JP4254268B2 - 容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に関し、特に、容量が大きいプラスチックボトル容器における把持性を改善した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックボトル容器は、成形が容易で大量生産に適しており、また、機械的強度が高く軽量であるなど、優れた特性を有していることから、各種の液体を充填する容器として広い分野で利用されている。
最近では、特に、炭酸飲料、果汁飲料、ミネラルウォーター等の飲料容器として大量に使用されている。
【0003】
ところで、ボトル容器の容量については、市場の要求に合わせて多くの種類が存在している。たとえば、容量の大きいものとしては2リットル程度の容器が使用されている。
このような大容量のボトル容器に液体を充填した場合、その液体の重さにより、容器はかなりの重量となる。そのため、たとえば、内容物である液体を注ぐときなど、ボトル容器を持ち上げる際には、相当強い力でボトル容器を把持する必要がある。このように、把持する力が強くなると、容器が変形したり、ボトル容器を把持した手とボトル容器の間で滑りを生じることがあるため、ボトル容器を持ち上げにくいことがあった。また、ボトル容器の胴囲も大きいため、片手での把持が困難になるという問題があった。
【0004】
この問題に対して、ボトル容器の胴部に把持用の凹部を設け、片手にてボトル容器を把持したときに、その凹部に指を引っ掛かけることによりボトル容器の把持性を改善した容器が提案されている(たとえば、特許文献1,2参照。)。
【0005】
しかしながら、このボトル容器においては、把持用凹部の上側の面(口部側斜面)の機械的強度が弱いため、ボトル容器を持ち上げたときに、この凹部を形成している上側の面がへこんでしまい、指の引っ掛かりが不充分となるので把持したときの状態が不安定であった。
また、把持用凹部の下側の面(底部側斜面)は、ボトル容器を把持したときに、指とこの面とのフィット感が得られず、また、ボトル容器から把持した指に作用する反発力が弱いため、ボトル容器を把持したときにホールド性が得られず、把持した感覚が不安定なものであった。
【0006】
さらに、把持部を掴んだときの押圧力により、容器は内方に窪む変形を起こすが、このときに、把持部周辺から容器の側縁部に向けて斜め方向に折れ線が発生しやすく、予期しない変形を生じることがある。この場合、度重なる使用等により、折れ線が恒常的に形成されるようになるため、外観不良の問題や、容器を把持したときの変形に対する反発力が低下し、把持したときのホールド感が得られず、把持した状態が不安定となる問題があった。
【0007】
近年、省資源化に伴う容器の軽量化によって、容器の肉厚が薄くなる傾向にあり、上記の問題はより顕著になっている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−230856号公報
【特許文献2】
特開平8−310521号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑み、片手で把持したときに安定性よく持ち上げられ、かつ繰り返しの変形に強い容器の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究した結果、容器の胴部に容器内方に窪む把持部を設け、把持部両縁に形成される稜線を容器の幅方向中心側に傾斜させることにより、押圧力により生じる変形を容器の中心方向に導くことができ、これにより、胴部側縁部の変形を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、容器胴部の胴面に、複数の斜面によって容器内方へ窪む把持部を設けた容器であって、前記複数の斜面のうち、幅方向に形成してある斜面に稜線を設け、かつ、この稜線を容器幅方向の中心線側に傾斜させ、この稜線に沿って前記容器胴部の胴面に生じた折れが、容器幅方向中心線上付近で合流するようにしたことを特徴としている。
このようにすると、把持部に押圧力を加えたときに生じる容器の変形による胴面の折れが、容器幅方向中心線付近に誘導されるため、容器胴面側縁部に予期せぬ変形が生じることを防止できる。
【0012】
また、請求項2に記載するように、前記容器胴部の周方向全周に溝を設け、この溝の一部に前記把持部を形成することが好ましい。
このようにすると、容器胴部の強度が増すため、容器を把持したときの安定性がより向上するとともに、溝の一部に把持部が組み込まれデザイン的にも優れたものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の容器の一例として、プラスチックボトル容器に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のプラスチックボトル容器の概略正面図である。
図2は、プラスチックボトル容器胴部中央部の部分拡大図である。
プラスチックボトル容器1は、周方向断面形状が四角形状であるボトル容器であり、口部2、肩部3、胴部4及び底部5を有している。ボトル容器1の胴部4は、二組の互いに対向する胴面41により形成されている。
この胴部4の長手方向ほぼ中央の全周上には、溝6が設けてある。
【0014】
把持部7は、胴面41の幅方向ほぼ中心位置に設けられ、ボトル容器1の口部2側の斜面71、ボトル容器1の底部5側の斜面72、把持部両縁に位置する幅方向斜面73、及びこれらの斜面間に把持部底面74を有する溝部によって形成されている。
この把持部7は、胴部4の対向する一組の胴面41上における溝6の一部に一体的に形成してある。
【0015】
図3は、図2中のA−A線切断図であり、溝6の切断面を示している。
プラスチックボトル容器1の胴部4に形成した溝6は、溝斜面61,62と溝底面63により形成されている。溝斜面61,62は、ほぼ直線状となっている。
このような形状の溝6を胴部4の全周又は一部に形成すると、容器胴部の剛性を高めることができる。
【0016】
図4は、図2中のB−B線切断図であり、把持部7の切断面を示している。
本実施形態においては、把持部7を形成するボトル容器口部側斜面71上に、ボトル容器1の外方に膨らむ凸部75が設けられている。この凸部75は、把持部7の幅方向ほぼ中心に頂点を有する半月状(図2参照)をしており、長手方向断面は曲線形状(図4参照)となっている。
【0017】
従来においては、把持部7の容器口部側の斜面71上には、凸部は形成されておらず、把持部7の容器口部側の斜面71は、溝6を形成する溝61の切断面のように、ほぼ直線の断面形状であった(図3参照)。
このように、把持部7の容器口部側斜面71の断面形状が直線状である場合、把持部7に指を添えたとき、この斜面71に対する指の引っ掛かりが不充分であった。また、把持部7の容器口部側斜面71の機械的強度が不充分であるため、把持部7に力を加えてボトル容器1を把持したときに、把持部7の容器口部側斜面71が変形することがあり、ボトル容器1を安定して把持することができなかった。
【0018】
これに対して、本実施形態のように、把持部7の容器口部側斜面71に凸部75を設けた構成とすると、ボトル容器1を持ち上げたときに、指が凸部75に引っ掛かりやすくなるので、ボトル容器1を把持したときの安定性を向上させることができる。
また、把持部7の容器口部側斜面71の機械的強度を向上することができるので、ボトル容器1の把持部7に加えられた力によって、ボトル容器口部側斜面71が変形することを防ぐことができるので、さらに安定性が向上する。
【0019】
把持部7の容器口部側斜面71に設けられた凸部75は、ボトル容器胴面41より低い位置にある。すなわち、胴面41から凸部75が突出しないようにしてある(図4参照)。
このようにすると、把持部7の容器口部側斜面71に設けた凸部75は胴面41から突出することがないので、ボトル容器1を積み重ねるときや箱詰めするときなどに、凸部75が邪魔になることがないので、これらの作業時に凸部75の位置を考慮する必要がなく、作業性が向上する。
【0020】
また、本実施形態においては、把持部7を形成するプラスチックボトル容器の底部側斜面72上に、容器1の内方に窪む凹部76が設けられている。この凹部76は、把持部7の幅方向ほぼ中心に底部を有する半月状(図2参照)をしており、長手方向断面は曲線形状(図4参照)となっている。
【0021】
従来においては、把持部7の容器底部側の斜面72上には、凹部は形成されておらず、容器底部側斜面72は、溝6を形成する斜面62の切断面のように、ほぼ直線の断面形状であった(図3参照)。
このように、把持部7の容器底部側斜面72の断面形状が直線状である場合、指の形状は円筒形に近い形状であるので、把持部7に指を添えたときに、指と容器底部側斜面72の接触は線接触となり、充分なフィット感は得られなかった。
【0022】
これに対して、本実施形態のように、把持部7を形成する容器底部側斜面72に凹部76を設けることで、指と容器底部側斜面72の接触を面接触とすることができるため、容器底部側斜面72に指を添わせたときのフィット感を向上させることができる。
【0023】
本実施形態において、把持部7の長手方向の幅Hは、ボトル容器1を把持するときに、指を把持部7に無理なく添わせることができる幅、たとえば、20mm程度の幅とすることが好ましい。
【0024】
把持部7の周方向の幅Wは、ボトル容器1の胴周り、形状などを考慮して、指が余裕を持って把持部7に入り込める幅とすることが好ましい。
ボトル容器1の胴面41から把持部底面74までの深さD2は、ボトル容器1を把持したときに指が充分に引っ掛かる程度、たとえば、5mm〜15mm程度が好ましい。
【0025】
図5は、図2中のC−C線切断図であり、把持部7の周方向の切断面を示している。
本実施形態では、幅方向斜面73の途中に幅方向外方に傾斜する傾斜壁77を形成することにより、把持部7の周方向の両端に谷状段部78を設けてある。
傾斜壁77を設けることにより、把持部7の容器底部側斜面72に力を加えて変形させたときに、変形に対する容器底部側斜面72の反発力を向上することができる。したがって、把持した指に、この容器底部側斜面72からの反発力が作用するので、ボトル容器1を把持したときの安定性が向上する。
【0026】
また、ボトル容器1を持ち上げ、その内容物を注ぐためにボトル容器1を傾けたときに、この谷状段部78に指が引っ掛かるので、把持部7の周方向に対する滑り止めの効果を付与することができる。
なお、段部78は谷状形状に限られず、把持部7の周方向の滑りを防止できる形状であればよい。また、段部78は、幅方向斜面73に複数設けてもよいし、口部側斜面71や底部側斜面72に形成しても構わない。
【0027】
本実施形態において、底部側斜面72に形成される稜線79は、溝底面63側からボトル容器底部5側の方向に、ボトル容器1の幅方向中心線方向に向けて傾斜している。
従来、把持部に押圧力を加えて容器を変形させると、把持部両端から胴面側縁部の方向に「ハの字型」の折れが生じやすかった。胴面の側縁部に生じる折れは永久変形となりやすく、弾性復帰し難くなるため、ボトル容器を把持したときの反発力が低下する。このため、繰り返して使用したときなど、ボトル容器を把持したときの安定性が徐々に低下する問題があった。
【0028】
一方、本実施形態のように稜線79を設けると、把持部の凹部76を把持したときに生じる胴面の折れが、稜線79に沿った方向、すなわち、容器1の幅方向中心線上に向かって生じる。そして、把持部両端の稜線79に沿って生じた折れは、ボトル容器1幅方向中心線上付近で合流し、互いに相殺し合うため、弾性復帰しやすくなる(折れの様子を図1上、破線Sで示す)。
したがって、押圧力によってボトル容器が変形しても、その変形が永久変形となりにくいため、変形に対するボトル容器の反発力の低下が小さく、繰り返し使用してもボトル容器1を把持したときの安定性が変わらない。
【0029】
なお、本実施形態においては、口部側斜面71に形成される稜線79’もボトル容器1の幅方向中心線方向に向かって傾斜しており、同様に弾性復帰がしやすい構造になっている。
【0030】
本実施形態においては、把持部7の長手方向の幅Hと溝6の長手方向の幅がほぼ同じとなっているが、指を把持部7に添えたときの感覚やボトル容器1の形状などを考慮して、把持部7の長手方向の幅Hを溝6の長手方向の幅と異なるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、溝6を形成する斜面61,62とは別個に形成した、把持部7を形成する斜面71,斜面72の上に、凸部75又は凹部76を設けているが、溝6を形成する斜面61,62に凸部75及び凹部76を設けることも可能である。
また、把持部7は把持部底面74を有しているが、把持部7の長手方向の幅Hやボトル容器1の胴面41から把持部底面74までの深さD2の値によっては省略することも可能である。
【0031】
なお、本実施形態においては、溝6上に把持部7を設けているが、図6に示すように、溝6を設けずに胴面41上に把持部7を形成することもできる。
【0032】
本実施形態のプラスチックボトル容器は、通常のボトル容器の成形手段により成形することができる。たとえば、プリフォームを延伸ブロー成形することにより得ることができる。
【0033】
ボトル容器1を形成するプラスチック材料は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,ポリアリレート、又はこれらの共重合体等の熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂あるいは他の樹脂とのブレンド物が好適であり、特に、ポリエチレンテレフタレート等のエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用される。
また、アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリエチレン等も使用することができる。
【0034】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、たとえば、容器の形状をカップ状の形状にすることも可能であり、また、容器はプラスチック製のものに限られず、アルミニウム等の金属材料、紙を主成分とする材料又はガラス等の材料からなる容器にも適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、容器の胴部に容器内方に窪む把持部を設け、把持部両縁に形成される稜線を傾斜させることにより、片手で把持したときに安定性よく持ち上げられ、かつ繰り返しの変形に強い容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスチックボトル容器の概略正面図である。
【図2】 プラスチックボトル容器胴部中央部の部分拡大図である。
【図3】 図2中のA−A線切断図である。
【図4】 図2中のB−B線切断図である。
【図5】 図2中のC−C線切断図である。
【図6】 溝のないプラスチックボトル容器の概略正面図である。
【符号の説明】
1,1a プラスチックボトル容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
41 胴面
5 底部
6 溝
61,62 溝斜面
63 溝底面
7 把持部
71 口部側斜面
72 底部側斜面
73 幅方向斜面
74 把持部底面
75 凸部
76 凹部
77 傾斜壁
78 段部
79、79’ 稜線
S 折れ線
Claims (2)
- 容器胴部の胴面に、複数の斜面によって容器内方へ窪む把持部を設けた容器であって、
前記複数の斜面のうち、幅方向に形成してある斜面に稜線を設け、かつ、この稜線を容器幅方向の中心線側に傾斜させ、この稜線に沿って前記容器胴部の胴面に生じた折れが、容器幅方向中心線上付近で合流するようにしたことを特徴とする容器。 - 前記容器胴部の周方向全周に溝を設け、この溝の一部に前記把持部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の容器。
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