JP7242829B2 - 新規細菌lpp突然変異体及び組換えタンパク質の分泌産生のためのその使用 - Google Patents

新規細菌lpp突然変異体及び組換えタンパク質の分泌産生のためのその使用 Download PDF

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Description

本発明は、新規な細菌lpp突然変異体及び組換えタンパク質の分泌産生のための発酵法におけるその使用に関する。
近年、組換えタンパク質医薬品(医薬品タンパク質/生物製剤)の市場が堅調に成長している。特に重要なタンパク質医薬品は、真核生物のタンパク質、特に哺乳類のタンパク質及びヒトのタンパク質である。重要な医薬品タンパク質(医薬活性タンパク質)の例は、サイトカイン、成長因子、タンパク質キナーゼ、タンパク質及びペプチドホルモン、並びに抗体及び抗体断片である。医薬品タンパク質の製造コストは依然として非常に高いので、より効率的で、したがって、より費用効果の高い方法及びその生産のためのシステムの研究が進行中である。
一般に、組換えタンパク質は、哺乳類の細胞培養又は微生物系のいずれかで産生される。哺乳類の細胞培養と比較して、微生物系は、組換えタンパク質をより短時間かつ低コストで産生することが可能であるという利点を有する。したがって、細菌は特に組換えタンパク質の産生に適している。遺伝学及び生理学が広く研究されているため、世代時間が短く、取り扱いも簡単であることから、グラム陰性腸内細菌エスケリキア・コリ(大腸菌)は現在、組換えタンパク質の産生に最もよく使われている生物である。複雑な細胞破壊及び潜在的に不採算なタンパク質のリフォールディング過程の手間を省くので、特に魅力的なのは、標的タンパク質が細菌細胞によって正しい折りたたみの中で直接発酵培地に放出される産生方法である。細胞外産生のさらなる利点は、標的タンパク質の蓄積がペリプラズムの空間又は細胞質の空間に限定されないので、培地への標的タンパク質の放出がしばしば生成物の収率を増加させることができることである。
標的タンパク質の細胞外産生に適しているのは、例えば、大腸菌のいわゆる「リーキー(leaky)」株であり、この株は、細胞エンベロープの特定の構造要素の欠失又は変化ゆえに、ペリプラズム中に位置するタンパク質を、増加した程度で培地中に放出する。このような「リーキー」株は、特に、Braunのリポタンパク質(lpp)における特定の突然変異体の場合のように、外膜におけるリポタンパク質の割合を変化させた可能性がある(Inouyeら、1977、J.Bact.132、308~313頁、Suzuki 1978、Mol.Gen.Genet.167、1~9頁、Giamら 1984、Eur.J.Biochem.141、331~379頁)。
異種タンパク質の工業規模の産生方法が開示されており、この方法では、大腸菌の異なるlpp突然変異体を用いて、発酵培地への標的タンパク質の放出が達成される(US2008/0254511A1号、US5,223,482A号)。
しかし、細胞溶解の傾向が高いため、「リーキー」株は、いくつかの異種標的タンパク質の産生において、例えば、培地への増加した量のCa及びMgイオンの添加のような、細胞を安定化するための特定の手段にもかかわらず、リーキー株は相対的に早期かつ大幅に溶解するという欠点を有しており(US2008/0254511A1号参照)、その結果は第一に、タンパク質産生相が短縮され、このためより長い産生相の場合よりも製品収率が低いことである。第二に、細胞溶解により培地の粘度が上昇し、これは特に細胞溶解時に放出されるDNAに起因する。その結果、その後の標的タンパク質の精製及び回収がより困難になり、ひいては不必要に高い方法コストにつながる。
米国特許出願公開第2008/0254511号明細書 米国特許第5,223,482A号明細書
Inouyeら、1977、J.Bact.132、308~313頁 Suzuki 1978、Mol.Gen.Genet.167、1~9頁 Giamら 1984、Eur.J.Biochem.141、331~379頁
本発明の目的は、組換え標的タンパク質を産生するための発酵方法において使用するための突然変異細菌株を提供することであり、ここで、培養中に標的タンパク質の主たる部分が発酵培地に分泌され、培養培地中に存在する標的タンパク質の量は、先行技術で開示されている細菌株の場合よりも多い。すなわち、標的タンパク質は、増加した収率で培養培地中に存在する。
この目的は、組換えタンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む細菌株であって、以下のiからなるオープンリーディングフレームを含むことを特徴とする細菌株によって達成される。
i 以下のii及びiiiに連結している、ペリプラズムへのタンパク質の移動を媒介するN末端シグナルペプチドをコードするDNA断片
ii 野生型lpp遺伝子によってコードされるリポタンパク質Lppと比較して、最大で10個のアミノ酸の相違を有するリポタンパク質(Lpp(N))をコードするiに続くDNA配列(lpp(N))及び
iii 野生型lpp遺伝子によってコードされるリポタンパク質(Lpp)と比較して、最大で10個のアミノ酸の相違を有するリポタンパク質(Lpp(C))をコードするさらなるDNA配列(lpp(C))
実施例で使用されたプロセシングを受けていないLpp融合タンパク質(A、2xLpp)の模式図を示す。 実施例で使用されたプロセシングを受けていないLpp野生型タンパク質(B、Lpp、配列番号2で明記されている配列)の模式図を示す。 実施例で使用されたプロセシングを受けていないLpp融合タンパク質(C、2xLppΔ、配列番号3で明記されている配列)の模式図を示す。 発現プラスミドpJF118ut-CD154の模式図である。
細菌株は、好ましくは、グラム陰性細菌、特に好ましくは腸内細菌科の細菌株、特に好ましくは大腸菌種の株であることを特徴とする。
オープンリーディングフレーム(ORF)は、開始コドンと終止コドンの間にあり、タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA又はRNAのその領域を指す。ORFはコード領域ともよばれる。
ORFは非コード領域に囲まれている。したがって、遺伝子とは、生物学的に活性なRNAを作るための全ての基本情報を含むDNA断片を指す。このように遺伝子は、それから転写によって一本鎖RNAの複製が作られるDNA断片だけでなく、この複製方法の調節に関与する追加のDNA断片も含んでいる。遺伝子は少なくとも1つのORFを含んでいるので、遺伝子はまた少なくとも1つのタンパク質をコードしている。
ORFでは、DNAの塩基トリプレットが、いずれの場合も特定のアミノ酸又は終止シグナルをコードしている。タンパク質の形成のための構成単位としてコードされるアミノ酸は、タンパク質を構成するアミノ酸とも呼ばれる。
本発明の文脈において単数形で使用される「一つの/その組換えタンパク質」という用語はまた、複数の異なる組換えタンパク質を意味することができる。好ましくは、1~3種類の異なる組換えタンパク質、特に好ましくは1種類の組換えタンパク質又は2種類の異なる組換えタンパク質が関与する。組換えタンパク質は標的タンパク質とも呼ばれる。
EcoGene accession No. EG10544に掲載された大腸菌のlpp野生型遺伝子のDNA配列(配列番号1)は、78個のアミノ酸(配列番号2)からなるプロセシングを受けていないLppタンパク質(Lppプレタンパク質)をコードする。ここで、最初の60個のヌクレオチドが、タンパク質のペリプラズムへの分泌を制御し、移動(プロセシング)後に切断されるシグナルペプチドをコードする。プロセシングされたLpp野生型タンパク質のN末端及びC末端にそれぞれ位置するのは、システイン残基(Cys)及びリジン残基(Lys)(図1B参照)であり、これらは、Lppタンパク質の完全な機能、すなわち、ペプチドグリカン層(細菌細胞壁とも呼ばれる)への外膜の連結を保証するために、細胞によって翻訳後修飾される(Giamら 1984、J.Biol.Chem.259、5601~5605頁)。Lpp、Lppタンパク質、野生型Lppタンパク質及びLpp野生型タンパク質という用語は、本発明において同義的に使用され、技術文献においてはリポタンパク質、ムレインリポタンパク質又はBraunのリポタンパク質とも呼ばれる。タンパク質Lppは遺伝子lpp(lpp遺伝子、野生型lpp遺伝子、lpp野生型遺伝子)によってコードされる。
本発明による細菌株は、N末端シグナルペプチド、lpp(N)及びlpp(C)をコードするDNA断片からなるORFを含む。前記ORFによってコードされるタンパク質は、Lpp融合タンパク質である。本発明の文脈において、Lpp融合タンパク質は、2つのLppタンパク質(以下、Lpp部分と呼ばれる。各部分は、場合によっては突然変異したLpp野生型タンパク質に相当する)から構成され、プロセシングを受けていない形態ではシグナルペプチド(SP)を担う融合タンパク質を意味すると理解される。図1Aは、プロセシングを受けていない形態のこのような融合タンパク質を模式的に表す。この場合、融合タンパク質のプロセシングを受けていない形態のシグナルペプチドと結合しているN末端部分(Lpp(N))は、C末端部分(Lpp(C))と連結している。Lpp(N)及びLpp(C)は、直接または1個から複数個のアミノ酸からなるアミノ酸リンカー配列(L)により連結することができる。
融合タンパク質の2つのLpp部分のそれぞれのアミノ酸配列は、いずれの場合も、プロセシングされたLpp野生型配列に相当することもあれば、プロセシングされたLpp野生型配列と比較して、アミノ酸配列に10個までの突然変異を含むこともあり、2つのLpp部分の突然変異が同一である必要はない。本発明では、Lpp融合タンパク質は2xLppタンパク質とも呼ばれ、2xlpp遺伝子によってコードされる。
Lpp融合タンパク質のアミノ酸配列に存在する可能性のある突然変異には、置換(アミノ酸の交換)、欠失(アミノ酸の欠失)及び挿入(付加アミノ酸の挿入)がある。
本発明による菌株において、Lpp融合タンパク質をコードする2xlpp遺伝子は、染色体上又はプラスミド上のいずれかに存在する。好ましくは、Lpp融合タンパク質をコードする遺伝子は染色体上に位置する。
好ましくは、細菌株は、プロセシングされた野生型Lppタンパク質と比較して少なくとも80%の同一性を有するタンパク質をコードするさらなる遺伝子を含まないことを特徴とする。プロセシングされた野生型Lppタンパク質の配列は、配列番号2においてアミノ酸21からアミノ酸78までに規定されている。
特に好ましくは、本発明による細菌株は野生型lpp遺伝子を含まない。このように、Lpp融合タンパク質が、前記株で起こる唯一のLpp型である細菌株が好ましい。この実施形態では、細菌株はLpp野生型タンパク質を形成せず、Lpp融合タンパク質とは別に、アミノ酸交換によるLpp野生型タンパク質に由来するLppバリアントを形成しない。
好ましくは、Lpp(N)及びLpp(C)は、1乃至複数のアミノ酸、特に好ましくは1~20個、特に好ましくは1~10個のアミノ酸からなるリンカーにより連結される。リンカー配列のために原則的に可能なものは、任意の所望の順序の20個のタンパク質を構成するアミノ酸全てである。リンカー配列が構成される好ましいアミノ酸は、グリシン、セリン及びアラニンである。特に好ましい実施形態では、リンカー配列は3つのグリシン残基からなる。
細菌株は、lpp(N)及びlpp(C)によってコードされるアミノ酸配列が、
i) Lpp(N) 野生型Lppタンパク質に存在するC末端アミノ酸リジンが突然変異するか、
ii) Lpp(C) 野生型Lppタンパク質に存在するN末端アミノ酸システインが突然変異する
という点で、野生型Lppタンパク質のアミノ酸配列と異なることを特徴とすることが好ましい。
特に好ましい実施形態では、Lpp野生型タンパク質とは対照的に、Lpp(N)の場合にはC末端リジン残基の、及びLpp(C)の場合にはN末端システイン残基の突然変異が存在する。特に好ましくは、前記残基が欠失する(図1C参照)。この突然変異は、前記アミノ酸残基で通常起こる翻訳後修飾を防止することを意図している。
配列番号3(図1Cに模式的に表される)は、シグナルペプチド(アミノ酸1~20)、Lpp(N)ΔLys78(アミノ酸21~77)及びLpp(C)ΔCys21(アミノ酸81~137)を含み、Lpp(N)ΔLys78及びLpp(C)ΔCys21は、C末端リジン残基の欠失によってのみ、及びN末端システイン残基の欠失によってのみ、それぞれLpp野生型配列と異なり、3つのグリシン残基からなるリンカー配列により互いに連結されている、依然としてプロセシングを受けていないLpp融合タンパク質の特に好ましい配列の例を規定する。本発明の文脈において、前記タンパク質は、2xLppΔと命名される。2xLppΔタンパク質は、配列番号16に規定されているDNA断片によってコードされる。前記DNA断片を2xlppΔと命名する。
好ましくは、細菌株は、lpp(N)又はlpp(C)によってコードされるアミノ酸配列の少なくとも1つにおいて、アミノ酸位置77のアルギニンの代わりに存在するものが、任意の他のタンパク質を構成するアミノ酸(プロセシングを受けていない野生型Lppタンパク質に基づくアミノ酸の番号付け及び配列)であることを特徴とする。特に好ましくは、2つのLpp部分の少なくとも1つについて77位におけるアルギニン残基の、システイン残基との交換(R77C交換)である。
大腸菌由来のリポタンパク質の全てのシグナルペプチドは、Lpp融合タンパク質のペリプラズムへの移動のシグナルペプチドとして原則的に可能である。例は、リポタンパク質Lpp、Pal、NlpI、NlpB及びOsmBのシグナルペプチドである(Hayashi及びWu 1990、J.Bioenerg.Biomembr.22、451~471頁)。本発明の文脈において、シグナルペプチドは、それぞれの野生型配列、又は1つ以上の突然変異によって野生型配列から誘導される配列を含むことができる。Lpp融合タンパク質のシグナルペプチドは、好ましくは、野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドの配列を含み、野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドと比較して、アミノ酸配列の相違が最大で8箇所に存在する。
好ましくは、細菌株は、N末端シグナルペプチドが野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列であることを特徴とする。特に好ましくは、Lpp融合タンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列は、野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列と同一であり、特に好ましくは、ヌクレオチド配列も同一である。野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2において配列番号1から20まで、ヌクレオチド配列は配列番号1においてヌクレオチド1から60までに規定されている。
好ましくは、細菌株は、N末端シグナルペプチドが、アミノ酸位置14において、グリシンの代わりにいくつかの他のタンパク質を構成するアミノ酸を含み、他の全てのアミノ酸位置において野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドと同一であることを特徴とする。
特に好ましくは、細菌株は、N末端シグナルペプチドの14位のタンパク質を構成するアミノ酸がアスパラギン酸であることを特徴とする。この場合、グリシン残基の代わりに14位にアスパラギン酸残基が存在し(G14D交換)、他の全てのアミノ酸位置は野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドと同一である。
2xlpp遺伝子の発現は、大腸菌で機能しているどのプロモーターによっても制御できる。この場合、ほとんどの増殖条件下で構成的に活性なプロモーター(例えば、σ70依存性プロモーター)、例えば、遺伝子gapA、rpiA、mppA、lpp、catB、tufB及びproCのプロモーター、並びに、例えば、tetAプロモーター、lacプロモーター、tacプロモーター及びtrpプロモーターのような規制的に活性なオペレーター領域を持たない天然又は人工のプロモーターが好ましい。プロモーターは、天然配列を含むか、又は塩基交換によりその強度に関して調節され得る。
好ましい実施形態において、細菌株は、2xLppタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが、野生型Lppタンパク質をコードするオープンリーディングフレームの代わりに染色体に位置することを特徴とする。染色体lpp野生型ORFをLpp融合タンパク質のORFに置換したこれらの株では、Lpp融合タンパク質の発現は天然lppプロモーターの制御下にある。これは、2xlpp遺伝子が野生型Lppタンパク質の発現にも関与するプロモーターの制御下にあることを意味する。
本発明によるLpp融合タンパク質の遺伝子を生成する方法は、当業者に知られている。
このような遺伝子は、一般に最初にin vitroで生成され、次に細胞に導入される。例えば、Lpp融合タンパク質の遺伝子は、融合タンパク質の2つのLpp部分の1つを各々コードする2つのDNA分子をスプライシングすることにより、「オーバーラップ伸長」PCR法を用いて産生することができ(Hortonら 2013、BioTechniques 54、129~133頁)、最初にlpp野生型遺伝子のDNAが鋳型として機能する。あるいは、2xlpp遺伝子は遺伝子合成によっても完全に生成される。
Lpp融合タンパク質の遺伝子をプラスミドによって細胞内で発現させる場合には、まずその遺伝子をプラスミド内にクローニングしなければならない。この目的に適しているのは、選択された菌株の中を伝播可能な全ての既知のプラスミドであり、例えば、pJF118EH、pK223-3、pUC18、pBR322、pACYC184、pASK-IBAp3又はpETのような既知の発現ベクターの派生物である。2xlpp遺伝子のプラスミドへの一体化及びプラスミドの細菌細胞への形質転換のための方法は、当業者に知られている。
あるいは、in vitroで生成された2xlpp遺伝子はまた、種々の標準的方法によって宿主細胞の染色体に一体化させることができる。この一体化は天然のlpp遺伝子座(その結果、もともとそこに位置していたlpp野生型遺伝子が2xlpp遺伝子と置換される)、あるいは染色体の別の部位のどちらでも起こり得る。
染色体への一体化は、例えば、相同的組換えのメカニズムを介して、Linkら(1997、J.Bacteriol.179、6228~6237頁)に記載されている方法によって達成することができる。この目的のためには、まずLpp融合タンパク質をコードする遺伝子をプラスミドpKO3にクローニングしなければならず、次いで該プラスミドは細胞に導入される。次に、これらの形質転換細胞を用いて行われるのは、Lpp融合タンパク質をコードする遺伝子を染色体に一体化するLinkらに記載された手順である。
あるいは、2xlpp遺伝子を含むDNA断片を、Sunら(2008、Appl.Environ.Microbiol.74、4241~4245頁)によって記載された方法に従って細胞に直接形質転換し、所望の部位で染色体に一体化することもできる。これには、対抗選択の原理を利用することが含まれる。まず、2xlpp遺伝子が細胞の染色体に一体化されるべき所望の遺伝子座に導入されるものは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードするネコ遺伝子及びレバンスクラーゼをコードする枯草菌のsacB遺伝子を含む発現カセットである。前記カセットの一体化は、Datsenko及びWannerの方法によって可能であり(2000、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.97、6640~6645頁)、クロラムフェニコール耐性に対する選択によって正しい要素を同定することが可能である。このような細胞はクロラムフェニコールに耐性であり、sacB遺伝子の発現により、ショ糖に感受性がある。その後、これらの細胞を直鎖DNA断片で形質転換し、そこでのDNA断片の部位特異的一体化を保証するために、当該断片は2xlpp遺伝子を含み、当該断片の側面は所望の遺伝子座に相同のDNA配列を含む。2xlpp遺伝子によるcat-sacBカセットの交換が行われた細胞は、ショ糖の存在下で増殖能が回復するために同定することができる。2xlpp遺伝子の染色体への正確な一体化の最終的な検証は、一体化部位に特異的なオリゴヌクレオチドを用いるPCR及びその後のPCR産物の配列決定によって達成することができる。
好ましくは、組換えタンパク質は異種タンパク質である。本発明の文脈において、異種タンパク質は、細菌株のプロテオーム、すなわちタンパク質の天然セット全体に属さないタンパク質を意味すると理解される。
好ましくは、異種タンパク質は真核生物タンパク質であり、特に好ましくは、1つ以上のジスルフィド結合を含むか、又はその機能的形態で、二量体又は多量体として存在するタンパク質、すなわち、タンパク質が四次構造を有し、複数の同一(相同)又は非同一(異種)サブユニットから構成されるタンパク質である。
最も重要な異種タンパク質クラスには、抗体及びその断片、サイトカイン、成長因子、タンパク質キナーゼ、タンパク質ホルモン、リポカリン、アンチカリン、酵素、結合タンパク質及び分子足場及びそれに由来するタンパク質、並びに薬理学的に有効なペプチドが含まれる。前記タンパク質クラスの例は、とりわけ、重鎖抗体及びその断片(例えば、ナノボディ)、一本鎖抗体、インターフェロン、インターロイキン、インターロイキン受容体、インターロイキン受容体アンタゴニスト、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、白血病阻害剤、幹細胞成長因子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、インスリン様成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、形質転換成長因子、肝細胞成長因子、骨形態形成因子、神経成長因子、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア細胞株由来神経栄養因子、血管新生阻害剤、組織プラスミノーゲン活性化因子、血液凝固因子、トリプシン阻害剤、エラスターゼ阻害剤、補体成分、低酸素症誘導ストレスタンパク質、プロト発ガン性製品、転写因子、ウイルス構成タンパク質、プロインスリン、副甲状腺ホルモン、プロウロキナーゼ、エリスロポエチン、トロンボポエチン、ニューロトロフィン、タンパク質C、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシン、リポコルチン、レプチン(reptin)、血清アルブミン、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、CNTF及びシクロデキストリン糖転移酵素である。
分子足場に由来するタンパク質の例は、とりわけ、エビボディ(evibody)(CTLA-4に由来する)、アフィボディ(S.aureusのAタンパク質のもの)、アビマー(ヒトAドメインファミリーのもの)、トランスボディ(トランスフェリンのもの)、DARPin(アンキリン反復タンパク質のもの)、アドネクチン(フィブロネクチンIIIのもの)、ペプチドアプタマー(チオレドキシンのもの)、ミクロボディ(微小タンパク質のもの)、アフィリン(ユビキチンのもの)、α-クリスタリン、カリブドトキシン、テトラネクチン、RAS結合タンパク質AF-6のPDZドメイン、タンパク質阻害剤のクニッツ型ドメインである。
複数のタンパク質サブユニットからなるタンパク質の特に好ましいクラスは、抗体である。したがって、特に好ましくは、細菌株は、異種タンパク質が抗体又は抗体の断片であることを特徴とする。抗体は、研究、診断において及び治療薬として広く使用されており、そのため、工業規模で特に効率的かつ可能な生産方法が必要とされている。
機能性Fab抗体断片及び完全長抗体もまた、本発明による方法によって細胞外で産生することができる。この関連において、好ましい完全長抗体は、IgGクラス及びIgMクラスの抗体、特にIgGクラスの抗体である。
機能性Fab抗体断片を産生する場合、細胞は、ドメインVL及びCLを含む軽鎖(LC)及びドメインVH及びCH1を含む重鎖(HC)の対応する断片を同時に合成し、ペリプラズムに分泌し、最後に発酵培地に分泌しなければならない。その後、細胞質の外側で2本の鎖が集合して機能性Fab断片が形成される。
組換え標的タンパク質が細胞質からペリプラズムに分泌されるためには、フレームで作られるタンパク質のORFの5’末端とタンパク質排出のためのシグナル配列の3’末端を結合する必要がある。この目的に適しているのは、原則として、SecやTAT装置を用いて移動を可能にする全てのシグナル配列である。様々なシグナル配列が先行技術に記載されており、例えば、以下の遺伝子のシグナル配列、すなわち、phoA、ompA、pelB、ompF、ompT、lamB、malE、ブドウ球菌タンパク質A、StII及びその他が記載されている(Choi及びLee、Appl.Microbiol.Biotechnol.64(2004)、625-635)。
細胞質からペリプラズムへの組換え標的タンパク質の分泌に関して本発明によれば好ましいのは、大腸菌のphoA遺伝子又はompA遺伝子のシグナル配列、又はクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)M5a1由来のシクロデキストリン糖転移酵素(CGTase)のシグナル配列、又はUS2008/076157A1号に開示されているこのシグナル配列に由来する配列である。特に好ましいのは、EP0448093号に開示されており、配列番号4を用いて本発明に規定されているクレブシエラ・ニューモニエM5a1由来のCGTaseのシグナル配列、及び該シグナル配列に由来する配列番号5を有する配列であり、これはUS2008/076157A1号にも開示されている。
シグナル配列と組換え標的タンパク質のORFとから構成されるインフレーム融合を含むDNA分子は、当業者に既知の方法によって製造される。例えば、標的タンパク質の遺伝子は、まずオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCR法によって増幅され、次に、シグナルペプチドの配列を含み、かつインフレーム融合、すなわち、標的タンパク質のシグナル配列及び遺伝子を含む連続的な読み枠が形成されるように標的タンパク質の遺伝子と類似して生成されたDNA分子に、通常の分子生物学的技術を用いて結合され得る。あるいは、遺伝子合成によって、上記の2つの機能セグメントを含むDNA分子全体を作製することも可能である。このシグナル配列-組換え遺伝子融合は、次いで、ベクター、例えばプラスミドに導入され、その後、ベクターは形質転換によって宿主細胞に導入されるか、又は既知の方法によって宿主細胞の染色体に直接一体化されるかのいずれかであり得る。好ましくは、シグナル配列-組換え遺伝子融合体をプラスミドに導入し、宿主細胞を該プラスミドで形質転換する。
複数の異なるサブユニットからなる組換え標的タンパク質を細胞質からペリプラズムに分泌するためには、産生される全てのサブユニットの遺伝子(標的遺伝子)をそれぞれ機能的にタンパク質排出のためのシグナル配列に結合する必要がある。この関係で、種々サブユニットの遺伝子を同じあるいは異なるシグナル配列に結合することができる。異なるシグナル配列への結合が好ましく、1つのサブユニットを大腸菌のphoA遺伝子又はompA遺伝子のシグナル配列へ結合する、及び配列番号4を有するクレブシエラ・ニューモニエM5a1由来のCGTaseに対するシグナル配列又はそれに由来する配列、例えば配列番号5などの配列へさらなるサブユニットを結合することが特に好ましい。
個々のサブユニットのシグナル配列-標的遺伝子融合体は、次いで、ベクター、例えばプラスミドに導入され得るか、又は既知の方法によって宿主細胞の染色体に直接一体化され得る。この関連において、個々のサブユニットのシグナル配列-標的遺伝子融合体は、互いに適合性がある別々のプラスミド上でクローン化され得るか、又はそれらは一つのプラスミド上でクローン化され得る。この関連において、遺伝子融合体は、一つのオペロンに組み合わされることもあれば、それぞれ別々のシストロンに発現することもある。ここでは、1つのオペロンにおける組合せが好ましい。2つの遺伝子構成体は、宿主細胞の染色体に等しく一体化され、1つのオペロンに組み合わされるか、あるいはそれぞれ別々のシストロンに組み合わされることができる。ここでは、同様に1つのオペロンにおける組合せが好ましい。
好ましくは、シグナル配列及び分泌されるべき組換えタンパク質をコードするORFからなるDNA発現構成体(シグナル配列-標的遺伝子融合体)は、選択された細菌株(プロモーター、転写開始部位、翻訳開始部位、リボソーム結合部位、ターミネーター)において機能的な発現シグナルを備える。
組換え標的タンパク質をコードする遺伝子のプロモーターとして適切なものは、当業者に既知の全てのプロモーターであり、例としては、第一に、lac、tac、trc、ラムダPL、ara又はtetプロモーター、又はそれらに由来する配列などの誘導性プロモーターである。第2に、例えばgapAプロモーターなどの構成的プロモーターの使用によって永久的な発現を達成することも可能である。しかし、通常は産生されるべき組換えタンパク質の遺伝子に結合されたプロモーターを用いることも可能である。
当業者に知られた方法(例えば、形質転換)を用いて、この発現構成体(プロモーター-シグナル配列-組換えタンパク質をコードする配列)を次に、Lpp融合タンパク質を形成する細胞に導入する。組換えタンパクの産生のための発現構成体は、例えば、ベクター、例えば、プラスミド、例えば、pJF118EH、pKK223-3、pUC18、pBR322、pACYC184、pASK-IBA3又はpETのような既知の発現ベクターの派生物上に導入される。プラスミドの選択マーカーとして適切なのは、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン又は他の抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子である。
したがって本発明によれば、選択された細菌株において活性なシグナルペプチドをコードするシグナル配列に機能的に結合された組換えタンパク質をコードするORFが、選択された細菌株、好ましくはプロモーター、転写開始部位、翻訳開始部位、リボソーム結合部位及びターミネーターにおいて機能的である発現シグナルを備える細菌株を用いることが好ましい。
本発明はさらに、本発明に係る細菌株を発酵培地で培養し、発酵後に細胞から発酵培地を除去し、発酵培地からタンパク質を単離する、組換えタンパク質の発酵産生方法を提供する。
Lpp融合タンパク質の遺伝子を発現し、かつ、シグナル配列と分泌されるタンパク質をコードする組換え遺伝子とからなるDNA発現構成体を含み、機能的発現シグナルに結合された細胞の培養(発酵)は、当業者に既知の通例の発酵方法によりバイオリアクター(発酵装置)内で達成される。
発酵は、通常のバイオリアクター、例えば撹拌槽、気泡カラム発酵装置又はエアリフト発酵装置で行うことが好ましい。撹拌槽発酵装置が特に好ましい。
発酵は、タンパク質産生株の細胞を16~150時間にわたって液体培地で培養し、例えば栄養供給、酸素分圧、pH及び培養物の温度のような様々なパラメータの継続的なモニタリング及び正確な制御を行うことを含む。培養期間は、好ましくは24~72時間である。
培地(発酵培地)として選ばれそうなものは、原則として、微生物の培養のために当業者に知られている全ての通常の培地である。
これに関連して、細菌細胞を培養するための媒体として、例えば、ペプトン、トリプトン、酵母エキス、糖蜜又はトウモロコシ浸出液のような特定の割合の複合成分が添加された複合媒体又は最小塩媒体を使用することが可能である。医薬品タンパク質の産生に好まれるものは、化学的に規定された塩培地、すなわち、完全培地とは対照的に、正確に規定された基質組成を有する培地である。
好ましくは、大腸菌細胞などの細菌細胞を培養するための適切な最小塩培地の例は、特に、M9最小培地、修飾最小培地又はRiesenberg無機培地(Kangwaら、2015、AMB Expr 5、70頁)であり、US2008/0254511A1号に記載されている培地FM4でもある。
本発明による方法では、Lpp融合タンパク質の遺伝子、及びシグナルペプチドをコードするシグナル配列にフレーム単位で連結された組換えタンパク質をコードする遺伝子を発現する細菌株が、Lpp野生型タンパク質を含む菌株に関連して比較的短い発酵時間で増殖して、比較的高い細胞密度を形成し、同時に、組換えタンパク質を塩培地中に分泌する。
発酵に使用される一次炭素源は、原則として、細胞によって利用可能な全ての糖、糖アルコール又は有機酸又はその塩であり得る。これとの関連で、グルコース、ラクトース又はグリセロールを使用することが好ましい。グルコース及びラクトースが特に好ましい。また、複数の異なる炭素源を組み合わせて供給することも可能である。さらに、発酵開始時には最初に炭素源を発酵培地中に満杯に充填することができ、あるいは開始時には炭素源を何も、あるいはその一部だけを最初に充填し、発酵の過程で炭素源を供給する。この関係で特に好ましいのは、炭素源の一部を最初に充填し、一部を供給する1つの実施形態である。特に好ましくは、炭素源は最初10~30g/lの濃度で充填し、濃度が5g/l未満に低下したときに供給を開始し、その濃度が5g/l未満に保たれるように設定される。
培養中の酸素分圧(pO)は、10~70%の間の飽和度が望ましい。20~60%の間のpOが好ましく、pOが20~40%の間の飽和度であることが特に好ましい。
培養のpHはpH6~pH8の間が望ましい。好ましくは、pHが6.5~7.5の間に設定され、特に好ましくは、培養のpHが6.8~7.2の間に保持される。
培養の温度は15~45℃の間が好ましい。20~40℃の間の温度範囲が好ましく、25~35℃の間の温度範囲が特に好ましく、30℃が非常に特に好ましい。
好ましくは、本方法は、組換えタンパク質が、発酵培地の除去後に発酵培地から精製されることを特徴とする。粗生成物からの分泌されたタンパク質の精製は、先行技術において知られているように、当業者に既知の慣用の精製方法によって行うことができる。慣例的には、細胞は、第一段階において、遠心分離又は濾過のような分離方法によって、分泌された標的タンパク質から除去される。次いで、標的タンパク質を、例えば、限外濾過により濃縮することができ、次いで、標準的な方法、例えば、沈殿、クロマトグラフィー又は限外濾過によりさらに精製する。タンパク質の既に正しく折りたたまれた本来の立体配座構造を利用するアフィニティークロマトグラフィーなどの方法が特に好ましい。
2xlpp遺伝子及び組換え標的タンパク質を発現する細菌株の特別な利点は、培地中に存在する標的タンパク質の量が、先行技術で開示された細菌株の場合よりも多いことである。
実施例3(表1参照)は、このことの明確な証拠を提供する。2xpplΔ(JE5512 2xpplΔ/pJF118ut-CD154)を発現する菌株を用いた場合、培養上清において測定した抗CD154-Fab力価は、絶対的に(すなわち、同じ体積に正規化されて)、既知のlpp3突然変異体(JE5512 lpp3/pJF118ut-CD154)を用いた場合のほぼ2倍の高さであり、野生型菌株JE5512/pJF118ut-CD154について決定した値の数倍であった。
実施例4(表2)でも、2xlpplΔを発現する菌株(JE5512 2xlppΔ/pCGT)を用いた場合には、培養上清の中で最高のCGTaseが絶対的に測定されていたことが確認される。
収率の増加は、培地中に放出される組換えタンパク質の収率が、組換えタンパク質の遺伝子を含む野生型細菌株及び/又は組換えタンパク質の遺伝子を含み、細菌細胞エンベロープの不安定化のためのタンパク質をさらに発現する野生型細菌株を用いて、現行の技術水準に従って製造することができる培地中の組換えタンパク質の収率の少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも1.5倍、特に好ましくは少なくとも1.8倍であることを意味すると理解される。
2xlpp遺伝子及び組換え標的タンパク質を発現する細菌株のさらなる利点は、標的タンパク質の主要部分が培養中に発酵培地中に分泌されることである。
実施例3(表1参照)はこのことの明確な証拠を再度提供する。2xlppΔを発現する細菌株(JE5512 2xlppΔ/pJF118ut-CD154)を用いた場合には、培養上清中で抗CD154 Fab力価のほぼ60%が測定されたが、既知のlpp3突然変異体(JE5512 lpp3/pJF118ut-CD154)を用いた場合には、わずか50%未満であり、野生型株JE5512/pJF118ut-CD154の場合には、わずか7%未満であった。
同様に実施例4では、2xlppΔを発現する細菌株(JE5512 2xlppΔ/pCGT)を用いた場合には、培養上清中の組換え標的タンパク質(CGTase)のほぼ60%を測定することができた。
組換え標的タンパク質の主要部分の培地中への分泌は、標的タンパク質の産生量に基づいて、好ましくは50重量%超、特に好ましくは55重量%超が培地中に存在することを意味すると理解される。
「リーキー」細菌株の使用とは対照的に、本発明による細菌株は、安定した方法で培養可能である、すなわち、無傷細胞数の尺度である培地の光学濃度が、後の培養段階でもわずかに減少するだけであるという利点を有する。その結果、「リーキー」細菌株と比較して、タンパク質産生期が延長され、生成物収率が増加し、細胞溶解時に放出されるDNAによる培地の粘度上昇がない。最後に言及することは、その後の標的タンパク質の精製及び回収を単純化し、これがひいては方法のコストにプラスの影響を及ぼす。
図1は、プロセシングを受けていないLpp融合タンパク質(A、2xLpp)を、実施例で使用されたプロセシングを受けていないLpp野生型タンパク質(B、Lpp、配列番号2で規定された配列)及びプロセシングを受けていないLpp融合タンパク質(C、2xLppΔ、配列番号3で規定された配列)と比較した模式図を示す。
図1で用いられている略語は、次の意味を持つ。
SP、シグナルペプチド
Cys、アミノ酸システイン
Lys、アミノ酸リジン
Gly、アミノ酸グリシン
L、0~20個のアミノ酸からなる存在する可能性があるリンカー配列
Lpp、Lpp野生型タンパク質のアミノ酸配列
Lpp(N)、Lpp野生型配列に基づいて、最大で10個のアミノ酸位置に突然変異がある、Lppのアミノ酸配列のN末端に位置する複製
Lpp(C)、Lpp野生型配列に基づいて、最大で10個のアミノ酸位置に突然変異がある、Lppのアミノ酸配列のC末端に位置する複製
Lpp(N)ΔLys78、Lpp野生型配列に基づいて78位のアミノ酸リジンを欠く、Lppのアミノ酸配列のN末端に位置する複製
Lpp(C)ΔCys21、Lpp野生型配列に基づいて21位のアミノ酸システインを欠く、Lppのアミノ酸配列のC末端に位置する複製
-、破線はアミノ酸の欠失を表す
図2は、発現プラスミドpJF118ut-CD154の模式図である。
図2で用いられている略語は次の意味を持つ。
tac p/o:tacプロモーター/オペレーター
EcoRI:制限酵素EcoRIの切断部位
cgt-SP:CGTaseのシグナルペプチド
HC:Fab断片CD154の重鎖のORF
phoA-SP:phoAシグナルペプチド
LC:Fab断片CD154の軽鎖のORF
His-Tag:Fab断片の軽鎖のC末端のHisタグ
rrnB:ターミネーター
bla:β-ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)
ColE1:ColE1複製起点
TcR:テトラサイクリン耐性遺伝子
lacIq:tacプロモーターのリプレッサー
以下の実施例は、本発明を制限することなく、本発明をさらに明らかにするのに役立つ。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、遺伝子合成、DNAの単離及び精製、制限酵素、Klenow断片及びリガーゼによるDNAの修飾、形質転換、P1形質導入など、用いられた全ての分子生物学及び微生物学的方法を、文献に記載されているか、又はそれぞれの製造業者によって推奨されている、当業者に知られている方法で実施した。使用したオリゴヌクレオチドはMetabion International AG(プラネッグ/ドイツ)から購入した。
[実施例1:Lpp融合タンパク質(2xLppΔタンパク質)を形成する大腸菌JE5512菌株(2xlppΔ突然変異体)の作製]
<1.大腸菌株JE5512 lpp::cat-sacB pKD46の作製>
Lpp融合タンパク質を形成する菌株の生成に用いられた出発菌株は、大腸菌lpp野生型株JE5512(HfrC man pps)であった(Hirotaら 1977、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74、1417~1420頁、国立遺伝学研究所微生物遺伝学研究所、NBRP大腸菌、411-8540日本静岡県三島市谷田1111から入手した菌株)。
この菌株では、染色体野生型lpp遺伝子のコード領域(配列番号1のヌクレオチド1-237)を、最初に、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat;UniProt No.P62577)の遺伝子だけでなく、枯草菌由来のレバンスクラーゼの遺伝子(sacB;UniProt No.P05655)を含む発現カセットで置き換えた。この目的のために、PCRによって前記cat-sacBカセットの増幅のための鋳型として使用されたものは、制限酵素SmaI及びBst1107Iで切断し、4729塩基対の断片をサイズにおいて再連結することによって、ネコ遺伝子とsacB遺伝子との間の領域の大部分が除去されたプラスミドpKO3の派生物であった(Linkら 1997、J.Bacteriol.179、6228~6237頁、pKO3の配列については、http://arep.med.harvard.edu/labgc/pKO3v.html)を参照)。得られたプラスミドをpKO3-Delta-M13と命名した。pKO3-Delta-M13を鋳型として、オリゴヌクレオチドlpp-cat-sac-fw(配列番号6)及びlpp-cat-sac-rev(配列番号7)を用いて、cat-sacBカセットを増幅するPCRを実施した。この場合、lpp-cat-sac-fwの最初の60個のヌクレオチドは、5’側にあるlppのオープンリーディングフレーム(ORF)の配列と相同であり、lpp-cat-sac-revの最初の60個のヌクレオチドは、3’側にあるlpp ORFの配列と相同である。その結果は、cat-sacBカセットを含む直鎖状DNA断片であった。
JE5512株をプラスミドpKD46(Coli Genetic Stock Center CGSC#:7739)で形質転換し、これによりJE5512 pKD46株が得られた。Datsenko及びWanner(2000、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97、6640~6645頁)からの情報に従って作製されたJE5512 pKD46株のコンピテント細胞を、cat-sacBカセットを含む直鎖状DNA断片で形質転換した。野生型lpp ORFの位置におけるJE5512の染色体へのcat-sacBカセットの一体化のための選択を、20mg/lのクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート上で実施した。この方法で得られたのは、野生型lpp ORFがcat-sacBカセットで完全に置換された細胞(JE5512 lpp::cat-sacB pKD46)であった。クロラムフェニコール耐性細胞のオリゴヌクレオチドpykF(配列番号8)及びynhG2(配列番号9)及び染色体DNAを鋳型として用いるPCRにより染色体の正しい位置に一体化されていることを確認した。JE5512 lpp::cat-sacB pKD46株の細胞は、次にクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子cat及びlpp野生型遺伝子の代わりにレバンスクラーゼをコードする遺伝子sacBを発現する。
<2.2xLppΔタンパク質をコードするDNA断片の作製>
2xLppΔタンパク質をコードするDNA断片を、「オーバーラップ伸長」PCRの方法により作製した(Hortonら 2013、BioTechniques 54、129-33)。この目的のために、JE5512の染色体DNAを最初に鋳型とした。これは野生型lpp遺伝子を含む。
特にlpp(N)ΔLys78を含むDNA断片を作製するために、オリゴヌクレオチドlpp-Allel-fw(配列番号10)及びlpp-2x-rev2(配列番号11)を用いてPCRを行った(PCR1)。PCR1の産物を鋳型として、オリゴヌクレオチドlpp-Allel-fw(配列番号10)及びlpp-2x-rev3(配列番号12)を用いて2回目のPCRを実施した(PCR2)結果、PCR1の産物は3’側に41個の塩基対により伸長した。
特にlpp(C)ΔCys21を含むDNA断片を生成するために、JE5512の染色体DNAを鋳型として、オリゴヌクレオチドlpp-2x-fw2(配列番号13)及びlpp-Allel-rev(配列番号14)を用いてPCRを行った(PCR3)。PCR3の産物を鋳型として、オリゴヌクレオチドlpp-2x-fw3(配列番号15)及びlpp-Allel-rev(配列番号14)を用いてさらにPCRを実施した(PCR4)結果、PCR3の産物は5’側に57個の塩基対で伸長した。
PCR2及びPCR4の産物を鋳型として、最後に行ったのは、オリゴヌクレオチドlpp-Allel-fw(配列番号10)及びlpp-Allel-rev(配列番号14)をプライマーとした5回目のPCRであった。それによって生成された長さ1005個の塩基対のDNA断片は、特に、この実施例では、78位のリジン残基のコドンを欠くLpp野生型タンパク質のコード配列(lpp(N)ΔLys78と命名)を含むDNA断片、3つの連続するグリシンコドンからなるリンカー配列(L)、及びこの実施例では、21位のシステイン残基のコドンを欠くLpp野生型タンパク質のコード配列(lpp(C)ΔCys21と命名)、さらにlpp遺伝子座の5’及び3’領域のそれぞれ約300個の塩基対(配列番号16、2xlppΔ)を含む末端DNA断片に連結されたORF中のlpp遺伝子のシグナル配列(SP)を含んでいた。前記DNA断片によって形成される2xLppΔタンパク質は、図1Cに概略的に表される。
<3.大腸菌株JE5512 2xlpΔの作製>
次の段階では、cat-sacBカセットを2xlppΔで置き換えた。この目的のために、Datsenko及びWannerの方法(上記参照)により、PCR5からの産物をJE5512 lpp::cat-sacB pKD46株のコンピテント細胞に形質転換した。野生型lpp遺伝子の元の位置でのJE5512 lpp::cat-sacB pKD46の染色体への2xlppΔの一体化のための選択を、7%のショ糖を含むLB寒天プレート上で行った。sacBの発現のない細胞のみがショ糖含有培地上で増殖できるので、cat-sacBカセットが2xlppΔ(JE5512 2xlppΔ)に置き換えられた細胞を選択することができた。オリゴヌクレオチドpykF(配列番号8)及びynhG2(配列番号9)及びショ糖耐性細胞の染色体DNAを鋳型として用いるPCRにより、染色体の正しい位置に一体化が行われていることを確認した。一体化された2xlppΔの配列は、PCR産物の配列決定によって確認した。その結果得られた株をJE5512 2xlpΔと命名した。
[実施例2:lpp3対立遺伝子を含む大腸菌JE5512株(lpp3突然変異体)の作製]
比較目的のために、染色体lpp野生型遺伝子の代わりに既知のlpp3対立遺伝子を含むlpp突然変異体を、大腸菌株JE5512から開始して作製した(Giamら、1984、Eur.J.Biochem.141、331~379頁)。lpp3対立遺伝子は、Lppタンパク質の14位でグリシンからアスパラギン酸へのアミノ酸交換を導き、ペリプラズムタンパク質に対して細胞の特定の「リーキーさ」をもたらす突然変異によって区別される(US2008/0254511A1号参照)。
PCRを、オリゴヌクレオチドlpp-Allel-fw(配列番号10)及びlpp-Allel-rev(配列番号14)を用いて、lpp3突然変異体大腸菌「W3110 lpp3」(US2008/0254511A1号、実施例3参照)の染色体DNA上で実施した。lpp3対立遺伝子を含むPCR産物を、実施例1に記載されているように、2xlppΔと類似して、JE5512 lpp::cat-sacB pKD46株の染色体に一体化した。PCR産物の染色体への正確な一体化は、上記のようにPCR及び配列決定により確認した。得られた株をJE5512 lpp3と命名した。
[実施例3:3lスケールでの2xlppΔ突然変異体を用いたFab抗体断片の発酵産生]
<1.プラスミドpJF118ut-CD154の作製>
本実施例は、ヒト化モノクローナル抗CD154抗体5c8のFab断片の作製を記述し、その配列は、野生型lpp株及びlpp3突然変異体と比較して、大腸菌JE5512 2xlppΔ株を用いて、Karpusasら(2001、Structure 9、321~329頁)に公表されている。US2008/0254511A1号に記載されているプラスミドpJF118utを、抗CD154 Fab断片の遺伝子のクローニング及び発現のための出発ベクターとして使用した。pJF118utを、Microorganisms and Cell Cultures GmbH(ブラウンシュヴァイク)のDSMZ-ドイツコレクションに番号DSM 18596で寄託する。いずれの場合もシグナル配列を含む、Fab断片の重鎖(VH-CH1ドメイン)及び軽鎖(VL-CLドメイン)についての2つの読み枠を、前記プラスミド中にクローン化した。このために、以下の手順を実施した。すなわち、配列番号17のDNA断片を遺伝子合成(Eurofins Genomics)により作製した。それは、
i 配列番号5に由来するシグナル配列及び
ii Fab断片の重鎖の読み枠
からなる遺伝子融合、及び
i 大腸菌のphoAシグナル配列及び
ii Fab断片の軽鎖の読み枠及び
iii 軽鎖のC末端の4つのアミノ酸からなるリンカー及び
iv リンカーのC末端のヘキサヒスチジンタグ
からなる遺伝子融合を含んでいた。
このDNA断片を制限酵素EcoRIとPdmIを用いて切断し、EcoRI及びSmaIを用いて切断された発現ベクターpJF118utを用いて結合した。抗CD154 Fab断片の重鎖及び軽鎖の遺伝子の表現がtacプロモーターの制御下にある、結果として得られたプラスミドをpJF118ut-CD154と命名した。図2は、プラスミドpJF118ut-CD154のプラスミドマップを示す。
<2.抗CD154 Fab抗体断片の作成>
発酵装置スケールでの抗CD154 Fab抗体断片の作製のために、JE5512、JE5512 lpp3及びJE5512 2xlppΔ株を、CaCl法によりプラスミドpJF118ut-CD154で形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、テトラサイクリン(20mg/l)を用いて行った。
産生は3lの撹拌槽発酵装置で行った。15g/lのグルコースを含み、複合成分(1.5g/lのHy-Express II(Kerry);1.0g/lのAmisoy(Kerry);0.5g/lのHy-Yest(Kerry))で強化した大腸菌の培養に通例の無機塩培地1.2lを、約6時間振盪フラスコにおいて複合培地(30g/lのフィトンペプトン(BD Biosciences)、5g/lの酵母エキス(Oxoid)、5g/lのNaCl)中で30℃で培養した予備培地と共にOD600=0.01に接種した。接種は発酵の0時点又は発酵の開始を表す。発酵中、30℃の温度を設定し、NHOH又はHPOで計量することによりpHを7.0の値に一定に保った。開始時、培養物を400rpmで撹拌し、滅菌フィルターにより滅菌した圧縮空気2vmでスパージした。酸素プローブは、接種前にこれらの開始条件で飽和度100%に較正させた。発酵中のO飽和度の目標値を30%に設定した。O飽和度が目標値を下回ったならば、O飽和度を目標値に回復させるために調節カスケードを開始した。これとの関連で、ガス供給をまず連続的に最大5vmまで増加させ、次いで撹拌速度を連続的に最大1500rpmまで増加させた。培養開始10時間後にグルコースの供給を開始した。計画した誘導の約0.5~1時間前に、温度を30℃から27℃に下げた。発現の誘導は、約21~23時間の培養期間後にイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMまで添加することによって達成した。
64時間の培養期間の後、試料を収集し、遠心分離によって細胞を培地から除去し、サンドイッチELISAアッセイ(下記参照)を用いて、培養上清中のFab断片の含有量を決定した。全培養ブロス中の標的タンパク質の量、すなわち細胞内外に存在するFab断片の合計を確認するために、均質化した培養ブロス中のFab含有量を決定した。この目的のために、150μlの培養ブロスを850μlの100mMのTris/Cl緩衝液(pH7.4)と混合し、FastPrepホモジナイザー(FastPrep-24(商標)5G、MP Biomedicals社)を用いて細胞を破壊した。遠心分離により細胞残屑を除去した後、サンドイッチELISAアッセイで透明な上清を用いた。
抗CD154 Fab断片を、当業者に知られたサンドイッチELISAアッセイにより定量化した。これは、固定化抗Fd重鎖抗体(The Binding Site、製品番号:PC075)をキャッチャー、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトκ軽鎖抗体(Sigma、製品番号:A7164)を検出抗体として用いることを含んでいた。ペルオキシダーゼによる発色基質Dako TMB+(Dako、製品番号:S1599)の変換とそれに伴う450nmでの吸収変化により定量化を行った。ELISAは、Fab断片「Human Fab/Kappa」(Bethyl Laboratories、製品番号:P80-115)を用いて較正した。
表1は、培養上清及び培養物全体における抗CD154抗体断片の収率を列挙したものである。
Figure 0007242829000001
[実施例4:3lスケールでの2xlppΔ変異体を用いたシクロデキストリン糖転移酵素の発酵産生]
3lスケールでのシクロデキストリン糖転移酵素(CGTase)の産生のために、JE5512、JE5512 lpp3及びJE5512 2xlppΔ株をCaCl法によりプラスミドpCGTで形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、テトラサイクリン(20mg/l)を用いて行った。
CGTaseの過剰発現のためのプラスミドpCGTの産生は、US2008/0254511A1号の実施例4に記載されており、プラスミドマップは、US2008/0254511A1号の図4に規定されている。本質的に、プラスミドは、テトラサイクリンに対する耐性のための遺伝子だけでなく、特に、天然のCGTaseシグナル配列を含むクレブシエラ・ニューモニエM5a1由来のCGTaseの構造遺伝子も含む。CGTaseをコードする遺伝子の発現は、tacプロモーターの制御下にある。
JE5512/pCGT、JE5512 lpp3/pCGT及びJE5512 2xlppΔ/pCGT株を用いてCGTaseの発酵産生のための培養を実施例3に記載されているように実施した。
64時間の発酵期間の後、試料を収集し、培養上清及び均質化し、清澄化した培養ブロス(実施例3参照)中のCGTase含有量を、次いで、CGTase活性アッセイによってデンプンから酵素を用いて産生されたシクロデキストリン(CD)の量に基づいて決定した。
CGTase活性アッセイ
アッセイ緩衝液:5mMのTris HCl緩衝液、5mMのCaCl×2HO、pH6.5
基質液:アッセイ緩衝液中の10%デンプン溶液(Merck No.1.01252)、pH6.5
アッセイミックス:基質溶液0.2ml+適切に希釈したCGTase試料(培養上清又は均質化し清澄化した培養ブロス)0.2ml
反応温度:40℃
酵素アッセイ
基質溶液及びCGTase含有試料の事前調整(40℃で約5分)
基質溶液とCGTase含有試料を速やかに混合(渦巻きミキサー)してアッセイミックスを調製し、必要ならばアッセイ緩衝液で試料を希釈し、その後のHPLC分析で0.9~1.5g/l CDの値を決定する
40℃で3分間インキュベート
メタノール0.6ml添加、迅速混合(渦巻きミキサー)による酵素反応停止
氷上でのミックスの冷却(約5分)
遠心分離(5分、12000rpm)し、透明な上清をピペットオフ(pipette off)する
HPLCによるCD産生量の分析:Nucleodur 100-3 NH2-RPカラム(150mm×4.6mm、Macherey-Nagel)及び移動相として水中の64%アセトニトリル(v/v)を用いるAgilent HP 1100 HPLCシステムで、流速2.1ml/分で分析を行った。検出はRI検出器(1260 Infinity RI、Agilent)を用いて行い、ピーク面積及びα-CD標準物質(Cavamax W6-8 Pharma、Wacker)に基づいて定量を行った。
酵素活性の計算:A=G*V1*V2/(t*MG) [U/ml]
A=活性、
G=CD含有量(mg/l)
V1=アッセイミックスにおける希釈係数
V2=アッセイに用いる前のCGT含有試料の希釈係数、希釈していない場合はV2=1
t=分で表される反応時間
MG=g/molで表される分子量(MGCD=973g/mol)
1単位(U)は1μmol/l製品(CD)/分に相当する。
表2は、それぞれ達成されたCGTase収量を示す。
Figure 0007242829000002
総タンパク質との比較では、JE5512 2xlppΔ/pCGTにより培地中に放出されたCGTaseの割合は、抗CD154 Fabと同様に、約58%であった。
実施例3及び4は、それぞれ種々の大腸菌株を用いた医学的に重要なFab抗体断片及び工業用酵素の発酵産生を説明している。いずれの場合においても、本発明による2xlppΔ突然変異体は、培地中に放出される標的タンパク質の量に関して、lpp野生型株及び「リーキー表現型」を有するlpp3突然変異体と比較して優位性を示す。

Claims (11)

  1. 組換えタンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む大腸菌株の細菌株であって、以下からなるオープンリーディングフレームを含むことを特徴とする細菌株:
    i 以下のii及びiiiに連結している、ペリプラズムへのタンパク質の移動を媒介するN末端シグナルペプチドをコードするDNA断片、ここで、N末端シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸1~20のアミノ酸配列であるか、又は、アミノ酸位置14において、グリシンの代わりに、タンパク質を構成する任意の他のアミノ酸を含み、他の全てのアミノ酸位置において野生型Lppタンパク質のシグナルペプチドと同一である(アミノ酸の番号付け及び配列は、配列番号2のアミノ酸1~20に基づく)か、又は、大腸菌のリポタンパク質Pal、NlpI、NlpB若しくはOsmBのシグナルペプチドである、
    ii 配列番号2のアミノ酸21~78又はアミノ酸21~77のいずれかで特定されるリポタンパク質(Lpp(N))をコードするiに続くDNA配列(lpp(N))であって、配列番号2のアミノ酸位置77のアルギニンは、タンパク質を構成する任意の他のアミノ酸で置き換えられてもよい、DNA配列、及び
    iii 配列番号2のアミノ酸21~78又はアミノ酸22~78のいずれかで特定されるリポタンパク質(Lpp(C))をコードするさらなるDNA配列(lpp(C))であって、配列番号2のアミノ酸位置77のアルギニンは、タンパク質を構成する任意の他のアミノ酸で置き換えられてもよい、DNA配列
  2. 配列番号2のアミノ酸21~78と比較して少なくとも80%の同一性を有するタンパク質をコードするさらなる遺伝子を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の細菌株。
  3. Lpp(N)及びLpp(C)が、1個から複数のアミノ酸からなるリンカーにより連結されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の細菌株。
  4. lpp(N)又はlpp(C)によってコードされるアミノ酸配列の少なくとも1つにおいて、アミノ酸位置77のアルギニンの代わりに存在するものが、タンパク質を構成する他の任意のアミノ酸であることを特徴とする(アミノ酸の番号付け及び配列は、配列番号2に基づく)、請求項1~3のいずれか一項に記載の細菌株。
  5. lpp(N)又はlpp(C)によってコードされるアミノ酸配列の少なくとも1つについて77位におけるタンパク質を構成するアミノ酸が、システインであることを特徴とする、請求項4に記載の細菌株。
  6. N-末端シグナルペプチドの位置14におけるタンパク質を構成するアミノ酸が、アスパラギン酸であることを特徴とする、請求項5に記載の細菌株。
  7. リンカー配列を形成するアミノ酸が、グリシン、セリン及びアラニンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の細菌株。
  8. 前記オープンリーディングフレームが、配列番号1の代わりに、染色体に位置することを特徴とする、請求項7に記載の細菌株。
  9. 組換えタンパク質が、異種タンパク質であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の細菌株。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の細菌株を発酵培地で培養し、発酵後、細胞から前記発酵培地を除去し、前記発酵培地からタンパク質を単離することを特徴とする、組換えタンパク質の発酵産生方法。
  11. 組換えタンパク質が、発酵培地の除去後に発酵培地から精製されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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