JP4276506B2 - 針送りミシン - Google Patents
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Description
そして、針振りアームはその上端部を支点として揺動可能にミシンフレームに支持され、針棒に上下動を行う際に、針振りアームを揺動させることで針振りの縫製を実現していた。
さらに、針棒101が揺動を行うことから、縫い針103が布地に突き通されてから抜けるまでの間に布地に対する縫い針103の角度が変動し、図6(B)に示すように、縫い針103が布地に貫通して形成される穴Hが広がってしまうという問題があった。
本発明は、針送り時において縫い針103の角度変動を抑制することをその目的とする。
そして、針送り機構は、同じ角度変化で揺動する二つの揺動アームを備えると共に、当該各揺動アームにより前記針棒支持体を上下二箇所で支持することで平行四節リンク機構を構成し、一方の前記揺動アームは、前記針棒支持体に対して上下に移動可能な角駒を介して支持している。
上記構成では、針棒が上下動機構により上下動されて縫製が行われる。そして、針棒の上下動に対して所定のタイミングで、針送り機構が針棒支持体を介して針棒をその上下動と直交する方向に移動させることで針送りが行われる。
つまり、針送りの前後で布地に対して縫い針は同じ姿勢を維持することとなる。また、縫い針が突き通されてから引き抜かれるまでの間に縫い針の傾きは変動しないので、縫い針により布地に貫通形成される穴は広がることがない。
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の作用を奏すると共に、針送りにおける針棒支持体の移動の際には、ガイドに沿って針棒の上下動方向と交差する方向に移動する。即ち、針棒支持体は、ガイドに沿って所定方向に沿った移動を案内されるので、針棒の姿勢の安定化を図って針送りを行うことができる。
なお、一対の揺動アームにより針棒支持体を移動させる場合には、針棒支持体は弧状の軌跡を描くが、ガイドはこれに対応して弧状に案内するか、或いはガイドの案内方向以外の移動成分を許容して案内できるように、多少のズレを許容可能に案内する構成とすることが望ましい。
また、縫い針の傾きが変動しないことから、縫い針の折れ等の破損を防止し、保守性の向上を図ることが可能となると共に細い縫い針の使用も可能となる。従って、縫い針により布地に貫通形成される穴をさらに小さくすることができ、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態たる針送りミシン10について図1乃至図4に基づいて説明する。図1は針送りミシン10の要部を示した斜視図である。
上記針送りミシン10は、その概略的な外形が、その下部に位置するミシンベッド11と、ミシンベッド11の一端部から上方に立ち上げられたミシン立胴部12と、ミシン立胴部12の上方からミシンベッド11に沿うように延設されたミシンアーム13とから構成されている。
なお、針送りミシン10の構成を説明するにあたって、後述する縫い針14の上下動方向をZ軸方向とし、これと直交する方向であってミシンベッド11及びミシンアーム13の長手方向をY軸方向とし、Z軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。
図2、図3はそれぞれ異なる方向から見た針棒支持体20及び針送り機構40の斜視図、図4は針棒支持体20及び針送り機構40の分解斜視図である。
針棒支持体20は、図1に示すように、ミシンアーム13内であってミシン立胴部12と反対側の端部において、針送り機構40に支持されている。
かかる針棒支持体20は、図4の如く、一定方向に長く引き延ばした略コ字状を呈しており、その長手方向がZ軸方向に沿うように、針送り機構40に支持されている。
また、針棒支持体20の長手方向一端部(上部)と他端部(下部)には、同一中心線上となる配置で円筒状のメタル軸受け21,22が設けられている。そして、これらメタル軸受け21,22により針棒15のZ軸方向に沿った上下動を可能に支持している。
また、針棒支持体20の下部には、後述する針送り機構40の第二の揺動アーム42の揺動端部においてY軸方向を中心に回転可能に支持された角駒46が挿入される角溝24が形成されている。かかる角溝24は、針棒支持体20の長手方向に平行に角駒46を滑動可能に係合する。即ち、角駒46は、針棒支持体20に対してZ軸方向に移動可能であり、これによって、わずかながらであるが、第一の揺動アーム41の揺動端部と第二の揺動アーム42の揺動端部において揺動時に生じるZ軸方向変位のズレを許容することが可能となっている。
上下動機構30は、図1に示すように、ミシン立胴部12の上端部に配設されたミシンモータ31と、このミシンモータ31に駆動され、ミシンアーム13の内部全長に渡ってY軸方向に沿った状態で回転自在に本体フレームに支持された上軸32と、上軸32に接続されて回転される回転体33と、回転体33の回転中心から偏心した位置においてその一端部が連結されたリンク体34と、リンク体34の他端部を針棒15と連結する連結体35とを備えている(連結体35については図4参照)。
上軸32は、その一端部がミシンモータ31に連結され、他端部は回転体33を固定支持している。これにより、ミシンモータ31の回転駆動力を回転体33に伝達する。
針棒15は、針棒支持体20によりZ軸方向に沿って往動可能に支持されていることから、リンク体34の一端部が上軸32を中心として周回移動を行う場合に、リンク体34の他端部から小リンク体35を介して針棒15に対してZ軸方向に沿った往復駆動力のみが伝達されることとなる。
また、針棒15は、針送り機構40によりその傾きを維持した状態でX軸方向に沿って移動を行うが、その場合にも、リンク体34の他端部が連結体35を介して針棒15に対してY軸方向を中心に回転可能に連結されているので、X軸方向に沿って移動する針棒15に対して当該針棒15のX軸方向に沿った移動を妨げることなく、Z軸方向に沿った往復駆動力を付与することが可能である。
針送り機構40は、図1乃至図4に示すように、その揺動端部において針棒支持体20の一端部(上部)を支持する第一の揺動アーム41と、その揺動端部において針棒支持体20の他端部(下部)を支持する第二の揺動アーム42と、第一の揺動アーム41の揺動軸となる第一の揺動支軸43と、第二の揺動アーム42の揺動軸となる第二の揺動支軸44と、図示しない本体フレームにモータブラケット45aを介して固定装備された針送りの駆動源となる針送りモータ45と、針送りモータ45の駆動により各揺動支軸43,44を同期させてほぼ同じ角度変位で揺動させる同期揺動機構50とを備えている。
また、第二の揺動アーム42の揺動端部には、前述したように、Y軸方向に突設され且つY軸方向を中心に回転可能に支持された角駒46が設けられており、この角駒46が針棒支持体20の角溝24に対してZ軸方向に沿って摺動自在に係合している。
そして、第一の揺動アーム41の揺動中心からボス部41aまでの長さと、第二の揺動アーム42の揺動中心から角駒46までの長さとは、等しく設定されている。このため、第一の揺動アーム41と第二の揺動アーム42とが同じ方向を向いた状態において、ボス部41aと角駒46とにより、針棒支持体20の上部と下部とを支持を行い、第一の揺動支軸43と第二の揺動支軸44とが同じ角度で揺動する限り、針棒支持体20を同じ傾きで移動させることが可能である。
なお、第一の揺動アーム41と第二の揺動アーム42とは、いずれも通常時においてその揺動端部を垂直下方に垂下した状態にあり(つまり、各揺動アーム41,42はほぼZ軸方向に沿った状態にあり)、針送りを行う場合は、かかる状態から各揺動端部を双方向に揺動させる。これにより、針棒支持体20をほぼX軸方向に沿って揺動させることを可能とする。
また、第一の連動アーム51よりも第二の連動アーム52は長く設定されている。そして、連動リンク体53はその一端部が、第一の連動アーム51の揺動端部と連結されている。また、連動リンク体53はその他端部が、第二の連動アーム52における第二の揺動支軸44から第一の連動アーム51と同じ長さだけ離れた位置に連結されている。
即ち、かかる構成により、第一の揺動アーム41,第二の揺動アーム42,針棒支持体20,第一の連動アーム51,第二の連動アーム52及び連結リンク体53により平行四節リンク機構が形成される。
このため、第二の連動アーム52が揺動すると、それと同じ角度だけ第一の連動アーム51が揺動することとなる。
そして、その出力軸に設けられた出力アーム54の揺動トルクは、連結リンク体55を介して第二の連動アーム52に伝達されることとなる。従って、針送りモータ45の出力により、同期揺動機構50を介して二つの揺動支軸43,44は、同期して同じ角度量だけ回転し、これに伴い、二つの揺動アーム41,42は同期して同じ角度量だけ揺動動作を行うこととなる。従って、針送りモータ45が、任意の角度で正回転又は逆回転の駆動を行うことにより、針棒支持体20及び針棒15をX軸方向に沿って任意の位置に移動させることが可能となる。
ガイド16,17は、いずれも長尺の板状であり、各々の長手方向をX軸方向に沿わせた状態でその一端部において図示しない本体フレームに支持されている。また、各ガイド16,17は本体フレームに支持された状態において、各々の平板面がZ−X平面と平行となるように支持されている。そして、各ガイド16,17は、その平板面を針送り機構40に支持された針棒支持体20の受け面部25,26に摺接するように配置されている。これらのガイド16,17は、受け面部25,26に摺接してX軸方向に沿った移動を案内すると共に、針棒支持体20に対して各揺動アーム41,42が係合する面の反対側に位置することで針棒支持体20のY軸方向に沿った移動を規制し、当該針棒支持体20が各揺動アーム41,42から脱落することを防止している。
なお、針棒支持体20は、針送り機構40によりおおむねX軸方向に沿った移動が行われるが、厳密には弧状に移動動作が付与されるため、針棒支持体20は、X軸方向に沿って移動される際にZ軸方向にもわずかに変位を生じることとなる。しかしながら、針棒支持体20の各受け面部25,26は各ガイド16,17よりも幾分Z軸方向に幅広に形成されているため、各ガイド16,17に対する針棒支持体20のZ軸方向変位を許容することができる。
布送り機構は、布地を保持する布押さえと、布押さえを支持する布押さえアームと、布押さえアームを介して布押さえをY軸方向に移動させる布送りモータとを備えている。
布送り機構は、上記構成により、ミシンベッド11の上面であって針棒15の下方位置に設けられたX−Y平面に沿った図示しない針板上において布地を押さえると共にY軸方向に沿って布地を移動位置決めすることができる。従って、前述した針送り機構40との協働により、布地に対して縫い針14を相対的にX軸方向及びY軸方向に移動位置決めすることができ、任意の位置に縫製を行うことを可能とする。
上記構成からなる針送りミシン10は、設定された移動量に応じて布地をY軸方向に沿って布送り機構により搬送し位置決めする。これに対して針送り機構40は、針送りモータ45の駆動により同期揺動機構50を介して第一及び第二の揺動支軸43,44を同期した状態で同じ回転角度量で回転駆動する。このため、第一及び第二の揺動アーム41,42が同期した状態で同じ揺動角度量で揺動する。これにより、第一及び第二の揺動アーム41,42の各様同端部に位置するボス部41aと角駒46とは、Z軸方向に沿って若干の変位を生じつつ、X軸方向に移動する。
これにより、針棒支持体20は、第一及び第二の揺動アーム41,42の揺動によって、受け穴23と角溝24の二点が同じ方向に同じ移動量で移動するので、針棒支持体20はその傾きを変えることなく各ガイド16,17位案内されつつ、X軸方向に移動されることとなる。
上記針送りミシン10は、針送り機構40が針送りの前後で針棒15の傾きを一定に維持したまま針棒支持体20を移動させるので、布地に対して常に垂直に縫い針14を突き通すことができる。従って、縫い針14が突き通されてから引き抜かれるまでの間に縫い針14の傾きは変動しないので、縫い針14により布地に貫通形成される穴は、縫い針14の外径に等しく、最小限の大きさとすることが可能となる。従って、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
また、縫い針14の傾きが変動しないことから、折れ等の破損を防止し、保守性の向上を図ると共に細い縫い針14の使用も可能とし、縫い針14により布地に貫通形成される穴をさらに微小化でき、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
特に、針棒支持体20は、二つのガイド16,17によりX軸方向に移動を案内されることから、針棒15の傾きをより安定させて針送りを行うことを可能とする。
これにより、縫い針14をより精度良く目的位置に位置決めすることができ、縫い品質をさらに向上させることが可能となる。
14 縫い針
15 針棒
16,17 ガイド
20 針棒支持体
30 上下動機構
40 針送り機構
41 第一の揺動アーム
42 第二の揺動アーム
Claims (2)
- 下端部で縫い針を保持する針棒を上下動可能に支持する針棒支持体と、
前記針棒に上下動駆動力を付与する上下動機構と、
前記針棒支持体を前記針棒の上下動方向と直交する方向に沿って移動させる針送り機構とを備え、
前記針送り機構は、同じ角度変化で揺動する二つの揺動アームを備えると共に、当該各揺動アームにより前記針棒支持体を上下二箇所で支持することで平行四節リンク機構を構成し、
一方の前記揺動アームは、前記針棒支持体に対して上下に移動可能な角駒を介して支持することを特徴とする針送りミシン。 - 前記針棒支持体を、前記針棒の傾きを維持しつつ前記針棒の上下動方向と交差する方向に沿って移動させるガイドを備えることを特徴とする請求項1記載の針送りミシン。
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