JP4255200B2 - 低抵抗コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(例えばCOG、TABタイプ等)と電子回路基板との接続、あるいは複数の電子回路基板の接続等に用いられる低抵抗コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(以下、LCDという)と電子回路基板あるいは複数の電子回路基板は、必要に応じて接続されるが、このような接続には、一般的に低い抵抗値を示す低抵抗コネクタが使用される。
この種の低抵抗コネクタは、図示しないが、通常硬度の高いゼブラ状の異方導電コネクタ層と、この異方導電コネクタ層の両側面、換言すれば、非接触面にそれぞれ設けられる硬度の低い絶縁層とを備え、組み込まれるパーソナルコンピュータや携帯電話等の機種ごとに個別に設計されるとともに、LCDライトガイドホルダとの相性を考慮して設計され、LCDライトガイドホルダに組み込まれて上下からの応力で圧縮変形することにより、LCDと電子回路基板、又は複数の電子回路基板を接続する。
【0003】
異方導電コネクタ層は、導電性エラストマーと絶縁性エラストマーとが互いに平行になるよう交互に、かつ多重に複数積層されることにより形成される。導電性エラストマーは、絶縁性エラストマー中に導電粒子や導電繊維等の導電材料が含有されることにより形成される。絶縁層は、硬度15°H〜50°H以下で形成され、異方導電コネクタ層が薄く、低抵抗コネクタの厚さが不足している場合に低抵抗コネクタ全体の受ける荷重を低減するよう機能する。
このような構成の低抵抗コネクタは、異方導電コネクタ層が厚く、硬度が高くなるほど、圧縮時の荷重が大きくなり、接続特性が安定するという特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の低抵抗コネクタは、以上のように構成されているので、以下の問題がある。先ず、低抵抗コネクタの異方導電コネクタ層と絶縁層との間に20°以上の硬度差があるので、異方導電コネクタ層が全体の1/3以下と非常に薄い場合に低抵抗コネクタに座屈現象が生じ、低抵抗コネクタが途中から屈曲して接続特性が不安定化したり、最悪の場合には接続に支障を来すおそれが少なくない。このような問題は、LCDライトガイドホルダに低抵抗コネクタを組み込む場合に、低抵抗コネクタの高さ/低抵抗コネクタの厚さの値が3以上のとき等にも生じる。
【0005】
また近年、携帯電話等の小型軽量化が進められているが、このような携帯電話等に圧縮時の荷重の大きい低抵抗コネクタを単に組み込むと、様々な問題が発生する。すなわち、携帯電話等における低抵抗コネクタの圧縮時の荷重が大きいと、LCDガラス基板の破損や基板の反り等が生じ、接続不良を招くこととなる。したがって、組み込むべき対象が小型軽量の携帯電話等の場合には、圧縮時の荷重の小さい低抵抗コネクタが必要となる。
しかし、圧縮時の荷重を小さくしようとすると、異方導電コネクタ層が薄く、硬度が低くなるので、接続特性の不安定化という大きな問題が新たに生じる。このように接続特性と圧縮時の荷重低減とは、相反する関係にあるので、様々なデザインのLCDライトガイドホルダに対して低抵抗コネクタを設計する場合に大きな制約要素となる。
【0006】
また、異方導電コネクタ層に使用される導電材料は、非常に高価なので、異方導電コネクタ層を薄くすれば、大幅なコストダウンを通じて安価な低抵抗コネクタを得ることができる。例えば、異方導電コネクタ層の厚さを1/2の厚さにすれば、価格に最も影響する導電材料の使用部分が半分となるので、低抵抗コネクタの単価も半分となる(抵抗値は2倍となるが、もともとの抵抗値が低いので、実用上問題ない)。
しかしながら、低抵抗コネクタは、座屈を考慮して異方導電コネクタ層の幅を大きくする必要がある。経験則等からいえば、異方導電コネクタ層の幅は、最低でも低抵抗コネクタの厚さ/2程度は必要である。以上のことから明らかなように、従来の低抵抗コネクタは、座屈を抑制防止することができるものの、異方導電コネクタ層に使用される導電材料も多いので、きわめて高価であり、コストダウンを図ることができない。
【0007】
さらに、従来、低抵抗コネクタを製造する場合には、低抵抗コネクタの異方導電コネクタ層と絶縁層とを縦横にカットし、所定の大きさにするが、この作業の際に低抵抗コネクタが密着しやすいという問題がある。具体的に説明すると、絶縁層は、異方導電コネクタ層が薄く、低抵抗コネクタの厚さが不足している場合に低抵抗コネクタ全体の受ける荷重を低減するため、非常に硬度の低い材料で成形される。このため、絶縁層は、低分子成分を含んだり、スポンジ状に成形されるので、自己粘着力が強いという特徴がある。したがって、低抵抗コネクタを縦横にカットしても、カットした断面が自己粘着で粘着してしまい、作業効率が実に悪化することとなる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、座屈の防止、接続特性の向上、及び圧縮時の荷重低減を図ることができ、しかも、切断後の粘着防止を通じて作業効率の向上を図ることのできる安価な低抵抗コネクタを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記課題を解決するため、異方導電コネクタ層の非接触面に絶縁保護層を設け、これら異方導電コネクタ層と絶縁保護層との間に絶縁支持層を介在させたものであって、
異方導電コネクタ層を、導電性物質を含む導電性エラストマーと絶縁性エラストマーとをその接合面が互いに平行になるよう交互に、かつ多重に複数積み重ねて形成し、
絶縁保護層を、絶縁支持層に接触する硬度20°Hあるいは30°Hの絶縁内層と、厚さ0.01〜0.1mmで硬度80°Hの絶縁外層とから二層構造に形成し、絶縁支持層を、厚さ0.01〜0.5mmで硬度80°Hに形成し、
絶縁保護層から絶縁支持層までの総厚さを0.25〜1.5mmとしたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における低抵抗コネクタは、図1ないし図3に示すように、異方導電コネクタ層1の両側面、換言すれば、パーソナルコンピュータや携帯電話等の電極部分との非接触面に、荷重軽減と作業性のための絶縁保護層10を設け、これら異方導電コネクタ層1と一対の絶縁保護層10との間に板状の絶縁支持層20をそれぞれ介在させるようにしている。そして、図示しないパーソナルコンピュータや携帯電話等のLCDライトガイドホルダに組み込まれて上下からの応力で圧縮変形することにより、上下に位置するLCDと電子回路基板、又は複数の電子回路基板を接続する。
【0011】
異方導電コネクタ層1は、導電性物質を含有する板状の導電性エラストマー2と、この導電性エラストマー2と同形状の絶縁性エラストマー3とを備え、これら矩形の導電性エラストマー2と絶縁性エラストマー3とが互いに平行になるよう交互に、かつ多重に複数積層されることによりゼブラ状に形成される。導電性エラストマー2は、絶縁性エラストマー中に導電粒子(例えば、カーボンや金属等)や導電繊維等の導電材料4が含有されることにより形成される。
【0012】
導電性エラストマー2の絶縁性エラストマーは、自重で変形せず、硬化後に塑性変形することのない弾性材料、換言すれば、形状の安定性が期待できる弾性材料を用いて成形される。具体的には、天然ゴム、ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・ブタジエン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・エチレン・スチレン、エチレン・プロピレン、エチレン・プロピレン・ジエン等の各共重合体ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ポリサルファイドゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム等の合成ゴム類のほか、ポリエステルエラストマ等の熱可塑性エラストマー、塑性化塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂等があげられる。これらの中でも、耐候性、電気絶縁性、耐熱性、圧縮永久歪み、加工性等に優れる安価なシリコーンゴムの選択が最適である。
【0013】
シリコーンゴムとしては、通常ジメチル、メチルフェニル、メチルビニル等の各ポリシロキサン類、シリカのような充填剤を配合して適当なレオロジー特性が付与されたハロゲン化ポリシロキサン類、又は金属塩類でバルカナイズ、若しくは硬化されたハロゲン化ポリシロキサン類等があげられる。
【0014】
導電性を確保する導電材料4は、少なくとも表面が金属被覆されているものであれば良い。具体的には、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、ステンレス鋼、黄銅等の金属単体からなる球状若しくはフレーク状の粒子や繊維だけではなく、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂や熱化塑性樹脂、これらの焼成品、カーボン、セラミックス、ガラス等の無機材料等の粉末ないし繊維状のものを核材とし、その表面を上記金属によりメッキ、蒸着、スパッタ、CVD等の方法で被覆したもの、あるいは上記材料を2種以上混合したもの等があげられる。また、本発明においては、少なくとも金属表面、銀表面を有する材料が導電材料4に含まれる。
【0015】
金属表面を有する導電材料4としては、金属単体からなるもの、金属被覆したものの場合には、金属含有率が20重量%以上のもので、球状、フレーク状、繊維状、又はこれらの混合品があげられる。金属含有率を20重量%以上とするのは、金属含有率が20重量%未満の場合には、核材全体を金属被覆することができず、安定した導通を得ることができないからである。この導電材料4としては、銀が最も好ましい。
【0016】
導電材料4は、絶縁性エラストマーの樹脂原料100重量部に150〜500重量部混合される。これは、150重量部未満の場合には、導電性物質の配合量が少なく、導通不能となるか、安定した抵抗値を得ることができなくなるからである。逆に500重量部を超えると、導電性エラストマー2としての物性が低下して弾性が低くなり、低抵抗コネクタの材料としては不適切となる。また、メッキされた金属粒子や金属単体からなる粒子を混合して用いる場合、平均粒径が0.1〜1.0μmの細かい粒子と、平均粒径が2〜30μmの粗い粒子とを混合したものが最も低い電気抵抗値を示すので、好ましい。導電性エラストマー2に重ねられる絶縁性エラストマー3については、導電性エラストマー2を形成する絶縁性エラストマーと略同様である。
【0017】
各絶縁保護層10は、硬度15°H〜50°H以下で板状の絶縁内層11と、厚さ0.01〜0.1mm、硬度70°H以上で同形状の絶縁外層12とから二層構造に形成され、絶縁内層11が絶縁支持層20に接触し、絶縁外層12が絶縁内層11に接触する。絶縁内層11は、異方導電コネクタ層1の絶縁性エラストマー3と略同様の材料を用いて硬度15°H〜50°H以下、好ましくは硬度の安定性や製造の加工性の観点から硬度15°H〜30°H以下に成形される。絶縁内層11の材料としては、上記同様、シリコーンゴムの選択が最適である。絶縁内層11の硬度を15°H〜50°H以下とするのは、硬度が15°H以下の場合には、柔らか過ぎて層として機能しなくなるからである。逆に、50°Hを超える場合、圧縮荷重を低減することができず、絶縁保護層10の意義が喪失する。
【0018】
絶縁外層12は、異方導電コネクタ層1の絶縁性エラストマー3と略同様の材料を用いて厚さ0.01〜0.1mm、好ましくは厚さ0.02〜0.1mmに成形されるとともに、硬度70°H以上、望ましくは硬度70°H〜85°Hに成形される。絶縁外層12の材料も、上記同様、シリコーンゴムが最適である。絶縁外層12の厚さが0.01〜0.1mmなのは、この範囲ならば、例えばモジュール組み込み時におけるLCDライトガイドホルダ等の内壁や脱落防止用リブとの摺動性を向上させ、接続特性を安定させることができるからである。また、絶縁外層12の厚さが0.01mm未満の場合には、摺動性が期待できないからである。逆に、絶縁外層12の厚さが0.1mmを超える場合、圧縮荷重を低減することができず、保護層の意義が喪失する。
【0019】
絶縁外層12の硬度が70°H以上なのは、70°H未満の場合には、作業性の低下を招くからである。また、例えばモジュールへの組み込み時にLCDライトガイドホルダの内壁や脱落防止用リブとの摺動性が悪化してひっかかりやすくなり、接続特性に悪影響を及ぼすこととなる。
【0020】
絶縁支持層20は、異方導電コネクタ層1の絶縁性エラストマー3と略同様の材料を用いて厚さ0.01〜0.5mm、好ましくは厚さ0.15〜0.3mmに成形されるとともに、硬度70°H以上、望ましくは硬度70°H〜85°Hに成形される。絶縁支持層20の材料も、上記同様、シリコーンゴムが最適である。絶縁支持層20の厚さは、低抵抗コネクタのサイズにより異なるが、通常0.01〜0.5mmである。これは、0.01mm未満の場合には、充分な硬度を得ることができないからである。逆に、絶縁支持層20の厚さが0.5mmを超える場合、圧縮荷重が上昇し、LCDガラス基板の破損や基板の反り等が生じ、接続不良を招くおそれが少なくない。
【0021】
絶縁支持層20の硬度が70°H以上なのは、70°H未満の場合には、異方導電コネクタ層1と絶縁支持層20との間に硬度差が生じ、安定性が低下して座屈発生のおそれがあるからである。また、製造の安定性や厚み精度に欠けるからである。この絶縁支持層20から絶縁保護層10からまでの総厚さは、0.25〜1.5mmが望ましい。
【0022】
次に、低抵抗コネクタの製造方法について説明する。先ず、ベースとなる合成樹脂フィルム上に絶縁性エラストマー3を成膜し、この絶縁性エラストマー3上に導電性エラストマー2を成膜し、これらを合成樹脂フィルムから剥離して積層シートを得る。合成樹脂フィルムとしては、OPP又はCPP(ポリプロピレン)、ポリエチレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、OPS(ポリスチレン)等があげられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートからなる合成樹脂フィルムが最適である。こうして積層シートを作製したら、この作業を繰り返して複数の積層シートを作製し、これら複数の積層シートを同じ順に積層して積層ブロック体を作製し、これを加硫処理する。
なお、この積層ブロック体の両端部はそれぞれ絶縁性エラストマー3とするのが好ましい。
【0023】
各積層シートの成膜には、印刷法、カレンダー法、コータ法、押出法等を利用すれば良い。但し、安定した生産性を考慮すると、絶縁性エラストマー3と導電性エラストマー2とをカレンダー法で積層製造するのが好ましい。
積層ブロック体を作製したら、積層ブロック体の積層面を横切る方向にスライスして絶縁性エラストマー3と導電性エラストマー2とが交互に筋状に並んだ異方導電コネクタ層1を作製する。
【0024】
異方導電コネクタ層1の作製の際、異方導電コネクタ層1の両側面に絶縁保護層10を絶縁支持層20を介しそれぞれ設ける。異方導電コネクタ層1、絶縁支持層20、絶縁保護層10を接合するには、異方導電コネクタ層1に絶縁支持層20、絶縁保護層10を順次貼り合わせ、これらを加熱して加硫させながら接着する方法、加硫した絶縁支持層20、絶縁保護層10にシリコーン系の接着剤をスクリーン印刷、塗布、コーティング等の方法で塗布して貼り合わせ、これらに熱と圧力を加えて加硫接着する方法等を用いれば良い。そしてその後、異方導電コネクタ層1を、絶縁性エラストマー3と導電性エラストマー2とを横切る所定の幅で裁断すれば、低抵抗コネクタを作製することができる。
【0025】
上記によれば、絶縁保護層10の絶縁外層12と絶縁支持層20との間に20°H以上の硬度差がないので、例えば異方導電コネクタ層1が全体の1/3以下と非常に薄い場合にも、低抵抗コネクタに座屈現象が生じたり、接続不良のおそれをきわめて有効に防止することができる。また、接続特性が安定するだけではなく、圧縮時の荷重も小さいので、LCDガラス基板の破損や基板の反り等に伴い、接続不良を招くことがない。したがって、様々なデザインのLCDライトガイドホルダに対して低抵抗コネクタを設計する場合に大きな制約要素になる問題を有効に解消することができる。
【0026】
また、異方導電コネクタ層1を薄くすることができるので、価格に最も影響する導電材料4の使用部分を減少させることができ、これを通じて低抵抗コネクタのコストダウンと量産が大いに期待できる。さらに、低抵抗コネクタを縦横にカットしても、カットした断面が自己粘着で粘着するのを有効に規制することができるので、作業効率の著しい向上を図ることが可能になる。
【0027】
なお、上記実施形態では異方導電コネクタ層1の両側面に絶縁保護層10を設け、これら異方導電コネクタ層1と一対の絶縁保護層10との間に板状の絶縁支持層20をそれぞれ介在させたが、上下左右を適宜変更しても良い。例えば、異方導電コネクタ層1の上下両面に絶縁保護層10を設け、これら異方導電コネクタ層1と一対の絶縁保護層10との間に板状の絶縁支持層20をそれぞれ介在させることもできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明に係る低抵抗コネクタの実施例を比較例と共に説明する。
実施例1
スライスした異方導電コネクタ層1の両側面に、絶縁支持層20として硬度80°Hの絶縁性エラストマー〔信越化学株式会社製、商品名KE‐981U〕を加硫剤〔信越化学株式会社製、商品名C‐8〕と混ぜて混練し、カレンダーで分出しして0.1mm厚にしたものを貼り合わせ、6時間冷却プレスした後、120℃、10分の条件で接着加硫した。
【0029】
次いで、絶縁保護層10の絶縁外層12として硬度80°Hの絶縁性エラストマー〔信越化学株式会社製、商品名KE‐981U〕に加硫剤〔信越化学株式会社製、商品名C‐19A/B〕を混ぜて混練し、カレンダーで分出しして120℃、10分の条件で加硫し、0.2mmの絶縁外層12を作製した。絶縁外層12を作製したら、クッション層である絶縁内層11として絶縁性エラストマー〔信越化学株式会社製、商品名KE‐951U〕に、加硫剤〔信越化学株式会社製、商品名C‐19A/B〕、発泡剤〔信越ポリマー株式会社製、商品名SOペースト〕を混ぜて混練し、カレンダーで分出しして絶縁内層11を作製し、この絶縁内層11と絶縁外層12とを接合して一体化した。
【0030】
次いで、接合した絶縁内層11と絶縁外層12をプレス成形して発泡させ、絶縁内層11を厚さ0.5mm、硬度20°Hに形成し、この絶縁内層11に接着剤〔信越化学株式会社製、商品名KE‐1800A/B〕を厚さ0.03mmとなるようスクリーン印刷した。そして、異方導電コネクタ層1の絶縁支持層20の両側面に完成した絶縁保護層10の絶縁内層11をそれぞれ積層し、その後、120℃、10分、5kg/cm2の条件で加硫し、低抵抗コネクタを作製した。
【0031】
実施例2
絶縁内層11の硬度を30°Hとし、その他の部分については実施例1と同様とした。
【0032】
比較例1
基本的には実施例1と同様だが、絶縁支持層20を省略して低抵抗コネクタを作製した。
比較例2
基本的には実施例1と同様だが、絶縁支持層20を省略するとともに、絶縁外層12の硬度を70°Hとして低抵抗コネクタを作製した。
【0033】
評価方法
以下の項目について実施例と比較例の低抵抗コネクタをそれぞれ試験し、その結果を表1にまとめて評価した。
(1)初期抵抗:製品である低抵抗コネクタを10%圧縮した場合の抵抗値が20Ω以下ならば○(合格、以下同じ)とし、抵抗値が20Ωを上回る場合には×(不合格、以下同じ)とした。
(2)座屈の発生:低抵抗コネクタを30%圧縮した場合に低抵抗コネクタが均一な形状に圧縮されている場合には○とし、く字状に屈曲した場合には×とした。
【0034】
(3)組み込み時のガラス基板割れ:携帯電話機に類似したPCB‐ITOガラス基板セットを作製し、これに低抵抗コネクタを組み込んで圧縮し、ITOガラス基板が割れなかった場合には○とし、割れた場合には×とした。低抵抗コネクタの圧縮率は、携帯電話機に低抵抗コネクタを組み込んで圧縮した場合の圧縮率(15%)と同様とした。
(4)カット断面での粘着性:カッタでL・H方向にそれぞれカットし、分割した複数の低抵抗コネクタが再粘着しなければ○とし、再粘着した場合には×とした。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、異方導電コネクタ層を、導電性物質を含む導電性エラストマーと絶縁性エラストマーとをその接合面が互いに平行になるよう交互に、かつ多重に複数積み重ねて形成し、絶縁保護層を、絶縁支持層に接触する硬度20°Hあるいは30°Hの絶縁内層と、厚さ0.01〜0.1mmで硬度80°Hの絶縁外層とから二層構造に形成し、絶縁支持層を、厚さ0.01〜0.5mmで硬度80°Hに形成し、絶縁保護層から絶縁支持層までの総厚さを0.25〜1.5mmとするので、低抵抗コネクタの座屈防止、接続特性の向上、及び圧縮時の荷重低減を図ることができ、安価に製造することができるという効果がある。また、切断後の粘着や密着を抑制防止し、これを通じて作業効率の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低抵抗コネクタの実施形態を示す分解斜視説明図である。
【図2】本発明に係る低抵抗コネクタの実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る低抵抗コネクタの実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る低抵抗コネクタの比較例1を示す平面図である。
【図5】本発明に係る低抵抗コネクタの比較例2を示す平面図である。
【符号の説明】
1 異方導電コネクタ層
2 導電性エラストマー
3 絶縁性エラストマー
4 導電材料(導電性物質)
10 絶縁保護層
11 絶縁内層
12 絶縁外層
20 絶縁支持層
Claims (1)
- 異方導電コネクタ層の非接触面に絶縁保護層を設け、これら異方導電コネクタ層と絶縁保護層との間に絶縁支持層を介在させた低抵抗コネクタであって、
異方導電コネクタ層を、導電性物質を含む導電性エラストマーと絶縁性エラストマーとをその接合面が互いに平行になるよう交互に、かつ多重に複数積み重ねて形成し、
絶縁保護層を、絶縁支持層に接触する硬度20°Hあるいは30°Hの絶縁内層と、厚さ0.01〜0.1mmで硬度80°Hの絶縁外層とから二層構造に形成し、絶縁支持層を、厚さ0.01〜0.5mmで硬度80°Hに形成し、
絶縁保護層から絶縁支持層までの総厚さを0.25〜1.5mmとしたことを特徴とする低抵抗コネクタ。
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