JP4266294B2 - メソポーラス材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メソポーラス材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
メソ孔(直径2〜50nmの細孔)を有する金属酸化物からなる多孔質材料は、数百m2/gを超すような非常に大きな比表面積を有しているため、機能性分子等の比較的大きな分子の合成用触媒の担体や、吸着剤、分離剤等として使用可能であると考えられており、近年盛んに開発研究がなされている。
【0003】
例えば、特開2001−114790号公報には、有機無機の両方の表面特性を示し、吸着剤としての性能が高く、加熱等による性能劣化の少ない多孔質粒子が提案されている。この多孔質粒子は、炭素原子を1以上有する有機基(2価以上)と、該有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、該金属原子に結合した1以上の酸素原子とからなる骨格を有する結晶性の有機無機複合材料からなり、球状、六角柱状又は十八面体状の粒子の形状を有しており、且つ該粒子の表面及び内部に細孔が形成されている。
【0004】
また、この公報には、上記有機基に陽イオン交換能を有する陽イオン交換基(スルフォン基、カルボキシル基等)を更に結合させた構造を有する多孔質粒子も開示されている。これにより、例えば、多孔質粒子のイオン伝導率の向上を図ることや、イオン交換基の種類によっては多孔質粒子の固体酸或いは固体酸触媒としての応用を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、上記特開2001−114790号公報に記載の多孔質粒子であっても以下のような問題があり、以下のような酸(プロトン)が関与する特殊な反応場の要求される有機化合物の反応に対して固体酸或いは固体酸触媒として使用する場合には未だ不充分であることを本発明者らは見出した。
【0006】
すなわち、上記特開2001−114790号公報に記載の有機無機複合材料からなる多孔質粒子は、細孔内壁面の有機基に陽イオン交換基を結合させた場合、細孔の大きさを変えることにより、細孔内に取り込む反応分子(有機化合物分子)のサイズを規定することや、細孔内におけるプロトンとの反応或いはプロトンが触媒となり進行する反応により生成する反応生成物(有機化合物分子)のサイズを規定することが容易にできる。しかし、この場合、細孔内に取り込んだ反応分子の特定のサイトのみをプロトンと選択的に反応させ、特定の分子サイズと分子構造とを有する反応生成物を高い収率で得ようとする場合には未だ不充分であることを本発明者らは見出した。
【0007】
換言すれば、特開2001−114790号公報に記載の多孔質粒子は、細孔のサイズが反応の選択性、転化率及び収率に大きく影響する反応に対しては非常に有効であるが、細孔のサイズのみでなく細孔内に取り込んだ反応分子の吸着位置及びその吸着状態(配向状態)、並びに、吸着位置に固定された反応分子に対する細孔内の活性サイト(陽イオン交換基)の相対的な位置が反応の選択性、転化率及び収率に大きく影響してくる反応に対しては未だ不充分であった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、反応分子を細孔内の特定の位置に反応の進行に有利な配向状態で規則的に配列させて固定することができ、然も、該反応分子の特定のサイトを選択的に活性化することができ、所望の分子サイズと分子構造を有する反応生成物を高い収率で得ることができる特殊反応場を容易に構築可能なメソポーラス材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、上記従来技術の問題点は、多孔質粒子の骨格構造の中で有機化合物分子に対する親和性の高い有機基のサイトに陽イオン交換基が結合されており、細孔内に取り込まれた反応分子(有機化合物分子)はこの陽イオン交換基の存在のために有機基のサイトに選択的に吸着し固定されておらず、これにより、反応分子の細孔内壁面に対する吸着位置やその吸着状態(配向状態)が一定とならず、細孔内の活性サイト(陽イオン交換基)の反応分子に対する相対的な位置も一定の状態とすることができていないことに起因していることを見出した。
【0010】
上記従来技術の例を挙げてより具体的に説明すると、上記従来技術の場合、例えば、多孔質粒子の骨格は、主として、下記一般式(I)で表される構成単位の少なくとも1種類からなる。なお、式(I)中、R10は炭素原子を1以上有する有機基、M10は金属原子(Si,Bを含む)、R20は水素、水酸基又は炭化水素基、βは金属Mの価数から1を差し引いた整数、αは1以上β以下の整数、γは2以上の整数を示す。ただし、Mが結合するR10の炭素は同一でも異なっていてもよい。
【0011】
【化5】
【0012】
ここで、式(I)において、例えば、R10、M10、α、γが、それぞれフェニレン基、ケイ素、3、2である場合は、(β−α)=0,x=3となり、式(I)は下記化学式(II)で表される。この式(II)の構成単位が複数個連結することにより多孔質粒子の網状構造の一部が形成される。
【0013】
【化6】
【0014】
そして、このような構造を有する多孔質粒子の細孔の内壁面に陽イオン交換基を導入する場合、式(II)中のフェニレン基(有機基のサイト)に結合させていたため、有機基のサイトの反応分子(有機化合物分子)に対する親和性が隠蔽された状態となっていた。そして、細孔の内壁面における陽イオン交換基と、Siとこれに結合した酸素からなるサイトは、何れも有機化合物分子に対する親和性が低いため、細孔内に取り込まれた反応分子(有機化合物分子)は、細孔内の特定の位置に吸着固定されず、吸着位置やその吸着状態(配向状態)が一定とならなかった。そのため、活性サイト(陽イオン交換基)の反応分子に対する相対的な位置も一定の状態とすることができていなかった。
【0015】
本発明者らは、上記の知見に基づいて更に研究を重ねた結果、上述のような有機無機複合材料に陽イオン交換基を導入する際には、有機化合物分子に対する親和性の高い有機基のサイトに陽イオン交換基を結合させるのではなく、有機化合物分子に対する親和性の低い金属原子と酸素原子とからなるサイトに陽イオン交換基を結合させた構造を構築することが、反応分子を細孔内の特定の吸着位置にほぼ一定の吸着状態(配向状態)で固定し、更に、その反応分子に対する細孔内の活性サイト(陽イオン交換基)の相対的な位置もほぼ一定の状態に保持することに対して非常に有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明は、中心細孔直径が1〜30nmである複数の細孔を有するメソポーラス材料であって、
炭素原子を1以上有する2価以上の有機基と、
2価以上の有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、
各金属原子に結合した1以上の酸素原子と、
前記酸素原子を介して各金属原子に結合しており、かつ、炭素原子を1以上有する1以上の特性基と、
を有しており、
骨格に含まれる特性基のうち、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在する特性基には、陽イオン交換能を有するイオン交換基が更に結合していること、
を特徴とするメソポーラス材料を提供する。
【0017】
本発明のメソポーラス材料は、上述の骨格を有することにより、細孔内に取り込んだ反応分子(有機化合物分子)を細孔内の特定の吸着位置、即ち、有機化合物に対する高い親和性を有する「有機基」のサイトに吸着固定することができる。また、この有機基の種類を変えることにより、反応分子の種類やその分子サイズに応じて、この吸着位置(吸着サイト)のサイズ及び吸着力を変更することができる。
【0018】
更に、このように「有機基」の種類を変えること及び/又は「特性基」の種類を変えることにより、有機基のサイトに吸着される反応分子の吸着状態(配向状態)を所望の状態とし、なおかつその状態を保持することができる。しかも、特性基の種類を変えることにより、反応分子に対するイオン交換基の相対的位置を所望の位置に変更することができ、反応分子中のプロトンと反応させたいサイトのみを選択的に活性化し反応させることができる。
【0019】
従って、本発明のメソポーラス材料によれば、反応分子を細孔内の特定の位置に反応の進行に有利な配向状態で規則的に配列させて固定することができ、然も、該反応分子の特定のサイトをプロトンにより選択的に活性化することができる。そのため、本発明のメソポーラス材料を固体酸或いは固体酸触媒として使用すれば、有機化合物分子と酸或いは酸触媒との反応において、所望の分子サイズと分子構造を有する反応生成物を高い収率で得ることができる特殊反応場が容易に構築可能となる。
【0020】
ここで、本発明において「反応分子」とは、上記有機基に吸着することが可能な親和性を有する有機化合物分子を示し、例えば、上記親和性を有する分子であればその分子構造の一部に無機化合物の構造を有している分子であってもよい。
【0021】
また、本発明は、中心細孔直径が1〜30nmである複数の細孔を有するメソポーラス材料であって、
炭素原子を1以上有する2価以上の有機基と、
2価以上の有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、
各金属原子に結合した1以上の酸素原子と、
前記酸素原子を介して各金属原子に結合しており、かつ、炭素原子を1以上有する1以上の特性基と、
を有しており、
骨格に含まれる特性基のうち、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在する特性基が、陽イオン交換能を有するイオン交換基に置換されていること、
を特徴とするメソポーラス材料を提供する。
【0022】
上述のように細孔の内壁面に存在する特性基を陽イオン交換基に置換した構造を有するメソポーラス材料も、先に述べた細孔の内壁面に存在する特性基に陽イオン交換基を結合させた構造を有するメソポーラス材料と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
そのため、このメソポーラス材料の場合にも、反応分子を細孔内の特定の位置(有機基のサイト)に反応の進行に有利な配向状態で規則的に配列させて固定することができ、然も、該反応分子の特定のサイトをプロトンにより選択的に活性化することができる。そのため、このメソポーラス材料を固体酸或いは固体酸触媒として使用すれば、有機化合物分子と酸或いは酸触媒との反応において、所望の分子サイズと分子構造を有する反応生成物を高い収率で得ることができる特殊反応場が容易に構築可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について更に詳細に説明する。
【0025】
本発明のメソポーラス材料は、先に述べたように、中心細孔直径が1〜30nmである複数の細孔を有している。また、このメソポーラス材料は、炭素原子を1以上有する2価以上の有機基と、2価以上の有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、各金属原子に結合した1以上の酸素原子と、酸素原子を介して各金属原子に結合しており、かつ、炭素原子を1以上有する1以上の特性基と、を有する結晶性の骨格を有している。更に、この骨格に含まれる特性基のうち、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在する特性基には、陽イオン交換能を有するイオン交換基が更に結合している。
【0026】
ここで、本発明のメソポーラス材料が有する細孔は、粒子の表面のみならず内部にも形成される。この細孔の形状は特に制限はないが、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状もしくは六角柱状等の多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。本発明のメソポーラス材料は、各細孔の配置状態に規則性があることに加えて、少なくとも細孔を構成する細孔壁の部分に原子スケールの規則性存在する結晶性の高い構造を有している。これに対して、従来一般のメソポーラス材料は細孔の配置状態に規則性があったがその内部の構造はアモルファスであった。
【0027】
ここで、本発明において、「中心細孔直径」とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(以下、「細孔径分布曲線」という)の最大ピークにおける細孔直径である。
【0028】
また、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、固体電解質を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston-Inklay法、Pollimore-Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
【0029】
本発明のメソポーラス材料において、細孔の中心細孔直径は、前述の通り1〜30nmであり、好ましくは1〜10nmであり、より好ましくは1〜5nmである。中心細孔直径が1nm未満である場合は、細孔の平均の大きさが吸着の対象となる物質の大きさよりも小さくなることが多くなるために、吸着性能が低下する傾向にある。また、中心細孔直径が30nmを超す場合は、比表面積が低下して、触媒、吸着特性が低下する傾向にある。
【0030】
本発明のメソポーラス材料は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。ここで、「細孔径分布曲線における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味する。この条件を満たす有機無機複合材料は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。
【0031】
また、本発明のメソポーラス材料の比表面積については特に制限はないが、700m2/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
【0032】
さらに、本発明のメソポーラス材料は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0033】
本発明のメソポーラス材料の形状は特に限定されないが、固体酸或いは固体酸触媒として使用する際の利便性の観点から、粒子状或いは膜状であることが好ましい。例えば、粒子状の場合には、球状、六角柱状又は十八面体状の形状を有することが好ましい。
【0034】
形状が粒子状の場合、粒子の平均粒径は0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmであることがより好ましい。更に好ましくは、平均粒径は0.1〜50μmである。平均粒径が0.01μm未満である場合は、粒子が飛散しやすく取り扱いが困難である。また、平均粒径が100μmを超す場合は、吸着剤や触媒の担体として用いたときに粒子の内部の細孔が十分に利用できなくなる傾向にある。なお、球状の形状を有する粒子における平均粒径とは、直径(最長の直径)の平均を意味し、六角柱状の形状を有する粒子における平均粒径とは、長手方向に垂直な六角断面の直径(最長の対角線の長さ)の平均を意味する。また、十八面体状の形状を有する粒子における平均粒径とは、直径(最長の頂点間距離)の平均を意味する。
【0035】
本発明のメソポーラス材料における有機基は、炭素原子を1以上有しており、2以上の金属原子と結合するために2価以上の価数を有することが必要である。このような有機基としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素原子が脱離して生じる2価以上の有機基が挙げられる。なお、本発明のメソポーラス材料は、上記の有機基を1種のみ含むものであっても、2種以上含むものであってもよい。
【0036】
本発明においては、適度な架橋度を有する結晶性の高いメソポーラス材料が得られることから、有機基の価数は2価であることが好ましい。2価の有機基としては、反応分子の多きさに応じて選択することが可能であり、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン基(−CH2CH2CH2CH2−)、1,2−ブチレン基(−CH(C2H5)CH−)、1,3−ブチレン基(−CH(CH3)CH2CH2−)、1,3−フェニレン基(−C6H4−)、1,4−フェニレン基(−C6H4−)、1,2−フェニレン基(−C6H4−)、ビフェニル基(−C6H4−C6H4−)、トルイル基(−C6H4(CH3)−)ジエチルフェニレン基(−C2H4−C6H4−C2H4−)、ビニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基(−CH2−CH=CH2−)、ブテニレン基(−CH2−CH=CH−CH2−)、アミド基(−CO−NH−)、ジメチルアミノ基(−CH2−NH−CH2−)、トリメチルアミン基(−CH2−N(CH3)−CH2−)等が挙げられるが、これらの中でも、結晶性の高い多孔質粒子を得ることが可能であることから、メチレン基、エチレン基、フェニレン基が好ましい。
【0037】
上記の有機基における同一もしくは異なる炭素原子には2以上の金属原子が結合するが、この金属原子の種類は特に制限されず、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素が挙げられる。中でも、有機基及び酸素との結合性が良好なことから、ケイ素、アルミニウム、チタンが好ましい。
【0038】
なお、本発明において、有機基に結合する「金属原子」とは、上記例示のように、周期表において金属に分類される元素の原子の他に、Si,P,S,Bを含むものである。また、上記の金属原子は有機基と結合するとともに酸素原子と結合して酸化物を形成するが、この酸化物は2種以上の金属原子からなる複合酸化物であってもよい。
【0039】
また、上記金属原子に結合している酸素原子のうちの少なくとも1つには、炭素原子を1以上有する特性基が結合する。この特性基は、少なくとも細孔の内壁面に存在する場合に、構成原子(例えば、水素原子等)の1つがとれてそこに陽イオン交換基が結合されるものである。このような特性基は、酸素原子を介して金属原子に化学的に安定に結合できるものであれば特に限定されないが、炭化水素基であることが好ましい。
【0040】
更に、本発明において、上記特性基に結合する陽イオン交換基は、反応分子の分子サイズ、分子構造、プロトンと反応させたいサイトの反応性等を考慮して選択することができ特に限定されないが、下記一般式(4)で表される構造を少なくとも有していることが好ましい。
【0041】
【化7】
【0042】
ここで、式(4)中、Zは、炭素原子、リン原子、硫黄原子、窒素原子、又は、ハロゲン原子を示す。このような構造を有する陽イオン交換基としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等が挙げられるが、当該陽イオン交換基がスルホン酸基(−SO3H)、リン酸基(−PO4H2又は>PO4H)及びカルボン酸基(−COOH)からなる群より選択される少なくとも1種であると、反応分子の活性サイトのプロトン化を進行させやすいので好ましい。
【0043】
また、本発明のメソポーラス材料の骨格は、上述の有機基、特性基、金属原子及び酸素原子の結合により形成されるものであるが、この結合の種類は限定されず、例えば、共有結合、イオン結合が挙げられる。また、有機基に結合する金属原子の数や金属原子に結合する酸素原子の数によって、異なった骨格(直鎖状、梯子状、網目状、分岐状等)のメソポーラス材料を得ることができる。
【0044】
この骨格において、有機基は2以上の金属原子と結合しその金属原子は1以上の酸素原子と結合するため、有機基は金属酸化物の骨格中に取り込まれる。この結果、本発明のメソポーラス材料は有機/無機の両方の表面特性を示すようになる。
【0045】
このようなメソポーラス材料の中でも、骨格が、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構成単位の少なくとも1種からなるものが好ましい。
【0046】
【化8】
【0047】
ここで、上記式(1)中、R1は炭素原子を1以上有する2価以上の有機基を示し、M1は金属原子を示し、R2は炭化水素基を示し、xはM1の価数から1を差し引いた整数を示し、nは1以上x以下の整数を示し、mは2以上の整数を示す。ただし、M1が結合するR1中の炭素は同一でも異なっていてもよく、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在するR2には、陽イオン交換能を有するイオン交換基が更に結合している。
【0048】
式(1)中のR1(有機基)及びM1(金属原子)、陽イオン交換基については先に説明したとおりである。また、R2(炭化水素基)は先に述べた特性基に相当するものであり、このように炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。
【0049】
更に、上記式(1)における「−O1/2−」とは、これらが2つ結合することにより「−O−」となる基を表す。
【0050】
【化9】
【0051】
ここで、上記式(2)中、R1、M1、R2、x、n及びmはそれぞれ前記式(1)に記載のR1、M1、R2、x、n及びmと同義であり、M2は金属原子を示し、yはM2の価数から1を差し引いた整数を示し、tは1以上y以下の整数を示す。ただし、M1及びM2は互いに同一でも異なっていてもよく、M1が結合するR1中の炭素は同一でも異なっていてもよく、M2が結合するR2中の炭素は同一でも異なっていてもよく、少なくとも前記複数の細孔の内壁面に存在するR2には、陽イオン交換能を有するイオン交換基が更に結合している。
【0052】
式(2)中のR1(有機基)、M1(金属原子)、陽イオン交換基、R2については先に式(1)において説明したとおりである。また、M2(金属原子)の具体例もM1(金属原子)の説明において挙げた元素の原子が挙げられ、有機基及び酸素との結合性が良好なことから、ケイ素、アルミニウム、チタンが好ましい。更に、上記式(2)における「−O1/2−」も、これらが2つ結合することにより「−O−」となる基を表す。また、「−O1/2−」が2つ結合する場合、M1に結合した「−O1/2−」同士が結合してもよく、M2に結合した「−O1/2−」同士が結合してもよく、M1に結合した「−O1/2−」とM2に結合した「−O1/2−」が結合してもよい。
【0053】
なお、式(2)の場合、先に述べた「特性基」に相当する部分は、式(2)中の下記一般式(5)で表される部分である。
【0054】
【化10】
【0055】
ここで、式(1)において、R1、M1、R2、n、mが、それぞれエチレン基、ケイ素原子、メチル基、1、2である場合は、x=4−1=3,(x−n)=2となり、一般式(1)は下記化学式(6)で表され、化学式(6)の構成単位が2個連結した骨格は下記化学式(7)で表される。そして、式(6)及び式(7)におけるR2(メチル基)のうち、少なくとも細孔の内壁面に存在するメチル基には、イオン交換基が更に結合することになる。例えば、メチル基にスルホン酸基が結合する場合には、−CH2−SO3Hとなる。このようにR2の存在する式(6)及び(7)の構造は、メソポーラス材料の表面構造(細孔の内壁面など)の一例を示すものである。
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
また、上記式(1)において、R1、M、n、mが、それぞれエチレン基、ケイ素原子、3、2である場合は、x=4−1=3,(x−n)=0となり、式(1)は下記化学式(8)で表され、化学式(8)の構成単位が複数個連結すると網状構造を形成する。例えば、下記化学式(9)はその網状構造の一例として化学式(8)の構成単位の4個が連結した場合を示すものである。このようにR2の存在しない式(9)の構造は、メソポーラス材料の内部構造の一例を示すものである。
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
また、本発明のメソポーラス材料が上記式(1)で表される構成単位を有する場合、R1、M、R2、n、mが異なる複数種の構成単位からなるものであってもよく、例えば、上記化学式(6)で表される構成単位と上記化学式(8)で表される構成単位とからなるものであってもよい。また、本発明のメソポーラス材料が上記一般式(1)で表される構成単位を有する場合、その構成単位以外に、例えば、「Si−(O1/2)4−」、「Ti−(O1/2)4−」等の構成単位を有していてもよい。
【0062】
更に、式(2)において、R1、M1、R2、n、m、M2、tが、それぞれエチレン基、ケイ素原子、メチル基、1、2、ケイ素原子、2である場合は、x=4−1=3,(x−n)=2,y=4−1=3,(y−t)=1となり、式(2)は下記化学式(10)で表され、化学式(10)の構成単位が2個連結した骨格は下記化学式(11)で表される。そして、式(10)及び式(11)におけるR2(メチル基)のうち、少なくとも細孔の内壁面に存在するメチル基には、イオン交換基が更に結合することになる。例えば、メチル基にスルホン酸基が結合する場合には、−CH2−SO3Hとなる。このようにR2の存在する式(10)及び(11)の構造は、メソポーラス材料の表面構造(細孔の内壁面など)の一例を示すものである。
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
また、上記式(2)において、R1、M、n、mが、それぞれエチレン基、ケイ素原子、3、2である場合は、x=4−1=3,(x−n)=0となり、式(2)は先に述べた式(8)で表され、式(8)の構成単位が複数個連結すると網状構造を形成し、その網状構造の一例としては、式(8)の構成単位の4個が連結した場合には、先に述べた式(9)の構造が例示される。
【0066】
また、上記式(2)において、R1、M1、R2、n、m、M2、tが、それぞれエチレン基、ケイ素原子、メチル基、1、2、ケイ素原子、3である場合は、x=4−1=3,(x−n)=2,y=4−1=3,(y−t)=0となり、式(2)は下記化学式(12)で表される。そして、化学式(12)の構成単位が複数個連結すると網状構造を形成する。このようにR2の存在しない式(12)の構造も、メソポーラス材料の内部構造の一例を示すものである。
【0067】
【化17】
【0068】
また、本発明のメソポーラス材料が上記式(2)で表される構成単位を有する場合、R1、M、R2、n、mが異なる複数種の構成単位からなるものであってもよく、例えば、上記化学式(10)で表される構成単位と上記化学式(12)で表される構成単位とからなるものであってもよい。また、本発明のメソポーラス材料が上記一般式(2)で表される構成単位を有する場合、その構成単位以外に、例えば、「Si−(O1/2)4−」、「Ti−(O1/2)4−」等の構成単位を有していてもよい。
【0069】
また、本発明のメソポーラス材料は、上述の構造単位を有する場合には特に、更に以下の構造を有していることを特徴としていてもよい。即ち、各細孔は、一次元チャンネル構造を有しており、かつ、各細孔壁の部分が、2価以上の有機基からなる第1の層(R1からなる層)と、金属原子及び酸素原子からなる第2の層(R2(或いは式(5)で表される部分)からなる層)とが交互に配置された状態の積層構造を有していることを特徴としていてもよい。これにより、第1の層のサイトに吸着される反応分子の吸着状態(配向状態)を所望の状態とし、なおかつその状態を保持することができる。しかも、第2の層の構造を変えることにより反応分子のプロトンと反応させたいサイトのみを選択的に活性化し反応させることがより容易にできるようになる。
【0070】
ここで、本発明において、「一次元チャンネル構造」とは、細孔壁により形成される細孔空間の形状が柱状となる構造を示す。
【0071】
更に、各細孔が一次元チャンネル構造を有する場合、上述の作用効果を得る観点から、第1の層及び第2の層がリング状の形状を有しており、かつ、該第1の層(後述の図12中の層10を参照)と該第2の層(後述の図12中の層20を参照)とが各細孔の中心軸に対して垂直な面上に交互に積層された状態(後述の図11及び図12を参照)で配置されていることが好ましい。このメソポーラス材料が有する細孔壁の部分の結晶性の高い構造はこれまでの従来一般のメソポーラス材料では確認されておらず、本発明者らが、本発明のメソポーラス材料について構造解析(後述の実施例を参照)を行った結果初めて明らかにされた知見であり、本発明者らの検討によりはじめて現実に構成可能となった構造である。
【0072】
更に、この場合、第1の層及び前記第2の層の厚さが1.5nm以下であることが好ましい。なお、第1の層及び前記第2の層の「厚さ」とは、各細孔の中心軸に平行な方向の厚さを示す。第1の層及び前記第2の層の厚さが1.5nm以下であると、第1の層に吸着した反応分子が第2の層に存在する反応サイトに十分近づけることが容易にでき、反応をより進行させ易くなる傾向がある。一方、第1の層及び前記第2の層が1.5nmを超えると、上記の作用効果を得にくくなる傾向が大きくなる。
【0073】
上述の式(1)又は式(2)で表される構成単位を有する場合(好ましくは上記の一次元チャンネル構造を更に有する場合)、細孔内に取り込んだ反応分子(有機化合物分子)は、有機化合物に対する高い親和性を有するR1のサイトに吸着固定されることになる。また、このR1の種類を変えることにより、反応分子の種類やその分子サイズに応じて、このR1からなる吸着位置(吸着サイト)のサイズ及び吸着力を変更することができる。
【0074】
更に、このようにR1の種類を変えること及び/又はR2(或いは式(5)で表される部分)の種類を変えることにより、R1のサイトに吸着される反応分子の吸着状態(配向状態)を所望の状態とし、なおかつその状態を保持することができる。しかも、R2(或いは式(5)で表される部分)の種類を変えることにより、反応分子に対するイオン交換基の相対的位置を所望の位置に変更することができ、反応分子のプロトンと反応させたいサイトのみを選択的に活性化し反応させることができる。
【0075】
従って、反応分子を細孔内の特定の位置に反応の進行に有利な配向状態で規則的に配列させて固定することができ、然も、該反応分子中の特定のサイトをプロトンにより選択的に活性化することができる。そのため、式(1)又は式(2)で表される構成単位を有するメソポーラス材料を固体酸或いは固体酸触媒として使用すれば、有機化合物分子と酸或いは酸触媒との反応において、所望の分子サイズと分子構造を有する反応生成物を高い収率で得ることができる特殊反応場が容易に構築可能となる。
【0076】
また、本発明のメソポーラス材料は以上説明した細孔の内壁面に存在する特性基に陽イオン交換基を結合させた構造を有するものの他に、以上説明した骨格に含まれる特性基のうち、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在する特性基を、陽イオン交換能を有するイオン交換基に置換した構造を有するものであってもよい。この場合、骨格が、下記一般式(3)で表される構成単位の少なくとも1種類からなることが好ましい。
【0077】
【化18】
【0078】
ここで、式(3)中、R1、M1、R2、x、n及びmはそれぞれ式(1)に記載のR1、M1、R2、x、n及びmと同義である。ただし、M1が結合するR1中の炭素は同一でも異なっていてもよく、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在するR2が、陽イオン交換能を有するイオン交換基に置換されている。この場合の陽イオン交換基も式(1)において例示したものと同様のイオン交換基、好ましいイオン交換基を挙げることができる。式(3)で表される構成単位を有するメソポーラス材料は、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在するR2が、陽イオン交換能を有するイオン交換基に置換されていること以外は式(1)で表される構成単位を有するメソポーラス材料と同じ構造を有するものである。
【0079】
更に、本発明のメソポーラス材料は、上記の骨格を有するメソポーラス材料以外に、骨格が、下記一般式(13)で表される構成単位の少なくとも1種類からなるものであってもよい。
【0080】
【化19】
【0081】
ここで、式(13)中、R1、M1、R2、x、n及びmはそれぞれ式(1)に記載のR1、M1、R2、x、n及びmと同義であり、M2、y及びtはそれぞれ式(2)に記載のM2、y及びtと同義である。ただし、M1及びM2は互いに同一でも異なっていてもよく、M1が結合するR1中の炭素は同一でも異なっていてもよく、M2が結合するR2中の炭素は同一でも異なっていてもよく、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在するR2は、下記一般式(14)で表される置換基により置換されている。
【0082】
【化20】
ただし、式(14)中、R3は陽イオン交換能を有するイオン交換基を示す。この場合の陽イオン交換基も式(1)において例示したものと同様のイオン交換基、好ましいイオン交換基を挙げることができる。式(14)で表される構成単位を有するメソポーラス材料は、少なくとも複数の細孔の内壁面に存在するR2が、式(14)で表される置換基に置換されていること以外は式(2)で表される構成単位を有するメソポーラス材料と同じ構造を有するものである。
【0083】
上記の式(1)、式(2)、式(3)、及び式(14)で表される骨格を有するメソポーラス材料は、例えば、下記一般式(15)で表される化合物の少なくとも1種類を重縮合することにより得ることができる。これにより、本発明のメソポーラス材料の陽イオン交換基を導入する前の状態の基本骨格を構成することができる。なお、本明細書においては、メソポーラス材料の陽イオン交換基を導入する前の状態を総称して「前駆体」という。
【0084】
【化21】
【0085】
ここで、式(15)中、R1及びR2はそれぞれ先に述べた式(1)及び式(2)におけるR1、R2と同義である。また、M3は、式(1)におけるM1及び式(2)におけるM2と同義である。更に、Aは、アルコキシル基又はハロゲン原子を表し、xは金属M3の価数から1を差し引いた整数、nは1以上x以下の整数、mは1以上の整数を表す。なお、M3が結合するR1の炭素は同一でも異なっていてもよい。
【0086】
また、上記式(15)のAがアルコキシル基である場合、そのアルコキシル基中の酸素に結合した炭化水素基の種類は特に制限されず、例えば、鎖式、環式、脂環式の炭化水素を挙げることができる。この炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜5の鎖式アルキル基であり、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
【0087】
更に、上記一般式(15)のAがハロゲン原子である場合、その種類も特に制限されず、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子を挙げることができるが、これらの中でも、塩素及び臭素が好ましい。
【0088】
例えば、上記式(15)において、R1、M3、A、n、mがそれぞれ、フェニレン基、ケイ素、メトキシ基、3、2である場合は、式(15)で表される化合物は、(CH3 O)3 Si−C6H4 −Si(OCH3 )3 で表される1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼンとなる。
【0089】
また、例えば、上記式(15)において、R1、M3、A、n、mがそれぞれ、フェニレン基、ケイ素、塩素、3、2である場合は、式(15)で表される化合物は、Cl3Si−C6H4 −SiCl3 で表される1,2−ビス(トリクロロシリル)ベンゼンとなる。
【0090】
更に、本発明においては、式(15)で表される化合物に、アルコキシシラン、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等を加えて重縮合してもよい。
【0091】
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等を用いることができる。また、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基等の官能基を有するアルコキシシランを用いることもできる。
【0092】
チタニウムアルコキシドとしては、例えば、チタニウムブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムエトキシドを用いることができ、アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシドを用いることができる。また、塩素化ケイ素(SiCl4)を始めとする各種ハロゲン化金属も用いることができる。
【0093】
また、上記式(15)で表される化合物やアルコキシシラン等に、擬ベーマイト、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、ジアルコキシアルミノトリアルコキシシラン等を加えて反応させることにより、SiO2−Al2O3の骨格を導入することができる。また、硫酸バナジル(VOSO4)、ホウ酸(H3BO3)、塩化マンガン(MnCl2)等を加えて反応させることにより、V、B、Mnを骨格に導入することができる。
【0094】
このような構造単位を有するメソポーラス材料についても先に述べたものと同様に、上述の構造単位を有する場合には特に、更に以下の構造を有していることを特徴としていてもよい。即ち、各細孔は、一次元チャンネル構造を有しており、かつ、各細孔壁の部分が、2価以上の有機基からなる第1の層(R1からなる層)と、金属原子及び酸素原子からなる第2の層(R2(或いは式(5)で表される部分)からなる層)とが交互に配置された状態の積層構造を有していることを特徴としていてもよい。
【0095】
これにより、第1の層のサイトに吸着される反応分子の吸着状態(配向状態)を所望の状態とし、なおかつその状態を保持することができる。しかも、第2の層の構造を変えることにより反応分子のプロトンと反応させたいサイトのみを選択的に活性化し反応させることがより容易にできるようになる。
【0096】
更に、各細孔が一次元チャンネル構造を有する場合、上述の作用効果を得る観点から、第1の層及び第2の層がリング状の形状を有しており、かつ、該第1の層(後述の図12中の層10を参照)と該第2の層(後述の図12中の層20を参照)とが各細孔の中心軸に対して垂直な面上に交互に積層された状態(後述の図11及び図12を参照)で配置されていることが好ましい。
【0097】
このメソポーラス材料が有する細孔壁の部分の結晶性の高い構造はこれまでの従来一般のメソポーラス材料では確認されておらず、本発明者らが、本発明のメソポーラス材料について構造解析(後述の実施例を参照)を行った結果初めて明らかにされた知見であり、本発明者らの検討によりはじめて現実に構成可能となった構造である。更に、この場合にも、第1の層及び前記第2の層の厚さが1.5nm以下であることが好ましい。
【0098】
また、上述の式(3)又は式(13)で表される構成単位を有する場合(好ましくは上記の一次元チャンネル構造を更に有する場合)、細孔内に取り込んだ反応分子(有機化合物分子)は、有機化合物に対する高い親和性を有するR1のサイトに吸着固定されることになる。また、このR1の種類を変えることにより、反応分子の種類やその分子サイズに応じて、このR1からなる吸着位置(吸着サイト)のサイズ及び吸着力を変更することができる。
【0099】
更に、このようにR1の種類を変えること及び/又はR2(或いは式(13)中の式(5)で表した部分に相当する部分)の種類を変えることにより、R1のサイトに吸着される反応分子の吸着状態(配向状態)を所望の状態とし、なおかつその状態を保持することができる。しかも、R2(或いは式(13)中の式(5)で表した部分に相当する部分)の種類を変えることにより、反応分子に対するイオン交換基の相対的位置を所望の位置に変更することができ、反応分子のプロトンと反応させたいサイトのみを選択的に活性化し反応させることができる。
【0100】
従って、反応分子を細孔内の特定の位置に反応の進行に有利な配向状態で規則的に配列させて固定することができ、然も、該反応分子中の特定のサイトをプロトンにより選択的に活性化することができる。そのため、式(3)又は式(13)で表される構成単位を有するメソポーラス材料を固体酸或いは固体酸触媒として使用すれば、有機化合物分子と酸或いは酸触媒との反応において、所望の分子サイズと分子構造を有する反応生成物を高い収率で得ることができる特殊反応場が容易に構築可能となる。
【0101】
次に、本発明のメソポーラス材料の製造方法について説明する。
本発明のメソポーラス材料のうち、式(1)及び式(2)で表される構成単位の少なくとも1種類からなる骨格を有する材料を製造する際には、以下の2つの方法を用いることが好ましい。
【0102】
即ち、1)上記式(15)で表される化合物を界面活性剤を含む水溶液に加え酸性もしくはアルカリ性条件下で重縮合することにより、メソポーラス材料の前駆体を予め製造し、その後、後述する陽イオン交換基を導入するための原料を用いて前駆体の少なくとも細孔の内壁面に存在するR2に陽イオン交換基を結合させる方法(例えば、S. Inagaki ら,Nature416巻, p.304−307,2002、後述の実施例10を参照)、又は、2)式(15)で表される化合物を界面活性剤を含む水溶液に加え酸性もしくはアルカリ性条件下で重縮合する際に、陽イオン交換基を導入するための原料も上記水溶液に同時に転化して製造する方法(後述の実施例1〜8を参照)のいずれかを用いることが好ましい。
【0103】
上記の2つの方法に使用する界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のいずれの界面活性剤も使用することができる。このような界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム[CnH2n+1N(CH3)3]、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物等の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。アルキルトリメチルアンモニウム[CnH2n+1N(CH3)3]としてはアルキル基の炭素数が8〜18のものを用いることが好ましい。
【0104】
非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基を有し、親水性成分としてポリエチレンオキサイド鎖を有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、C16H33(OCH2CH2)2OH、C12H25(OCH2CH2)4OH、C16H33(OCH2CH2)10OH、C16H33(OCH2CH2)20OH、C18H37(OCH2CH2)10OH、C18H35(OCH2CH2)10OH、C12H25(OCH2CH2)23OH等が挙げられる。
【0105】
また、ソルビタン脂肪酸エステル成分とポリエチレンオキサイド成分を有した界面活性剤を使用することもできる。このような界面活性剤としては、TritonX−100(アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween20、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノオリエート(Tween60)、ソルビタンモノパルミテート(Span40)等が挙げられる。
【0106】
また、界面活性剤としては、3つのポリアルキレンオキサイド鎖からなるトリブロックコポリマーも用いることができる。中でも、ポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖−ポリエチレンオキサイド(EO)鎖で表されるトリブロックコポリマーが好ましい。EO鎖の繰り返し数がx、PO鎖の繰り返し数がyである時、このトリブロックコポリマーは(EO)x(PO)y(EO)xとして表すことができる。本発明において用いられるトリブロックコポリマーの、x、yには特に制限はないが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは15〜20、yは50〜60であることがより好ましい。
【0107】
さらに、界面活性剤として、ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖−ポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖のトリブロックコポリマー((PO)x(EO)y(PO)x)も好ましく使用できる。ここで、x、yには特に制限はないが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは15〜20、yは50〜60であることがより好ましい。
【0108】
上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。中でも、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17を用いることが好ましい。これらのトリブロックコポリマーはBASF社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。上記のトリブロックコポリマーは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0109】
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、((EO)113(PO)22)2NCH2CH2N((PO)22(EO)113)2、((EO)3(PO)18)2NCH2CH2N((PO)18(EO)3)2、((PO)19(EO)16)2NCH2CH2N((EO)16(PO)19)2等が挙げられる。上記のスターダイブロックコポリマーは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0110】
メソポーラス材料を先に述べた1)の方法により製造する場合、式(15)で表される化合物(及び必要によりアルコキシシラン等の無機系化合物を添加する)を、界面活性剤を含む水溶液に加え、酸性、アルカリ性若しくは中性条件下で重縮合することにより前駆体を得ることができる。
【0111】
また、式(15)で表される化合物(及び必要により無機系化合物)を、界面活性剤の非存在下、酸性もしくはアルカリ性条件下で重縮合してオリゴマーを形成させ、このオリゴマーを含む水溶液中に界面活性剤を加え、酸性もしくはアルカリ性条件下でさらに重縮合させることもできる。
【0112】
界面活性剤存在下における重縮合においては、アルカリ性条件下による重縮合と、酸性条件下による重縮合とを交互に行うこともできる。この際、アルカリ性条件と酸性条件の順序は特に制限はないが、酸性条件で重縮合を行ってアルカリ性条件で重縮合を行うと、重合度が高まる傾向にある。なお、重縮合反応においては、攪拌と静置を交互に行うことが好ましい。
【0113】
重縮合の反応温度は、0〜100℃の範囲が好ましいが、温度が低い方が生成物の構造の規則性が高くなる傾向がある。構造の規則性を高くするために好ましい反応温度は20〜40℃である。一方、反応温度が高い方が、重合度が高く構造の安定性が高くなる傾向がある。重合度を高くするために好ましい反応温度は60〜80℃である。
【0114】
重縮合反応の後、熟成を行った後に生成した沈殿あるいはゲルを濾過し、必要に応じて洗浄を行った後に乾燥すると、細孔内に界面活性剤が充填されたままの前駆体が得られる。
【0115】
この前駆体を、重縮合反応において使用したものと同じ界面活性剤を含む水溶液(典型的には重縮合反応時と同等かそれ以下の界面活性剤濃度とする)中あるいは水等の電解質液中に分散させ、当該前駆体を50〜200℃で水熱処理することができる。この場合、重縮合反応において使用した溶液をそのままあるいは希釈して加熱することができる。加熱温度は60〜100℃であることが好ましく、70〜80℃であることがより好ましい。また、この時のpHは弱アルカリ性であることが好ましく、pHは例えば8〜8.5であることが好ましい。この水熱処理の時間には特に制限はないが、1時間以上が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
【0116】
この水熱処理後、前駆体を濾過した後に、乾燥し、余剰の処理液を取り去る。なお、多孔体前駆体を上記水溶液あるいは溶媒中に分散してpH調整後水熱処理を開始する前に、あらかじめ室温で数時間〜数十時間程度攪拌処理を行ってもよい。
【0117】
次いで、前駆体から界面活性剤を除去するが、その方法としては、例えば、焼成による方法と水やアルコール等の溶媒で処理する方法が挙げられる。このようにして界面活性剤を除去した前駆体を得ることができる。
【0118】
焼成による方法においては、界面活性剤を含む前駆体を300〜1000℃、好ましくは200〜500℃で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤成分を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。
【0119】
溶媒を用いて前駆体から界面活性剤を除去する場合は、例えば、界面活性剤の溶解性の高い溶媒中に前駆体を分散させ、攪拌後固形分を回収する。溶媒としては、水、エタノール、メタノール、アセトン等を使用することができる。
【0120】
陽イオン性の界面活性剤を用いた場合は、少量の塩酸を添加したエタノールあるいは水中に前駆体を分散させ、50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、陽イオン界面活性剤がプロトンによりイオン交換され抽出される。陰イオン性の界面活性剤を用いた場合は、陰イオンを添加した溶媒中で界面活性剤を抽出することができる。また、非イオン性の界面活性剤を用いた場合は、溶媒のみで抽出することが可能である。なお、抽出時に超音波をかけることが好ましい。また、攪拌と静置とを組み合わせ、あるいは繰り返すことが好ましい。
【0121】
なお、本発明のメソポーラス材料の形状はその前駆体の合成条件により制御することができる。なお、メソポーラス材料の形状は粒子の細孔の配列構造を反映しており、また、結晶構造が決まることにより形状も決まる。例えば、球状の粒子の結晶構造は三次元ヘキサゴナルであり、六角柱状の粒子の結晶構造は二次元ヘキサゴナルである。また、十八面体状の粒子の結晶構造はキュービックである。
【0122】
メソポーラス材料の形状に影響する合成条件としては、反応温度と界面活性剤の長さ(炭素数)が挙げられる。例えば、界面活性剤としてアルキルトリメチルアンモニウムを用いる場合は、そのアルキル基の炭素数と反応温度が有機無機複合材料の形状に影響を与える。例えば、反応温度が95℃でアルキル基の炭素数が18である場合は、六角柱状の粒子が生成しやすく、反応温度が95℃でアルキル基の炭素数が16である場合は、十八面体状の粒子が生成しやすい。また、反応温度が25℃の場合は、アルキル基の炭素数が18と16のいずれの場合も球状粒子が生成しやすい。一方、反応温度が2℃でアルキル基の炭素数が18の時は、層状構造となり、反応温度が2℃でアルキル基の炭素数が16の時は、球状粒子が生成しやすい。
【0123】
上述のようにして前駆体を得た後、少なくとも細孔内壁面に存在する特性基にイオン交換基を結合させる。この方法としては、例えば、前駆体を例えばクロロホルム等の溶媒に溶解し、陽イオン交換基を導入するための原料を添加する。陽イオン交換基を導入するための原料としては、下記一般式(16)で表される化合物が挙げられる。
【0124】
【化22】
【0125】
式(16)中、M4は、式(1)におけるM1及び式(2)におけるM2と同義であり、Aは、式(16)におけるAと同義であり、アルコキシル基又はハロゲン原子を表し、R4は陽イオン交換基又は酸化により陽イオン交換基に変換されることが可能な官能基を示し、fはM4の価数を示し、gは1以上の整数を示す。
【0126】
R4が陽イオン交換基の場合、陽イオン交換基としては先に挙げたものが挙げられる。また、R4が酸化により陽イオン交換基に変換されることが可能な官能基の場合、酸化により陽イオン交換基に変換されることが可能な官能基としては、メルカプト基(チオール基)、側鎖基又は末端基がメチル基である基等が挙げられる。そして、このような官能基は、過酸化水素や硝酸等の酸化剤を用いて酸化することにより陽イオン交換基に変換される。例えば、メルカプト基の場合、酸化によりスルホン酸基に変換される。また、例えば、側鎖基又は末端基がメチル基である基の場合、酸化によりカルボン酸基に変換される。
【0127】
また、メソポーラス材料を先に述べた2)の方法により製造する場合には、式(15)で表される化合物、及び、先に述べた式(16)で表される陽イオン交換基を導入するための原料を先に述べた界面活性剤を含む水溶液に加え酸性もしくはアルカリ性条件下で重縮合すればよい。
【0128】
また、メソポーラス材料からなる膜を形成する方法は、例えば、上述したメソポーラス材料の製造工程において、前駆体を含むゾル溶液をガラス基板等に塗布し、乾燥した後、焼成して界面活性剤を除去することにより、中心細孔直径が先に述べた範囲内にある細孔を有する前駆体からなる薄膜を形成し、更に、上述した方法により特性基の部分に陽イオン交換基を結合或いは特性基の部分を置換して導入させることによって好適に得ることができる。
【0129】
また、前駆体の生成を経ないで、原料から膜を直接的に形成する方法もある。有機シラン原料等の式(15)で表される原料、界面活性剤、溶媒(水,アルコール等)、塩酸を適当な比で混合することにより、均一な溶液が調製できる。この溶液を所定の基板上に塗布して、必要であれば、加熱・乾燥することにより、均一な透明の膜が形成できる。
【0130】
このとき溶液を基板に塗布する方法は特に限定されないが、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法等が挙げられる。この均一な透明膜から界面活性剤を除去する方法としては、焼成法と溶媒抽出法がある。焼成法では、基板にコートした膜を200〜600℃で焼成する。溶媒抽出法では、基板にコートした膜をエタノール等の溶媒に塩酸を加えた溶液に浸漬することにより行われる。
【0131】
本発明のメソポーラス材料のうち、式(3)及び式(13)で表される構成単位の少なくとも1種類からなる骨格を有する材料を製造する際には、以下の方法を用いることが好ましい。即ち、先に述べた1)と同様の方法により前駆体を合成し、その細孔の内壁面を構成する骨格中のM1又はM2に結合した官能基を陽イオン交換基に置換する。例えば、前駆体のM1又はM2に結合した官能基が水酸基の場合には、オキソ酸(硫酸、硝酸、燐酸、カルボン酸等)を添加することによりエステル化を進行させて陽イオン交換基を導入する。
【0132】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0133】
(実施例1)
以下に示す合成手順により、式(2)で表される構成単位からなる骨格を有するメソポーラス材料(粉末状)の中で、M1及びM2が「Si」,R1が「−C2H4−」,R2が「−C3H7」に相当する構造を有し、かつ、細孔表面に存在するR2に結合するイオン交換基が「−SO3H」であるメソポーラス材料(以下、「EHMS25」という)を合成した。なお、ここでは、メソポーラス材料の合成過程において、細孔表面(細孔の内壁面を含む)に少なくとも存在するR2にメルカプト基「−SH」が結合した構造(即ち、「−C3H6−SH」)を有する前駆体(メソ多孔体)を先ず合成しておき、その後、チオール基を「−SO3H」に変換した。
【0134】
先ず、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18H37N(CH3)3Cl、以下、「C18TMACl」という)0.42gをイオン交換水39.1gに溶解させた。この水溶液に2mol/LのNaOH水溶液2.5gを加え、液が透明となるまで50℃で攪拌し、透明な溶液となったのを確認した後、この溶液を放置して室温まで冷却した。
【0135】
次に、この溶液に、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン(以下、「BTME」という)2.03g(7.5mmol)と、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(以下、「MPTMS」という)0.49g(2.5mmol)を混合して得た溶液をゆっくりと加えた。その後、得られた溶液に対して超音波処理を20分間行い、溶液を均一化させた。次に、この溶液を室温で12時間攪拌した後、95℃で攪拌せずに24時間加熱した。そして、加熱後に得られた溶液を放置して室温にまで冷却し、ろ過により固形物を回収し、この固形物を洗浄し更に乾燥させて、白色粉末を得た。
【0136】
次に、テンプレートとして作用している界面活性剤を白色粉末中から除去するために、白色粉末1gを、200mLのエタノールと36質量%の塩酸3gとの混合溶液中に分散させ、50℃で6時間攪拌した。その後、ろ過により固形物を回収し、この固形物を洗浄し更に乾燥させて、前駆体(メソ多孔体)を得た。
【0137】
次に、得られた前駆体(メソ多孔体)の表面(細孔内の表面を含む)のチオール基(「−SH」)をスルホン酸基(「−SO3H」)に変換するために、前駆体(メソ多孔体)をHNO3により以下のように処理した。
【0138】
即ち、0.5gの前駆体(メソ多孔体)を20質量%のHNO3水溶液中にゆっくりと浸漬させた後、10gの濃HNO3をゆっくりと加え、室温で24時間攪拌した。その後、この液に10mLのイオン交換水を更に加え、ろ過により固形物を回収した。この固形物をイオン交換水で十分に洗浄した後、80℃で一晩(約12時間)乾燥させることにより、EHMS25を得た。
【0139】
(実施例2)
以下に示す合成条件を変更した以外は実施例1と同様の合成手順及び合成条件により、実施例1と同様の構造を有するメソポーラス材料(以下、「EHMS40」という)を合成した。
【0140】
即ち、実施例1におけるC18TMAClの使用量を1.98gとし、これを溶解させたイオン交換水の量を51.85gとした。また、実施例1における2mol/LのNaOH水溶液の液量を11.75g、BTMEの使用量を1.62g、MPTMSの使用量を0.79gとした。
【0141】
(実施例3)
以下に示す合成条件を変更した以外は実施例1と同様の合成手順及び合成条件により、実施例1と同様の構造を有するメソポーラス材料(以下、「EHMS60」という)を合成した。
【0142】
即ち、実施例1におけるC18TMAClの使用量を1.98gとし、これを溶解させたイオン交換水の量を55.72gとした。また、実施例1における2mol/LのNaOH水溶液の液量を7.88g、BTMEの使用量を1.08g、MPTMSの使用量を1.18gとした。
【0143】
(実施例4)
以下に示す合成条件を変更した以外は実施例1と同様の合成手順及び合成条件により、実施例1と同様の構造を有するメソポーラス材料(以下、「EHMS67」という)を合成した。
【0144】
即ち、実施例1におけるC18TMAClの使用量を1.98gとし、これを溶解させたイオン交換水の量を55.72gとした。また、実施例1における2mol/LのNaOH水溶液の液量を7.88g、BTMEの使用量を0.89g、MPTMSの使用量を1.32gとした。
【0145】
[構造解析1]
実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料(EHMS25、EHMS40、EHMS60及びEHMS67)について、X線回折パターンの測定、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた写真撮影による観察、窒素吸着等温線の測定、13C−MAS−NMR、29Si−MAS−NMR、各メソポーラス材料に含まれる水素イオンの量の測定を行った。
【0146】
X線回折パターンの測定は、RINT−2200粉末X線回折装置(理学電機社製,商品名)を用い、以下の測定条件で行った。即ち、管電圧を40.0kVとし、管電流を30.0mAとし、スリットは、発散スリット1/2deg、散乱スリット1/2deg、受光スリット0.15mmとした。
【0147】
TEM写真はJEOL TEM2000EX(日本電子社製,商品名)を用い、加電圧を200kVとして撮影した。また、窒素吸着等温線はAUTOSORB−1 GAS SORPTION SYSTEM(カンタクローム社製,商品名)を用いて測定した。このとき、窒素吸着等温線の測定の際の各メソポーラス材料の脱気処理は、処理系内の圧を1.2×10-2torr以下に調節し、室温で2時間以上行った。更に、各メソポーラス材料の比表面積はBET法により算出し、中心細孔直径はBJH法よって算出した。
【0148】
13C−MAS−NMR及び29Si−MAS−NMRは、BRUKER MSL−300WB MAS NMR(ブルッカー社製,商品名)を用いて測定した。
【0149】
また、各メソポーラス材料に含まれる水素イオンの量[mmol/g]は、酸−塩基滴定法により求めた。具体的には以下の方法により求めた。即ち、先ず、各メソポーラス材料0.1gを2mol/LのNaCl水溶液20g中に分散させた後、24時間室温で攪拌した。次に、その水溶液を0.1mol/LのNaOH標準水溶液を用いて滴定することによって滴定曲線を得て、これに基づいて水素イオンの量を求めた。
【0150】
実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られたX線回折パターンを図1に示す。また、実施例3のメソポーラス材料について得られたTEM写真を図2に示す。更に、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られた窒素吸着等温線を図3に示し、これにより求められたBET比表面積及び中心細孔直径の結果を表1に示す。
【0151】
また、実施例3のメソポーラス材料について得られた29Si−MAS−NMRスペクトルを示すグラフを図4に、13C−MAS−NMRスペクトルを示すグラフを図5にそれぞれ示す。また、酸−塩基滴定により実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られた水素イオンの量の結果を表2に示す。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
図1に示す結果から明らかなように、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料の何れの場合にも、d10のピークが2θ=2°付近に観測され、これらが何れも細孔の大きさがいわゆるメソ孔であるメソ多孔体の構造を有していることが確認された。
【0155】
また、図2に示す結果から明らかなように、実施例3のメソポーラス材料は、複数のトンネル状のメソ細孔(直径が2〜3nm程度)がヘキサゴナルに配列した多孔体構造を有していることが確認された。なお、この図2は、ヘキサゴナルに配列したメソ細孔の断面を観察した場合のTEM写真を示している(後述の図6参照)。また、実施例3以外の実施例1、実施例2及び実施例4についてもTEM写真(図示せず)の結果から上記と同様の複数のトンネル状のメソ細孔(直径が2〜3nm程度)がヘキサゴナルに配列した多孔体構造を有していることが確認された。
【0156】
また、図3及び表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料は何れも大きな比表面積を有しており、上記のTEM写真の結果と同様に中心細孔直径が約2〜3nm程度のメソ細孔を有していることが確認された。
【0157】
更に、図4の結果から明らかなように、SiC(OH)(OSi)2の構造に基づくT2シグナル、及び、SiC(OSi)3の構造に基づくT3シグナルのみが確認され、Si(OH)(OSi)3の構造に基づくQ3シグナル、及び、Si(OSi)4の構造に基づくQ4シグナルは共に確認できなかったことから、合成の段階で、Si−C結合が切断されず、有機基(R1)が実施例3のメソポーラス材料の骨格中に導入されていることが確認された。
【0158】
なお、実施例3のメソポーラス材料以外の実施例1、実施例2及び実施例4のメソポーラス材料についても実施例3と同様の29Si−MAS−NMRスペクトルを示すグラフ(図示せず)が得られ、有機基(R1)がメソポーラス材料の骨格中に導入されていることが確認された。
【0159】
また、図5の結果から明らかなように、実施例3のメソポーラス材料には、「−C2H4−」の構造、及び「−C3H6−SO3H」の構造がともに骨格中に導入されていることが確認された。
【0160】
なお、実施例3のメソポーラス材料以外の実施例1、実施例2及び実施例4のメソポーラス材料についても実施例3のメソポーラス材料と同様の13C−MAS−NMRスペクトルを示すグラフ(図示せず)が得られ、「−C2H4−」の構造、及び「−C3H6−SO3H」の構造がメソポーラス材料の骨格中に導入されていることが確認された。
【0161】
更に、表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料は、それぞれの前駆体に対して導入された−SO3H基の物質量に対応した固体酸性を有することが確認された。
【0162】
また、以上の構造解析の結果から、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料は何れも図6に模式的に示す骨格構造を有していると考えられる。なお、先に述べた図2は、実施例3のメソポーラス材料のヘキサゴナルに配列したメソ細孔の断面を図6に示すa軸方向から見た場合のTEM写真を示している。
【0163】
(実施例5)
以下に示す合成手順により、式(2)で表される構成単位からなる骨格を有するメソポーラス材料(粉末状)の中で、M1及びM2が「Si」,R1がフェニレン基、R2が「−C3H7」に相当する構造を有し、かつ、細孔表面に存在するR2に結合するイオン交換基が「−SO3H」であるメソポーラス材料(以下、「Ph−MP25」という)を合成した。なお、ここでは、メソポーラス材料の合成過程において、細孔表面(細孔の内壁面を含む)に少なくとも存在するR2にメルカプト基「−SH」が結合した構造(即ち、「−C3H6−SH」)を有する前駆体(メソ多孔体)を先ず合成しておき、その後、チオール基を「−SO3H」に変換した。
【0164】
先ず、C18TMACl2.92gをイオン交換水76.5gに溶解させた。この水溶液に2mol/LのNaOH水溶液11.62gを加え、液が透明となるまで50℃で攪拌し、透明な溶液となったのを確認した後、この溶液を放置して室温まで冷却した。
【0165】
次に、この溶液に、1,4-ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(以下、「BTEB」という)1.51gと、MPTMS0.245gを混合して得た溶液をゆっくりと加えた。その後、この溶液を室温で12時間攪拌した後、95℃で攪拌せずに24時間加熱した。そして、加熱後に得られた溶液を放置して室温にまで冷却し、ろ過により固形物を回収し、この固形物を洗浄し更に乾燥させて、白色粉末を得た。
【0166】
次に、テンプレートとして作用している界面活性剤を白色粉末中から除去するために、白色粉末1gを、200mLのエタノールと36質量%の塩酸3gとの混合溶液中に分散させ、55℃で6時間攪拌した。その後、ろ過により固形物を回収し、この固形物を洗浄し更に乾燥させて、前駆体(メソ多孔体)を得た。
【0167】
次に、得られた前駆体(メソ多孔体)の表面(細孔内の表面を含む)のチオール基(「−SH」)をスルホン酸基(「−SO3H」)に変換するために、前駆体(メソ多孔体)をHNO3により以下のように処理した。
【0168】
即ち、0.5gの前駆体(メソ多孔体)を20質量%のHNO3水溶液中にゆっくりと浸漬させた後、10gの濃HNO3をゆっくりと加え、室温で24時間攪拌した。その後、この液に10mLのイオン交換水を更に加え、ろ過により固形物を回収した。この固形物をイオン交換水で十分に洗浄した後、80℃で一晩(約12時間)乾燥させることにより、Ph−MP25を得た。
【0169】
(実施例6)
以下に示す合成条件を変更した以外は実施例5と同様の合成手順及び合成条件により、実施例1と同様の構造を有するメソポーラス材料(以下、「Ph−MP40」という)を合成した。
【0170】
即ち、実施例5におけるC18TMAClの使用量を2.67gとし、これを溶解させたイオン交換水の量を69.94gとした。また、実施例1における2mol/LのNaOH水溶液の液量を10.62g、BTEBの使用量を1.21g、MPTMSの使用量を0.393gとした。
【0171】
(実施例7)
以下に示す合成条件を変更した以外は実施例5と同様の合成手順及び合成条件により、実施例1と同様の構造を有するメソポーラス材料(以下、「Ph−MP60」という)を合成した。
【0172】
即ち、実施例5におけるC18TMAClの使用量を2.34gとし、これを溶解させたイオン交換水の量を61.12gとした。また、実施例5における2mol/LのNaOH水溶液の液量を9.37g、BTEBの使用量を0.805g、MPTMSの使用量を0.589gとした。
【0173】
(実施例8)
以下に示す合成条件を変更した以外は実施例5と同様の合成手順及び合成条件により、実施例5と同様の構造を有するメソポーラス材料(以下、「Ph−MP67」という)を合成した。
【0174】
即ち、実施例1におけるC18TMAClの使用量を2.22gとし、これを溶解させたイオン交換水の量を61.1gとした。また、実施例1における2mol/LのNaOH水溶液の液量を5.87g、BTEBの使用量を0.664g、MPTMSの使用量を0.658gとした。
【0175】
[構造解析2]
先に述べた構造解析1と同様の測定条件の下で、実施例5〜実施例8の各メソポーラス材料(Ph−MP25、Ph−MP40、Ph−MP60及びPh−MP67)について、X線回折パターンの測定、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた写真撮影による観察、窒素吸着等温線の測定、13C−MAS−NMR、29Si−MAS−NMR、各メソポーラス材料に含まれる水素イオンの量の測定を行った。
【0176】
実施例6及び実施例8の各メソポーラス材料について得られたX線回折パターンを図7に示す。また、実施例6のメソポーラス材料について得られたTEM写真を図8に示す。更に、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られた窒素吸着等温線(図示せず)に基づき求められたBET比表面積及び中心細孔直径の結果を表3に示す。
【0177】
また、実施例8のメソポーラス材料について得られた29Si−MAS−NMRスペクトルを示すグラフを図9に、13C−MAS−NMRスペクトルを示すグラフを図10にそれぞれ示す。また、酸−塩基滴定により実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られた水素イオンの量の結果を表4に示す。
【0178】
【表3】
【0179】
【表4】
【0180】
図7に示す結果から明らかなように、実施例6及び実施例8の各メソポーラス材料の何れの場合にも、d10のピークが2θ=5°以下の領域に観測され、これらが何れも細孔の大きさがいわゆるメソ孔であるメソ多孔体の構造を有していることが確認された。更に、図7に示すX線回折パターンの結果において、2θ=12°(d=7.6Å)、2θ=24°(d=3.8Å)、2θ=36°(d=2.5Å)に3つのピークが観測された。この結果は、実施例6及び実施例8の各メソポーラス材料の骨格中においてフェニル基が規則的に配列されていることを示すものである。
【0181】
なお、実施例5のメソポーラス材料については、実施例6のメソポーラス材料と同様のX線回折パターン(図示せず)が得られ、実施例7のメソポーラス材料については、実施例8のメソポーラス材料と同様のX線回折パターン(図示せず)が得られた。これらについても、メソ多孔体の構造を有していること、及び、骨格中においてフェニル基が規則的に配列されていることが確認された。
【0182】
また、図8に示す結果から明らかなように、実施例6のメソポーラス材料は、複数のトンネル状のメソ細孔(直径が2〜3nm程度)がヘキサゴナルに配列した多孔体構造を有していることが確認された。なお、この図8は、ヘキサゴナルに配列したメソ細孔の断面を観察した場合のTEM写真を示している(先に述べた図6参照)。また、実施例6以外の実施例5〜実施例8についてもTEM写真(図示せず)の結果から上記と同様の複数のトンネル状のメソ細孔(直径が2〜3nm程度)がヘキサゴナルに配列した多孔体構造を有していることが確認された。
【0183】
また、表1に示した結果から明らかなように、実施例5〜実施例8の各メソポーラス材料は何れも大きな比表面積を有しており、上記のTEM写真の結果と同様に中心細孔直径が約2〜3nm程度のメソ細孔を有していることが確認された。
【0184】
更に、図9の結果から明らかなように、フェニル基の結合しているSiについて、SiC(OH)(OSi)2の構造に基づくT2シグナル、及び、SiC(OSi)3の構造に基づくT3シグナルが確認された。また、「−C3H6−SO3H」の結合しているSiについて、SiC(OH)(OSi)2の構造に基づくT2 *シグナル、及び、SiC(OSi)3の構造に基づくT3*シグナルが確認された。一方、Si(OH)(OSi)3の構造に基づくQ3シグナル、及び、Si(OSi)4の構造に基づくQ4シグナルは共に確認できなかったことから、合成の段階で、Si−C結合が切断されず、有機基(R1)が実施例3のメソポーラス材料の骨格中に導入されていることが確認された。
【0185】
なお、実施例8のメソポーラス材料以外の実施例5〜実施例7のメソポーラス材料についても実施例8と同様の29Si−MAS−NMRスペクトルを示すグラフ(図示せず)が得られ、有機基(R1)がメソポーラス材料の骨格中に導入されていることが確認された。
【0186】
また、図10の結果から明らかなように、実施例8のメソポーラス材料には、フェニレン基の構造、及び「−C3H6−SO3H」の構造がともに骨格中に導入されていることが確認された。なお、実施例8以外の実施例5〜実施例8のメソポーラス材料についても実施例3のメソポーラス材料と同様の13C−MAS−NMRスペクトルを示すグラフ(図示せず)が得られ、フェニレン基の構造、及び、「−C3H6−SO3H」の構造がメソポーラス材料の骨格中に導入されていることが確認された。
【0187】
更に、表4に示した結果から明らかなように、実施例5〜実施例8の各メソポーラス材料は、それぞれの前駆体に対して導入された−SO3H基の物質量に対応した固体酸性を有することが確認された。
【0188】
また、以上の構造解析の結果から、実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料はメチレン基をフェニレン基に置換した以外は先に述べた図6に模式的に示した構造と同様の骨格構造を有していると考えられる。なお、先に述べた図8は、実施例6のメソポーラス材料のヘキサゴナルに配列したメソ細孔の断面を図6に示すa軸方向から見た場合のTEM写真を示している。
【0189】
更に、上記の情報に基づいて、実施例5〜実施例8のメソポーラス材料の骨格中、特に細孔の内壁面におけるフェニレン基、「−C3H6−SO3H」、並びに、Si及びOからなるシリケート骨格部分の配列状態を決定した。その結果を図11及び図12に示す。なお、以下の図11及び図12に示す構造モデルは、上述のXRD、TEM、29Si−NMR、13C−NMRから得られた解析データと、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン分子の単結晶構造解析に関する論文(G. Cerrean et al, Angew. Chem. Int. Edu. Engl. 39巻,pp.1376−1398, 2000)に基づき、「Cerius2」(UNIX マシンのソフト)を使用して作成した。
【0190】
図11は、実施例5〜実施例8のメソポーラス材料の細孔内の内部構造を模式的に示すモデル図である。また、図12は図6おけるb軸方向からみた場合における実施例5〜実施例8のメソポーラス材料の細孔の内壁面における構造を模式的に示すモデル図であり、図11の拡大図である。また、なお、図11においては、便宜上、「−C3H6−SO3H」の構造部分を非表示にした。これらの結果から、メソポーラス材料は、疎水性のフェニレン基に基づくリング状の層(第1の層)と、−C3H6−SO3Hが結合した親水性のシリケートに基づくリング状の層(第2の層)とが交互に配列した表面構造を有することが確認された。
【0191】
[導電率の測定試験]
実施例7のメソポーラス材料0.1と、パーフルオロスルホン酸(Nafion、du Pont社製)のエタノール溶液(パーフルオロスルホン酸の含有率:5.7質量%)とを乳鉢に入れて混合した。なお、配合比は、パーフルオロスルホン酸の質量が実施例7のメソポーラス材料の質量に対して10質量%となるように調節した。次に、この混合物を140℃の温度条件で1時間乾燥させた。
【0192】
次に、乾燥させた混合物を更に乳鉢に入れて再び粉砕し、これを錠剤成型器に入れて、圧力1200kg/cm2で成形し、直径1mmのペレットを得た。更にこのペレットを140℃の温度条件で1時間熱処理して乾燥させ、目的のペレットを作製した。
【0193】
次に、上記熱処理後に得られたペレットをイオン交換水に浸漬させた。次に、イオン交換水に浸漬させたペレットを2枚のパーフルオロスルホン酸膜(Nafion112、du Pont社製)で挟み、これを導電率測定セル(電極:パーフルオロスルホン酸(Nafion)溶液によるコーティングが施された円盤状の白金黒めっき電極、電極直径:10mm)に装着して圧力32kg/cm2で電極を押し付けた。このセルを純水に浸漬し、LCRメータにて1kHzでの交流抵抗を測定することによりの導電率を求めた。得られた結果を表5に示す。
【0194】
【表5】
【0195】
(実施例9)
以下に示す合成手順により、式(2)で表される構成単位からなる骨格を有するメソポーラス材料の中で、M1及びM2が「Si」,R1が「−C2H4−」,R2が「−C3H7」に相当する構造を有し、かつ、細孔表面に存在するR2に結合するイオン交換基が「−SO3H」であるメソポーラス材料(以下、「EHMS25」という)からなる「薄膜」(膜厚:300nm)を作製した。
なお、ここでは、メソポーラス材料の合成過程において、細孔表面(細孔の内壁面を含む)に少なくとも存在するR2にメルカプト基「−SH」が結合した構造(即ち、「−C3H6−SH」)を有する前駆体(メソ多孔体)を先ず合成しておき、その後、チオール基を「−SO3H」に変換した。
【0196】
先ず、C18TMACl0.696gを30質量%過酸化水素水溶液8gに溶解させた。この水溶液に、この溶液に、BTME2.03g(7.5mmol)と、MPTMS0.49g(2.5mmol)を混合して得た溶液を加えた。次に、得られた溶液に対して2mol/Lの塩化水素水溶液10μLを加えて室温で3日間攪拌した。次に、この溶液をディップコート法によりガラス基板上にコートし、室温で十分に乾燥させ、ガラス基板上に界面活性剤を含む前駆体(メソ多孔体)からなる膜を形成した。
【0197】
次に、この界面活性剤を含む前駆体(メソ多孔体)からなる膜が形成されたガラス基板を空気中240℃で2時間焼成処理を行い、界面活性剤を除去した。焼成後にガラス基板上に形成された膜は透明で、しかもクラックのない均一な状態であった。なお、この焼成処理の過程において、前駆体中のチオール基(「−SH」)はスルホン酸基(「−SO3H」)に変換されたと考えられる。
【0198】
[構造解析3]
実施例9のメソポーラス材料からなる薄膜及びその作製過程における焼成処理前の界面活性剤を含む前駆体(メソ多孔体)からなる膜について、X線回折パターンの測定を行った。なお、このX線回折パターンの測定条件は、先に述べた構造解析1におけるX線回折パターンの測定条件と同一とした。焼成処理前の界面活性剤を含む前駆体(メソ多孔体)からなる膜ついて得られたX線回折パターンを図13に示す。また、実施例9のメソポーラス材料からなる薄膜について得られたX線回折パターンを図14に示す。
【0199】
図13及び図14に示す結果から明らかなように、焼成処理前の前駆体(メソ多孔体)からなる膜、焼成処理後の実施例9のメソポーラス材料からなる薄膜の何れのX線回折パターンにおいても、d=42.2Å、d=37.1Åに対応する回折角にシャープな回折ピークが観察された。このことから、基板上に細孔の大きさがいわゆるメソ孔であるメソ多孔体の構造を有する薄膜が形成されたことが確認された。
【0200】
(実施例10)
以下に示す合成手順により、式(2)で表される構成単位からなる骨格を有するメソポーラス材料(粉末状)の中で、M1及びM2が「Si」,R1がフェニレン基、R2が「−C3H7」に相当する構造を有し、かつ、細孔表面に存在するR2に結合するイオン交換基が「−SO3H」であるメソポーラス材料を合成した。なお、ここでは、メソポーラス材料の合成過程において、細孔表面(細孔の内壁面を含む)に少なくとも存在するR2にメルカプト基「−SH」が結合した構造(即ち、「−C3H6−SH」)を有する前駆体(メソ多孔体)を先ず合成しておき、その後、チオール基を「−SO3H」に変換した。
【0201】
先ず、文献(S. Inagaki ら,Nature416巻, p.304−307,2002)に記載の方法に従い、フェニレン基(R1)のみを骨格に導入したメソポーラス材料の前駆体(以下、「前駆体2」という)を合成した。次に1.28gの前駆体2を100mLのクロロホルム中に分散させ、更にそこにMPTMS2mLを加え、室温で5日間攪拌した。次に、撹拌後の液中に存在する固形物をろ過で回収し、クロロホルムで十分に洗浄した後室温で乾燥した。この操作により、前駆体2中のシラノール基(−Si−OH)にメルカプトプロピルシラン基(−Si−C3H6−SH)が結合した構造(−Si−O−Si−C3H6−SH)が形成された前駆体(先に述べた実施例1に記載した前駆体と同様の構造を有するメソ多孔体)が形成された。
【0202】
次に、得られた前駆体(メソ多孔体)の表面(細孔内の表面を含む)のチオール基(「−SH」)をスルホン酸基(「−SO3H」)に変換するために、前駆体(メソ多孔体)をHNO3により以下のように処理した。
【0203】
即ち、0.5gの前駆体(メソ多孔体)を20質量%のHNO3水溶液中にゆっくりと浸漬させた後、10gの55質量%HNO3水溶液をゆっくりと加え、室温で24時間攪拌した。その後、この液に20mLのイオン交換水を更に加え、ろ過により固形物を回収した。この固形物をイオン交換水100mL中に分散させて30分間撹拌した。その後、再び、この液に20mLのイオン交換水を更に加え、ろ過により固形物を回収し、イオン交換水で十分に洗浄した。これにより、チオール基(「−SH」)をスルホン酸基(「−SO3H」)に変換した。
【0204】
[構造解析4]
実施例10のメソポーラス材料について、X線回折パターンの測定、窒素吸着等温線の測定、酸−塩基滴定法によるメソポーラス材料に含まれる水素イオンの量の測定を行った。なお、各測定の測定条件は、水素イオンの量の測定以外は、先に述べた構造解析1における測定条件と同一の条件で行った。
【0205】
水素イオンの量の測定は、具体的には以下の方法により求めた。即ち、先ず、各メソポーラス材料0.1gを2mol/LのNaCl水溶液20g中に分散させた後、24時間室温で攪拌した。次に、その水溶液を0.05mol/LのNaOH標準水溶液を用いて滴定することによって滴定曲線を得て、これに基づいて水素イオンの量を求めた。
【0206】
実施例10のメソポーラス材料について得られたX線回折パターンを図15に示す。また、実施例10のメソポーラス材料について得られた窒素吸着等温線を図16に示す。更に、実施例10のメソポーラス材料について得られたBJH法に基づく細孔分布曲線を図17に示す。また、実施例10のメソポーラス材料について得られた酸−塩基滴定曲線を図18に示す。
【0207】
なお、図18に示す酸−塩基滴定曲線は、水酸化ナトリウム滴定曲線であり、図中のaは0.05N 水酸化ナトリウム水溶液の滴定量とpHとの相関を表し、図中のbは0.05N 水酸化ナトリウム水溶液の滴定量とd(pH)/dV(pHを滴下量Vで微分した値)との相関を表す。
【0208】
図1に示す結果から明らかなように、実施例10のメソポーラス材料について、低角度域(2θ=2°付近)の3本の特徴的な回折ピーク、及び、広角域(2θ=10〜40°)の4本の特徴的な回折ピークが観測された。これにより、実施例10のメソポーラス材料についてメソ細孔を有する多孔体の構造と、細孔の内壁面におけるフェニレン基に基づくリング状の層並びにSi及びOからなるシリケートに基づくリング状の層が交互に規則的に配列された構造との両方がスルホン酸基の導入後も保持されていることが確認された。
【0209】
また、図16及び図17に示した結果から明らかなように、実施例10のメソポーラス材料は、大きな比表面積(675m2/g)を有しており、中心細孔直径が約2nmの均一な細孔分布を有していることが確認された。
【0210】
更に、図18に示した結果から、実施例10のメソポーラス材料中に存在する−SO3H基の物質量は0.90mmol/gであり、固体酸としての機能を有することが確認された。
【0211】
【発明の効果】
本発明のメソポーラス材料によれば、反応分子を細孔内の特定の位置に反応の進行に有利な配向状態で規則的に配列させて固定することができ、然も、該反応分子の特定のサイトをプロトンにより選択的に活性化することができる。そのため、本発明のメソポーラス材料を固体酸或いは固体酸触媒として使用すれば、有機化合物分子と酸或いは酸触媒との反応において、所望の分子サイズと分子構造を有する反応生成物を高い収率で得ることができる特殊反応場が容易に構築可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られたX線回折パターンを示すグラフである。
【図2】 実施例3のメソポーラス材料について得られたTEM写真を示す図である。
【図3】 実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料について得られた窒素吸着等温線を示すグラフである。
【図4】 実施例3のメソポーラス材料について得られた29Si−MAS−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】 実施例3のメソポーラス材料について得られた13C−MAS−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図6】 実施例1〜実施例4の各メソポーラス材料の構造を模式的に示す斜視図である。
【図7】 実施例6及び実施例8の各メソポーラス材料について得られたX線回折パターンを示すグラフである。
【図8】 実施例6のメソポーラス材料について得られたTEM写真を示す図である。
【図9】 実施例8のメソポーラス材料について得られた29Si−MAS−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図10】 実施例8のメソポーラス材料について得られた13C−MAS−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図11】 実施例5〜実施例8のメソポーラス材料の細孔内の内部構造を模式的に示すモデル図である。
【図12】 図6におけるb軸方向からみた場合における実施例5〜実施例8のメソポーラス材料の細孔の内壁面における構造を模式的に示すモデル図でであり、図11の拡大図である。
【図13】 焼成処理前の界面活性剤を含む実施例9の前駆体(メソ多孔体)からなる膜ついて得られたX線回折パターンを示すグラフである。
【図14】 実施例9のメソポーラス材料からなる薄膜について得られたX線回折パターンを示すグラフである。
【図15】 実施例10のメソポーラス材料について得られたX線回折パターンを示すグラフである。
【図16】 実施例10のメソポーラス材料について得られた窒素吸着等温線を示すグラフである。
【図17】 実施例10のメソポーラス材料について得られたBJH法に基づく細孔径分布曲線を示すグラフである。
【図18】 実施例10のメソポーラス材料について得られた酸−塩基滴定曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
10・・・第1の層、20・・・第2の層。
Claims (13)
- 中心細孔直径が1〜30nmである複数の細孔を有するメソポーラス材料であって、
炭素原子を1以上有する2価以上の有機基と、
前記2価以上の有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、
前記各金属原子に結合した1以上の酸素原子と、
前記酸素原子を介して前記各金属原子に結合しており、かつ、炭素原子を1以上有する1以上の特性基と、
を含む骨格を有しており、
前記骨格に含まれる前記特性基のうち、少なくとも前記複数の細孔の内壁面に存在する前記特性基には、陽イオン交換能を有するイオン交換基が更に結合していること、
を特徴とするメソポーラス材料。 - 前記骨格が、下記一般式(2)で表される構成単位の少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1に記載のメソポーラス材料。
M2は金属原子を示し、
yはM2の価数から1を差し引いた整数を示し、
tは1以上y以下の整数を示す。
ただし、M1及びM2は互いに同一でも異なっていてもよく、M1が結合するR1中の炭素は同一でも異なっていてもよく、M2が結合するR2中の炭素は同一でも異なっていてもよく、少なくとも前記複数の細孔の内壁面に存在するR2には、陽イオン交換能を有するイオン交換基が更に結合している。] - 中心細孔直径が1〜30nmである複数の細孔を有するメソポーラス材料であって、
炭素原子を1以上有する2価以上の有機基と、
前記2価以上の有機基中の同一若しくは異なる炭素原子に結合した2以上の金属原子と、
前記各金属原子に結合した1以上の酸素原子と、
前記酸素原子を介して前記各金属原子に結合しており、かつ、炭素原子を1以上有する1以上の特性基と、
を含む骨格を有しており、
前記骨格に含まれる前記特性基のうち、少なくとも前記複数の細孔の内壁面に存在する前記特性基が、陽イオン交換能を有するイオン交換基に置換されていること、
を特徴とするメソポーラス材料。 - 細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のメソポーラス材料。
- X線回折パターンにおいて、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のメソポーラス材料。
- 前記各細孔は、一次元チャンネル構造を有しており、かつ、各細孔壁の部分が、2価以上の有機基からなる第1の層と、前記金属原子及び前記酸素原子からなる第2の層とが交互に配置された状態の積層構造を有していることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のメソポーラス材料。
- 前記第1の層及び前記第2の層がリング状の形状を有しており、かつ、該第1の層と該第2の層とが、前記各細孔の中心軸に対して垂直な面上に交互に積層された状態で配置されていることを特徴とする請求項9に記載のメソポーラス材料。
- 前記第1の層及び前記第2の層の厚さが1.5nm以下であることを特徴とする請求項10に記載のメソポーラス材料。
- 形状が粒子状であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のメソポーラス材料。
- 形状が膜状であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載のメソポーラス材料。
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