JP4252150B2 - 磁気記録媒体特性測定装置および方法 - Google Patents

磁気記録媒体特性測定装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、磁気ディスク装置における磁気記録媒体(磁性材料)の磁気特性(ヒステリシス特性、残留磁化特性等)の評価に用いられる磁気記録媒体特性測定装置および方法に関するものであり、特に、超高密度磁気記録媒体の特性評価に用いて好適な磁気記録媒体特性測定装置および方法に関するものである。
【0002】
コンピュータの外部記憶装置として用いられてきた磁気ディスク装置は、10年で100倍という驚異的なペースでその記録密度を上げ続けてきた。このように記録密度を上げるためには、データ転送速度の向上、磁気記録媒体の膜厚の低減化、磁気記録媒体を構成する結晶粒子の細粒化等が重要な課題となっている。ここで、近時、磁気記録媒体の膜厚の低減化、結晶粒子の細粒化が進んで行くにしたがって、磁性体の体積を小さくしてゆくと、熱の影響により磁化方向が不安定になり、記録データが消失しやすくなるという熱磁気緩和現象が高密度化を阻む問題として取り上げられている。
【0003】
さらに、データ転送速度の向上に伴って、磁気記録媒体の実効的な保磁力が増大する現象が問題視されており、オーバライト特性の低下が懸念されている。このような問題を克服するためにも、磁気ディスク装置の開発においては、磁気記録媒体の磁気特性を実用条件に即して正確に測定・評価するための磁気記録媒体特性測定装置が要請されている。
【0004】
【従来の技術】
従来より、磁気ディスク装置の開発においては、磁気記録媒体の磁気特性(ヒステリシス特性、残留磁化等)を磁気記録媒体特性測定装置を用いて評価し、この評価結果のフィードバックを受けながら、磁気記録媒体の磁気特性改善を行うことにより、高密度化を図っている。したがって、開発においては、磁気記録媒体特性測定装置は、より高密度化を目指す上で重要な測定装置として位置付けられている。
【0005】
また、この種の磁気記録媒体特性測定方法としては、VSM(Vibrating Sample Magnetometer )、超伝導量子干渉計として周知のSQUID(Superconducting Quantum Interference Device )を用いた電磁誘導法、AGM(Alternative Gradient Magnetometer )を用いたファラデー法、光磁気効果(Kerr効果)を利用した方法等が用いられている。ここで、上記VSMは、電磁石の空気間隙において磁化された試料(たとえば、記録媒体)を上下に微小な振幅で、所定の振動数をもって振動させ、この記録媒体の磁化によって生じる磁場により、記録媒体近傍に配置された探索コイル内の振動磁束を生じさせて、上記探索コイルに生じる交流信号により磁化を測定する磁気記録媒体特性測定装置である。このVSMにおいては、記録媒体(試料)に対して、たとえば10〜20minという極めて長い時間をかけて静的に変化する外部磁場を作用させた状態で磁化を測定している。
【0006】
また、SQUIDは、超電導の量子化現象を利用することにより、地磁気の5000万分の1以下という極めて微弱な磁場の検出が可能な高感度の磁気センサであり、液体ヘリウム等により超低温に維持された状態で使用される。具体的には、このSQUIDは、超電導薄膜を微細加工することにより、弱い超電導状態の接合部が並列になるように形成されたデバイスであり、バイアス電流を臨界電流値付近に固定した状態で記録媒体(試料)からの磁場が印加されることで、両端の電圧が変化するという特性を備えている。この電圧の変化をとらえることにより、磁場の強さの測定が可能となる。
【0007】
また、上述したKerr効果を利用して磁気特性を測定するKerr効果測定装置は、特開昭63−122930号公報に開示されており、偏光したレーザ光を集光して磁気記録媒体に照射する集光光学手段と、磁気記録媒体に磁場を印加する磁場発生手段と、磁気記録媒体からの反射レーザ光の偏光状態を検出する検出手段とを備えている。このKerr効果測定装置においては、磁場発生手段の磁場を変化させたときの検出手段により検出される反射レーザ光の偏光面の回転角度が磁気記録媒体の磁化方向に対応して変化するという性質を利用することで、磁気記録媒体の磁気特性を測定している。
【0008】
さらに、別の磁気記録媒体特性測定装置としては、パルス磁場印加測定装置が用いられており、このパルス磁場印加測定装置は、パルス磁場を発生させるパルス磁場発生コイルと、このパルス磁場発生コイルに電力を供給する電源と、上記パルス磁場発生コイルの中央部に配設された検出コイルと、この検出コイルに発生する起電力に基づいて検出コイル近傍に配置された試料の磁気特性を測定する測定部とを備えている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来においては、前述した各種磁気記録媒体特性測定装置の測定結果に基づいて、試料(記録媒体)の特性評価を行い、高密度記録に耐えうる磁気特性を有する記録媒体の開発が行われている。具体的には、膜厚の低減化、結晶粒子の細粒化、記録媒体における保磁力の熱依存性の改善等が行われている。また、前述したパルス磁場印加測定装置を除く磁気記録媒体特性測定装置においては、磁気ディスク装置における磁気ヘッドによる書き込みをシュミュレートするために、試料(磁気記録媒体)に対して印加する磁場を、たとえば、10〜20minという時間スパンをもって低速で変化させて、試料(磁気記録媒体)の磁気特性を測定している。
【0010】
ここで、実際の磁気ディスク装置においては、高密度記録の重要なファクタであるデータ転送速度の超高速化に伴って、磁気記録媒体における磁気ヘッドの磁場が変化する速度が数M〜数10MHzオーダにも達する。これに対して、従来の各種磁気記録媒体特性測定装置(但し、パルス磁場印加測定装置を除く)においては、試料(磁気記録媒体)に対して印加される磁場の変化速度は10〜20minスパンのオーダであり、実際の磁気ディスク装置における磁場の変化速度(数M〜数10MHz)と大きくかけ離れている。
【0011】
すなわち、従来の磁気記録媒体特性測定装置においては、試料(磁気記録媒体)に対する磁場の印加条件が実用条件に即していないため、最近の磁気記録媒体のように磁性膜厚の薄膜化、磁性粒子の微細化が進むにつれて、ここから得られる磁気特性と実用条件下の磁気特性との間に大きな開きが出るという問題が持ち上がってきた。具体例を挙げれば、最近の磁気記録媒体では、VSMにおける試料(磁気記録媒体)の保磁力として2500(Oe)という測定結果が得られたのに対して、実用条件下における実効的な保磁力は、5000(Oe)(理論値)になるものもあり、両者の差(測定誤差)は、2500(Oe)にも達する。
【0012】
ここで、上記磁気記録媒体特性測定装置の測定結果を信頼して、保磁力が2500(Oe)という磁気記録媒体を磁気ディスク装置に組み込んだ場合には、磁気ヘッドは、少なくとも5000(Oe)の印加磁場で記録媒体に対してオーバライトができるように設計される。しかしながら、上記磁気記録媒体の実際の保磁力が5000(Oe)であるため、磁気ヘッドにおいて5000(Oe)の磁場を記録媒体に印加しても、オーバライトできない状態になるという極めて深刻な事態が発生する。すなわち、従来の磁気記録媒体特性測定装置(パルス磁場印加測定装置を除く)においては、測定による磁気特性と、実用条件下における磁気特性とに差が生じるため、特に実効的な保磁力の増大によるオーバライト特性が悪化するという極めて重大な問題が発生する。
【0013】
一方、パルス磁場印加測定装置においては、パルス磁場により高速で磁場変化を発生させることができるため、実用条件に近い条件で試料(磁気記録媒体)に対して高速変化磁場を作用させることができるという利点を有しているものの、電磁誘導作用を利用して検出コイルに発生する起電力の検出を行っていることから、磁気記録媒体のような微小磁気モーメントを検出することができない。したがって、パルス磁場印加測定装置は、大きい磁気モーメントを有する試料に対しては有効であるが、薄膜化を進めている磁気記録媒体の磁気特性の測定には適さないのである。
【0014】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、実用条件に即した測定条件で磁気記録媒体の磁気特性を高い精度で測定することができる磁気記録媒体特性測定装置および方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明は、磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加手段(後述する一実施の形態のパルス電源20、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16に相当)と、前記パルス磁場印加後において、前記磁気記録媒体の磁気モーメントが磁場勾配により受ける力に基づいて、前記磁気特性を測定する測定手段(後述する一実施の形態の磁気天秤50に相当)とを備えることを特徴とする。
【0016】
発明によれば、パルス磁場印加手段により磁気記録媒体に印加されるパルス磁場は高速変化している。したがって、この場合には、磁気記録媒体を磁気ディスク装置に組み込んだ状態での磁気ヘッドによる磁場発生状態に非常に近い。そして、パルス磁場が印加された後においては、測定手段により、磁気モーメントが磁場勾配により受ける力を検出する原理により、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明は、磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加手段(後述する一実施の形態のパルス電源20、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16に相当)と、前記パルス磁場印加後において、Kerr効果を利用することにより、前記磁気記録媒体の磁気特性を測定する測定手段(後述する一実施の形態のKerr効果測定装置34に相当)とを備えることを特徴とする。
【0018】
発明によれば、パルス磁場印加手段により磁気記録媒体に印加されるパルス磁場は高速変化している。したがって、この場合には、磁気記録媒体を磁気ディスク装置に組み込んだ状態での磁気ヘッドによる磁場発生状態に非常に近い。そして、パルス磁場が印加された後においては、測定手段により、Kerr効果を利用して光の偏光状態の検出結果に基づいて、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定装置において、前記パルス磁場印加手段は、立ち上がり時間が100ns〜100msの範囲となる前記パルス磁場を前記磁気記録媒体に対して印加することを特徴とする。
【0020】
発明によれば、パルス磁場印加手段により、100ns〜100msという極めて高速に変化するパルス磁場が磁気記録媒体に印加される。したがって、たとえば、ハードディスク装置等における実用条件に極めて近い条件で磁気特性の測定を行うことができる。
【0021】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定装置において、前記磁気記録媒体の配設角度を前記パルス磁場に対して任意の角度に調整する角度調整手段(後述する一実施の形態のホルダに相当)を備えることを特徴とする。
【0022】
発明によれば、角度調整手段により、磁気記録媒体の配設角度を任意の角度調整するように構成したので、角度成分が存在する実際のヘッド磁界を擬似的に作り出すことができるため、実用条件に即することはもとより、測定方法のバリエーションを増やすことができる。
【0023】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定装置において、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間をゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間とする磁場勾配生成手段を備えることを特徴とする。
【0024】
発明によれば、磁場勾配生成手段によりゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間が生成されるため、パルス磁場印加後の磁気記録媒体における残留磁化(磁気特性)を極めて正確に測定することができる。
【0025】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定装置において、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間を定常磁場とする定常磁場生成手段(後述する一実施の形態の第1の空芯コイル12、第2の空芯コイル13、直流電源19およびスイッチ21に相当)を備えることを特徴とする。
【0026】
発明によれば、定常磁場生成手段により定常磁場を磁気記録媒体に作用させることができるため、定常磁場(外部磁場)中における磁気記録媒体の磁気特性をも測定することができ、汎用性を向上させることができる。さらに、発明によれば、Kerr効果を利用した場合、定常磁場中における磁気特性の変化が測定される。
【0027】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定装置において、前記磁気記録媒体は、硬磁性材料、半硬磁性材料より構成されていることを特徴とする。発明においては、磁気記録媒体の材料として硬磁性材料、半硬磁性材料を用いることが望ましい。
【0028】
また、本発明は、磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加工程(後述する一実施の形態のステップS1およびステップS4に相当)と、前記パルス磁場印加後において、前記磁気記録媒体の磁気モーメントが磁場勾配により受ける力に基づいて、前記磁気特性を測定する測定工程(後述する一実施の形態のステップS2およびステップS5に相当)とを含むことを特徴とする。
【0029】
発明によれば、パルス磁場印加工程において、磁気記録媒体に印加されるパルス磁場は高速変化している。したがって、この場合には、磁気記録媒体を磁気ディスク装置に組み込んだ状態での磁気ヘッドによる磁場発生状態に非常に近い。そして、パルス磁場が印加された後においては、測定工程において、磁気モーメントが磁場勾配により受ける力を検出する原理により、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができる。
【0030】
また、本発明は、磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加工程(後述する一実施の形態のステップS1およびステップS4に相当)と、前記パルス磁場印加後において、Kerr効果を利用することにより、前記磁気記録媒体の磁気特性を測定する測定工程(後述する一実施の形態のステップS2およびステップS5に相当)とを含むことを特徴とする。
【0031】
発明によれば、パルス磁場印加工程において、磁気記録媒体に印加されるパルス磁場は高速変化している。したがって、この場合には、磁気記録媒体を磁気ディスク装置に組み込んだ状態での磁気ヘッドによる磁場発生状態に非常に近い。そして、パルス磁場が印加された後においては、測定工程において、Kerr効果を利用して光の偏光状態の検出結果に基づいて、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができる。
【0032】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定方法において、前記パルス磁場印加工程と前記測定工程との間に、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間をゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間とする磁場勾配生成工程を含むことを特徴とする。
【0033】
発明によれば、磁場勾配生成工程において、ゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間が生成されるため、パルス磁場印加後の磁気記録媒体における残留磁化(磁気特性)を極めて正確に測定することができる。
【0034】
また、本発明は、上記の磁気記録媒体特性測定方法において、前記パルス磁場印加工程と前記測定工程との間に、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間を定常磁場とする定常磁場生成工程を含むことを特徴とする。
【0035】
発明によれば、定常磁場生成工程において定常磁場を磁気記録媒体に作用させることができるため、定常磁場(外部磁場)中における磁気記録媒体の磁気特性をも測定することができることから、汎用性を向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明にかかる磁気記録媒体特性測定装置および方法の一実施の形態について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10の構成を示す図であり、この図において、断熱容器11は、たとえば、2つの容器が二重断熱構造をなすように構成されており、外部と内部とを断熱する。第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13は、断熱容器11の内周面に沿ってそれぞれ上下位置に配設されており、それぞれに供給される電流の向きに応じた磁場を、中心に位置する記録媒体17において生成するものである。また、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13は、それぞれ4段のコイル群から構成されている。
【0038】
ここで、上記第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13により生成される中心(記録媒体17の位置)の磁場としては、ゼロ磁場、定常磁場およびパルス磁場という都合3種類がある。上記ゼロ磁場は、磁場がゼロであってかつ有限の磁場勾配をもつものであり、第1の空芯コイル12と第2の空芯コイル13とに対して逆向きの直流電流をそれぞれ流すことにより得られる。具体的には、第1の空芯コイル12に対して正(または負)方向の電流を流すとともに、第2の空芯コイル13に対して負(または正)方向の電流を流すことにより、記録媒体17の位置では、ゼロ磁場となる。
【0039】
また、定常磁場は、第1の空芯コイル12と第2の空芯コイル13とに対して同方向の直流電流をそれぞれ流すことにより得られ、上記直流電流に応じた値の磁場である。ここで、断熱容器11内に液体窒素を満たして、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13を冷却することにより、大電流を流すことができる条件にすれば、定常磁場を1Tまであげることが可能となる。さらに、パルス磁場は、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13とに対してパルス電流を流すことにより得られ、比較的長いパルス幅を有している。以上説明したゼロ磁場、定常磁場およびパルス磁場の用途については、後に測定方法の説明において詳述する。
【0040】
容器14は、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13の内周面に沿って配設されており、上面に開口部を備えている。第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16は、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13の中心部であって、かつ容器14の内周面に沿ってそれぞれ配設されている。これらの第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16は、記録媒体17の位置において、高速変化するパルス磁場を生成するためのものであり、パルス電流を流すことにより生成される。このパルス磁場の方向は、上記パルス電流の方向を正、負逆にするとにより制御される。
【0041】
記録媒体17は、被測定対象としての試料であり、硬磁性材料、半硬磁性材料から構成されている。この記録媒体17は、磁気ディスク装置に用いられるものである。なお、磁気記録媒体特性測定装置10の試料としては、記録媒体17に限られず、硬磁性材料(半硬磁性材料)であればいなかるものであってもよい。したがって、本明細書において記録媒体17には、一般的な硬磁性材料(半硬磁性材料)も含まれる。また、上記記録媒体17は、図2に示すように、生成される磁場Hに対する配設角度が0°、45°、90°という具合に可変できるように、ホルダ(図示略)により保持されている。これにより、測定方法のバリエーションを増やすことができる。
【0042】
検出器18(演算部33)は、ファラデー法またはKerr効果を利用することにより、記録媒体17の残留磁化(磁化)を高感度で検出するものであり、記録媒体17の上方に位置する容器14の上端部に取り付けられている。実際には、この検出器18としては、測定に応じて、図3に示す磁気天秤50、図4に示すKerr効果測定装置34のうちいずれか一方が用いられる。なお、磁気天秤50およびKerr効果測定装置34の詳細については後述する。
【0043】
直流電源19は、2系統の出力端を備えており、スイッチ21を介して第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13へ正方向(負方向)直流電流を供給するものである。この直流電源19は、2系統の出力端から出力される直流電流の方向は制御部22により制御される。すなわち、直流電源19は、制御部22により2系統の出力端から共に正方向(または負方向)の直流電流を出力することが可能であり、また、2系統の出力端のうち一方から正方向の直流電流を出力するとともに他方から負方向の直流電流も出力可能である。ここで、直流電源19の一方の出力端は、スイッチ21を介して第1の空芯コイル12に接続されており、同様にして直流電源19の他方の出力端はスイッチ21を介して第2の空芯コイル13に接続されている。
【0044】
パルス電源20は、大容量のキャパシティを備えるコンデンサバンクから構成されており、スイッチ21を介して、第1のパルス磁場用コイル15、第2のパルス磁場用コイル16、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13へ接続可能である。このパルス電源20は、図示しないサイリスタがターンオン状態とされることによる放電電荷によって、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16、または第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13に対してパルス電流を供給する。ここで、パルス電源20としては、たとえば、0.8mFのキャパシティを備える3つのコンデンサバンクを並列接続することで構成されており、キャパシティが2.4(0.8×3)mFとされている。
【0045】
スイッチ21は、直流電源19およびパルス電源20と、第1の空芯コイル12、第2の空芯コイル13、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16との接続状態を切り替えるものであり、制御部22によりスイッチング制御される。このスイッチ21において、可動片21a、接点21bおよび接点21cは、パルス電源20から出力されるパルス電流の供給先を第1のパルス磁場用コイル15(第2のパルス磁場用コイル16)または第1の空芯コイル12(第2の空芯コイル13)のいずれかへ切り替えるためのスイッチを構成している。
【0046】
また、可動片21d、接点21eおよび接点21f(可動片21iおよび接点21j)は、第1の空芯コイル12(第2の空芯コイル13)を直流電源19またはパルス電源20のいずれかへ接続切り替えするためのスイッチを構成している。可動片21gおよび接点21hは、直流電源19の他方の出力端と第2の空芯コイル13との間に介挿されている。なお、スイッチ21としては、機械的にスイッチング動作が行われる機械式スイッチ(マグネットスイッチ等)の他に、サイリスタ等からなる無接点スイッチなどを用いてもよく、その種類は問わない。
【0047】
つぎに、図3を参照して磁気天秤50について詳述する。この磁気天秤50は、ファラデー法の原理を応用したものであり、記録媒体17の磁気モーメントが磁気勾配により受ける力を検出することで、記録媒体17の残留磁化を検出するためのものである。ここで、磁気天秤50は、磁気勾配(110Oe/cm(875kA/m2 ))が一定であれば高感度(磁気モーメントの検出感度:2×10-9Am2 (1×10-6emu(1×10-5Am2 )))の検出器として作用する。この磁気勾配を一定にするために、第2の空芯コイル13および第1の空芯コイル12が用いられる。磁気天秤50において、天秤棒23は、支点24で支えられており、一端23a、他端23bにそれぞれ作用する力の差に応じてシーソ運動する。なお、天秤棒23の一端23a、他端23bにそれぞれ作用する力が等しい場合、すなわち均衡した場合には、天秤棒23は平行姿勢に維持される。
【0048】
また、天秤棒23の一端23aには、クランプ棒25を介して記録媒体17が吊設されており、同様にして他端23bには、錘26が吊設されている。可動コイル27は、直角をなすようにして天秤棒23に固定されており、かつ近傍に配設された磁石29による磁場中に位置している。この可動コイル27は、後述する電流制御部31から供給される電流と磁石29による磁場との相互作用で生じるローレンツ力により、天秤棒23を支点運動させる役目をしている。ミラー28は、可動コイル27と同様にして直角をなすように天秤棒23に固定されている。すなわち、上述した天秤棒23、可動コイル27およびミラー28は、一体化されており、一端23a、他端23bにそれぞれ作用する力の不均衡、可動コイル27に作用するローレンツ力により動かされるのである。
【0049】
光てこ30は、光をミラー28に対して照射する発光部と、ミラー28からの反射光を受光する受光部とを備えており、ミラー28に対向配置されている。この光てこ30は、反射光の受光点と定位置とのずれ量をフィードバック信号として電流制御部31へフィードバックする。電流制御部31は、光てこ30からのフィードバック信号を受けて、上記ずれ量がゼロとなるように可動コイル27に供給すべき電流の大きさを調整することにより、天秤棒23を平衡状態に維持する。このようなフィードバック制御を行った結果、天秤棒23が平衡状態にある場合、電流制御部31の出力電流(可動コイル27を流れる電流)は、記録媒体17の磁気モーメントが磁気勾配によってうける力に比例する。なお、差動増幅器32については後に後述する。したがって、この場合、差動増幅器32は磁気天秤50に設けられていないものとする。
【0050】
演算部33は、電流制御部31より入力される電流から記録媒体17の磁気特性(残留磁化、異方性磁場の分布、容易軸の分散等)を測定結果として求めるとともに、予め記録媒体17における磁気特性をモデル計算した結果と上記測定結果とを比較する。ここで、図7を参照して上記モデル計算による記録媒体17の磁気特性(残留磁化)の一例を示す。この図に示す残留磁化の特性において、横軸は、印加される磁場Hと異方性磁場Hk との比(H/Hk )であり、縦軸は、記録媒体17の残留磁化Mr と飽和残留磁化Mrsとの比(Mr /Mrs)である。ここで、上記異方性磁場Hk は、サンプル(記録媒体17)固有のパラメータである。
【0051】
また、特性線aは、記録媒体17における垂直磁化膜に対して膜面垂直方向に磁場Hを印加した場合の例であり、特性線bは、記録媒体17における面内磁化膜に対して膜面内(0°)に磁場Hを印加した場合の例である。また、特性線cは、同面内磁化膜に対して45°の方向から磁場Hを印加した場合の例であり、特性線dは、同垂直磁化膜に対して45°の方向から磁場Hを印加した場合の例である。この図7に示す磁気特性(残留磁化特性)は、記録媒体17における磁気特性を示すパラメータ、磁場Hの条件等をコンピュータシミュレーションにかけて求められたものであり、この磁気特性(残留磁化特性)のデータは、予め演算部33の記憶部(図示略)に保持されている。
【0052】
つぎに、図4および図5を参照してKerr効果測定装置34について詳述する。このKerr効果測定装置34は、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13により記録媒体17に対して高速変化する外部磁場が印加されている状態における記録媒体17の磁気特性(磁化特性)の測定に用いられる。このKerr効果測定装置34は、記録媒体17に対してレーザ光Laを照射することで反射レーザ光Lbの偏光面が、記録媒体17の磁化方向に対応して回転するというKerr効果を利用することで、記録媒体17の磁気特性を測定するものである。
【0053】
図5に示すKerr効果測定装置34は、発光系としてレーザ光Laを発生する光源35、このレーザ光Laを単波長光に分光する分光器36、レーザ光Laを直線偏光に変換してこれを記録媒体17へ導く偏光子37を備えている。また、受光系としては、記録媒体17からの反射レーザ光Lbの直線偏光成分間に4分の1波長の光路差を与えるλ/4波長板38、ファラデー効果により反射レーザ光Lbの振動面を回転させるファラデー素子39、検光子40、該検光子40の出力光を電気信号に変換する光検出器41を備えている。
【0054】
さらに受光系としては、光検出器41の出力信号を増幅する前置増幅器42、前置増幅器42の出力信号を狭帯域であってかつ高利得で増幅するロックインアンプ(位相固定型増幅器)43、ロックインアンプ43の出力信号のフィードバックを受けて低周波信号を発生する低周波発振器44、この低周波信号を増幅してファラデー素子39へ電流フィードバックする低周波増幅器45を備えている。このKerr効果測定装置34は、Kerr回転角を受けて回転してくる反射レーザ光Lbをファラデー素子39により補償する零位法測定を行うものである。
【0055】
具体的には、光検出器41の出力信号がゼロになるように、前置増幅器42、ロックインアンプ43、低周波発振器44および低周波増幅器45からなるフィードバックループによりファラデー素子39へ供給する電流により記録媒体17における偏光面の回転を打ち消している。すなわち、ファラデー素子39の電流とKerr回転角との対応関係を定義付けておくことにより、ファラデー素子39の電流からKerr回転角を求めることができる。ここで、偏光子37としては、消光比の高いものが用いられており、これにより、感度が向上する。また、ファラデー素子39の電流は、Kerr効果測定装置34の検出結果として図4に示す演算部33に入力される。この演算部33は、上記電流からKerr回転角を求め、さらには記録媒体17の磁気特性を求める。
【0056】
つぎに、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10を用いた測定方法について図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。まず、図1に示す検出器18として、図3に示す磁気天秤50を容器14の上端部にセットする。ここで、磁気天秤50を用いるのは、記録媒体17が薄膜であることから磁気モーメントの値が微小であり、これを高感度で検出するためである。なお、前述したVSMは、感度が低いため精度の面からこの測定に適さず、SQUIDは、高価な液体ヘリウムを使用するため経済性の面を考慮すれば一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置に劣る。
【0057】
また、このセット状態においては、クランプ棒25の先端部分には薄膜の記録媒体17が取り付けられている。すなわち、記録媒体17は、クランプ棒25を介して天秤棒23の一端23aに吊設されている。また、記録媒体17の配設位置は、図2に示すようにホルダ(図示略)により、磁場Hに対して所定の角度(0°、45°、90°)をもって調節される。なお、記録媒体17の配設位置は、上記角度(0°、45°、90°)に拘らす、任意の角度にも調整可能である。さらに、クランプ棒25の先端部分に角度調整機構を設けることで、ホルダ(図示略)を省略してもよい。
【0058】
そして、図6に示すステップS1では、記録媒体17に対して正方向のパルス磁場を印加する。具体的には、制御部22により、スイッチ21における可動片21aが接点21c側に接とされた後、パルス電源20のサイリスタ(図示略)がターンオンとされる。これにより、パルス電源20からは、スイッチ21を介して第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16へ急峻な立ち上がり特性を有する正方向のパルス電流が供給される。ここで、コンデンサバンクのキャパシタンスをC、充電電圧をV、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16のインダクタンスをL、抵抗成分をゼロとすると、パルス電流のパルス幅wおよびピーク電流Ip は、つぎの(1)式および(2)式で表される。
w=π√(LC) ・・・・(1)
p =V√(C/L) ・・・・(2)
なお、ピーク電流Ip は、サイリスタの許容電流値を超えない値とされている。
【0059】
そして、正方向のパルス電流が第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16に入力されると、高速で正方向に変化するパルス磁場が記録媒体17に作用することで、磁化される。ここで、磁気記録媒体特性測定装置10においては、ピーク磁場が103 kVA/mm、立ち上がり時間が100ns〜100ms、パルス幅が0.6msec〜25msecという極めて高速に変化するパルス磁場を記録媒体17に作用させることができる。
【0060】
そして、パルス磁場の印加により記録媒体17が磁化されると、ステップS2では、記録媒体17の残留磁化MR が測定される。具体的には、パルス磁場が印加された後において、制御部22は、直流電源19の一方の出力端から正方向の電流が出力されるとともに、他方の出力端から負方向の電流が出力されるように直流電源19を制御する。つぎに、制御部22は、スイッチ21の可動片21dを接点21f側に接とするとともに、可動片21gを接点21h側に接とする。
【0061】
これにより、直流電源19の一方の出力端からは、正方向の電流がスイッチ21を介して第1の空芯コイル12へ供給されるとともに、他方の出力端からは負方向の電流がスイッチ21を介して第2の空芯コイル13へ供給される。すなわち、この場合には、第1の空芯コイル12と第2の空芯コイル13とにそれぞれ逆向きの電流が供給されているのである。なお、上述とは逆に第1の空芯コイル12に対して負方向の電流を供給するとともに、第2の空芯コイル13に対して正方向の電流を供給するようにしてもよい。
【0062】
そして、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13に正および負方向の電流がそれぞれ供給されると、第1の空芯コイル12により発生する磁場の方向と、第2の空芯コイル13により発生する磁場の方向とが記録媒体17近傍の空間において逆方向となる。したがって、記録媒体17近傍の空間は、磁場がゼロであってかつ有限の磁場勾配をもつ空間となる。すなわち、記録媒体17は、ゼロ磁場であって、全体に亘って均一な鉛直方向の磁場勾配を有する空間に位置する。ここで、磁場をゼロとするのは、記録媒体17の残留磁化を高感度で測定するためである。
【0063】
このような状態においては、記録媒体17の磁気モーメントに比例した力がクランプ棒25を介して天秤棒23の一端23aに作用し、天秤棒23は、上記力に応じて、たとえば、一端23a側が下がるとともに他端23bが上がる。これにより、光てこ30におけるミラー28からの反射光の受光点が所定の位置からずれ、光てこ30からは上記ずれ量に応じたフィードバック信号が電流制御部31へフィードバックされる。
【0064】
これを受けて電流制御部31は、可動コイル27に対する電流値を、上記ずれ量がゼロとなるように調整する。この結果、可動コイル27に電流に応じたローレンツ力が作用し、天秤棒23が平衡状態に維持される。このとき、電流制御部31から演算部33に出力されている電流の値が記録媒体17の磁気モーメントに比例するため、演算部33は、上記電流の値に基づいて、磁気モーメントを得ることで、記録媒体17の残留磁化MR を求める。
【0065】
そして、第1回目の残留磁化MR の測定が終了すると、ステップS3では、演算部33は、残留磁化MR が飽和したか否かを判断する。具体的には、演算部33は、前回測定した残留磁化MR と今回測定した残留磁化MR とを比較し、両者に差がない場合、ステップS3の判断結果を「YES」とする一方、両者に差がある場合、同判断結果を「NO」として制御部22に通知する。この場合、ステップS3の判断結果が「NO」、すなわち残留磁化MR が飽和していないものとすると、前述したステップS1およびステップS2の工程が実行される。これにより、記録媒体17には、正方向パルス磁場が再度印加され(ステップS1)、この印加後の残留磁化MR が再度測定される(ステップS2)。以後、ステップS3において判断結果が「YES」となるまで、すなわち記録媒体17の残留磁化MR が飽和するまで上記工程が繰り返される。
【0066】
そして、ステップS3において、前回測定した残留磁化MR と今回測定した残留磁化MR とに差がなくなると、残留磁化が飽和したものと判断されて判断結果が「YES」とされた後、可動片21dおよび21gが開成状態に制御される。これをうけて、ステップS4では、飽和残留磁化された記録媒体17に対して、ステップS1におけるパルス磁場とは逆方向(負方向)のパルス磁場(−Hp )が記録媒体17に対して印加される。具体的には、ステップS4では、制御部22は、負方向のパルス電流が出力されるようにパルス電源20を制御した後、サイリスタをターンオンにする。
【0067】
これにより、負方向のパルス電流が第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16に入力され、高速で負方向に変化する逆転パルス磁場が記録媒体17に作用することで、記録媒体17が磁化反転される。つぎに、ステップS5では、上述したステップS2と同様にして、記録媒体17の残留磁化MR を測定する。ここで、ステップS4の工程とステップS5の工程とがn回繰り返される。ステップS6では、演算部33は、ステップS5における測定結果からステップS3の判断と同様にして、2つの測定結果の間において値が変化しなくなったか否かにより記録媒体17が磁化反転飽和したか否かを判断する。
【0068】
この場合、ステップS6の判断結果が「NO」の場合、すなわち記録媒体17が磁化反転飽和しなかった場合、ステップS7では、制御部22の制御によりパルス電源20から第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16へ供給するパルス電流のピーク値を増加させた後、ステップS1へ戻り、上述した工程が繰り返される。
【0069】
そして、ステップS6において判断結果が「YES」、すなわち記録媒体17が磁化反転すると、演算部33は、ステップS8へ進み、測定結果を残留磁化MR のn=0に外挿する。すなわち、ステップS8では、演算部33は、ステップS5において測定された結果に基づいて、逆転パルス磁場印加後の残留磁化MR の変化を求める。つぎに、この実際の変化に関する実際のデータから、ステップS4において逆転パルス磁場が印加された直後の残留磁化MR を推定的に求める。
【0070】
ここで、残留磁化の変化の過程は、逆転パルス磁場が印加されることでエネルギの高い状態から低い状態へ瞬間的にスイッチする過程と、熱励起による磁場印加時間に依存する過程という2つの過程からなると考えられる。このことから、逆転パルス磁場が印加された直後の残留磁化MR を実際のデータから推定して測定結果として求めることにより、上記2つの過程のうち前者の過程の寄与のみを推定することができる。つぎに、演算部33は、上記測定結果(残留磁化MR )と図7に示すモデル計算による磁気特性(残留磁化)とを比較して、これを最終的な測定結果とする。
【0071】
ここで、図8および図9を参照して磁気記録媒体特性測定装置10における測定結果例1および2を示す。図8(a)は、図7における特性線bで表されるモデル計算結果と、波線で表される実測の測定結果との比較例である。この図に示す横軸は、真空の透磁率μ0 と磁場Hとの積であり、縦軸は、残留磁化Mr と飽和残留磁化Mrsとの比(Mr /Mrs)である。また、記録媒体17としては、膜厚が36nmであってCoCrTaPtからなるものである。この図から判るように、磁気記録媒体特性測定装置10における測定結果は、モデル計算による特性線bに近似するものである。
【0072】
すなわち、磁気記録媒体特性測定装置10における測定結果は、信頼性が極めて高いということになる。また、演算部33においては、図8(a)に示す特性線bとを比較するとにより、図8(b)に示す異方性磁場Hk 構成粒子の割合との関係を表す、異方性磁場の分布も求めることができる。ここで、上記異方性磁場Hk は、2Ku (異方性エネルギ)/M(磁化)なる式から求められるものであり、上記異方性エネルギKu は、試料(記録媒体17)固有の値をとる。
【0073】
また、図9(a)および(b)に示す測定結果は、記録媒体17の面内磁化膜に垂直方向に磁場を印加した場合のものである。図9(a)は、ガラスの上に形成されたCoCrPtTaであって膜厚が36nmの記録媒体17と、Ni−P上に形成されたCoCrPtTaであって膜厚が20nmの記録媒体17という異なる形態の試料に関するヒステリシス特性である。ここで、図9(a)に示す横軸は磁場Hであり、縦軸は記録媒体17の磁化Mと飽和磁化Ms との比(M/Ms )である。また、演算部33においては、図9(a)に示す測定結果から図9(b)に示す容易軸θの分散も求めることができる。ここで容易軸θは磁化が向きやすい方向である。
【0074】
つぎに、残留磁化が飽和した記録媒体17に対して、高速で逆転磁場を印加することで、高速磁場変化時における磁化の緩和過程を測定する方法について説明する。この測定は、記録媒体17において、実際の記録ビットのように反磁場が作用している状態において磁気記録の安定性を評価するのに適している。図4において、前述したステップS1〜ステップS3(図6参照)の工程により記録媒体17が飽和残留磁化状態にあるものとする。この状態において、制御部22は、直流電源19の2つの出力端から共に同方向の電流を出力するように直流電源19を制御した後、可動片21dを接点21f側に接にするとともに、可動片21gを接点21h側に接とする。そして、所定時間が経過すると制御部22は、可動片21dおよび可動片21gを開く。
【0075】
これにより、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13には、共に同方向の電流が流れ、記録媒体17に定常磁場が作用する。この定常磁場は、正方向から負方向へ高速に変化した後、急激にゼロに近づく。ここで、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13としては、定常磁場の変化速度が遅くても良い場合には、超伝導コイル(5×103 kA/mを発生可能)が用いられ、比較的速い磁場変化が好ましいときには常伝導コイル(1×103 kA/mを発生可能)が用いられる。また、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13として、内径が50mmの銅線コイルに30Aの電流を流すことにより、0.26Tの定常磁場が発生した。さらに第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13を液体窒素で冷却することにより、定常磁場は、約1Tにも達した。
【0076】
そして、定常磁場が急激にゼロに近づくと、記録媒体17における残留磁化が緩和過程により変化する。ここで、定常磁場による高速磁場を逆転してから停止させるまでの記録媒体17における残留磁化特性、および停止後(緩和過程)の残留磁化特性は、図4に示すKerr効果測定装置34により測定される。すなわち、記録媒体17にレーザ光La(直線偏光)が入射されて、このレーザ光Laが反射レーザ光Lbとして反射されると、反射レーザ光Lbの振動面が記録媒体17の磁化に比例して回転する。この回転角(Kerr回転角)は、前述したようにファラデー素子39の電流に比例する。したがって、図4に示す演算部33は、上記ファラデー素子39の電流に基づいて、記録媒体17の残留磁化特性を求める。
【0077】
ここで、Kerr効果測定装置34の構成としては、Kerr効果を利用するものであれば、図5に示す構成以外のものでも適用可能である。たとえば、別の構成例としては、測定時間が多少かかるが、検光子を回転させる消光法を採用したもの、高速磁化変化を直接測定すべく、検光子を適当な角度に設定し透過光の光強度を検出する構成のものがある。
【0078】
さらに、高速磁化変化をとらえるものとしては、繰り返し周波数の高い短パルスレーザを発生する短パルスレーザを光源とし、それぞれのパルスレーザに対して光検出を行った後、この検出結果を高速ディジタルスコープに取り込むようにしてもよい。この高速ディジタルスコープにおいては、記録媒体17における面内磁化膜および垂直磁化膜に関して、縦Kerr効果、横Kerr効果の各測定にも適用可能である。
【0079】
なお、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10においては、図1に示すスイッチ21の可動片21aを接点21b側に接、可動片21dを接点21e側に接、および21iを接点21j側に接とすることにより、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13に対してパルス電源20からのパルス電流を供給するようにしてもよい。この場合には、比較的長いパルス幅のパルス磁場が得られる。
【0080】
以上説明したように、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10によれば、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16を設けて、高速に変化する磁場を記録媒体17に対して作用させているので、記録媒体17を実際に磁気ディスク装置に組み込んだときの実用条件に近い条件で磁気特性(残留磁化特性)の測定を行うことができる。また、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10によれば、検出器として高感度の磁気天秤50(Kerr効果測定装置34)を用いているため、上記実用条件下であってかつ高精度の測定結果(図8(a)参照)を得ることができる。
【0081】
以上、本発明の一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成例はこの一実施の形態に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。たとえば、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10においては、図3に示す差動増幅器32を設け、この差動増幅器32の出力に基づいて、記録媒体17の磁気特性を測定するように構成してもよい。すなわち、この差動増幅器32を用いた場合には、記録媒体17近傍の磁場勾配の向きを正方向にしたときの電流制御部31の出力と、上記磁場勾配の向きを負方向にしたときの電流制御部31の出力との差が増幅され、この差が演算部33に入力される。すなわち、この場合には、上記差をとることにより、磁気天秤50におけるドリフトによる誤差成分がキャンセルされるため、演算部33における測定結果がより高精度になる。また、一実施の形態においては、磁気天秤50とKerr効果測定装置34とを入れ替えて測定を実施してもよい。
【0082】
また、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10においては、図4に示すKerr効果測定装置34に代えて、図10に示す構成の検出器を用いてもよい。この検出器は、交流電源60、クランプ棒61、圧力伝達板62、ピエゾ素子63、支持台64およびロックインアンプ65から構成されている。上記交流電源60は、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16に対して交流電流を供給することにより、交番力を記録媒体17に対して発生させる。クランプ棒61は、その上端に圧力伝達板62がつながれており、その下端に記録媒体17がホルダ(図示略)を介してつながれている。上記圧力伝達板62は、印加圧力に応じた電圧を発生するピエゾ素子63を介して、容器14の上端部の支持台64に支持されている。ロックインアンプ65は、ピエゾ素子63の出力電圧を高利得で増幅し、これを演算部33へ出力する。
【0083】
上記構成において、第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13により記録媒体17に磁場ゼロであって有限の磁場勾配を有する空間が記録媒体17の周りに形成されている状態で、交流電源60から第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16へ交流電流が供給されると、交番力が記録媒体17に作用する。これにより、上記交番力は、クランプ棒61および圧力伝達板62を介して支持台64に伝達され、ピエゾ素子63からは、上記交番力に応じた電圧がロックインアンプ65へ出力される。この電圧は、ロックインアンプ65により増幅された後、演算部33に入力され、演算部33では、記録媒体17の磁気特性が得られる。ここで、ピエゾ素子63を用いていることにより、磁気天秤50に比してドリフト等の影響が受けにくくなることから、さらに検出感度(測定精度)を向上させることができる。
【0084】
さらに、上述した一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10においては、図1に示す第1の空芯コイル12および第2の空芯コイル13によりゼロ磁場(磁場勾配)および定常磁場の双方を発生可能に構成したが、これに限定されることなく、図11に示すようにゼロ磁場(磁場勾配)発生用のコイル(第1の磁場勾配用コイル70および第2の磁場勾配用コイル71)と、定常磁場発生用のコイル(第1の常磁場用コイル72および第2の常磁場用コイル73)とを別に設ける構成としてもよい。
【0085】
図11では、第1のパルス磁場用コイル15および第2のパルス磁場用コイル16の外側に第1の磁場勾配用コイル70および第2の磁場勾配用コイル71が同軸配置されており、さらに第1の磁場勾配用コイル70および第2の磁場勾配用コイル71の外側に第1の常磁場用コイル72および第2の常磁場用コイル73が同軸配置されている。また、図11において、第1の磁場勾配用コイル70および第2の磁場勾配用コイル71には、逆方向の電流がそれぞれ供給される一方、第1の常磁場用コイル72および第2の常磁場用コイル73には、同方向の電流がそれぞれ供給される。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、パルス磁場印加手段により磁気記録媒体に印加されるパルス磁場が実用条件に近い条件で高速変化しており、かつ測定手段において、磁気モーメントが磁場勾配により受ける力を検出する原理により、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【0087】
また、発明によれば、パルス磁場印加手段により磁気記録媒体に印加されるパルス磁場が実用条件に近い条件で高速変化しており、かつ、測定手段において、Kerr効果を利用して光の偏光状態の検出結果に基づいて、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【0088】
また、発明によれば、パルス磁場印加手段により、100ns〜100msという極めて高速に変化するパルス磁場が磁気記録媒体に印加される。したがって、たとえば、ハードディスク装置等における実用条件に極めて近い条件で磁気特性の測定を行うことができるという効果を奏する。
【0089】
また、発明によれば、角度調整手段により、磁気記録媒体の配設角度を任意の角度調整するように構成したので、角度成分が存在する実際のヘッド磁界を擬似的に作り出すことができるため、実用条件に即することはもとより、測定方法のバリエーションを増やすことができるという効果を奏する。
【0090】
また、発明によれば、磁場勾配生成手段によりゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間が生成されるため、パルス磁場印加後の磁気記録媒体における残留磁化(磁気特性)を極めて正確に測定することができるという効果を奏する。
【0091】
また、発明によれば、定常磁場生成手段により定常磁場を磁気記録媒体に作用させることができるため、定常磁場(外部磁場)中における磁気記録媒体の磁気特性をも測定することができ、汎用性を向上させることができるという効果を奏する。さらに、発明によれば、Kerr効果を利用した場合、定常磁場中における磁気特性の変化も測定可能であるという効果を奏する。
【0092】
また、発明によれば、パルス磁場印加工程において磁気記録媒体に印加されるパルス磁場が実用条件に近い条件で高速変化しており、かつ測定工程において、磁気モーメントが磁場勾配により受ける力を検出する原理により、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【0093】
また、発明によれば、パルス磁場印加工程において磁気記録媒体に印加されるパルス磁場が実用条件に近い条件で高速変化しており、かつ、測定工程において、Kerr効果を利用して光の偏光状態の検出結果に基づいて、磁気特性の測定が行われるため、従来の検出コイルの場合に比して、磁気モーメントが非常に小さい磁気記録媒体であっても高い感度が得られる。このように、発明によれば、実用条件に即した測定結果を得ることができ、しかも測定結果の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【0094】
また、発明によれば、磁場勾配生成工程において、ゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間が生成されるため、パルス磁場印加後の磁気記録媒体における残留磁化(磁気特性)を極めて正確に測定することができるという効果を奏する。
【0095】
また、発明によれば、定常磁場生成工程において定常磁場を磁気記録媒体に作用させることができるため、定常磁場(外部磁場)中における磁気記録媒体の磁気特性をも測定することができることから、汎用性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10の構成を示す図である。
【図2】図1に示す記録媒体17の配設位置を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10において磁気天秤50を用いた構成を示す図である。
【図4】同一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10において、Kerr効果測定装置34を用いた構成を示す図である。
【図5】図4に示すKerr効果測定装置34の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10を用いた測定方法を説明するフローチャートである。
【図7】図1に示す記録媒体17のモデル計算による磁気特性を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10の測定結果例1を示す図である。
【図9】同一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10の測定結果例2を示す図である。
【図10】同一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10の変形例1を示す図である。
【図11】同一実施の形態による磁気記録媒体特性測定装置10の変形例2を示す図である。
【符号の説明】
10 磁気記録媒体特性測定装置
12 第1の空芯コイル
13 第2の空芯コイル
15 第1のパルス磁場用コイル
16 第2のパルス磁場用コイル
18 検出器
19 直流電源
20 パルス電源
21 スイッチ
33 演算部
34 Kerr効果測定装置
50 磁気天秤

Claims (9)

  1. 磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加手段と、
    前記パルス磁場印加後において、前記磁気記録媒体の磁気モーメントが磁場勾配により受ける力に基づいて、前記磁気特性を測定する測定手段と、
    前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間を定常磁場とする定常磁場生成手段と
    を備えることを特徴とする磁気記録媒体特性測定装置。
  2. 磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加手段と、
    前記パルス磁場印加後において、Kerr効果を利用することにより、前記磁気記録媒体の磁気特性を測定する測定手段と、
    前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間を定常磁場とする定常磁場生成手段と
    を備えることを特徴とする磁気記録媒体特性測定装置。
  3. 前記パルス磁場印加手段は、立ち上がり時間が100ns〜100msの範囲となる前記パルス磁場を前記磁気記録媒体に対して印加することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体特性測定装置。
  4. 前記磁気記録媒体の配設角度を前記パルス磁場に対して任意の角度に調整する角度調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気記録媒体特性測定装置。
  5. 前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間をゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間とする磁場勾配生成手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の磁気記録媒体特性測定装置。
  6. 前記磁気記録媒体は、硬磁性材料、半硬磁性材料より構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の磁気記録媒体特性測定装置。
  7. 磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加工程と、
    前記パルス磁場印加後において、前記磁気記録媒体の磁気モーメントが磁場勾配により受ける力に基づいて、前記磁気特性を測定する測定工程と、
    前記パルス磁場印加工程と前記測定工程との間に、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間を定常磁場とする定常磁場生成工程と
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体特性測定方法。
  8. 磁気記録媒体に対して高速変化するパルス磁場を印加するパルス磁場印加工程と、
    前記パルス磁場印加後において、Kerr効果を利用することにより、前記磁気記録媒体の磁気特性を測定する測定工程と、
    前記パルス磁場印加工程と前記測定工程との間に、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間を定常磁場とする定常磁場生成工程と
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体特性測定方法。
  9. 前記パルス磁場印加工程と前記測定工程との間に、前記パルス磁場印加後の磁気記録媒体の周囲の空間をゼロ磁場および有限の磁場勾配の空間とする磁場勾配生成工程を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の磁気記録媒体特性測定方法。
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