JP4273686B2 - 脱臭材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は脱臭材に関し、更に詳しくは多孔性担体を用いた従来にない高活性の脱臭材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家屋室内,車室内,工場内等における悪臭物質の除去を目的として、高活性の脱臭材を提供すべく、多孔性担体の利用や、その担体に対する脱臭成分の添着もしくは担持の形態の工夫等が種々提案されている。
【0003】
特に近年は、悪臭物質として、シックハウス症候群等に関連して注目されるホルムアルデヒドや、タバコ臭の主要成分の一つであるアセトアルデヒド等の低級脂肪族アルデヒドの除去性能を強化した脱臭材も多く提案されている。
【0004】
このような従来技術として、特開平7−136502号公報(従来技術1)や特開平10−71193号公報(従来技術2)に開示されたものを挙げることができる。従来技術1は、アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)の水溶液を所定の活性炭素材に散布,浸漬等の手段で均一に付与した後、乾燥させることによって、活性炭素材に対して所定の重量%のスルファニル酸を添着させたものである。従来技術2は、細孔径が規定された多孔質体に対して、スルファニル酸等の芳香族アミン類と、より好ましくは触媒機能を期待する亜鉛化合物とを、従来技術1と同様の溶液含浸及び乾燥の処理によって添着させたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、脱臭成分として用いられているスルファニル酸等の芳香族アミン類は、特に低級脂肪族アルデヒドに対しては必ずしも反応性が高くないことが理論的に推定され、しかも体積の大きな分子であることから微細な細孔内へ導入され難く、あるいは細孔の通気スペースに対する閉塞作用が予想される。これらの点から多孔性担体の細孔内における脱臭活性を低減させる恐れがある。
【0006】
更に、上記の従来技術においては、例えば活性炭等の多孔性担体に対して、脱臭成分を溶液含浸及び乾燥の処理によって添着(即ち、単なる付着)させると言う担持形態を取るので、以下の1),2)の問題が懸念される。
【0007】
1)乾燥時に脱臭成分が大きな結晶又は塊となって析出するために、良好な分散状態で担持されず、従って悪臭物質との接触機会が小さくなるから、脱臭材の高活性を期待し難い。
【0008】
2)溶液含浸時において、脱臭成分の溶液が多孔性担体に対して自然に浸入するに任せているため、担体細孔内への溶液浸入が不充分となり、結果的に脱臭成分が多孔性担体の外表面に偏在して添着されるため、多孔性担体全体としては不均一で実質的に低活性な担持形態となる。
【0009】
そこで本発明は、上記の不具合を解消することを解決すべき課題とする。本願発明者は、脱臭成分としてタウリン等の脂肪族第1アミンを用いれば前記芳香族アミン類の使用に係る不具合を解消できること、一定の多孔性担体においては脱臭成分を分子状態で高分散担持させることが可能であること、多孔性担体への脱臭成分溶液含浸の際に一定の均一担持処理を行うことにより細孔中においても脱臭成分を高密度に担持させ得ること、等に想到して本願発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、多孔性担体に対してスルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンが担持されている、脱臭材である。
【0011】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係る多孔性担体が結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔性担体であり、かつ、前記スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンが置換によって前記金属イオンに結合して、以下の(1)又は(2)の担持形態で高分散担持されている、脱臭材である。
(1)多孔性担体に対して分子状態で高分散担持されている。
(2)多孔性担体の外表面及び細孔内表面に対して分子状態でかつ均一に高分散担持されている。
【0012】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る多孔性担体が多孔性粘土鉱物である、脱臭材である。
【0013】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明において用いるスルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンは、スルホン酸基と第1級アミノ基を備えると言う化学構造上の理由から、これらの官能基の電子が極在化し、第1級アミノ基が悪臭成分に対して高い反応性を示す。
【0014】
又、前記従来のスルファニル酸等の芳香族アミン類に比較した場合、次の利点がある。即ち、第1に、脂肪族の骨格構造を有すると言う理由から電子の極在化傾向が一層強くなり、特に低級脂肪族アルデヒドに対して高い反応性を示す。第2に、鎖状の分子構造であるから一般に低分子量で分子サイズが小さいため、多孔性担体の微細な細孔内へ導入され易く、しかも細孔内において通気スペースに対する閉塞作用が少ない。第3に、溶媒可溶性が高いために含浸法等によって多孔性担体の細孔内表面にまで高分散状態で担持され易い。
【0015】
(第2発明の作用・効果)
スルホン酸基は前記のように第1級アミノ基の脱臭作用を強化するだけでなく、配位結合基としても機能することができる。従って、結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔性担体に対してスルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンを溶液状態で接触させると、金属イオンに元々配位していた結晶水等に対してスルホン酸基が置換することにより、スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンが分子毎に配位結合する。即ち、スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンは分子状態で高分散担持される。よって、前記従来技術のように脱臭成分の一部又は大部分が大きな結晶又は塊となって添着されている脱臭材に比較して、高い脱臭活性を期待できる。
【0016】
更にその担持処理の際、多孔性担体の細孔中への脱臭成分溶液の浸入を促進するような一定の均一担持処理を行うと、スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンの分子状態での高分散担持が、多孔性担体の外表面及び細孔内表面の金属イオンにおいて均一に行われる。従って、分子状態での高分散担持が多孔性担体の外表面に偏在することなく細孔内表面においても良好に行われる。この結果、多孔性担体全体として均一で、結果的に高密度な高分散担持となり、一層高い脱臭活性を期待できる。
【0017】
(第3発明の作用・効果)
第1発明又は第2発明の多孔性担体として、例えばセピオライト等の多孔性粘土鉱物を用いることにより、更に有効な脱臭材を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第3発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言う時は、第1発明〜第3発明を一括して指している。
【0019】
〔本発明脱臭材の適用対象〕
本発明に係る脱臭材は、特に家屋室内,車室内,工場内等の空気中に、あるいは煙草の煙等に含まれるホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等の低級脂肪族アルデヒドに対して有効であるが、これらに限定されることなく、有機酸,硫化水素,ニコチンその他の各種臭気成分の除去にも適用できる。
【0020】
〔多孔性担体〕
本発明に係る多孔性担体の種類には全く限定がない。「多孔性担体」とは多数の細孔を有する担体を言い、又、「表面」とは、多孔性担体の外表面及び/又は細孔内表面を言う。本発明に係る多孔性担体の細孔の径や形状,細孔容積,細孔密度あるいは比表面積等の多孔体構造に関するファクターについては、特段の限定がない。
【0021】
特に好ましい多孔性担体は、後述のような結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔性担体、とりわけ含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物等の含水珪酸塩系粘土鉱物を代表とする多孔性の粘土鉱物であるが、その他にも、活性炭,ゼオライト,活性炭素繊維,シリカゲル,活性白土,アルミナ,ケイソウ土等の無機質多孔性担体や、パルプ,繊維,布,高分子多孔体等の有機質多孔性担体を任意に使用できる。その使用時の材料形態も上記の場合と同様に任意である。
【0022】
「結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔性担体」に関して、金属イオンとしてはマグネシウムイオンが代表的であるが、置換性の結晶水を配位する限りにおいて他種の金属イオンを備えたものでも構わない。金属イオンには元々結晶水が配位している場合が多いが、この結晶水に対して既に他の任意の置換性原子団が置換している場合でも、これに対して本発明の脱臭成分を置換させ得る時には、「結晶水を配位した」と言う概念に含まれる。
【0023】
第1発明〜第3発明に係る多孔性担体として好ましいものは多孔性の含水珪酸塩系粘土鉱物であり、とりわけ含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物が好適に使用される。
【0024】
上記の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物は、含水珪酸マグネシウムを主成分とし、直径0.05〜0.6μm程度の繊維状を呈し、該繊維に平行に約1〜0.6nm程度の長方形断面の細孔(チャンネル)が存在するもので、細孔内外にマグネシウムに配位した置換可能な結晶水を有している。なお、上記の細孔は、それ自身が雰囲気中の悪臭成分や水蒸気を吸着する機能を持っている。
【0025】
含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物は、そのマグネシウムあるいは珪素の一部がアルミニウム,鉄,ニッケル,ナトリウム等に置換されている場合もあるが、これらも含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物の一種として利用することができる。
【0026】
含水珪酸塩系粘土鉱物の具体例として、セピオライト,シロタイル,ラフリナイト,ファルコンドアイト,パリゴルスカイト等を挙げることができるが、通称でマウンテンコルク,マウンテンレザー,マウンテンウッド,海泡石,アタパルジャイトと呼ばれているものも該当する。又、スメクタイト系粘土鉱物もこれに該当する。
【0027】
これらの多孔性粘土鉱物はそのままで用いても良いが、適宜な温度(例えば、800°C以下の温度)で仮焼したものを用いても良い。多孔性担体としての使用時の材料形態は任意であり、例えば粉末状,粒状,板状等のいずれの形態でも使用できるが、その細孔が残留する程度に粉砕したものが好ましく、特に長さが10μm以下でアスペクト比が100以下の微結晶の集合体としての使用が好ましい。
【0028】
多孔性粘土鉱物の粉砕に当たっては、ミキサー,ボールミル,振動ミル,ハンマーミル,ピンミル,叩解機等を用いて、湿式粉砕又は乾式粉砕によって行うことができる。
【0029】
〔脱臭成分〕
第1発明〜第3発明に係る脱臭成分は、スルホン酸基を有する脂肪族第1アミンである。溶媒可溶性や、多孔性担体の細孔との対比における分子の形状あるいは分子サイズ等の考慮から、特に炭素骨格が低分子量のもの,直鎖のもの,飽和のものが好ましく、その代表例がアミノメタンスルホン酸やタウリン、とりわけ後者である。
【0030】
これらの脱臭成分の担持量には特段の限定はないが、担持量があまりに過剰(例えば80重量%以上)であると却って脱臭材の活性が低下する場合があり、通常は1〜30重量%程度の担持量が好適である。この脱臭成分において、スルホン酸部分は配位結合基として働き、第1アミン部分は脱臭官能基として働く。
【0031】
この脱臭成分が多孔性担体に置換により結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔性担体に担持された状態においては、配位結合基が金属イオンに配位結合し、脱臭官能基がフリーの状態にある。そして、配位結合基が配位結合することにより脱臭官能基における電子の極在化状態が強まり、その悪臭成分に対する反応性が強化される傾向がある。
【0032】
〔脱臭成分の担持〕
本発明に係る脱臭成分は、前記第2発明の(1)又は(2)のような担持状態にあることがより好ましいが、このような担持状態に限定されず、例えば前記従来技術のように、いわゆる添着の状態で担持されていても良く、第1発明の作用・効果が奏される限りにおいて脱臭成分がある程度結晶又は塊となって析出した状態で添着されていても構わない。
【0033】
前記第2発明の(1)に係る脱臭成分は、多孔性担体における金属イオンの配位水と置換して結合することにより、分子状態で高分散担持されている。但し、現実問題として、全ての脱臭成分がこのように担持されることは技術的に困難であり、ある程度以上の有効な割合の脱臭成分が分子状態で高分散担持されていれば足りる。
【0034】
前記第2発明の(2)に係る脱臭成分は、多孔性担体の外表面及び細孔内表面における金属イオンの配位水と置換して結合することにより、分子状態でかつ均一に高分散担持されている。「均一」とは、脱臭成分が多孔性担体の外表面にも内部(細孔内表面)にも万遍なく担持されることにより、結果的に高活性な形態で担持されていることを言う。但し、現実問題としては多孔性担体の外表面と細孔内表面に完全に均一に担持させることは技術的に困難であり、外表面と共に、細孔内表面における分子状態での高分散担持もある程度以上有効に実現されていれば足りる。
【0035】
〔均一担持処理〕
上記第2発明の(2)に係る脱臭成分の担持状態を実現するための手段が均一担持処理であって、具体的には、結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔性担体の細孔中へ脱臭成分溶液の浸入を有効に促進する所定の処理である。
【0036】
かかる均一担持処理の最も簡易かつ代表的な例が、ガス圧を利用した均一担持処理である。例えば、予め減圧雰囲気下で細孔内が脱気された多孔性担体に対して脱臭成分の溶液を含浸させると言う負圧法によって、脱臭成分溶液は細孔内へ良好に浸入し、従って細孔内表面の金属イオンにおいても脱臭成分が充分に置換、担持される。又、多孔性担体に対する脱臭成分溶液の含浸を加圧雰囲気下に行うと言う正圧法によっても、脱臭成分溶液が細孔内へ圧入されることにより、同様の効果が得られる。
【0037】
上記の負圧法と正圧法を併用すると、更に好ましい結果が得られる。負圧法における減圧条件は限定されないが、20Torr以下の負圧とすることが好ましく、正圧法における加圧条件も限定されないが、10気圧以上の加圧とすることが好ましい。
【0038】
他の好ましい均一担持処理として、例えば、多孔性担体を浸漬した脱臭成分の溶液を煮沸すると言う方法や、超臨界流体を溶媒として含浸すると言う方法等が挙げられる。但し、多孔性担体に対する脱臭成分溶液の含浸時に超音波振動等の微細な振動を与える方法は、少なくとも均一担持の目的からは、実験によれば有効ではない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
末尾の表1に示す試料No.1〜11について、それぞれ表1の「多孔性担体」の項に示す粉末状の担体9gと、表1の「脱臭成分」の項に示す化合物1gとを秤量して各例に係るビーカーに投入し、ビーカー内容物を良くかき混ぜた後、各ビーカーに水20mlを加えて5分間攪拌混合した。
【0040】
次いで各ビーカーの口を塩化ビニリデンフィルムで閉じて、脱臭成分の溶解促進のために70°Cで30分間加熱した後、塩化ビニリデンフィルムを取り除いて100°Cで加熱乾燥させ、更に乳鉢で微粉砕して各試料No.に係る粉末状の脱臭材それぞれ約10gを得た。
【0041】
次に各試料No.に係る脱臭材をそれぞれ0.2g秤量して5L(リッター)容量のガス非透過性の袋に収容し、これらの袋にそれぞれ、トリオキサン触媒分解方式によりホルムアルデヒドを発生させるホルムアルデヒド標準ガス発生器(エステック社製TU−2001)を用いて、濃度350ppmのホルムアルデヒドを含む空気を5L導入した。
【0042】
その後、これらの袋を25°Cに保った恒温恒湿槽内に静置し、24時間後にガス検知管を用いて袋内に残留しているホルムアルデヒドガス濃度を測定した。別途にブランク濃度(脱臭材不使用で同上の処理を行った場合のホルムアルデヒドガス濃度)として180ppmの測定値を得ており、これと上記の測定値から、「除去率(%)=(ブランク濃度−各例測定濃度)×100/ブランク濃度」の式により各試料No.に係る脱臭材における除去率を求めた。その結果を表1に示す。
【0043】
次に、表1の試料No.1〜3,7,9及び10に相当する実施例(いずれも、結晶水を配位した金属イオンを表面に有する多孔製担体を用いる例)につき、上記の脱臭材調製手順を変更して、粉末状の担体9gをまずビーカーに投入して10−2Torrの条件下で30分間脱気処理し、その減圧下のままで、脱臭成分1g−水20mLの溶液を注入して、5分間攪拌混合した。それ以後の操作は上記と同様に行い、それぞれ試料No.12〜17に係る粉末状の脱臭材を得ると共に、これらの評価を行った。その結果も表1に示す。
【0044】
表1の結果より分かるように、多孔性担体として含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を用いると共に脱臭成分としてスルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンを用いた試料No.1〜3,9及び10の脱臭材はいずれも85〜88%と言う高い除去率を示し、かつ、これらに対して均一担持処理を施した試料例においては、95%以上の極めて高い除去率を示した。
【0045】
上記のように、均一担持処理を施さない系でも高い除去率が得られること、しかも、これらの元々90%に近い高レベルの除去率が、均一担持処理によって更に5〜10%向上して100%に極めて近い高脱臭率領域に至ることは、技術的に容易なことではなく、実用上貴重であると考えられる。
【0046】
多孔性担体として活性炭やシリカゲルを用いると共に脱臭成分としてスルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンを用いた試料No.4〜6及び11の脱臭材は、除去率が60〜80%程度に止まった。
【0047】
多孔性担体として含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を用いると共に脱臭成分としてスルファニル酸を用いた試料No.7の脱臭材は除去率が70%であったが、これらに対して均一担持処理を施した場合には85%に向上し、かなりの改善効果を示した。
【0048】
多孔性担体として活性炭を用いると共に脱臭成分としてスルファニル酸を用いた試料No.8の脱臭材は、除去率が50%と、著しく見劣りした。
【0049】
(実施例2)
第4発明に係る脱臭材において、タウリンの好適な担持量を以下によって評価した。
【0050】
予め乳鉢で粉砕したタウリンと、350メッシュの篩を通過した多孔性担体のセピオライトを末尾の表2の試料No.18〜30で示す混合比で良く混合した。その場合のタウリンの担持量(重量%)はそれぞれ表2の通りとなる。
【0051】
これらの混合物をそれぞれビーカーに入れ、ゼオライトの3倍量の水を加えてビーカーの口を塩化ビニリデンフィルムで閉じ、脱臭成分の溶解促進のために70°Cで30分間加熱した後、塩化ビニリデンフィルムを取り除いて100°Cで加熱乾燥させ、更に乳鉢で再度粉砕して各試料No.に係る粉末状の脱臭材を得た。試料No.31は比較用でありセピオライトのみからなる。
【0052】
これらの試料No.18〜31に係る脱臭材の各0.2gを秤量して5L容のガス非透過性の袋に収容し、以後は前記実施例1の場合と同様にアルデヒドの除去性能試験を実施した。その結果を末尾の表3に示す。
【0053】
表3より分かるように、タウリン担持量が0.1重量%である試料No.18の脱臭材、及びタウリン担持量が80重量%程度以上である試料No.28〜30の脱臭材は、比較例である試料No.31の脱臭材より除去率が低い。従ってタウリンの担持量は過小でも過多でもないことが好ましく、その担持量が1〜30重量%程度である時に低級アルデヒド類に対する高い除去率(90%以上)を示し、有効であることが分かる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
Claims (2)
- 含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物の外表面及び細孔内表面に対して、スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンが、前記含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物の外表面及び細孔内表面の金属イオンに配位した結晶水との置換によって前記外表面及び細孔内表面の金属イオンに結合して、大きな結晶又は塊でない分子状態で高分散担持されていることを特徴とする脱臭材。
- 含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物に対して、スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンを溶液状態で接触させ、前記含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物の細孔中への前記スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンの溶液の浸入を促進する次のいずれかの均一担持処理を行ったもとで、前記スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンを前記含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物の外表面及び細孔内表面の金属イオンに配位した結晶水との置換によって前記外表面及び細孔内表面の金属イオンに結合させて、大きな結晶又は塊でない分子状態でかつ均一に高分散担持させることを特徴とする脱臭材の製造方法。
(1)予め減圧雰囲気下で細孔内が脱気された前記含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物に対して前記スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンの溶液を含浸させ、及び/又は、前記含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物に対する前記スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンの溶液の含浸を加圧雰囲気下に行う。
(2)前記含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を浸漬した前記スルホン酸基を備えた脂肪族第1アミンの溶液を煮沸する。
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