JP4261727B2 - 像加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置において、電子写真・静電記録・磁気記録などの適宜の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等からなるトナー(顕画剤)を用いて被記録材の面に直接もしくは間接方式で形成した未定着トナー像を被記録材表面に固着画像として加熱定着処理する加熱装置(像加熱装置)として、従来より熱ローラ方式の定着装置が広く用いられている。
【0003】
近年では、クイックスタート性や省エネルギー性の観点からフィルム加熱方式の定着装置(特開昭63−313182号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204980号公報等)が実用化されているが、さらに高効率な装置として金属からなるフィルム自身を発熱させる電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されている。
【0004】
実開昭51−109739号公報には、交番磁場により定着フィルム(加熱ローラ)の金属層に渦電流を誘導させて、その金属層をジュール熱で発熱させる誘導加熱定着装置が開示されている。これは、渦電流の発生を利用することで直接定着フィルムを発熱させることができ、ハロゲンランプを熱源とする熱ローラ方式の定着装置よりも入力電力を有効に利用することにより、低消費電力でウォームアップタイムの短縮を可能としている。
【0005】
図16に、電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成を示す。
【0006】
10は電磁誘導発熱層(導電性磁性部材)を有する加熱回転体としての円筒状の定着フィルムである。
【0007】
16は横断面略半円弧状樋型のフィルムガイドであり、耐熱性を有する合成樹脂等で構成される。上記の円筒状定着フィルム10はこのフィルムガイド16の外側にルーズに外嵌させてある。
【0008】
15はフィルムガイド16の内側に配設した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁性コア17と励磁回路(不図示)からなる。
【0009】
30は加圧ローラである。この加圧ローラ30およびフィルムガイド16によって定着フィルム10を挟ませて加圧ローラ30からフィルムガイド16に対して所定の加圧力をかけることにより、フィルムガイド16と加圧ローラ30とを所定幅の定着ニップ部Nを形成させて相互圧接させている。
【0010】
前記磁場発生手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nが形成された位置に対応させて配設してある。
【0011】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢印aの反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、前記定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との間で摩擦力が発生し、定着フィルム10に回転力が作用する。そして、定着フィルム10はその内面を定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド16の下面に密着して摺動しながら、加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもって、矢印bの時計方向にフィルムガイド16の外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0012】
フィルムガイド16は、定着ニップ部Nへの加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル18と磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、定着フィルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。このフィルムガイド16は磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0013】
励磁コイル18は励磁回路(不図示)から供給される交番電流によって交番磁束を発生する。E字型の磁性コア17が定着ニップ部Nの位置に対応して設けられているため、交番磁束は定着ニップ部Nに集中的に分布し、その交番磁束は定着ニップ部Nにおいて、定着フィルム10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流は発熱層の固有抵抗によって発熱層にジュール熱を発生させる。
【0014】
定着ニップ部Nの温度は、温度センサ26を含む温調制御系(不図示)により励磁コイル18への電流供給が制御されることで、磁束量を制御し、所定の温度が維持されるように調節される。
【0015】
このように、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイド16の外周を回転し、励磁回路からの励磁コイル18への給電により定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされることにより定着ニップ部Nが所定の温度まで昇温する。そして温度調節された状態において、画像形成手段(不図示)から搬送された、未定着トナー画像tが形成された被記録材Pは、画像面が上向きに即ち定着フィルム10面に対向するように定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に導入される。
【0016】
被記録材Pは定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外面に密着し、定着ニップ部Nを定着フィルム10と共に挟持搬送される。定着フィルム10と共に被記録材Pが挟持搬送される過程において、定着フィルム10は定着ニップ部Nで加熱され、被記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着されることにより、固着画像t′が形成される。
【0017】
被記録材Pは定着ニップ部Nを通過後、定着フィルム10の外周面から離れて搬送されていく。
【0018】
以上に説明した構成の定着装置は、磁場発生手段15としての励磁コイル18からの交番磁束分布を定着ニップ部Nに集中させたものである。励磁コイル18により発生した交番磁束分布が定着フィルム10全体に広がっていると、交番磁束のエネルギーは定着フィルム10全体の昇温に使われるため、放熱損失が大きい。そのため、投入したエネルギーに対して定着に作用するエネルギーの割合が低く、効率が悪いという欠点があった。そこで、定着プロセスに作用するエネルギーを高効率で得るために、図16に示す定着装置では、電磁誘導発熱層を有する定着フィルム10に励磁コイル18を接近させ、励磁コイル18の交番磁束分布を定着ニップ部N近傍に集中させることで高効率化を図っている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
特開平7−319312号公報に開示されている電磁誘導加熱方式の定着装置においては、電磁誘導発熱部材(加熱部材)の発熱対向部にサーモスタット等の温度検知素子を感熱式安全装置として設けて所定温度以上の昇温検知時には励磁コイルへの電力供給を遮断させることで装置の熱暴走を防止する方法がとられている。
【0020】
電磁誘導発熱部材が磁性部材である場合、電磁誘導発熱部材の温度が電磁誘導発熱部材のキュリー温度を超えてしまうと、磁性部材の透磁率が急激に低下する。このため、電磁誘導発熱部材から磁束が漏洩し、この漏洩磁束が発熱部材周囲の磁性部材に誘導される。そして、発熱部材の前記磁性部材と対向する部分では漏洩磁束が集中するため渦電流の発生により局所的に高発熱する。
【0021】
局所的な高発熱が電磁誘導発熱部材の感熱式安全装置対向部以外で発生すると、感熱式安全装置が作動する前に、定着装置自体の破損を引き起こ恐れがある。
【0022】
そこで本発明は、加熱装置が温調制御系の故障により熱暴走を起こして、加熱部材の発熱層の温度が発熱層を構成する導電性の磁性部材のキュリー温度を超えた状態においても、加熱部材の異常昇温を確実に検知して加熱装置への電力供給を遮断する加熱装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置である。
【0024】
(1)励磁コイルと、磁性部材で構成されており前記励磁コイルへの電力供給により生じる交番磁場の作用により渦電流が流れて発熱する発熱層を有する筒状の加熱部材と、前記加熱部材と共に被記録材を挟持するニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材の異常昇温時に前記励磁コイルへの電力供給を遮断するための素子であり前記加熱部材の異常昇温により作動する感熱式安全素子とを有し、前記ニップ部で挟持搬送する画像を担持する被記録材を前記発熱層で発生する熱を利用して加熱する電磁誘導加熱方式の加熱装置において、前記発熱層の温度が前記発熱層のキュリー温度を超えた時に発生する前記発熱層からの漏洩磁束を誘導する磁性部材で構成される漏洩磁束誘導部材を前記感熱式安全素子の配設位置もしくはその近傍に配設し、前記漏洩磁束が発生した場合に前記漏洩磁束が前記漏洩磁束誘導部材に集中する磁束分布を形成することにより前記加熱部材の前記感熱式安全素子が対向する領域の温度を上げて前記感熱式安全素子の作動を早めたことを特徴とする加熱装置。
【0025】
(2)前記漏洩磁束誘導部材から前記励磁コイルまでの距離が、前記加熱部材を挟んで前記励磁コイルに対向する位置に配設されている磁性部材の中で最短であることを特徴とする(1)に記載の加熱装置。
【0026】
(3)前記漏洩磁束誘導部材の透磁率が、前記加熱部材を挟んで前記励磁コイルに対向する位置に配設されている磁性部材の中で最大であることを特徴とする(1)または(2)に記載の加熱装置。
【0027】
(4)前記漏洩磁束誘導部材を構成する磁性部材のキュリー温度が、前記加熱部材の発熱層の磁性部材のキュリー温度よりも高いことを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の像加熱装置。
【0028】
(5)励磁コイルと、磁性部材で構成されており前記励磁コイルへの電力供給により生じる交番磁場の作用により渦電流が流れて発熱する発熱層を有する筒状の加熱部材と、前記加熱部材と共に被記録材を挟持するニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材の異常昇温時に前記励磁コイルへの電力供給を遮断するための素子であり前記加熱部材の異常昇温により作動する感熱式安全素子と、を有し、前記ニップ部で挟持搬送する画像を担持する被記録材を前記発熱層で発生する熱を利用して加熱する電磁誘導加熱方式の像加熱装置において、
前記発熱層の温度が前記発熱層のキュリー温度を超えた時に発生する前記発熱層からの漏洩磁束を誘導する磁性部材で構成される漏洩磁束誘導部材を前記感熱式安全素子の配設位置もしくはその近傍に配設し、前記漏洩磁束の作用により発熱する前記漏洩磁束誘導部材の熱を利用して前記感熱式安全素子の作動を早めたことを特徴とする像加熱装置。
【0039】
〈作 用〉
装置故障などにより、温調制御系が正常に動作せずに、磁場発生手段の励磁コイルへの過剰な電力供給が続いた場合、加熱部材の温度は上昇していく。この時加熱部材の発熱層の温度が、前記発熱層に用いられている磁性部材のキュリー温度を越えると、前記発熱層の透磁率が急激に低下し、発熱層中に磁路を形成していた磁束が漏洩する。この漏洩磁束の多くが、漏洩磁束誘導部材に誘導されるため、漏洩磁束誘導部材の対向位置の加熱部材部分の発熱層における磁束が他の部分よりも相対的に多くなり、加熱部材の温度がその部分において局所的に高くなる。よって、漏洩磁気誘導部材と同位置もしくはその近傍に設けられている感熱式安全素子を早く作動させることができる。
【0040】
これにより、装置が温調制御系の故障により熱暴走を起こして、加熱部材の発熱層の温度が前記発熱層を構成する導電性磁性部材のキュリー温度を超えた異常昇温状態になっても、感熱式安全装置である温度検知素子を確実に作動させて装置への電力供給を遮断させることが可能である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について説明する。
【0042】
〈第1の実施例〉(図1〜図13)
本発明の第1の実施例について述べる。
【0043】
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は電子写真プロセス利用のカラーレーザプリンタである。
【0044】
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢示Aで示される反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)で回転駆動される。
【0045】
感光ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102により所定の極性で一様な電位に帯電処理がなされる。
【0046】
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103により、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力する。感光ドラム101の帯電処理面には、この走査露光により、画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。このようにして感光ドラム101上に形成された静電潜像は、4色のカラー現像器104により現像される。
【0047】
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色のカラー現像器104のうちのイエロー現像器104Yが作動することによりイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は、感光ドラム101と中間転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である一次転写部T1において中間転写ドラム105の表面に転写される。中間転写ドラム105表面へのイエロートナー画像転写後の感光ドラム101表面はクリーナ107により転写残トナー等の付着残留物が除去されて清掃される。
【0048】
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次実行され、中間転写ドラム105表面上にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が形成される。
【0049】
中間転写ドラム105には、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層とを設けている。この中間転写ドラム105は、感光ドラム101に接触して或いは近接して感光ドラム101とほぼ同じ周速度で矢印Bで示される時計方向に回転駆動される。そして、中間転写ドラム105の金属ドラムにバイアス電位が与えられることにより、中間転写ドラム105と感光ドラム101との間に電位差が生じ、この電位差により、感光ドラム101側のトナー画像が前記中間転写ドラム105の表面に転写される。
【0050】
上記のように中間転写ドラム105表面に形成されたカラートナー画像は、前記中間転写ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの表面に転写されていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで、中間転写ドラム105面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0051】
二次転写部T2を通過した被記録材Pは中間転写ドラム105面から分離されて加熱装置(像加熱装置、定着装置)100へ導入されて未定着トナー画像の加熱定着処理(加熱処理)がなされ、機外の不図示の排紙トレーに排出される。
【0052】
定着装置100については後に詳述する。
【0053】
被記録材Pに対するカラートナー画像転写後の中間転写ドラム105は、クリーナ108により転写残トナー・紙粉等の付着残留物が除去される。このクリーナ108は、通常は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から被記録材Pへのカラートナー画像の二次転写実行過程において、中間転写ドラム105に接触状態に保持される。
【0054】
また、転写ローラ106も、通常は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から被記録材Pへのカラートナー画像の二次転写実行過程において、中間転写ドラム105に被記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0055】
本実施例の画像形成装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモードも実行できる。両面画像プリントモードを用いる場合は、定着装置100から排出された1面目の画像プリント済みの被記録材Pが不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転され、再び二次転写部T2へ送り込まれて2面目へのトナー画像転写を受け、再度定着装置100に導入されて2面目に対するトナー画像の定着処理を受ける。このようにして両面画像プリントが行われる。
【0056】
なお、本発明においては、図15の画像形成装置において、定着装置100を除く構成を画像形成手段としている。
【0057】
(2)定着装置(加熱装置)100
次に、上述した画像形成装置に用いられる加熱装置としての定着装置(未定着トナー像を被記録材に圧熱定着させる加熱定着手段)100について説明する。本実施例における定着装置100は電磁誘導加熱方式の装置である。図2〜図4は本実施例の定着装置100の要部の構成を示す図であり、図2は横断面模型図、図3は正面模型図、図4は図2の(4)−(4)線に沿う縦断面模型図、図5は図2の(5)−(5)線に沿った断面を示す斜視模型図(定着フィルム10は不図示)である。各図において、前述した図16に示す定着装置と共通の構成部材・部分には同一の符号が付されている。
【0058】
本実施例の定着装置100は前述した図16の定着装置と同様に、円筒状の定着フィルム10を用いた電磁誘導加熱方式の装置である。
【0059】
図2において、フィルムガイド16は左右2つの断面略半円弧状樋型形状部材16aと16bを互いに開口部を向かい合わせに突き合わせて全体に略円柱体を構成させたものであり、この円柱体のフィルムガイド16の外周面側に、円筒状の定着フィルム(筒状の加熱部材)10をルーズに外嵌させてある。
【0060】
磁場発生手段15は磁性コア17a・17b・17c、励磁コイル18および励磁回路27(図5)より構成される。
【0061】
磁性コア17a・17b・17cは、フィルムガイド16の右側半体16aの内側にT字状に配置されている。励磁コイル18は、磁性コア17a・17cおよびフィルムガイド16aによって囲まれた空間と、磁性コア17a・17bおよびフィルムガイド16aによって囲まれた空間に保持されている。
【0062】
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料が好ましく、100kHz以上でも磁性の損失の少ないフェライトがより好ましく用いられる。
【0063】
励磁コイル18は図5に示すように給電部18aおよび18bを有しており、これら給電部18a・18bによって励磁回路27に接続されている。この励磁回路27は20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生する。励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束(交番磁場)を発生する。
【0064】
加圧部材としての加圧ローラ(加圧回転体)30はフィルムガイド16に設けられた摺動部材40に対して所定の加圧力により圧接されている。これにより定着フィルム10は加圧ローラ30と摺動部材40に挟まれた状態となり、定着フィルム10と加圧ローラ30との圧接部には所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0065】
フィルムガイド16は、定着ニップ部Nへの加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cの支持、定着フィルム10の支持、定着フィルム10の回転時の搬送安定性を図る。このフィルムガイド16には、磁束の通過を妨げない絶縁性を有し、かつ高い荷重に耐えられる材料が用いられる。このような材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマーなどが挙げられる。
【0066】
フィルムガイド16の右側半体16aには図2に示すように紙面垂直方向を長手とする摺動部材40が定着ニップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、定着フィルム10の内側に配設されている。すなわち、この摺動部材40は、定着ニップ部Nにおいて、定着フィルム10を介して前記加圧ローラ30と対向する位置に配置されている。この摺動部材40は、定着ニップ部Nにおいて、加圧ローラ30の加圧力に対して、定着フィルム10をその内周面から支持する部材である。この摺動部材40としては、摺動抵抗を低減させるために、潤滑性を有する部材が良い。このような部材には、フッ素樹脂、ガラス、窒化ホウ素、グラファイト等が挙げられる。摺動部材40は、潤滑性の他に、熱伝導性の高い部材であるとさらに良い。このような摺動部材40は定着ニップ部Nの長手方向の温度分布を均一にする効果がある。例えば、小サイズ紙を通紙した場合、定着フィルム10での非通紙部の熱量が、良熱伝導部材である摺動部材40へ伝熱し、前記部材40における長手方向の熱伝導により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ伝熱される。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力を低減させる効果も得られる。このような摺動部材40には、鏡面研磨したアルミニウムといった金属や、フッ素樹脂粒子もしくは窒化ホウ素粒子もしくはグラファイト粒子等の潤滑材を分散させた金属などの複合材料などが挙げられる。また、高熱伝導部材上に潤滑性部材をコートしたような2層構成の部材、例えば、窒化アルミ上にガラスをコートしたものでも良い。本実施例では、アルミナ基板上に、ガラスをコートした部材を使用した。
【0067】
摺動部材40が導電性を有する場合、磁場発生手段である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配設するのが好ましい。具体的には、摺動部材40を励磁コイル18に対して磁性コア17b・17cを隔てた位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外側に配置させる。
【0068】
定着ニップ部Nにおける摺動部材40と定着フィルム10との摺動摩擦力をさらに低減させるために、定着ニップ部Nにおける摺動部材40と定着フィルム10との間に耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させることもできる。潤滑剤塗布により、さらなる摺動抵抗の低減と装置の長寿命化を図ることができる。
【0069】
フィルムガイド16bの内面平面部には、断面形状がコの字型の横長の加圧用剛性ステイ22が当接されている。また、この加圧用剛性ステイ22と各磁性コア17a・17b・17cとの間には、これら両者を絶縁するための絶縁部材19が設けられている。
【0070】
絶縁部材19の材質としては、絶縁性に優れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0071】
また、フィルムガイド16a・16bのアセンブリの左右両端部にはそれぞれフランジ部材23a・23b(図3・図4)を外嵌させて左右位置を固定しつつ回転自在に取り付けてある。このフランジ部材23a・23bは定着フィルム10の回転時に前記定着フィルム10の端部を受けて定着フィルム10のフィルムガイド16の長手方向に沿った寄り移動を規制する。
【0072】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性弾性材層30bとで構成されている。この加圧ローラ30は、芯金30aの両端部が定着装置のシャーシ側板(不図示)間に回転自由に軸受け保持されることにより配設される。
【0073】
図3・図4において、加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ(不図示)側のバネ受け部材29a・29bとの間に、それぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することにより、加圧用剛性ステイ22に押し下げ力が作用される。これによりフィルムガイド16aに設けられた摺動部材40の下面と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0074】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより、図中矢印aで示される反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力が発生し、定着フィルム10に回転力が作用する。そして、定着フィルム10は、その内周面を定着ニップ部Nにおいて摺動部材40の下面に密着して摺動しながら、加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもって、図中矢印bで示される時計方向にフィルムガイド16の外周を回転する。すなわち、定着フィルム10は加圧ローラ30との表面摩擦力により、この加圧ローラ30に連動して回転される。
【0075】
図5に示すように、フィルムガイド16の右側半体16aの周面には、複数の凸リブ部16eが、その長手方向に所定の間隔を置いてを形成されている。これにより、フィルムガイド16aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低減させて、定着フィルム10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部はフィルムガイド16の左側半体16bにも同様に形成具備することができる。
【0076】
図6は、磁場発生手段15によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィルム10の電磁誘導発熱層10aに渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層10aの固有抵抗によって、発熱層10aにジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは発熱層10aを通る磁束Cの密度によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6に示すグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の発熱層10aでの発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
【0077】
この定着ニップ部Nの温度は、温度センサ26(図2)を含む温調系により、励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように制御される。温度センサ26は定着フィルム10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサである。本実施例においては、温度センサ26で測定した定着フィルム10の温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0078】
以上のように、定着フィルム10が回転し、励磁コイル18が励磁回路27によって給電されることにより、上記のように定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度まで上昇されて所定温度に制御された状態で、画像形成手段部から搬送された、未定着トナー画像tが形成された被記録材P(被加熱材に対応)が、定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に、画像面が上向き、即ち定着フィルム10面に対向するように導入される。そして被記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10と共に挟持搬送される。この被記録材Pが定着ニップ部Nを扶持搬送されていく過程において、定着フィルム10が上記電磁誘導発熱により加熱されて被記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると、定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。被記録材P上の定着トナー画像tは、定着ニップ部Nを通過後、冷却されて固着像t′となる。
【0079】
本実施例ではトナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着装置100にオフセット防止のためのオイル塗布機構(定着フィルム10に対するオイル塗布)を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合にはオイル塗布機構を設けてもよい。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0080】
本実施例においては、図1に示すように、定着フィルム10の発熱域H(図6参照)に対向する位置に、定着装置100の熱暴走時に励磁コイル18への給電を遮断するための温度検知素子(温度検知手段)である感熱式安全装置(感熱式安全素子)としてのサーモスイッチ50と、漏洩磁束誘導部材60が配設されている。これらについては、後に詳述する。
【0081】
フルカラー画像形成装置の定着装置100の定着ニップ部Nの幅は7.0mm以上であれば、トナー載り量の多いフルカラー画像の定着性を十分に確保することができるため、好ましい。定着ニップ部Nの幅が上記範囲よりも小さいと、未定着トナー画像tと被記録材Pに定着に十分な熱量を与えることができないため、定着不良が発生してしまうため、好ましくない。
【0082】
また、定着ニップ部Nの面圧は7.85×104 Pa(0.8kgf/cm2 )以上であれば、被記録材PとしてOHPフィルムを用いた場合に、フルカラー画像の光透過性を十分に確保することができるため、好ましい。定着ニップ部Nの面圧が上記の範囲よりも小さいと、定着トナー画像t′の層の表面を十分に平滑にすることができないため、乱反射光が多くなり、OHPフィルム上の画像部の透過光量が少なくなってしまうため、好ましくない。
【0083】
以上の観点から、本実施例の定着装置100では、加圧ローラ30と定着フィルム10を205.94N(21kgf)で加圧させ、定着ニップ部Nの幅を約8.0mm、定着ニップ部Nの面圧を11.77Pa(1.2kgf/cm2 )とした(定着ニップ部Nの長手方向の長さは220mm)。
【0084】
以下に、上述した定着装置(加熱装置)100に用いられる各部材について説明する。
【0085】
A)励磁コイル18
磁場発生手段15を構成する励磁コイル18は、コイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では10ターン巻いて励磁コイル18を形成している。
【0086】
絶縁被覆を行う被覆部材は、定着フィルム10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を用いるとよい。励磁コイル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
【0087】
励磁コイル18の形状は、図2・図6のように、定着フィルム10の曲面に沿うよう形成されている。また、定着フィルム10の発熱層10aと励磁コイル18との間の距離は約2mmになるように設定した。
【0088】
磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と、定着フィルム10の発熱層10aとの間の距離はできる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高くなる。この距離は5mm以下であれば、定着フィルムが高効率に磁束を吸収することができるため、好ましい。この距離が上記範囲よりも大きい場合には、磁束の吸収効率が著しく低下してしまうため、好ましくない。また、定着フィルム10の発熱層10aと励磁コイル18の距離が5mm以内であれば、この距離は一定である必要はない。
【0089】
なお、図5において、励磁コイル18からの引き出されている給電部18a・18bについては束線の外側に絶縁被覆を施している。
【0090】
B)定着フィルム(発熱層を有する加熱部材)10
図7は、本実施例における加熱部材としての電磁誘導発熱する定着フィルム10の層構成模型図である。
【0091】
本実施例の定着フィルム10は、基層となる金属フィルム等でできた発熱層(電磁誘導発熱層)10aと、その外面に積層した弾性層10bと、さらにその外面に積層した離型層10cの複合構造のものである。発熱層10aと弾性層10bとの間の接着、弾性層10bと離型層10cとの間の接着のために、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。略円筒形状である定着フィルム10において、発熱層10aが摺動部材40と接触する内側であり、離型層10cが加圧ローラ30もしくは被記録材(被加熱材)と接触する外側である。
【0092】
前述したように、発熱層10aに交番磁束が作用することにより、発熱層10aに渦電流が発生して発熱層10aが発熱する。その熱が弾性層10b・離型層10cに伝達されるために、定着フィルム全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される被加熱材としての被記録材Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0093】
a.発熱層10a
発熱層10aとしては、磁性および非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケルーコバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。また、定着フィルム10の回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
【0094】
発熱層10aの厚さは、次の式で表される表皮深さσ[m]より厚く、かつ200μm以下にすることが好ましい。発熱層10aの厚さをこの範囲とすれば、発熱層10aが電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
【0095】
σ=503×(ρ/fμ)1/2
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは透磁率、ρは発熱層10aの固有抵抗[Ωm]である。
【0096】
この表皮深さは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている。図8に発熱層深さと電磁波強度の関係を示した。
【0097】
発熱層10aの厚さは、より好ましくは1〜100μmがよい。発熱層10aの厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。また、発熱層10aが上記範囲よりも厚い場合には、発熱層10aの剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的でなくなる。
【0098】
b.弾性層10b
弾性層10bは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
【0099】
弾性層10bの厚さは、定着画像品質を保証するために10〜500μmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像などでは、被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材Pの凹凸あるいはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層10c)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。すなわち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。
【0100】
弾性層10bの厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層10cが被記録材Pあるいはトナー層tの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまう。また、弾性層10bが上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートを実現するのが難しくなる。この弾性層bの厚さは、より好ましくは50〜500μmが良い。
【0101】
弾性層10bは、硬度が高すぎると被記録材Pあるいはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層10bの硬度としては60°(JIS−A;JIS−K(Aタイプ測定装置使用))以下、より好ましくは45°以下がよい。
【0102】
弾性層10bの熱伝導率λは、2.52×10-1〜8.4×10-1W/m・℃(6×10-4〜2×10-3cal/cm・sec・deg.)であることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着フィルム10の表層(離型層10c)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層bの硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.35×10-1〜6.28×10-1W/m・℃(8×10-4〜1.5×10-3cal/cm・sec・deg.)が良い。
【0103】
c.離型層10c
離型層10cは、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
【0104】
離型層10cの厚さは1〜100μmが好ましい。離型層10cの厚さが上記範囲よりも小さい場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足するといった問題が発生する。また、離型層が上記範囲よりも大きい場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層10cに樹脂系の材質を用いた場合は、離型層10cの硬度が高くなりすぎて、弾性層10bの効果がなくなってしまう。
【0105】
C)温度検知素子50(感熱式安全装置)
前述したように本実施例においては定着フィルム10の発熱域Hに対向する位置に、定着装置100の熱暴走時に励磁コイル18への給電を遮断するための温度検知素子(温度検知手段)である感熱式安全装置としてのサーモスイッチ50を配設してある。
【0106】
図9にそのサーモスイッチ50の横断面模型図を示す。51aおよび51bは第1と第2の固定接点、52はこの2つの固定接点51a・51bを常時は電気的に導通させて連絡(接点クローズ)している可動接点である。
【0107】
可動接点52は第1の固定接点51aとの接続部gを軸として移動可能なように配設されていて、移動ピン53の移動により図中において2点鎖線示のように上方に押し上げられ、第2の固定接点51bから離されることにより(接点オープン)、第1と第2の固定接点51a・51bに接続されている電気回路(励磁コイルに対する給電回路)をオープンにさせることができる。
【0108】
移動ピン53は可動接点52と感熱部54に接触して配置されている。感熱部54はバイメタル等の温度上昇に伴い形状変化する部材で構成される。この感熱部54は所定温度以上になると、図中において上方に凸な形状に変形する。この所定温度が、接点オープンにする動作温度になる。この感熱部54の変形に伴って、移動ピン53が上方に移動し、可動接点52を押し上げ、接点をオープンにする。
【0109】
55は以上に述べた部材51a・51b・52・53・54を内包するケースである。
【0110】
上記のサーモスイッチ50は定着フィルム10を挟んで励磁コイル18に対向する位置設ける。本実施例では定着フィルム10の外面に非接触に配設している。さらに好ましくは、図6に示すように、定着フィルム10の発熱域Hに対向して配設するのが良い。サーモスイッチ50と定着フィルム10との間の距離は約2mmとした。これにより、定着フィルム10にサーモスイッチ50の接触による傷が付くことがなく、耐久的な使用による定着画像の劣化を防止することができる。
【0111】
もっとも、このサーモスイッチ50は感熱部54を定着フィルム10に直接もしくは潤滑層などを介在させて間接に接触させて配設しても良い。
【0112】
図10は本実施例で使用した熱暴走防止回略の回路図である。サーモスイッチ50はこの熱暴走防止回路に組み込まれている。温度検知素子であるサーモスイッチ50は24VのDC電源とリレースイッチ70と直列に接続されている。サーモスイッチ50が切れると、リレースイッチ70への給電が遮断され、リレースイッチ70が動作して励磁回路27への給電が遮断されることにより、励磁コイル18(a・b)への給電を遮断する構成をとっている。本実施例では、サーモスイッチ50の接点オープンの動作温度を220℃に設定した。
【0113】
本実施例によれば、温調制御系等の故障による定着装置100の熱暴走時に、定着ニップ部Nに被記録材Pが挟まった状態で定着装置100が停止し、励磁コイル18に給電が続けられ定着フィルム10が発熱し続けた場合でも、図16のような定着ニップ部Nで発熱する構成とは違い、被記録材Pが挟まっている定着ニップ部Nでは発熱していないので、被記録材Pが直接加熱されることがない。また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモスイッチ50が配設してあるため、サーモスイッチ50が220℃以上の温度を感知して、サーモスイッチが切れた時点で、リレースイッチ70により励磁コイル18への給電が遮断される。
【0114】
本実施例によれば、被記録材Pとしての紙の発火温度は約400℃近辺であるため紙が発火することなく、定着フィルム10の発熱を停止することができる。
【0115】
温度検知素子50としてはサーモスイッチの他に、温度ヒューズを用いても良い。また、本実施例では、非接触式のサーモスイッチを用いたが、接触式のサーモスイッチを定着フィルム10に接触させて用いても良い。
【0116】
D)漏洩磁束誘導部材60
本実施例では、図2・図6に示すように、サーモスイッチ50の配設位置もしくはその近傍に、漏洩磁束誘導部材60を配設している。
【0117】
この漏洩磁束誘導部材60は、定着フィルム10の発熱層10aの温度が発熱層10aを構成する部材のキュリー温度を超えた場合に発生する漏洩磁束を誘導するためのものである。
【0118】
キュリー温度とは、強磁性体等の磁性体が常磁性へ磁気転移する温度である。強磁性体の透磁率は、温度の上昇につれて、はじめは徐々に低下するが、キュリー温度に達すると急激に低下し、常磁性を示すようになる。
【0119】
漏洩磁束誘導部材60は板状部材でも良いし、図11に示すように、漏洩磁束誘導部材60のサーモスイッチ50の感熱部54に対応する位置には透孔60aを設けて定着フィルム10からサーモスイッチ50の感熱部54への放射熱を遮らないような形状にすることも有効である。すなわち、このような形状にすることで、定着フィルム10からの放射熱を遮ることがないので、漏洩磁束誘導部材60の熱容量が大きい場合や熱伝導率が小さい場合、すなわち漏洩磁束誘導部材60に熱応答性が悪い部材を用いた場合等に有効である。
【0120】
この漏洩磁束誘導部材60は、磁束Cを誘導するものであるので、強磁性体などの磁性を有する部材とする必要がある。このような磁性部材には、鉄、フェライト、ニッケル、パーマロイ等が挙げられる。
【0121】
さらに、漏洩磁束誘導部材60を導電性の磁性部材としても良い。この場合、漏洩磁束誘導部材60が漏洩磁束による渦電流により、漏洩磁束誘導部材60自身を発熱させることができ、サーモスイッチ50周辺の雰囲気温度をさらに上昇させることができる。よって、サーモスイッチ50の感熱部54周辺の雰囲気温度を高めることができる。このような部材としては、鉄、ニッケル、コバルト、パーマロイ、磁性ステンレス等の磁性を有する金属(強磁性金属)が挙げられる。本実施例においては漏洩磁束誘導部材60に鉄を用いている。
【0122】
漏洩磁束誘導部材60を構成する磁性部材は、そのキュリー温度が、発熱層10aを構成する部材のキュリー温度より高い部材にしても良い。この場合、漏洩磁束誘導部材60の磁性を発熱層10aより高い温度域まで確保することができるので、確実に漏洩磁束を誘導できる。例えば、発熱層10aにニッケル(キュリー温度358℃)を使用している場合、漏洩磁束誘導部材60に鉄(キュリー温度770℃)を用いると良い。
【0123】
定着装置100において、定着フィルム10を挟んで励磁コイル18に対向する領域に、漏洩磁束誘導部材60以外に磁性部材が配設されている場合、漏洩磁束誘導部材60から励磁コイル18までの最短距離が、励磁コイル18に対向する位置に配設している磁性部材の中で最短になるようにする必要がある。これにより、発熱層10aがキュリー温度を越えた時に発生する漏洩磁束が、漏洩磁束誘導部材60の方へ誘導される。
【0124】
また、定着装置100を構成する磁性部材(例えば鉄)からなる板金部材の形状を、サーモスイッチ50の配設位置においてだけ板金部材と励磁コイル18の距離が他の部分よりも最短になるような形状の部材を、漏洩磁束誘導部材60として用いることもできる。
【0125】
E)安全動作
次に、温調制御系の故障による定着装置100の熱暴走時における装置の安全動作の概要を述べる。
【0126】
装置故障などにより、温調制御系が正常に動作せず、励磁コイル18への過剰な電力供給が続いた場合、定着フィルム10の温度は制御温度以上に上昇していく。特に、定着フィルム10が回転停止状態にあるときは、定着フィルム10の渦電流が発生する位置(図6中の発熱域H)が変わらないため、瞬時に昇温する。
【0127】
図12に、定着フィルム10の発熱層10aが、その層を構成している磁性部材のキュリー温度以上に昇温した時の磁路の様子を示す。発熱層10aの温度が、キュリー温度(例えば、発熱層10aがニッケルの場合358℃)を越えると、発熱層10aの透磁率が急激に低下し、発熱層10a中の磁路を形成していた磁束Cが発熱層10aから漏洩する。発熱層10aから漏洩した磁束は、空気中を磁路の一部とする。
【0128】
発熱層10aがキュリー温度以上に昇温した状態において、漏洩磁束誘導部材60の有無による定着フィルムによる定着フィルム10温度の違いを、以下に述べる磁気回路を考えることにより、検証することが可能である。
【0129】
図12に示した磁路における磁気抵抗を考え、これを長手方向の単位長さ当たりの磁気抵抗とする。長手方向各位置における各磁気抵抗は、起磁力を発生する励磁コイルに対し、励磁コイルの端から端まで長手方向に分布していると考えられる。よって、本実施例の定着装置100の磁気回路は、長手方向の各位置における磁気抵抗が、並列に接続されている等価回路モデルに置き換えることができる。これを図13に示す。
【0130】
図13に示す磁気抵抗のうち、漏洩磁束誘導部材60配設位置での磁気抵抗をRM 、漏洩磁束誘導部体60が配設されていない位置での磁気抵抗を磁気抵抗RN とする。磁気抵抗は、磁路中の透磁率の大きさに反比例する。発熱層10aの温度がキュリー点以上では、磁束Cが発熱層10aから漏洩し、磁性部材で構成される漏洩磁束誘導部材60を磁路の一部とすることで、漏洩磁束誘導部材60配設位置での磁気抵抗RM は、RM <RN の関係になる。
【0131】
起磁力Fは励磁コイル18の巻数Nとここ18を流れる電流Iの積で決まり、並列に接続されている長手方向各位置の磁気抵抗それぞれには、起磁力Fが等しい大きさで働く。すなわち磁気抵抗RM 及びRN には起磁力Fが等しい大きさで働く。漏洩磁束誘導部材60配設位置での磁束をφM 、漏洩磁束誘導部材60が配設されていない位置での磁束をφN とすると、起磁力Fは長手方向の位置によらず等しいから、
φM =F/RM φN =F/RN
となる。磁気抵抗はRM <RN の関係があるから、磁束はφM >φN となり、漏洩磁束誘導部材60配設位置における磁束が、漏洩磁束誘導部材60が配設されていない位置よりも大きいことが分かる。そして、励磁コイル18から発生する総磁束は、φM +φN +φN +φN ・・・であることを考慮すると、長手方向において磁束分布の集中が発生することが分かる。
【0132】
以上より、発熱層10aがキュリー温度以上の時は、励磁コイル18から発生した磁束は、漏洩磁束誘導部材60が配設されている磁気抵抗の小さい部分に集中するため、その部分での定着フィルム10の発熱量が局所的に多くなる。
【0133】
定着フィルム10の漏洩磁束誘導部材60対向部分近傍において、局所的に発熱量が他の部分よりも相対的に多くなるため、定着フィルム10の温度が局所的に高くなる。よって、漏洩磁束誘導部材60と同位置もしくはその近傍に設けられているサーモスイッチ50をより早く作動させることができる。
【0134】
以上より、本実施例の定着装置において、装置が温調制御系の故障により熱暴走を起こして、加熱部材である定着フィルム10の発熱層10aの温度が該発熱層10aの磁性部材のキュリー温度を超えた状態においても、確実に感熱式安全装置50を作動させることが可能である。
【0135】
〈第2の実施例〉
次に第2の実施例について説明する。
【0136】
本実施例の画像形成装置は、定着装置100を除き、第1の実施例で述べた画像形成装置と同一である。また、本実施例の定着装置100の構成は、漏洩磁束誘導部材60を除き、第1の実施例の定着装置100と同一である。
【0137】
本実施例では、漏洩磁束誘導部材60を、定着フィルム10を挟んで励磁コイル18に対向する位置に配設される磁性部材の中で、透磁率が最大となる磁性部材で構成することを特徴とする。
【0138】
例えば、定着フィルム周辺に鉄(透磁率:102 オーダー)を用いていた場合、漏洩磁束誘導部材60にパーマロイ(透磁率:103 オーダー)を用いることができる。
【0139】
本実施例の構成により、定着フィルム10の発熱域H近傍に他の磁性部材が設けられていても、発熱層10aがキュリー点を越えた時に発生する漏洩磁束を漏洩磁束誘導部材60の近傍へ、第1の実施例よりもさらに確実に誘導することができる。よって、漏洩磁束誘導部材60配設位置での定着フィルム10の温度を、他の位置よりも相対的に高温にすることができるので、漏洩磁束誘導部材60と同位置もしくはその近傍に設けられているサーモスイッチ50をより早く確実に作動させることができる。
【0140】
以上より、本実施例の定着装置においても、第1の実施例と同様に、装置が温調制御系の故障により熱暴走を起こして、定着フィルム10の発熱層10aの温度が該発熱層10aの磁性部材のキュリー温度を超えた状態においても、確実に感熱式安全装置50を作動させることが可能である。
【0141】
〈第3の実施例〉(図14)
次に第3の実施例について説明する。
【0142】
本実施例の画像形成装置は、定着装置100を除き、第1の実施例で述べた画像形成装置と同一である。また、本実施例の定着装置100の構成は、サーモスイッチ50および漏洩磁束誘導部材60の配設位置を除き、第1の実施例の定着装置100と同様である。
【0143】
図14は本実施例における定着装置100の正面模型図である。本実施例の定着装置100は、温度検知素子であるサーモスイッチ50及び漏洩磁束誘導部材60を、定着フィルム10の非通紙域に配設させたことを特徴とする。
【0144】
本実施例の構成では、サーモスイッチ50の配設部が定着フィルム10の非通紙域であるので、サーモスイッチ50との接触により定着フィルム10表面が傷ついても、定着画像の品質を落とす恐れがない。このため、サーモスイッチ50を定着フィルム10に接触配置させることもできる。
【0145】
また、紙やOHPフィルムなどの被加熱材が定着フィルム10に巻きついた場合でも、非通紙域に配設されたサーモスイッチ50は、確実に定着フィルム10の表面温度を検知することができるので、サーモスイッチ50の作動の信頼性を向上させることができる。
【0146】
さらに、発熱層10aがキュリー点を超えた時の漏洩磁束誘導部材60による定着フィルム10の高発熱域が、定着フィルム10の非通紙域にあるので、定着フィルム10に巻きついた被加熱材Pが局所的に集中して加熱されることがないため、被加熱材Pからの発火を防止することができる。
【0147】
以上より、本実施例の定着装置においても、第1の実施例と同様に、装置が温調制御系の故障により熱暴走を起こして、定着フィルム10の発熱層10aの温度が該発熱層10aの磁性部材のキュリー温度を超えた状態においても、確実に感熱式安全装置50を作動させることが可能である。
【0148】
〈第4の実施例〉(図15)
次に第4の実施例について説明する。
【0149】
本実施例の画像形成装置は、定着装置100を除き、第1の実施例で述べた画像形成装置と同一である。また、定着装置100の構成も、サーモスイッチ50と漏洩磁束誘導部材60を除き、第1の実施例で述べた定着装置100と同一である。
【0150】
図15は、本実施例における定着装置100のサーモスイッチ50と漏洩磁束誘導部材60の位置関係を示す横断面模型図である。本実施例の定着装置100では、サーモスイッチ50の感熱部54と漏洩磁束誘導部材60とを接触させていることを特徴とする。本実施例ではさらに漏洩磁束誘導部材60をサーモスイッチ50内に組み込んである。
【0151】
温度検知素子であるサーモスイッチ50は、第1の実施例と同様に、定着フィルム10表面から2mm離れた位置に配設してある。サーモスイッチ50は、実施例1と同様に、熱暴走防止回路(図10)に組み込まれているので、所定の温度検知時に励磁コイル18への電力供給を遮断することができる。
【0152】
漏洩磁束誘導部材60は導電性を有する磁性部材が良い。この場合、漏洩磁束により漏洩磁束誘導部材60自身に渦電流を発生させてジュール発熱させることができるので、サーモスイッチ50の感熱部54をより早く昇温させることができる。
【0153】
漏洩磁束誘導部材60は熱伝導率の高い部材が良い。この場合、漏洩磁束誘導部材60が定着フィルム10から受けた放射熱をサーモスイッチ50の感熱部54へ早く伝達することができるので、同様に感熱部54を早く昇温させることができる。
【0154】
漏洩磁束誘導部材60は、サーモスイッチ50の感熱部54に直接接触させても良いし、他の部材を介して間接的に接触させても良い。
【0155】
本実施例の構成により、漏洩磁束誘導部材60の渦電流によるジュール発熱や漏洩磁束誘導部材60の定着フィルム10からの放射熱による昇温により、サーモスイッチ50の感熱部54の温度をより早く昇温させることができる。よって、サーモスイッチ50が定着フィルム10と非接触に配置されても、定着フィルム10の温度からサーモスイッチ50の検知温度の応答の遅れを低減できる。
【0156】
以上より、本実施例の定着装置においても、第1の実施例と同様に、装置が温調制御系の故障により熱暴走を起こして、定着フィルム10の発熱層10aの温度が該発熱層10aの磁性部材のキュリー温度を超えた状態においても、確実に感熱式安全装置50を作動させることが可能である。
【0157】
〈その他の実施例〉
1)上記した第1〜第4の各実施例における定着装置100は、加熱部材としてのエンドレスベルト状の定着フィルム(回転体)10を複数の部材間に懸回張設して駆動手投で回転させる構成にすることもできる。
【0158】
2)定着フィルム10は、モノクロあるいは1パスマルチカラー画像等の加熱定着用の場合は、弾性層10bを省略した形態のものとすることもできる。また離型層10cも省略した形態のものとすることもできる。他の所望の機能層を追加した層構成のものとすることもできる。
【0159】
3)加圧部材30は、ローラに限らず、回動ベルト型など他の形態の加圧部材にすることもできる。また、加圧部材側からも被記録材Pに熱エネルギーを供給するために、加圧部材側にも電磁誘導加熱などの発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調する装置構成にすることもできる。
【0160】
加圧部材30は回転体である場合において実施例のように回転駆動される装置構成ものにすることもできるし、加熱部材等との摩擦接触で従動回転される装置構成のものにすることもできる。
【0161】
4)本発明の加熱装置は、実施例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した被記録材を加熱して艶などの表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置として広く活用できる。
【0162】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、電磁(磁気)誘導加熱方式の像加熱装置において、漏洩磁束を利用して感熱式安全素子の作動を早めるので、例えば、励磁コイルへの電力供給が正常に行えなくなり且つ筒状の加熱部材の回転も停止してしまっている場合のような加熱部材の昇温速度が非常に早いケースでも、漏洩磁束が発生した後の早い段階で励磁コイルへの電力供給を遮断できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例における画像形成装置の概略構成図
【図2】 定着装置の要部の横断面模型図
【図3】 同じく要部の正面模型図
【図4】 図2の(4)−(4)線に沿った縦断面模型図
【図5】 図2の(5)−(5)線に沿った斜視模型図(定着フィルムは不図示)
【図6】 磁場発生手段と発熱量Qの関係を示した図
【図7】 定着フィルムの層構成模型図
【図8】 発熱層深さと電磁波強度の関係を示した図
【図9】 第1の実施例のサーモスイッチの縦断面模型図
【図10】 熱暴走防止回路図
【図11】 漏洩磁束誘導部材60の形状例を示す斜視図
【図12】 定着フィルムの発熱層がキュリー温度を越えた時の磁路を示した図
【図13】 定着装置における磁気回路の等価回路モデルを示した図
【図14】 第3の実施例の定着装置の正面模型図
【図15】 第4の実施例のサーモスイッチの縦断面模型図
【図16】 従来例の定着装置の要部の横断面模型図
【符号の説明】
10……定着フィルム、10a…発熱層、10b…弾性層、10c…離型層、15…磁場発生手段、16(a・b)…フィルムガイド、17(a・b・c)…磁性コア、18…励磁コイル、22…加圧用剛性ステイ、23(a・b)…フランジ部材、25(a・b)…加圧バネ、26…温度センサ、27…励磁回路、30…加圧ローラ、40…摺動部材、50…サーモスイッチ(温度検知素子、感熱式安全装置)54…感熱部、60…漏洩磁束誘導部材、70…リレースイッチ、100…定着装置(加熱装置)、101…感光ドラム、102…帯電装置、103…レーザー光、104…現像器、105…中間転写ドラム、106…転写ローラ、107・108…クリーナ、C…交番磁束、H…発熱位置、M…駆動手段、N…定着ニップ部、P…被記録材、t…未定着トナー画像、t′…定着トナー画像、T1…一次転写部、T2…二次転写部

Claims (5)

  1. 励磁コイルと、磁性部材で構成されており前記励磁コイルへの電力供給により生じる交番磁場の作用により渦電流が流れて発熱する発熱層を有する筒状の加熱部材と、前記加熱部材と共に被記録材を挟持するニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材の異常昇温時に前記励磁コイルへの電力供給を遮断するための素子であり前記加熱部材の異常昇温により作動する感熱式安全素子とを有し、前記ニップ部で挟持搬送する画像を担持する被記録材を前記発熱層で発生する熱を利用して加熱する電磁誘導加熱方式の加熱装置において、
    前記発熱層の温度が前記発熱層のキュリー温度を超えた時に発生する前記発熱層からの漏洩磁束を誘導する磁性部材で構成される漏洩磁束誘導部材を前記感熱式安全素子の配設位置もしくはその近傍に配設し、前記漏洩磁束が発生した場合に前記漏洩磁束が前記漏洩磁束誘導部材に集中する磁束分布を形成することにより前記加熱部材の前記感熱式安全素子が対向する領域の温度を上げて前記感熱式安全素子の作動を早めたことを特徴とする加熱装置。
  2. 前記漏洩磁束誘導部材から前記励磁コイルまでの距離が、前記加熱部材を挟んで前記励磁コイルに対向する位置に配設されている磁性部材の中で最短であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記漏洩磁束誘導部材の透磁率が、前記加熱部材を挟んで前記励磁コイルに対向する位置に配設されている磁性部材の中で最大であることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 前記漏洩磁束誘導部材を構成する磁性部材のキュリー温度が、前記加熱部材の発熱層の磁性部材のキュリー温度よりも高いことを特徴とする請求項1からの何れか1つに記載の加熱装置。
  5. 励磁コイルと、磁性部材で構成されており前記励磁コイルへの電力供給により生じる交番磁場の作用により渦電流が流れて発熱する発熱層を有する筒状の加熱部材と、前記加熱部材と共に被記録材を挟持するニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材の異常昇温時に前記励磁コイルへの電力供給を遮断するための素子であり前記加熱部材の異常昇温により作動する感熱式安全素子と、を有し、前記ニップ部で挟持搬送する画像を担持する被記録材を前記発熱層で発生する熱を利用して加熱する電磁誘導加熱方式の像加熱装置において、
    前記発熱層の温度が前記発熱層のキュリー温度を超えた時に発生する前記発熱層からの漏洩磁束を誘導する磁性部材で構成される漏洩磁束誘導部材を前記感熱式安全素子の配設位置もしくはその近傍に配設し、前記漏洩磁束の作用により発熱する前記漏洩磁束誘導部材の熱を利用して前記感熱式安全素子の作動を早めたことを特徴とする像加熱装置。
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