブデン表面に接着防止層を備えたモリブデン板が提案されている(例えば、特許文献4及び5、参照)。ここで、特許文献4には、ランタン又はランタン酸化物をドープしたMo板材料をAl、Cr、Tiの内の少なくとも一種とアルミナとの混合粉末中に埋め込んで還元熱処理を行うことで、Mo板材料の表面に金属元素を拡散させた後、酸化雰囲気中で熱処理することで、表面に接着防止層としての酸化物層を形成したものが開示されている。
また、特許文献5には、純Mo板表面に、アルミナ等のセラミックスのプラズマ溶射法によって、モリブデン粉末と、これに続くアルミナ粉末の溶射によって、モリブデン表面に、モリブデンとアルミナの複合層を介してアルミナ層を形成することが開示されている。
また、特許文献6には、高融点金属からなる基体に、シリサイドまたはアルミナイドからなる酸化保護層を形成し、酸化保護層との間に酸化物からなる反応遮断層をプラズマジェットにより形成することが開示されている。
従来では、MIMなどによる鉄系、銅系、タングステン系の材料及び部品は焼結する際に使用する板として、アルミナ、シリカなどの耐火物が使用される場合とモリブデン、タングステンなどの耐高温材料が使用される場合とがある。
前者のアルミナ、シリカなどの耐火物が使用される場合は、熱衝撃や被処理物による重量変形に耐えるために板厚さを、例えば、10〜15mmにしなければならなかった。そのため、板厚が厚いと被処理物のチャージ量が減少するのと、焼結時の昇温には多大なエネルギーを要するのに加え、その小さな熱伝導と大きな比熱のために、冷め難く冷却に長時間要するという問題があった。
後者では、焼結時に被処理物と板が接着するため、アルミナなどの粉末やシート状のものを介在し使用していたが、アルミナ粉などが、被処理物に焼き着いたりして作業前後の処置に多大な労力を要していた。
また、モリブデン板は大気中で500℃以上に加熱されるとその酸化が著しく、大気中での焼結に使用できなかった。
また、被処理物の溶融付着の防止のために、上記特許文献4及び5に示されるように、夫々モリブデン板材表面に、被処理物の溶融付着を防止を目的としたセラミック層もしくは酸化物層を形成したものも提案されているが、その工程が複雑で手間がかかるものであった。
また、複数の表面層の最上層にMoがある場合は、MIM製品と溶融付着してしまう。更に下地にMoを含む層を溶射している為、最上層にMoが無い層を作製しても、Moが拡散などにより最表面に出易く、MIM製品との溶融付着防止の効果が得られない場合がある。
特開昭61−143548号公報 特開昭63−157832号公報 特開昭63−192850号公報 特開2002−47581号公報 特開平2−200766号公報 特表2000−516666号公報 JIS H4483−1984「3.3平たん度」
本発明の一技術的課題は、MIM製品焼結時に被処理物の溶融付着を防止する機能を有し板厚さを薄くすることで、加熱及び冷却に使われるエネルギーを大幅に節約することが可能で経済的効果が大きい高融点金属材料を提供することにある。
また、本発明のもう一つの技術的課題は、酸化物皮膜層をポーラスで且つ平滑にすることで脱バインダー性と焼結性の両方の機能を持たせることが出来る高融点金属材料を提供することにある。ここで、優れた焼結性を有するとは、焼結体がスムーズで平坦で、焼結密度が高いことをいう。焼結密度が低い要因としては、焼結収縮の際の摩擦抵抗が大きいという要因がある。
また、本発明の更にもう一つの技術的課題は、前記高融点金属材料を製造する方法を提供することにある。
また、本発明の別の一つの技術的課題は、アルミナ等の粉末状の接着防止剤が製品に付着することがなく、後処理が不要となり経済的効果がある焼結用板を提供することにある。
また、本発明の別のもう一つの技術的課題は、下地素材が鉄系材料を焼結する際に、それに含まれるNiなどの成分と反応することがなく、板材の性能を劣化させることがない焼結用板を提供することにある。
また、本発明の他の一つの技術的課題は、大気中でも使用可能となるモリブデン等の板材を用いた高融点金属材料を提供することにある。
また、本発明の他のもう一つの技術的課題は、前記高融点金属材料を製造する方法を提供することにある。
さらに、本発明の他のさらにもう一つの技術的課題は、前記高融点金属材料を用いた焼結用板を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料では、モリブデン、タングステン、モリブデン基及びタングステン基合金の内から選ばれた高融点金属からなる板材の、少なくとも一つの面にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、及びカルシアの内の一種の酸化物粉末、または2種以上の酸化物粉末を混合したものが溶着されている酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料であって、前記酸化物皮膜層による前記高融点金属材料の露出が単位面積の1%以下で、且つポーラス状であることを特徴としている。
また、本発明によれば、前記酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、
前記酸化物皮膜層の厚さが10〜300μmであることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記酸化物皮膜層のポーラス状の表面粗さがRa20μm以下、Rmax150μm以下に研磨が施されていることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記高融点金属材料の表面粗さがRa20μm以下、Rmax150μm以下であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料が得られる。
また、本発明によれば、少なくとも一つの面にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、及びカルシアのこれらの少なくとも一種または2種以上の酸化物を混合したものが溶着されている板材であって、前記板材の組成が純度99.9%以上の耐高温変形特性を有するモリブデン板で、当該モリブデン板の内部に含まれる円板状結晶粒の大きさが円板面の短径に対する長径の比が4以下で、その円板面の大きさが直径15〜150mmであり、且つ厚さ方向の大きさが材料厚さの1/5以上の結晶粒により形成され、前記酸化物皮膜層による前記板材の少なくとも一面の露出が単位面積の1%以下であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料が得られる。
また、本発明によれば、少なくとも一つの面以上にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、及びカルシアのうちこれらの少なくとも一種または2種以上の酸化物を混合したものが溶着されている板材であって、前記板材の組成が、重量比で0.1〜1.0%未満のランタン又はランタン酸化物と残部がモリブデンからなり、実質的に一定方向に伸長してなる組織を有し、高温における変形量の少なく、前記酸化物皮膜層による前記板材の少なくとも一面の露出が単位面積の1%以下であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料が得られる。
また、本発明によれば、前記酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記板材の組織が、一定方向に伸長して再結晶化しているインターロッキング構造を呈する結晶粒子を有し、加工性及び耐高温変形性に優れていることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記高融点金属材料は焼結に用いられることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた焼結用板が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料を製造する方法であって、前記酸化物粉末の内の少なくとも1種の酸化物粉末の粒度が10μm以下であり、当該粉末の粒度に依存した温度で熱処理することにより得られたことを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、前記溶着する酸化物をスラリー状にし塗布またはスプレー乾燥後、溶着する酸化物の粒度に依存した温度で焼き付け溶融処理を施すことにより、板材表面に酸化物皮膜層を形成することを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、前記酸化物皮膜層をプラズマ溶射により形成することを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、耐高温接着剤により酸化物皮膜を形成し、熱処理を施すことで溶着させて前記酸化物皮膜層を形成することを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、前記酸化物皮膜を備えた高融点金属材料が焼結に用いられることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた焼結用板の製造方法が得られる。
本発明によれば、MIM製品焼結時に被処理物の溶融付着を防止する機能を有し板厚さを薄くすることで、加熱及び冷却に使われるエネルギーを大幅に節約することが可能で経済的効果が大きい高融点金属材料を提供することができる。
また、本発明によれば、酸化物皮膜層をポーラスで且つ平滑にすることで脱バインダー性と焼結性の両方の機能を持たせることが出来る高融点金属材料を提供することができる。ここで、優れた焼結性を有するとは、焼結体がスムーズで平坦で、焼結密度が高いことをいう。焼結密度が低い要因としては、焼結収縮の際の摩擦抵抗が大きいという要因がある。
また、本発明によれば、前記高融点金属材料を製造する方法を提供することができる。
また、本発明によれば、アルミナ等の粉末状の接着防止剤が製品に付着することがなく、後処理が不要となり経済的効果がある焼結用板を提供することができる。
また、本発明によれば、下地素材が鉄系材料を焼結する際に、それに含まれるNiなどの成分と反応することがなく、板材の性能を劣化させることがない焼結用板を提供することができる。
また、本発明によれば、大気中でも使用可能となるモリブデン等の板材を用いた高融点金属材料を提供することができる。
また、本発明によれば、前記高融点金属材料を製造する方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、前記高融点金属材料を用いた焼結用板を提供することができる。
まず、本発明を更に詳しく説明する。
本発明では、高融点金属材料として、耐高温材料であるモリブデン、タングステン及びそれらの合金にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、カルシアのうち、これらの少なくとも一種または2種以上を混合した酸化物粉末が溶着されて酸化物皮膜層が形成されており、また、その溶着面は下地素材であるモリブデン(Mo)、タングステン(W)、及びそれらの合金が完全に被覆されている構成である。高融点金属材料は、本願明細書においては焼結に用いられる高融点金属部材として述べられているが、高融点金属部材はトレー、箱、コンテナ、床板等の形態で用いられても良い。また、本願明細書において、焼結とは、一般に呼ばれる焼成も含む。
この溶着方法としては、高温処理による焼き付け、溶射または耐高温接着剤による付着方法がある。これにより、耐高温変形材料を使用することで板厚は、従来のアルミナ、シリカなどの耐火物では10〜15mmであったのに対し、本発明では、1〜2mm程度で可能となり被処理物との接触部分には、前記酸化物がMo板上に強固に付着しているものである。この際使用する酸化物のうち少なくとも1種の酸化物粉末の粒度を10μm以下にすることで、酸化物の焼結性が向上し、融点以下の温度でもMo板に酸化物層を緻密に密着させることが出来る。
尚、本明細書において、粒度10μm以下を微粒粉、10μmよりおおきな粉末を粗粒粉と夫々呼ぶ。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら高融点金属材料としてMo焼結用板を例示するが、本発明はこれに限定されるものではないことは勿論である。
また、本発明の実施の形態においては、酸化物はアルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)、カルシア(CaO)を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、被処理物との反応による溶融付着物を考慮して低級酸化物(例えば、チタニア(TiO等)や、複合酸化物(例えば、アルミナ−チタニア(AlTiO)の形態をとっても良い。
図1乃至図3に示すように、付着している前記酸化物の表面はポーラス状または被処理物との接触部にガスが侵入できる程度の隙間を形成することができる。
図4及び図5に示すように、固着している前記酸化物の表面は平滑度を呈していることが必要となる。
図6及び図7に示すように、皮膜層を研磨することで、更に良好なMIM焼結体を得ることができる。
ここで、図7(a)に示すように、表面を研磨した本発明の試料8(後に説明)とは異なり、図7(b)に示す参考例に係る試料17(後に詳しく説明)の場合、大きな凹凸があるため、MIM焼結体に表面粗さが転写してしまい、製品として使用できないことがある。
また、本発明では、温度が1000℃〜1850℃以下の高温領域で使用できる。また、これらの酸化物の表面は平滑で且つポーラスな状態を呈しており、平滑度は焼結時の収縮の抵抗を最小減に留め、ポーラスな状態は脱バインダー時のガス抜け効率を良くすることで、焼結性が向上する。
また、前述したように、酸化物からなる酸化物皮膜層の溶着面は下地素材であるモリブデン、タングステン、モリブデン基及びタングステン基合金による金属材料を被覆している。
ここで、本発明において、下地金属が露出していない被覆とは、下地となる高融点金属からなる板材の露出が酸化物被覆層の単位面積の1%以下であることを示している。
従って、従来では鉄系材料の焼結においては、それに含まれるNiなどの成分が、焼結板を構成するMoと反応し、Mo板の性能を著しく劣化させていたが本発明では、Mo板等の素材の露出がないために、Mo板の性能劣化がなく使用可能とするものである。
前述した特許文献5の「モリブデントレイおよびその製法」として示されている方法では、モリブデントレイに耐熱性セラミックスからなるコーティング層が形成されている構成を備えているが、その内容では、コーティング層はモリブデントレイや敷板などの部品同士の接着防止を目的としており、基板の全表面に形成する必要はなく、少なくとも使用時に他のトレイその他の物品に接触する部分に形成しておけばよいと記載されている。従って、被処理物の溶融付着を防止を目的としたものではない。
これに対して、本発明では、接着防止は目的であり効果の一つでもあるが、さらに微粒の酸化物を用いることでその溶着面は下地素材であるモリブデン、タングステン、及びそれらの合金が完全に被覆され、基板と被処理物との反応を防止する機能が加わる。
又、前述した従来技術である特許文献5には、Mo板上へMo粉末とセラミック粉末を混合した溶射膜を作製し、最上層部が実質的に耐熱性セラミックスの層となっていることが望ましく、これにより被処理物や治具同士の接着防止を狙っている。このように複数層もしくは濃度勾配のついたコーティング層を作製する為にはコストがかさんでしまうという欠点を備えていた。
これに対して、本発明では、使用する酸化物の少なくとも一つは酸化物粉末の粒度を10μm以下にする事で、酸化物の焼結性が向上し複数層重ねなくとも、特許文献5で示されるコーティング層の剥離強度15〜20kg/mmと同等で、且つ、表面にMoが露出が無く、被処理物が接着しないコーティング層を得ることが出来る。
又、前述した従来技術である特許文献5では、溶射したコーティング層を1500℃以上で熱処理すると記載されているが、モリブデン基板とコーティング層の熱膨張差で、溶射コーティング層に亀裂が入り下地が露出することがある。この亀裂により露出したMoと被処理物が反応してしまい、板への接着または板材の性能が劣化することがあるという欠点を有した。特に、特許文献5中では原子炉用燃料の二酸化ウランや二酸化プルトニウムなどの酸化物ペレットの焼結に着目した発明であり、露出したMoへの影響は少ない。しかし、MIMなど金属製品の焼結や、金属及び酸化性雰囲気などMo板材に影響を及ぼすような雰囲気中での長期間繰り返し使用は出来ない。
これに対して、本発明では、この基板の露出を防止し、幅広い材質の被処理物、例えば、NiなどMoと反応しやすい成分を含む物も焼結出来、且つ経済的な焼結用板を提供することができるものである。
前述した従来技術である特許文献6の「高融点金属用酸化保護層」として示されている方法では、2〜35%のモリブデンなどの金属材料が配合されているシリサイドまたはアルミナイドからなる酸化保護層と、高融点金属からなる基体の中間にプラズマジェットにより反応遮断層を形成することが開示されているが、その内容ではあくまで、基体の酸化防止と、その酸化防止層と基体との反応防止を目的としており、被処理物との融着防止を目的としたものではない。
これに対して、本発明では、最表面層は酸化物層であり、被処理物に合わせ任意に選ぶことで、被処理物と下地素材の付着防止機能を有している。さらに、下地素材の露出が酸化物被覆層の単位面積の1%以下であることで、酸化やMoと反応するNi等のガス成分によるMo板の性能劣化が無く使用可能となる。
次に本発明の焼結用板の製造の具体例について図8(a)及び図8(b)を参照しながら説明する。なお、図8(a)及び図8(b)は酸化物(Al)の粉末粒度における熱処理後の表面状態の比較写真である。
まず、本発明の試料1〜12について説明する。
耐高温変形特性を有する高融点金属材料、例えばモリブデン板(板厚み1.5mm×巾150mm×長さ300mm)を表面の活性化と溶着物の密着性を向上させるためホ−ニングなどの方法で表面粗さを粗くし、ここではその表面粗さがRa4μm、Rmax50μmとした。
溶着する酸化物の粉末を下記表1及び表2に示した組成で計量し、シェーカーミキサーまたはヘンシェルミキサーにより充分に混合した。ここで使用する酸化物粉末は図8(a)及び図8(b)に示すように同一熱処理温度でも、酸化物の粒度により溶融状態が異なることが明らかになった。もし、酸化物粉末が微粒であるならば、低温で溶融することができるようになる。ここでは、使用する酸化物粉末のうち少なくとも1種類は10μm以下の微粉末を使用した。またここでの組成は使用温度等を考慮し任意に選ぶことが出来る。
次に、これらの粉末をエタノール中へ分散しスラリー状にして目的とするモリブデン板に吹付けなどにより均一に塗布した。
また、本発明の例における板反りの判定は、非特許文献1の「3.3平たん度」に基づき判定を行った。
本発明の酸化物皮膜層において、種々の酸化物粉末に応じて、組成、熱処理条件を変えることができる。
例えば、表面層の組成がジルコニア20wt%(質量%)から50wt%(試料2では43%)で残部が実質的にアルミナからなり、1500℃以上の熱処理を経て表面層を溶着した酸化物皮膜層を備えた焼結用Mo板を得ることができる。
また、表面層の組成がチタニア1wt%から40wt%(試料3では2.5%)で残部が実質的にアルミナからなり、1500℃以上の熱処理を経て表面層を溶着した酸化物皮膜層を備えた焼結用Mo板を得ることができる。
また、表面層の組成がシリカ20wt%から30wt%(試料4では22%)で残部が実質的にアルミナからなり、1500℃以上の熱処理を経て表面層を溶着した酸化物皮膜層を備えた焼結用Mo板を得ることができる。
また、表面層の組成がイットリア5wt%から20wt%(試料5では6%)で残部が実質的にジルコニアからなり、1800℃以上の熱処理を経て表面層を溶着した酸化物皮膜層を備えた焼結用Mo板を得ることができる。
表面層の組成がマグネシア25wt%から35wt%(試料6では29%)で残部が実質的にアルミナからなり、1800℃以上の熱処理を経て表面層を溶着した酸化物皮膜層を備えた焼結用Mo板を得ることができる。
また、表面層の組成がカルシア4wt%から30wt%(試料7では29%)で残部が実質的にアルミナからなり、1800℃以上の熱処理を経て表面層を溶着した酸化物皮膜層を備えた焼結用Mo板を得ることができる。
また、試料12では、それぞれ別のスラリー状の酸化物を1層ずつ重ねて塗布、乾燥し2層の皮膜層とした。この場合、密着性を向上させるため、第1層目は母材となる板の熱膨張率に、より近い酸化物を選択するのが好ましく、最上層は被処理物との反応による溶着を考慮して選択するのが好ましい。
本発明においては、例えばMo板では、第1層目はMoの熱膨張率約5.0(x10−6/℃)に近いA1−2.5%TiO(熱膨張率約5.3(x10−6/℃)とした。
塗布後は、溶着する酸化物の粒度に依存した温度、ここでは、1500℃で2時間以上焼き付け処理を施すことで板表面の凹凸に食い込み、溶着させた。溶着した表面特性は、下記表1、2及び図8(a)及び図8(b)に示す写真に示すとおり平滑度とポーラス状の両方を兼ね備えている板が作製できた。なお、表2と後で述べる表3及び表4においては、被焼結物は、本明細書で述べている被処理物に相当する。
また、さらに酸化物皮膜層の表面に研磨を施すことで、より平滑且つポーラス状の酸化物皮膜層を得ることが出来た。
次に、参考例の試料13−19について説明する。
試料13として本発明例と同様なMo板にAl−43%ZrOの皮膜層を8μm塗布し、本発明例と同様に焼付け処理を施したものを作製した。
試料14として、本発明例と同様なMo板にAl−43%ZrOの皮膜層を350μm塗布、本発明例と同様に焼付け処理を施したものを作製した。しかし、Mo板から皮膜層が剥離するとともに、数mm以上の反りが発生し、焼結用板として使用できなかった。
試料15として、本発明例と同様なMo板に30μmのAlを使用しAl−43%ZrOの皮膜層を100μm塗布し、本発明例と同様に焼付け処理を施したものを作製した。
試料16として本発明例と同様なMo板に30μmのAlのみを使用した皮膜層を100μm塗布し、本発明例と同様に焼付け処理を施したものを作製した。
試料17としてMo板の表面を更に粗し表面粗さをRa21μm、Rmaxが160μmとし、その表面にAl−43%ZrOの皮膜層を100μm塗布したものを作製した。
試料18として本発明の例と同様なMo板に皮膜層を塗布しないものを作製した。
試料19として本発明例と同様なMo板に30μmのAlと3.5μmのMo粉末を使用しAl−50%Moの皮膜層を100μm塗布し、本発明例と同様に焼付け処理を施したものを作製した。
次に、比較試料20−21について説明する。
比較例に係る試料20として、現状使用している厚さ10mmのAl板を用意した。
比較例に係る試料21として、組織制御していないMo板に30μmのAlのみを使用した皮膜層を100μm溶射により作製した。
図9(a)に示す本発明の例では、1枚の板(T1.5mm×150mm×300mm)13の上に直径20mm、高さ10mmのFe系MIM成型体11を50ヶ並べ、板外周囲に直径10mm、高さ15mmのスペーサー15を並べ、同様の射出成型体の載ったMo板を6段重ねた。その6段重ねたMo板を、炉開口部17が開口幅170mm、高さ100mmであるメッシュベルト炉に挿入し、水素雰囲気中1350℃で、2時間の焼結処理を行い、MIM焼結体を得た。
図9(b)に示す比較例に係る試料20では、T10mm×150mm×300mmのAl板19上に、同様に並べ、4段重ねとした。
通常のAl板を使用した比較例に係る試料20と比べ製品のチャージ量がl.5倍となりまた、炉の電力使用量も約70%に低減することが出来た。
焼結後得られたMIM焼結体はMo板への被処理物の溶融付着無く、表面状態も良好であった。また、Mo板も新たな反りは発生せず、皮膜層の剥離も無く繰り返し使用が可能であった。
上記参考例に係る試料13、15−19および比較例に係る試料20、21も同様に製品をのせ焼結処理を行った。ただし比較例に係る試料20はAlの板厚が厚い為、4段重ねとした。
その結果、参考試料13においては皮膜層の膜厚が薄いため、Moが露出している部分がありMIM焼結体がMo板に被処理物が溶融付着する部分が発生し、製品として使用できなかった。この試料を150倍のマイクロスコープで観察し、その画像を画像解析した結果、Mo板の露出部分は単位面積の約2%であった。
また、参考試料15、16においては皮膜層に粗い粉末をのみ使用したため、Mo板への密着性が悪く剥離しやすくなり、焼結体表面に皮膜層が付着してしまい製品として使用できなかった。
また、試料17においてはMIM焼結体表面に皮膜層表面の粗さが転写してしまい製品として使用することが出来なかった。
また、比較例に係る試料18においては皮膜層が無い為、MoとMIM焼結体が溶融付着してしまい製品として使用できなかった。
また、試料19においては皮膜層中及び表面にMoが露出している為MIM焼結体が溶着してしまい製品として使用できなかった。
また、比較例に係る試料20においては得られるMIM焼結体は良好であるが、炉へのチャージ量が少なくまた電気使用量も多い為、コストアップとなってしまった。
また、比較例に係る試料21においてはMoの組織を制御しておらず、更に粗い粉末のみを使用しているため、MIM焼結中に新たな反りが発生すると共に、皮膜層が剥離しMIM焼結体に付着してしまうため、繰り返し使用することが出来なかった。
なお、参考試料及び、比較例に係る試料においてはMo板への被処理物の溶融付着の発生、Mo板の新たな反り発生、皮膜層の剥離などにより、繰り返し使用することが出来なかった。
例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、本発明の試料8は、皮膜層を研磨したものであるが、参考例にかかわる試料17の場合、大きな凹凸があるため、MIM焼結体に表面粗さが転写してしまい、製品として使用できない。
次に、本発明の例と同様に粒径約1μmのアルミナ(Al)と30μmのチタニア(TiO)を混合した粉末を使用し、溶射により皮膜層を作製し1500℃で2時間熱処理したところ下地の露出のない皮膜層が得られ、これを使用してMIM焼結体を作製したところ、本発明の例と同様に良好なMIM焼結体を得ることができた。また、前記の他の酸化物も同様であった。
また、本発明例と同様に50μmの皮膜層を作製した後、更に粒径約3μmのジルコニア(ZrO)と30μmのイットリア(Y)を混合した粉末を使用し、溶射により50μmの皮膜層を作製し1500℃で2時間熱処理することで、トータル100μmの皮膜層を作製した。この板を使用してMIM焼結体を作製したところ、本発明例と同様に良好なMIM焼結体を得ることができた。また、更に前記の他酸化物の組み合わせでも同様であった。さらに、前記とは逆に本発明の溶射による皮膜層を先に作製した場合でも同様の結果であった。
また、本発明の例と同様に粒径約1μmのアルミナ(Al)と30μmジルコニア(ZrO)を混合した粉末を使用し、これに耐高温接着剤を混ぜてMo板に塗布したのち1500℃で2時間熱処理したところ、上記同様に下地の露出のない皮膜層が得られ、これを使用してMIM焼結体を作製したところ、本発明の例と同様に良好なMIM焼結体を得ることができた。また、前記の他酸化物も同様であった。ここで、本発明においては、上記耐高温接着剤として、耐火性セラミックと無機ポリマーを主成分として物を使用したが、これに限ったものではなく、高温での接着性を有するものであれば、他のものも使用できることは勿論である。
本発明例に係る試料2における1μmのアルミナ(Al)と30μmジルコニア(ZrO)43%を溶着したMo板を用いて大気中での耐酸化テストを行った。酸化テストは、被覆品は全面被覆とし、脱バインダーが行われる条件600℃大気中5時間で行い、その時のMo板重量減量を消耗率とした。結果、コーティングを施さない99.9%Mo板ではMoの昇華が進み消耗率は20〜25%に達した。また、従来の溶射方法で作製したMo板では消耗率は5〜10%に達した。
これに対し、上記本発明の試料2における1μmのアルミナ(Al)と30μmジルコニア(ZrO)43%を溶着したMo板では消耗率は1%未満であった。
上記実施の形態から明らかなように、少なくとも一種の粉末の粒度が10μm以下であることで、下地の露出のない皮膜層が得られ耐酸化特性の優れる焼結用板を得ることができた。
次に、本発明の焼結用板の金属材料として、モリブデンの代わりにタングステンを用いて同様に検討した。その結果、下記表3、4に示すように、タングステンにおいてもモリブデンと同様の特性が得られた。なお、表中において、本発明例は試料22−33、参考例に係る試料は、試料34−40である。また、被焼結物は、被処理物と同等である。
以上、説明したように、本発明によれば、従来においては焼結用板としてアルミナ、シリカなどの耐火物を使用した場合は、板厚さが10〜15mm程度必要とされていたが、例えばモリブデン板に酸化物を溶着した場合、1〜2mm程度の板厚さで被処理物を焼結するという目的を達成することが出来、且つ、加熱及び冷却に使われるエネルギーを大幅に節約することが可能で経済的効果が大きい焼結用板を得ることができる。
また、本発明によれば、酸化物皮膜層をポーラスで且つ平滑にすることで脱バインダー性と焼結性の両方の機能を持たせることが出来る高融点金属材料と、その製造方法と、それを用いた焼結用板を得ることができる。
また、本発明によれば、酸化物が溶着されているため製品にアルミナなどが付着することがなく、後処理が不要となりまた焼結製品の品質も向上し経済的効果がある高融点金属材料とその製造方法とそれを用いた焼結用板を提供することができる。
また、本発明によれば、溶着面は下地素材であるモリブデン、タングステン、及びそれらの合金が露出していないで、従来では鉄系材料ではそれに含まれるNiなどの成分がMoと反応し、Mo板の性能を著しく劣化させていたが、本発明では前記構成によりMo板の性能劣化がなく使用できる高融点金属材料と、その製造方法と、それを用いた焼結用板を提供することができる。
また、本発明によれば、モリブデン板の場合、大気中では500℃以上で酸化が著しく使用できなかったが、全面に酸化物皮膜層を溶着することで大気中でも使用可能となる高融点金属材料とその製造方法と、それを用いた焼結用板を得ることができる。この場合、好ましくは皮膜層は50μmから300μmと厚いことが有効である。
以上説明した通り、本発明に係る高融点金属材料及びそれを用いた焼結用板は、MIM焼結体等の製造に用いる焼結用板に最適である。
また、本発明に係る高融点金属材料の製造方法は、前記した焼結用板として用いる高融点金属材料の製造に最適である。
本発明の焼結用板の酸化物皮膜層の溶着面の一例の組織を示す顕微鏡写真(150倍)で、粗粒粉酸化物(Al−43wt%ZrO)による溶着面の状態を示す図である。 本発明の焼結用板の酸化物皮膜層の溶着面の一例の組織を示す顕微鏡写真(150倍)で、微粒粉酸化物(Al−43wt%ZrO)による溶着面の状態を示す図である。 本発明の焼結用板の酸化物皮膜層の溶着面の一例の組織を示す顕微鏡写真(150倍)で、微粒粗粒混合酸化物(Al−43wt%ZrO)による溶着面の状態を示す図である。 溶着面の未研磨面の表面粗さ(Al)を示す図である。 溶着面の研磨面の表面粗さ(Al)を示す図である。 図5の溶着面の状態を示す写真である。 (a)は本発明の試料8におけるMIM焼結体への皮膜層表面粗さの影響を模式的に示す図で、(b)は参考試料17におけるMIM焼結体への皮膜層表面粗さの影響を模式的に示す図である。 (a)は酸化物(Al)の粉末粒度が75μmの熱処理温度1800℃の場合における熱処理後の表面の組織の状態を示す比較顕微鏡写真(150倍)で、(b)は酸化物(Al)の粉末粒度が1μmの熱処理温度1800℃の場合における熱処理後の表面の組織の状態を示す顕微鏡写真(150倍)である。 (a)は本発明によるMIM焼結体の炉への挿入例を示す図、(b)は比較例に係る試料20の炉への挿入例を示す図である。
符号の説明
11 MIM成型体
15 スペーサー
17 炉開口部
19 Al

Claims (13)

  1. モリブデン、タングステン、モリブデン基及びタングステン基合金の内から選ばれた高融点金属からなる板材の、少なくとも一つの面にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、及びカルシアの内の一種の酸化物粉末、または2種以上の酸化物粉末を混合したものが溶着されている酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料であって、
    前記酸化物皮膜層による前記高融点金属材料の露出が単位面積の1%以下で、且つポーラス状であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  2. 請求項1に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、
    前記酸化物皮膜層の厚さが10〜300μmであることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  3. 請求項1又は2に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記酸化物皮膜層のポーラス状の表面粗さがRa20μm以下、Rmax150μm以下に研磨が施されていることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  4. 請求項1乃至3に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記高融点金属材料の表面粗さがRa20μm以下、Rmax150μm以下であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  5. 少なくとも一つの面にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、及びカルシアのこれらの少なくとも一種または2種以上の酸化物を混合したものが溶着されている板材であって、前記板材の組成が純度99.9%以上の耐高温変形特性を有するモリブデン板で、当該モリブデン板の内部に含まれる円板状結晶粒の大きさが円板面の短径に対する長径の比が4以下で、その円板面の大きさが直径15〜150mmであり、且つ厚さ方向の大きさが材料厚さの1/5以上の結晶粒により形成され、前記酸化物皮膜層による前記板材の少なくとも一面の露出が単位面積の1%以下であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  6. 少なくとも一つの面以上にアルミナ、シリカ、ジルコニア、イットリア、チタニア、マグネシア、及びカルシアのうちこれらの少なくとも一種または2種以上の酸化物を混合したものが溶着されている板材であって、前記板材の組成が、重量比で0.1〜1.0%未満のランタン又はランタン酸化物と残部がモリブデンからなり、実質的に一定方向に伸長してなる組織を有し、高温における変形量の少なく、前記酸化物皮膜層による前記板材の少なくとも一面の露出が単位面積の1%以下であることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  7. 請求項に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記板材の組織が、一定方向に伸長して再結晶化しているインターロッキング構造を呈する結晶粒子を有し、加工性及び耐高温変形性に優れていることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料。
  8. 請求項乃至の内のいずれか一つに記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料において、前記高融点金属材料は焼結に用いられることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた焼結用板。
  9. 請求項1乃至4記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料を製造する方法であって、前記酸化物粉末の内の少なくとも1種の酸化物粉末の粒度が10μm以下であり、当該粉末の粒度に依存した温度で熱処理することにより得られたことを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法
  10. 請求項に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、前記溶着する酸化物をスラリー状にし塗布またはスプレー乾燥後、溶着する酸化物の粒度に依存した温度で焼き付け溶融処理を施すことにより、板材表面に酸化物皮膜層を形成することを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法。
  11. 請求項に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、前記酸化物皮膜層をプラズマ溶射により形成することを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法。
  12. 請求項に記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、耐高温接着剤により酸化物皮膜を形成し、熱処理を施すことで溶着させて前記酸化物皮膜層を形成することを特徴とする酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法。
  13. 請求項乃至12の内のいずれか一つに記載の酸化物皮膜層を備えた高融点金属材料の製造方法において、前記酸化物皮膜を備えた高融点金属材料が焼結に用いられることを特徴とする酸化物皮膜層を備えた焼結用板の製造方法。
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