JP3206107B2 - 空気浄化剤 - Google Patents

空気浄化剤

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JP3206107B2
JP3206107B2 JP15031092A JP15031092A JP3206107B2 JP 3206107 B2 JP3206107 B2 JP 3206107B2 JP 15031092 A JP15031092 A JP 15031092A JP 15031092 A JP15031092 A JP 15031092A JP 3206107 B2 JP3206107 B2 JP 3206107B2
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  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に有害物質や悪臭除
去に有用な空気浄化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害物質
は、人体に悪影響を及ぼし、また、酸性雨等の環境破壊
の重要な要因をなしている。またこれらの有害物質と共
に、空気浄化の面においては、悪臭防止法で指定されて
いるガスに代表される様々な悪臭に対してもその除去対
策が急がれている。
【0003】従来からの窒素酸化物や硫黄酸化物の除去
方法としては、水・アルカリ溶液または酸化剤とアルカ
リ溶液を併用する湿式洗浄法や、種々の可燃性ガスを使
用する接触還元法、触媒を使用する接触分解法などが提
案されている。また、悪臭除去に対しては、脱臭剤とし
て活性炭等の吸着剤を利用した方法、触媒を利用した方
法、化学反応を利用した方法等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の技術
では、窒素酸化物・硫黄酸化物等の有害物質の除去と、
悪臭除去は別々の方法をとっており、悪臭除去方法では
有害物質が十分に除去できず、また有害物質除去方法で
は悪臭が十分に除去できないものであり、従って空気を
浄化するためには複数の手段を要するものであった。
【0005】また従来の技術では、窒素酸化物特に一酸
化窒素の除去に関しては、特性的に実用域に達していな
いものが多く、また排水処理や排ガス処理、また高温を
必要とするなど大がかりな設備を必要とする等実用的に
も問題点が多いものであった。 そこで本発明は、窒素
酸化物・硫黄酸化物等の有害物質と悪臭物質を同時に、
しかも特性的にも経済的にも実現できる除去手段を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、分子量が3000以上のフェノール樹脂を
原料とし、比表面積が1000m2/g から2500
2/g である活性炭に、均一沈澱法によって生成させ
鉄化合物を担持させた空気浄化剤とするものである。
【0007】
【作用】前記手段は、鉄化合物を担持した活性炭が多数
のミクロ孔を有しており、このミクロ孔が窒素酸化物や
硫黄酸化物等の有害物質と、悪臭を放つ多くの物質を吸
着・除去するものである。つまり一つの手段で、有害物
質と悪臭の両方を除去するよう作用するものである。
【0008】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図1に基づ
いて説明する。1は除去器本体であり、本実施例ではエ
アークリーナとしている。2は鉄化合物を担持した活性
炭を含む吸着層、3は吸着層2に空気を強制的に通気さ
せるためのファンである。図中の矢印は空気の流れを示
している。
【0009】まず、本実施例に用いる活性炭について詳
細に記述する。原料としては、自硬化性のあるフェノー
ル樹脂、ここでは一次・二次粒子が球状(粒径0.1〜150
μm)の樹脂(鐘紡(株)製ベルパール)の粉末を用い
ている。この樹脂は分子量が3000以上で分子鎖が長
くまた側鎖が短いため、粘り強く、また、自硬化性を有
している。この樹脂粉末を転動・造粒して、球形に成形
した後炭化し、続いて、約900℃で水蒸気賦活する。
このようにして作った活性炭の粒径は、直径1.0〜
2.0mmであり、中には偏平状等の異形物も見られ
る。
【0010】図2にこの活性炭の部分拡大図を示してい
る。4は一次粒子である。前記球形に成形したものを加
熱すると、まず軟化して隣の粒子同志が接着した後、硬
化していき、球状の粒子同志が焼結した形になる。この
結果、球状の一次粒子4間に、数μm〜10μmの連続的な
空隙5ができる。賦活の際の水蒸気は、この連続的な空
隙5を通って、一次粒子4の隅々にまで行き渡る。この
ため、半径10オングストローム程度のミクロ孔が数多
く成形され、比表面積が大きい活性炭となる。
【0011】本実施例では、分子量が3000以上のフ
ェノール樹脂を原料として用いているが、分子量がこれ
より小さくなると、自硬化性が無くなって、ヘキサメチ
レンテトラミン等の硬化剤を混ぜて硬化させる必要があ
る。この場合、これを炭化および賦活させ活性炭とする
と、樹脂の分子鎖が短く弱い構造となるものである。さ
らに硬化剤が、硬化や焼成の際にクラック等を発生させ
るので、きわめて脆い活性炭となるものである。また、
硬化剤は不純物として残るので、吸着性能等を損なう原
因となる恐れがある。
【0012】また一方椰子殻活性炭は、原料の椰子殻を
粉砕し炭化したもので、これを水蒸気で賦活すると、入
り口が数μmの孔で、奥にいくほど細い孔になっていく
枝分かれ状の細孔を形成する。しかし、本実施例で用い
るフェノール樹脂原料の活性炭と比較すると、細い孔の
割合が少なく、細孔分布の均一性も小さく、比表面積も
やや小さいものとなる。
【0013】図3・図4に前記自硬化性フェノール樹脂
を原料とした活性炭の細孔分布(a)と、累積細孔容量
(b)の測定データを示している。また、図5には、椰
子殻活性炭の細孔分布(a)と累積細孔容量(b)の測
定データを示している。これらの測定はH2O吸着法に
基づいたものである。一方BET法による比表面積測定
データによると、図3のものは1300m2/g、図4
のものは1600m2/g、図5のものは1300m2
gである。これらから、同じ比表面積でフェノール樹脂
系と椰子殻系を比較すると、フェノール樹脂系の方が細
孔半径分布のピーク半径値が小さく、細孔半径分布のピ
ーク半径値を同程度とすると、比表面積はフェノール樹
脂系の方が大きいことになる。
【0014】鉄化合物を担持した活性炭のミクロ孔は、
担持した鉄化合物が近傍に存在する窒素酸化物・硫黄酸
化物・悪臭物質等を吸着し、ミクロ孔内に吸着物質を充
填する充填作用を有している。この充填作用には、活性
炭繊維等のように、細孔半径が小さくまた均一である構
造を持ち、比表面積が大きいものが効果的に作用するも
のである。この理由から、本実施例では前記の分子量が
3000以上のフェノール樹脂を原料とし、比表面積が
1500m2/g以上の活性炭を用いるものである。ま
た比表面積が2500m2/g程度より大きくなると、活性炭が
もろくなって、粉末状となり、粒状の活性炭として存在
できなくなるものである。つまり空気清浄剤として用い
るには、微粉が多く発生し不適切なものとなる。以上の
理由によって、本実施例では比表面積が1500m2
g以上で2000m2/g 以下の活性炭を用いるもので
ある。以下、本実施例に用いたフェノール樹脂系活性炭
を合わせてBP炭と呼称する。
【0015】次に鉄化合物を担持させる活性炭の調製方
法について、図6のフローチャートに従って説明する。
まず活性炭の前処理として、前記のフェノール樹脂を原
料とするBP炭を温度110℃、真空度10ー5torrに保ち、
1時間静置しておく。この高温吸引の前処理によって、
活性炭内部に含まれている水分は取り除かれ、活性炭の
細孔を塞ぐものはなくなるものである。従って、鉄化合
物をミクロ孔の入り口周辺にまで担持させることが可能
となるわけである。
【0016】ここでは、このように除去特性を向上する
ため、高温吸引の前処理を行なうものであるが、この処
理を省略しても、ミクロ孔による充填作用を持つもので
ある。添加する鉄塩として第二塩化鉄を使用する。第二
塩化鉄を純水に溶解し、0.2mol/リットルの溶液
を調製する。
【0017】前記前処理の終わった活性炭を30分間静置
し、室温まで温度を下げた後、真空度を保ったまま、前
記調製しておいた第二塩化鉄溶液を添加する。この添加
は、前記の活性炭25gに対し、調製した0.2mol
/リットルの第二塩化鉄溶液を500mlの割合で行う
ものである。この添加が終了すると、真空度を維持した
まま、30分間室温にて静置する。所定時間が経過した
後、重量比で第二塩化鉄の4倍の尿素を加え、撹拌し溶
解させる。この時真空度は破られることになる。この状
態で、1分当り1℃の割合で加熱し、その後98℃に保
ったまま4時間静置して、鉄化合物の熟成を図る。この
処理によって、尿素は加水分解してアンモニウムイオン
が生じ、その結果、鉄の水酸化物の沈澱が生じ、活性炭
に鉄化合物が担持することになる。この方法は、均一沈
澱法と呼ばれ、沈殿物が徐々に生成するため、不純物の
混入が少なく各なく、かつきめの細かい沈殿物が得られ
るものである。
【0018】こうして所定時間が経過すると、イオン交
換水で活性炭の洗浄を行ない、過剰沈澱物を洗い落と
す。このイオン交換水は、25gの活性炭に対し、1リ
ットルを用いる。洗浄が終了すると、活性炭を篩にあ
け、110℃の乾燥器に3時間以上静置し、水分を除き
乾燥させる。
【0019】以上の処理により、鉄化合物の担持操作を
終了する。以降この均一法による処理をβ処理と呼称す
る。
【0020】以上のβ処理と比較検討するため、別の鉄
化合物の担持操作について説明する。図7にこのフロー
チャートを示している。本担持操作では、鉄塩に第二硫
酸鉄、pH調整のアルカリに水酸化ナトリウムを用いて
いる。また活性炭の前処理は、β処理と同様であり110
℃で真空吸引するものである。溶液の調製は、第二硫酸
鉄を純水に溶解し0.6mol/リットルとする。溶液の添加方法
は、β処理と同様である。
【0021】所定時間静置した後、1mol/リットルに調製し
た水酸化ナトリウム水溶液により、活性炭を浸漬した第
二硫酸鉄溶液のpHを13に調整する。この処理によ
り、鉄の水酸化物の沈澱が生じる。これは均一沈澱法に
比べて、沈殿物は急激に生成し、不純なものとなりやす
いものである。pHを調整した後、30℃の恒温槽に静
置し、鉄化合物の熟成を図る。静置時間は6時間とす
る。この後の洗浄、乾燥行程もβ処理と同様である。こ
の処理をα処理と呼称する。
【0022】図8は、以上の処理を行なった活性炭の特
性を調べる実験構成を示している。10は容積30lのガ
ラス容器、11及び14はテフロン製の循環パイプ、1
2は循環パイプ11・14によるガスの流路の間に設け
た試料カラム、13は試料カラム12に収納した上記の
処理をした活性炭の収納容器、15はガスを循環させる
ためのポンプである。
【0023】以下実験方法について説明する。ガラス容
器10に所定濃度の試料ガスを封入し、ポンプ15を動
作させて、矢印の方向にガスを強制的に循環する。この
時試料ガスは、パイプ11から試料カラム12に流入
し、収納容器13内の活性炭の層を通過する時に、鉄化
合物を担持した活性炭のミクロ孔作用によって捕らえら
れる。従ってパイプ14からガラス容器10へ循環した
試料ガスは、初期状態から希薄なものとなっている。
【0024】ここでは試料ガスとして、窒素酸化物のう
ちでも特に除去しにくい一酸化窒素を選択している。試
料ガスの初期濃度は約20ppmで、空気との混合物と
している。また収納容器13内には、上記の処理をした
活性炭2.8gを用いている。また試料ガスの流量は、
27l/minと設定している。従って活性炭層を通過
するときの流速は、活性炭の収納容器84の内径が36
mmであるため45cm/secとなるものである。こ
れらの設定条件は、室内用の空気清浄器を想定したため
である。
【0025】比較のためにに、BP炭の他に椰子殻活性
炭についても結果を示すが、ここでは、直径1.8mm
長さ2〜5mmの円筒状の造粒活性炭を採用している。
この活性炭の、H2O吸着法による細孔半径のピーク値
は10.4オングストローム、BET法による比表面積
は1350m2/g、JISのK1474に基づいたベ
ンゼン吸着量は42wt%である。以下この椰子殻活性
炭を2GSと呼称する。
【0026】こうして以下の11種類の測定を行った。 (1) β処理を行った比表面積が2500m2/gの
BP炭 (2) β処理を行った比表面積が2000m2/gの
BP炭 (3) β処理を行った比表面積が1500m2/gの
BP炭 (4) β処理を行った比表面積が1200m2/gの
BP炭 (5) β処理を行った比表面積が1000m2/gの
BP炭 (6) β処理を行った比表面積が800m2/gのB
P炭 (7) α処理を行った比表面積が2000m2/gの
BP炭 (8) 無処理の比表面積が2000m2/gのBP炭 (9) β処理を行った2GS (10) α処理を行った2GS (11) 無処理の2GS 図9は、この測定結果を示している。横軸は時間であ
り、縦軸は一酸化窒素の残存率を示している。残存率の
測定にはガステック(株)の検知管No.10、No9
L、No.11Lを用いている。以下、比表面積が20
00m2/gのBP炭をBP−20、比表面積が150
0m2/gのBP炭をBP−15、比表面積が800m2
/gのBP炭をBP−8と記す。
【0027】図9からわかるように、BP−20だけで
みると()・(7)・(8)の順に吸着スピードが速
いことがわかる。また、2GSの(9)・(10)・
(11)と比較すると、同じ処理ではBP−20よりも
2GSの方が吸着スピードが遅いことがわかる。
【0028】また、BP炭だけを比較すると比表面積が
1500m2/gから2500m2/gのBP炭をピーク
とし、以下1200、1000の順に吸着スピードが遅
くなり、800m2/gのBP炭では吸着スピードはき
わめて遅くなることがわかる。
【0029】このように、椰子殻活性炭は無極性吸着剤
として極めて優れた吸着性を有する特異的な材質である
が、一酸化窒素の吸着性能でみれば、通常の無処理の活
性炭では極めて吸着性能が悪く、フェノール樹脂を原料
とした活性炭の方が吸着性能は良い。
【0030】しかしながら、フェノール樹脂を原料とし
た活性炭でも通常の無処理では吸着性能が悪く、一酸化
窒素の吸着剤として使用するには何等かの処理を施さな
ければならず、施す処理も前記均一沈澱法であるβ処理
のほうがα処理よりも圧倒的に吸着性能があがることが
わかる。
【0031】さらに、同じフェノール樹脂を原料とした
活性炭においても比表面積が吸着性能に大きく影響を及
ぼし、比表面積が2000m2/gから1500m2/g
のものが最も吸着性能が良く、比表面積が1000m2
/g以下では大幅に性能が鈍る。
【0032】また比表面積が2500m2/g程度より
大きくなると、吸着性能は低下しないが、活性炭自体が
もろく粉末状となり、粒状の活性炭として存在できなく
なる。このため空気清浄剤として用いると、微粉が多く
発生して不適切なものとなる。
【0033】次に、二酸化窒素の除去特性を調べた結果
を報告する。同様に試料ガスの初期濃度は約20ppm
とし、空気との混合物とする。
【0034】ここでは、以下の5種類の測定を行った。 (1) β処理を行ったBP−20 (2) β処理を行ったBP−15 (3) β処理を行ったBP−8 (4) α処理を行ったBP−20 (5) 無処理のBP−20 図10にこの測定結果を示している。横軸は時間、縦軸
は残存率を示している。残存率の測定には、ガステック
(株)の検知管No10、No9L、No11Lを用いて
いる。図10からわかるように、(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)のそれぞれの吸着スピードには
大差のないことがわかる。
【0035】このように二酸化窒素の吸着性能でみれ
ば、一酸化窒素と比べると通常の無処理の活性炭でも極
めて優れた吸着性を有しており、前記処理を施しても、
活性炭のもつ吸着能力を弱めることがないことがわか
る。特にβ処理では通常の無処理の活性炭より吸着能力
を高めていることがわかる。また、比表面積は二酸化窒
素の吸着性能に影響を及ぼしていないことがわかる。
【0036】次に、二酸化硫黄の除去特性を調べた結果
を報告する。同様に、試料ガスの初期濃度は約20ppmと
し、空気との混合物とする。ここでも、以下の5種類の
測定を行った。
【0037】 (1) β処理を行ったBP−20 (2) β処理を行ったBP−15 (3) β処理を行ったBP−8 (4) α処理を行ったBP−20 (5) 無処理のBP−20 図11にこの測定結果を示している。横軸は時間、縦軸
は残存率を示している。また残存率の測定には、ガステ
ック(株)の検知管No5aを用いている。
【0038】同様に図11からわかるように、(1)、
(2)、(3)、(4)、(5)のそれぞれには吸着スピードに大差
のないことがわかる。従って二酸化硫黄の吸着性能でみ
ても、通常の無処理の活性炭では極めて優れた吸着性を
有しており、前記処理を施しても、活性炭のもつ吸着能
力を弱めることがないことがわかる。特にβ処理では通
常の無処理の活性炭より吸着能力を高めていることがわ
かる。また、比表面積は二酸化硫黄の吸着性能に影響を
及ぼしていないことがわかる。
【0039】次に、硫化水素の除去特性を調べた結果を
報告する。この場合は、試料ガスの初期濃度は約50ppm
とし、空気との混合物とする。他の条件は同じである。
ここでも、以下の5種類の測定を行った。
【0040】 (1) β処理を行ったBP−20 (2) β処理を行ったBP−15 (3) β処理を行ったBP−8 (4) α処理を行ったBP−20 (5) 無処理のBP−20 図12に測定結果を示している。横軸は時間であり、縦
軸は残存率を示している。残存率の測定には、光明理化
学工業(株)の北川式ガス検知管SD型を用いた。硫化
水素の除去機構については、活性炭は触媒として働き、
硫化水素を分解していると考えられている。硫化水素の
除去性能でみれば、通常の無処理の活性炭は極めて優れ
た除去性能を有している。また、ここでも(1)・
(2)・(3)・(4)・(5)共に、除去スピードに
は大差がないものである。これから前記処理を施して
も、活性炭のもつ触媒能力を弱めることがないことがわ
かる。特にβ処理では通常の無処理の活性炭より触媒能
力を高めていることがわかる。また、ここでも比表面積
は影響を及ぼしていないことがわかる。
【0041】次に、ベンゼンの除去特性を調べた結果に
ついて報告する。液体ベンゼンを図8の容積30lのガラ
ス容器10に滴下し、初期濃度が約50ppmとなるように
調節する。その他の実験条件は同じである。
【0042】ここでも、以下の5種類の測定を行った。 (1) β処理を行ったBP−20 (2) β処理を行ったBP−15 (3) β処理を行ったBP−8 (4) α処理を行ったBP−20 (5) 無処理のBP−20 図13に測定結果を示している。横軸は時間を、縦軸に
は残存率を示している。残存率の測定には、FID(F
lame Ionization Detector)
付き高感度ガスクロマトグラフィを用いている。ベン
ゼンは代表的な無極性分子であり、活性炭の吸着機構は
物理吸着であると考えられている。ベンゼンの吸着性能
でみれば、通常の無処理の活性炭は、(5)に示してい
るように極めて優れた吸着性を有している。また、
(1)・(2)・(3)・(4)・(5)の各場合につ
いて、吸着スピードには大差がみられないものである。
これからβ処理・α処理を施しても、活性炭のもつ物理
吸着能力を弱めることがないことがわかる。また、ここ
でも比表面積は影響を及ぼしていないことがわかる。
【0043】次に吸着等温線について測定する。測定方
法は、次の通りである。先ず、容積既知の容器に前記処
理した活性炭を1gを入れ、容器を密閉した後、既知濃
度の試料ガスを注入する。こうして、初期濃度と24時
間経過後の濃度から吸着量を求めるものである。
【0044】ここでも、以下の5種類の測定を行った。 (1) β処理を行ったBP−20 (2) β処理を行ったBP−15 (3) β処理を行ったBP−8 (4) α処理を行ったBP−20 (5) 無処理のBP−20 図14・図15・図16は、それぞれ、一酸化窒素・二
酸化硫黄・ベンゼンの吸着等温線を示している。測定に
用いる補助手段は、前記実験と同様、一酸化窒素・二酸
化硫黄は検知管、ベンゼンはガスクロマトグラフィを用
いた。
【0045】図14の一酸化窒素の結果からわかるよう
に、BP−20についてみれば(1)・(4)・(5)の順に吸
着線が上側に位置し、前記実験と同様フェノール樹脂を
原料とした活性炭でも通常の無処理では寿命性能が悪
く、施す処理も前記β処理のほうがα処理よりも圧倒的
に寿命性能があがることがわかる。
【0046】また、BP−20・BP−15・BP−8
についてみれば、BP−15はBP−20とほぼ同等の
寿命性能であるのに比べ、BP−8の寿命性能はこれら
より悪く、比表面積が大きく影響していることがわか
る。
【0047】図15・図16からわかるように、二酸化
硫黄・ベンゼンの寿命性能は、(1)・(2)・(3)
・(4)・(5)共に吸着等温線には大差がなく、β処
理・α処理を施しても、活性炭のもつ寿命性能を弱める
ことがないことがわかる。また、比表面積は影響しない
ことがわかる。
【0048】次に、実際の汚染大気を想定した吸着スピ
ードの測定例を説明する。図17はこの実験に使用した
構成を示している。測定方法は、2.5m3の容積をも
つ容器20に前記処理した活性炭を入れた車載用空気清
浄器21をセットし、容器20を密閉した後、既知濃度
の試料ガスを注入し、濃度の経時変化を求めるものであ
る。これは、自動車内部を想定したものである。
【0049】なお、活性炭量は150gとし、また空気
清浄器の風量は2.0m3/minとしている。またこ
の容器20内部は、撹拌用のファン22により撹拌され
ているものとする。また試料ガスとしては、一酸化窒素
1ppm、二酸化窒素1pm、硫化水素1ppm、ベン
ゼン1ppmとなるように空気との混合ガスとなるよう
に設定している。この状態で車載用空気清浄器を作動さ
せ、各々のガス濃度の経時変化を測定する。
【0050】ここでは、以下の2種類の測定を行った。 (1) β処理を行ったBP−20 (2) 無処理のBP−20 測定は、二酸化窒素はザルツマン法による吸光度分析、
一酸化窒素は過マンガン酸カリウムによる酸化後ザルツ
マン法による吸光度分析、硫化水素はFPD(Flam
e Photometric Detector)付き
高感度ガスクロマトグラフィ、ベンゼンはFID(Fl
ame Ionization Detector)
付き高感度ガスクロマトグラフィにより行なった。
【0051】図18・図19・図20・図21に、各々
一酸化窒素・二酸化窒素・硫化水素・ベンゼンの測定結
果を示している。
【0052】図18よりわかるように、このように初期
濃度が低くまた混合ガスの場合であっても、通常の無処
理のフィルターでは吸着性能が悪く、前記β処理を施し
たフィルターであると圧倒的に吸着性能が高くなること
がわかる。
【0053】また図19・図20・図21より、β処理
を施したフィルターとしても、活性炭のもつ吸着能力・
触媒能力は弱まることがないことがわかる。
【0054】以上の各実験結果から、本実施例の構成に
よれば、一酸化窒素含むガスが均一沈澱法によって生成
させた鉄化合物を担持させた活性炭の吸着層2を通過す
ると、活性炭の一酸化窒素に対する活性作用により一酸
化窒素は捕らえられ、活性炭のミクロ孔に充填され、一
酸化窒素は希薄になるものとなる。さらに、活性炭のも
つ吸着能力及び触媒能力により二酸化窒素・二酸化硫黄
・硫化水素・ベンゼン等の有害物質・悪臭物質も除去さ
れるものである。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、分子量が
3000以上のフェノール樹脂を原料とし、比表面積が
1000m2/g から2500m2/g である活性炭
に、均一沈澱法によって生成させた鉄化合物を担持させ
た空気浄化剤とすることによって、活性炭の持つ吸着能
力や触媒能力を弱める事なく、また、大量の活性炭の微
粉を生じることなく、一酸化窒素の除去能力を飛躍的に
高めることが可能となり、空気浄化剤としての価値が高
まり、家庭用や車載用の空気清浄器の空気浄化剤として
用いることができる他、自動車の排ガス処理用や工場の
悪臭処理及び排ガス処理用の浄化剤としても用いること
ができ、きわめて有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における空気浄化装置の断面図
【図2】同活性炭の部分拡大図
【図3】同活性炭の細孔分布と累積細孔容量測定データ
を示す図
【図4】同活性炭の細孔分布と累積細孔容量測定データ
を示す図
【図5】同活性炭の細孔分布と累積細孔容量測定データ
を示す図
【図6】同鉄化合物を担持した活性炭の調製時のフロー
チャート
【図7】同鉄化合物を担持した活性炭の調製時のフロー
チャート
【図8】同活性炭の特性を調べる実験構成図
【図9】同活性炭の特性図
【図10】同活性炭の特性図
【図11】同活性炭の特性図
【図12】同活性炭の特性図
【図13】同活性炭の特性図
【図14】同活性炭の特性図
【図15】同活性炭の特性図
【図16】同活性炭の特性図
【図17】同活性炭の別の特性を調べる実験構成図
【図18】同活性炭の特性図
【図19】同活性炭の特性図
【図20】同活性炭の特性図
【図21】同活性炭の特性図
【符号の説明】
2 鉄化合物を担持した活性炭を含む吸着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/00 - 20/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が3000以上のフェノール樹脂
    を原料とし、比表面積が1000m2/g から250
    0m2/g である活性炭に、均一沈澱法によって生成さ
    せた鉄化合物を担持させた空気浄化剤。
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