JP4265159B2 - インクジェット式記録装置用インク袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置の筐体に着脱可能に収容されて記録ヘッドにインクを供給するインク容器、より詳細にはインクを可撓性袋に収容したインク袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、インク供給源からインクの供給を受ける記録ヘッドを記録用紙の紙巾方向に往復動させて印刷する関係上、大量の印刷を行う記録装置にあっては、インク供給源を筐体に設置し、チューブを介して記録ヘッドにインクを供給する手法が採られている。
【0003】
ところで、インクジェット式記録装置は、圧力発生室のインクを加圧してインク滴を発生させる関係上、インクに気泡が含まれていると、圧力が低下してインク滴の吐出性能も低下するため、溶存空気を排除したインクを必要とする。
このため、図7に示したようにインク袋Aは、ガスバリヤー性を備えたポリエチレンフィルムにアルミを蒸着したラミネートフィルムを中央で折り返して重ね合わせ、1つの短辺を除く3辺を熱溶着等で接合し、残りの短辺にはプラスチック成形品からなるインク供給口形成部材Bにより封止して構成され、外力等による破損を防止するために、高分子材料からなるハードケースCに収容し、一側面側にインク袋を均等に変形させ、かつインクエンドを検出するための板材Dを固定してインクカートリッジとして纏められている。なお、図中符号Eは、ケースを構成する蓋を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、商業的印刷を行うものにあって、容量の増大化とコストの引き下げを必要するため、ハードケースに収容することなく袋のままで流通させざるを得ない。
このため、袋自体に流通や、記録装置へののセット操作に耐える程度の強度を持たせると、印刷によるインクの消費に合わせて袋の容積を減少させることが困難となり、記録ヘッドへのインクの供給に支障を来すという問題がある他、インクを充填した状態では周縁部の厚みに比較して中央部の厚みが大きくなって丸みを持つため、取り扱いに便利な直方体のケースに収容した場合にはデッドスペースが生じて体積効率が低いという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、流通や記録装置への装填時の取り扱いに破損を来さない程度の強度を確保でき、充填状態で自立的に四辺形状を維持して充填効率が高い、記録装置に確実にインクを供給することができるインク袋を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、このような課題を達成するために本発明においては、平面部をなす四辺形状の熱溶着可能な2枚の第1のフィルムの長辺部に、側面部をなす四辺形状の熱溶着可能かつ第1のフィルムよりも剛性が低く、外面が対向するように長辺方向に沿った中心線で折り癖が付けられた2枚の第2のフィルムの長辺部を熱溶着して筒胴体を形成し、平面部の一方の短辺部を互いに熱溶着して袋体となし、平面部の他方の短辺部はインク供給口を挟んで互いに熱溶着すると共に当該他方の短辺部にインク供給口を熱溶着し、さらに平面部の4隅部に一方の辺から隣接する他方の辺に到達する帯状の接合部を形成し、接合部は、対向する第1のフィルムの内面と第2のフィルムの内面とが熱溶着されると共に、中心線に沿って折り畳まれて対向する第2のフィルムの外面同士が熱溶着されて形成されている。
【0006】
【作用】
インクが充填された状態では、側面部が延びて全体がほぼ直方体状となり、また落下等によりインク袋に過大な力が作用すると、接合部により圧力を分散して受け止め、また記録ヘッドでのインクの消費が進むと、比較的剛性が弱い側面部が四隅の接合部から張力により厚みを薄するようにインク量に応じて変形してインクを排出する。
【0007】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を実施例に基づいて説明する。
図1(イ)、(ロ)及び図2(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインク袋のー実施例を示すものであって、表面部1、2をなす四辺形状の第1のフィルムの各長辺部1a、1b、2a、2bに、側面部3、4をなす第2のフィルムの長辺部3a、3b、4a、4bを熱溶着して筒胴体を形成し、一方の短辺部1c、2cを熱溶着して袋体となし、他方の短辺部1d、2dにインク供給口5を熱溶着し、その上で、図2に示したように4つの隅部は、側面部3、4の折り畳み線Dを含むように一方の辺から隣接する他方の辺に到達するように斜めに帯状に熱溶着により接合部6〜9が形成されている。
【0008】
このように、側面部3、4の折り畳み線Dが接合部6〜9の範囲に位置させると、図6に示したように折り畳み線D’を接合部6〜9の範囲外、つまり中心側に形成する場合に比較して、表面部1、2及び側面部3、4が複雑に重なり合う領域Eを補強することができる。
【0009】
そして、隅部の接合部6〜9は、図3(イ)に示したように表面部1、2を構成する第1のフィルムと側面部3、4を構成する第2のフィルムとの対向面、つまり袋の内面側だけを熱溶着領域aとしても充分な強度を発現するが、さらに図3(ロ)に示したように側面部3、4を構成するフィルムの外側の対向領域をも熱溶着領域bにすると強度が大きくなる。なお、図1は、この図3(ロ)の接合により構成されたインク袋の外観を示すものである。
【0010】
表面部1、2を構成する第1のフィルムは、図4(イ)に示したように厚さ100μm程度のポリエチレン層10、厚さ25μm程度のポリエステル層11、厚さ15μm程度の遮気性と柔軟性に優れた金属層、例えばアルミニューム層12、及び厚さ38μm程度の保護層としてのポリエステル層13を積層して構成されている。
【0011】
また第2のフィルムは、図4(ロ)に示したように厚さ60μm乃至100μm程度のポリエチレン層15、厚さ9μm程度の遮気性と柔軟性に優れた金属層、例えばアルミニューム層16、及び厚さ15μm乃至25μm程度の保護層をなす柔軟性を備えたナイロン層17を積層したり、また図4(ハ)に示したようにポリエチレン層15とアルミニューム層16との間に更にナイロン層18を形成して構成されている。
【0012】
これらフィルムは、表面部1、2を構成する第1のフィルムのポリエチレン層10と、側面部3、4を構成する第2のフィルムのポリエチレン層15とを、予め側面部3、4を中心線Cで折り曲げて癖付けした状態で対向させて周縁部だけが熱溶着される。言うまでもなくポリエチレンは熱溶着性に優れているから、充分な接着強度と気密性とを備えた袋体を容易に構成することができる。
【0013】
なお、図4(イ)においては、ベース材のポリエチレン層10とアルミニューム層12との間にポリエステル層11を介装しているが、この層11を図4(ニ)に示したようにナイロン層19により構成することと、、ポリエステル層11よりも高い靭性を有するナイロン層19により、振動や衝撃によるインク袋の表面部1、2の破裂強度を高めることができる。
【0014】
この実施例において、インク供給口5から脱気インクを充填した後、インク供給口5をセプタムにより封止すると、インク袋は、四隅の接合部6〜9、及び短辺部1a(2a)で無用な張出を抑えられ、可及的に扁平な状態で直方体状に膨張している(図5(I))。この状態においては、落下等によりインク袋に過大な力が作用しても、隅部は、比較的広い接合部6〜9により圧力を分散して受け止めるため、破損が防止される。
【0015】
そして収容されたインクは、化学的に安定なポリエチレン層10、15に接触しているから、化学的変化がなく、かつ外気がアルミニューム層12、16により阻止され長期間に亙って脱気状態を維持して工場出荷時の品質を保持する。
【0016】
記録装置のインク供給針をインク供給口5に挿通すると、インク袋のインクがインク供給管を介して記録ヘッドに供給される。記録ヘッドでのインクの消費が進むと、比較的剛性が弱い側面部3、4は、中心線Cでの癖付けと、四隅の接合部6〜9からの平面部1、2を介しての張力により中心線Cを内側に移動させながら厚みを薄するようにインク量に応じて変形する(図5(II))。
【0017】
特にインク袋を構成しているポリエステル層13は、剛性が高く、これに起因して形状維持性が大きいため、表面部1、2がインクの減少によっても可及的に平板状態を維持し、インクが消費尽くされた段階では、側面部3、4が2つに折り込まれて表面部1、2が重なって、内部のインクを確実に排出する(図5(III))。
【0018】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明においては、平面部をなす四辺形状の熱溶着可能な2枚の第1のフィルムの長辺部に、側面部をなす四辺形状の熱溶着可能かつ第1のフィルムよりも剛性が低く、外面が対向するように長辺方向に沿った中心線で折り癖が付けられた2枚の第2のフィルムの長辺部を熱溶着して筒胴体を形成し、平面部の一方の短辺部を互いに熱溶着して袋体となし、平面部の他方の短辺部はインク供給口を挟んで互いに熱溶着すると共に当該他方の短辺部にインク供給口を熱溶着し、さらに平面部の4隅部に一方の辺から隣接する他方の辺に到達する帯状の接合部を形成し、接合部は、対向する第1のフィルムの内面と第2のフィルムの内面とが熱溶着されると共に、中心線に沿って折り畳まれて対向する第2のフィルムの外面同士が熱溶着されて形成されているので、インクが充填された状態では直方体状となって少ないデッドスペースで記録装置に収容することができ、また隅部に作用する外力を接合部により分散して受け止めて破損を防止でき、さらにインク量に応じて比較的剛性が弱い側面部が四隅の接合部から張力により厚みを薄してインクを確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインク袋の一実施例を示す図、及び一部を切り欠いた状態で示す図である。
【図2】図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上インク袋の一実施例を、インク充填状態で示す側面図と、袋を折り畳んだ状態で示す上面図である。
【図3】図(イ)、(ロ)は、それぞれ隅部の溶着形態を、図2のF−F線での断面で示す図である。
【図4】図(イ)乃至(ニ)は、それぞれ同上インク袋を構成するフィルムの一実施例を示す断面図である。
【図5】図(I)乃至(III)は、それぞれ同上インク袋のインク量による変形の形態を、図2GーG線の断面として示す図である。
【図6】本発明のインク袋の他の実施例を、折り畳んだ状態で示す図である。
【図7】従来のインク袋の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、2 表面部
3、4 側面部
5 インク供給口
6〜9 接合部
Claims (2)
- 平面部をなす四辺形状の熱溶着可能な2枚の第1のフィルムの長辺部に、側面部をなす四辺形状の熱溶着可能かつ前記第1のフィルムよりも剛性が低く、外面が対向するように長辺方向に沿った中心線で折り癖が付けられた2枚の第2のフィルムの長辺部を熱溶着して筒胴体を形成し、前記平面部の一方の短辺部を互いに熱溶着して袋体となし、前記平面部の他方の短辺部はインク供給口を挟んで互いに熱溶着すると共に当該他方の短辺部にインク供給口を熱溶着し、さらに前記平面部の4隅部に一方の辺から隣接する他方の辺に到達する帯状の接合部を形成し、前記接合部は、対向する前記第1のフィルムの内面と前記第2のフィルムの内面とが熱溶着されると共に、前記中心線に沿って折り畳まれて対向する前記第2のフィルムの外面同士が熱溶着されて形成されているインクジェット式記録装置用インク袋。
- 前記第2のフィルムの前記中心線が前記帯状の接合部内に位置する請求項1に記載のインクジェット式記録装置用インク袋。
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