JP2009064528A - 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009064528A
JP2009064528A JP2007233112A JP2007233112A JP2009064528A JP 2009064528 A JP2009064528 A JP 2009064528A JP 2007233112 A JP2007233112 A JP 2007233112A JP 2007233112 A JP2007233112 A JP 2007233112A JP 2009064528 A JP2009064528 A JP 2009064528A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
ferromagnetic
magnetoresistive
magnetic field
free
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007233112A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Meguro
賢一 目黒
Masato Shiimoto
正人 椎本
Hiroyuki Hoshiya
裕之 星屋
Hiroyuki Katada
裕之 片田
Katsumi Hoshino
勝美 星野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2007233112A priority Critical patent/JP2009064528A/ja
Publication of JP2009064528A publication Critical patent/JP2009064528A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

【課題】線記録密度方向の高い再生分解能及び安定した応答特性を有する差動動作型磁気抵抗効果ヘッドを提供する。
【解決手段】第一の磁気抵抗効果膜(固定層/中間層/自由層)100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜(自由層/中間層/固定層)120からなる差動動作型の磁気抵抗効果膜において、導電性ギャップ層を、第一の自由層及び第二の自由層に対して、トラック方向に縦バイアス磁界を印加する為の、バイアス磁界付与層で構成する。バイアス磁界付与層は、2層の非磁性層に挟まれた、トラック幅方向に磁化が固定された強磁性層からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録再生装置に搭載される磁気ヘッドに関し、特に、磁気記録媒体に記録された情報を再生する磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法に関するものである。
磁気記録再生装置に再生素子として搭載する磁気抵抗効果ヘッドには、特開平4−358310号公報に記載されているスピンバルブ型磁気抵抗効果膜に、電流を積層膜の面内方向に流して用いるCIP(Current In the Plane)−GMR(Giant Magneto-Resistive)ヘッドが採用されてきた。現在では、積層膜の膜厚方向に電流を流して用いるTMR(Tunneling Magneto-Resistive)ヘッドや、CPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMRヘッドへと移行しつつある。
スピンバルブ型磁気抵抗効果膜は、強磁性層/非磁性中間層/強磁性層/反強磁性層の基本構成からなる。スピンバルブ型磁気抵抗効果膜において、反強磁性層との交換結合によって磁化方向が一方向に固定されている強磁性層は固定層と呼ばれ、もう一方の強磁性層は、外部磁界に応じて自由にその磁化方向を変えることができるため、自由層と呼ばれる。スピンバルブ型磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果ヘッドは、固定層と自由層の磁化のなす角度に応じて電気抵抗が変化する現象を利用し、磁気記録媒体から生じる信号磁界を電圧変化又は電流変化として出力する。
一般に、スピンバルブ型磁気抵抗効果膜を磁気記録再生装置に搭載される再生磁気センサとして機能させる際には、固定層の磁化方向は磁気記録媒体に対して垂直な方向(以下“素子高さ方向”と記す)に固定される。一方、自由層の磁化方向は、外部磁界がゼロの状態でトラック幅方向に設定される。こうすることによって、磁気記録媒体からの信号磁界の符号に対して対称な応答特性を得ることができる。更に、ノイズが少なく、良好な線形応答特性を得る為には、自由層が単磁区構造を有するように、自由層に対してトラック幅方向に縦バイアス磁界を印加する必要がある。この縦バイアス磁界印加手法としては、スピンバルブ膜の両端部に硬磁性膜あるいは強磁性層と反強磁性層との積層膜を配置し、自由層に縦バイアス磁界を印加して単磁区化する方法が特開平7−57223号公報に記載されている。特に前者はハードバイアス構造と呼ばれ、現在の磁気抵抗効果ヘッド構造の主流となっている。
自由層に縦バイアス磁界を印加する他の手段として、特開2001−250205号公報には、反強磁性層/固定層/非磁性導電層/自由層からなるスピンバルブ膜を形成した後、自由層に接して、バイアス非磁性層/バイアス強磁性層/バイアス反強磁性層の積層膜からなる積層バイアス膜を形成する方法が記載されている。この構成では、バイアス強磁性層の磁化方向がバイアス反強磁性層との交換結合によってトラック幅方向へ固定されている。更に、自由層がバイアス非磁性層を介して、バイアス強磁性層と強磁性的あるいは反強磁性的に結合することで、実質的に自由層に縦バイアス磁界を印加することができる(以下、この縦バイアス磁界印加手法を“積層バイアス構造”と呼ぶ)。
磁気記録再生装置において、面記録密度を向上する為には、線記録密度(磁気記録媒体の円周方向のビット密度)とトラック密度(磁気記録媒体の半径方向のビット密度)を増大する必要がある。現状の磁気抵抗効果ヘッドは、下部磁気シールドと上部磁気シールドで磁気抵抗効果膜を挟む構成(いわゆるシールド型再生ヘッド)となっている。線記録密度方向の再生分解能は、この上下磁気シールド間隔に大きく依存する。即ち、上下磁気シールド間隔を狭くするほど、線記録密度方向の分解能が大きくなり、高い面記録密度を実現することができる。従来のCIP−GMRヘッドは、磁気抵抗効果膜と下部磁気シールドを電気的に絶縁する必要があったので、上部及び下部磁気シールドと磁気抵抗効果膜の間に絶縁膜を介在させる必要があった為、上下磁気シールド間隔の狭小化が困難であった。一方、積層膜の膜厚方向に電流を流すTMRヘッドや、CPP−GMRヘッドでは、上部及び下部磁気シールドと磁気抵抗効果膜の間に絶縁膜を介在させる必要がない為、上下磁気シールド間隔の狭小化の点で有利である。しかしながら、磁気抵抗効果膜の膜厚を、30あるいは25nm程度以下にするのは大変困難と考えられる。従って、上下磁気シールド間隔は30あるいは25nm程度より狭くすることができず、高い面記録密度実現に向けた大きな障害となることが予想される。
特に、上述した積層バイアス構造を採用した磁気抵抗効果ヘッドは、磁気抵抗効果膜/積層バイアス層を積層することになる為、総膜厚が厚くなり、上下磁気シールド間隔が大きくなる。従って、再生分解能という観点からは、不利な構造と言うことができる。
線記録密度方向の分解能を向上する手段として、いわゆる差動動作型再生ヘッドが提案されている。面内磁気記録方式では、磁気記録媒体に書かれた記録ビットに対して、磁化反転領域からのみ信号磁界が生じるのに対して、垂直磁気記録方式では、各記録ビットから必ず信号磁界が生じる。従って、垂直磁気記録方式は差動動作型再生ヘッドの使用に対して都合が良い。特開2002−183915号公報には、垂直磁気記録方式を用いた磁気記録再生装置において、一対の磁気抵抗効果膜を導電層を介して直列接続し、差動動作させる再生ヘッド構造が開示されている。一対の磁気抵抗効果膜のうち、信号磁界の感磁部となる2層の強磁性自由層が導電層を介して隣接対面するように配置され、一対の磁気抵抗効果膜の抵抗変化特性が、同じ向きの磁界に対して逆極性になるように設定することで、差動動作させることが可能となる。この場合、線記録密度方向の分解能は、上下磁気シールド間隔よりも一対の磁気抵抗効果膜間に介在する導電層の膜厚に大きく影響を受ける。即ち、上下磁気シールド間隔の狭小化ができなくても一対の磁気抵抗効果膜間に介在する導電層の膜厚を適切に設定することで、線密度方向の高い再生分解能が得られ、結果的に面記録密度を向上することができる。
特開平9−270108号公報、特開平10−340429号公報には、縦バイアス磁界印加機能を有する絶縁性ギャップ層を介して配置した一対の磁気抵抗効果素子を用いた差動動作型AMR(Anisotropic Magneto-Resistive)ヘッドが記載されている。この開示例では、第一の磁気抵抗効果膜を成膜した後、所定形状へのパターニング及び電極形成、引き続き、絶縁性ギャップ層/第二の磁気抵抗効果膜を成膜した後、所定形状へのパターニング及び電極形成という煩雑なプロセスフローを用いる。
特開平4−358310号公報 特開平7−57223号公報 特開2001−250205号公報 特開2003−69109号公報 特開2004−227749号公報 特開2002−183915号公報 特開平9−270108号公報 特開平10−340429号公報
TMRヘッドや、CPP−GMRヘッドのような積層膜の膜厚方向に電流を流すCPP型ヘッドを用いることを前提としても、磁気抵抗効果膜自体の更なる薄膜化が困難になっていることから、シールド型再生ヘッドにおいて線密度方向の再生分解能を向上することは困難になっていく。その為、差動動作型再生ヘッドが、面記録密度の向上を実現する上で今後重要となってくることが予想される。差動動作型再生ヘッドでは、2つの磁気抵抗効果素子の出力特性(磁界に対する極性を除く)がほぼ同一であることが重要である。なぜならば、2つの磁気抵抗効果素子の出力絶対値が異なると、再生波形においてベースライン・シフトなどを生じ好ましくないからである。
個々の磁気抵抗効果素子の出力は、利用率、磁気抵抗変化率、センス電圧の積に比例する。従って、個々の磁気抵抗効果素子に対して、縦バイアス磁界、磁気抵抗変化率、素子抵抗が略等しくなることが重要となる。前述した、磁気抵抗効果膜のトラック端部に硬磁性膜を配置するハードバイアス構造では、2つの磁気抵抗効果素子に対して略等しい縦バイアス磁界を付与することは困難である。なぜならば、硬磁性膜は、磁気抵抗効果膜をパターニングした後、リフト・オフ法を用いてトラック端面に絶縁膜を介して形成される為、自由層と硬磁性膜のトラック幅方向の距離及び自由層と硬磁性膜の膜厚方向の幾何的位置関係を同一にすることができないからである。従って、2つの磁気抵抗効果素子は異なる利用率を有し、結果として異なる出力を示すことになる。
また、特開平9−270108号公報、特開平10−340429号公報に開示されていたように、一対の磁気抵抗効果素子を用いた差動動作型再生ヘッドにおいて、第一の磁気抵抗効果膜の成膜及び微細加工/電極形成と第二の磁気抵抗効果膜の成膜及び微細加工/電極形成とがそれぞれ独立工程で行われると、個々の磁気抵抗効果膜の特性乖離や個々の磁気抵抗効果素子の寸法ずれ(結果的に、素子抵抗の乖離)が生じる懸念がある。更には、第一及び第二の磁気抵抗効果膜の成膜工程の間に、フォトリソグラフィやエッチングなどの微細加工工程が介在すると、意図せぬ接触抵抗が生じて磁気抵抗効果特性の劣化を招いたり、磁気的な交換結合特性が低下し、十分な、またばらつきの小さい縦バイアス効果を得ることが困難になる。
本発明は、線記録密度方向の高い再生分解能を有する差動動作型の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、2つの磁気抵抗効果素子に対して略等しい縦バイアス磁界を付与し、2つの磁気抵抗効果素子の出力特性を略等しくして、再生波形にベースライン・シフトを生じない良好な応答特性を示す磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、上記課題を解決する為に、垂直磁気記録方式を前提として、第一の磁気抵抗効果膜(第一の固定層/第一の中間層/第一の自由層)/導電性ギャップ層/第二の磁気抵抗効果膜(第二の自由層/第二の中間層/第二の固定層)からなる差動動作型の磁気抵抗効果膜において、導電性ギャップ層が、第一の自由層及び第二の自由層に対して、トラック方向に縦バイアス磁界を印加する為の、少なくとも1層の強磁性層を含む層を一対の非磁性層で挟持した、バイアス磁界付与層からなる構成を用いる。ここで、第一の磁気抵抗効果膜/導電性ギャップ層/第二の磁気抵抗効果膜は真空を破らず、ひとつの成膜工程で形成される。
バイアス磁界付与層は、第一の非磁性層/第一の強磁性層/反強磁性層/第二の強磁性層/第二の非磁性層という構成とし、第一の強磁性層及び第二の強磁性層の磁化は、反強磁性層との交換結合により、トラック幅方向に固定する。第一の自由層/第一の非磁性層/第一の強磁性層/反強磁性層/第二の強磁性層/第二の非磁性層/第二の自由層を略等しいトラック幅に同一の工程で加工すると、第一の自由層と第一の強磁性層の磁化、及び第二の強磁性層と第二の自由層の磁化が、トラック端部において静磁結合することで、第一の自由層及び第二の自由層に、トラック幅方向に略平行な方向に縦バイアス磁界が付与される。更には、第一の自由層と第一の強磁性層及び、第二の強磁性層と第二の自由層が、それぞれ第一の非磁性層及び第二の非磁性層を介して、反強磁性的な層間結合を有するようにすると、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス効果が助長される。
本発明の構造の大きな利点は、縦バイアス磁界の大きさが、微小な素子形状の相違に依存せず、ほぼバイアス磁界付与層の磁気特性で決定されることにある。即ち、第一の強磁性層及び第二の強磁性層の磁化量と、第一の非磁性層及び第二の非磁性層を介した第一の自由層と第一の強磁性層間及び第二の強磁性層と第二の自由層間に作用する反強磁性的層間結合磁界が縦バイアス磁界の支配因子となる。これらの磁化量や反強磁性的層間結合磁界は、これらに寄与する各構成層の膜厚を調整することで、容易に制御することが可能である。結果として、第一の自由層及び第二の自由層に印加される縦バイアス磁界の大きさを、容易に略等しく設定することができる。
他のバイアス磁界付与層の構成例として、非磁性層/硬磁性層/非磁性層とすることもできる。この場合も上述したと同様な原理によって、2層の自由層にトラック幅方向に縦バイアス磁界を付与し、更に、その大きさを容易に略等しく設定することができる。
また、バイアス磁界付与層を、第一の非磁性層/第一の強磁性層/第一の90度結合層/第二の強磁性層/反強磁性層/第三の強磁性層/第二の90度結合層/第四の強磁性層/第二の非磁性層とすることもできる。ここでは、第二の強磁性層及び第三の強磁性層の磁化が、反強磁性層との交換結合により素子高さ方向に固定されている。2層の自由層に対して実質的に縦バイアス磁界を付与する第一の強磁性層及び第四の強磁性層は、それぞれ第一の90度結合層及び第二の90度結合層を介して、第二の強磁性層及び第三の強磁性層の磁化に対して、略直交方向に層間結合を有するようにする。これにより、第一の強磁性層及び第四の強磁性層の磁化は、トラック幅方向に規定されることになり、2層の自由層に対して縦バイアス磁界を付与する。縦バイアス磁界印加の動作原理や、その大きさの容易制御性については、他の二例と同様である。
本発明によれば、2つの磁気抵抗効果素子を用いた差動動作型再生ヘッドにおいて、2つの磁気抵抗効果素子に対して略等しい縦バイアス磁界を付与し、2つの磁気抵抗効果素子が略等しい出力特性を有することで、再生波形にベースライン・シフトを生じない良好な応答特性を実現することができる。従って、線記録密度方向の高い再生分解能及び安定した応答特性を有する磁気抵抗効果ヘッドを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。理解を容易にするため、以下の図において同じ機能部分には同一の符号を付して説明する。
まず、図16に、通常のシールド型再生ヘッドと差動動作型再生ヘッドの構造概略図と再生信号波形を比較して示す。(A)がシールド型、(B)が差動型である。磁気記録媒体500上に、下部シールド10及び上部シールド40に挟持された磁気抵抗効果素子が浮上している。(A)のシールド型では一つの、(B)の差動型では二つの磁気抵抗効果素子を有している(図では、簡略化して、磁気抵抗効果素子の構成要素である自由層104,124のみを示した)。シールド型における再生信号波形は、磁気記録媒体500に記録された磁化状態に応じて矩形型波形となる。一方、差動型における再生信号波形は、一対の磁気抵抗効果素子の差動出力であり(詳細は後述する)、単峰型波形となる。
〔実施例1〕
図1に、本発明の第1の実施例である磁気抵抗効果ヘッドのABS(Air bearing surface)面から見た概略図を示す。また、図2には、図1のトラック中心における素子高さ方向の断面図を示す。尚、図中には各強磁性層の磁化方向を矢印で付記してある。ヘッド作製手順の概略とあわせて構造を以下に説明する。
基板(図示せず)上に、下部シールド10を形成した後、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120を順次、連続成膜する。詳細構成は後述する。真空を破らずに同一工程でこれらを成膜することで、第一の磁気抵抗効果膜100及び第二の磁気抵抗効果膜120において、略等しい磁気抵抗効果特性を容易に得ることができる。第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120に含まれる一部の強磁性層の磁化方向を所望の方向に固定することを目的として、適宜、磁界中熱処理を施す。フォトリソグラフィとイオンミリングや反応性イオンエッチングを用いて、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120を素子高さ方向の所望の形状にパターニングする。
次に、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120の両端部にリフトオフ法を用いて絶縁膜20を形成する。トラック幅方向についても同様に、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120をフォトリソグラフィとイオンミリングや反応性イオンエッチングを用いて所望の形状にパターニングし、リフトオフ法を用いて絶縁膜30を形成する。尚、上述したパターニングについては、素子高さ方向とトラック幅方向の順序が入れ替わっても差し支えはない。次に、上部シールド40を形成する。
下部シールド10と上部シールド40は、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120の膜厚方向に電流を供給する一対の電極を兼ねており、磁気記録媒体からの信号磁界に対する磁気抵抗効果膜の電気抵抗変化の検出を行う。従って、下部シールド10と第一の磁気抵抗効果膜100間及び第二の磁気抵抗効果膜120と上部シールド40間には、電気的な接触抵抗を極力含まないことが望ましい。この影響を低減する為には、第一の磁気抵抗効果膜100及び上部シールド40を形成する直前に、プラズマエッチングやイオンビームエッチング等を用いて、表面酸化膜や表面付着/吸着物を除去しておくと効果的である。また、絶縁膜20及び30は、下部シールド10と上部シールド40が電気的に短絡しないよう配置してある。下部シールド10と上部シールド40の電気的な絶縁を確保できる範囲で絶縁膜30の膜厚を薄くすると、上部シールド40の一部をいわゆる“サイドシールド”として機能させることが可能となり、磁気的な実効トラック幅の狭小化に効果があり、より好ましい。
図3に、磁気抵抗効果膜のABS面から見た構成例の更に詳細な図を示す。第一の磁気抵抗効果膜100の基本構成は、下部シールド10に近い側から順に、反強磁性層101/固定層102/中間層103/自由層104である。勿論、最下層に適切な下地層を形成しても何ら差し支えはない。同様に、第二の磁気抵抗効果膜120の基本構成は、導電性ギャップ層110に近い側から順に、自由層124/中間層123/固定層122/反強磁性層121である。最上層に適切な保護層を形成しても何ら差し支えはない。ここで、固定層102は、m層(m:偶数)の強磁性層と(m−1)層の反強磁性的層間結合層を交互に積層したいわゆる積層フェリ構造、固定層122は、n層(n:奇数)の強磁性層と(n−1)層の反強磁性的層間結合層を交互に積層した積層フェリ構造とする。こうすることによって、反強磁性層101,121に接している強磁性層(固定層102,122の構成要素)の磁化を同一方向に固定した場合、実質的に磁気抵抗効果に寄与する、中間層103,123に接する強磁性層(固定層102,122の構成要素)の磁化は反平行な方向に固定される。従って、第一の磁気抵抗効果膜100と第二の磁気抵抗効果膜120が同一方向の信号磁界に対して、逆位相の抵抗変化特性を示す。
図4に、マイクロマグネティック・シミュレーションによって求めた第一の磁気抵抗効果膜100単体、第二の磁気抵抗効果膜120単体及びこれらを導電性ギャップ層110を介して直列接続した差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの孤立波形を示す。第一の磁気抵抗効果膜100単体、第二の磁気抵抗効果膜120単体の孤立波形は、シールド型磁気抵抗効果ヘッドを模擬して計算した結果である。第一の磁気抵抗効果膜100単体、第二の磁気抵抗効果膜120単体の孤立波形は、図示したように、垂直磁気記録方式特有の矩形型の再生波形となる。一方、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの孤立波形は、第一の磁気抵抗効果膜100単体、第二の磁気抵抗効果膜120単体の孤立波形に見られた出力変化点(記録ビットの磁化反転領域に対応)において出力ピークとなる単峰型の再生波形となる。これは、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドでは、導電性ギャップ層110の膜厚だけ離間した2層の自由層による、個々の信号磁界検出に基づく差動出力となるから、微分的な再生波形となる為である。
図5に、規格化出力の線記録密度依存性の計算結果を示す。通常のシールド型磁気抵抗効果ヘッド(単体の磁気抵抗効果膜を使用)と、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドを比較して示してある。尚、通常のシールド型磁気抵抗効果ヘッドの上下シールド間隔は20nm、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの上下シールド間隔は60nm、導電性ギャップ層110の膜厚は20nmとした。線記録密度の増大に伴う規格化出力の低下が小さい方が、高い再生分解能を有しているということになる。従って、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの方が、高い再生分解能を示している。シールド型磁気抵抗効果ヘッドにおいて、上下シールド間隔は磁気抵抗効果膜の膜厚で決まり、その薄膜化限界は30から25nm程度と考えられ、20nm以下とするのは極めて困難である。一方で、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの導電性ギャップ層110の膜厚を20nmあるいはそれ以下に設定するのは容易であるから、今後、高い再生分解能を実現するにあたって、差動動作型磁気抵抗効果ヘッドが適した構造であることが分かる。
先に述べたように、磁気抵抗効果ヘッドにおいて、安定な応答特性を得る為には、自由層にトラック幅方向に縦バイアス磁界を印加する必要がある。仮に、現在用いられているハードバイアス構造を差動動作型磁気抵抗効果ヘッドに適用した場合の、ABS面から見た概略図を図6に示す。第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120をトラック幅方向にパターニングした後、リフト・オフ法を用いて、絶縁膜30/硬磁性膜50が順に形成される。ここで、硬磁性膜50は絶縁膜30を介して、磁気抵抗効果膜のトラック端面に形成されることになるので、2層の自由層に対して、略等しい縦バイアス磁界を付与することは困難を極める。なぜならば、2層の自由層に対して、硬磁性膜50の幾何的配置を同様にする(トラック幅方向及び膜厚方向)ことが難しいからである。
2層の自由層に付与される縦バイアス磁界が異なると、第一の磁気抵抗効果膜100及び第二の磁気抵抗効果膜120の単体素子の利用率が異なり、結果的に出力が異なってしまう。これによる問題点について、計算した孤立波形を用いて説明する。第一の磁気抵抗効果膜100の出力に対して、第二の磁気抵抗効果膜120の出力が、利用率の相違によって2割小さいと仮定し、図7に、第一の磁気抵抗効果膜100単体、第二の磁気抵抗効果膜120単体及びこれらを導電性ギャップ層110を介して直列接続した差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの孤立波形を示す。図から、差動出力の孤立波形において、ベースライン・シフトが生じているのが分かる。これは、再生動作中において読み取り不良を招く恐れがあり、好ましくない。従って、本発明ではハードバイアス構造ではなく、導電性ギャップ層110が2層の自由層に対して、トラック幅方向に縦バイアス磁界を印加する為の、少なくとも1層の強磁性層を含む積層構造を非磁性層で挟持した、バイアス磁界付与層からなる構成を用いる。
図8に、バイアス磁界付与層の第一の構成例をABS面から見た概略図として示す。図中には、2層の自由層に縦バイアス磁界が印加される様子を、各強磁性層の磁化方向を表す矢印及びトラック端部における磁束の流れを表す矢印によって示してある。
具体的には、バイアス磁界付与層を、非磁性層201/強磁性層202/反強磁性層203/強磁性層204/非磁性層205という構成とし、強磁性層202,204の磁化は、反強磁性層203との交換結合により、トラック幅方向に固定する。自由層104/非磁性層201/強磁性層202/反強磁性層203/強磁性層204/非磁性層205/自由層124を略等しいトラック幅に加工すると、自由層104と強磁性層202の磁化、及び強磁性層204と自由層124の磁化が、トラック端部において静磁結合することで、自由層104,124に、トラック幅方向に略平行な方向に縦バイアス磁界が付与される。更には、自由層104と強磁性層202及び、強磁性層204と自由層124が、それぞれ非磁性層201,205を介して、反強磁性的な層間結合を有するようにすると、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス効果が助長される。
この構造の大きな利点は、縦バイアス磁界の大きさが、微小な素子形状の相違に依存せず、ほぼバイアス磁界付与層の磁気特性で決定されることにある。即ち、強磁性層202,204の磁化量と、非磁性層201,205を介した自由層104と強磁性層202間及び強磁性層204と自由層124間に作用する反強磁性的層間結合磁界が縦バイアス磁界の支配因子となる。これらの磁化量や反強磁性的層間結合磁界は、これらに寄与する各構成層の膜厚を調整することで、容易に制御することが可能である。結果として、自由層104及び自由層124に印加される縦バイアス磁界の大きさを、容易に略等しく設定することができる。
マイクロマグネティック・シミュレーションを用いた計算によって、適切な縦バイアス磁界を見積もった。図21に、規格化再生出力の縦バイアス磁界付与を担う強磁性層の磁化量/自由層の磁化量(以下、縦バイアス比と略す)依存性を示す。また、磁気抵抗効果曲線の典型例を、図22(a)に正常な場合、図22(b)にヒステリシスを生じた場合として示す。規格化再生出力は、縦バイアス比が増大するにつれて、単調に減少しているのが分かる。これは、縦バイアス磁界の増大によって、利用率が低下した為と理解される。しかしながら、縦バイアス比が1以下の場合、磁気抵抗効果曲線は図22(b)に示したようにヒステリシスを示すことが確認された。即ち、これは縦バイアス磁界印加が十分でなく、自由層の磁化状態が不安定であることを示唆しており、好ましくない。一方で、縦バイアス比が2以上の場合にも、磁気抵抗効果曲線にヒステリシスが見られることを確認した。これは、縦バイアス磁界付与を担う強磁性層の磁化量が増大することによって、この強磁性層の磁化状態が不安定になったことに起因する。従って、計算から、好適な縦バイアス比は1.2から1.8であったので、強磁性層202の磁化量/自由層104の磁化量及び強磁性層204の磁化量/自由層124の磁化量は略等しくし、1.2から1.8の範囲とすることが望ましい。
次に、図1及び図8に示した差動動作型磁気抵抗効気ヘッドの各構成要素について詳述する。基板、下部シールド10及び上部シールド40、絶縁膜20,30については、本発明において特別な限定を要するものではない為、一般的に用いられている材料を一例として挙げておく。基板としては、AlTiC,SiC又はそれらにAl23を被覆したもの、下部シールド10及び上部シールド40としては、Ni−Fe合金及びその窒化物、Co−Zr又はCo−Hf又はCo−Ta系非晶質合金等の単層又は多層膜を用いればよい。これらは、スパッタ法やめっき法で形成するのが簡便である。絶縁膜20,30としては、Al23,SiO2,AlN,SiNやこれらの混合物及び多層膜を用いることで、下部シールド10と上部シールド40の短絡を防止することができる。これらは、スパッタ法で形成するのが簡便で好ましい。
第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120の形成は、膜厚及び合金組成の制御性や量産効率の観点から、スパッタ法により作製するのが好ましい。第一の磁気抵抗効果膜100の膜構成例は、例えば、Ta(3)/Ru(2)/Mn80Ir20(6)/Co75Fe25(2)/Ru(0.45)/Co90Fe10(2.5)/MgO(1)/Co90Fe10(1)/Ni85Fe15(3)などが好ましい一例である。( )内の数値は膜厚を示し、単位はnmである。また、元素の添え字で示した各合金組成の単位は、at%である。Ta(3)/Ru(2)が下地層に、Mn80Ir20(6)が反強磁性層101に、Co75Fe25(2)/Ru(0.45)/Co90Fe10(2.5)が固定層102に、MgO(1)が中間層103に、Co90Fe10(1)/Ni85Fe15(3)が自由層104にそれぞれ相当する。尚、ここでは中間層としてMgOを用いたTMR膜の例を示した。MgO以外にも、Mg,Al,Si,Ti,V,Mn,Zr,Nb,Hf,Taなどを含む酸化物あるいは窒化物を中間層材料として用いても差し支えない。また、中間層にCu、Ag、Auやそれを主成分とした合金を用いる構成とすると、そのままCPP−GMR膜として使用し得る。更には、中間層をAl23のような絶縁性材料の中にCuなどの金属的ピンホールによる伝導パスを形成したいわゆる「電流狭窄型」の構成としても良い。
同様に、第二の磁気抵抗効果膜120の膜構成例は、例えば、Ni85Fe15(3)/Co90Fe10(1)/MgO(1)/Co90Fe10(2.5)/Ru(0.45)/Co90Fe10(4)/Ru(0.45)/Co75Fe25(1.5)/Mn80Ir20(6)のようにすると良い。概ね、第一の磁気抵抗効果膜100の積層順を対称にしたような構成にすることで、ほぼ同等な磁気抵抗変化特性を得ることができる。面積抵抗や磁気抵抗変化率を微調整する為には、主に中間層の膜厚を適宜最適化すれば良い。
唯一異なるのが、固定層の構成である。第一の磁気抵抗効果膜100中の固定層102は、Co75Fe25(2)/Ru(0.45)/Co90Fe10(2.5)としているのに対し、第二の磁気抵抗効果膜120中の固定層122は、Co90Fe10(2.5)/Ru(0.45)/Co90Fe10(4)/Ru(0.45)/Co75Fe25(1.5)としてある。どちらも、Co−Fe強磁性層と反強磁性的な層間結合をもたらすRu層を交互に積層した、いわゆる「積層フェリ」構成となっている。第一の磁気抵抗効果膜100中の固定層102は2層のCo−Fe層、第二の磁気抵抗効果膜120中の固定層122は3層のCo−Fe層を含んでいる点に相違がある。即ち、一方の固定層102は、m層(m:偶数)の強磁性層と(m−1)層の反強磁性的層間結合層を交互に積層した積層フェリ構造、他方の固定層122は、n層(n:奇数)の強磁性層と(n−1)層の反強磁性的層間結合層を交互に積層した積層フェリ構造としてある。こうすることによって、第一の反強磁性層101及び第二の反強磁性層121に接している強磁性層(固定層102,122の構成要素)の磁化を同一方向に固定した場合、実質的に磁気抵抗効果に寄与する、中間層103,123に接する強磁性層(固定層102,122の構成要素)の磁化は反平行な方向に固定される。従って、第一の磁気抵抗効果膜100と第二の磁気抵抗効果膜120が同一方向の信号磁界に対して、逆位相の抵抗変化特性を示し、差動動作に適した形態となる。尚、m:奇数、n:偶数と置き換えても何ら差し支えはない。
バイアス磁界付与層からなる導電性ギャップ層110の具体的構成例は、Cu(0.65)/Ru(0.8)/Co75Fe25(3)/Mn72Ir22Cr6(6)/Co75Fe25(3)/Ru(0.8)/Cu(0.65)である。順に、Cu(0.65)/Ru(0.8)が非磁性層201に、Co75Fe25(3)が強磁性層202に、Mn72Ir22Cr6(6)が反強磁性層203に、Co75Fe25(3)が強磁性層204に、Ru(0.8)/Cu(0.65)が非磁性層205に、それぞれ相当する。強磁性層202:Co75Fe25(3)と強磁性層204:Co75Fe25(3)は、反強磁性層203:Mn72Ir22Cr6(6)との交換結合により、トラック幅方向に磁化が固定されている。ここで重要なのは、第一の磁気抵抗効果膜100及び第二の磁気抵抗効果膜120に用いた反強磁性層101,121とは、異なるブロッキング温度(交換結合磁界が消失する温度)を有する反強磁性材料を、バイアス磁界付与層の反強磁性層203に用いることである。ここでは前者にMn80Ir20(6)、後者にMn72Ir22Cr6(6)に用いた例を示した。
図9に、両材料に関する交換結合エネルギーの温度特性を示す。ブロッキング温度はそれぞれ、Mn80Ir20(6)の場合255℃、Mn72Ir22Cr6(6)の場合225℃と見積もれる。従って、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120を成膜した後、まず素子高さ方向に磁界を印加しながら、270℃で3時間、磁界中熱処理を施し、固定層102,122の磁化を素子高さ方向に固定する。この時、一時的にバイアス磁界付与層を構成する強磁性層202,204の磁化も素子高さ方向に固定されることになる。ここで、熱処理時に印加する磁界は、全ての強磁性層の磁化が磁気的に飽和するのに十分な大きさを用いる。ここでは、4MA/mの磁界を用いた。次に、トラック幅方向に磁界を印加しながら、230℃で3時間、磁界中熱処理を施し、バイアス磁界付与層を構成する強磁性層202,204の磁化のみトラック幅方向に固定する。この時、固定層102,122の磁化は、熱処理温度よりも高いブロッキング温度を有している為、素子高さ方向に固定されたままである。ここでの熱処理に印加する磁界は、自由層104,124、強磁性層202,204の磁化が磁気的に飽和する大きさで十分である。ここでは、40kA/mの磁界を用いた。このような方法で、固定層102,122の磁化は素子高さ方向に、バイアス磁界付与層を構成する強磁性層202,204の磁化はトラック幅方向に固定することができる。ブロッキング温度は、反強磁性材料及びその膜厚・組成などで制御することができる。過度にブロッキング温度の低い反強磁性層構成とすると、信頼性に問題を生じる懸念があるので、適宜調整することが望ましい。これらのプロセスフローを、本実施例に対する製造方法として、図17にまとめて示す。
非磁性層201は、自由層104と強磁性層202の磁性層間に反強磁性的な層間結合を与える構成:Cu(0.65)/Ru(0.8)である。ここでの反強磁性的な層間結合は、本質的にRu(0.8)より生じているものである。この反強磁性的な層間結合は、自由層に対して縦バイアス磁界として作用する。従って、この反強磁性的な層間結合が強過ぎると、自由層の磁化が磁気記録媒体からの信号磁界によって回転しにくくなり、出力の低下を招く。この大きさを調整する為に、Ru(0.8)に適切な厚さのCu膜を挿入した構成を採用することができる。
図10に、自由層104と強磁性層202の磁性層間に作用する反強磁性的な層間結合磁界のCu膜厚依存性を示す。非磁性層201の構成は、Cu(t)/Ru(0.8)である。Cu膜厚が厚くなるほど、反強磁性的な層間結合磁界は単調に、かつ連続的に小さくなっている。従って、Cu膜厚を最適化することで、反強磁性的な層間結合磁界を調整し、好適な縦バイアス効果を実現することができる。尚、反強磁性的な層間結合磁界を得る他の非磁性層材料の例として、Cr,Cu,Ru,Rh,Pd,Re,Ir,Au等やこれらの合金及び多層膜を用いることができる。注意すべきことは、非磁性層201を介して、自由層104と強磁性層202間で、磁気抵抗効果が生じないような材料系とする点である。非磁性層205についても、同様な考え方を適用できるので、説明は省略する。
以上説明してきた方法によって、高い再生分解能の実現に適した差動動作型磁気抵抗効果ヘッドに関し、2層の自由層に対して、略等しい縦バイアス磁界を容易に制御しつつ付与できる。その結果、2つの磁気抵抗効果素子は略等しい出力特性(磁界に対する極性は反対)を有する為、差動出力波形におけるベースライン・シフトを抑制し、安定した再生動作を実現することができる。
〔実施例2〕
図11に、本発明の第2の実施例である、第一の磁気抵抗効果膜130/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜140を、ABS面から見た概略図を示す。磁気抵抗効果ヘッドとしては、第1の実施例中の磁気抵抗効果膜100及び120を、磁気抵抗効果膜130及び140に置き換えるだけなので、ヘッド構成の詳細は省略する。
本実施例では、第1の実施例中の第一及び第二の磁気抵抗効果膜から反強磁性層101,121を除いた構成になっている。即ち、固定層132,142が、いわゆる“自動ピン止め”構成となっている。従って、固定層132,142の磁化を固定する為の磁界中熱処理工程が不要となる。この場合、固定層132,142を形成する際に、静磁界を印加しながら成膜を行うことでその磁化方向を素子高さ方向に設定することができる。自動ピン止め構成から成る固定層132,142の磁化方向を、外部磁界が印加されても強固に固定する為には、以下に示す4つの方法が効果的である。
(1)固定層132,142を構成する複数の強磁性層のうち、少なくとも1層を硬質磁性体で構成する。例えば、Co−Fe合金の場合、Fe組成が50at%付近でCo−Feの保磁力Hcは最大値を示し、25kA/m程度の大きな値が得られる。更には、PtやPd等の貴金属やV,Cr,Nb,Mo等の元素を添加すると、更に保磁力を増大させることができ、より効果的である。
(2)反強磁性結合層を介して積層された2層以上の強磁性層が磁気的に反平行配列した際に、実質的な磁化量がほぼゼロとなるように膜厚を設定する。
(3)反強磁性結合を強くする。大きな反強磁性結合を示す反強磁性結合層材料としては、Ru,Rh,Pd,Re,Irが好ましい。また、反強磁性結合層の膜厚を薄くした方が、より大きな反強磁性結合が得られる。例えば、Ruを反強磁性結合層として用いる場合には、通常は膜厚を0.8nm付近に設定することが多いが、膜厚を0.35から0.45nmとした方が、より大きな反強磁性結合が得られる。
(4)強磁性層1/反強磁性結合層1/強磁性層2/反強磁性結合層2/強磁性層3/反強磁性結合層3/強磁性層4のように積層回数を増加させる。
これら4つの方法を組み合わせると、固定層132,142の磁化方向を強固に固定することができる。例えばCo90Fe10(2.5)/Ru(0.35)/Co50Fe50(2.15)の膜構成においては、±80kA/mの磁界が印加されても、Co90Fe10(2.5)/Ru(0.35)/Co50Fe50(2.15)の磁化方向が変化しない。更に、Co90Fe10(2.5)/Ru(0.35)/Co50Fe50(2.15)/Ru(0.35)/Co90Fe10(2.5)/Ru(0.35)/Co50Fe50(2.15)とした場合には、±120kA/mの磁界が印加されても、その磁化方向が変化しない。
尚、第1の実施例では、2つの磁気抵抗効果素子の出力極性を反対にする(実質的な固定層の磁化方向を反対にする)為、固定層を構成する強磁性層の数を一方は偶数、他方は奇数とする必要があった。本実施例では、固定層の膜構成を変える必要はなく、磁気抵抗効果膜の成膜時に印加する静磁界の方向でこれを制御することができる。
導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)110の構成は、第1の実施例と同じであり、自由層に対してトラック幅方向に縦バイアス磁界を付与する原理も同様であるので、詳細な説明は省略する。
第1の実施例では、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜120を成膜した後、2回の磁界中熱処理が必要であった。即ち、磁気抵抗効果膜の構成要素である固定層の磁化を素子高さ方向に固定する磁界中熱処理工程と、導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の構成要素である強磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する磁界中熱処理工程を要した。一方で、本実施例では、成膜時に固定層の磁化は素子高さ方向に規定され、第一の磁気抵抗効果膜130/導電性ギャップ層110/第二の磁気抵抗効果膜140の成膜後には、導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の構成要素である強磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する磁界中熱処理工程のみで磁化方向制御が完了する。これらのプロセスフローを、本実施例に対する製造方法として、図18にまとめて示す。
〔実施例3〕
図12に、本発明の第3の実施例である、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層150/第二の磁気抵抗効果膜120を、ABS面から見た概略図を示す。磁気抵抗効果ヘッドとしては、本発明の第1の実施例中の導電性ギャップ層110を、他の導電性ギャップ層150に置き換えるだけなので、ヘッド構成の詳細は省略する。
第一の磁気抵抗効果膜100と第二の磁気抵抗効果膜120については、第1の実施例と同じであるので、説明は省略する。他のバイアス磁界付与層の構成例として、本実施例では、導電性ギャップ層150として、非磁性層211/硬磁性層212/非磁性層213を用いる。硬磁性層212には、ハードバイアス構造に使用されているような、Co−PtやこれにCr等を添加した材料やFe−Ptなどの材料を用いることができる。尚、硬磁性層212として、Co−Fe/Co−Pt/Co−Feのように、あまり保磁力の大きくない強磁性層でCo−Pt層などを挟持した構成も用いることができる。Co−Ptのような硬磁性層は、薄い非磁性層を介して、軟磁性層に磁区構造を転写し、その軟磁気特性を劣化させる懸念がある。即ち、ここでは、自由層の軟磁気特性を劣化させる可能性がある。従って、Co−Fe/Co−Pt/Co−Feのような構成とすることで、このような問題を緩和することができて、好ましい。
本実施例においても、非磁性層211,213を介して、自由層104と硬磁性層212及び、硬磁性層212と自由層124が、反強磁性的な層間結合を有するようにすると、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス効果が助長され、好ましい。従って、第1及び第2の実施例と同様に、非磁性層211,213には、Cu/RuのようなCr,Cu,Ru,Rh,Pd,Re,Ir,Au等やこれらの合金及び多層膜を用いると良い。
本実施例では、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層150/第二の磁気抵抗効果膜120の成膜後に、磁気抵抗効果膜の構成要素である固定層の磁化を素子高さ方向に固定する磁界中熱処理を施す。その後、トラック幅方向に静磁界を印加することで、導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の構成要素である硬磁性層の磁化をトラック幅方向に規定することができる。ここでの、静磁界印加は、硬磁性層の磁化が磁気的に飽和するような条件とすれば良いので、室温にて800kA/mなどの条件とすれば目的は達成される。これらのプロセスフローを、本実施例に対する製造方法として、図19にまとめて示す。
自由層に対してトラック幅方向に縦バイアス磁界を付与する原理は、第1及び第2の実施例と同様であるので、詳細な説明は省略する。尚、本実施例においては、実施例1と同様な理由から、硬磁性層212の磁化量/自由層104及び自由層124の磁化量の和が1.2から1.7の範囲にあるように設定すると、再生感度と安定性の両立が図れ、望ましい。
〔実施例4〕
図13に、本発明の第4の実施例である、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層160/第二の磁気抵抗効果膜120を、ABS面から見た概略図を示す。磁気抵抗効果ヘッドとしては、本発明の第1の実施例中の導電性ギャップ層110を、他の導電性ギャップ層160に置き換えるだけなので、ヘッド構成の詳細は省略する。
第一の磁気抵抗効果膜100と第二の磁気抵抗効果膜120については、第1の実施例と同一であるので、説明は省略する。他のバイアス磁界付与層の構成例として、本実施例では、導電性ギャップ層160として、非磁性層221/強磁性層222/90度結合層223/強磁性層224/反強磁性層225/強磁性層226/90度結合層227/強磁性層228/非磁性層229を用いる。ここで、強磁性層224,226の磁化は、反強磁性層225との交換結合により素子高さ方向に固定されている。強磁性層222,強磁性層228は、それぞれ90度結合層223,227を介して、強磁性層224,226の磁化に対して、略直交方向に層間結合を有するようにする。これにより、強磁性層222及び強磁性層228の磁化は、トラック幅方向に規定されることになり、2層の自由層104及び124に対してトラック幅方向に縦バイアス磁界を付与する。
本実施例においても、非磁性層221,229を介して、自由層104と強磁性層222及び、強磁性層228と自由層124が、反強磁性的な層間結合を有するようにすると、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス効果が助長され、好ましい。従って、これまでの述べた実施例と同様に、非磁性層221,229には、Cu/RuのようなCr,Cu,Ru,Rh,Pd,Re,Ir,Au等やこれらの合金及び多層膜を用いると良い。
90度結合層223,227としては、Mn−X(XはCr,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Re,Os,Ir,Ptの少なくとも1種類の元素)で表される材料や、Cr単体あるいはMn単体や、{Mg,Ca,Cr,Mn,Fe,Co}からなる群の内、少なくとも1種類以上の元素を含む酸化膜を用いることができる。即ち、導電性ギャップ層160の具体的構成例は、Cu(0.65)/Ru(0.8)/Co75Fe25(3)/Mn49Pt51(1.2)/Co75Fe25(1.5)/Mn72Ir22(6)/Co75Fe25(1.5)/Mn49Pt51(1.2)/Co75Fe25(3)/Ru(0.8)/Cu(0.65)などとすることができる。
本実施例では、第一の磁気抵抗効果膜100/導電性ギャップ層160/第二の磁気抵抗効果膜120の成膜後に、磁気抵抗効果膜の構成要素である固定層の磁化と、導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の構成要素である強磁性層224,226の磁化を素子高さ方向に固定する磁界中熱処理を施す。この時、導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の構成要素である強磁性層222,228の磁化は90度層間結合により、トラック幅方向に規定される。結果的に、強磁性層222,228の磁化は、2層の自由層に対して、縦バイアス磁界をトラック幅方向に付与する。これらのプロセスフローを、本実施例に対する製造方法として、図20にまとめて示す。
自由層に対してトラック幅方向に縦バイアス磁界を付与する原理は、これまで述べてきた他の実施例と同様であるので、詳細な説明は省略する。尚、本実施例においては、実施例1と同様な理由から、強磁性層222の磁化量/自由層104の磁化量、強磁性層228の磁化量/自由層124の磁化量が略等しく、この比が1.2から1.7の範囲にあるように設定すると、再生感度と安定性の両立が図れ、望ましい。
〔実施例5〕
本発明を適用した記録再生複合磁気ヘッドの概略図を図14に示す。上述したような方法で磁気抵抗効果ヘッド(再生ヘッド)を作製した後、主に磁極60とコイル70から成る記録ヘッドを作製した。尚、先に記録ヘッドを作製し、その上に磁気抵抗効果ヘッド(再生ヘッド)を作製しても差し支えない。ウエハプロセス終了後、切断工程、ABS面加工工程やアセンブリー工程を経て、磁気記録再生装置に組み込まれると磁気記録媒体に情報を記録/再生することができる。
図15は本発明による磁気記録再生装置の概略図である。磁気的に情報が記録される磁気記録媒体500をスピンドルモータ600にて回転駆動し、アクチュエータ800によってヘッドスライダ700を磁気記録媒体500のトラック上に誘導する。即ち磁気記録再生装置においては、ヘッドスライダ700上に形成した再生ヘッド及び記録ヘッドが磁気記録媒体500上の所望の位置に近接して相対運動し、信号を順次記録/再生する。記録信号は信号処理系900を通じて記録ヘッドにて磁気記録媒体500上に記録し、磁気記録媒体500に記録された磁気信号を再生ヘッドにて電磁変換し、信号処理系900を経て電気信号として得る。ヘッドスライダ700を磁気記録媒体500の所望の記録トラック上へ移動させる為には、再生ヘッドによってトラック上の位置信号を検出し、アクチュエータ800を制御して位置決めを行う。図では磁気記録媒体500の両面に磁気信号が記録される場合を想定し、ヘッドスライダ700が2つ搭載された場合を示したが、勿論、磁気記録媒体500の片面のみに磁気信号が記録されるようにしてもよく、その場合には1つのヘッドスライダ700が搭載されることになる。また、磁気記録媒体500は1枚のみ示したが、複数枚あっても構わない。
上述したような本発明の磁気ヘッドおよびこれを搭載した磁気記録再生装置においては、高い再生分解能を示し、また安定した再生動作をすることが確認された。また、自由層への縦バイアス磁界の大きさを容易に制御できた為、作製時の歩留りも良好であった。
本発明による差動動作型磁気抵抗効果ヘッドをABS面から見た概略図。 本発明による差動動作型磁気抵抗効果ヘッドの素子高さ方向の断面図。 本発明による磁気抵抗効果膜及び導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の積層構造をABS面から見た概略図。 シールド型ヘッドと差動動作型ヘッドの孤立波形を比較して示した図。 規格化出力の線記録密度依存性をシールド型ヘッドと差動動作型ヘッドで比較して示した図。 従来のハードバイアス構造を適用した差動動作型磁気抵抗効果ヘッドをABS面から見た概略図。 出力の異なる2つの磁気抵抗効果素子を用いて差動動作させた際に見られる孤立波形におけるベースライン・シフトを示した図。 本発明による磁気抵抗効果膜及び導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の積層構造をABS面から見た概略図(実施例1)。 交換結合エネルギーの温度依存性をMnIrとMnIrCrで比較して示した図。 Ru(0.8nm)/Cuを介した反強磁性的な層間結合磁界のCu膜厚依存性を示した図。 本発明による他の磁気抵抗効果膜及び導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の積層構造をABS面から見た概略図(実施例2)。 本発明による他の磁気抵抗効果膜及び導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の積層構造をABS面から見た概略図(実施例3)。 本発明による他の磁気抵抗効果膜及び導電性ギャップ層(バイアス磁界付与層)の積層構造をABS面から見た概略図(実施例4)。 本発明を適用した記録再生複合磁気ヘッドの概略図。 本発明を適用した磁気記録再生装置の概略図。 ヘッドの概略構造と再生信号波形の比較図であり、(A)はシールド型ヘッドの図、(B)は差動型ヘッドの図。 実施例1に関する製造方法のプロセスフローを示した図。 実施例2に関する製造方法のプロセスフローを示した図。 実施例3に関する製造方法のプロセスフローを示した図。 実施例4に関する製造方法のプロセスフローを示した図。 規格化再生出力の縦バイアス比(縦バイアス磁界付与を担う強磁性層の磁化量/自由層の磁化量)依存性を示した図。 磁気抵抗効果曲線の典型例(a)正常な場合、(b)ヒステリシスを生じた場合を比較して示した図。
符号の説明
10:下部シールド
20,30:絶縁膜
40:上部シールド
50:硬磁性膜
100:第一の磁気抵抗効果膜
110,150,160:導電性ギャップ層
120:第二の磁気抵抗効果膜
130:第一の磁気抵抗効果膜
140:第二の磁気抵抗効果膜
101:反強磁性層
102:固定層
103:中間層
104:自由層
121:反強磁性層
122:固定層
123:中間層
124:自由層
132:固定層
133:中間層
134:自由層
142:固定層
143:中間層
144:自由層
201:非磁性層
202:強磁性層
203:反強磁性層
204:強磁性層
205:非磁性層
211:非磁性層
212:硬磁性層
213:非磁性層
221:非磁性層
222:強磁性層
223:90度結合層
224:強磁性層
225:反強磁性層
226:強磁性層
227:90度結合層
228:強磁性層
229:非磁性層
60:磁極
70:コイル
500:磁気記録媒体
600:スピンドルモータ
700:ヘッドスライダ
800:アクチュエータ
900:信号処理系

Claims (15)

  1. 第一の固定層/第一の中間層/第一の自由層を順に積層してなる第一の磁気抵抗効果膜と、
    前記第一の磁気抵抗効果膜の上に形成された導電性ギャップ層と、
    前記導電性ギャップ層の上に形成され、第二の自由層/第二の中間層/第二の固定層を順に積層してなる第二の磁気抵抗効果膜と、
    前記第一の磁気抵抗効果膜、前記導電性ギャップ層及び前記第二の磁気抵抗効果膜を貫く方向に電流を流すための一対の電極とを有し、
    前記第一の磁気抵抗効果膜と前記第二の磁気抵抗効果膜が同一方向の磁界に対して逆位相の抵抗変化を示すことで差動動作する磁気抵抗効果ヘッドであって、
    前記導電性ギャップ層は、前記第一の自由層及び前記第二の自由層に対して、トラック幅方向に縦バイアス磁界を印加する為の、少なくとも1層の強磁性層を含む層を一対の非磁性層で挟持した構造を有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  2. 請求項1記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記導電性ギャップ層の膜厚が30nm以下,特に20nm以下であることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  3. 請求項1記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記導電性ギャップ層は、第一の非磁性層/第一の強磁性層/反強磁性層/第二の強磁性層/第二の非磁性層からなることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  4. 請求項3記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記第一の固定層及び前記第二の固定層の磁化が略素子高さ方向に固定されており、前記第一の強磁性層及び前記第二の強磁性層の磁化が略トラック幅方向に固定されており、前記第一の自由層/前記第一の非磁性層/前記第一の強磁性層/前記反強磁性層/前記第二の強磁性層/前記第二の非磁性層/前記第二の自由層が略等しいトラック幅に加工されており、
    前記第一の自由層と前記第一の強磁性層の磁化、及び前記第二の強磁性層と前記第二の自由層の磁化が、トラック端部において静磁結合することで、前記第一の自由層及び前記第二の自由層に、トラック幅方向に略平行な方向に縦バイアス磁界が付与されていることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  5. 請求項3記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記第一の自由層と前記第一の強磁性層は前記第一の非磁性層を介して反強磁性的な層間結合を有し、前記第二の強磁性層と前記第二の自由層は前記第二の非磁性層を介して反強磁性的な層間結合を有しており、前記反強磁性的な層間結合が、前記第一の自由層及び前記第二の自由層への、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス磁界印加効果を助長していることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  6. 請求項1記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記導電ギャップ層は、第一の非磁性層/硬磁性層/第二の非磁性層から成ることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  7. 請求項6記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記第一の固定層及び前記第二の固定層の磁化が略素子高さ方向に固定されており、前記硬磁性層の磁化が略トラック幅方向に設定されており、前記第一の自由層/前記第一の非磁性層/前記硬磁性層/前記第二の非磁性層/前記第二の自由層が略等しいトラック幅に加工されており、
    前記第一の自由層と前記硬磁性層の磁化、及び前記硬磁性層と前記第二の自由層の磁化が、トラック端部において静磁結合することで、前記第一の自由層及び前記第二の自由層に、トラック幅方向に略平行な方向に縦バイアス磁界が付与されていることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  8. 請求項6記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記第一の自由層と前記硬磁性層が前記第一の非磁性層を介して反強磁性的な層間結合を有し、前記硬磁性層と前記第二の自由層が前記第二の非磁性層を介して反強磁性的な層間結合を有しており、前記反強磁性的な層間結合が、前記第一の自由層及び前記第二の自由層への、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス磁界印加効果を助長していることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  9. 請求項1記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記導電ギャップ層は、第一の非磁性層/第一の強磁性層/第一の90度結合層/第二の強磁性層/反強磁性層/第三の強磁性層/第二の90度結合層/第四の強磁性層/第二の非磁性層から成り、前記第一の強磁性層と前記第二の強磁性層は前記第一の90度結合層を介して互いの磁化が略直交方向に配列しようとする層間結合を有し、前記第三の強磁性層と第四の強磁性層は前記第二の90度結合層を介して互いの磁化が略直交方向に配列しようとする層間結合を有していることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  10. 請求項9記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、
    前記第一の固定層、前記第二の固定層、前記第二の強磁性層及び前記第三の強磁性層の磁化が略素子高さ方向に固定されており、
    前記第一の強磁性層及び前記第四の強磁性層の磁化が、それぞれ前記第二の強磁性層及び前記第三の強磁性層に対して、前記第一の90度結合層及び前記第二の90度結合層を介して、磁化が略直交方向配列しようとする層間結合によって、略トラック幅方向に固定されており、
    前記第一の自由層/前記第一の非磁性層/前記第一の強磁性層/前記第一の90度結合層/前記第二の強磁性層/前記反強磁性層/前記第三の強磁性層/前記第二の90度結合層/前記第四の強磁性層/前記第二の非磁性層/前記第二の自由層が略等しいトラック幅に加工されており、
    前記第一の自由層と前記第一の強磁性層の磁化、及び前記第四の強磁性層と前記第二の自由層の磁化が、トラック端部において静磁結合することで、前記第一の自由層及び前記第二の自由層に、トラック幅方向に略平行な方向に縦バイアス磁界が付与されていることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  11. 請求項9記載の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前記第一の自由層と前記第一の強磁性層が前記第一の非磁性層を介して反強磁性的な層間結合を有し、前記第四の強磁性層と前記第二の自由層が前記第二の非磁性層を介して反強磁性的な層間結合を有しており、前記反強磁性的な層間結合が、前記第一の自由層及び前記第二の自由層への、トラック幅方向に略平行な方向の縦バイアス磁界印加効果を助長していることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  12. 請求項1記載の磁気抵抗効果ヘッドの製造方法において、
    前記第一の磁気抵抗効果膜/前記導電性ギャップ層/前記第二の磁気抵抗効果膜を、真空を破らずに同一工程内で成膜し、
    前記第一の磁気抵抗効果膜/前記導電性ギャップ層/前記第二の磁気抵抗効果膜を、同一の工程内で所定の形状に加工することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッドの製造方法。
  13. 請求項3記載の磁気抵抗効果ヘッドの製造方法において、
    前記第一の磁気抵抗効果膜/前記第一の非磁性層/前記第一の強磁性層/前記反強磁性層/前記第二の強磁性層/前記第二の非磁性層/前記第二の磁気抵抗効果膜からなる積層構造を成膜する工程と、
    素子高さ方向に磁界を印加しながら行う第一の磁界中熱処理により、前記第一の固定層及び前記第二の固定層の磁化を略素子高さ方向に固定する工程と、
    トラック幅方向に磁界を印加しながら行う第二の磁界中熱処理により、前記第一の強磁性層及び前記第二の強磁性層の磁化を略トラック幅方向に固定する工程とを含み、
    前記第一の磁界中熱処理と前記第二の磁界中熱処理にて異なる熱処理温度を用いることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッドの製造方法。
  14. 請求項6記載の磁気抵抗効果ヘッドの製造方法において、
    前記第一の磁気抵抗効果膜/前記第一の非磁性層/前記硬磁性層/前記第二の非磁性層/前記第二の磁気抵抗効果膜からなる積層構造を成膜する工程と、
    素子高さ方向に磁界を印加しながら行う磁界中熱処理により、前記第一の固定層及び前記第二の固定層の磁化を略素子高さ方向に固定する工程と、
    前記磁界中熱処理工程の後に、トラック幅方向に静磁界を印加することで、前記硬磁性層の磁化を略トラック幅方向に設定する工程と
    を有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッドの製造方法。
  15. 請求項9記載の磁気抵抗効果ヘッドの製造方法において、
    前記第一の磁気抵抗効果膜/前記第一の非磁性層/前記第一の強磁性層/前記第一の90度結合層/前記第二の強磁性層/前記反強磁性層/前記第三の強磁性層/前記第二の90度結合層/前記第四の強磁性層/前記第二の非磁性層/前記第二の磁気抵抗効果膜からなる積層構造を成膜する工程と、
    素子高さ方向に磁界を印加しながら行う磁界中熱処理により、前記第一の固定層、前記第二の固定層、前記第二の強磁性層及び前記第三の強磁性層の磁化を略素子高さ方向に固定する工程とを有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッドの製造方法。
JP2007233112A 2007-09-07 2007-09-07 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法 Pending JP2009064528A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007233112A JP2009064528A (ja) 2007-09-07 2007-09-07 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007233112A JP2009064528A (ja) 2007-09-07 2007-09-07 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009064528A true JP2009064528A (ja) 2009-03-26

Family

ID=40558971

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007233112A Pending JP2009064528A (ja) 2007-09-07 2007-09-07 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009064528A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010122919A1 (ja) * 2009-04-22 2010-10-28 アルプス電気株式会社 磁気センサ
WO2010137606A1 (ja) * 2009-05-29 2010-12-02 アルプス電気株式会社 磁気センサ
JP2015219931A (ja) * 2014-05-16 2015-12-07 株式会社東芝 磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置
US9275660B1 (en) 2014-10-01 2016-03-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic head having first magnetic shield, stack, side shield, antiferromagnetic layer, and second magnetic shield, magnetic head assembly, magnetic recording and reproducing apparatus, and manufacturing method of magnetic head

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010122919A1 (ja) * 2009-04-22 2010-10-28 アルプス電気株式会社 磁気センサ
JP5223001B2 (ja) * 2009-04-22 2013-06-26 アルプス電気株式会社 磁気センサ
WO2010137606A1 (ja) * 2009-05-29 2010-12-02 アルプス電気株式会社 磁気センサ
JP2015219931A (ja) * 2014-05-16 2015-12-07 株式会社東芝 磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置
US9275660B1 (en) 2014-10-01 2016-03-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic head having first magnetic shield, stack, side shield, antiferromagnetic layer, and second magnetic shield, magnetic head assembly, magnetic recording and reproducing apparatus, and manufacturing method of magnetic head

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4177954B2 (ja) 磁気トンネル接合積層型ヘッド及びその製法
US7440241B2 (en) Magnetoresistive head using longitudinal biasing method with 90-degree magnetic interlayer coupling and manufacturing method thereof
US7599151B2 (en) Magnetic head with laminated side shields
JP4487472B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、及びこれを備える磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ
US6947263B2 (en) CPP mode magnetic sensing element including a multilayer free layer biased by an antiferromagnetic layer
JP2001291915A (ja) 磁気抵抗センサ素子およびその製造方法
US8537505B2 (en) Magnetoresistive effect head having a free layer and a magnetic domain control layer that applies a magnetic field more strongly in an upper part of the free layer
JP2010140524A (ja) 差動型磁気抵抗効果ヘッド及び磁気記録再生装置
JP4185528B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド
US7092218B2 (en) Magnetic head comprising magnetic domain control layer formed on ABS-side of magnetic flux guide for GMR element and method of manufacturing the magnetic head
US7535683B2 (en) Magnetoresistive head with improved in-stack longitudinal biasing layers
US7944650B2 (en) Magnetoresistive element including layered film touching periphery of spacer layer
JP2008084430A (ja) 磁気ヘッド及び磁気記録装置
JP2007200428A (ja) 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及びその製造方法
JP2001118217A (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及びスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法
JPH11273029A (ja) Gmrヘッド、gmrヘッドの製造方法及び磁気ディスク駆動装置
JP2008153295A (ja) 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドおよび磁気記憶装置
JP2008243920A (ja) 磁気抵抗効果再生素子、磁気ヘッド、および磁気再生装置
JP2009064528A (ja) 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法
JP2001028108A (ja) 磁気抵抗効果ヘッドの製造方法
US7599153B2 (en) Method and apparatus providing a stabilized top shield in read head for magnetic recording
JP2006134388A (ja) 薄膜磁気ヘッド
US20080112091A1 (en) Current-confined-path type magnetoresistive element and method of manufacturing same
JP5362340B2 (ja) 磁気ヘッド
JP2001195709A (ja) 薄膜磁気ヘッド及び浮上式磁気ヘッド