JP4258069B2 - 可変容量スクロール型圧縮機および車両用冷凍サイクル - Google Patents

可変容量スクロール型圧縮機および車両用冷凍サイクル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変容量スクロール型圧縮機に関するもので、車両用冷凍サイクルの圧縮機に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
冷凍サイクル用の可変容量スクロール型圧縮機として、例えば特開平9−296787号公報に記載の発明では、コイルバネの弾性力と吸入圧との力の釣り合いにより、圧縮行程中の作動室と吸入側とを連通させるバイパス孔を開閉するスプール弁を開閉作動させている。
【0003】
しかし、上記公報に記載の発明では、コイルバネの弾性力と吸入圧との力の釣り合いによりバイパス孔を開閉するので、冷凍サイクルの熱負荷(蒸発器内圧力)に応じてバイパス孔が開閉することとなる。
【0004】
ところで、車両用冷凍サイクルの圧縮機は、走行用エンジン(以下、エンジンと略す。)から動力を得て稼働するので、登坂時や加速時等のエンジンの負荷が大きいときには、圧縮機の吐出容量を減少させる等してエンジンの負荷を軽減することが加速性能及び燃料消費率(車両燃費)の向上を図る上で望ましい。
【0005】
これに対して、上記公報に記載の発明では、コイルバネの弾性力と吸入圧との力の釣り合いにより、圧縮行程中の作動室と吸入側とを連通させるバイパス孔を開閉するので、エンジンの負荷に応じて吐出容量を変化させることができず、エンジンの適正制御ができないため、加速性能及び車両燃費の向上を図ることが事実上できない。
【0006】
そして、このような要望に対して、例えば特開平2−249717号公報に記載の可変容量斜板型圧縮機では、斜板室内の圧力をエンジン負荷に基づいて制御することにより、斜板の傾斜角を変化させて吐出容量を変化させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発明者等は、特開平2−249717号公報に記載の発明のごとく、エンジン負荷に応じて斜板室内の圧力を制御したところ、エンジン負荷の変動に対し迅速に傾斜角(吐出容量)が変化しなく、車両燃費を十分に向上させることができなかった。
【0008】
そこで、エンジン負荷の変動に対し迅速に傾斜角(吐出容量)が変化しない原因を調査したところ、以下の点が判明した。
【0009】
すなわち、特開平2−249717号公報に記載の発明では、圧縮反力と斜板室内の圧力との釣り合いにより斜板の傾斜角を制御しているが、圧縮反力は吐出圧に連動して変化するものであり、また、斜板室内の圧力は、吸入圧及び吐出圧を電磁弁等の弁手段にて調節して斜板室に導入することにより制御している。
【0010】
ここで、吸入圧及び吐出圧の両圧力は、冷凍サイクルの熱負荷により変動するものであるので、エンジン負荷に応じて弁手段を制御しても、実際に斜板に作用する力(圧縮反力及び斜板室内の圧力)は、冷凍サイクルの熱負荷の影響を強く受ける。したがって、エンジン負荷に応じて弁手段を制御しても、エンジン負荷の変動に対して迅速に傾斜角(吐出容量)を変化させることができない。
【0011】
また、吐出容量を最大容量と最小容量との2段に分けて制御する程度では、加速性能の向上を図ることができるものの、吐出冷媒流量が減少するので、冷凍能力が低下してしまう。
【0012】
本発明は、上記点に鑑み、例えばエンジン負荷の変動に対して迅速に吐出容量を変化させる等、使用状況に応じて必要な吐出容量に制御することができる圧縮機を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、固定スクロール(104)及び旋回スクロール(105)を有し、旋回スクロール(105)を固定スクロール(104)に対して旋回させることにより、流体を吸入圧縮する作動室(Vc)を拡大縮小させる圧縮機構(Cp)、圧縮行程中の作動室(Vc)のうち少なくとも2種類の状態の作動室(Vc)と圧縮機構(Cp)の吸入側とを連通させる第1、第2バイパス孔(114a、114b)、並びに、第1、第2バイパス孔(114a、114b)を開閉する弁体(116)を備える可変容量スクロール型圧縮機であって、弁体(116)の可動方向一端側から、弁体(116)に弾性力を作用させる弾性手段(122)と、弁体(116)の可動方向他端側において、弁体(116)の可動方向と平行な方向に変位可能に配設され、弁体(116)の可動範囲を規制するストッパ(120)と、弁体(116)のうち可動方向他端側、および、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側に、圧縮機構(Cp)の吐出圧及び圧縮機構(Cp)の吸入圧を切り替えて作用させる第1圧力調整手段(123)と、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側と反対側に、吐出圧及び吸入圧を切り替えて作用させる第2圧力調整手段(129)とを備え、第1バイパス孔(114a)に連通する状態の作動室(Vc)の体積は、第2バイパス孔(114b)に連通する状態の作動室の体積(Vc)よりも大きく、
圧縮機構(Cp)の吐出容量を最大容量とするときは、第1圧力調整手段(123)が、弁体(116)の可動方向他端側およびストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側に吐出圧を作用させるとともに、第2圧力調整手段(129)が、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側と反対側に吐出圧を作用させることによって、弾性力の向きと反対の向きに弁体(116)を変位させて、第1、第2バイパス孔(114a、114b)の双方を閉じ、
圧縮機構(Cp)の吐出容量を中間容量とするときは、第1圧力調整手段(123)が、弁体(116)の可動方向他端側およびストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側に吸入圧を作用させるとともに、第2圧力調整手段(129)が、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側と反対側に吐出圧を作用させることによって、弾性力の向きと反対の向きに変位させたストッパ(120)にて、弁体(116)の変位を規制して、第1バイパス孔(114a)を開くともに、第2バイパス孔(114b)を閉じ、
圧縮機構(Cp)の吐出容量を最小容量とするときは、第1圧力調整手段(123)が、弁体(116)の可動方向他端側およびストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側に吸入圧を作用させるとともに、第2圧力調整手段(129)が、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側と反対側に吸入圧を作用させることによって、弾性力の向きに変位させたストッパ(120)にて、弁体(116)の変位を規制して、第1、第2バイパス孔(114a、114b)の双方を開くことを特徴とする。
【0014】
これにより、本発明では、弾性手段(122)の弾性力と弁体(116)の可動方向他端側およびストッパ(120)に作用する圧力との釣り合いにより弁体(116)を可動させることとなるので、弾性力を十分に大きくしておけば、サイクルの熱負荷の影響を受けずに弁体(116)を可動させることができる。
【0015】
したがって、加速時や登坂時等のエンジンの負荷が大きいときに、可変容量スクロール型圧縮機の吐出容量を減少させるように圧力調整手段(118、123、129)を作動させれば、エンジンの負荷の変動に対して迅速に吐出容量を減少変化させることが可能となる。延いては、車両燃費を十分に向上させつつ、過度に吐出容量が低下してしまうことを防止することが可能となる。
【0016】
なお、本発明では、圧縮行程中の作動室(Vc)のうち少なくとも2種類の状態の作動室(Vc)と吸入側とを連通させる複数個のバイパス孔(114)を有しているので、吐出容量を少なくとも、最小容量、中間容量及び最大容量のつの状態に変化させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の可変容量スクロール形圧縮機において、第1、第2バイパス孔(114a、114b)は、固定スクロール(104)の渦巻き状の歯部(104a)の根本部に形成された板状の端板部(104b)に、それぞれ2箇所づつ設けられており、弁体部は、端板部(104b)に形成されて第1、第2バイパス孔(114a、114b)に連通する円柱状の穴(115)に対して、摺動可能に配設されたスプール弁体(116)で構成され、さらに、スプール弁体(116)は、第1、第2バイパス孔(114a、114b)を開閉する複数の弁部(116a、116b、116c)、および、複数の弁部(116a、116b、116c)を連結するロッド部(116d、116e)を有し、複数の弁部(116a、116b、116c)の外径寸法は、円柱状の穴(115)の内径寸法と略等しく形成され、ロッド部(116d、116e)の外形寸法は、円柱状の穴(115)の内径寸法より小さく形成され、円柱状の穴(115)とロッド部(116d、116e)との隙間には、第1、第2バイパス孔(114a、114b)から吸入側へ流体を流す流体通路が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の可変容量スクロール型圧縮機において、弁体(116)のうち可動方向他端側とストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側との間に形成されて第1圧力調整手段(123)によって供給される圧力が作用する空間を第1制御圧室(124)とし、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側と反対側に形成されて第2圧力調整手段(129)によって供給される圧力が作用する空間を第2制御圧室(130)としたときに、第1圧力調整手段(123)は、固定絞り(125)を介して圧縮機構(Cp)の吐出側と第1制御圧室(124)とを連通させる第1吐出側連通路(126)、圧縮機構(Cp)の吸入側と第1制御圧室(124)とを連通させる第1吸入側連通路(127)、および、第1吸入側連通路(127)を開閉する電磁弁(128)を有し、第2圧力調整手段(129)は、固定絞り(131)を介して圧縮機構(Cp)の吐出側と第2制御圧室(130)とを連通させる第2吐出側連通路(132)、圧縮機構(Cp)の吸入側と第2制御圧室(130)とを連通させる第2吸入側連通路(133)、および、第2吸入側連通路(133)を開閉する電磁弁(134)を有することを特徴とする。
【0023】
請求項に記載の発明では、請求項3に記載の可変容量スクロール型圧縮機において、さらに、固定スクロール(104)に対して、ガスケット(150)を介して固定されるとともに、作動室(Vc)から吐出する流体の脈動を平滑化する吐出室(107)を形成するリアハウジング(151)を備え、第1吐出側連通路(126)および第1吸入側連通路(127)の少なくとも一部が、第2吐出側連通路(132)および第2吸入側連通路(133)の少なくとも一部に対して、ガスケット(150)にて区画された状態で略平行に設けられていることを特徴とする。
【0024】
これにより、第1、2通路(126、127、132、133)が可変容量型スクロール圧縮機の軸方向に対して直列に並ぶこととなるので、吐出室(107)の容積が小さくなってしまうことを防止できる。したがって、圧力脈動を十分に平滑化しつつ、請求項4に記載の発明と同様に、加速性能及び車両燃費を十分に向上させつつ、例えば最小容量運転として加速性能の向上を図ったり、中間容量運転として燃費と空調能力の両立を図る等の使用勝手に合わせた吐出容量の選択をすることができる。
【0025】
請求項に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の可変容量スクロール型圧縮機において、さらに、ストッパ(120)のうち弁体(116)の可動方向他端側に対向する側と反対側に配置されて、ストッパ(120)を弁体(116)に向けて押圧する弾性力を作用させるストッパ側弾性手段(140)とを備えることを特徴とする。
【0026】
これにより、ストッパ(120)が振動する(がたつく)ことを防止できるので、ストッパ(120)の振動に起因する騒音を未然に防止しつつ、請求項4に記載の発明と同様に、加速性能及び車両燃費を十分に向上させつつ、例えば最小容量運転として加速性能の向上を図ったり、中間容量運転として燃費と空調能力の両立を図る等の使用勝手に合わせた吐出容量の選択をすることができる。
【0027】
請求項に記載の発明では、車両走行用駆動源(500)から駆動力を得て稼働する請求項ないしのいずれか1つに記載の可変容量スクロール型圧縮機(100)と、車両走行用駆動源(500)の駆動負荷を検出する駆動負荷検出手段(600)と、駆動負荷検出手段(600)により検出された駆動負荷が所定負荷以上となったときに、第1、2圧力調整手段(123、129)のうち少なくとも一方を作動させて可変容量スクロール型圧縮機(100)の吐出容量を縮小させる制御手段(700)とを備える車両用冷凍サイクルを特徴とする。
【0028】
これにより、加速性能及び車両燃費を十分に向上させつつ、例えば最小容量運転として加速性能の向上を図ったり、中間容量運転として燃費と空調能力の両立を図る等の使用勝手に合わせた吐出容量の選択をすることができる。
【0029】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0030】
本発明の前提となる形態
形態は、本発明に係る可変容量スクロール型圧縮機(以下、圧縮機と略す。)を車両用冷凍サイクル(車両用空調装置)に適用したものであって、図1は車両用冷凍サイクル(以下、サイクルと略す。)の模式図である。
【0031】
100は形態に係る圧縮機であり、200は圧縮機100から吐出した冷媒(流体)を冷却する凝縮器(放熱器)である。300は凝縮器200から流出した冷媒を減圧するとともに、後述する蒸発器400の出口側の加熱度が所定値となるように開度が制御される膨張弁(減圧器)であり、400は膨張弁300にて減圧された液相冷媒を蒸発させる蒸発器である。
【0032】
なお、圧縮機100は、Vベルト510、プーリ520及び電磁クラッチ等の動力を断続可能に伝達する動力伝達手段(図示せず)を介して車両走行用エンジン(以下、エンジンと略す。)500により駆動される。
【0033】
また、600はエンジン500の負荷(形態では、スロットルバルブ(図示せず))の開度を検出する駆動負荷センサ(駆動負荷検出手段)であり、700は駆動負荷センサ600の検出値に基づいて予め設定されたプログラムに従って後述する圧力調整手段118(第1、2電磁弁118c、118d)を制御する電子制御装置(ECU)である。
【0034】
次に、圧縮機100の構造について述べる。
【0035】
図2は圧縮機100の断面を示しており、101は動力伝達手段(電磁クラッチ)を介して回転駆動されるシャフトである。102はシャフト101を回転可能に支持する転がり軸受103を保持するフロントハウジングであり、このフロントハウジング102には、渦巻き状の歯部104aが形成された固定スクロール(固定部)104が固定されている。
【0036】
また、固定スクロール104とフロントハウジング102とによって形成される空間には、歯部104aに噛み合う渦巻き状の歯部105aが形成された旋回スクロール(可動部)105が配設されており、旋回スクロール105は、シャフト101の回転中心から所定量偏心した位置に形成されたクランク部(偏心部)101aに軸受101b及びブッシング101cを介して回転可能に組付けれている。
【0037】
因みに、形態では、ブッシング101cはクランク部101aに対して僅かに摺動可能となっており、旋回スクロール105に作用する圧縮反力によって、両歯部104a、105aの接触圧力が増大する向きに旋回スクロール105を摺動変位させることにより、両歯部104a、105aの接触圧力を増大させている(従動クランク機構)。
【0038】
そして、旋回スクロール105が、シャフト101の回転とともにシャフト101周りを旋回することにより、両スクロール104、105によって構成された作動室Vcの体積を拡大縮小させて冷媒を吸入圧縮する。なお、以下、両スクロール104、105等の冷媒を吸入圧縮する機構を圧縮機構Cpと呼ぶ。
【0039】
また、106は蒸発器400の出口側に接続される吸入口(図示せず)に連通する吸入室であり、107は凝縮器200の入口側に接続される吐出口(図示せず)に連通するとともに、作動室Vcから吐出する冷媒の脈動を平滑する吐出室である。そして、吐出室107は、固定スクロール104の端板部(歯部104aの根本部に形成された板状の部位)104bに形成された吐出ポート(図示せず)を介して作動室Vcと連通しており、吐出ポートのうち吐出室107側には、冷媒が吐出室107から作動室Vcに逆流することを防止するリード弁状の吐出弁108が配設されている。
【0040】
なお、吐出室107は、ガスケット(形態では、図示せず。)を介して固定スクロール104に固定されたリアハウジング151と固定スクロール104とによって囲まれた空間に形成されている。また、吐出弁108は、吐出弁108の最大開度を規制する弁止板(弁押さえ)109とともにボルト110により端板部104bに共締め固定されている。
【0041】
ところで、端板部104bには、圧縮行程中の作動室Vcと吸入室106とを連通させるパイパスポート(バイパス孔)114が形成されており、このバイパスポート114は、端板部104bのうち、作動室Vcの体積がその最大体積に対して約50%となる部位、及び最大体積に対して約20%となる部位に設けられている。以下、バイパスポート114のうち最大体積に対して50%となる部位に位置するバイパスポートを第1バイパスポート114aと表記し、最大体積に対して20%となる部位に位置するバイパスポートを第2バイパスポート114bと表記し、両バイパスポート114a、114bを総称するときは、バイパスポート114と表記する。
【0042】
因みに、スクロール型圧縮機では、図3に示すように、旋回スクロール105の旋回とともに、作動室Vcは、歯部104a、105bの渦巻き外方側から内方側に旋回移動しながらその体積を縮小させているので、第1バイパスポート114aは、第2バイパスポート114bより渦巻き外方側に位置している。
【0043】
なお、シャフト101を回転させると、旋回スクロール105は、クランク部101a周りに自転しようとするが、図2に示すように、ピン及びリングからなる周知の自転防止機構105cが設けられているので、旋回スクロール105は自転せずに、シャフト101周りを旋回(公転)する。
【0044】
また、端板部104b内には、図2、4に示すように、直線上に延びるガイドシリンダボア(円柱状の穴)115が形成されており、このガイドシリンダボア(以下、シリンダと略す。)115内には、バイパスポート114を開閉するスプール弁体(以下、スプールと略す。)116が摺動可能に配設されている。
【0045】
そして、スプール116には、シリンダ115の内径寸法と略等しい外形寸法を有して第1、2バイパスポート114a、114bを開閉する第1〜3弁部11a〜11c、及びシリンダ115の内径寸法より小さい外形寸法を有してバイパスポート114から流出する冷媒の通路を構成するロッド部116d、116eが形成されている。
【0046】
因みに、117a〜117cは、バイパスポート114から流出した冷媒を吸入室106に導くバイパス通路である。
【0047】
ところで、スプール116の摺動方向(図2の矢印方向)一端側(形態では、図2、4の上方側)には、スプール116の摺動方向他端側に向けてスプール116を押圧する弾性力を発揮するコイルスプリング(弾性手段)118fが配設されているとともに、バイパス通路117a、117cを介して圧縮機構Cpの吸入圧(吸入室106内の圧力)Psが作用している。以下、スプール116の摺動方向一端側に作用するコイルスプリング118fの弾性力Fs及び吸入圧Psによる力を開弁力と呼ぶ。
【0048】
一方、スプール116の摺動方向他端側(形態では、図2、4の下方側)には、図2に示すように、圧縮機構Cpの吐出圧Pdを減圧調整し、その減圧調整した調整圧力(以下、この調整圧力を制御圧Pcと呼ぶ。)をスプール116のうち摺動方向の他端側に作用させる圧力調整手段118が設けられている。
【0049】
なお、以下、スプール116の摺動方向他端側(制御圧Pcが導入されている空間119)を制御圧力室119と呼び、スプール116の摺動方向他端側に作用する制御圧Pcによる力を閉弁力と呼ぶ。
【0050】
また、圧力調整手段118は、吸入室106と制御圧力室119とを連通させる第1、2制御通路118a、118bと、第1制御通路118aを開閉する第1電磁弁(第1弁手段)118c及び第2制御通路118bを開閉する第2電磁弁(第2弁手段)118dと、第2制御通路118bに配設されて吸入室106と制御圧力室119との差圧が所定圧力(以下、この圧力を設定差圧と呼ぶ。)以上となったときのみ、制御圧力室119内の冷媒を吸入室106側に流通させる(逃がす)差圧弁118eとから構成されている。
【0051】
なお、第1電磁弁118cは、非通電時開(ノーマルオープン)型の電磁弁であり、第2電磁弁118dは非通電時閉(ノーマルクローズ)型の電磁弁である。
【0052】
因みに、差圧弁118eは、第2制御通路118bを開閉する球状弁体と、この球状弁体に対して第2制御通路118bを閉じる向きの弾性力を作用させるコイルバネ(弾性部材)から構成された周知のものである。
【0053】
また、120はスプール116の最大変位を規制するとともに、シリンダ115の一端側を閉塞する蓋(プラグ)を兼ねるストッパであり、121は吐出室107と制御圧力室119とを所定圧力損失をもって連通させる固定絞り(絞り手段)である。
【0054】
次に、圧縮機100の特徴的作動について図5を用いて述べる。
【0055】
1.最小容量(約20%)運転時(図5(a)参照)
第1、2電磁弁118c、118dへの通電を遮断し、第1制御通路118aを連通させ、かつ、第2制御通路118bを閉じる。
【0056】
これにより、制御圧力室119内の制御圧Pcは吸入圧Psとなるので、コイルスプリング118fの弾性力Fsにより開弁力が閉弁力を上回り、スプール116がストッパ120に衝突するまで弾性力Fsの向きに摺動変位する。
【0057】
そして、この状態では、第1、2バイパスポート114a、114bが開くように構成されているため、圧縮機100(圧縮機構Cp)の吐出容量が、最大時の約20%となる。
【0058】
2.中間容量(約50%)運転時(図5(b)参照)
第1、2電磁弁118c、118dへ通電することにより、第1制御通路118aを閉じ、第2制御通路118bを連通させる。
【0059】
これにより、閉弁力は、最小容量運転時に比べて差圧弁118eの設定差圧に対応する分だけ増大するので、スプール116は、弾性力Fsと釣り合う位置まで閉弁力の向きに摺動変位する。
【0060】
そして、この状態では、第1バイパスポート114aが開き、第2バイパスポート114bが閉じるように構成されているため、圧縮機100(圧縮機構Cp)の吐出容量が、最大時の約50%となる。
【0061】
3.最大容量(100%)運転時(図5(c)参照)
第1電磁弁118cへ通電するとともに、第2電磁弁118dへの通電を遮断することにより、第1、2制御通路118a、118bを閉じる。
【0062】
これにより、制御圧Pcは吐出圧Pdとなるので、閉弁力が開弁力を上回り、コイルスプリング118fを押し縮めるようにスプール116が弾性力Fsの向きと反対の向きに摺動変位する。
【0063】
そして、この状態では、第1、2バイパスポート114a、114bが閉じるように構成されているため、圧縮機100(圧縮機構Cp)の吐出容量が、最大容量となる。
【0064】
次に、形態の特徴を述べる。
【0065】
形態によれば、コイルスプリング118fの弾性力Fsと吐出圧Pdを減圧調整した制御圧Pcとの釣り合いによりスプール116を可動させるので、弾性力Fsを制御圧Pc(吸入圧Ps)の最大圧力による力より(十分に)大きくしておけば、サイクルの熱負荷の影響を受けずにスプール116を可動させることができる。
【0066】
したがって、加速時や登坂時等のエンジン500の負荷が大きいときに、圧縮機100の吐出容量を減少させるべく、圧力調整手段118(第1、2電磁弁118c、118d)を作動させれば、エンジン500の負荷の変動に対して迅速に吐出容量を減少変化させることが可能となる。延いては、加速性能及び車両燃費を十分に向上させつつ、過度に吐出容量が低下してしまうことを防止することができる。
【0067】
また、圧縮機100の吐出容量を減少させたとき(例えば、中間容量運転時)には、制御圧Pcは、吸入圧Psに対して設定差圧(形態では、約0.2MPa)を有する圧力となるので、吸入圧Psの変動、すなわちサイクルの熱負荷に影響されことなく、圧力調整手段118の作動に対して応答性良く、スプール116を稼働させることができる。
【0068】
また、圧縮機100が停止した状態において、少なくとも第1電磁弁118cを開いておけば、圧縮機100の起動時には、圧縮機100は最小容量運転状態となって起動するので、圧縮機100起動時に発生するショック(エンジン500に発生する大きなトルク変動)を緩和することができる。
【0069】
また、圧縮機100の吐出容量を3段階(20%、50%、100%)に分けて制御しているので、エンジン500の負荷は勿論、サイクルの熱負荷に応じても木目細かに吐出容量を制御することができる。
【0070】
また、図4に示すように、バイパスポート114を略一直線上に配置させることにより、1本のスプール116により複数個のバイパスポート114を開閉することができる。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、バイパスポート114の開閉機構の構造を簡素なものとすることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、第1電磁弁118cをノーマルオープン型とし、第2電磁弁118dをノーマルクローズ型としたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0072】
(第1実施形態)
本実施形態は、図6に示すように、スプール116の摺動方向他端側に位置するストッパ120を、スプール116と同様な方向に摺動可能とすることにより、スプール116の最大変位幅を変化させて吐出容量を3段に分けて制御するようにしたものである。
【0073】
以下、図6を基に本実施形態の特徴部分を説明する。なお、スプール116の可動(摺動)を制御する圧力調整手段以外は、前提となる形態と同じであるので、圧縮機100の全体構造の説明は省略する。
【0074】
スプール116の摺動方向(図6の矢印方向)一端側(本実施形態では、図6の上方側)には、スプール116の摺動方向他端側に向けてスプール116を押圧する弾性力を発揮するコイルスプリング(弾性手段)122が配設されているとともに、バイパス通路117a、117cを介して吸入圧Psが作用している。
【0075】
一方、スプール116の摺動方向他端側(本実施形態では、図6下方側)には、吐出圧Pdと吸入圧Psとを切り替えて、その切り替えた制御圧をスプール116の摺動方向他端側作用させる第1圧力調整手段123が設けられている。なお、以下、第1圧力調整手段123によりスプール116の摺動方向他端側に供給される圧力を第1制御圧Pc1と呼び、第1制御圧Pc1が作用している空間124を第1制御圧室124と表記する。因みに、第1制御圧室124は、図6から明らかなように、シリンダ115、スプール116及びストッパ120から構成されている。
【0076】
ここで、第1圧力調整手段123は、所定の圧力損失を発生する第1固定絞り125を有して吐出室107と第1制御圧室124とを連通させる冷媒通路126と、第1制御圧室124と吸入室106とを連通させる冷媒通路127を開閉するノーマルオープン型の第3電磁弁128とから構成されている。
【0077】
また、129は、ストッパ120のうちスプール116と反対側に、吐出圧Pdと吸入圧Psとを切り替えて、その制御圧を作用させる第2圧力調整手段である。なお、以下、第2圧力調整手段129によりストッパ120のうちスプール116と反対側に供給される圧力を第2制御圧Pc2と呼び、第2制御圧Pc2が作用している空間130を第2制御圧室130と表記する。
【0078】
ここで、第2圧力調整手段129は、所定の圧力損失を発生する第2固定絞り131を有して吐出室107と第2制御圧室130とを連通させる冷媒通路132と、第2制御圧室130と吸入室106とを連通させる冷媒通路133を開閉するノーマルオープン型の第4電磁弁134とから構成されている。
【0079】
次に、圧縮機100の特徴的作動について図6を用いて述べる。
【0080】
1.最小容量(約20%)運転時(図6(a)参照)
第3、4電磁弁128、134への通電を遮断し、第1、2制御圧Pc1、Pc2を吸入圧Psとする。
【0081】
これにより、コイルスプリング122の弾性力Fsによりスプール116がストッパ120に衝突したまま、ストッパ120がシリンダ115の段付き部115aに衝突するまで弾性力Fsの向きに摺動変位する。ここで、段付き部115aは、ストッパ120の最大変位を規制するストッパ手段を構成するものである。
【0082】
そして、この状態では、第1、2バイパスポート114a、114bが開くように構成されているため、圧縮機100(圧縮機構Cp)の吐出容量が、最大時の約20%となる。
【0083】
2.中間容量(約50%)運転時(図6(b)参照)
第3電磁弁128への通電を遮断し、第4電磁弁へ通電することにより、第1制御圧Pc1を吸入圧Psとし、第2制御圧Pc2を吐出圧Pdとする。
【0084】
これにより、ストッパ120が弾性力Fsに対向してコイルスプリング122を押し縮めるように、スプール166の摺動方向一端側に移動するので、第2バイパスポート114bが閉じた状態となり、圧縮機100(圧縮機構Cp)の吐出容量が、最大時の約50%となる。
【0085】
3.最大容量(100%)運転時(図6(c)参照)
第3、4電磁弁128、134へ通電し、第1、2制御圧Pc1、Pc2を吐出圧Pdとする。
【0086】
これにより、コイルスプリング122を押し縮めるようにスプール116が弾性力Fsの向きと反対の向きに摺動変位するので、第1、2バイパスポート114a、114bが閉じ、圧縮機100(圧縮機構Cp)の吐出容量が、最大容量となる。
【0087】
そして、前提となる形態で述べたように、エンジン500の負荷に応じて圧縮機100の吐出容量を制御すれば、加速性能及び車両燃費を十分に向上させつつ、過度に吐出容量が低下してしまうことを防止することができる。
【0088】
(第実施形態)
本実施形態は、図7に示すように、第1圧力調整手段123に第1制御圧Pc1導く冷媒通路(第1通路)126、127と、第2圧力調整手段129に第2制御圧Pc2を導く冷媒通路(第2通路)132、133とを、リアハウジング151と固定スクロール104との間に挟まれたガスケット150にて区画した状態で略平行に設けたものである。
【0089】
すなわち、図7、8に示すように、固定スクロール104の端板部104bのうちリアハウジング151側の面に冷媒通路126、127を構成する溝を形成し、一方、リアハウジング151のうち端板部104b側の面に冷媒通路132、133を構成する溝を形成するとともに、端板部104bの溝及びリアハウジング151の溝の開口側をガスケット150にて閉塞したものである。
【0090】
ここで、ガスケット150とは、リアハウジング151と固定スクロール104とを隙間なく密閉(シール)するものであり、本実施形態では、金属の表裏両面にゴム等の樹脂を被覆したものである。
【0091】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0092】
ところで、作動室Vcから吐出する冷媒の脈動は吐出室107にて平滑化されるが、脈動を十分に平滑化するためには、吐出室107の容積を十分に大きくする必要がある。
【0093】
ここで仮に、冷媒通路126、127(以下、この冷媒通路を第1冷媒通路126と表記する。)と冷媒通路132、133(以下、この冷媒通路を第2冷媒通路132と表記する。)との両者をリアハウジング151及び固定スクロール104(端板部104b)のいずれか一方側に形成すると、必然的に両通路126、132は、圧縮機の軸方向に対して並列に(図8の紙面方向に並列に)並んでしまうので、吐出室107の容積が小さくなってしまうおそれがある。
【0094】
これに対して、本実施形態によれば、第1、2冷媒通路126、132がガスケット150にて区画された状態で略平行に設けられているので、第1、2冷媒通路126、132が圧縮機の軸方向に対して直列に並ぶこととなり、吐出室107の容積が小さくなってしまうことを防止できる。したがって、圧力脈動を十分に平滑化しつつ、加速性能及び車両燃費を十分に向上させ、かつ、過度に吐出容量が低下してしまうことを防止することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、第3、4電磁弁128、134をフロントハウジング102とリアハウジング151との間に配設し、かつ、冷媒通路127、133をリアハウジング151内に設けたが、図9に示すように、第3、4電磁弁128、134をフロントハウジング102と固定スクロール104との間に配設し、かつ、冷媒通路127、133を固定スクロール104内に形成してもよく、また、図10に示すように、第3、4電磁弁128、134及び冷媒通路127、133の両者をリアハウジング151内に設けてもよい。
【0096】
(第実施形態)
本実施形態は、図11に示すように、第2、3実施形態に係る圧縮機において、ストッパ120をスプール116に向けて押圧する弾性力をストッパ120に作用させるコイルスプリング(弾性手段)140を第2制御室130内に設けたものである。
【0097】
これにより、エンジン500の振動や車両振動により、ストッパ120が第1制御室124(空間124)内で振動する(がたつく)ことを防止できるので、ストッパ120の振動に起因する騒音を未然に防止できる。
【0098】
なお、図11(a)、(b)から明らかなように、最小容量運転時及び中間容量運転時においては、ストッパ120はスプール116とコイルスクリング140とにより挟まれた状態になることにより振動が抑制され、最大容量運転時には、ストッパ120は段付き部115aとコイルスクリング140とにより挟まれた状態になることにより振動が抑制される。
【0099】
(その他の実施形態)
第1実施形態では、最小容量運転時に第2電磁弁118dを閉じていたが、この状態では、第1電磁弁118cを開いているので、第2電磁弁118dを開くように制御しても実用上問題ない。
【0100】
また、上述の実施形態では、スロットルバルブの開度を検出することにより、エンジン500の負荷を検出したが、エンジン500の回転数変化及び吸入負圧等その他のパラメータからエンジン500の負荷を検出してもよい。
【0101】
また、本発明に係る圧縮機は、作動室Vcがその体積を拡大縮小させながら移動していくタイプの圧縮機に対して適用することができるものであるから、ローリングピストン型やべーン型等の圧縮機に対しても適用することができる。
【0102】
また、上述の実施形態では、圧力制御手段(電磁弁等)が圧縮機に内蔵されていたが、圧力制御手段(電磁弁等)を固定スクロール104に外付けしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 冷凍サイクルの模式図である。
【図2】 本発明の前提となる形態に係る圧縮機の断面図である。
【図3】 旋回スクロールの作動を示す説明図である。
【図4】 図1のA−A断面図である。
【図5】 本発明の前提となる施形態に係る圧縮機におけるスプールの作動を示す説明図である。
【図6】 本発明の第実施形態に係る圧縮機におけるスプールの作動を示す説明図である。
【図7】 本発明の第実施形態に係る圧縮機の断面図である。
【図8】 図7のB−B断面図である。
【図9】 本発明の第実施形態の変形例に係る圧縮機の断面図である。
【図10】 本発明の第実施形態の変形例に係る圧縮機の断面図である。
【図11】 本発明の第実施形態に係る圧縮機におけるスプールの作動を示す説明図である。
【符号の説明】
104 固定スクロール
105 旋回スクロール
114a、114b 第1、第2バイパスポート
114b 第2バイパスポート
115 ガイドシリンダボア
116 スプール弁体
116a〜116c 弁部
116d、116e ロッド部
120 ストッパ
122、140 コイルスプリング
123、129 第1、第2圧力調整手段
124、130 第1、第2制御圧室
125、131 固定絞り
128、134 第3、第4電磁弁
150 ガスケット

Claims (6)

  1. 固定スクロール(104)及び旋回スクロール(105)を有し、前記旋回スクロール(105)を前記固定スクロール(104)に対して旋回させることにより、流体を吸入圧縮する作動室(Vc)を拡大縮小させる圧縮機構(Cp)、圧縮行程中の前記作動室(Vc)のうち少なくとも2種類の状態の作動室(Vc)と前記圧縮機構(Cp)の吸入側とを連通させる第1、第2バイパス孔(114a、114b)、並びに、前記第1、第2バイパス孔(114a、114b)を開閉する弁体(116)を備える可変容量スクロール型圧縮機であって、
    前記弁体(116)の可動方向一端側から、前記弁体(116)に弾性力を作用させる弾性手段(122)と、
    前記弁体(116)の可動方向他端側において、前記弁体(116)の可動方向と平行な方向に変位可能に配設され、前記弁体(116)の可動範囲を規制するストッパ(120)と、
    前記弁体(116)のうち前記可動方向他端側、および、前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側に、前記圧縮機構(Cp)の吐出圧及び前記圧縮機構(Cp)の吸入圧を切り替えて作用させる第1圧力調整手段(123)と、
    前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側と反対側に、前記吐出圧及び前記吸入圧を切り替えて作用させる第2圧力調整手段(129)とを備え
    前記第1バイパス孔(114a)に連通する状態の作動室(Vc)の体積は、前記第2バイパス孔(114b)に連通する状態の作動室の体積(Vc)よりも大きく、
    前記圧縮機構(Cp)の吐出容量を最大容量とするときは、
    前記第1圧力調整手段(123)が、前記弁体(116)の前記可動方向他端側および前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側に前記吐出圧を作用させるとともに、前記第2圧力調整手段(129)が、前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側と反対側に前記吐出圧を作用させることによって、前記弾性力の向きと反対の向きに前記弁体(116)を変位させて、第1、第2バイパス孔(114a、114b)の双方を閉じ、
    前記圧縮機構(Cp)の吐出容量を中間容量とするときは、
    前記第1圧力調整手段(123)が、前記弁体(116)の前記可動方向他端側および前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側に前記吸入圧を作用させるとともに、前記第2圧力調整手段(129)が、前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側と反対側に前記吐出圧を作用させることによって、前記弾性力の向きと反対の向きに変位させた前記ストッパ(120)にて、前記弁体(116)の変位を規制して、前記第1バイパス孔(114a)を開くともに、前記第2バイパス孔(114b)を閉じ、
    前記圧縮機構(Cp)の吐出容量を最小容量とするときは、
    前記第1圧力調整手段(123)が、前記弁体(116)の前記可動方向他端側および前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側に前記吸入圧を作用させるとともに、前記第2圧力調整手段(129)が、前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側と反対側に前記吸入圧を作用させることによって、前記弾性力の向きに変位させた前記ストッパ(120)にて、前記弁体(116)の変位を規制して、前記第1、第2バイパス孔(114a、114b)の双方を開くことを特徴とする可変容量スクロール型圧縮機。
  2. 前記第1、第2バイパス孔(114a、114b)は、前記固定スクロール(104)の渦巻き状の歯部(104a)の根本部に形成された板状の端板部(104b)に、それぞれ2箇所づつ設けられており、
    前記弁体部は、前記端板部(104b)に形成されて前記第1、第2バイパス孔(114a、114b)に連通する円柱状の穴(115)に対して、摺動可能に配設されたスプール弁体(116)で構成され、
    さらに、前記スプール弁体(116)は、前記第1、第2バイパス孔(114a、114b)を開閉する複数の弁部(116a、116b、116c)、および、前記複数の弁部(116a、116b、116c)を連結するロッド部(116d、116e)を有し、
    前記複数の弁部(116a、116b、116c)の外径寸法は、前記円柱状の穴(115)の内径寸法と略等しく形成され、
    前記ロッド部(116d、116e)の外形寸法は、前記円柱状の穴(115)の内径寸法より小さく形成され、
    前記円柱状の穴(115)と前記ロッド部(116d、116e)との隙間には、前記第1、第2バイパス孔(114a、114b)から前記吸入側へ流体を流す流体通路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量スクロール形圧縮機。
  3. 前記弁体(116)のうち前記可動方向他端側と前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側との間に形成されて前記第1圧力調整手段(123)によって供給される圧力が作用する空間を第1制御圧室(124)とし、前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側と反対側に形成されて前記第2圧力調整手段(129)によって供給される圧力が作用する空間を第2制御圧室(130)としたときに、
    前記第1圧力調整手段(123)は、固定絞り(125)を介して前記圧縮機構(Cp)の吐出側と前記第1制御圧室(124)とを連通させる第1吐出側連通路(126)、前記圧縮機構(Cp)の吸入側と前記第1制御圧室(124)とを連通させる第1吸入側連通路(127)、および、前記第1吸入側連通路(127)を開閉する電磁弁(128)を有し、
    前記第2圧力調整手段(129)は、固定絞り(131)を介して前記圧縮機構(Cp)の吐出側と前記第2制御圧室(130)とを連通させる第2吐出側連通路(132)、前記圧縮機構(Cp)の吸入側と前記第2制御圧室(130)とを連通させる第2吸入側連通路(133)、および、前記第2吸入側連通路(133)を開閉する電磁弁(134)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量スクロール型圧縮機。
  4. さらに、前記固定スクロール(104)に対して、ガスケット(150)を介して固定されるとともに、前記作動室(Vc)から吐出する流体の脈動を平滑化する吐出室(107)を形成するリアハウジング(151)を備え、
    前記第1吐出側連通路(126)および前記第1吸入側連通路(127)の少なくとも一部が、前記第2吐出側連通路(132)および前記第2吸入側連通路(133)の少なくとも一部に対して、前記ガスケット(150)にて区画された状態で略平行に設けられていることを特徴とする請求項に記載の可変容量スクロール型圧縮機。
  5. さらに、前記ストッパ(120)のうち前記弁体(116)の前記可動方向他端側に対向する側と反対側に配置されて、前記ストッパ(120)を前記弁体(116)に向けて押圧する弾性力を作用させるストッパ側弾性手段(140)とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の可変容量スクロール型圧縮機。
  6. 車両走行用駆動源(500)から駆動力を得て稼働する請求項1ないし5のいずれか1つに記載の可変容量スクロール型圧縮機(100)と、
    前記可変容量スクロール型圧縮機(100)から吐出する冷媒を冷却する放熱器(200)と、
    前記放熱器(200)から流出する冷媒を減圧する減圧器(300)と、
    前記減圧器(300)にて減圧された冷媒を蒸発させるとともに、その蒸発した冷媒を前記可変容量スクロール型圧縮機(100)の吸入側に向けて流出させる蒸発器(400)と、
    前記車両走行用駆動源(500)の駆動負荷を検出する駆動負荷検出手段(600)と、
    前記駆動負荷検出手段(600)により検出された駆動負荷が所定負荷以上となったときに、前記第1、2圧力調整手段(123、129)のうち少なくとも一方を作動させて前記可変容量スクロール型圧縮機(100)の吐出容量を縮小させる制御手段(700)とを備えることを特徴とする車両用冷凍サイクル。
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