JP4274487B2 - パイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法 - Google Patents

パイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐震補強のため内部に充填材を充填した複数のパイプを構造物の周辺に配置し、連結帯で連結し、構造物に作用した地震の荷重を複数のパイプ間に分散して、構造物の耐震性を向上させるパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法に関する。
近年、各地で巨大地震が頻発している。阪神淡路大震災の記憶も新しいが、最近では中越地震、福岡西方沖地震等が発生し、高速道路や鉄道の橋脚を破壊し、建造物を崩壊させて、各地に大きな被害をもたらした。
これらの地震で報告された橋脚の被害は、地震の水平力が作用したときの柱下部におけるせん断力不足による脆性破壊が最も多かった。この被害に続いて、柱中央部または柱下部から長手方向に高さの1/3付近、さらに柱上部の順で破壊が起こっている。ラーメン構造の構造物の場合、多くは中央部が破壊されており、梁に関しては梁の中央部と端部で破壊されたことが報告されている。PC(プレストレストコンクリート)桁は左右に間隔があるラーメン構造のように中央部が破壊され、端部の破壊は桁が左右に動くことで脆性破壊が発生している
こうした地震被害の教訓は今後の新規の構造物の設計に活かされると思われるが、既に建設が終わった建造物、あるいは建設中の建造物でも十分な耐震強度を備えていない場合、今後大きな地震に見舞われたとき倒壊する可能性がある。そこで、既設の建造物に対してどのような補強を行えばよいのか、が問題となる。
現在、耐震改修には次の3つの方法がある。1つ目は耐震補強、2つ目は制震補強、3つ目は免震補強である。1つめの耐震補強は建造物の地震耐力を高めるか、靭性(変形性能)の向上を図るものである。このうちの前者は耐震壁、ブレースなどを新設することなどが該当し、後者は柱や梁を補強することなどが該当する。2つ目の制震補強は、高層建築物などで制震ダンパを設けて地震エネルギを吸収することで建造物の損傷軽減を図るものである。そして、3つ目の免震補強は、免震構造を基礎下や中間階に設けて、地盤から伝わる地震力を大幅に低減させることで建造物の損傷軽減を図るものである。
さて、この免震構造として、従来、パイプから構成されたものが提案されている(特許文献1参照)。この免震構造は、複数個の細長くて比較的柔軟でコンクリートを充填したパイプからなり、このパイプは構造物としっかり連結して下の基礎の方へ延長し、少なくともいくつかのパイプは、構造物が転倒しないように基礎と連結するものである。主荷重支承支柱は基礎に載置されてパイプ列を受け、支柱の上端部と構造物との間に支承装置を挿入してそれら相互間の横方向運動を可能ならしめる。また、支柱の荷重支承力から横方向剛性を吸収することによって、地面の加速力を保護構造物に移行させないようにするものである。この構成によって、地震時に建造物や他の構造物を保護することができる。
しかし、特許文献1の免震構造は、基礎工事が必要で、短い工期、低コストで既設の建造物を補強するには馴染まないものであった。また、従来の制震補強は高層建築物を補強するものがほとんどで、建造物がどのような建造物であっても常に補強が可能な方法とは言えない。例えば、制震補強で擁壁や梁などを補強することは構造上難しい。しかも、免震構造と同様に、短い工期、低コストで補強するのは困難である。
こうした難点に対しては耐震補強が有力で、次のような耐震補強方法が提案されている(特許文献2参照)。すなわち、特許文献2の耐震補強方法は、コンクリート柱状体の周面に樹脂を含浸させた補強繊維シートを貼着してこの柱を補強する方法であって、貼着される補強繊維シートの複数枚を重層してその中間部に樹脂を含浸硬化させた板状部と残余の未含浸部とを有する甲殻シートを形成しておき、この甲殻シートの板状部を柱の周面にスペーサーを介して当接させたのち各未含浸部に樹脂を含浸させて互いに重ね合わせて柱の周面に貼着し、このスペーサーによって形成される板状部と周面との隙間に樹脂モルタル等の充填材を注入するものである。
この構成によって、コンクリート柱状体に補強繊維シートを多層に巻き付ける補強作業を狭い場所で短時間に完了できる。また、この方法に好適な補強材を提供することが可能になる。しかし、特許文献2の耐震補強方法は、本来、塗装や耐火被覆等の仕上げを行う方法であり、地震の水平力による柱の曲げや直下型の巨大な引張/圧縮力に対しては、巻き付けられた補強繊維シート間の樹脂の強度が弱く、補強シート間の樹脂含浸が不十分で、補強シート同士が外力で引き裂かれる可能性があり、また、本来補強繊維シートは、一方向性の引張り力には、耐力を発揮するが、圧縮力には補強作用を奏さず、十分な補強方法と言えなかった。
また、地震の破壊力から橋脚の倒壊を防ぐため、鋼板をコンクリート製の脚の外部に取り付け、脚と鋼板の間にセメントを充填する方法や、エポキシ樹脂によってコンクリートと鋼板を接着する鋼板巻きたて工法(鋼板接着工法)が行われている。この鋼板巻きたて工法は、鋼板の材料特性値にばらつきが少なく、また弾性係数も大きいので、補強効果が大きい。また、エポキシ樹脂が硬化収縮しない性質があるため、流動性、接着性、高強度、耐久性に優れており、橋脚と鋼板とを十分に接着させることができ、橋脚と鋼板とを一体化して応力の伝達ができるので、既設橋脚の耐力を向上することができるものであった。
特開平6−81514号公報 特開平11−343744号公報
以上説明した特許文献1の免震構造は、地震が作用すると、まずパイプ内部の充填物が塑性変形することで地震の水平力を吸収し、地震に対処するものである。そして、この免震構造は、基礎として建築物を直列に支えるもので、概ね建築物を建築する段階で基礎部分に組み込んで設置する必要があり、既設の建造物を短工期、低コストで補強するのは困難であった。また、基礎部分に配設される免震構造であるが故に、充填物が一回の地震で使用不可状態になる可能性が高く、改修には費用がかかり、繰り返して地震力を吸収するためには、制震のためのダンパを別に設置する必要性もあり、高コスト化は免れない。
また、特許文献2の耐震補強方法は、補強作業を狭い場所で短時間に完了でき、安価に補強することが可能になるが、塗装や耐火被覆等の仕上げが必要で、想定外の力で発生する地震の破壊力に十分対処するものにはなりえなかった。補強繊維シートは、一方向性の引張り力には、耐力を発揮するが、圧縮力には補強作用を奏さない。しかも、補強繊維シート間の樹脂含浸の確認は経験的になされており、個人差が大きく、樹脂含浸の確認を容易にするため透明部分が形成された特殊なシートが必要な場合も生じた。また、紫外線や火災、車輌の衝突等により補強繊維シートが傷んで、繊維が切断されると所定強度を発揮できないため、モルタル等で保護しなければならないという問題を有していた。
そして、直下型の地震の場合には特許文献1,2のような補強方法はいずれもコンクリートの柱に地震力が直接作用し、一挙に破壊してしまう。さらに、水平方向の地震力は構造物特性によりねじりや曲げモーメント、せん断力となって建造物に加わるが、特許文献2の補強方法はこれらに対して十分な補強となっていなかった。この点、鋼板巻きたて工法は、高強度で耐久性に優れており、建造物と鋼板とが一体化して応力の伝達ができるので、地震に対する既設建造物の耐力を大幅に向上させることができる。しかし、使用する鋼板が重く人力のみによる施工は困難であり、鋼板の量が膨大で、簡易、短工期、且つ低コストで補強するのは難しい工法であった。重量が嵩むため、補強のための重量で本体に過剰な荷重がかかるような場合は無理であり、その性質上レンガ積み構造、石積み構造で使用するのは困難である。
さらに、建造物には時間の経過に伴って環境変化、劣化等があり、また法令による耐震基準や設計方法の変更等で、更なる補強が必要になる場合がある。しかし、特許文献1,2の免震構造は、一度行った補強の程度を変更したり、力のかかる度合いに応じた補強をきめ細かく簡単に調整したりすることができないものであった。そして、耐震改修は、橋脚、橋桁、柱、梁、擁壁や、その他のコンクリート建造物だけでなく、レンガ積み構造、石積み構造にも適用可能な方法が望まれる。
さらに、補強のための部材は建造物と比べて場所をとらず、軽量であることが望ましく、施工に当っては大型の機械を必要としないことが望ましい。また、上述したとおり各地を巨大地震が襲っており、今後既存の建造物を低コスト、短工期で改修することが緊急の課題となっている。
そこで、このような課題を解決するために本発明は、予想外の地震に対応することが容易で、補強材が軽量であり、安価且つ簡単、短期間に施工でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行えるパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法を提供することを目的とする。
本発明のパイプ耐震構造体は、長尺状で圧縮強度を向上させるための充填材が内部に充填されると共に構造物の側面に接触して立設されかつその端部がフーチング又は柱に当接して配置される複数のパイプと、地震による負荷が所定以上の応力となって作用する構造物の部位の周囲で巻回され複数のパイプを締付けにより構造物の側面に圧接させる連結帯とを備え、複数のパイプがこの連結帯の締付けによって地震時の構造物の動きと連動できる緊締力と緊締幅で緊締された直下型の地震の上下動に対応できるパイプ耐震構造体であって、構造物がインパルス状の地震の衝撃を地盤から受けたとき、連結帯によって緊締された複数のパイプが、その端部によるフーチング又は柱との当接、構造物の動きとの連動に基づいて構造物と一体となった運動により抵抗し、パイプに加わる塑性変形を起こす圧縮力については充填材によって引き受け、パイプが座屈したときには座屈したパイプの補修が行える構成を有することを主要な特徴とする。
本発明のパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法によれば、予想外の地震に対応することが容易で、補強材が軽量であり、大型の機械を必要とせず、安価且つ簡単、短期間に施工でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明の第1の形態は、長尺状で圧縮強度を向上させるための充填材が内部に充填されると共に構造物の側面に接触して立設されかつその端部がフーチング又は柱に当接して配置される複数のパイプと、地震による負荷が所定以上の応力となって作用する構造物の部位の周囲で巻回され複数のパイプを締付けにより構造物の側面に圧接させる連結帯とを備え、複数のパイプがこの連結帯の締付けによって地震時の構造物の動きと連動できる緊締力と緊締幅で緊締された直下型の地震の上下動に対応できるパイプ耐震構造体であって、構造物がインパルス状の地震の衝撃を地盤から受けたとき、連結帯によって緊締された複数のパイプが、その端部によるフーチング又は柱との当接、構造物の動きとの連動に基づいて構造物と一体となった運動により抵抗し、パイプに加わる塑性変形を起こす圧縮力については充填材によって引き受け、パイプが座屈したときには座屈したパイプの補修が行える構成を有することを特徴とするパイプ耐震構造体であり、予想外の地震に対応することが容易で、補強材が軽量であり、大型の機械を必要とせず、安価且つ簡単、短期間に施工でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明の第2の形態は、第1の形態に従属する形態であって、構造物が橋脚の場合、連結帯が脚下部、脚上部、脚中央部、脚高さの1/3の高さ付近のうち少なくとも1部位以上の緊締位置で緊締されたことを特徴とするパイプ耐震構造体であり、第1の形態の作用に加えて、橋脚を安価且つ簡単、短期間に耐震補強でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明の第3の形態は、第1の形態に従属する形態であって、構造物が梁、桁を有する構造物またはプレストレストコンクリート構造物の場合、連結帯が構造物の中央部、両端部のうち端部の一方を含む少なくとも2部位以上の緊締位置で緊締されたことを特徴とするパイプ耐震構造体であり、第1の形態の作用に加えて、梁、桁またはプレストレストコンクリート構造物を安価且つ簡単、短期間に耐震補強でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明の第の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、構造物が橋脚の場合、複数のパイプが橋脚の周囲のフーチング若しくはフーチングに設けられた基礎または支持地盤で支持され、垂直方向に向けて立設されたことを特徴とするパイプ耐震構造体であり、第1または第2の形態の作用に加えて、橋脚を一様に耐震補強でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明の第の形態は、第1〜第の形態に従属する形態であって、充填材が、砂,スラグ,モルタル,コンクリート,樹脂の1種または2種以上から構成されたことを特徴とするパイプ耐震構造体であり、第1〜第5の形態の作用に加えて、充填材がパイプの圧縮強度を向上させることができ、安価且つ簡単、短期間に施工でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明の第6の形態は、長尺状で圧縮強度を向上させるための充填材が充填された複数のパイプを構造物の側面に接触して並んで配置すると共に、各端部をフーチング又は柱に当接させ、地震による負荷が所定以上の応力となって作用する構造物の部位において複数のパイプの周囲に連結帯を巻回し、充填材が内部に充填された複数のパイプを締付けにより地震時の構造物の動きと連動できる緊締力と緊締幅で緊締して、該複数のパイプを締付けによる圧接で地震の動きと連動させる直下型の地震の上下動に対応できるパイプ耐震補強方法であって、構造物がインパルス状の地震の衝撃を地盤から受けたとき、連結帯によって緊締された複数のパイプの端部によるフーチング又は柱との当接とこの複数のパイプによる構造物の動きとの連動に基づいて構造物と一体となった運動により抵抗し、パイプに加わる塑性変形を起こす圧縮力については充填材によって引き受け、パイプが座屈したときには座屈したパイプの補修を行うことを特徴とするパイプ耐震補強方法であり、予想外の地震に対応することが容易で、補強材が軽量であり、大型の機械を必要とせず、安価且つ簡単、短期間に施工でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
(実施例1)
本発明の実施例1における構造物として橋脚の場合のパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法について図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施例1における構造物に対するパイプ耐震構造体の全体図、図2は図1の構造物のX−X断面図、図3(a)は本発明の実施例1における構造物を補強するパイプを固定する方法の説明図、図3(b)は本発明の実施例1における構造物を補強するパイプをフーチングに固定する説明図、図4は本発明の実施例1における構造物に対するパイプ耐震構造体の直下型地震による応答の説明図である。
図1〜図3(a)(b)において、1はコンクリート製または鉄筋コンクリート製の構造物であり、実施例1の構造物1は鉄筋コンクリート製の橋脚である。しかし、構造物1は橋脚には限られず、少なくとも柱部分(本発明の脚)を備えた構造のものが含まれる。2は充填材3(後述)が充填され耐震補強を行うため構造物1の周りに多数に配置された鉄等の金属あるいはFRP,グラスファイバー等の繊維質補強合成樹脂等のパイプ、3はパイプ2の中に充填される砂、モルタル、コンクリート、樹脂等の充填材(図2参照)である。充填材2はパイプ2の圧縮強度を増す材料であればよい。
なお、パイプ材質は強度、汎用性、コストの面から鋼鉄であることが望ましいが、強度的に十分であれば他の金属、繊維質補強合成樹脂等でもかまわない。風雨に曝されても赤錆などが発生するなど、腐食が進行しないように表面を樹脂コーティングなどしておくのもよい。そして、小径のパイプや、とくに樹脂類パイプを使用した場合、非常に軽量になり、人力あるいは小型機械による施工が可能であり、狭隘な場所での補強作業に有効である。
パイプ2の断面形状は円形パイプが汎用され、入手容易で望ましいが、円形に限らずあらゆるパイプ、例えば4角形、6角形等の多角形(筒状)のパイプ等でよく、肉厚を有し、少なくとも内部に中空部分が形成されたパイプであればよい。組み合わせによりパイプ構造となるものでも所要の組み合わせ強度を有するものは使用可能である。なお、多角形のパイプは構造物1に圧接したとき摩擦力が大きくなり有効である。また、パイプの外形、中空部分の形状が長手方向の途中で変化するものであってもよい。すなわち、長手方向に一様な断面形状のパイプも素材として適当であるが、竹のように途中で節(凸凹)が形成されたパイプ、あるいは長手方向に巻き付けなどがなされたパイプ、例えば螺旋状に断面が変化する断面形状をもつパイプなども好適である。これによりコンクリートとの付着力(摩擦、圧接、食い込みによる力)を増大させることが可能となる。巻き付けなどは、鋼管に合成樹脂を巻き付けて節(凸凹)を設けるような2種類以上の材料を使ったものでもよい。
このようなパイプ2は、直下型地震のように構造物1に上下方向にインパルス状の地震の入力があったときなどにも、この付着力の作用によって衝撃を緩和することができる。また、上述したような巻き付けや、螺旋形状などにすることにより、パイプ2は断面二次モーメントを大きくすることができ、構造物1に地震による曲げモーメントが加わったときにも、構造物1に作用するせん断力を軽減することができる。なお、パイプ2は構造物1の補強をするための従たる構成にすぎないから、場所をあまり占有しない長尺状のパイプが望ましい。すなわち、断面形状において直交2方向の代表2辺の平均値より長手方向の長さが長いパイプが望ましい。
次に、パイプ2の中空部分に充填する充填材3としては、外部からの圧縮に対して耐力が大きな材料を充填する。一般的に耐力は鋼材>モルタル・コンクリートであり、樹脂には様々のものがあるから、パイプ2の材料に何を使うかにより充填材3を選択する。但し、高価な材料では充填材3を充填する意味がないから、砂、セメント水和物反応を利用するモルタルやコンクリート、樹脂等のように安価な材料が望ましい。丸棒のような一体物は一般的にコストが高くなり、重量がかさばるため運搬等の課題が残り、コンクリート製パイプの中に低強度コンクリートを満たしたようなパイプ2は、強度の面で課題が残る。
パイプ2は、骨格部分(パイプ)が充填材3の外周に形成されているため、圧縮等の塑性変形を起こすような力に対しては、内部の充填材3がこの外力を引き受けて変形を回避し、引張などは骨格部分のパイプが外力を引き受けて支持する。これにより、パイプに外力が加わったとき、パイプ形状が変形するのを充填材が抑制し、2つの材料が機能を分担することで外力に対して大きな耐力を持った構造となる。パイプと充填材3が物理的な強度の弱点をカバーし合い、全体として中実の棒材と同等かこれに近い強度を示すものとなる。
これは身近な次のような事例からも理解することができる。人間やほ乳類、鳥類等の骨格構造は、骨の周りに筋肉が形成された構造となっている。しかし、昆虫類は外側に甲殻を持ち、内部に筋肉を有する構造を有している。スケール換算すると人間の数倍から数十倍の強度を持つ昆虫類の秘密は、この甲殻構造にある。通常の鉄筋コンクリート構造においてはコンクリートが筋肉に相当し、鉄筋が骨格に相当するが、実施例1のパイプ2は外側が鋼鉄等のパイプで、内部がコンクリートやモルタル等の甲殻構造となっており、外力に対して鉄筋コンクリートより強靱な構造となっている。
従って、地震のような想定外の力が急激に加わって、ねじりや過度の繰り返し力が作用するとき、パイプ2は鉄筋コンクリート構造より高い耐震性を示す。すなわち、構造物1の靭性(変形性能)を向上させることが可能となる。なお、パイプ2は、パイプに後から充填材3を流入させることによって製造するのが容易であるが、長尺状の充填材3を製造し、その後に外側に肉厚部分(パイプ部分)を巻き付けること等で製造するのでもよい。例えば、充填材3としての鉄棒を製造し、これに高強度鋼板を巻いたパイプであっても、リサイクル樹脂の充填材3にカーボンファイバー等の補強繊維シートを巻き付けたパイプもでもよい。
また、耐震補強といっても、既設の建造物に対して事後的に耐震補強するだけでなく、新規建築において柱等の構造物1に実施例1のパイプ構造体を設置して、構造物1の鉄骨、鉄筋の負担を軽減する代替材料とすることもでき、この場合工期を短縮でき、安価且つ容易に耐震補強構造物をつくることができる。
さて、図1,2において、4a,4b,4cは構造物1の周囲に密着して立設された複数のパイプ2の更にその周囲を巻回され、複数のパイプ2を緊締して構造物1のパイプ2の動きを一体化(連動)させる連結である。連結帯4a,4b,4cの両端は、一重または多重で巻回された後、接着、溶接、ボルト締め、クリップ、ロープ結びなどで固定される。
実施例1の構造物1は橋脚であるが、地震の水平力が作用したとき脆性破壊が最も頻繁に発生する橋脚の柱下部(本発明の脚下部)に連結帯4aが設けられ、これによってパイプ2を構造物1に緊締している。また、次の頻度で破壊が起こる柱中央部(本発明の脚中央部)または脚高さの1/3の高さ付近には結帯4bが設けられてパイプ2を構造物1に緊締し、さらに柱上部(本発明の脚上部)には連結帯4が設けられてパイプ2を構造物1に緊締している。そして、これらの緊締位置は地震時に作用する応力が許容値を越えると予測される位置である。
ところで、地震の力が加わるとき、構造物1の構造特性によって破壊される位置は異なる。橋脚と同様に柱部分を備えた構造物1の場合、質量の大きな部分に水平力が作用すると、慣性力で柱下部に最も大きな曲げモーメントが加わって柱下部から破壊される。柱下部に向って徐徐に増加する分布荷重が作用するような構造物1の場合は、柱下部から1/3程度の高さの位置に最大の曲げモーメントが加わって破壊される。また、上下動の力が作用する場合は、柱中央部、次に柱下部、柱上部に大きな応力が加わることが多い。
しかし、実施例1のパイプ耐震構造体は、連結帯4a,4b,4cの緊締力(締め付け力)と、連結帯4a,4b,4cを設置する緊締位置及び緊締幅を構造物1の特性に応じて調整することが可能であり、その構造物1にとって最大の応力が加わる部分を中心に、所定の応力以上の部位(幅)を連結帯4a,4b,4cで締め付けるから、構造物1の構造特性に従って補強の程度を簡単に調整することができる。
このように、実施例1においては連結帯4a,4b,4cが3箇所の緊締位置に所定幅、所定の緊締力で設けたが、柱下部、柱上部、柱中央部、脚高さの1/3の高さ付近のうち少なくとも1部位以上の緊締位置で緊締すればよい。設置箇所をさらに増加してもよいし、構造によっては最も負荷のかかる柱下部の連結帯4aだけとするのでも、あるいは柱下部、柱中央部の連結帯4a,4bだけを緊締するのでもよい。また、連結帯4a,4b,4cをパイプ2と同様の構成のパイプを使って構成することも可能である。
連結帯4a,4b,4cはワイヤー(金属あるいは繊維質補強樹脂を主材料としたもの)、カーボン板等の繊維質補強樹脂を主材料としたクロス、鉄板ボルト締めによる帯鉄、ロープなどが好適で、連結帯4a,4b,4cによる構造物1と複数のパイプ2の緊締力は、地震時にパイプ2が構造物1を拘束し(摩擦、圧接、食い込みによって抵抗力となる)、両者が一体となった運動ができればよい。実施例1においては、連結帯4aはワイヤー巻、連結帯4bはクロス巻、連結帯4cは帯鉄巻にしている。勿論これに限られるものではない。連結帯4a,4b,4cの横幅は構造物1と連動できるだけの十分な付着力(摩擦、圧接、食い込みによる力)が得られればよく、図1に示す柱下部、柱中央部に設けられる連結帯4a,4bは柱上部より幅広になっている。
パイプ2の長さは、実施例1の橋脚の場合、脚部分の高さ分だけあるのが望ましいが、構造物1の状況で、例えば柱中央部までの高さでも、場合によっては柱下部だけの高さでもよい。ただこの場合、地震の水平力が作用したとき橋脚の重量で脚部分が揺れ、パイプ2を座屈させる可能性が生じるので、できれば橋脚の脚半分以上の高さにするのが好適である。
次に、図1,図3(a)(b)に示すように、5は構造物1のフーチングであり、6は地表面である。さらに、図3(a)において、7は構造物1の周囲でフーチング5上に複数のパイプ2を並べてその脚元の型枠にコンクリートを打設して形成した支持部であり、また、図3(b)に示す8はフーチング5上に形成された複数の挿入孔である。挿入孔8にはパイプ2の下端がそれぞれ差し込まれるなどして、この場合複数のパイプ2が、構造物1のフーチング若しくはフーチングに設けられた基礎または支持地盤で支持されることになる。
ここで、実施例1のパイプ耐震構造体の作用についてさらに詳しく説明する。図2に示すように、構造物1の脚の周囲に複数のパイプ2が接触して立設され、連結帯4a,4b,4cで連結されている。まず、水平力の地震力が作用した場合について説明する。
構造物1の重量の大きな部分には、地盤が地震で水平に動くと慣性力が働き、脚部分は大きく撓む。図2のように脚部分が幅b、高さhの矩形状の断面を有する場合、幅bの面に対してこの慣性力、すなわちせん断力Fが作用したとすると、脚とパイプ2は組み合わせ梁のように撓むことになる。
ここで、パイプ2の縦弾性係数をEp、橋脚の縦弾性係数をEcとし、パイプ2の断面二次モーメントをIp、橋脚の脚の断面二次モーメントをIc、さらにパイプ2の本数をn本、パイプ2一本の断面積Apとすると、橋脚の脚に作用する最大せん断応力τは柱下部の中央付近で生じ、組み合わせ梁で近似できると考えた場合、おおよそ(F/b)(Ec・b・h/8+Ep・n・Ap・h/2・h/(b+h))/(Ec・Ic+n・Ep・Ip)程度になる。曲げに伴う歪みは中立軸からの距離に比例し、全断面に作用する圧縮応力と引張応力の総和を0、せん断応力τは幅b方向にほぼ一様に分布しているものとする。橋脚の縦弾性係数Ecは鉄筋コンクリートとしたときの見掛けの値である。そして、せん断力Fの方向と平行な方向に並んだパイプ2はn本のうちh・n/(b+h)本であり、残りのb・n/(b+h)本が橋脚の曲げに対して主たる抵抗を示すものとする。
これに対して、補強がない場合の最大せん断応力τcは概ねF・h/8・Icであるから、τ=τc・(1+α・4n・γ・h/(b+h))/(1+α・β・n)となる。ここで、α=Ep/Ec、β=Ip/Ic、γ=Ap/Ac、Ac=b・hであり、通常αはα=15程度、βはパイプ2と建造物の形状と大きさによる。
パイプ2は充填材3の作用で直径dの丸棒に近似できる断面二次モーメントを有しているとすると、最大せん断応力τをτ<τcにするには4γ・h/(b+h)<β程度にすればよい。例えば、上記橋脚の場合、h/32(b+h)<dであればよい。橋脚の脚がb=hの形状で正方形の場合には、上記目安値はd>h/8程度となる。しかし、この値は、本発明が新たな補強方法のため、従来の繊維シートや炭素繊維などの補強方法、鋼板まきたて工法のように補強設計の方法が確立されておらず、近似に基づく目安にすぎない。
実際には精度の高い計算は複雑で、連結帯4a,4b,4cの締め付け程度でパイプ2の橋脚への付着力が異なるし、上記計算では無視したせん断力Fと平行な面方向に配置されたh・n/(b+h)本のパイプ2が抵抗として機能し、これらが橋脚に作用するせん断力F、曲げモーメントを分担するから、また、パイプの形状と材質、充填材3の材料の選択によってこれらの値は変化し、個々の場合で異なった値となる。従って、実際には高さh若しくは幅bの1/30〜1/15以上、本体強度に余裕が見込まれる場合は1/40以上の大きさにすればτ<τcを十分実現することができる。
続いて、直下型の地震で橋脚に上下方向のインパルス状の振動が入力されたときの説明を行う。橋脚の質量をM、パイプの付着力(パイプが連結帯4a,4b,4cが締め付けられたことによる摩擦、圧接、食い込みによる力)による減衰係数をc、橋脚のバネ係数をkとすると、地震による入力があったときの橋脚の応答は(1/Mq)・e−ξωtなる振幅を有するsin(qt)の振動と考えることができる。ここに、ω=(k/M)1/2、ξ=c/2・(Mk)1/2、q=ω(1−ξ1/2である。図4において、Mω・h(t)が橋脚の上下方向の変化量を示す。パイプ2が橋脚へ強く密着し、食い込むと、ξ、すなわち減衰係数cが大きくなり、図4に示すように過渡的な応答の振幅が小さくなって抵抗が大きくなる。
すなわち、地震の上下動が入力され、橋脚が慣性で遅れて運動しようとすると、パイプ2が付着力でこの運動に抵抗する。このときパイプ2は橋脚から大きな圧縮力を受けるが、連結帯4a,4b,4cでパイプ2全体に力を均等に分散する。パイプには充填材3が充填されているから、単純なパイプより圧縮に耐え、座屈を回避することができる。また、仮に座屈が起きても、橋脚自体の破壊が免れれば、パイプ耐震構造体は役目を十分に果たしたことになるし、パイプ耐震構造体を補修するのは橋脚本体が損壊した場合に比べてきわめて容易であり、無視できる程度に安価である。
実際の地震は、上述したインパルス状の地盤の上下動による力だけが作用する場合は稀であり、上下方向と水平方向の力が前後して作用する場合、若しくは主として水平方向の力が作用する場合か、のどちらかになることが多いが、実施例1のパイプ耐震構造体は、上述したような2方向の作用を奏することにより、橋脚の破壊を免れさせることができる。
このように実施例1のパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法は、予想外の地震に対応することが容易で、補強材が軽量であり、大型の機械を必要とせず、安価且つ簡単、短期間に施工でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更、短工期の耐震改修が容易に行える。ねじりや過度の繰り返し力に対して従来の鉄筋コンクリート構造より対応できる幅が大きくなる。そして、橋脚のようなコンクリート構造だけでなく、レンガ積み構造、石積み構造にも適用可能である。
そして、橋脚の場合、連結帯が柱下部、柱上部、柱中央部、脚高さの1/3の高さ付近のうち少なくとも1部位以上の緊締位置で緊締されるため、橋脚を安価且つ簡単、短期間に耐震補強でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
(実施例2)
本発明の実施例2における構造物は梁、桁、プレストレストコンクリート構造体等であり、これらの耐震補強を行うパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法である。図5は本発明の実施例2における構造物に対するパイプ耐震構造体の全体斜視図、図6はプレストレストコンクリート構造物の一部破断した構成図である。実施例1と実施例2とで、同一符号は同様の構成を示すものであり、説明は省略する。
図5において、4d,4e,4fはパイプ2を緊締するための連結、10はコンクリート建築物の柱、11はそのコンクリート建築物の梁である。図5は梁11の場合を示しているが、橋桁等の桁においても同様である。なお、パイプ2は実施例1と同様に、鉄等の金属あるいはFRP,グラスファイバー等の繊維質補強合成樹脂等から構成される。
実施例2においては、コンクリート建築物の梁11を耐震補強するために、連結帯4d,4e,4fが梁11の両端部と中央の3箇所で梁11に巻き付けられ、樹脂接着されて、梁11の下面に配設された複数のパイプ2を固定されている。両端部と中央の3箇所で固定した理由は、梁11にほぼ一様な分布荷重がかかっている場合には、梁11の中央に最大の曲げモーメントが作用しており、地震発生時にはこれに地震によるモーメントが加わるからである。そして、柱10と接合されている両端部も、梁11が左右に動くことにより、大きなせん断力を受けて破壊されるため、実施例2においては梁11の両端部を連結帯4d,4fで補強している。なお、梁11の中央部、両端部のうち端部の一方を含む少なくとも2部位以上の緊締位置で緊締すれば最小限の作用を奏す。
実施例2の梁11は、梁11にかかるモーメントの大きさを反映して、中央の連結帯4eは最も緊締力のあるクロス二重張りとし、両端部の連結帯4d,4fにはクロス一重張りを採用している。これらの緊締幅は所定の応力以上になる範囲を緊締すればよい。なお、パイプ2は、長手方向の長さが梁11の長さと同一程度であればよく、梁11の下面に沿って配置され、連結帯4d,4e,4fにより梁11に緊締されていればよい。そして、パイプ2の両端は柱10に当接させるのが好適であるが、座屈等を考慮して両端に若干の間隙を設けて配置するのでもよい。
続いて、図6はプレストレストコンクリート(ポストテンション方式)構造体(以下、PC構造体)に対するパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法を示している。4g,4h,4iはワイヤー、カーボン板等の繊維質補強樹脂を主材料としたクロス、鉄板ボルト締めによる帯鉄、ロープなどの連結帯、13はPC構造体、14はPC構造体13に設けられたシース、15は緊張鋼材、16は圧力を受ける支持板、17はグリップ、18はキャップ、19はコンクリート支持体である。PC構造体13は、シース14が埋め込まれた型枠を準備し、シース14の周囲に生コンクリートを供給し、これが硬化した後に型枠を取り除く。その後、シース14に緊張鋼材15を挿入し、ジャッキ等で引張応力を与え、この状態で緊張鋼材15の端部を支持板16、グリップ17で固定し、シース14と緊張鋼材15との間に固定剤を充填して硬化させたものである。
さて、PC構造体13に対する実施例2の耐震補強は、PC構造体13の底面に、上記梁11の場合と同様、金属あるいはFRP,グラスファイバー等の繊維質補強合成樹脂等からなるパイプ2を配置し、連結帯4g,4h,4iによってPC構造体13とパイプ2を周囲から緊締して構成する。地震時にはPC構造体13の両端部と中央部で曲げが抑えられ、パイプ2と連結帯4g,4h,4iが一体となって補強するものである。
上述の梁11で説明したとおり、連結帯4hは最も緊締力を増すためクロス二重張りとして樹脂接着し、両端部の連結帯4g,4iにはクロス一重張りとして樹脂接着する。パイプ2の長手方向の長さはPC構造体13の長さと同一でよく、PC構造体13の底面に沿って連結帯連結帯4g,4h,4iが張り付き、支持するものであればよい。また、パイプ2の両端は柱10に当接させるのが好適であるが、両端に間隙を設けて配置するのでもよい。なお、連結帯4g,4h,4iはクロス巻のほか、ワイヤー巻、帯鉄巻などでもよい。
このように実施例2のパイプ耐震構造体及びパイプ耐震補強方法は、梁、桁やPC構造物などを耐震補強することが容易で、補強材が軽量であり、大型の機械を必要とせず、安価且つ簡単、短期間に施工できる。構造物に対する負荷に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更、短工期の耐震改修が容易に行える。
そして、梁、桁またはPC構造物において、連結帯が構造物の中央部、両端部のうち端部の一方を含む少なくとも2部位以上の緊締位置で緊締されるため、梁、桁またはPC構造物を安価且つ簡単、短期間に耐震補強でき、負荷の程度に応じたきめ細やかな調整が行え、施工後の補強の変更が容易に行える。
本発明は、構造物の耐震性を向上させるパイプ耐震構造体とパイプ耐震補強方法に適用することができる。
本発明の実施例1における構造物に対するパイプ耐震構造体の全体図 図1の構造物のX−X断面図 (a)本発明の実施例1における構造物を補強するパイプを固定する方法の説明図、(b)本発明の実施例1における構造物を補強するパイプをフーチングに固定する説明図 本発明の実施例1における構造物に対するパイプ耐震構造体の直下型地震による応答の説明図 本発明の実施例2における構造物に対するパイプ耐震構造体の全体斜視図 プレストレストコンクリート構造物の一部破断した構成図
符号の説明
1 鉄筋コンクリート製の構造物
パイプ
3 充填材
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i 連結帯
5 フーチング
6 地表面
7 支持部
8 挿入孔
10 柱
11 梁
13 PC構造体
14 シース
15 緊張鋼材
16 支持板
17 グリップ
18 キャップ
19 コンクリート支持体

Claims (6)

  1. 長尺状で圧縮強度を向上させるための充填材が内部に充填されると共に構造物の側面に接触して立設されかつその端部がフーチング又は柱に当接して配置される複数のパイプと、地震による負荷が所定以上の応力となって作用する前記構造物の部位の周囲で巻回され前記複数のパイプを締付けにより前記構造物の側面に圧接させる連結帯とを備え、前記複数のパイプがこの連結帯の締付けによって地震時の前記構造物の動きと連動できる緊締力と緊締幅で緊締された直下型の地震の上下動に対応できるパイプ耐震構造体であって、
    前記構造物がインパルス状の地震の衝撃を地盤から受けたとき、前記連結帯によって緊締された複数のパイプが、その端部によるフーチング又は柱との当接、前記構造物の動きとの連動に基づいて前記構造物と一体となった運動により抵抗し、前記パイプに加わる塑性変形を起こす圧縮力については前記充填材によって引き受け、前記パイプが座屈したときには座屈したパイプの補修が行える構成を有することを特徴とするパイプ耐震構造体。
  2. 前記構造物が橋脚の場合、前記連結帯が脚下部、脚上部、脚中央部、脚高さの1/3の高さ付近のうち少なくとも1部位以上の緊締位置で緊締されたことを特徴とする請求項1記載のパイプ耐震構造体。
  3. 前記構造物が梁、桁を有する構造物またはプレストレストコンクリート構造物の場合、前記連結帯が前記構造物の中央部、両端部のうち前記端部の一方を含む少なくとも2部位以上の緊締位置で緊締されたことを特徴とする請求項1記載のパイプ耐震構造体。
  4. 前記構造物が橋脚の場合、前記複数のパイプが前記橋脚の周囲のフーチングに設けられた基礎または支持地盤で支持され、垂直方向に向けて立設されたことを特徴とする請求項1または2記載のパイプ耐震構造体。
  5. 前記充填材が、砂,スラグ,モルタル,コンクリート,樹脂の1種または2種以上から構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパイプ耐震構造体。
  6. 長尺状で圧縮強度を向上させるための充填材が充填された複数のパイプを構造物の側面に接触して並んで配置すると共に、各端部をフーチング又は柱に当接させ、地震による負荷が所定以上の応力となって作用する前記構造物の部位において前記複数のパイプの周囲に連結帯を巻回し、前記充填材が内部に充填された複数のパイプを締付けにより地震時の前記構造物の動きと連動できる緊締力と緊締幅で緊締して、該複数のパイプを締付けによる圧接で地震の動きと連動させる直下型の地震の上下動に対応できるパイプ耐震補強方法であって、
    前記構造物がインパルス状の地震の衝撃を地盤から受けたとき、前記連結帯によって緊締された複数のパイプの端部によるフーチング又は柱との当接とこの複数のパイプによる前記構造物の動きとの連動に基づいて前記構造物と一体となった運動により抵抗し、前記パイプに加わる塑性変形を起こす圧縮力については前記充填材によって引き受け、前記パイプが座屈したときには座屈したパイプの補修を行うことを特徴とするパイプ耐震補強方法。
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