JP4254868B2 - 磁気センサ及びこれを用いた磁気エンコーダ - Google Patents

磁気センサ及びこれを用いた磁気エンコーダ Download PDF

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Description

本発明は、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子を有する磁気センサ及びこれを用いた磁気エンコーダに関するものである。
近年、デジタルカメラやインクジェットプリンタなどの民生機器に使用される磁気エンコーダには、小型化及び低価格化に加えて、高分解能化や低消費電力化が強く要求されている。
従来、磁気エンコーダに搭載する磁気センサとしては、NiFe合金薄膜などから成る異方性磁気抵抗効果(以下、AMRと表記)膜が用いられてきた。AMR効果とは、NiFe合金などの強磁性薄膜に流れる電流方向とその強磁性薄膜の磁化方向との相対角度に応じて電気抵抗が変化する現象である。この現象を利用すると、外部からの信号磁界に応じて変化する素子の抵抗変化を電圧あるいは電流変化として出力することができる。即ち、図1に示した概略図のように、交互に多極着磁された磁気媒体に対して、ある所定の間隔を隔ててAMR素子を配置すると、磁気媒体から生じる周期的な信号磁界に応じた出力変化を取り出すことができる。
磁気エンコーダの高分解能化は、磁気媒体の着磁ピッチ(一対のN極及びS極の長さ)及びそれに対応して磁気センサのパターニング幅を狭小化することで達成され得る。しかしながら、磁気媒体の着磁ピッチを狭小化すると、磁気媒体表面からの信号磁界が減少する為、磁気センサを高感度化する必要がある。NiFeなどのAMR膜は、比較的小さい信号磁界で電気抵抗変化を生じるが、その変化率が数%程度と必ずしも大きくなく、磁気エンコーダの高分解能化に際しては、感度不足となる懸念がある。また、一般にAMR膜は、20nm程度の厚さを有する為、磁気媒体の着磁ピッチに対応して磁気センサのパターニング幅を狭小化すると、形状異方性に起因して異方性磁界が増大し、磁界感度の低下を招く恐れがある。更には、AMR膜厚が厚いことは、素子抵抗が比較的小さいことを意味し、消費電力という観点からも課題を有することとなる。
他の磁気センサとして、反強磁性結合型巨大磁気抵抗効果(以下、結合型GMRと表記)膜を利用した素子が特許文献1に記載されている。結合型GMRは、強磁性層と非磁性層を数から数十回交互に積層した人工格子膜から成り、隣接する強磁性層間には、非磁性層を介して反強磁性的な層間結合(磁化方向が互いに反平行となるような相互作用)が生じている。GMR膜においては、非磁性層を介して隣接する強磁性層の磁化方向の相対的な角度に応じて電気抵抗が変化する。より具体的には、外部磁界が印加されていない時、隣接する強磁性層の磁化は互いに反平行となり、抵抗は最大値を示す。一方で、外部磁界が印加され、隣接する強磁性層の磁化が互いに平行に揃うと、抵抗は最小値を示す。結合型GMR膜は、AMR膜に比較して数倍大きな抵抗変化率を示す為、高出力化という観点では有利である。しかしながら、隣接する強磁性層の磁化を反平行から平行に遷移させる為には、非磁性層を介した反強磁性的な層間結合に打ち勝つ大きな磁界が必要であり、磁気エンコーダのような比較的小さい信号磁界を検出する用途に対しては、適切とは言い難い側面もある。また、結合型GMR膜もAMR膜と同様に、センサ膜の膜厚が厚く、素子抵抗が小さい為、低消費電力化が困難である。
比較的小さい信号磁界で応答し、結合型GMR膜と同程度の大きな抵抗変化率を示す磁気センサ膜として、磁気記録再生装置(Hard Disk Drive)の再生磁気ヘッドとして用いられているスピンバルブ型GMR膜が、特許文献2に記載されている。スピンバルブ型GMR膜は、強磁性固定層/非磁性中間層/強磁性自由層の基本構成から成る。強磁性固定層は、隣接して反強磁性層を形成して一方向異方性を付与されることなどにより、その磁化方向が一方向に固定されている。一方で、強磁性自由層は外部磁界に応じて、その磁化方向を変化させる。従って、スピンバルブ型GMR膜においては、比較的小さい磁界で、非磁性中間層を介した2層の強磁性層の磁化を反平行から平行に遷移させることができる。また、スピンバルブ型GMR膜は、結合型GMR膜よりも数倍大きい電気抵抗を有する為、低消費電力化に対しても有利である。スピンバルブ型GMR素子を用いたブリッジ回路磁気センサが、特許文献3に記載されている
特許第2812042号公報 特許第3040750号公報 特許第3017061号公報
しかしながら、AMR素子や結合型GMR素子をスピンバルブ型GMR素子に置き換えてしまうと、分解能が半減してしまうという問題がある。図2(a)に示す磁気抵抗効果曲線から明らかなように、AMR素子(結合型GMR素子も同様)は外部磁界の正負に対して対称な抵抗変化を示す。即ち、これらの素子は、信号磁界の向きには関係なく、その大きさの増減に対応して抵抗変化を出力する。従って、磁気媒体の着磁ピッチλに対して、磁気センサの出力(素子の抵抗変化)は同じ周期λで得られることになる。一方で、スピンバルブ型GMR素子の磁気抵抗効果曲線は、図2(b)に示すように外部磁界の正負に対して非対称であり、磁気媒体の着磁ピッチλに対して、磁気センサの出力(素子の抵抗変化)は周期2λで得られることになる。上述したような磁気媒体の着磁ピッチに対する、(a)AMR素子及び(b)スピンバルブ型GMR素子の出力変化の相違を図3に示した。従って、スピンバルブ型GMR素子を高分解能な磁気エンコーダの磁気センサに用いる場合には、AMR素子や結合型GMR素子が示すような磁気抵抗変化特性を有するように工夫することが必須となる。具体的には、逆位相の磁気抵抗変化特性を示す2つのスピンバルブ型GMR素子の磁気抵抗変化特性を重ね合わせることにより、これは達成される。
しかし、この重ね合わせを行う際、意図せぬ出力相殺が生じることがあり、十分大きな出力を得るのは困難であった。更には、この出力相殺による出力の低下は、磁気センサと磁気媒体間のギャップに強く依存する。磁気エンコーダにおいては、このギャップはある程度の揺らぎを有する為、ギャップが変動しても、磁気センサの出力に変化が見られないことが好ましい特性と言うことができる。基本的には、ギャップが長くなるほど磁気媒体からの信号磁界が減衰する為、磁気センサの出力は低下する。従って、必要な出力レベルを確保するように、ギャップが過度に大きくならないように制御する必要がある。一方で、一連の検討の過程で、ギャップが小さ過ぎる場合にも、磁気センサの出力が低下することが判明した。即ち、従来の技術では、磁気センサと磁気媒体間のギャップ揺らぎに対し、安定した高出力が得られず、高分解能に適し、かつ高信頼な磁気エンコーダを実現することは困難であった。
従って、本発明においては、高い分解能を有し、磁気センサと磁気媒体間のギャップが変動しても出力変化が少なく、高い信頼性を有する磁気エンコーダを提供することを目的とする。
周期的に着磁された磁気媒体と、スピンバルブ型GMR膜を用いた複数の磁気抵抗効果素子から成る磁気センサによって構成される磁気エンコーダを作製するにあたり、本発明では、特徴的な磁界応答性を示す磁気抵抗効果素子を用いた。一般的に、磁気抵抗効果素子は信号磁界に対して線形な電磁変換特性を有することが望まれることが多い。しかし、本発明では、信号磁界に対して、非線形な抵抗変化特性を有する磁気抵抗効果素子を作製し、用いる。具体的には、強磁性固定層の磁化方向と平行な外部磁界に応じて生じる抵抗変化の過程において、最大の抵抗変化量ΔRに対して、ΔR×10%からΔR×50%の抵抗変化に要する磁界をH10-50、ΔR×50%からΔR×90%の抵抗変化に要する磁界をH50-90とするとき、H10-50<H50-90の関係を満たす磁気抵抗効果素子を用いる。即ち、本発明で用いる磁気抵抗効果素子は、抵抗変化量が0からΔRに推移する過程で、ΔR×10%からΔR×50%の変化領域においては高い感度を有し、ΔR×50%からΔR×90%の変化領域においては低い感度を有する。更に望ましくは、1.5<H50-90/H10-50<4.0の関係を満たす磁気抵抗効果素子を用いる。これによって、出力合成の際に生じる意図せぬ出力相殺を抑制することができる。更には、磁気センサと磁気媒体間のギャップが変動しても、出力合成の際に生じる出力相殺を抑制しているが故に、安定した出力特性を得ることができる。
上述したような、特徴的な抵抗変化特性は、非磁性中間層が局所的に不均一な膜厚分布を有し、強磁性固定層と強磁性自由層間に非磁性中間層を介して作用する強磁性的な層間結合の大きさを局所的に不均一とすることで達成される。
また、この特徴的な抵抗変化特性を得る他の手段として、磁界中熱処理によって、強磁性固定層の平均的な磁化方向を、前記磁気媒体の着磁方向に対して、30度以下の範囲内で乖離させる方法を用いる。
本発明によれば、磁気媒体と磁気センサ間のギャップが変動しても、安定な出力が得られ、高分解能に適し、高信頼性を有する磁気エンコーダを実現できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。理解を容易にするため、以下の図において同じ機能部分には同一の符号を付して説明する。
本発明に係る磁気エンコーダの概略構成を図1に示す。磁気媒体1と、磁気媒体1に対して所定の間隔(ギャップ)で対向して相対的に移動する磁気センサ2とを有し、磁気媒体1が磁気センサ2との相対的移動方向に交互に多極着磁されている。
磁気センサ2は、少なくともスピンバルブ型GMR膜を用いた磁気抵抗効果素子21を有する。図4に、磁気抵抗効果素子21の概略構成を示す。磁気抵抗効果素子21を構成するスピンバルブ型GMR膜は、少なくとも強磁性固定層202と、非磁性中間層203と、強磁性自由層204を積層してなる。更には、強磁性固定層202の磁化方向を一方向に固定する為に、強磁性固定層202に接して、非磁性中間層203とは反対側に反強磁性層201を形成しても良い。勿論、最下層に下地層200、最上層に保護層205を適宜形成しても差し支えない。スピンバルブ型GMR膜は、安定性や量産効率の観点から、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて形成した。
スピンバルブ型GMR膜の一例としては、基板上に下地層:Ta(2.5nm)/NiFeCr(3.2nm)/NiFe(0.8nm)/反強磁性層:MnPt(14nm)/強磁性固定層:CoFe(1.8nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(2.2nm)/非磁性中間層:Cu(2.3nm)/強磁性自由層:CoFe(1nm)/NiFe(3nm)/保護層:Cu(0.6nm)/Ta(3nm)のような構成が挙げられる。反強磁性層は一例として、MnPtを用いた構成を示したが、MnIrやMnRuのようにMn−X(X:Ru,Rh,Pd,Re,Os,Ir,Pt,Au,Cr,Fe,Niの1種以上を含む)で表される材料を用いても良い。強磁性固定層は、いわゆる“積層フェリ型”構成を示した。これは2層のCoFe層が、Ru層を介して反強磁性的に層間結合しているもので、より強固に強磁性固定層の磁化を一方向に固定したり、実効的な強磁性固定層の磁化量を低減することにより、素子端部における静磁気結合の影響を抑制する効果が期待される。特に問題が生じなければ、強磁性固定層として通常のCoFe単層構成などを用いることも可能である。尚、ここでは基板側に強磁性固定層を配置する例を示したが、積層順を逆にして、基板/下地層/強磁性自由層/非磁性中間層/強磁性固定層/反強磁性層/保護層のような構成としても差し支えない。
スピンバルブ型GMR膜を形成した後、強磁性固定層202の磁化方向を所望の方向に固定する為に、真空中にて磁界を印加しながら、270℃の温度に保持したまま3時間の熱処理を施した。磁界の大きさは、強磁性固定層202の磁化が磁気的に十分飽和するよう4MA/mとした。この熱処理により、MnPt反強磁性層が規則格子に相変態し、強磁性固定層202に一方向磁気異方性を付与することができる。熱処理温度や時間は、用いる材料(特に反強磁性層)や膜厚などに応じて適宜調整することが望ましい。尚、この熱処理によって、強磁性自由層204にも同じ方向を磁化容易軸とする一軸磁気異方性が誘導されることになる。もし、強磁性自由層204の保磁力や異方性磁界に問題があるようであれば、上記の方向と直交した方向に磁界を印加しながら熱処理を施しても良い。この場合、強磁性固定層202の磁化が所望の方向から過度に逸脱しないように、熱処理温度、時間や印加磁界の大きさを調整する必要がある。
スピンバルブ型GMR膜は、フォトレジスト工程及びイオンミリング工程(詳細は略す)により、図4に示したように略長方形にパターニングした。略長方形とは、全体が長手方向と短手方向を有する形状であり、凹凸や曲線部分等の存在も許容する。これは、磁気抵抗効果素子のパターン幅:W(短手方向)を狭くすることで、磁気媒体1の着磁ピッチに対する磁気抵抗効果素子の占める空間を狭く設定し、感知する信号磁界の空間分解能を上げるためである。一方で、パターン長さ:L(長手方向)を長くし、この方向に電流を流すことでセンサ全体としての電気抵抗を高く設定する。これにより定電圧駆動した場合の消費電力を低く抑えることができる。十分に高い分解能を得る為には、パターン幅:Wは、着磁ピッチλに対して、λ/4以下に設定すると良い。例えば、磁気媒体1の着磁ピッチを20μmとした場合、磁気抵抗効果素子のパターン幅Wはおよそ5μm程度以下とすることが望ましい。一方で、パターン長さは、エンコーダの磁気媒体1の幅の中に納まる範囲で長い方が消費電力を抑えることが出来るため、数百μm程度と長くする。
尚、スピンバルブ型GMR膜においては、信号磁界と強磁性固定層の磁化を平行方向に設定する必要がある。従って、強磁性固定層202の磁化方向と磁気抵抗効果素子の短手方向及び磁気媒体1の着磁方向(磁気媒体1に対する磁気センサ2の相対的移動方向)は同一とする必要がある。
磁気媒体1と磁気センサ2の位置関係を表す断面図を図5に、斜視図を図6に示す。磁気媒体1は、一つの着磁領域の着磁方向の長さをピッチλとして多極着磁されている。図5では、長さλの互いに逆向きの着磁領域が交互に設けられており、一周期の長さ(一対の右向き及び左向きの着磁領域)は2λである。一周期の長さが2λであれば、右向き、左向きの着磁領域のピッチは必ずしもλでなくてもよく、異なっていてもよい。以後は、説明を簡略化する為、図5に示したような、長さλの互いに逆向きの着磁領域が交互に設けられている場合について説明する。磁気センサ2は、4つの磁気抵抗効果素子を接続して成り、磁気媒体1と所定のギャップを隔てて配置され、磁気媒体1に対して相対移動する。4つの磁気抵抗効果素子は、概ね同等の磁気抵抗変化特性を有するものとする。また、4つの磁気抵抗効果素子は、磁気媒体1に対する相対的移動方向に適切な間隔を空けて配置されている。より具体的には、2個の磁気抵抗効果素子21と22は相対的移動方向にλの距離を隔てて配置され、直列に接続されて第1の素子群25を構成している。また、更に2個の磁気抵抗効果素子23と24も相対的移動方向にλの距離を隔てて配置され、やはり直列に接続されて第2の素子群26を構成している。図5に示すように、第1の素子列25の一端と第2の素子列26の一端とは、距離λ/2離間して配置されている。また、磁気抵抗効果素子21,22,23,24における強磁性固定層の磁化の向きは全て同一に設定する。各磁気抵抗効果素子の接続方法の詳細については、図6を用いて説明する。
図6に示したように、各磁気抵抗効果素子にはパターン長さ方向に電流が流れるように、更には全ての素子が直列接続されるように回路を構成する。より具体的には、第1の素子群25の一端は電源Vccに接続され、他端は第2の素子群26の一端に接続されている。第2の素子群26の他端は接地され、第1の素子群25の他端と第2の素子群26の一端との接続部分から中点電位Voutを検出する。
尚、ここでは各素子群を構成する磁気抵抗効果素子の数は2個としているが、これは2n個(nは自然数)としてもよい。素子数を多くすると素子特性のばらつきの影響を緩和することができる。また、2n個の磁気抵抗効果素子からの信号出力で、信号位相の合成を実施することにより、ばらつきの影響を緩和することが可能である。
次に、磁気媒体1の着磁ピッチλに等しい周期を有する出力特性を得る為に必要なスピンバルブ型GMR膜特性について説明する。図7に、高分解能な磁気エンコーダに用いるスピンバルブ型GMR膜の典型的な磁気抵抗効果曲線を示す。これは、スピンバルブ型GMR膜の構成要素である強磁性固定層の磁化方向と平行に磁界を掃引し、スピンバルブ型GMR膜の抵抗変化をその変化率(MR ratio)で示したものである。特徴的なのは、意図的に波形を一方向にシフトさせている点(図7では、+磁界方向でのみ抵抗変化が発生)である。このような波形シフトは、強磁性固定層と強磁性自由層間の層間結合磁界Hintを適切に設定することにより達成される。このような抵抗変化特性を有するスピンバルブ型GMR膜を図5及び図6における磁気抵抗効果素子21及び22に適用すると、図8に示すような重ね合わせ出力(定電圧駆動を前提とすると、出力は抵抗変化率によって決まる為、抵抗変化率と出力は同義と捉えることができる)を得ることができる。これは、磁気抵抗効果素子21及び22には、逆向きの信号磁界3が印加されることになる為、磁気抵抗効果素子21及び22が互いに逆位相の抵抗変化を示すことに起因している。これによって、図2(a)で示したAMR素子と同様に、外部磁界の正負に対して対称な抵抗変化を得ることができる。
尚、この重ね合わせ出力は、磁気抵抗効果素子21及び22を直列接続して得た出力である為、必然的に磁気抵抗効果素子21又は22単体の半分の出力となる。
更に、この重ね合わせ出力の低下を防止する為に重要なことを以下に説明する。図9に強磁性自由層の異方性磁界Hkを変えた場合の、磁気抵抗効果素子21及び22と、それらを重ね合わせた磁気抵抗効果曲線を示す。ここでは、強磁性固定層と強磁性自由層間に作用する強磁性的な層間結合磁界Hintを1600A/m(20Oe)とし、異方性磁界Hkを(a)800A/m(10Oe)、(b)3200A/m(40Oe)で比較して示した。(a)の場合は、Hint>Hkであり、磁気抵抗効果素子21及び22の抵抗変化がいずれも正又は負の磁界領域でのみ生じている。また、重ね合わせ出力は、磁気抵抗効果素子21又は22単体の場合の5割の値を示す。一方、(b)の場合は、Hint<Hkであり、磁気抵抗効果素子21及び22の抵抗変化波形はいずれも完全に正又は負の磁界領域にシフトしていない。この場合の重ね合わせ出力は、ゼロ磁界付近で出力相殺が発生し、磁気抵抗効果素子21又は22単体の場合の4割以下の値となっている。従って、出力相殺による重ね合わせ出力の低下を防止する為には、個々の磁気抵抗効果素子が正又は負の磁界領域に完全にシフトして抵抗変化を示すことが重要となる。これは端的に言えば、Hint≧Hkと設定することで実現されるが、過度にHintが大きい場合には、信号磁界に対して大きな抵抗変化率が得られなくなる為、適切な値に調整する必要がある。また、磁気抵抗効果素子は、先述したようにパターン幅W≪パターン長さLの形状に加工される為、強磁性自由層には形状異方性に起因して、パターン長さ方向を磁化容易軸とする一軸磁気異方性が誘導される。これによって、実効的なHk*はHkよりも増大することになる。これらを考慮した上で、HintやHkを適切な値に調整する必要がある。
次に、図10を用いて、本発明の磁気エンコーダの動作原理を説明する。図10(a)は、本発明の磁気センサ2と磁気媒体1を用いた磁気エンコーダの模式図である。磁気媒体1は、向かって左側に磁気センサ2に対向して相対運動する。また、磁気センサ2を構成する磁気抵抗効果素子21,22,23,24の強磁性固定層の磁化方向は向かって左側を向いているとする。尚、実際には各磁気抵抗効果素子は、無視することのできない有限のパターン幅を有する為、磁気抵抗効果素子をパターン幅方向に微細化して考えた場合、各微細領域はそれぞれ異なる大きさの磁界を感知することになる。ここでは、便宜的にパターン幅の大きさを無視して動作の説明を行うことにする。図10(b)、(c)は、磁気媒体の移動距離に対する磁気抵抗効果素子21,22の出力変化を示す。図10(d)は、磁気抵抗効果素子21,22を直列接続して構成される第1の素子群25の出力変化を示す。先に述べたように、素子群25の出力は、直列接続された磁気抵抗効果素子21,22の合成であるから、素子群25の出力振幅は、磁気抵抗効果素子21,22単体における出力振幅の半分の値を示す。同様に、図10(e)には、磁気抵抗効果素子23,24を直列接続して構成される第2の素子群26の出力変化を示す。ここで、磁気抵抗効果素子23は磁気抵抗効果素子22と距離λ/2離間して配置されている為、第2の素子群26の出力波形は、第1の素子群25の出力波形とλ/2だけ位相がシフトした出力波形となっている。図10(f)は、第1の素子群25と第2の素子群26との接続部分における中点電位Voutの変化を示す。磁気センサ2の出力である中点電位Voutは、図10(f)に示すようなλを1周期とする信号となっていることが分かる。
以上のような構成で磁気エンコーダを作製した評価結果について説明する。スピンバルブ型GMR膜の膜構成は、ガラス基板/下地層:Ta(2.5nm)/NiFeCr(3.2nm)/NiFe(0.8nm)/反強磁性層:MnPt(14nm)/強磁性固定層:CoFe(1.8nm)/Ru(0.45nm)/CoFe(2.2nm)/非磁性中間層:Cu(2.35nm)/強磁性自由層:CoFe(1nm)/NiFe(3nm)/保護層:Cu(0.6nm)/Ta(3nm)とした。スピンバルブ型GMR膜をスパッタ法を用いて成膜した後、真空中にて4MA/mの直流磁界を印加しながら、270℃3時間の熱処理を施し、強磁性固定層の磁化方向を固定した。図11に、用いたスピンバルブ型GMR膜の磁気抵抗効果曲線を示す。Hintは約1800A/mであり、抵抗変化は+磁界領域でのみ生じている。このスピンバルブ型GMR膜を幅5μm、長さ100μmに加工して磁気抵抗効果素子を作製した。ここで、固定された強磁性固定層の磁化方向とパターン幅方向は一致させている。4つの磁気抵抗効果素子を、図6に示したように直列に接続し、磁気センサを作製した。ここで、磁気抵抗効果素子21,22及び磁気抵抗効果素子23,24は、20μmの間隔を空けて、また、磁気抵抗効果素子22,23は、10μmの間隔を空けて配置した。この磁気センサと着磁ピッチ20μmの磁気媒体を用いて、出力の磁気センサ磁気媒体間のギャップ依存性を評価した。
図12に、出力のギャップ依存性を示す。出力は、ギャップ10μmで最大値を示した。ギャップが10μm以上となった場合の出力低下は、信号磁界減衰による影響と理解することができる。従って、十分な大きさの信号磁界が得られるように、ギャップが過度に大きくならないように、磁気センサを配置することが必要になる。一方で、ギャップが10μm以下において見られる出力低下は、磁気エンコーダを動作させる上で大きな問題となる。なぜならば、このギャップは多少の揺らぎを有する懸念がある為、上述したような出力のギャップ依存性があると、安定な出力特性が得られず、信頼性が損なわれる恐れがあるからである。従って、高分解能に対応し、かつギャップが多少変動しても出力変化が小さく、高い信頼性を有する出力特性に改良することが望ましい。
上述したようなギャップが小さい領域での出力低下の原因について説明する。先に述べたように、実際には各磁気抵抗効果素子は、無視することのできない有限のパターン幅を有する為、磁気抵抗効果素子をパターン幅方向に微細領域に細分化して考えた場合、各微細領域はそれぞれ異なる大きさの磁界を感知することになる。従って、磁気媒体からの信号磁界の空間分布を考慮する必要がある。図13に、ギャップをパラメータとした場合の、磁気媒体から生じる信号磁界の空間分布を規格化して示す。磁気媒体の着磁ピッチλは20μmとし、磁気媒体とパターン幅5μmの磁気抵抗効果素子の位置関係を付記した。
図13から明らかなように、ギャップが小さいほど、信号磁界の最大値が大きくなり、また磁界反転境界における磁界変化も急峻になっている。図13のように、磁気抵抗効果素子の中心が磁気媒体の着磁ビットの境界上にある時、着磁ビットの境界直上(position_X = 20μm)におけるX方向の信号磁界は、ギャップの長さに依らず0となる。しかしながら、パターン幅5μmの磁気抵抗効果素子を考えた場合、磁気抵抗効果素子の左端(position_X = 17.5μm)、右端(position_X = 22.5μm)はそれぞれ左向き、右向きの信号磁界を感知する。特に、ギャップが0μmの場合は、磁気抵抗効果素子の左端は左向きの最大磁界、右端は右向きの最大磁界を感知することになる。即ち、磁気抵抗効果素子を微細領域に分割して考えると、各微細領域は位置に応じてそれぞれ異なる信号磁界を感知し、それに対応した抵抗変化を示すことになる。磁気抵抗効果素子全体の抵抗は、それらの微細領域が示す抵抗変化を積算した結果となる。例えば、ギャップが5μmの場合においても、磁気抵抗効果素子の左端は左向きの磁界、右端は右向きの磁界を感知することになる。しかし、ギャップが長くなることにより、磁気抵抗効果素子の左端、右端が感知する信号磁界強度は小さく、素子の抵抗変化に与える影響は小さくなる。
図14に、磁気抵抗効果素子の抵抗変化率のギャップ依存性を、図13において磁気抵抗効果素子の中心がX = 20μm,30μmにある場合について示す。X = 30μmにある場合には、感知するX方向の信号磁界強度は、それぞれのギャップにおいて最大値となり、強磁性自由層の磁化が飽和するのに十分な大きさの信号磁界を感知するので、磁気抵抗効果素子はいずれのギャップにおいても概ね同等の12%近い抵抗変化率を示す。一方で、X =20μmにある場合には、感知すべきX方向の信号磁界は0であるから、本来、磁気抵抗効果素子が示す抵抗変化率は0であることが望ましい。しかしながら、ギャップが小さくなるに従って、磁気抵抗効果素子の抵抗変化率は増大しているのが分かる。例えば、ギャップが0μmの場合は、磁気抵抗効果素子の微細領域を考えた場合、大きな信号磁界を感知し、最大の抵抗変化率:12%をも示す領域が存在し、個々の領域における抵抗変化を平均化して積算すると、磁気抵抗効果素子全体としては、比較的大きな5%以上の抵抗変化率を示すことになる。磁気エンコーダの出力特性を考えた場合、X = 20μmと30μmにおける抵抗変化率の差が最終的な出力の大きさを決定付ける。従って、X = 20μmと30μmにおける抵抗変化率の差が大きいほど好ましく、またその差がギャップに対して一定な値を示すことが望ましい。
上述したような抵抗変化率のギャップ依存性が、磁気エンコーダの出力特性に与える影響について図15を用いて説明する。図15(a)では、磁気センサ2と磁気媒体1が広いギャップを有した図になっているが、ギャップが0μmと仮定して説明する。図15(b)に、磁気媒体の移動距離に対する磁気抵抗効果素子21,22の出力変化を示す。前述したように、磁気抵抗効果素子の中心が磁気媒体の着磁ビットの境界上にある時、感知すべきX方向の信号磁界は0であるから、本来、磁気抵抗効果素子が示す抵抗変化率は0であることが望ましい。しかし、実際には、磁気抵抗効果素子の中心が磁気媒体の着磁ビットの境界上にある時、素子の空間広がりから無視できない抵抗変化を示す。図15(c)に、磁気抵抗効果素子21,22の出力を合成してなる第1の素子群25の出力を示す。本来、第1の素子群25の出力振幅は、磁気抵抗効果素子21,22単体の出力振幅の半分の値を示すはずが、図15(b)の斜線部で示した信号が相殺される結果、大幅に減少してしまう。結果として、ギャップが小さくなり過ぎると、磁気センサ2の出力となる中点電位Voutの振幅が大幅に低下してしまうのである。
この問題を解決する為に、本発明では、図16に示すような磁気抵抗効果曲線を有する磁気抵抗効果素子を用いる。図16の縦軸は、規格化した抵抗変化量ΔRとして示してある。従来技術では、磁界に対してほぼ線形な応答特性を示し、ΔR×10%からΔR×50%とΔR×50%からΔR×90%の抵抗変化に要する磁界は略同じである。本発明においては、規格化した抵抗変化量が、0から50%にまで増大する変化領域においては、高い感度を示し、50%から最大値まで飽和する変化領域においては、低い感度を示す抵抗変化特性を有する磁気抵抗効果素子を用いる。具体的には、磁気抵抗効果曲線において、抵抗変化量ΔRに対して、ΔR×10%からΔR×50%の抵抗変化に要する磁界をH10-50、ΔR×50%からΔR×90%の抵抗変化に要する磁界をH50-90とした際に、H10-50<H50-90の関係を満たす抵抗変化特性を有する磁気抵抗効果素子を用いる。
図17に、H50-90/H10-50=2.8なる抵抗変化特性を有する磁気抵抗効果素子の抵抗変化率のギャップ依存性を示す。磁気抵抗効果素子のパターン幅は5μm、磁気媒体の着磁ピッチは20μmであり、図13において磁気抵抗効果素子の中心がX = 20、30μmにある場合について比較して示している。図14に示したH50-90/H10-50=1.0なる抵抗変化特性を有する磁気抵抗効果素子の場合に比べて、X = 20μmにおける抵抗変化率の絶対値が減少しているのが分かる。これは、磁気抵抗効果素子が磁気的に飽和しにくい抵抗変化特性を有している為、ギャップが小さくなって、部分的に大きな信号磁界を感知しても、磁気抵抗効果素子全体としての抵抗変化率があまり大きくならないことを示唆している。同時に、磁気的に飽和しにくい抵抗変化特性を用いることで、ギャップが大きくなって、最大の信号磁界が減少していくと、X = 30μmにおける抵抗変化率も単調に減少しているのが分かる。
先に述べたように,磁気エンコーダの出力は、図13におけるX = 20μmと30μmにおける抵抗変化率の差を反映する。この抵抗変化率の差のギャップ依存性を従来技術と本発明で比較して図18に示す。従来技術(H50-90/H10-50=1.0)は、図14におけるX = 20μmと30μmにおける抵抗変化率の差に、本発明(H50-90/H10-50=2.8)は、図17におけるX = 20μmと30μmにおける抵抗変化率の差に対応している。従来技術に比べて、本発明を用いた場合は、抵抗変化率の差がギャップを変えてもほぼ一定の値を示している。従って、本発明の磁気抵抗効果素子を用いることによって、ギャップが狭小化された場合の出力低下を抑止することができ、ギャップが変動しても安定な出力が得られ、高い信頼性を有する磁気エンコーダを提供することができる。
図19に、H50-90/H10-50を変えた場合の、磁気エンコーダの規格化出力のギャップ依存性を示す。磁気抵抗効果素子のパターン幅は5μm、磁気媒体の着磁ピッチは20μmである。先述したように、H50-90/H10-50=1.0の場合は、ギャップが10μmの時に最大出力を示し、それよりもギャップを小さくするにつれて出力は大幅に減少している。一方、H50-90/H10-50=2.1,3.8の場合は、ギャップが小さい側の出力低下が抑制されており、ギャップが0から10μm程度の広い範囲で出力の変化が小さくなっていることが分かる。即ち、ギャップが変動しても安定な出力が得られており好ましい。H50-90/H10-50=5.9と過度に飽和しにくい抵抗変化特性を示す磁気抵抗効果素子を用いた場合は、ギャップが大きくなるに従って、出力は単調に減少している。即ち、ギャップに対して出力が変動することを示しており、好ましくない。これは、磁気抵抗効果素子が磁気的に飽和するのに要する磁界に比べて、信号磁界が小さ過ぎる為に、大きな抵抗変化が得られないことに起因していると理解される。
最大出力に対して、80%以上の出力を与えるギャップ範囲を使用可能なギャップ領域とし、図20に使用可能なギャップ領域のH50-90/H10-50依存性を示す。H50-90/H10-50を適切な値に設定すると、およそ10μm程度以上の広いギャップ領域が使用可能であることが分かる。即ち、H50-90/H10-50を1.5から4.0の範囲に設定すると、十分に広い使用可能なギャップ領域を有する磁気エンコーダが提供できる。
図16に示すような本発明の抵抗変化特性を得る手段としては、強磁性固定層と強磁性自由層間に非磁性中間層を介して作用する強磁性的な層間相互作用Hintの大きさを、局所的に不均一にする方法がある。局所的に異なるHintを有する場合、磁気抵抗効果素子全体としてはそれらを平均化した特性を示す為、図16に示すような本発明の抵抗変化特性を得ることができる。Hintの大きさを局所的に不均一にする為には、非磁性中間層の膜厚分布を局所的に不均一にすればよい。図21に、Hintの非磁性中間層Cu膜厚依存を示す。検討した膜構成は、ガラス基板/下地層:Ta(2.5nm)/NiFeCr(3.2nm)/NiFe(0.8nm)/反強磁性層:MnPt(14nm)/強磁性固定層:CoFe(1.8nm)/Ru(0.45nm)/CoFe(2.2nm)/非磁性中間層:Cu(t)/強磁性自由層:CoFe(1nm)/NiFe(3nm)/保護層:Cu(0.6nm)/Ta(3nm)である。正のHintは強磁性的な層間結合を、負のHintは反強磁性的な層間結合を意味する。Hintは、微小なCu膜厚の違いにより、比較的鋭敏に変化しているのが分かる。従って、局所的な領域において、微小にCu膜厚が変化しているような非磁性中間層Cuを形成することで、この目的は達成される。ここで、例えば、適切なHintを1.6kA/mとした場合、それを満たすCu膜厚は、1.78nm付近と2.34nm付近の2箇所がある。前者の方が、後者に比べてHintのCu膜厚に対する変化が大きいことから、Cu膜厚を1.78nm付近に設定した方が、図16に示すような抵抗変化特性を得易い。
図22に、Cu層の設定膜厚を1.70nm、1.75nm、1.80nmとした場合の磁気抵抗効果曲線を示す。Hintは、それぞれ3.9kA/m、2.3kA/m、1.0kA/mであった。図22には、非磁性中間層Cu膜厚として1.70nmを20%、1.75nmを60%、1.80nmを20%含んだ場合の平均化した磁気抵抗効果曲線も合わせて示した。これは目的としていたH10-50<H50-90の関係を満たす抵抗変化特性に他ならない。即ち、非磁性中間層Cuが局所的に±0.05nm程度の不均一な膜厚分布を有することで、H10-50<H50-90の関係を満たす抵抗変化特性が得られる。スピンバルブ型GMR膜の形成条件を検討する過程で、Cuの成膜速度を0.6nm/min程度に遅くした場合に、上述したような不均一な膜厚分布を得られ易いことが判明した。尚、逆の見方をすると、Cu膜厚を1.78nm付近のようにCu膜厚に対してHintの変化が急峻である領域を用いる場合、Hintのウエハ間又はロット間公差が大きくなる懸念があるから、制御性と合わせて適切な膜厚に設定することが望ましい。また、Hintに関しては、非磁性中間層を形成する前にプラズマ処理を施したり、非磁性中間層の形成前後に微量の酸素を導入したり、保護層材料を適切に選択することで、制御性が向上する。これらの製造方法を適宜組み合わせると、高い歩留りで所望の抵抗変化特性を得ることができる。
尚、これまでHintは正(強磁性的な層間結合)に設定することを前提として、説明を行ってきた。しかし、Hintは負(反強磁性的な層間結合)に設定しても、全く同様な用い方で、本発明の磁気エンコーダに展開し得る。図21から明らかなように、Cu膜厚2.0nm付近で、磁気エンコーダに使用する上で十分に大きな絶対値を有する負のHintが得られている。Cu膜厚を除き、構成や製造方法は同一であるので、詳細は省略する。
図16に示すような本発明の抵抗変化特性を得る他の補助的な手段としては、強磁性固定層の磁化方向を磁気媒体の着磁方向(磁気抵抗効果素子のパターン幅方向)から意図的に乖離させる方法がある。図23に、強磁性固定層の磁化方向の乖離角に対するH50-90/H10-50の変化を示す。強磁性固定層の磁化方向の乖離角が大きくなるに従って、H50-90/H10-50が単調に増加しているのが分かる。しかしながら、図24に示したように、強磁性固定層の磁化方向の乖離角が大きくなるに従って、抵抗変化率も減少する為、その乖離角は適切な値に制御する必要がある。好ましくは、抵抗変化率の低下度合いからその乖離角は30度以下に設定すると良い。
強磁性固定層の磁化方向を磁気媒体の着磁方向から意図的に乖離させる製造方法について説明する。図25に、この製造方法に関するフローチャートを示す。スピンバルブ型GMR膜を形成後、磁気抵抗効果素子のパターン幅方向(磁気媒体の着磁方向)に、強磁性固定層の磁化方向が磁気的に十分飽和する大きさの磁界を印加しながら、真空中にて第一の磁界中熱処理を施す。この熱処理によって、強磁性固定層の磁化方向を磁気抵抗効果素子のパターン幅方向に固着させる。ここでの熱処理は、230から300℃程度の温度とし、時間は数時間程度とすると良い。熱処理温度を300℃よりも高い温度に設定すると、積層界面における相互拡散が生じ、抵抗変化率の低下を招く恐れがあるので好ましくない。次に、上記の方向に対して直交方向(磁気抵抗効果素子のパターン長さ方向)に磁界を印加しながら、真空中にて第二の磁界中熱処理を施す。この熱処理によって、強磁性固定層の磁化方向は磁気抵抗効果素子のパターン幅方向から乖離した方向に固着される。この強磁性固定層の磁化方向の乖離角を過度に大きくすると、上述したような抵抗変化率の低下をもたらす為、第二の磁界中熱処理は、適宜条件を調整する必要がある。最も重要なパラメータは印加磁界の大きさであり、強磁性固定層磁化の外部磁界耐性に応じて、その大きさを設定すると良い。
我々の検討では、第一の磁界中熱処理条件を、磁気抵抗効果素子のパターン幅方向に4MA/mの磁界印加のもと、270℃、3時間とし、第二の磁界中熱処理条件を、パターン幅直交方向(パターン長さ方向)に80kA/mの磁界印加のもと、250℃、3時間とした。第二の磁界中熱処理によって、強磁性自由層にはパターン長さ方向を磁化容易軸とする一軸磁気異方性が誘導され、良好な軟磁気特性が得られるという効果も生じる。尚、第二の磁界中熱処理においては、少なくとも磁気抵抗効果素子のパターン幅直交方向の成分を有する磁界を印加すれば、同様に強磁性固定層の磁化方向をパターン幅方向から乖離させることができる。例えば、パターン幅方向に対して45度の角度を成す方向に磁界を印加して磁界中熱処理を施しても同様な効果が得られる。この場合も、印加磁界の大きさを適宜調整する必要がある。最後に、スピンバルブ型GMR膜を略長方形の形状にパターニングして、磁気抵抗効果素子を得る。このパターニングは工程順を変えて、スピンバルブ型GMR膜の形成直後に行っても良い。但し、パターニングした後は、素子端部において反磁界の影響で磁化方向の制御が困難になる懸念があることを留意して、磁界中熱処理条件を適切に設定する必要が生じる。
上述した構成、製造方法を用いて作製した磁気エンコーダの評価結果について説明する。スピンバルブ型GMR膜は、スパッタ法を用いて形成し、膜構成は、ガラス基板/下地層:Ta(2.5nm)/NiFeCr(3.2nm)/NiFe(0.8nm)/反強磁性層:MnPt(14nm)/強磁性固定層:CoFe(1.8nm)/Ru(0.45nm)/CoFe(2.2nm)/非磁性中間層:Cu(1.75nm)/強磁性自由層:CoFe(1nm)/NiFe(3nm)/保護層:Cu(0.6nm)/Ta(3nm)とした。その後、真空中にて第一の磁界中熱処理を磁気抵抗効果素子のパターン幅方向に4MA/mの磁界を印加しながら270℃、3時間の条件で行い、引き続き、第二の磁界中熱処理を磁気抵抗効果素子のパターン幅直交方向に80kA/mの磁界を印加しながら250℃、3時間の条件で行った。この状態で、磁界を掃引しながら抵抗変化特性を測定したところ、層間結合磁界Hint〜1.9kA/m、H50-90/H10-50=2.8となる特性が得られた。このスピンバルブ型GMR膜をフォトレジスト工程及びイオンミリング工程(詳細は略す)を経て、パターン幅:5μm、パターン長さ:100μmにパターニングし、磁気抵抗効果素子を作製した。4つの磁気抵抗効果素子を、図6に示したように、磁気抵抗効果素子21,22及び磁気抵抗効果素子23,24は、20μmの間隔を空けて、また、磁気抵抗効果素子22,23は、10μmの間隔を空けて配置し、それぞれを直列に接続し、磁気センサを作製した。図6に示したように、磁気抵抗効果素子21の一端は電源Vccへ、磁気抵抗効果素子24の一端はGNDへ接続し、磁気抵抗効果素子22、23間から中点電位を取り出し、これで出力を評価した。磁気媒体は、図5のように、ピッチλ:20μmとして交互に多極着磁されたものを用いた。前述した磁気センサを、パターン幅方向と磁気媒体の着磁方向が揃うように配置し、磁気センサと磁気媒体間のギャップを変えながら、出力を評価した。ギャップが0〜11.5μmの範囲において、規格化出力が0.85以上を示しており、ギャップの変動に対して、安定した出力特性を得ることができた。即ち、高い分解能に適し、高い信頼性を有する磁気センサ及びこれを用いた磁気エンコーダを作製することができた。
先に述べたように、磁気抵抗効果素子は、パターン幅Wに対して、パターン長さLが非常に大きい形状を有する。特に、磁気媒体からの信号磁界を感知する分解能を向上する為には、パターン幅Wを狭小化するほど有利となる。しかしながら、パターン長さL/パターン幅Wのアスペクト比が増大する結果として、強磁性自由層には形状異方性に起因して、パターン長さL方向を磁化容易軸とする一軸磁気異方性が誘導される。これによって、磁気抵抗効果素子の実効的なHk*は、強磁性自由層の膜自身が有するHkよりも増大することになる。これは、図9(b)に示したように、磁気抵抗効果素子の磁界感度を低下するのみならず、2つの磁気抵抗効果素子の出力合成をする際に、出力相殺を生じ、出力の低下を招くので好ましくない。形状異方性に起因する一軸磁気異方性磁界は、パターン長さLが一定の場合、パターン幅Wに反比例して、また強磁性自由層の磁化量に比例して増大する。従って、形状異方性に起因する一軸磁気異方性磁界の増大を抑制する為には、強磁性自由層の磁化量を小さくすることが効果的である。しかし、単純に強磁性自由層の膜厚を薄くして、磁化量を小さくすると、磁気抵抗変化率の低下、強磁性自由層の保磁力の増大、層間結合磁界Hint制御の困難性などを生じ、好ましくない。
このような問題を生じないように、強磁性自由層の磁化量を小さくする為には、強磁性自由層をいわゆる“積層フェリ”構成とすることが有効である。即ち、図26に示した磁気抵抗効果素子の概略構成のように、強磁性自由層204を第一の軟磁性強磁性層2041/反強磁性結合層2042/第二の軟磁性強磁性層2043という構成にする。この構成においては、第一の軟磁性強磁性層と第二の軟磁性強磁性層が、反強磁性結合層を介して互いの磁化が反強磁性的に結合する。即ち、2層の軟磁性強磁性層の磁化は互いに反平行に配列することになり、強磁性自由層の実質的な磁化量は、第一の軟磁性強磁性層と、第二の軟磁性強磁性層の磁化量の差分に相当する。例えば、第一の軟磁性強磁性層の磁化量が、飽和磁束密度と膜厚の積で4T・nm、第二の軟磁性強磁性層の磁化量が2T・nmとすると強磁性自由層の実質的な磁化量は4−2=2T・nmとすることができる。2層の軟磁性強磁性層間に作用する反強磁性結合層を介した反強磁性的な層間結合を、磁気媒体からの信号磁界強度より十分強く設定しておけば、2層の軟磁性強磁性層は一体化して、小さい磁化量を有する1層の強磁性自由層として機能する。この構成においては、非磁性中間層に接する軟磁性強磁性層の膜厚を厚く保つことができるので、抵抗変化率の減少を抑制することができる。
次に、通常構成の強磁性自由層と、積層フェリ構成の強磁性自由層に対して、磁気抵抗効果素子における見かけの異方性磁界Hk*とパターン幅Wの関係について比較する。まず、Hk*の定義を図27を用いて説明する。図27のような磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果曲線において、層間結合磁界Hintは、抵抗変化率が最大値の1/2となる点の磁界とし、この点における接線が最大抵抗変化率と交わる点の磁界からHintを差し引いた磁界をHk*と定義する。
図28に、磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果曲線より見積もった見かけの異方性磁界Hk*のパターン幅W依存性を示す。パターン長さは100μmとし、通常構成の強磁性自由層と、積層フェリ構成の強磁性自由層を用いた場合を比較して示した。スピンバルブ型GMRの膜の基本構成は、下地層:NiCrFe(3.2nm)/NiFe(0.8nm)/反強磁性層:MnPt(14nm)/強磁性固定層:CoFe(1.5nm)/Ru(0.46nm)/CoFe(1.5nm)/非磁性中間層Cu/強磁性自由層/保護層:Cu(0.6nm)/Ta(2.0nm)である。強磁性自由層は、通常構成:CoFe(1.0nm)/NiFe(2.0nm)、積層フェリ構成:CoFe(1.0nm)/NiFe(2.0nm)/Ru(0.46nm)/NiFe(1.0nm)とした。強磁性自由層の実効的な磁化量は、それぞれ、3.6T・nm及び2.7T・nmである。また、層間結合磁界Hintが1.6kA/m(20Oe)になるように、非磁性中間層:Cuの膜厚は、それぞれ2.4nm、2.35nmとした。
図28から、パターン幅が小さくなるに従って、見かけの異方性磁界Hk*が増大しているのが分かる。また、通常構成の強磁性自由層は、積層フェリ構成の強磁性自由層よりも大きなHk*を示し、特にパターン幅が小さくなる程、その差が増加している。この差は、強磁性自由層の実効的な磁化量の違いに起因していると理解される。例えば、パターン幅:5μmの場合、積層フェリ構成の強磁性自由層では、Hk*=1.0kA/mであるが、通常構成の強磁性自由層では、Hk*=1.8kA/mであり、Hintよりも大きくなっている。Hk*>Hintとなる場合は、先述したように2つの磁気抵抗効果素子の出力合成をする際に、出力相殺を生じ、好ましくない。即ち、強磁性自由層に積層フェリ構成を適用して、実効的な磁化量を低減することにより、パターン幅を小さくしてもHk*の増大を抑えることができる。従って、本発明の構成を用いると、パターン幅を狭小化しても高い応答感度が得られ、高い分解能を有する磁気エンコーダを実現し得る。
従って、実施例1において、強磁性自由層を通常構成:CoFe(1.0nm)/NiFe(2.0nm)から積層フェリ構成:CoFe(1.0nm)/NiFe(2.0nm)/Ru(0.46nm)/NiFe(1.0nm)に置き換えることで、実施例1で述べたような、磁気センサと磁気媒体間のギャップ揺らぎに対する出力変動を抑制できるのみならず、パターン幅をより小さくすることが可能となり、更に高い分解能を有する磁気エンコーダを提供することができる。強磁性自由層構成を除き、磁気抵抗効果素子、磁気センサ、磁気エンコーダの基本構成及び製造方法に関しては、実施例1と全く同様であるので詳細は省略する。
上述してきたような、構成及び製造方法を用いることにより、高い分解能を有し、磁気センサと磁気媒体間のギャップが変動しても出力変化が小さく、高い信頼性を有する磁気センサ及びこれを用いた磁気エンコーダを作製することができる。
磁気エンコーダの概略構成を示した図である。 (a)AMR素子、(b)スピンバルブ型GMR素子の典型的な磁気抵抗効果曲線を示した図である。 磁気媒体の着磁ピッチに対する、AMR素子及びスピンバルブ型GMR素子の出力特性における周期の相違を比較した図である。 スピンバルブ型GMR膜を用いた磁気抵抗効果素子の概略構成を示した図である。 磁気抵抗効果素子と磁気媒体の配置関係を示した図である。 磁気抵抗効果素子の接続方法を示した図である。 磁気エンコーダ用のスピンバルブ型GMR素子の典型的な磁気抵抗効果曲線を示した図である。 2つの磁気抵抗効果素子の重ね合わせ出力を示した図である。 異方性磁界を変えた場合の2つの磁気抵抗効果素子の重ね合わせ出力の比較を示した図である。 磁気エンコーダの構造と動作を説明する図である。 磁気エンコーダ用の従来技術を用いたスピンバルブ型GMR素子の磁気抵抗効果曲線を示した図である。 従来技術を用いた磁気エンコーダにおける出力の磁気センサと磁気媒体間のギャップ依存性を示した図である。 磁気媒体からの信号磁界の空間分布を示した図である。 磁気抵抗効果素子における抵抗変化率のギャップ依存性を、磁気抵抗効果素子の位置で比較して示した図である。 従来技術を用いた場合の出力低下について説明した図である。 本発明の磁気エンコーダ用磁気抵抗効果素子の特徴的な磁気抵抗効果曲線を示した図である。 本発明の磁気抵抗効果素子における抵抗変化率のギャップ依存性を、磁気抵抗効果素子の位置で比較して示した図である。 出力に反映する抵抗変化率の最大値と最小値の差のギャップ依存性を従来技術と本発明で比較して示した図である。 本発明の磁気エンコーダにおける出力のギャップ依存性を示した図である。 種々の抵抗変化特性を有する磁気抵抗効果素子に対して、使用可能なギャップ領域を示した図である。 層間結合磁界Hintの非磁性中間層Cu膜厚依存性を示した図である。 Cu膜厚が1.70nm、1.75nm、1.80nmの場合と、それらを平均化した場合の磁気抵抗効果曲線を示した図である 強磁性固定層の磁化方向を変えた場合の抵抗変化特性の相違を示した図である。 強磁性固定層の磁化方向に対する抵抗変化率の変化を示した図である。 強磁性固定層の磁化方向を制御する製造方法のフローチャートである。 強磁性自由層に積層フェリ構成を用いた磁気抵抗効果素子の概略構成を示した図である。 磁気抵抗効果曲線における層間結合磁界Hint及び見かけの異方性磁界Hk*の定義を示した図である。 見かけの異方性磁界Hk*のパターン幅依存性を示した図である。
符号の説明
1 磁気媒体
2 磁気センサ
21,22,23,24 磁気抵抗効果素子
25 第1の素子群
26 第2の素子群
200 下地層
201 反強磁性層
202 強磁性固定層
203 非磁性中間層
204 強磁性自由層
205 保護層
2041 第一の軟磁性強磁性層
2042 反強磁性結合層
2043 第二の軟磁性強磁性層
3 信号磁界

Claims (13)

  1. 非磁性中間層を介して積層された強磁性固定層と強磁性自由層を備え、形状が略長方形で略同一な磁気抵抗変化特性を有し、前記強磁性固定層の磁化方向が一致している4n個(nは自然数)の磁気抵抗効果素子を含み、
    前記4n個の磁気抵抗効果素子は、それぞれ2n個の素子からなる第一の素子群と第二の素子群を構成し、各素子群を構成する磁気抵抗効果素子は素子短辺方向に先端の素子から後端の素子まで距離λを隔てて等間隔に配置されると共に素子長辺方向に直列接続されており、前記第一の素子群の後端の素子と前記第二の素子群の先端の素子は素子短辺方向に距離λ/2を隔てて位置し、前記第一の素子群の先端の素子は電源に後端の素子は前記第二の素子群の先端の素子に接続され、前記第二の素子群の後端の素子は接地されており、前記第一の素子群と前記第二の素子群の接続部から中点電位を取ることで外部磁界を検出する磁気センサであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、素子短辺方向に平行な外部磁界に応じて生じる抵抗変化の過程において、最大の抵抗変化量ΔRに対して、ΔR×10%からΔR×50%の抵抗変化に要する磁界をH10-50、ΔR×50%からΔR×90%の抵抗変化に要する磁界をH50-90とするとき、
    H10-50<H50-90
    の関係を満たすことを特徴とする磁気センサ。
  2. 請求項1記載の磁気センサにおいて、前記磁気抵抗効果素子は、
    1.5<H50-90/H10-50<4.0
    の関係を満たすことを特徴とする磁気センサ。
  3. 請求項1記載の磁気センサにおいて、前記非磁性中間層は局所的に不均一な膜厚分布を有することを特徴とする磁気センサ。
  4. 請求項1記載の磁気センサにおいて、前記強磁性固定層と前記強磁性自由層は前記非磁性中間層を介して強磁性的な層間相互作用を有しており、該層間相互作用の大きさが局所的に不均一であることを特徴とする磁気センサ。
  5. 請求項1記載の磁気センサにおいて、前記強磁性固定層の磁化方向は素子短辺方向であることを特徴とする磁気センサ。
  6. 請求項1記載の磁気センサにおいて、前記強磁性固定層の磁化方向が素子短辺方向に対して、30度以下の範囲内で乖離していることを特徴とする磁気センサ。
  7. 磁気センサと、
    磁化の向きが周期的に交互に反転した着磁領域を有し、隣接する一対の着磁領域の長さの和が2λである磁気媒体とを有し、
    前記磁気媒体は、前記磁気センサに対して所定の間隔で対向して、前記着磁領域の配列方向に相対的に移動し、
    前記磁気センサは、それぞれが非磁性中間層を介して積層された強磁性固定層と強磁性自由層を備え、形状が略長方形で略同一な磁気抵抗変化特性を有し、前記強磁性固定層の磁化方向が一致している4n個(nは自然数)の磁気抵抗効果素子を含み、
    前記4n個の磁気抵抗効果素子は、それぞれ2n個の素子からなる第一の素子群と第二の素子群を構成し、各素子群を構成する磁気抵抗効果素子は素子短辺方向に先端の素子から後端の素子まで距離λを隔てて等間隔に配置されると共に素子長辺方向に直列接続されており、前記第一の素子群の後端の素子と前記第二の素子群の先端の素子は素子短辺方向に距離λ/2を隔てて位置し、前記第一の素子群の先端の素子は電源に後端の素子は前記第二の素子群の先端の素子に接続され、前記第二の素子群の後端の素子は接地されており、前記第一の素子群と前記第二の素子群の接続部から中点電位を取ることで外部磁界を検出し、
    前記磁気抵抗効果素子は、素子短辺方向に平行な外部磁界に応じて生じる抵抗変化の過程において、最大の抵抗変化量ΔRに対して、ΔR×10%からΔR×50%の抵抗変化に要する磁界をH10-50、ΔR×50%からΔR×90%の抵抗変化に要する磁界をH50-90とするとき、
    H10-50<H50-90
    の関係を満たすことを特徴とする磁気エンコーダ。
  8. 請求項7記載の磁気エンコーダにおいて、前記磁気センサと前記磁気媒体とは前記磁気媒体の着磁方向に相対的に移動し、前記強磁性固定層の磁化方向と前記磁気媒体の着磁方向が同じであることを特徴とする磁気エンコーダ。
  9. 請求項7記載の磁気エンコーダにおいて、前記磁気抵抗効果素子は、
    1.5<H50-90/H10-50<4.0
    の関係を満たすことを特徴とする磁気エンコーダ。
  10. 請求項7記載の磁気エンコーダにおいて、前記非磁性中間層は局所的に不均一な膜厚分布を有することを特徴とする磁気エンコーダ。
  11. 請求項7記載の磁気エンコーダにおいて、前記強磁性固定層と前記強磁性自由層は前記非磁性中間層を介して強磁性的な層間相互作用を有しており、該層間相互作用の大きさが局所的に不均一であることを特徴とする磁気エンコーダ。
  12. 請求項7記載の磁気エンコーダにおいて、前記強磁性固定層の磁化方向は素子短辺方向であることを特徴とする磁気エンコーダ。
  13. 請求項7記載の磁気エンコーダにおいて、前記強磁性固定層の磁化方向が素子短辺方向に対して、30度以下の範囲内で乖離していることを特徴とする磁気エンコーダ。
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