JP4272475B2 - 建設機械のエンジンラグダウン抑制装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル等のスピードセンシング制御手段を有する建設機械に備えられ、目標回転数でエンジンが駆動されているときに、操作装置が非操作状態から操作された際に一瞬生じるエンジン回転数の落ち込みであるエンジンラグダウンを抑制する建設機械のエンジンラグダウン抑制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧ショベル等の建設機械にあっては、エンジンの目標回転数と実回転数との回転数偏差に応じたトルク補正値、すなわちスピードセンシングトルクを求め、あらかじめ設定される最大ポンプトルク線図に含まれる駆動制御トルクに上述のスピードセンシングトルクを加算して最大ポンプトルクの目標値とするスピードセンシング制御手段を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなスピードセンシング制御手段を備えた建設機械においても、スピードセンシング制御手段を備えていない建設機械におけるのと同様に、エンジンが目標回転数で駆動されている状態にあって、油圧アクチュエータを操作する操作装置が一旦中立に戻され、その後再び操作された際に、エンジン回転数の一瞬の落ち込みであるエンジンラグダウンを生じることが知られている。
【0004】
このとき、エンジン回転数の落ち込みに応じて、油圧アクチュエータに圧油を供給するメインポンプの出し得る最大ポンプトルクも、スピードセンシング制御手段によって小さくなるように制御される。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−140806公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、スピードセンシング制御手段を備えた従来技術にあっては、エンジンラグダウンを生じた際に、スピードセンシング制御手段によって最大ポンプトルクがエンジントルクを超えないように制御されるが、エンジンラグダウンの回復に伴って、エンジン回転数が目標回転数に復帰するまでにわずかな時間、例えば1〜2秒程度の時間がかかる。これにより、最大ポンプトルクも本来出し得る最大ポンプトルクに復帰するまでに、上述のエンジン回転数の復帰時間に応じた時間がかかる。すなわち、従来技術では、エンジンラグダウンの発生時に、メインポンプが出し得る最大ポンプトルクが一時的に、エンジン回転数が目標回転数に復帰するまでの時間に応じた時間抑えられる傾向にあり、その間、油圧アクチュエータを介して実施される作業の能率低下を生じる問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術における実状からなされたもので、その目的は、スピードセンシング制御手段を備えたものにあって、エンジンラグダウンが発生した際のエンジン回転数の目標回転数への復帰を早めることができる建設機械のエンジンラグダウン抑制装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンによって駆動するメインポンプと、このメインポンプの最大ポンプトルクを調整するトルク調整手段と、上記メインポンプから吐出される圧油により駆動する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作する操作装置と、上記エンジンの目標回転数と実回転数との回転数偏差に応じてトルク補正値を求め、このトルク補正値に基づいて上記トルク調整手段によって制御される最大ポンプトルクの目標値を決めるスピードセンシング制御手段とを有する建設機械に備えられ、上記エンジンの回転数が目標回転数に保持されているときに、上記操作装置の非操作状態からの操作に伴って上記エンジン回転数の落ち込みであるエンジンラグダウンを生じた際、上記トルク補正値のうちの今回のトルク補正値が、前回のトルク補正値よりも大きくなった後に、上記スピードセンシング制御手段によって決定される最大ポンプトルクの上記目標値よりも小さい最大ポンプトルクとなるように、上記トルク調整手段を所定の待ち時間だけ抑制し、上記所定の待ち時間経過直後には上記ポンプトルクを上記スピードセンシング制御手段によって決定される最大ポンプトルクの上記目標値に復帰させるように制御するポンプトルク抑制手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、エンジン回転数が目標回転数に維持されているときに、操作装置の非操作状態からの操作に伴って、エンジンラグダウンを生じた際には、ポンプトルク抑制手段が抑制制御を実施する。すなわち、スピードセンシング制御手段のトルク補正値のうちの今回のトルク補正値が、前回のトルク補正値よりも大きくなった後に、例えば前回のトルク補正値よりも大きくなった時点から、スピードセンシング制御手段によって決定される最大ポンプトルクの本来の目標値よりも小さい最大ポンプトルクとなるように、トルク調整手段による最大ポンプトルクの調整を所定の待ち時間だけ抑制制御させる処理が実施される。
【0010】
この所定の待ち時間が過ぎるまでに、エンジン回転数が目標回転数に復帰する。エンジン回転数の目標回転数への復帰に際しては、上述した小さい最大ポンプトルクに依存するので、所定の待ち時間の間エンジンに対する負荷が軽減され、このためにエンジン回転数が目標回転数まで復帰する時間が早くなる。すなわち、エンジンラグダウンの発生からエンジン回転数の目標回転数への復帰までに要するエンジン回転数の復帰時間を早めることができる。
【0011】
上述のように、エンジン回転数が目標回転数に復帰し、所定の待ち時間が経過したときには直ちに、スピードセンシング制御手段により最大ポンプトルクの目標値を本来出し得る最大ポンプトルクとする処理がなされる。したがって、エンジンラグダウン発生時点から、メインポンプが本来出し得る最大ポンプトルクに復帰するまでの時間も早めることができる。
【0012】
また本発明は、上記発明において、上記ポンプトルク抑制手段は、上記前回のトルク補正値に応じた前回の最大ポンプトルクを上記所定の待ち時間維持する手段から成ることを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、エンジンラグダウンを生じて今回のトルク補正値が前回のトルク補正値よりも大きくなったとき、ポンプトルク抑制手段によって前回の最大ポンプトルクが所定の待ち時間だけ維持され、所定の待ち時間の経過時に直ちに、スピードセンシング制御手段によって、メインポンプが本来出し得る最大ポンプトルクの目標値とする決定がなされる。
【0014】
また本発明は、上記発明において、上記ポンプトルク抑制手段は、上記前回のトルク補正値に応じた前回の最大ポンプトルクを基準値として、上記所定の待ち時間の間、時間経過に従って徐々に最大ポンプトルクを上記基準値から増加させる手段から成ることを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、エンジンラグダウンを生じて今回のトルク補正値が前回のトルク補正値よりも大きくなったとき、ポンプトルク抑制手段によって前回の最大ポンプトルクを基準値として、所定の待ち時間の間、時間経過に従って徐々に最大ポンプトルクを基準値から増加させる処理がなされ、所定の待ち時間の経過時に直ちに、スピードセンシング制御手段によって、メインポンプが本来出し得る最大ポンプトルクの目標値とする決定がなされる。
【0016】
また本発明は、上記発明において、上記所定の待ち時間が、上記トルク補正値に応じた可変時間から成ることを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、トルク補正値がエンジンの回転数偏差に応じたものであり、回転数偏差がエンジン負荷の大小に応じたものであることから、エンジン負荷の大小に相応するトルク補正値に応じて適切な待ち時間に変更させることができる。これにより、エンジン回転数の目標回転数への復帰精度を高めることができる。
【0018】
また本発明は、上記発明において、上記今回のトルク補正値が所定の閾値よりも大きいときは、上記ポンプトルク抑制手段による抑制制御を無効にさせる手段を備えたことを特徴としている。
【0019】
このように構成した本発明は、例えば所定の閾値を操作装置によってなされるハーフ操作時に想定されるトルク補正値よりもわずかに小さい値に設定しておくと、ハーフ操作によってエンジンラグダウンを生じた際に、今回のトルク補正値が前回のトルク補正値よりも大きくなったときでも、その今回のトルク補正値は所定の閾値よりも大きい状態に保たれる。したがって、このときにはポンプトルク抑制手段による抑制制御が無効とされ、スピードセンシング制御手段による最大ポンプトルクの目標値とする決定がなされる。
【0020】
なお、例えば操作装置の急操作・大負荷に伴ってエンジンラグダウンを生じた際には、今回のトルク補正値が前回のトルク補正値よりも大きくなったときに、その今回のトルク補正値は所定の閾値よりも小さくなることから、ポンプトルク抑制手段による最大ポンプトルクの抑制制御が実施される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下,本発明に係る建設機械のエンジンラグダウン抑制装置の実施形態を図に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明のエンジンラグダウン抑制装置が備えられる建設機械の要部構成を示す図である。
【0023】
本発明のエンジンラグダウン抑制装置の第1実施形態は、建設機械例えば油圧ショベルに備えられるものであり、この油圧ショベルは要部構成として、図1に示すように、エンジン1と、このエンジン1によって駆動する例えば可変容量型油圧ポンプ、すなわちメインポンプ2と、パイロットポンプ3と、タンク4とを備えている。
【0024】
また、メインポンプ2から吐出される圧油によって駆動するブームシリンダ、アームシリンダ等の図示しない油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作する操作装置5と、メインポンプ2の傾転角を制御する傾転制御アクチュエータ6と、メインポンプ2の最大ポンプトルクTを調整するトルク調整手段とを備えている。
【0025】
このトルク調整手段は、メインポンプ2の吐出圧の変化に拘わらず、最大ポンプトルクTを一定に保つように傾転制御アクチュエータ6を制御するトルク制御弁7と、操作装置5の操作量に応じて最大ポンプトルクTを調整するポジション制御弁8とを含んでいる。
【0026】
また、メインポンプ2の傾転角を検出する傾転センサ9と、メインポンプ2の吐出圧を検出する吐出圧検出手段、すなわち吐出圧センサ10と、操作装置5の操作に伴って出力されるパイロット圧を検出するパイロット圧検出手段、すなわちパイロット圧センサ11と、エンジン1の目標回転数を指示する回転数指示器12とを備えている。
【0027】
また、上述したセンサ9〜11、及び回転数指示器12からの信号を入力するとともに、記憶機能と、論理判断を含む演算機能とを有し、演算結果に応じた制御信号を出力する車体制御コントローラ13と、この車体制御コントローラ13から出力される制御信号に応じてエンジン1の燃料噴射ポンプ14を制御する信号を出力するエンジンコントローラ15とを備えている。燃料噴射ポンプ14部分には、エンジン1の実回転数を検出し、エンジンコントローラ15に出力する回転センサ1aも備えられている。
【0028】
また、車体制御コントローラ13から出力される制御信号に応じて作動し、上述のトルク制御弁7のスプール7aをばね7bの力に抗して作動させる電磁弁16を備えている。
【0029】
図2〜5は、図1に示す建設機械、すなわち油圧ショベルが保有する基本特性を示す図で、図2はポンプ吐出圧−押し除け容積特性(PQ特性に対応)、及びポンプ吐出圧−ポンプトルク特性を示す図、図3はPQ線図移動特性を示す図、図4は目標回転数−トルク特性を示す図、図5はポジション制御特性を示す図である。
【0030】
この油圧ショベルが有する基本特性として、図2の(a)図に示すポンプ吐出圧P−押し除け容積qの関係、すなわち、ポンプ吐出圧P−押し除け容積qに相応する吐出流量Qの関係であるPQ線図20で示す特性を有する。このPQ線図20は、ポンプトルク一定線図21に相応する。また、図2の(b)図に示すように、ポンプ吐出圧P−ポンプトルクの関係であるPQ制御によるポンプトルク線図22で示す特性を有する。
【0031】
なお上述したようにメインポンプ2の吐出圧をP、押し除け容積をq、また、ポンプトルクをTp、機械効率をηmとすると、
Tp=(P×q)/(628×ηm) …………(1)
の関係にあることが知られている。
【0032】
また、この油圧ショベルが有する基本特性として、図3に示すように、PQ線図移動特性を有する。同図3中、23はエンジン1の目標回転数に基づく最大ポンプトルクTに相応するPQ線図であり、24は前述した最大ポンプトルクよりも低い低トルクに相応するPQ線図である。
【0033】
また、この油圧ショベルが有する基本特性として、図4に示すエンジン1の目標回転数−トルクの関係で示すエンジン最大トルク線図25で示す特性、及びこのエンジン最大トルク線図25を超えないように抑えられる最大ポンプトルク線図26で示す特性を有する。最大ポンプトルクTは、エンジン1の目標回転数が比較的小さいn1のとき、最大ポンプトルク線図26上の最小値Tp1となり、エンジン1の回転数が定格回転数に相応する目標回転数n2になると、最大ポンプトルク線図26上の最大値Tp2となる。
【0034】
図4に示す最大ポンプトルク線図26上で最大値Tp2となるときのPQ線図は、図3のPQ線図23となり、図4に示す最大ポンプトルク線図26上で最小値Tp1となるときのPQ線図は、例えば図3のPQ線図24のようになる。
【0035】
また、この油圧ショベルが有する基本特性として、図5に示すように、操作装置5の操作に伴うポジション制御弁8の作動によるポジション制御特性を有する。同図5には、メインポンプ2の吐出圧PがP1のときのポジション制御線図27を示してある。
【0036】
図1に示すように、ポジション制御弁8とトルク制御弁7とはタンデムに接続してあることから、この油圧ショベルにあっては、ポンプ吐出圧PがP1のときには、図5のPQ線図20とポジション制御線図27のうちの最小値に応じて最大ポンプトルクが制御されるようになっている。
【0037】
図6は図1に示す建設機械、すなわち油圧ショベルが保有するエンジン制御特性を示す図、図7は車体制御コントローラに記憶されるパイロット圧−押し除け容積特性を示す図である。
【0038】
この油圧ショベルは、図6に示すように、エンジン制御特性として例えば電子ガバナ制御によって実現されるアイソクロナス特性を有している。
【0039】
また、上述した車体制御コントローラ13には、図7に示すように、操作装置5の操作量に相応するパイロット圧Piとメインポンプ2の押し除け容積qの関係を記憶させてある。パイロット圧Piの増加に伴って、メインポンプ2の押し除け容積qが次第に増加する関係になっている。
【0040】
また、車体制御コントローラ13は、エンジン1の目標回転数Nrと実回転数Neとの回転数偏差ΔNに応じてトルク補正値、すなわちスピードセンシングトルクΔTを求め、このスピードセンシングトルクΔTに基づいて、トルク制御弁7、ポジション制御弁8で構成されるトルク調整手段によって調整される最大ポンプトルクの目標値Tを決めるスピードセンシング制御手段を備えている。
【0041】
図8は、この車体制御コントローラに含まれるスピードセンシング制御手段を示すブロック図である。
【0042】
この図8に示すように、スピードセンシング制御手段は、エンジン1の目標回転数Nrと実回転数Neとの回転数偏差ΔNを求める減算部40と、前述した図4に示す最大ポンプトルク線図、すなわち目標回転数Nrと駆動制御トルクTbとの関係である最大ポンプトルク線図が設定される馬力制御トルク演算部41と、減算部40から出力される回転数偏差ΔNに応じた今回のスピードセンシングトルクΔTを求める補正トルク演算部42と、上述の馬力制御トルク演算部41から出力される馬力制御トルクTbと補正トルク演算部42から出力される今回のスピードセンシングトルクΔTとを加算する加算部43とを含み、この加算部43で求められた最大ポンプトルクの目標値Tを前述した図1に示す電磁弁16の制御部に出力する。
【0043】
そして特に、この第1実施形態は、車体制御コントローラ13が、エンジン1が目標回転数Nrに保持されているとき、図1に示す操作装置5の非操作状態からの操作に伴ってエンジン回転数の落ち込みであるエンジンラグダウンが生じた際、上述のスピードセンシングトルクのうちの今回のスピードセンシングトルクΔTが、前回求められたスピードセンシングトルクΔTprv よりも大きくなった後に、例えば前回のスピードセンシングトルクΔTprv よりも大きくなった時点から、上述のスピードセンシングトルク制御手段によって決定される最大ポンプトルクの目標値Tよりも小さい最大ポンプトルクTとなるように、上述のトルク調整手段を所定の待ち時間C1だけ抑制し、この所定の待ち時間C1の経過直後にはポンプトルクをスピードセンシング制御手段によって決定される最大ポンプトルクの目標値に復帰させるように制御するポンプトルク抑制手段を備えている。
【0044】
このポンプトルク抑制手段は、後述する車体制御コントローラ13で実施される図9のフローチャートに示す処理手順に含まれるものであって、例えば前回のスピードセンシングトルクΔTprv に応じた前回の最大ポンプトルクTを上述した所定の待ち時間C1維持する手段から成っている。
【0045】
また、所定の待ち時間C1は、エンジン1の機種を考慮して設定される。また例えば、エンジン1を目標回転数Nrである定格回転数に保持した状態で、操作装置5を非操作から最大負荷まで操作した際に生じるエンジンラグダウンにおけるエンジン1の目標回転数Nrへの復帰時間などを考慮して設定される。今は、例えばC1=1.2秒に設定してある。
【0046】
以下、上述した第1実施形態の動作について、図9に示すフローチャートに従って説明する。また、適宜図10も用いて説明をおこなう。図10は、この第1実施形態で得られる時間−エンジン回転数特性、及び時間−最大ポンプトルク特性を示す図である。
【0047】
車体制御コントローラ13は、はじめに図9の手順S1に示すように、目標回転数指示器12から入力された信号に基づいて、エンジン1の目標回転数Nrを求める演算をおこなう。また、手順S2に示すように、エンジンコントローラ15を介して回転センサ1aから入力された信号に基づいてエンジン1の実回転数Neを求める演算をおこなう。また、手順S3に示すように、スピードセンシング制御手段の駆動制御トルク演算部41で、エンジン1の目標回転数Nrに応じた馬力制御トルクTbを求める演算をおこなう。また、手順S4に示すように、スピードセンシング制御手段の減算部40で、上述の目標回転数Nrと上述の実回転数Neとの回転数偏差ΔNを求めるとともに、スピードセンシング制御手段の補正トルク演算部42で、回転数偏差ΔNに応じた今回のスピードセンシングトルクΔTを求める演算をおこなう。
【0048】
次に、手順S5に示すように、今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシングトルクΔTprv 以上になり、かつ、カウンタが0より大きいかどうか判断される。
【0049】
今の場合、操作装置5の操作が開始された直後であり、エンジンラグダウンが発生してエンジン1の回転数は図10の(a)図の操作開始点50から下がり始める。これに伴って今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシシングトルクΔTprv よりも小さくなって、図10の(b)図の矢印57に示すように、スピードセンシング制御手段の加算部43で求められる最大ポンプトルクの目標値Tは低下し始める。
【0050】
なお、図10の(a)図における51は、この第1実施形態の特徴であるポンプ抑制手段が備えられていない従前の単にスピードセンシング制御手段を備えた建設機械において得られる時間−エンジン回転数特性を示し、52は、この第1実施形態における時間−エンジン回転数特性を示している。また、同図10の(b)図における55は、この第1実施形態の特徴であるポンプトルク抑制手段が備えられていない従前の単にスピードセンシング制御手段を備えた建設機械において得られる時間−最大ポンプトルク特性を示し、56は、この第1実施形態における時間−最大ポンプトルク特性を示している。
【0051】
したがって、操作装置5の操作が開始された直後では、上述のように今回のスピードセンシングトルクΔTは、前回のスピードセンシングトルクΔTprv よりも小さく、図9に示す手順S5の判断はNoとなり、手順S6に移る。
【0052】
この手順S6では、カウンタに所定の待ち時間C1(=1.2秒)を設定する処理がおこなわれ、手順S7に移る。
【0053】
この手順S7では、前回のスピードセンシングトルクΔTprv を今回求められたスピードセンシングトルクΔTに置き換える処理がおこなわれ、手順S8に移る。
【0054】
この手順S8では、スピードセンシング制御手段の加算部43で、手順S3で求められた馬力制御トルクTbに、今回求められたスピードセンシングトルクΔTを加えて最大ポンプトルクの目標値Tを求める演算がおこなわれ、手順S9に移る。
【0055】
手順S9では、手順S8で求めた最大ポンプトルクの目標値Tに相当する制御信号を図1に示す電磁弁16の制御部に出力する処理がおこなわれる。
【0056】
すなわち、上述した手順S5−S6−S7−S8−S9と続く処理は、従前の単にスピードセンシング制御手段を備えた建設機械におけるのと同様に、スピードセンシング制御手段に基づく処理である。
【0057】
なお、図1に示す傾転制御アクチュエータ6は、トルク制御弁7、ポジション制御弁8を介して受圧室6aに供給される圧油の圧力による力が、受圧室6bに供給されるパイロット圧による力よりも大きいと、スプール6cが同図1の右方向に移動し、矢印30に示すようにメインポンプ2の傾転角が減少する。また逆に、受圧室6bの圧力による力が受圧室6aの圧力による力よりも大きいと、スプール6cが同図1の左方向に移動し、矢印31に示すようにメインポンプ2の傾転角が増加する。
【0058】
また、トルク制御弁7は、例えば受圧室7dに与えられるメインポンプ2の吐出圧Pによる力と、電磁弁16を介して受圧室7cに与えられるパイロット圧による力の合力が、ばね7bの力よりも大きくなると、スプール7aが同図1の左方向に移動し、傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aに圧油を供給する傾向、すなわちメインポンプ2の傾転角を減少させる傾向となる。逆に、受圧室7dに与えられる圧力による力と、受圧室7cに与えられる圧力による力との合力が、ばね7bの力よりも小さくなると、スプール7aが同図1の右方向に移動し、傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aの圧油をタンク4に戻す傾向、すなわちメインポンプ2の傾転角を増加させる傾向となる。
【0059】
また、車体制御コントローラ13から出力される制御信号の値が大きくなるに従って、電磁弁16がばね16aの力に抗して図1の下段位置側に切り換えられる傾向となり、トルク制御弁7の受圧室7cは電磁弁16を介してタンク4に油を戻す傾向となる。したがって、このようなときには、メインポンプ2の傾転角を増加させる傾向となる。すなわち、トルク制御弁7は、受圧室7d及び受圧室7cの圧力による力と、ばね7bの力との大小関係でスプール7aが移動する。
【0060】
また、ポジション制御弁8は、操作装置5の操作に伴ってパイロット管路32を介して導かれるパイロット圧piによる力が、ばね8aの力よりも大きくなると、スプール8bが同図1の右方向に移動し、傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aの圧油をタンク4に戻す傾向、すなわちメインポンプ2の傾転角を増加させる傾向となる。逆に、パイロット管路32を介して導かれるパイロット圧による力が、ばね8aの力よりも小さくなると、スプール8bが同図1の左方向に移動し、傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aにパイロットポンプ3からの圧油が供給される傾向、すなわちメインポンプ2の傾転角を減少させる傾向となる。
【0061】
このようなトルク制御弁7、ポジション制御弁8を含むトルク調整手段の動作により、メインポンプ2の吐出圧Pに応じた傾転角、すなわち押し除け容積qに制御され、前述の(1)式によって求められる最大ポンプトルクT=Tpとなるように、メインポンプ2の最大ポンプトルクTが調整される。
【0062】
また、上述した図9の手順S5−S6−S7−S8−S9の処理がなされる間に、図10の(a)図に示すエンジンラグダウン時のエンジン回転数が最低回転数に至り、同図10の(b)図に示す最大ポンプトルクTが最も小さくなると、今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシングトルクΔTprv以上となる事態が生じる。なお、このとき既に手順S6でカウンタは所定の待ち時間C1(=1.2秒)に設定されている。
【0063】
したがって、図9の手順S5の判断が満足され、すなわち今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシングトルクΔTprv 以上と判断され、かつ、カウンタの値が0より大きいと判断され、手順S10に移る。
【0064】
この手順S10では、待ち時間C1の計測が開始され、手順S11に移る。
【0065】
手順S11では、手順S3で求められた馬力制御トルクTbに、前回のスピードセンシングトルクΔTprv を加算して、図10の(b)図の符号59で示す前回の最大ポンプトルクTを求める演算がおこなわれ、手順S9に移る。
【0066】
手順S9では、手順S11で求めた前回の最大ポンプトルクTに相当する制御信号を図1に示す電磁弁16の制御部に出力する処理がおこなわれる。
【0067】
同図9の手順S5−S10−S11−S9と続く処理は、この第1実施形態の特徴とするポンプトルク抑制手段の抑制制御の内容であり、所定の待ち時間C1(=1.2秒)の間、この処理が続けられる。すなわち、ポンプトルク抑制手段によるトルク制御弁7、ポジション制御弁8を含むトルク調整手段の抑制制御が実施される。
【0068】
このポンプトルク抑制手段によるトルク調整手段の抑制制御の間、すなわち所定の待ち時間C1(=1.2秒)の間、最大ポンプトルクTが、従前の単にスピードセンシング制御手段を備えた建設機械における最大ポンプトルクTよりも小さくなるように、例えば符号59で示す前回の最大ポンプトルクTを維持し続けるように制御される。なお、従前のスピードセンシング制御手段による制御では、図10の(b)図の矢印58に示すように最も小さい前回の最大ポンプトルクTよりも次第に増加する傾向となる。
【0069】
この待ち時間C1(=1.2秒)の間、エンジン1にかかる負荷が軽減されるので、エンジン1の回転数は図10の(a)図の復帰時点53で示すように、速やかに目標回転数Nrに復帰する。
【0070】
所定の待ち時間C1(=1.2秒)の経過直後には、最大ポンプトルクは、図10の(b)図に示すように、本来の最大ポンプトルクに復帰する。
【0071】
図10の(a)図に示すように、エンジンラグダウンを生じた際に、この第1実施形態では、従前の単にスピードセンシング制御手段を備えた建設機械に比べて時間t1だけエンジン回転数を目標回転数Nrに早く復帰させることができる。これに伴って、図10の(b)図に示すように、最大ポンプトルクTも、従前の建設機械に比べて時間t1aだけ早く復帰させることができる。
【0072】
なお、この第1実施形態では、図10の(a)図に示すように、エンジン回転数を復帰時点53で示すように目標回転数Nrに復帰させた後に、微小なエンジンラグダウンを生じるが、この程度のエンジン回転数の低下は実用上無視し得るものである。同様に、図10の(b)図に示すように、最大ポンプトルクTが本来の最大ポンプトルクTに復帰した後に生じる最大ポンプトルクTの微小な減少も実用上無視し得るものである。
【0073】
上述のように、所定の待ち時間C1(=1.2秒)経過後には、スピードセンシング制御手段による最大ポンプトルクの目標値Tの決定がなされ、その目標値Tに応じてトルク調整手段が最大ポンプトルクTを調整する。
【0074】
このように第1実施形態によれば、ポンプトルク抑制手段によって、図10の(b)図の前回の最大ポンプトルク59を所定の待ち時間C1(=1.2秒)の間維持させることによって、エンジンラグダウンを生じた際のエンジン回転数の目標回転数Nrへの復帰を早めることができ、これに伴って最大ポンプトルクTについても本来出し得る最大ポンプトルクTへの復帰を早めることができる。したがって、このエンジンラグダウン時における作業の能率低下を短時間に抑えることができる。
【0075】
図11は本発明の第2実施形態で得られる時間−エンジン回転数特性、及び時間−最大ポンプトルク特性を示す図である。
【0076】
図11の(a)図に示す50は、エンジンラグダウンの発生時、すなわち操作装置5の操作開始時点、51は従前の単にスピードセンシング制御手段が備えられた建設機械における時間−エンジン回転数特性、60は、この第2実施形態の時間−エンジン回転数特性、54はエンジン回転数が目標回転数Nrに復帰する従前の復帰時点、61はエンジン回転数が目標回転数Nrに復帰するこの第2実施形態の復帰時点である。
【0077】
また、図11の(b)図に示す59は、最も小さい最大ポンプトルクT、すなわち後述の基準値を構成する前回の最大ポンプトルクT、55は従前の時間−最大ポンプトルク特性、62は、この第2実施形態の時間−最大ポンプトルク特性である。
【0078】
この第2実施形態は、ポンプトルク抑制手段が、前回の最大ポンプトルク59を基準値として、所定の待ち時間C1(=1.2秒)の間、時間経過に従って徐々に最大ポンプトルクTを基準値から増加させる手段から成っている。
【0079】
図11の(b)図に示す第2実施形態の時間−最大ポンプトルク特性62は、前述の図9の手順S5の判断で、今回のスピードセンシングトルクΔTが、前回のスピードセンシングトルクΔTprv 以上と判断され、手順S11で駆動制御トルクTbに前回のスピードセンシングトルクΔTprv を加えて最大ポンプトルクTを求める演算に際し、例えばΔTprv の値を時間経過に従って徐々に増加させるように構成することで実現できる。その他の構成は、前述した第1実施形態と同等である。
【0080】
このように構成した第2実施形態も、所定の待ち時間C1(=1.2秒)の間、図11の(b)図に示すように、従来のスピードセンシング制御手段による最大ポンプトルクTよりも小さい値に最大ポンプトルクTは抑えられるので、この間、エンジン1の負荷が軽減され、図11の(a)図の復帰時点61で示すように、エンジン回転数が目標回転数Nrに復帰する時間を、従前に比べて時間t2早めることができる。これに伴って、エンジンラグダウンの発生時に本来の最大ポンプトルクTに復帰させる時間も、従前に比べて時間t2a早めることができる。
【0081】
したがって、前述した第1実施形態におけるのと同様に、エンジンラグダウン発生時における作業の能率低下を短時間に抑えることができる。
【0082】
図12は本発明の第3実施形態に含まれる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャート、図13は本発明の第3実施形態に含まれる車体制御コントローラに備えられる設定手段を示す図、図14は第3実施形態で得られる時間−エンジン回転数特性、及び時間−最大ポンプトルク特性を示す図である。
【0083】
図12に示すフローチャートにおける処理手順のうち、前述した第1実施形態に係る図9に示すフローチャートと異なる処理手順は、手順S12だけである。その他の処理手順は、図9に示す処理手順と同等である。
【0084】
また、図13に示す設定手段は、図12の手順S4で求められる今回のスピードセンシングトルクΔTの値に応じて待ち時間C1を可変にさせる関係に設定してある。操作装置5を操作した際のエンジン負荷が大きいときには、求められる今回のスピードセンシングトルクΔTの値が小さくなることから、比較的長い待ち時間C1が選定される。また、操作装置5を操作した際のエンジン負荷が小さいときには、求められる今回のスピードセンシングトルクΔTの値が比較的大きくなることから、短い待ち時間C1が選定されるようになっている。
【0085】
すなわち、この第3実施形態は、ポンプトルク抑制手段でトルク調整手段を抑制制御する際の所定の待ち時間C1を、スピードセンシングトルクΔTの値に応じた可変時間としたものである。その他の構成は前述した第1実施形態と同等である。
【0086】
なお、図14の(a)図に示す50は、エンジンラグダウンの発生時、すなわち操作装置5の操作開始時点、70は従前の単にスピードセンシング制御手段が備えられた建設機械における時間−エンジン回転数特性、71は、この第3実施形態の時間−エンジン回転数特性、73は、エンジン回転数が目標回転数Nrに復帰する従前の復帰時点、72は、エンジン回転数が目標回転数Nrに復帰するこの第3実施形態の復帰時点である。
【0087】
また、図14の(b)図に示す76は、最も小さい最大ポンプトルクT、すなわち図12に示す手順Sの判断で今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシングトルクΔTprv 以上と判断された時点の前回の最大ポンプトルクTを示している。また、74は従前の時間−最大ポンプトルク特性、75は、この第3実施形態の時間−最大ポンプトルク特性である。
【0088】
上述したようにこの第3実施形態で第1実施形態と異なるのは、図12に示す手順S12の処理であり、手順S5で今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシングトルクΔTprv よりも小さいと判断されたときに、この手順S12の処理が実行される。
【0089】
この手順S12の処理は、求められたスピードセンシングトルクΔTに応じた所定の待ち時間C1を求める処理であり、図13の設定手段から待ち時間C1が選定される。今仮に、エンジンラグダウン発生時のエンジン負荷が比較的小さくて、この待ち時間C1が0.6秒と選定された直後に、図14の(a)図に示すエンジン回転数がエンジンラグダウン内の最低回転数となり、図14の(b)図の最大ポンプトルクTが最も小さくなったものとすると、その後の図12の手順S5の判断で、今回のスピードセンシングトルクΔTが前回のスピードセンシングトルクΔTprv 以上で、かつ、カウンタの値(C1)が0より大きいかどうかという判断がYesとなり、図12の手順S5−S10−S11−S9と処理されて、図14の(b)図に示すように、待ち時間C1(=0.6秒)の間、前述したポンプ抑制手段によるトルク調整手段の抑制制御が実施される。
【0090】
これにより、図14の(a)図に示すように、目標回転数Nrへの復帰は従前に比べて時間t3早くなり、これに伴って本来出し得る最大ポンプトルクへの復帰は従前に比べて時間t3a早くなる。
【0091】
このように構成した第3実施形態は、エンジンラグダウンを生じた際のエンジン負荷の大小に応じて待ち時間C1を適切な時間に変えることができるので、エンジン回転数の目標回転数Nrへの復帰精度を高めることができ、このようなエンジンラグダウン発生時における作業能率低下の抑制にさらに貢献する。
【0092】
図15は本発明の第4実施形態に含まれる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【0093】
この第4実施形態に係る図15に示すフローチャートにおける処理手順のうち、前述した第1実施形態に係る図9に示すフローチャートと異なるのは、手順S13と手順S14だけである。
【0094】
この第4実施形態は、前述した図8に示すスピードセンシング制御手段の補正トルク演算部42に、所定の閾値ΔTaを設定してあり、今回のトルク補正値、すなわちスピードセンシングトルクΔTが、所定の閾値ΔTaよりも大きいときには、上述したポンプトルク抑制手段によるトルク調整手段の抑制制御を無効にさせる手段を備えている。図15の手順S13−S14−S7−S8−S9と続く処理が、上述のポンプトルク抑制手段による抑制制御を無効にさせる手段の内容である。
【0095】
所定の閾値ΔTaは、例えば操作装置5によってなされるハーフ操作時に想定されるスピードセンシングトルクΔTよりもわずかに小さい値に設定される。その他の構成は、前述した第1実施形態におけるのと同等である。
【0096】
このように構成した第4実施形態は、例えばエンジン1を目標回転数Nrに保持している状態で、非操作である操作装置5がハーフ操作され、このハーフ操作によってエンジンラグダウンを生じた際には、図15の手順S4で求められるスピードセンシングトルクΔTが所定の閾値ΔTaよりも小さくならないので、手順S5−S13−S14−S7−S8−S9と処理され、従前通りのスピードセンシング制御手段による最大ポンプトルクの目標値Tが求められ、この目標値Tによってトルク制御弁7、ポジション制御弁8を含むトルク調整手段が抑制制御される。
【0097】
従って、このようなエンジンラグダウンを生じた際に、エンジン回転数が目標回転数Nrまで復帰する時間は、従前の単にスピードセンシング制御手段を備えた建設機械におけるのと同等である。一般にハーフ操作時におけるエンジン負荷は小さく、これによりエンジンラグダウンの規模が小さく、これによりエンジン回転数の目標回転数Nrへの復帰が比較的早く、これに伴ってメインポンプ2が本来出し得る最大ポンプトルクTへの復帰も早い。このような状況から、このハーフ操作時にあっては、エンジン回転数が目標回転数Nrに復帰する際の作業能率の低下を無視することができる。
【0098】
なお、例えば操作装置5を急操作し、エンジン1に大負荷がかかることに伴ってエンジンラグダウンを生じた際には、図15の手順S4で求められる今回のスピードセンシングトルクΔTが、所定の閾値ΔTaより小さくなり、図15の手順S13の判断がYesとなって、手順S6で所定の待ち時間C1が設定される。したがって、今回のスピードセンシングトルクΔTが、前回のスピードセンシングトルクΔTprv 以上となったとき、カウンタの値(C1)が0より大きいことから、手順S5−S10−S11−S9と続く処理がなされ、前述した第1実施形態において述べたように、ポンプトルク抑制手段によるトルク調整手段の抑制制御が実施される。この処理動作については、前述した第1実施形態におけるのと同等である。
【0099】
以上のように、この第4実施形態では、エンジンラグダウンを生じた際に、エンジン回転数の目標回転数Nrへの復帰に時間がかかるような場合には、ポンプトルク抑制手段によるトルク調整手段の抑制制御を実施するものの、エンジン回転数の目標回転数Nrへの復帰が短時間と考えられる場合には、ポンプトルク抑制手段による抑制制御を無効にするものである。このように構成した第4実施形態も、基本的には、ポンプトルク抑制手段によるトルク調整手段の抑制制御を実施可能とするものであり、前述した第1実施形態で得られる作用効果と同等の作用効果を得ることができる。
【0100】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、スピードセンシング制御手段を備えたものにあって、エンジンラグダウンが発生した際のエンジン回転数の目標回転数への復帰を早めることができ、これに伴ってエンジンラグダウンの発生に際しメインポンプが本来出し得る最大ポンプトルクに復帰するまでの時間も早めることができ、このエンジンラグダウン発生時における作業能率の低下を従来に比べて抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンラグダウン抑制装置が備えられる建設機械の要部構成を示す図である。
【図2】図1に示す建設機械が保有する基本特性のうちのポンプ吐出圧−押し除け容積特性(PQ特性に対応)、及びポンプ吐出圧−ポンプトルク特性を示す図である。
【図3】図1に示す建設機械が保有する基本特性のうちのPQ線図移動特性を示す図であるる
【図4】図1に示す建設機械が保有する基本特性のうちの目標回転数−トルク特性を示す図である。
【図5】図1に示す建設機械が保有する基本特性のうちのポジション制御特性を示す図である。
【図6】図1に示す建設機械が保有するエンジン制御特性を示す図である。
【図7】本発明のエンジンラグダウン抑制装置の第1実施形態に含まれる車体制御コントローラに記憶されるパイロット圧−押し除け容積特性を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に含まれる車体制御コントローラに備えられるスピードセンシング制御手段を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1実施形態に含まれる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態で得られる時間−エンジン回転数特性、及び時間−最大ポンプトルク特性を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態で得られる時間−エンジン回転数特性、及び時間−最大ポンプトルク特性を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に含まれる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に含まれる車体制御コントローラに備えられる設定手段を示す図である。
【図14】本発明の第3実施形態で得られる時間−エンジン回転数特性、及び時間−最大ポンプトルク特性を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態に含まれる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
1a 回転センサ
2 メインポンプ
5 操作装置
7 トルク制御弁(トルク調整手段)
8 ポジション制御弁(トルク調整手段)
12 目標回転数指示器
13 車体制御コントローラ(ポンプトルク抑制手段)
15 エンジンコントローラ
16 電磁弁
40 減算部
41 馬力制御トルク演算部
42 補正トルク演算部
43 加算部
50 操作開始時点
52 第1実施形態の時間−エンジン回転数特性
53 復帰時点
56 第1実施形態の時間−最大ポンプトルク特性
57 前回の最大ポンプトルク
60 第2実施形態の時間−エンジン回転数特性
61 復帰時点
62 第2実施形態の時間−最大ポンプトルク特性
71 第3実施形態の時間−エンジン回転数特性
72 復帰時点
75 第3実施形態の最大ポンプトルク特性
76 前回の最大ポンプトルク
t1 時間
t1a 時間
t2 時間
t2a 時間
t3 時間
t3a 時間
Tb 馬力制御トルク
C1 待ち時間
T 最大ポンプトルク(目標値)
ΔTa 所定の閾値
ΔTprv 前回のスピードセンシングトルク
ΔT 今回のスピードセンシングトルク

Claims (5)

  1. エンジンと、このエンジンによって駆動するメインポンプと、このメインポンプの最大ポンプトルクを調整するトルク調整手段と、上記メインポンプから吐出される圧油により駆動する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作する操作装置と、
    上記エンジンの目標回転数と実回転数との回転数偏差に応じてトルク補正値を求め、このトルク補正値に基づいて上記トルク調整手段によって制御される最大ポンプトルクの目標値を決めるスピードセンシング制御手段とを有する建設機械に備えられ、
    上記エンジンの回転数が目標回転数に保持されているときに、上記操作装置の非操作状態からの操作に伴って上記エンジン回転数の落ち込みであるエンジンラグダウンを生じた際、上記トルク補正値のうちの今回のトルク補正値が、前回のトルク補正値よりも大きくなった後に、上記スピードセンシング制御手段によって決定される最大ポンプトルクの上記目標値よりも小さい最大ポンプトルクとなるように、上記トルク調整手段を所定の待ち時間だけ抑制し、上記所定の待ち時間経過直後には上記ポンプトルクを上記スピードセンシング制御手段によって決定される最大ポンプトルクの上記目標値に復帰させるように制御するポンプトルク抑制手段を備えたことを特徴とする建設機械のエンジンラグダウン抑制装置。
  2. 上記請求項1記載の発明において、
    上記ポンプトルク抑制手段は、上記前回のトルク補正値に応じた前回の最大ポンプトルクを上記所定の待ち時間維持する手段から成ることを特徴とする建設機械のエンジンラグダウン抑制装置。
  3. 上記請求項1記載の発明において、
    上記ポンプトルク抑制手段は、上記前回のトルク補正値に応じた前回の最大ポンプトルクを基準値として、上記所定の待ち時間の間、時間経過に従って徐々に最大ポンプトルクを上記基準値から増加させる手段から成ることを特徴とする建設機械のエンジンラグダウン抑制装置。
  4. 上記請求項1記載の発明において、
    上記所定の待ち時間が、上記トルク補正値に応じた可変時間から成ることを特徴とする建設機械のエンジンラグダウン抑制装置。
  5. 上記請求項1記載の発明において、
    上記今回のトルク補正値が所定の閾値よりも大きいときは、上記ポンプトルク抑制手段による抑制制御を無効にさせる手段を備えたことを特徴とする建設機械のエンジンラグダウン抑制装置。
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