JP4252275B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置に係り、特に動画ぼやけを解消して高画質の動画表示を可能とした表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報化社会の到来に伴い、パソコン、カーナビ、携帯情報端末、情報通信機器あるいはこれらの複合製品の需要が増大している。これらの製品の表示手段には、薄型、軽量、低消費電力のディスプレイデバイスが適しており、液晶表示装置あるいは発光ダイオードなどの自発光型の電気光学素子を用いた画像表示装置が用いられている。また、自発光型画像表示装置として、プラズマ表示装置も実用化されている。
【0003】
自発光型の電気光学素子を用いた表示装置は、視認性がよいこと、広い視角特性を有すること、高速応答で動画表示に適していることなどの特徴があり、画像表示には特に好適と考えられている。特に、近年の有機物を発光層とする有機EL表示装置を用いた画像表示装置は発光効率の急速な向上と映像通信を可能にするネットワーク技術の進展とが相まって、実用化の期待が高い。有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)発光素子(OLED)は有機発光層(有機EL層)を2枚の電極で挟んだダイオード構造を有する。このような有機EL発光素子を用いて構成した表示装置では、その画素選択を薄膜トランジスタ(以下、TFTとも称する)などのスイッチング素子を用いたアクティブ駆動が多く採用されている。
【0004】
有機ELを用いた表示装置は、液晶表示装置と同様に、所謂ホールド型の発光機構で表示を行うものであり、図17に示した陰極線管(CRT)のインパルス型の発光特性(応答特性)ではないので、等に動画を表示する際に、輪郭が不鮮明に表示されることによるぼやけ(動画ぼやけ)が発生し、画質劣化をもたらす。
【0005】
ホールド型の表示装置における動画の画質を評価する方法は、例えば、非特許文献1、非特許文献2に開示がある。
【0006】
また、有機EL駆動用薄膜トランジスタのゲート電圧を与える保持容量と並列にブランキング信号をゲート端子に入力するスイッチ用薄膜トランジスタを備え、1フレーム期間保持される有機EL駆動用薄膜トランジスタのゲート電圧に対して、次の1フレーム期間が始まる直前の所定の期間にブランキング信号をオンとして有機EL素子の発光にブランキングをかけるものが特許文献1に記載されている。
【0007】
なお、液晶表示装置に関して、非特許文献3には、バックライトのランプ(冷陰極蛍光ランプ、CFL)を垂直同期信号Vsyncに同期させて間欠点灯させるブリンクバックライトシステムが開示されている。
【0008】
特許文献2には、映像信号に応じた階調電圧を液晶パネルに印加する期間と黒の階調電圧を液晶パネルに印加する期間を別々に設けることによって、動画表示性能を向上させることが記載されている。
【0009】
特許文献3には、1フィールド期間の2/3の時間では液晶画素への表示データの書込み(表示データの書込み動作)のみが行われ、かつバックライトは消灯状態が保持され、次いで1フィールド期間の残り1/3の時間ではバックライトを点灯状態として書き込まれた表示データの表示を行い(パネル発光表示動作)、この動作を各フィールド毎に繰り返すものである。
【0010】
そして、特許文献4には、画素の選択に薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置において、階調電圧の保持に利用される蓄積容量の電極間に高抵抗が生じるような構造にすることでデータ線から薄膜トランジスタのドレインおよびソースを介して液晶の画素容量(液晶容量)および蓄積容量に蓄積された電荷を液晶の画素容量及び補助蓄積容量のCと蓄積容量間抵抗Rによって決定されるCR時定数でゲート側あるいは蓄積容量線側に電荷を逃がすことにより、1フレームの期間中、データが一定であるホールド型からCRTのようなインパルス型に画像データを近づけ、フレームとフレームの間に自動的に黒が挿入されるようにしている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−221942号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平11−109921号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2000−293142号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2002−14372号公報
【0015】
【非特許文献1】
社団法人電子情報学会発行「信学技報」EID96−4、pp19〜26“8倍速CRTによるホールド発光型ディスプレイの動画質に関する検討”
【0016】
【非特許文献2】
社団法人電気学会発行「電気学会研究会資料」EDD−00−48、pp135〜139“ホールド型ディスプレイにおける動画質の評価方法”
【0017】
【非特許文献3】
SID DIGEST 35.2,pp990〜993“Super−TFT−LCD for Moving Picture Images with the Blink Backlight System”
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
非特許文献1や非特許文献2に記載されたホールド型の表示装置では、表示データを1フレーム期間中保持しているため、動画表示の際に上記の画質劣化が生じる。非特許文献3のブリンクバックライトシステムでは、CFLをオンさせたときの輝度の立ち上がりの過渡応答時間とCFLをオフさせたときの輝度の立ち下がりの過渡応答時間が長く、液晶の透過率の過渡応答期間とCFLの立ち上がり又は立ち下がりの過渡応答期間が重なることによって、一度輝度の低い発光があり、その後高い輝度の発光が起こることによって、液晶表示装置に動画を表示すると、輪郭が二重に見えるという不具合がある。
【0019】
また、特許文献1に記載の方法では、余分な薄膜トランジスタが必要になり、またブランキング信号を発生させて薄膜トランジスタに印加する期間を作り出さなければならない。また、特許文献2に記載の方法では、黒の階調電圧を液晶パネルに印加する期間が長くなる程、画面の輝度が低下する。薄膜トランジスタ型の液晶表示装置のようなホールド型表示装置では、1フレームの1/2以上の期間を黒にしないと動画表示性能が向上しないが、黒表示期間を1フレームの1/2にすると、映像信号の表示期間が1/2になるため、輝度が1/2になってしまう。
【0020】
特許文献3に記載の駆動方法では、表示データの高速書込みが必要で、またバックライトの点灯期間が1フィールドの1/3であるため、輝度が低下するという不具合がある。また、特許文献4では、液晶の応答が遅いため、液晶の応答が過渡状態にある内に電荷を逃がしてしまい、輝度が十分に上がらない。このような諸問題を複雑な駆動回路を設けて解消することは可能であるが、一画素内に多数の回路素子を組み込むことは望ましくない。
【0021】
本発明の目的は、従来と同様の駆動で動画ぼやけの発生を解消して高画質の画像表示を可能としたホールド型表示装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明はデータ保持用容量(または、データ蓄積容量、あるいは単に保持容量もしくは蓄積容量とも言う)間に比較的に高い抵抗を並列に接続して、当該データ保持用容量の容量値と当該抵抗の抵抗値とのCR時定数でデータ保持用容量に保持(ホールド)された画像データに対応する電荷を1フレーム期間より短い期間内に逃がす(放電)ことにより、次のフレームの間に黒を挿入して、ホールド型の表示素子をインパルス型に近づけて駆動するようにした。
【0023】
本発明の基本的な構成では、表示素子に表示する画像データを保持するデータ保持用容量と、上記データ保持用容量に画像データに応じた電荷を充電(蓄積)する第1の薄膜トランジスタと、上記データ保持用容量に保持された電荷を表示素子に供給する第2の薄膜トランジスタを備えた表示装置において、上記データ保持用容量と並列に抵抗値が比較的に高い抵抗を接続した点に特徴を有する。なお、第1の薄膜トランジスタは入力される画像データの書込み用(画素スイッチング用)であり、一個に限らず複数個で構成されるものもある。
【0024】
上記データ保持用容量の容量値をCとし、上記抵抗の抵抗値をRとしたとき、データ保持用容量に保持された画像データに対応した電荷は1フレーム期間内の短い期間にCRの時定数で放電されるように上記抵抗の抵抗値を設定する。
【0025】
この構成により、1フレーム期間中に画像データに対応する電荷が一定に保持されるホールド型の表示素子に画像データをインパルス型データとして供給でき、ホールド型の表示素子で構成された表示装置をインパルス型で駆動できる。その結果、ホールド型の表示装置の駆動における動画ぼやけを解消するための新たな駆動方法によらずに高画質の動画表示を行うことができる。
【0026】
本発明は、応答速度の速い有機EL表示素子や発光ダイオードを用いた表示装置に好適であるが、比較的応答速度が遅い液晶表示装置にも提供可能である。
【0027】
なお、本発明は上記の構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。本発明の他の目的および構成は後述する実施の形態の記載から明らかになるであろう。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明による表示装置の第1実施例の説明図であって、有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。なお、一画素は単位画素であり、カラー表示の場合はR,G,Bの三つの単位画素でカラー画素を構成する。図中、参照符号51は走査線、52はデータ線、53は電源線を示す。また、参照符号130は第1の薄膜トランジスタ(データ書込み用、またはスイッチング用薄膜トランジスタ)である。そして、参照符号140は第2の薄膜トランジスタ(駆動用薄膜トランジスタ)、160は有機EL素子、170はデータ保持容量、180はデータ保持容量(容量値C、以下、蓄積容量または単に保持容量とも称する)170に並列接続された抵抗(抵抗値R)である。
【0029】
走査線51で選択された第1の薄膜トランジスタ130はデータ線52から供給される画像データに対応した階調電圧に応じた電流Icを保持容量170に電荷として保持(ホールド)する。第2の薄膜トランジスタ140は保持容量170に保持された画像データに対応した電荷に応じた電流を電源線53から有機EL素子160に供給して発光させる。
【0030】
このとき、保持容量170と並列に接続された抵抗180は、その抵抗値と保持容量170の容量値CとでCRの時定数回路(放電回路)を構成し、CRの時定数で保持容量170に蓄積された電荷を電源線53を通して放電する。図中に放電電流をIdで示す。抵抗180の抵抗値Rは、保持容量170に蓄積された電荷を1フレーム内で放電し、次のフレームとの間に黒表示が挿入されるようにる値に設定される。
【0031】
図2は図1に示した画素回路における有機ELの応答特性の説明図である。保持容量170に蓄積された電荷は1フレーム内の短い時間で放電し、次のフレームとの間に黒表示が挿入される様子を示している。輝度は相対値で、最高輝度でも次のフレームとの間に黒表示が挿入されるようにCRの時定数が設定される。この放電期間は1フレームの1/2〜1/4程度が実用的である。以下の各実施例でも同様である。
【0032】
本実施例の構成により、ホールド型の表示素子に供給される画像データはインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0033】
図3は本発明の第1実施例の効果を比較するための従来の有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。また、図4は図3における有機ELの応答特性の説明図である。図3中、図1と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。図3では、保持容量170に図1に示した抵抗を有しない。したがって、保持容量170に蓄積された電荷は1フレーム期間にわたって画像データに対応する電荷を保持され、次のフレームの画像データの書込みが開始されるまで前フレームの画像データの電荷に対応する電流が電源線53から有機EL素子160に流れ続ける。このため、前フレームの画像が次フレームの直前まで表示していた画面がいきなり次フレームの画像表示に切り替わる。この様なフレーム毎に表示画像を一変させ得る画面で動画を表示すると画像の動きもがギクシャクして見苦しい。
【0034】
これに対し、図1に示した第1実施例によれば、フレームとフレームの間に自動的に黒が挿入されるため、ギクシャクした画像が表示されなくなり、高画質の動画像を得ることができる。
【0035】
図5は本発明による表示装置の第2実施例の説明図であって、同図(a)は比較のための従来回路、同図(b)は本発明の第2実施例の回路図を示す。本実施例も有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、図1または図2と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0036】
本実施例は、保持容量線54を設けて保持容量170の一方の電極をこの保持容量線54に接続した構成に本発明を適用したものである。図5の(a)に示した従来の回路では、第1の薄膜トランジスタ130で画像データに対応した電荷が保持容量170に蓄積される。蓄積された電荷に応じた電流が第2の薄膜トランジスタ140により有機EL素子160に流れる。保持容量170に蓄積された電荷は1フレーム期間にわたって画像データに対応する電荷を保持され、次のフレームの画像データの書込みがあるまで当該フレームの画像データの電荷に対応する電流が電源線53から有機EL素子160に流れ続ける。このため、前フレームの画像を次フレームの直前まで表示していた画面がすぐさま次フレームの画像表示に切り替わるために、動画像はギクシャクして表示され見苦しい。
【0037】
これに対し、本発明の第2実施例では、図5の(b)に示したように、保持容量170と並列に抵抗180を接続し、保持容量170に蓄積された電荷をCRの時定数で保持容量線54に放電する構成としている。CRの時定数は前記実施例と同様に設定され、図2で示したように、次のフレームとの間に黒が自動的に挿入される。本実施例の構成によっても、画像データはインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0038】
図6は本発明による表示装置の第3実施例の説明図であって、同図(a)は比較のための従来回路、同図(b)は本発明の第3実施例の回路図を示す。本実施例も有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、前記実施例の図面と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0039】
本実施例は、保持容量170に画像データに対応した電荷を蓄積するためにスイッチング用として3個の薄膜トランジスタ131、132、133を隣接する走査線との間に接続した構成となっている。図6の(a)に示した回路構成は表示装置内での薄膜トランジスタの特性バラツキに起因する有機EL素子160に流れる電流のバラツキを抑制するようにしたものである。
【0040】
近接する薄膜トランジスタ133と駆動用の薄膜トランジスタ(第2の薄膜トランジスタ)140は略同じ特性である。先ず、薄膜トランジスタ133と第2の薄膜トランジスタ140をオンとして走査線51nで選択されたデータ線52から画像データに対応した階調電圧に応じた電流が薄膜トランジスタ133のゲート電圧で決まる電荷として保持容量170に蓄積される。次に、薄膜トランジスタ133をオフとして保持容量170に蓄積された電荷でオン状態となる第2の薄膜トランジスタ140を通して電流が有機EL素子160に供給され、有機EL素子160が発光する。
【0041】
この回路に対し、図6の(b)に示したように、抵抗180を保持容量170と並列に接続する。この抵抗180と保持容量170とのCRの時定数で保持容量170に蓄積された電荷を1フレーム内で放電させる。本実施例の構成によっても、画像データは図2に示したようなインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0042】
図7は本発明による表示装置の第4実施例の説明図であって、同図(a)は比較のための従来回路、同図(b)は本発明の第4実施例の回路図を示す。本実施例も有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、前記実施例の図面と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0043】
本実施例は、図5におけるスイッチング用のシングルゲートの薄膜トランジスタ(第1の薄膜トランジスタ)をデュアルゲートとしたもので、他の構成は図5と同様の回路構成であるので、繰り返しの説明は省略する。本実施例では、図7の(b)に示したように、保持容量170と並列に抵抗180が接続されている。本実施例の構成によっても、画像データは図2に示したようなインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0044】
図8は本発明による表示装置の第5実施例の説明図であって、同図(a)は比較のための従来回路、同図(b)は本発明の第5実施例の回路図を示す。本実施例も有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、前記実施例の図面と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0045】
本実施例は、図3および図1におけるスイッチング用のシングルゲートの薄膜トランジスタ(第1の薄膜トランジスタ)をデュアルゲートとしたもので、他の構成は図3および図1と同様の回路構成であるので、繰り返しの説明は省略する。本実施例では、図8の(b)に示したように、保持容量170と並列に抵抗180が接続されている。本実施例の構成によっても、画像データは図2に示したようなインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0046】
図9は本発明による表示装置の第6実施例の説明図であって、同図(a)は比較のための従来回路、同図(b)は本発明の第6実施例の回路図を示す。本実施例も有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、前記実施例の図面と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0047】
図9の(a)において、第1の薄膜トランジスタはデュアルゲートの薄膜トランジスタであり、参照符号11はゲート、13dはドレイン、13sはソースを示す。また、第2の薄膜トランジスタ140の41はゲート、43dはドレイン、43sはソースを示す。有機EL素子160は陽極61、陰極66、発光層65で構成されていることを示す。保持容量170の一方の電極55は第2の薄膜トランジスタ140のゲート41に、他方の電極54は接続点173で電源線53に接続されている。なお、参照符号150は電源線53の端子を示す。
【0048】
この回路構成は図8と同様のものであり、有機EL素子160の駆動方法も図8と同様であるので再度の説明はしない。本実施例では、保持容量170と並列に抵抗180を接続したもので、画像データは図2に示したようなインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0049】
図10は本発明による表示装置の第6実施例を説明するための従来回路の平面図、図11は図10のA−A線に沿った断面図、図12は図10のB−B線に沿った断面図、図13は図10の回路に本発明を適用した本発明の第6実施例の回路の平面図、図14は図13のA−A線に沿った断面図である。本実施例も有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、前記実施例の図面と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0050】
先ず、図10〜図12において、走査線(ゲート信号線)51とデータ線(ドレイン信号線)52および電源線(駆動電源線)53で囲まれた領域に画素が形成される。走査線(ゲート信号線)51とデータ線(ドレイン信号線)52の交差部近傍に第1の薄膜トランジスタ130が形成され、そのソース電極13sが保持容量電極線(保持容量線)54との間で保持容量を構成する容量電極55を兼ねると共に、有機EL素子の陽極61に接続され、第2の薄膜トランジスタ140のドレイン43dは駆動電源線53に接続されている。
【0051】
保持容量線54はゲート絶縁膜12を介して薄膜トランジスタ130のソース13sと接続された容量電極55との間で電荷を蓄積する保持容量を形成している。保持容量は第2の薄膜トランジスタ140のゲート電極41に印加される電圧を保持する。参照符号13はp−Si膜の能動層、13LDは低濃度領域、13dはドレイン、14はストッパー絶縁膜、15は層間絶縁膜、16はドレイン電極、17は平坦化絶縁膜、41はゲート電極、43は能動層、43cはチャネル、43sはソース電極、43dはドレイン電極を示す。また、参照符号61は陽極、62は第1ホール輸送層、63は第2ホール輸送層、64は発光層、65は発光素子層、66は陰極10は基板である。
【0052】
図10〜図12に示した表示装置では、保持容量に蓄積された電荷は1フレーム期間にわたって画像データに対応する電荷を保持され、次のフレームの画像データの書込みがあるまで前フレームの画像データの電荷に対応する電流が電源線53から有機EL素子に流れ続ける。このため、前フレームの画像を次フレームの直前まで表示した画面にいきなり次フレームの画像が重なり、このフレーム間で動く物体や人物の輪郭を二重に見せる。また、この物体が人物の動きも駒送りの如く表示され見苦しい。
【0053】
これに対し、図13および図14に示したように、本発明の第6実施例では、ゲート絶縁膜12に抵抗用ホールを設けて抵抗材料を181により保持容量を構成する電極間を接続し、この抵抗材料の抵抗値Rと保持容量の容量値CとでCRの時定数回路を構成した。このCRの時定数回路の作用は前記の各実施例と同様である。本実施例によっても、画像データは図2に示したようなインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0054】
図15は本発明の第7実施例の説明図であって、同図(a)は比較のための従来回路、同図(b)は本発明の第7実施例の回路図を示す。また、図16は図15の平面図であり、同図(a)は図15の(a)に、同図(b)は図15の(b)にそれぞれ対応する。本実施例は、有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、前記各実施例の図面と同一の参照符号は同一機能部分に対応する。
【0055】
図15の(a)および図16の(a)において、有機EL素子251を有する画素は、ゲートドライバに接続するゲートライン(走査線)glとドレインドライバに接続するドレインライン(データ線)dlの交差部に設けられた選択用(スイッチング用)の第1の薄膜トランジスタ254と駆動用の第2の薄膜トランジスタ252、およびキャパシタ(保持容量、蓄積容量)253で構成されている。なお、前記の各実施例を説明する図面におえる駆動用薄膜トランジスタがpMOSトランジスタであるのに対し、薄膜トランジスタ252はnMOSトランジスタである。
【0056】
図15の(a)と図16の(a)に示した従来の表示装置では、保持容量253に蓄積された電荷は1フレーム期間にわたって画像データに対応する電荷を保持され、次のフレームの画像データの書込みがあるまで前フレームの画像データの電荷に対応する電流が有機EL素子を流れ続ける。このため、前フレームの画像を次フレームの直前まで表示していた画面がすぐさま次フレームの画像に切り替わることにより、動画像はギクシャクとした見苦しいものになる。
【0057】
これに対し、図15の(b)と図16の(b)に示した本実施例では、保持容量253と並列に抵抗256を接続した回路としている。この抵抗256は、図16の(b)に示したように、保持容量253を構成する電極間に貫通するホール255を設け、このホール255に抵抗材料を充填して構成されている。この抵抗材料の抵抗値Rと保持容量253の容量値CとでCRの時定数回路を構成した。このCRの時定数回路の作用は前記の各実施例と同様である。本実施例によっても、画像データは図2に示したようなインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0058】
次に、本発明を薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置(以下の説明に参照される図面ではTFT−LCDと表記)に適用した実施例について説明する。液晶表示装置の表示光の応答特性は図18に示したようなホールド型である。すなわち、1フレームの殆ど全ての期間を画像表示に当てている。図18における破線は理想的な表示光の輝度(相対輝度)特性を示し、実線は実際の表示光の輝度(相対輝度)特性を示す。
【0059】
図19は本発明による表示装置の第7実施例の説明図であり、同図(a)は比較のための従来回路(例えば、前述の特許文献4参照)、同図(b)は本発明の第7実施例の回路図を示し、液晶表示素子を用いたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、参照符号61はゲート線、62はドレイン線、63は薄膜トランジスタ、64は液晶容量、65は保持容量、66はコモン電極、67は保持容量線を示す。
【0060】
図19の(a)に示した従来の回路では、ゲート線61で選択された薄膜トランジスタ63を通してデータ線62から画像データに対応した電流が流れ、その電流に相当する電荷が保持容量65に保持され、蓄積された電荷に応じた電界が液晶容量間にかかって画像が表示される。蓄積された電荷は次のフレームまでホールドされる。このため、前フレームの画像を次フレームの直前まで表示していた画面がすぐさま次フレーム画像表示に切り替わり、その結果、動画像にはぼやけ現象が生じ、画面内における物体や人物の動きもギクシャクした見苦しいものになる。
【0061】
これに対し、本発明の第7実施例では、図19の(b)に示したように、蓄積容量65と並列に抵抗68を接続し、保持容量65に蓄積された電荷をCRの時定数で保持容量線67に放電する構成としている。保持容量65の容量値Cと抵抗68の抵抗値RによるCRの時定数は前記実施例と同様に設定され、図20に示したように、次のフレームとの間に黒が自動的に挿入される。本実施例の構成によって、画像データはインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0062】
図21は本発明による表示装置の第8実施例の説明図であり、同図(a)は比較のための従来回路(例えば、前述の特許文献4参照)、同図(b)は本発明の第8実施例の回路図を示し、液晶表示素子を用いたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。図中、参照符号61nは第n番目のゲート線、61n−1は第n−1番目のゲート線、62はドレイン線、63は薄膜トランジスタ、64は液晶容量、65は保持容量、66はコモン電極を示す。この一画素は第n番目のゲート線61と第n−1番目のゲート線61n−1の間に薄膜トランジスタ63と保持容量65を接続した構成である。
【0063】
図21の(a)に示した従来の回路では、第n番目のゲート線61nで選択された薄膜トランジスタ63を通してデータ線62から画像データに対応した電流が流れ、その電流に相当する電荷が保持容量65に保持され、蓄積された電荷に応じた電界が液晶容量間にかかって画像が表示される。蓄積された電荷は次のフレームまでホールドされる。このため、前フレームの画像を次フレームの直前まで表示していた画面に次フレームの画像がすぐさま現れ、その結果、ギクシャクした見苦しい動画像が表示される。
【0064】
これに対し、本発明の第8実施例では、図21の(b)に示したように、保持容量65と並列に抵抗68を接続し、保持容量65に蓄積された電荷をCRの時定数で第n−1番目のゲート線61n−1に放電する構成としている。保持容量65の容量値Cと抵抗68の抵抗値RによるCRの時定数は前記実施例と同様に設定され、図20に示したように、次のフレームとの間に黒が自動的に挿入される。本実施例の構成によって、画像データはインパルス型に近づいたものとすることができ、動画表示における動画ぼやけが解消されて高画質の動画像を得ることができる。
【0065】
なお、液晶表示装置では、液晶の応答速度が有機ELに比べて遅いため、その過渡状態にある内に蓄積容量にホールドされた電荷が放電されると輝度が十分に確保できないが、上記CRの時定数を調整することで許容される輝度を確保することができる。
【0066】
図22は本発明による表示装置のアクティブ・マトリクス基板の全体構成例を模式的に示す平面図である。なお、有機EL表示装置では、このアクティブ・マトリクス基板を覆って封止缶、あるいはガラス基板が貼り合わされ、液晶表示装置の場合は方式によってはカラーフィルタを有し、あるいは有しないガラス基板が液晶層を介して貼り合わされるが、図示はしていない。
【0067】
図22において、参照符号500はアクティブ・マトリクス基板であり、表示領域AR内に前記の各実施例の何れかの構成を有する多数の画素(R,G,B)がマトリクス状に配列されている。Rは赤、Gは緑、Bは青である。各画素は走査駆動回路(薄膜トランジスタをアクティブ素子としたものではゲートドライバ)510に接続する走査線51とデータ駆動回路(同ドレインドライバ)520に接続するデータ線52で囲まれた部分に形成されている。
【0068】
なお、参照符号53は有機EL表示装置では有機EL素子に電流を供給するための電源線である。なお、この参照符号53は、液晶表示装置では対向電極またはコモン電極である。そして、参照符号530は有機EL表示装置では有機EL素子に電流を供給するための電源線バスライン、液晶表示装置では対向電極またはコモン電極のバスラインを示す。また、参照符号600は外部信号源と接続するための端子である。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ホールド型の表示装置に動画を表示した際の輪郭のぼやけ、所謂動画ぼやけの発生が回避され、陰極線管に代表されるインパルス型の表示装置と同等の高品質の画像表示を可能とした表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による表示装置の第1実施例の説明図である。
【図2】 図1に示した画素回路における有機ELの応答特性の説明図である。
【図3】 本発明の第1実施例の効果を比較するための従来の有機ELを表示素子としたアクティブ・マトリクス型表示装置の一画素の等価回路の説明図である。
【図4】 図3における有機ELの応答特性の説明図である。
【図5】 本発明による表示装置の第2実施例の説明図である。
【図6】 本発明による表示装置の第3実施例の説明図である。
【図7】 本発明による表示装置の第4実施例の説明図である。
【図8】 本発明による表示装置の第5実施例の説明図である。
【図9】 本発明による表示装置の第6実施例の説明図である。
【図10】 本発明による表示装置の第6実施例を説明するための従来回路の平面図である。
【図11】 図10のA−A線に沿った断面図である。
【図12】 図10のB−B線に沿った断面図である。
【図13】 図10の回路に本発明を適用した本発明の第6実施例の回路の平面図である。
【図14】 図13のA−A線に沿った断面図である。
【図15】 本発明の第7実施例の説明図である。
【図16】 図15の平面図である。
【図17】 陰極線管で代表されるインパルス型の発光特性の説明図である。
【図18】 液晶表示装置の表示光の応答特性の説明図である。
【図19】 本発明による表示装置の第7実施例の説明図である。
【図20】 動画ぼやけ対策を施した液晶表示装置の表示光の応答特性の説明図である。
【図21】 本発明による表示装置の第8実施例の説明図である。
【図22】 本発明による表示装置のアクティブ・マトリクス基板の全体構成例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
51・・・・走査線、52・・・・データ線、53・・・・電源線、130・・・・第1の薄膜トランジスタ、140・・・・第2の薄膜トランジスタ、160・・・・有機EL素子、170・・・・データ保持容量、180・・・・抵抗。
Claims (1)
- 画素を選択する走査線と、選択された画素に画像データを供給するデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差部に設けられた第1の薄膜トランジスタと、前記第1の薄膜トランジスタを通して画像データに対応する電荷を蓄積して保持する保持容量と、前記保持容量の一方の電極が接続される保持容量線と、前記保持容量に蓄積された電荷で導通量が制御される第2の薄膜トランジスタと、前記第2の薄膜トランジスタの導通量に応じた電流が供給される有機EL素子とを有する単位画素をマトリクス状に配列した表示装置であって、
前記単位画素のそれぞれの保持容量を構成する電極間に、抵抗材料が充填されたスルーホールを備えていることを特徴とする表示装置。
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