JP4253831B2 - 軟水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
この発明は、軟水器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂を使用して原水を軟水とする軟水器は、工業用や家庭用として広く使用され、たとえば特許第2649826号により小型で簡単な構造の家庭用軟水器が提案されている。この軟水器においては、原水を軟水化するイオン交換樹脂を含む水処理手段と、前記イオン交換樹脂の再生液を供給する再生液供給手段とを備え、前記水処理手段へ原水を流入させて軟水を流出させる通水作動と、前記水処理手段へ前記再生液を流入させて再生排液を流出させる再生作動とを切替えて行うように構成されている。そして、前記通水作動と前記再生作動との切替えは、バルブの自動切替えにより行い、採水するかどうかは、軟水の流出側に設けた手動の採水コックにより行うものであった。さらに、この軟水器は、通常、浴室に予め備えられている浴室混合栓に接続されて使用される。
【0003】
しかしながら、前記通水作動と前記再生作動とを自動的に切替えているので、切替えを行うために、比較的大きい電力を必要とする。このため、切替バルブを電池で駆動するには適していないとともに、電池で駆動できたとしても、電池の消耗が激しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記通水作動と前記再生作動との切替えを小さい電力で行うことができるようにするとともに、弁操作や弁機構を簡素化することを主たる目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、浴室に予め備えられている浴室混合栓に接続される軟水器であって、原水を軟水化する処理剤を含む水処理手段と、原水を貯留する原水タンクと、前記処理剤の再生液を供給する再生液供給手段とを備え、前記水処理手段の下部に原水ラインと再生排液ラインとを接続するとともに、上部に軟水ラインを接続し、前記原水タンクの下部に原水流下ラインを接続するとともに、前記再生液供給手段の下部に飽和再生液流下ラインを接続し、この飽和再生液流下ラインと前記原水流下ラインとを合流させた再生液流下ラインを前記水処理手段の上方において前記軟水ラインと接続し、さらに前記原水タンクと前記再生液供給手段とを、前記原水タンク内の原水を前記再生液供給手段へ供給する第二補給水ラインを介して接続し、前記水処理手段へ原水を流入させて軟水を供給する通水作動と、前記水処理手段へ前記再生液を流入させて再生排液を流出させる再生作動とを切替えて行う軟水器において、前記通水作動と非通水作動とを手動により切り替え、かつ流路切替機能と止水機能を備えた通水切替手段と、制御手段の再生信号に基づき前記再生作動と非再生作動とを自動的に切り替える再生切替手段とを備え、前記浴室混合栓と前記通水切替手段とを水圧検出手段を備えた原水ラインを介して接続し、前記通水切替手段と前記水処理手段の下部とを通水検出手段を備えた原水ラインを介して接続し、さらに前記水圧検出手段と前記浴室混合栓との間の前記原水ラインと、前記原水タンクの下部とを第一補給水ラインを介して接続したことをことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、一般家庭の浴室内に設置する軟水器において好適に実施できる。この軟水器にあっては、前提的構成として、原水を軟水化する処理剤を含む水処理手段と、前記処理剤の再生液を供給する再生液供給手段とを備え、前記水処理手段へ原水を流入させて軟水を流出させる通水作動と、前記水処理手段へ前記再生液を流入させて再生排液を流出させる再生作動とを切替えて行う。前記処理剤を含む水処理手段としては、たとえばイオン交換樹脂を充填した樹脂筒が用いられる。前記再生液供給手段としては、たとえば再生液としての塩水を貯留する塩水タンクが用いられる。
【0009】
さらに、この発明の特徴的部分に関連する構成として、前記通水作動と非通水作動とを手動により切り替える通水切替手段を設けるとともに、前記再生作動と非再生作動とを自動的に切り替える再生切替手段を備えている。前記通水切替手段は、前記水処理手段に対する原水および軟水の流通経路を少なくとも通水状態と通水停止(止水)状態とに切り替えるものである。この通水状態と、止水状態とを切替えるだけの場合には、二方弁(オン−オフ弁)が用いられ、また通水状態と、止水状態と、前記水処理手段をバイパス(迂回)して原水を使用に供する原水バイパス状態とを切替えて行う場合には、三方弁(二方弁を組合わせたものでも良い)が用いられる。したがって、前記非通水状態とは、通水でない(軟水を使用に供さない)状態を云い、たとえば止水状態や、原水バイパス状態を云う。
【0010】
また、前記再生切替手段は、前記再生液供給手段に対する再生液および再生排液の流通経路を再生状態と非再生状態とに切り替えるものである。この非再生状態とは、前記水処理手段へ再生液を流さない状態を云う。前記再生切替手段は、前記水処理手段の再生周期などの再生開始条件が満たされたとき、前記制御手段から出力される再生信号により、自動的に非再生状態から再生状態へ切り替えるものであり、たとえば電気駆動式のバルブにて構成される。
【0011】
そして、前記水処理手段の軟水流出側には、先止め式の採水コックを設けること無く、大気開放状態としている。これにより、前記水処理手段の耐圧強度を下げることができる。また、前記再生液供給手段から前記水処理手段への再生液の供給は、重力落下による重力再生とすることにより、水道圧などの高水圧を前記水処理手段および前記再生切替手段に加えるものと比較して、前記再生切替手段に加わる圧力を減ずることができる。
【0012】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図5は、この発明に係る軟水器の実施例を示す概略説明図で、それぞれ異なる作動状態を示している。また、図6は、同実施例の制御回路の概略構成説明図であり、そして図7および図8は、同実施例の制御手順を示すフローチャート図である。
【0013】
図1において、原水を軟水化する処理剤としてイオン交換樹脂(図示省略)を充填した水処理手段としての樹脂筒1と、原水を貯留する原水タンク2と、前記イオン交換樹脂を再生するための飽和塩水を貯留する塩水タンク3とが並列状態に設けられている。この塩水タンク3は、塩を原水にて溶解させ、飽和塩水を生成する機能を有する。前記並列設置状態において、前記樹脂筒1へ原水および飽和塩水が重力により流れるようにすべく、前記原水タンク2のオーバーフロー部4を前記樹脂筒1の前記イオン交換樹脂の充填層上端より上方位置に設けている。そして、前記樹脂筒1の下部に原水ライン5を接続し、この原水ライン5には、通水切替手段としての手動の通水切替弁7の第一切替流路(図示省略)を介在させている。さらに、前記原水ライン5の他端は、通常、浴室に予め備えられている浴室混合栓6に接続されている。すなわち、この実施例の軟水器は、前記浴室混合栓6に接続される。
【0014】
前記樹脂筒1の上部には、軟水ライン8を接続している。この軟水ライン8には、活性炭を充填した浄水手段9と、前記樹脂筒1方向への流れを阻止する第一逆止弁10とを設けている。前記軟水ライン8の軟水流出側には、採水をオン−オフする先止めの採水コックを設けておらず、先端をシャワーヘッド(図示省略)を介して大気開放状態としている。前記原水ライン5は、前記通水切替弁7の第二切替流路(図示省略)および原水バイパスライン11を介して前記軟水ライン8の前記第一逆止弁10の下流側と接続している。前記通水切替弁7は、三方切替の機能(前記第一切替流路と前記第二切替流路とを選択的に切替える機能)と、前記両切替流路の流れを遮断する止水機能とを具備している。以下、前記第一切替流路が選択されている状態を通水位置と云い、前記第二切替流路が選択されている状態を原水バイパス位置と云い、さらに前記両切替流路の流れが遮断されている状態を止水位置と云う。
【0015】
前記原水ライン5には、原水の元圧が所定値以上かどうかを検出することで、原水元圧の有無を検出する水圧検出手段12を前記通水切替弁7の上流側であって、前記浴室混合栓6の下流側に設けるとともに、前記原水ライン5の前記通水切替弁7から前記樹脂筒1へ至る経路の途中に、原水の前記樹脂筒1方向への流れの有無を検出する通水検出手段としての流れ検出手段13を設けている。
【0016】
前記原水タンク2および前記塩水タンク3の下部に対しては、それぞれ前記塩水タンク3の飽和塩水が重力により流下する飽和再生液流下ライン14と、前記原水タンク2の原水が重力により流下する原水流下ライン15とを接続している。前記両流下ライン14,15は、途中で合流して、再生液流下ライン16を介して前記樹脂筒1上方の前記軟水ライン8と接続される。前記原水タンク2に対しては、原水を前記原水タンク2へ供給する第一補給水ライン17を接続し、前記原水タンク2と前記塩水タンク3との間には、前記原水タンク2の原水を前記塩水タンク3へ給水する第二補給水ライン18を接続している。前記樹脂筒1に対しては、前記樹脂筒1から再生排液を流出させる再生排液ライン19を接続している。前記原水タンク2のオーバーフロー部4と、前記再生排液ライン19との間は、オーバーフローライン21にて接続されている。
【0017】
前記飽和塩水流下ライン14には前記塩水タンク3方向への流れを阻止する第二逆止弁22および塩水弁23を設け、前記原水流下ライン15には前記原水タンク2方向への流れを阻止する第三逆止弁24および原水弁25を設け、前記第一補給水ライン17にはオリフィスなどからなる第一流量調整手段26および第一補給水弁27を設け、前記第二補給水ライン18には前記原水タンク2方向への流れを阻止する第四逆止弁28および第二補給水弁29を設けている。前記再生排液ライン19には排液弁30およびオリフィスなどからなる第二流量調整手段31を接続している。
【0018】
前記の構成において、前記第二流量調整手段31を省略し、その代わりに前記再生排液ライン19の他端(前記樹脂筒1に接続していない側の端部)を前記樹脂筒1よりも上方へ立ち上げ、前記樹脂筒1の上部に設けた大気開放部(図示省略)を介して再び立ち下げるように構成することができる。また、前記飽和再生液流下ライン14と前記原水流下ライン15とにそれぞれオリフィスなどの流量調整手段(図示省略)を設けることで、飽和塩水と原水の混合をスムーズに行わせることができる。
【0019】
前記塩水弁23,前記原水弁25,前記第一補給水弁27,前記第二補給水弁29および前記排液弁30は、一つの切替弁機構32として構成される。この切替弁機構32は、再生状態と非再生状態とを切り替える再生切替手段としての機能を含み、少なくとも図1に示す通水時の開閉状態(すべての弁が閉,すなわち塩水弁23:閉,原水弁25:閉,第一補給水弁27:閉,第二補給水弁29:閉,排液弁30:閉)と、図2に示す補給水時の開閉状態(塩水弁23:閉,原水弁25:閉,第一補給水弁27:開,第二補給水弁29:開,排液弁30:閉)と、図3に示す再生時の開閉状態(すべての弁が開,すなわち塩水弁23:開,原水弁25:開,第一補給水弁27:開,第二補給水弁29:開,排液弁30:開)と、図4に示す水洗時の開閉状態(塩水弁23:閉,原水弁25:開,第一補給水弁27:開,第二補給水弁29:開,排液弁30:開)とを選択的に切り替える。
【0020】
そして、前記切替弁機構32は、特開平9−297150号公報に示される切替弁機構と同様な構造の弁であって、前記各弁23,25,27,29,30に対応して、それぞれ、弁座,各弁座を開閉する弁体,各弁体に連結される作動杆,各作動杆を常時閉方向へ付勢するバネ手段,前記各作動杆を駆動するカム体(いずれも図示省略)を具備している。さらに、前記切替弁機構32は、前記各カム体を連結する回転軸33,この回転軸33の回転位置を検出する位置検出手段34および前記回転軸33を回転させる駆動モータ35などを具備している。
【0021】
図6において、制御手段36は、マイクロコンピュータなどからなり、前記水圧検出手段12,前記流れ検出手段13,前記位置検出手段34および操作部37の出力信号を入力し、図7および図8にその一部を示す制御手順により、前記駆動モータ35および表示手段38を制御する。前記駆動モータ35は、前記制御手段36により駆動制御され、また前記切替弁機構32は、前記通水時の開閉状態(通水状態),前記補給水時の開閉状態(補給水状態),前記再生時の開閉状態(再生状態),前記水洗時の開閉状態(水洗状態)に切替え制御される。
【0022】
つぎに、前記実施例における軟水器の制御方法を図1〜図8に基づいて説明する。以下の説明において、前記制御手段36によって制御される前記駆動モータ35の作動および前記切替弁機構32を構成する各弁の開閉状態についての詳細な説明を省略する。また、以下の図示において、前記通水切替弁7および前記切替弁機構32の各弁を黒く塗りつぶしているところは閉弁状態を示し、また塗りつぶしていないところは開弁状態を示している。ここにおいて、図示は省略しているが、前記実施例における軟水器は、浴室に設置された状態では、前記浴室混合栓6は開弁状態であり、またその他の各弁はすべて閉弁状態である。すなわち、図1における前記通水切替弁7において、黒く塗りつぶしていないところがあるが、これも黒く塗りつぶした状態となっている。
【0023】
まず、通水工程について、図1に基づいて説明する。軟水器の使用者は、前記浴室混合栓6を開いた状態で、前記通水切替弁7を通水位置へ切り替える。通常、後述の水洗工程が終了すると、前記切替弁機構32は、通水状態に制御されている。このため、原水は、前記浴室混合栓6から前記原水ライン5を通過するに際して、前記水圧検出手段12,前記通水切替弁7,前記流れ検出手段13を経て、前記樹脂筒1へ流入する。ここで軟水化された後、前記軟水ライン8を通過するに際して、前記浄水手段9,前記第一逆止弁10,前記シャワーヘッド(図示省略)を経て流出する。
【0024】
つぎに再生工程について、図2,図3,図4,図7および図8に基づいて説明する。この実施例においては、再生工程は、再生前工程としての元圧確認のための図2の補給水工程と、再生後工程としての図4の水洗工程を含んでいる。
【0025】
まず、図7および図8のステップS1およびS2(以下、SNは、ステップSNを意味する。)において、再生開始条件が満たされたかどうかの判定が行われる。前記再生開始条件としては、設定された再生時刻が到来したかどうかの再生時刻到来条件と、前記水圧検出手段12による検出圧力が設定値以上有ることを検出する元圧有りの検出条件と、前記流れ検出手段13による通水無し検出条件がある。S1において再生時刻到来条件が判定され、S2において元圧有りの条件と通水無しの条件が判定される。
【0026】
S1にてNOが判定されると、通水工程を継続する。S1にて再生時刻到来がYESと判定され、かつS2において両条件が満たされYESと判定される,すなわち再生時刻到来条件,元圧有りおよび通水無しの3条件がすべて満たされたとき、再生開始条件が満たされたと判定し、前記制御手段36は、前記切替弁機構32に対して、仮の再生信号を出力して、S3の補給水工程へ移行させる。S2において、NOが判定されると、再生時刻が到来しても再生前工程の補給水工程へ移行せず、後述するS13の再生時刻再設定工程へ移行する。その結果、前記浴室混合栓6を閉じた状態で再生に入ることによる不都合を防止できる。
【0027】
前記浴室混合栓6を閉じた状態で再生工程へ入ることによる不都合について説明する。仮に、前記浴室混合栓6を閉じた状態で、再生工程へ入った場合、再生初期は、前記原水タンク2および前記塩水タンク3の飽和塩水が適量ずつ流下して所定の再生が行われるが、しばらくすると、前記原水タンク2の原水がなくなり、飽和塩水のみが流下し、短時間のうちに飽和塩水は底をついてしまう。その結果、前記樹脂筒1へ塩水を所定時間供給できず、前記イオン交換樹脂を充分再生できないとともに、飽和塩水を無駄に消費してしまう。しかしながら、本実施例では、前記浴室混合栓6を閉じた状態では再生工程へ入らないので、こうした不都合を回避できる。
【0028】
ここにおいて、前記再生時刻は、通水時間が所定時間に達したか,あるいは所定量の通水が行われたかの条件が満たされた後、1日の深夜等、特定の時間帯において前記制御手段36により自動設定される。
【0029】
S13の再生時刻再設定の工程においては、設定された前記再生時刻を、翌日の再生時間帯に再設定する。この再設定された再生時刻が到来すると、S1およびS2において、再度、前記再生開始条件を判定し、条件が満たされると、再度の再生工程を行う。こうして、当初設定の再生時刻から長い時間をおかず、短時間のうちに再生が行われるので、長期間再生が行われないことによる前記イオン交換樹脂の能力低下と云う不都合を改善できる。
【0030】
S3の補給水工程においては、前記切替弁機構32を前記補給水状態(図2参照)へ切り替える。前記切替弁機構32が補給水状態へ切替えられると、補給水工程が行われる。すなわち、原水が、前記第一流量調整手段26の定流量制御作用によって、一定流量で前記第一補給水ライン17を介して前記原水タンク2内へ流入する。そして、前記原水タンク2内の水位が上昇し、前記オーバーフロー部4まで達すると、原水は、前記オーバーフローライン21を介してオーバーフローする。さらに、前記原水タンク2内の原水が、水頭圧差を利用して、前記第二補給水ライン18を介して前記塩水タンク3へ供給される。
【0031】
前記の補給水工程の継続中において、S4およびS5の判定が行われる。S4においては、原水の元圧有りと通水無しとをともに満足するかどうかを判定する。S4がYESの場合、S5へ移行して、元圧確認に要する設定時間T1(たとえば、数秒)が経過かどうかを判定する。S5の設定時間内にS4にてYESが判定されると、前記制御手段36は再生信号を前記切替弁機構32に対して出力する。そして、処理をS6へ移行させて、図3に示す再生工程(前記再生前工程および前記再生後工程に対して、実際に再生処理を行う再生本工程である)を設定時間T2だけ行う。ここにおいて、S2における再生信号は、再生前工程への移行のための信号と云う意味で、仮再生信号と云い、S5における再生信号は、再生本工程のための信号と云う意味で、本再生信号と云う。
【0032】
一方、補給水工程の継続中に、S4においてNOが判定されると、S13の再生時刻再設定の工程へ移行し、S5にてNOが判定されると、S4へ戻る。こうした補給水工程中におけるS4−S5−S4の繰り返しにより、つぎに述べるように、元圧有りの確実な判定を行い、前記浴室混合栓6を閉じた状態での再生による不都合を防止するように構成している。
【0033】
すなわち、前記浴室混合栓6が閉じられた状態においては、前記浴室混合栓6と前記通水切替弁7との間に封じられた水の圧力により、元圧有りが検出される場合がある。しかしながら、前記切替弁機構32が、図2に示す補給水状態に切り替えられるので、前記浴室混合栓6と前記通水切替弁7との間に封じられた水が、前記第一補給水ライン17を経て前記原水タンク2へ流出する。これにより、水圧が低下し、前記水圧検出手段12は、元圧無しを検出する。その結果、前記浴室混合栓6が閉じられていることによる元圧無しが、S4にて判定される。そして、S6の再生工程へ移行せず、S13の再生時刻再設定の工程を経て、S12において前記切替弁機構32を非再生の通水工程へ切り替える。この通水工程は、前記したとおりである。このため、S2における説明と同様、前記浴室混合栓6を閉じた状態での再生による不都合を防止できる。
【0034】
また、S5の設定時間T1内に通水有りが検出されると、S4にてNOが判定され、S6の再生工程へ移行せず、S13の再生時刻再設定の工程を経て、S12において前記切替弁機構32を非再生の通水状態へ切り替える。
【0035】
このように、S3,S4およびS5の工程を設けることにより、原水元圧有りの判定を確実に行うことができ、補給水工程を単に前記原水タンク2への給水だけでなく、元圧確認工程として位置づけている。
【0036】
前記再生工程について、以下に説明する。S6において、前記切替弁機構32は、図3の再生状態へ切替えられる。その結果、前記塩水タンク3内の飽和塩水が、前記飽和再生液流下ライン14を流下する。これと同時に、前記原水タンク2内の原水が、前記原水流下ライン15を流下することにより、前記両ライン14,15の合流部において、飽和塩水と原水とが混合して所定濃度の塩水となる。そして、この塩水が、前記樹脂筒1の上部から流下して前記イオン交換樹脂を再生する。再生後の塩水,すなわち再生排液は、前記再生排液ライン19を流下し、前記のように、前記オーバーフローライン21を流下する原水と、前記両ライン19,21の合流部において混合される。この結果、再生排液中の塩化物の濃度が下げられた状態で系外へ排出される。
【0037】
前記再生工程中、一定流量の原水が、常に前記原水タンク2へ供給されるとともに、前記原水タンク2内の原水が、水頭圧差を利用して、前記第二補給水ライン18を介して前記塩水タンク3へ供給される。
【0038】
S6の再生工程は、S7の再生不良防止の工程およびS8の時間制御工程により制御される。S7の判定自体は、S4と同様であるので、説明を省略する。このS7の工程により、再生工程中に前記浴室混合栓6が閉じられることによる不都合および再生工程中に通水工程へ入ることによる不都合を防止する。S8では、設定時間T2が経過したかどうかを判定し、その経過を判定すると、再生を終了する。
【0039】
この再生工程中に前記浴室混合栓6が閉じられた場合の作用について説明する。前記浴 室混合栓6が閉じられると、S7にてNOが判定され、再生工程中に前記浴室混合栓6が閉じられることによる不都合を防止する。この不都合防止作用は、S4における説明と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
つぎに、再生工程中に通水工程が行われた場合の作用について説明する。前記通水切替弁7を手動切替えとしているために、使用者は、前記再生工程中に前記通水切替弁7を通水位置へ切替え可能である。この切替えを行うと、再生作動が中断されるので、前記制御手段36は、これを再生不良として判定し、つぎの再生不良処理を行う。すなわち、前記通水切替弁7を通水位置とすると、前記制御手段36は、前記流れ検出手段13の流れ有り信号により、S7にてNOと判定し、前記のS13を経てS12の通水工程へ移行する。
【0041】
再生工程中に通水工程へ切替えると、前記切替弁機構32は再生状態のまま通水が行われることとなり、S4において説明したと同様な不都合を生じる。しかしながら、本実施例においては、こうした不都合を防止できる。また、S13の処理を行うことで、長期間再生が行なわれないことによる前記イオン交換樹脂の能力低下と云う不都合を改善できる。
【0042】
再生工程が終了すると、S9の水洗工程へ移行する。この水洗工程について、図4に基づいて説明する。前記制御手段36は、前記切替弁機構32を図4に示す水洗状態へ切り替える。その結果、前記原水タンク2内の原水のみが、前記原水流下ライン15および前記再生液流下ライン16を介して前記樹脂筒1の上部から流下し、前記イオン交換樹脂内に残留する塩分を押し出して水洗する。一方、前記原水タンク2からの原水のオーバーフローは、前記再生工程から継続している。したがって、水洗後の原水,すなわち排水は、前記オーバーフローライン21を流下する原水と混合された後、前記再生排液ライン19を介して系外へ排出される。
【0043】
この水洗工程中は、S10の水洗不良検出の工程およびS11の時間制御工程により制御される。S10の判定そのものは、S4およびS7の判定と同様であり、その説明は省略する。S10にて、前記水圧検出手段12による元圧無し、または前記流れ検出手段13による流れ有りが判定されると、水洗不良として水洗工程を脱して、S12の通水工程へ移行する。この場合、設定した再生作動を完了しているので、S13の再生時刻再設定工程は行わない。そして、S11にて設定時間T3の経過を判定すると、S12の通水工程を行う。
【0044】
つぎに、原水バイパス工程について、図5に基づいて説明する。前記通水切替弁7を原水バイパス位置に切り替えると、原水は、前記原水ライン5,前記通水切替弁7,前記原水バイパスライン11,前記軟水ライン8を経て前記シャワーヘッド(図示省略)から流出する。前記軟水ライン8へ流入する原水は、前記第一逆止弁10により前記樹脂筒1方向へ逆流することはない。この原水バイパス工程時、前記切替弁機構32の切替えは、どの状態にあっても良く、再生工程,水洗工程および補給水工程のいずれかを継続しながら原水バイパスを行うことができる。
【0045】
この発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、つぎの実施例を含むものである。
(1)前記通水切替弁7を三方弁ではなく、二方弁,すなわち通水のオン−オフを行うものとした実施例。この場合、原水バイパス工程を行うことはできない。
(2)前記切替弁機構32は、最低限の機能として、前記樹脂筒1の再生液の流入と、前記樹脂筒1からの流出とを切替制御する機能を有すれば良い。たとえば、前記第一補給水ライン17の第一補給水弁27は、前記原水タンク2への補給水を、前記原水タンク2のレベルを一定に制御する別の自動補給水機構により行うようにすれば、省略可能である。
(3)前記水圧検出手段12による元圧検出を行わず、前記再生前工程としての補給水工程を省略した実施例。
(4)前記原水タンク2および前記塩水タンク3を前記樹脂筒1の上方に設けた実施例。
(5)前記流れ検出手段13を前記樹脂筒1の流出側に設けた実施例。
(6)前記流れ検出手段13を省略し、前記通水切替弁7の開閉状態(通水位置)を検出するマイクロスイッチを通水検出手段とした実施例。
(7)再生時刻以外の任意の時間に再生作動を行う手動再生手段を設けた実施例。この場合、再生工程の前に補給水工程を設け、原水の元圧有りと通水無しとを条件として、再生工程を行う。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、通水作動と非通水作動とを手動により切り替えるので、その切替えのための電力が不要となり、省電力化できるとともに、水処理手段の軟水流出側における採水および非採水のためのコックおよび操作が不要となるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る軟水器の実施例を示す概略説明図で、通水工程を示す。
【図2】 この発明に係る軟水器の実施例を示す概略説明図で、補給水工程を示す。
【図3】 この発明に係る軟水器の実施例を示す概略説明図で、再生工程を示す。
【図4】 この発明に係る軟水器の実施例を示す概略説明図で、水洗工程を示す。
【図5】 この発明に係る軟水器の実施例を示す概略説明図で、原水バイパス工程を示す。
【図6】 この発明に係る軟水器の実施例の制御回路の概略説明図である。
【図7】 この発明に係る軟水器の実施例の制御手段の制御手順の一部を示すフローチャート図である。
【図8】 この発明に係る軟水器の実施例の制御手段の制御手順の一部を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 樹脂筒(水処理手段)
2 原水タンク
3 塩水タンク(再生液供給手段)
5 原水ライン
6 浴室混合栓
7 通水切替弁(通水切替手段)
8 軟水ライン
12 水圧検出手段
13 流れ検出手段(通水検出手段)
14 飽和再生液流下ライン
15 原水流下ライン
16 再生液流下ライン
17 第一補給水ライン
18 第二補給水ライン
19 再生排液ライン
32 切替弁機構(再生切替手段)
36 制御手段
Claims (1)
- 浴室に予め備えられている浴室混合栓6に接続される軟水器であって、原水を軟水化する処理剤を含む水処理手段1と、原水を貯留する原水タンク2と、前記処理剤の再生液を供給する再生液供給手段3とを備え、前記水処理手段1の下部に原水ライン5と再生排液ライン19とを接続するとともに、上部に軟水ライン8を接続し、前記原水タンク2の下部に原水流下ライン15を接続するとともに、前記再生液供給手段3の下部に飽和再生液流下ライン14を接続し、この飽和再生液流下ライン14と前記原水流下ライン15とを合流させた再生液流下ライン16を前記水処理手段1の上方において前記軟水ライン8と接続し、さらに前記原水タンク2と前記再生液供給手段3とを、前記原水タンク2内の原水を前記再生液供給手段3へ供給する第二補給水ライン18を介して接続し、前記水処理手段1へ原水を流入させて軟水を供給する通水作動と、前記水処理手段1へ前記再生液を流入させて再生排液を流出させる再生作動とを切替えて行う軟水器において、前記通水作動と非通水作動とを手動により切り替え、かつ流路切替機能と止水機能を備えた通水切替手段7と、制御手段36の再生信号に基づき前記再生作動と非再生作動とを自動的に切り替える再生切替手段32とを備え、前記浴室混合栓6と前記通水切替手段7とを水圧検出手段12を備えた原水ライン5を介して接続し、前記通水切替手段7と前記水処理手段1の下部とを通水検出手段13を備えた原水ライン5を介して接続し、さらに前記水圧検出手段12と前記浴室混合栓6との間の前記原水ライン5と、前記原水タンク2の下部とを第一補給水ライン17を介して接続したことをことを特徴とする軟水器。
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