JP4263321B2 - トンネル埋め戻し方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不要になったトンネルを好適に埋め戻すことのできるトンネル埋め戻し方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使用されなくなった古いトンネルが、新たにトンネルを構築しようとする場所にあるような場合、該古いトンネルを埋め戻す工事を行うことが知られている。この工事は、シールド装置等を利用して古いトンネルの周囲を環状に掘削し、掘り出されたトンネル覆工を解体撤去し、前記古いトンネルのあった空間及び環状に掘削した空間を埋め戻し材で埋め戻す、という手順で行われている。なお、この工事で使用されるシールド埋め戻し装置及び、該工事の方法は、例えば特開平5−195700号公報等で開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したトンネル埋め戻し工事では、できるだけ効率よく作業を進めて工期を短縮させることが望まれている。
【0004】
そこで本発明は上記事情に鑑み、効率よく作業を進めて工期を短縮させることができるトンネル埋め戻し方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のうち請求項1の発明は、埋め戻すべきトンネル(30)周囲の地盤(40)を掘削しながら外殻(2)を移動させると共に、前記外殻の後方に埋め戻し材(52)を打設するようにして行うトンネル埋め戻し方法において、前記地盤の掘削と共に、該掘削により生じる掘削土砂(51)を充填材(50)と混合して埋め戻し材を生成し、前記外殻の後方へ打設する埋め戻し材は、前記生成した埋め戻し材を使用し、前記掘削の動作と、前記埋め戻し材の打設の動作と、を同時に実行する、ことを特徴として構成し、
前記外殻の移動は、前記外殻の後方へ打設し固結した埋め戻し材(53)に反力を求めて行う、ことを特徴とする。
【0008】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0009】
【発明の効果】
上記構成により請求項1の発明では、掘削土砂を埋め戻し材の生成に利用することで必要量の埋め戻し材を即座に供給でき、掘削の動作と、埋め戻し材の打設の動作とを同時に実行することが可能となった。これにより、従来のように掘削の動作と、埋め戻し材の打設の動作とを交互に行う場合と比べて、効率的に作業が進められ、工期が大幅に短縮される。また、掘削された掘削土砂は充填材と混合されて埋め戻し材とされ、外殻後方の埋め戻しに利用されるので、掘削土砂は残土として処理する必要が無い。従って、従来のように残土処理に手間をかける必要が無く、そのための大がかりな設備も不要である。また埋め戻し材は、充填材と掘削土砂とを混合して生成するので、準備すべき充填材の量は、混合する掘削土砂の分量だけ節約することができる。
【0010】
また、打設し固結した埋め戻し材に反力を求めるので、外殻前方の空間が有効に利用でき好都合である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。図1はトンネル埋め戻し装置の一例を模式的に示す側断面図である。
【0012】
トンネル埋め戻し装置1は、図1に示すように、円筒状に形成された外殻2を有しており、外殻2の前端部2a(図1中左側)には、解体撤去中のトンネル覆工31の端部が略同軸状に挿入している。外殻2の内部の前記前端部2aには、複数のカッタ7a及び該カッタ7aを外殻2と同軸状に回転駆動する図示しない駆動装置等からなる掘削機7が、前記トンネル覆工31の周囲に環状に配設されている。該掘削機7の後方(図1中右側)には、前記トンネル覆工31の周囲に環状に配置された壁部材3が、外殻2内を前後に隔てる形で設けられている。掘削機7と壁部材3との間には、前記トンネル覆工31の外径よりも僅かに大きな内径の内筒5が、該トンネル覆工31を内側に略同軸状に挿入した形で設けられている。また、内筒5の内周側にはブラシ等からなるシール手段23が環状に設けられており、該シール手段23によりトンネル覆工31と内筒5との間がシールされている。即ち、掘削時に生じる地下水や泥水等は壁部材3を越えて後方に漏洩しないので、これら地下水や泥水等が埋め戻すべきトンネル30の未埋め戻し部分35にまで進入することが防止されている。
【0013】
壁部材3の後方(図1右方)には、ラム6aを後方に向けた複数の油圧ジャッキ6が、外殻2に沿った形で円環状に配列設置され、シリンダ側が外殻2に固定されている。また、外殻2内で前記油圧ジャッキ6の後側には隔壁9が、外殻2内部の空間を図1左右方向に遮断する形で、外殻2に対して軸方向(図1の左右方向)に移動自在に設けられている。また、壁部材3には複数の第1コンベア10が貫通設置されており、各第1コンベア10はスクリューコンベア等であり、いずれも外殻2の軸心方向と平行に伸延している。各第1コンベア10の後端(図1中右側端)には混練自在なミキサ11が接続されており、更に該ミキサ11には、外殻2の軸心方向と平行なスクリューコンベア等である第2コンベア12が、後方に向けて接続されている。各第2コンベア12の後端側(図1中右側)は隔壁9を貫通し、該隔壁9の後方(図1中右方)に露出している。また坑外等から所定の充填材50を圧送する充填材圧送管13が埋め戻すべきトンネル30を介して該外殻2内に導入され、該外殻2内で分岐されて前記各ミキサ11にそれぞれ接続されている。なお、隔壁9、第1コンベア10、ミキサ11、第2コンベア12、充填材圧送管13は、外殻2の後方に埋め戻し材52を打設し得る打設手段27を構成している。
【0014】
更に図1及び図2に示すように、外殻2には適宜な支持部材8を介してグリッパ架台15が設けられている。なお図1では簡単のため、グリッパ架台15の接続部付近以外を省略しており、図2では、グリッパ架台15のうち外殻2より前方外側(トンネル30内)だけを図示し、これ以外を省略している。グリッパ架台15は、外殻接続器16、セグメント接続器17等を有している。外殻接続器16は、外殻2内より埋め戻すべきトンネル30の内部に伸延した円筒状に形成されており、その後端側(図1中右側)が上記支持部材8に固定されている(固定・分離自在でもよい)。外殻接続器16の前端側には、図2に示すようにセグメント接続器17が設けられており、セグメント接続器17は外殻接続器16に対して軸心方向(図1及び図2の左右方向)に移動駆動自在で、かつ外殻接続器16の周囲に環状に配置されている。外殻接続器16とセグメント接続器17との間は複数の油圧ジャッキ19により軸心方向(図1及び図2の左右方向)に接続されている。セグメント接続器17は、埋め戻すべきトンネル30の内周に対応する形で円弧状断面に形成された当接板20を複数有しており、これら当接板20は、トンネル30の放射方向に配置された複数の油圧ジャッキ17を介して該放射方向に突出後退自在に設けられている。
【0015】
またトンネル埋め戻し装置1には、図3に示すような制御装置60が設けられている。制御装置60は主制御部61を有し、主制御部61にはバス線を介して、圧力検知装置62、圧力判定部63、第1ジャッキ制御部65、第2ジャッキ制御部66が接続されている。圧力検知装置62は隔壁9の後側に設けられており、隔壁9の後方の圧力を検知自在となっている。また第1ジャッキ制御部65は油圧ジャッキ19を、第2ジャッキ制御部66は油圧ジャッキ6をそれぞれ制御自在となっている。
【0016】
トンネル埋め戻し装置1及び埋め戻すべきトンネル30は、以上のような構成を有するので、該トンネル埋め戻し装置1により既設のトンネル30を埋め戻すには、まず、立坑等からトンネル覆工31の外側の地山40を手堀り又は機械堀りによって掘削し、トンネル埋め戻し装置1を、図1に示すように外殻2の前端部2aにトンネル覆工31を挿入する形で設置する。グリッパ架台15は隔壁9の前方、即ち図1中左方に延びるトンネル30内部に設置する。なお、図に示すトンネル覆工31はセグメント(一次覆工)だけを有しているようになっているが、勿論、実際には二次覆工等を有していても構わない。
【0017】
トンネル埋め戻し装置1がトンネル30に設置されると、以下のようにしてトンネル30を埋め戻してゆく。即ち図2に示すように、グリッパ架台15において油圧ジャッキ21を駆動して複数の当接板20をトンネル覆工31の内周面に圧着することにより、セグメント接続器17をトンネル覆工31に対して固定する。次に、グリッパ架台15の油圧ジャッキ19を駆動して外殻接続器16をセグメント接続器17に対して前方(図1及び図2の左方)に移動駆動する。これにより外殻接続器16に固定された外殻2が前方に移動駆動される。
【0018】
外殻2が前方に移動駆動される状態では、該外殻2と共に前方に移動駆動される掘削機7がカッタ7aを駆動しており、これにより掘削機7は前方の地山40を掘削する。このように前方の地山40を掘削しながら外殻2が前方に移動する。掘削及び外殻2の前進が行われると、周囲を掘削されたトンネル覆工31が外殻2内に露出する。この露出したトンネル覆工31は公知の手法で適宜解体し撤去する。解体撤去されたトンネル覆工31は、トンネル30内等を利用して適宜トンネル30の外部に搬出される。勿論、この際、グリッパ架台15を一時的に外殻2より分離して搬送の邪魔にならない位置に待避させるようにしてもよい。
【0019】
一方、掘削機7で掘削された掘削土砂51は、各第1コンベア10により各ミキサ11に搬送される。また各ミキサ11には、充填材圧送管13を介して充填材50が供給されている。従って各ミキサ11では、充填材50と掘削土砂51が混練され、埋め戻し材52が生成されている(本例では上記充填材50には、掘削土砂51を加える分だけ添加剤を多目に含ませておくことが好ましい)。生成された埋め戻し材52は、第2コンベア12を介して隔壁9の後側に搬送される。ところで、上記外殻2の移動により、該外殻2と油圧ジャッキ6で接続された隔壁9も前方に移動するので、隔壁9の後方には空間が形成される。そこで、隔壁9の後側に搬送された前記埋め戻し材52は、該隔壁9の後方にできた空間(外殻2が移動した後にできる空間と表現してもよい)に打設される。以上のように、前方の地山40を掘削しながらの外殻2及び隔壁9の移動動作と、隔壁9の後方への埋め戻し材52の打設動作とが同時進行的に行われる。
【0020】
こうしてグリッパ架台15の油圧ジャッキ19が1ストローク分の駆動を完了すると、油圧ジャッキ21を駆動して複数の当接板20をトンネル覆工31の内周面から離反させて、セグメント接続器17をトンネル覆工31より固定解除する。次に、油圧ジャッキ19を駆動(ラムを戻す)し、外殻接続器16に対してセグメント接続器17を前方に移動駆動する。外殻接続器16はトンネル30に対して停止しているので、セグメント接続器17はトンネル30内を前方に移動した。その後は上述した手順と同様に、油圧ジャッキ21を駆動して複数の当接板20をトンネル覆工31の内周面に圧着することにより、セグメント接続器17をトンネル覆工31に対して固定し、油圧ジャッキ19を駆動して外殻接続器16をセグメント接続器17に対して前方に移動駆動する。これにより上述した手順と同様にして、前方の地山40を掘削しながらの外殻2及び隔壁9の移動、隔壁9の後方への埋め戻し材52の打設が同時進行的に行われ、トンネル覆工31の解体撤去及び埋め戻し材52による埋め戻しが進行する。
【0021】
以上のように、グリッパ架台15のセグメント接続器17をトンネル30内で順次前方に移動させながら、前方の地山40を掘削しながらの外殻2及び隔壁9の移動、隔壁9の後方への埋め戻し材52の打設等を同時進行的に行い、トンネル30の埋め戻しを完了させる。なお、隔壁9の後方に打設された埋め戻し材52が固結し固結部材53になると所定の強度をもつ地盤となる。
【0022】
ところで上述したように、前方の地山40を掘削しながらの外殻2及び隔壁9の移動、を行う際には、以下のような制御が行われる。まず図3に示すように第1ジャッキ制御部65は、所定の掘削速度で掘削が行えるように油圧ジャッキ19を所定のラム駆動速度で駆動制御しており、第2ジャッキ制御部66は初期状態では油圧ジャッキ6を停止(ラム駆動速度はゼロ)させている。また圧力検知装置62は隔壁9の後方の圧力を検知しており、その検知結果を圧力判定部63に逐次伝送している。圧力判定部63では、伝送されてきた検知結果に対して所定の判定を逐次行っている。即ち、検知結果が示す圧力が、隔壁9後方における埋め戻し材52の打設を適切に行える圧力範囲にあるかどうかを判定している。そして例えば、伝送されてきた検知結果が前記圧力範囲内のものである場合には、第2ジャッキ制御部66に「圧力適正」の判定結果を伝送し、該第2ジャッキ制御部66はこれに基づいて油圧ジャッキ6のラム駆動速度を変更しない。また例えば、伝送されてきた検知結果が前記圧力範囲未満のものである場合には、第2ジャッキ制御部66に「圧力小」の判定結果を伝送し、該第2ジャッキ制御部66はこれに基づいて油圧ジャッキ6のラム駆動速度を一定量だけ大きくする(隔壁9の移動が遅くなる)。また例えば、伝送されてきた検知結果が前記圧力範囲より大のものである場合には、第2ジャッキ制御部66に「圧力大」の判定結果を伝送し、該第6ジャッキ制御部66はこれに基づいて油圧ジャッキ6のラム駆動速度を一定量だけ小さくする(隔壁9の移動が速くなる)。なお、油圧ジャッキ6のラム駆動速度を小さくし該速度がマイナスになる状態では、油圧ジャッキ6のラムが後退方向(図1の紙面左方向)に移動している。
【0023】
これにより隔壁9は、該隔壁9の後方の埋め戻し材52による圧力が略々一定値を保つように前進させられるので埋め戻し材52の打設は適正に行われる。このように隔壁9の移動(埋め戻し材52の打設)と掘削機7側の移動(掘削前進)とは同時に行われ、そのため隔壁9の後方圧力が掘削速度によって影響を受けることになるが、上述した制御が行われているので、該影響は即座に打ち消されることになり好都合である。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のトンネル埋め戻し装置1では、掘削により発生する掘削土砂51を残土として処理することなく、そのままミキサ11により充填材50と混練し、生成された埋め戻し材52を外殻2の後方の空間に打設して使用している。従って、従来のように残土処理に手間をかける必要が無く、そのための大がかりな設備も不要である。また埋め戻し材は充填材に掘削土砂を混合して生成できるので、準備すべき充填材50の量は埋め戻すべきトンネル30の体積相当分だけでよく、充填材50をできるだけ節約することができる。更に、掘削機7により掘削した空間の充填は、発生した掘削土砂51の体積分を充当すればよいので、例えば外殻2の径を大きくしたことにより準備すべき充填材が多くなるといった不都合は生じない。つまり、外殻2の径を小さくして掘削機7による掘削径を小さくする努力が不要になるので、トンネル埋め戻し装置1の設計及び製作は容易になる。
【0025】
また、本実施形態のトンネル埋め戻し装置1では、掘削土砂51を埋め戻し材52の生成に利用することで必要量の埋め戻し材52を即座に供給でき、掘削前進動作と、埋め戻し材の打設動作とを同時進行的に行うことが可能となった。これにより、従来のように掘削前進と、埋め戻し材の打設とを交互に行う場合と比べて、工期が大幅に短縮される。
【0026】
上述した実施形態のトンネル埋め戻し装置1では、第1コンベア10、ミキサ11、第2コンベア12を外殻2の軸心方向(図1の左右方向)に略一直線状となるように接続したが、これら第1コンベア10、ミキサ11、第2コンベア12等の配置は上述のもの以外にも可能である。例えば、各第1コンベア10の後端側、即ちミキサ側を、図4(図4では簡単のため油圧ジャッキ6やグリッパ架台15等は省略した)に示すように外殻2の中心軸寄りに屈曲させ、該中心軸上の位置に配置されたミキサ11に接続する。この場合のミキサ11には複数の第1コンベア10が接続されており、上述した実施形態に比べてミキサの数を減らせる利点がある。該ミキサ11には、充填材50を供給する充填材圧送管13と、該ミキサ11で混練した埋め戻し材52を搬送する第2コンベア12が接続されている。第2コンベア12はミキサ11の数だけあればよいので、図4の場合にはミキサ11は1つ第2コンベア12は1つでよい。第2コンベア12は隔壁9を貫通して該隔壁9の後方に埋め戻し材52を供給自在となっている。
【0027】
また例えば図5(図5では簡単のため油圧ジャッキ6やグリッパ架台15等は省略した)に示すように、掘削土砂と充填材とを混練するミキサ11を未解体のトンネル覆工31内に配置する構成としてもよい。図5ではミキサ11は外殻2の外側であるが、該ミキサ11の位置を外殻2の内側にずらしてもよいことは勿論である。図5に示すように、掘削機7で掘削された掘削土砂51を壁部材3外に圧送自在な土砂圧送管25が複数設けられている。この土砂圧送管25には図示しないポンプ等が設けられ、該ポンプ等により土砂圧送管25を介した掘削土砂51の圧送が可能となっている(この場合の掘削土砂は泥質)。各土砂圧送管25はトンネル覆工31内のミキサ11に接続されている。この場合も1つのミキサ11に複数の土砂圧送管25が接続されており、ミキサの数を極力減らせる利点がある。該ミキサ11には、充填材50を供給する充填材圧送管13と、該ミキサ11で混練した埋め戻し材52を搬送する第2コンベア12が接続されている。第2コンベア12はミキサ11の数だけあればよいので、図5の場合には第2コンベア12は1つでよい。第2コンベア12は隔壁9を貫通して該隔壁9の後方に埋め戻し材52を供給自在となっている。
【0028】
上述した各実施形態において、掘削土砂51や埋め戻し材52等を搬送する手段として、第1コンベア10及び第2コンベア12等のスクリューコンベア、或いは土砂圧送管25等の圧送管が例示されているが、スクリューコンベアの代わりに圧送管を採用したり、圧送管の代わりにスクリューコンベアを採用することも可能である。更に、これ以外の搬送手段を採用することも可能である。
【0029】
また上述した実施形態においては、外殻2の移動駆動を、グリッパ架台15を介してトンネル覆工31に反力をとる方法で行っているが、上記移動駆動をこれ以外の方法で行ってもよい。例えば図6(図6では簡単のためミキサ11や第2コンベア12等は省略した)に示すように、外殻2には適宜な支持部材8を介して複数の油圧ジャッキ45がシリンダ側で支持されており、各油圧ジャッキ45はラム45aを後方に向けて前記外殻2の軸方向に平行に配置されている。各油圧ジャッキ45のラム45a側は隔壁9を貫通しており、ラム45aの先端は該隔壁9の後方に位置している。また、外殻2には前記支持部材8を介して複数の油圧ジャッキ46がシリンダ側で支持されており、各油圧ジャッキ46のラム側は隔壁9に接続されている。
【0030】
図6の構成により、外殻2を前進させるには、油圧ジャッキ45を駆動し、そのラム45aの先端を後方に押圧する。該ラム45aの先端は、既に打設され固結した固結部材53に当たり支持されるので、油圧ジャッキ45のシリンダ側はこの固結部材53で反力を得る形で前方に押圧され、結果として外殻2が前進する。外殻2の前進に伴って掘削機7が前方の地山40を掘削する。また外殻2の前進と共に隔壁9の後方には空間ができるので、この空間に埋め戻し材52の注入が行われる。これにより既に説明した上記実施形態と同様に、外殻2の掘削前進と、隔壁9の後方における埋め戻し材52の打設とが同時進行的に行える。なお、油圧ジャッキ45のラム45aは、シリンダからの露出部全長に亘って略々一定の径(図6参照)に形成されるか、或いは先端に向かって細くなるように形成(不図示)されるほうが良い。これにより、打設した埋め戻し材52からのラム45aの引き抜きがスムーズになる。
【0031】
なお図6の構成を採用する場合には、制御装置60では第1ジャッキ制御部65が油圧ジャッキ45を制御し、第2ジャッキ制御部66が油圧ジャッキ46を制御する。制御方法は上述した実施形態と同様である。これにより隔壁9は、該隔壁9の後方の埋め戻し材52による圧力が略々一定値を保つように前進させられるので埋め戻し材52の打設は適正に行われる。
【0032】
なお上述した各実施形態において、掘削手段である掘削機7はカッタ7aにより掘削を行うものであったが、加圧水(泥水)を切羽に噴射して掘削を行うウォータージェットタイプ等を掘削手段に採用することも可能である。或いはウォータージェットとカッタとを併用するものも採用可能である。
【0033】
また、外殻2が中折可能な構造(公知)である場合には以下のようになる。即ち、中折可能な外殻2の場合は、図7に示すように外殻2が、ともに円筒形状である前殻2Aと後殻2Bとの基本的に2つの部分から構成されており、これら前殻2Aと後殻2Bとは水平方向等に屈曲自在に接続されている。第1コンベア10、ミキサ11、第2コンベア12の配置等は図1に示すものと同様である。この場合、図7に示すように、第1コンベア10の円筒状のケーシング10aの後端とミキサ11の接続部11aとが互いに水平方向等に屈曲自在な形でヒンジ接続されており、第2コンベア12の円筒状のケーシング12aの前端とミキサ11の他方の接続部11bとが互いに水平方向等に屈曲自在な形でヒンジ接続されてている。これにより外殻2の屈曲に合わせて、第1コンベア10、ミキサ11、第2コンベア12の間が自在に屈曲できるので好都合である。
【0034】
また、第1コンベア10、ミキサ11、第2コンベア12の配置等が図4に示すものと同様である場合も、図7と同様に、第1コンベア10とミキサ11、第2コンベア12とミキサ11、をそれぞれヒンジ接続することができ、上述した効果と同様の効果が期待できる。このようにスクリューコンベアの途中にミキサが介在することにより、コンベアとミキサとの接続箇所にヒンジ構造を設けやすく、中折可能な外殻を採用する場合には都合がよい。その他、第1コンベア10とミキサ11、或いは第2コンベア12とミキサ11、のどちらか一方だけをヒンジ接続しても同様の効果が期待できる。また、中折しない外殻に対して図7のような接続構成を採用することも可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル埋め戻し装置の一実施形態を示した模式側断面図。
【図2】グリッパ架台側を示した模式側断面図。
【図3】制御装置を示したブロック図。
【図4】トンネル埋め戻し装置の別の一例を示した模式側断面図。
【図5】トンネル埋め戻し装置の別の一例を示した模式側断面図。
【図6】トンネル埋め戻し装置の別の一例を示した模式側断面図。
【図7】コンベアとミキサの接続構造に関する別の一例を示した図。
【符号の説明】
2 外殻
30 トンネル
40 地盤(地山)
50 充填材
51 掘削土砂
52 埋め戻し材
Claims (1)
- 埋め戻すべきトンネル周囲の地盤を掘削しながら外殻を移動させると共に、前記外殻の後方に埋め戻し材を打設するようにして行うトンネル埋め戻し方法において、
前記地盤の掘削と共に、該掘削により生じる掘削土砂を充填材と混合して埋め戻し材を生成し、
前記外殻の後方へ打設する埋め戻し材は、前記生成した埋め戻し材を使用し、
前記掘削の動作と、前記埋め戻し材の打設の動作と、を同時に実行する、ことを特徴として構成し、
前記外殻の移動は、前記外殻の後方へ打設し固結した埋め戻し材に反力を求めて行う、ことを特徴とするトンネル埋め戻し方法。
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