JP4274482B2 - ダイカスト装置 - Google Patents
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Description
そして上記潤滑油供給手段として、潤滑油供給源に連通するノズルの先端部をスリーブの端面の上方位置に位置させ、このノズルの先端部からスリーブと注入ピストンとの間隙に向けて潤滑油を滴下するようにしたものが知られている。(特許文献1)
またその他の潤滑油供給手段として、潤滑油を滴下するのではなくスプレーノズルから噴霧状態で供給するようにしたものも知られている。(特許文献2)
上述した問題を解決するために、潤滑油の供給量を多くすることが考えられるが、必要以上に潤滑油を供給すると余分な潤滑油が鋳込み時に溶湯と反応しガス化して巣発生やメッキ不良を生じてしまうといった欠点がある。
本発明はこのような事情に鑑み、従来に比較してスリーブと注入ピストンの寿命を向上させる潤滑油供給手段を備えるダイカスト装置を提供するものである。
上記潤滑油供給手段は、上記スリーブの内周面と注入ピストンの外周面との間に潤滑油を供給する潤滑油供給通路と、上記スリーブの内周面と注入ピストンの外周面との間にエアを供給するエア供給通路とを備えており、
また上記注入ピストンが後退端となるスリーブの内周面に、該注入ピストンの外周面との間に空間を形成する円周方向に連続した溝部を穿設するとともに、該溝部の中心を上記スリーブの中心よりも上方へオフセットさせて配置し、さらに上記溝部内に上記潤滑油供給通路とエア供給通路とを開口させて、上記潤滑油供給通路の潤滑油をエア供給通路のエアによって注入ピストンの外周面とスリーブの内周面との間に圧送するようにしたものである。
また、上記溝部の中心はスリーブの中心よりも上方へオフセットさせてあるので、溝部の容積は上方に比較して下方で小さくなり、潤滑油供給通路から供給されて溝部の下方に貯溜される潤滑油は少量でもその液面が溝部内で速やかに上昇するようになり、したがって注入ピストンの外周面円周方向全域に速やかに行き渡るようになる。
したがって、従来に比較して少ない潤滑油量でスリーブと注入ピストンの寿命を向上させることができるとともに、スリーブ内で溶湯と反応して発生するガスも抑えることができるので、鋳巣の発生を防止して製品の品質を向上することができる。
上記固定型3には、上記鋳造空間5に連通するとともに、その内部を湯道6とするスリーブ7が設けられており、このスリーブ7内に図示しない駆動手段によって進退動される注入ピストン9を摺動可能に設けている。
上記スリーブ7の末端には、上方部分を切欠いて溶湯を内部に注湯するための注湯口10を形成してあり、上記注入ピストン9が図1に示す後退端に位置しているときに注湯口10より溶湯を注湯するようになっている。
しかして本実施例の潤滑油供給手段2は、上述した従来の潤滑油供給手段に比較してスリーブ7と注入ピストン9の寿命を向上させることのできるようにしたものである。
すなわち、潤滑油供給手段2は、図2に示すようにスリーブ7の末端側の外周部に穿設した縦孔15に接続されて、この縦孔15を介してスリーブ7内に連通するエア供給通路16と、上記縦孔15に連通する横孔17に接続されて、この横孔17と縦孔15を介してスリーブ7内に連通する潤滑油供給通路19とを備えている。上記エア供給通路16は、図示しないエア供給源としてのコンプレッサに接続されるとともに、図1に示すように、その途中にこれを開閉するエア供給弁18が設けられており、また上記潤滑油供給通路19は、潤滑油供給源としてのエアシリンダに接続されるとともに、このエアシリンダにエアを給排するエア切換え弁、すなわち潤滑油供給弁20を設けている。
これにより注入ピストン9が後退端に位置したときには、上記溝部21と注入ピストン9の外周面との間に上記クリアランス(0.03〜0.06mm)よりもクリアランスの大きな環状空間Xが形成されるようになる。
また、上記円周方向に連続する溝部21の中心O’は、上記スリーブ7の中心Oよりも上方へ1〜5mm程度オフセットされて配置されており、これにより溝部21の深さは下方で浅く、上方で深くなっている。その結果、溝部21の容積は上方に比較して下方で小さくなるので、上方の潤滑油供給通路19から供給されて溝部21の下方に貯溜される潤滑油は少量でもその液面が溝部21内で速やかに上昇するようになり、したがって注入ピストン9の外周面円周方向全域に速やかに行き渡るようになる。
また注入ピストン9と駆動手段を連結する連結ロッド22の外径は注入ピストン9の外径よりも適宜小径に設定しており、これにより連結ロッド22がスリーブ7内に挿入された際には、スリーブ7の内周面と連結ロッド22の外周面のクリアランスはスリーブ7と注入ピストン9のクリアランスよりも大きくなる一方で、上記溝部21と連結ロッド22の外周面との間にこのクリアランスよりも大きな環状空間Y(図4、図5参照)が形成されるようになっている。
上記第1タッチセンサ26は駆動手段に接近して配置されるとともに、第2タッチセンサ27は固定型3に接近させて配置されており、これら第1、第2タッチセンサ26、27の各センサ部に対して連結ロッド22の外周面から半径方向外方に突出させた当接部28が当接するようになっており、つまり第1タッチセンサ26により注入ピストン9が図1に示す後退端に位置したのを検出し、第2タッチセンサ27により注入ピストン9が図3に示す前進端に位置したのを検出するようになっている。
上記潤滑油供給手段2によって潤滑油とエアを供給したら、次に図4に示すように駆動手段によって注入ピストン9をスリーブ7内に溶湯がない状態で前進端まで前進させる空運転を行なうとともにこの状態で一旦停止させるようになっており、このときエア供給弁18を所定時間開放してエアを供給するとともにこれを閉鎖する。
上記駆動手段によって注入ピストン9を前進端から後退端に後退させたら、次に注湯手段によりスリーブ7内に例えばアルミニウム合金からなる溶湯を供給し、この後に駆動手段により注入ピストン9を前進させてスリーブ7内の溶湯を鋳造空間5に射出させて鋳込むようになっており、この状態で駆動手段を一時停止させる一方で、注湯手段は次の注湯の準備状態に復帰させる。このとき注入ピストン9は、鋳造空間5内の溶湯に圧力を加えながら前進端と後退端の間で静止した状態となる。
注入ピストン9の先端部が冷却されたら、図5に示すように駆動手段により注入ピストン9を後退端まで後退させる。このとき、第2タッチセンサ27によって注入ピストン9が後退端に位置したことが入力されたら、前回と同様に先に潤滑油供給弁20を所定時間開放して潤滑油を供給するとともに、この後にエア供給弁18を所定時間開放してエアを供給するようになっており、これ以降制御装置25は上述した制御を繰り返すようになっている。
このとき、前述したように溝部21の中心O’をスリーブ7の中心Oよりも上方へオフセットして配置してあるので、潤滑油供給通路19から供給される潤滑油が少量でも注入ピストン9の外周面円周方向全域に速やかに行き渡らせることができる。
上記環状空間X内に潤滑油を所定量導入したら、次にエア供給弁18を所定時間開放してエア供給通路16および縦孔15を介して上記環状空間X内にエアを供給する。これにより環状空間Xの内圧が上昇するとともに、これに伴って環状空間X内のエアがスリーブ7の内周面(末端側)と注入ピストン9の外周面との間隙(クリアランス)を介して外部に向けて逃げるようになり、このとき環状空間X内に導入されている潤滑油がエアによって両者の間隙内に広範囲にわたって、かつ早く圧送される。
そして、注入ピストン9が後退されて第2タッチセンサ27から離隔したらエア供給弁18が閉鎖される。その後可動型4が固定型3に当接して鋳造空間5が形成される一方、図示しない注湯手段により注湯口10を介してスリーブ7内に注湯されるようになっており、この注湯が終了すると後退端位置に位置している注入ピストン9が前進端まで前進されて上記鋳造空間5にアルミニウム合金の溶湯が射出される。
そして、これ以降は潤滑油供給手段2は、上述した作動を繰り返し行なうようになっている。
以上の説明より理解されるように、上記潤滑油供給手段2によれば、従来に比較して潤滑油を広範囲にわたって、かつ早く行き渡らせることができるので従来に比較してスリーブ7と注入ピストン9の寿命を向上させることができる。
3…固定型(第1型) 4…可動型(第2型)
5…鋳造空間 7…スリーブ
9…注入ピストン 16…エア供給通路
18…エア供給弁 19…潤滑油供給通路
20…潤滑油供給弁 21…溝部
Claims (4)
- 相互に当接して鋳造空間を形成する少なくとも2つの第1型と第2型と、上記第1型に取付けられて、上記鋳造空間に連通するスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に設けられて、該スリーブ内に供給された溶湯を上記鋳造空間に注入する注入ピストンと、この注入ピストンを往復動させる駆動手段と、上記スリーブの内周面と注入ピストンの外周面の間に潤滑油を供給する潤滑油供給手段とを備えたダイカスト装置において、
上記潤滑油供給手段は、上記スリーブの内周面と注入ピストンの外周面との間に潤滑油を供給する潤滑油供給通路と、上記スリーブの内周面と注入ピストンの外周面との間にエアを供給するエア供給通路とを備えており、
また上記注入ピストンが後退端となるスリーブの内周面に、該注入ピストンの外周面との間に空間を形成する円周方向に連続した溝部を穿設するとともに、該溝部の中心を上記スリーブの中心よりも上方へオフセットさせて配置し、さらに上記溝部内に上記潤滑油供給通路とエア供給通路とを開口させて、上記潤滑油供給通路の潤滑油をエア供給通路のエアによって注入ピストンの外周面とスリーブの内周面との間に圧送するようにしたことを特徴とするダイカスト装置。 - 上記潤滑油供給通路にはこれを開閉する潤滑油供給弁が設けられる一方、上記エア供給通路にはこれを開閉するエア供給弁が設けられており、これら両供給弁は、注入ピストンが後退端に位置したときに開放して潤滑油とエアとを供給することを特徴とする請求項1に記載のダイカスト装置。
- 上記潤滑油供給弁は、エア供給弁よりも先に開放されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載のダイカスト装置。
- 上記潤滑油供給弁とエア供給弁とは、同時に開放されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載のダイカスト装置。
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